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液体絶縁物中の放電図形の特性について 利用統計を見る

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(1)

液体絶縁物中の放電図形の特性に就て

金丸春雄

中山峯雄

On the Characteristics of Lichtenberg's

Figure in Liguid Insulator

HaruoKanemaru

MineoNakayama

      Synopsis  This paper describes, in the impulse voltage, the auther takes the photograph of Lichtenperg’s figure in Toluene and Xylene which is the insulator or the high resistor. Then, we makes a foundamental study of this figure and data of phenomena of the break down in the liguids, especially this study is not studied about electric characteristics of Toluene and Xylene, but physical characteristics of Lichtenberg’s figure in them, and comparison with those in the tronsformer oil that we are already known.  Namely, this experimental data showing number of twig−like figure, relation of figure length to applied impulse voltage and various forms etc. in figures、

1緒

言  変圧器油等の絶縁破壊機構の研究に写真乾板を使用 して油中Lichtenberg’s figureを撮り資料とする方法 は古くから行なわれて来た。是れは放電の形式として は一 一‘Ptの油中沿面放電にして、破壊コロナの伸び方、 形態、及び其の性質等相当詳らかにされているが、現 在尚印加電圧、油の純度、油温、含水性、並びに油の 電気的定数等の是等一連の直接な影響乃至相互関係等 が如何にLichte血berg’s figureに変化を及ぼすかは 未だ充分に知られていない。  然し、可及的精製された状態の油即ち換言すれば安 定した純度の高い試料に既知の電圧波形を与へた場合 の図形に就ては概して一定の図形を得易いので斯様な 実験要素を考慮に入れ本実験にトノレエン(Toluene) 及びキシレン(Xylene)を液体絶縁物として使用し、 印加電圧として後述の如く相当波尾長の長いimpulse voltageを用ひた。これは絶縁油中の破壊現象が技術 的には低周波交流に依る破壊をとり上げている関係上 是等波形の半波長に相当する波尾長を選んだのも筆者 等の実験の特異性の一つと云へる。  この外印加電圧については低周波交流、直流(平 流)、急峻な衝撃電圧及び高周波交流電圧等がありこ

84

れら電源による放電図形の相異に就て是非検討を加え るべきであるが本稿に於ては是等の問題に対しては説 明されていない。  気中、液申の破壊現象を研究する上に尤も困難とさ れる問題は影響因子の多いと云ふ事であるが本実験に 於て上記トノレエン、キシレン中のコロナ放電図形に就 て其の形状、樹枝長、横枝数等主として物理的資料を 得ることに依って油中破壊機構の研究に役立つもので あれば幸甚と思ふ。

2 実験条件

2.1液体絶縁物  Lichtenberg’s figureをとる絶縁油として筆者等の 使用した芳香属炭化水素であるトルエン(Toluene, C6H5CH3)及びキシレン〔Xylene, C,H4(CH3)2〕 或はチメチルベンゼンは白色透明な液体で比重、固有 抵抗、粘度は前者で0.872(15°C)。3.7×10”n−cm (20°C)。28(20°CRed}であり、後者で0.867(15°C)。 2.8×10”Ω一cm(20°C)。25(20°C Red)のものでこれ を変圧器油に比較すると粘度は10.7∼12%、比重は94 %に相当する。 2.2 電圧波形

(2)

液体絶縁物中の放電図形の特性に就て

 この実験に供した衝撃電圧の定数回路は第1図の如 くコンデンサー一 Cを高圧直流電圧にて充電し、ギャッ プGを通してC,L, R,回路に放電せしめた時抵抗 Rの両端に発生する電圧降下を被試験物即ち油中電極 の両端に与へて乾板面一ヒに図形をとるのである。 C L Fig. 1 Where, C 一 O,1μUF Lロ0.7MH R口0.8×106A  周知の如く放電当初よりt秒后の条件は   ・/σ随+磯+iR−・   d2i/dt 2一ト2a.βdi/4z十β‘=0     但しα=R/2/ac・α・β=R/2L        β=1/γ/Z万 これを解いて、抵抗Rの両端の電位差即ち試料の両端 に与へらるべき電圧eは  e=iR=Eo R/L.βレ/= ε一αtβtsinh(βレ/cr2−1.t)  ÷2Eoε一atβtsinh(βv/両t) ÷E。〔,・・V・疏一,一・・V・一・/・㍉(、) 滋に 1/α<1なる為v/1−1/α2÷1−1/2α2として       1          一β(2ω一一)t  。÷E。{ε一β/2・Lε 2α        } 数値を代入して   e÷E。{、−1・…一・一・’・8…9t}    (2) となる。波頭長はdi/dt ・Oより   Tm=:2.310g(2×4.8×103)/1.2×105×4.8×103     1=1.6×10−8sec       (3) 又、波尾長を求めれば(2)式よりe==1/2Eoとおき   Te=5.5×10−2 sec となる。  第2図はこの減衰波形である。但し試料の表面抵抗

1

E 2 ≦ 蕊 Φ は破壊前には非常に高いものと考へ負荷抵抗Rに対し 閑却され、修正されていない。 2.3 電極並びに写真乾板  トノレエン又はキシレンの油中に於て写真乾板を挾 み、これに電圧を与へるべき電極は板状と針状の電極 で板状電極は厚さ20mm,直径80mmの円形で、針状 電極は直径6mmの尖端針状の共に真鍮製のものであ る。  又写真乾板は富士写真フィノレム株式会社製プロセス 乾板を充分乾燥して使用した。

3 実験及び結果

3.1実験方法

 第3図で示す回路のごとく低周波交流(50∼)を高 圧整流管で直流整流して静電容量Cを充電せしむ。  C,L, R回路に発生する衝撃電圧は放電間wa Gに て調整するものとずる。斯くしてわレエン又はキシレ ンの液体絶縁物中に浸された写真乾板に電圧を与ふれ ば其の印加電圧に応じて写真乾板上にLichtenberg’s figureをとることが出来る。これを現象定着処置して 得るのであるが、この図形は気中の図形と比較して非 常に小さいので取扱上細心の注意が必要である。 頓 全8∼100V 1冨 K L

R

一N

@  A   D @  P

T

    Fig.3 Connection of diagram Where. IR−lnduction regulator     T−Main trans.100/0.1KV,5KVA 1φ

    K−Kenotron 150KV

    Eo−Static voltmeter 25/50KV     G−Gap 12.5φcm      L−lnductance coil O.7mH     C−Condenser O.1μF     R−Resistance O.8×106Ω      A−Liguid insulator      N−Needle electrode      P−Plate electrode      D−Dry plate i 2 5    4    5 _−Time七xto−2Sec. Fig.2 1mpulse voltage wave form  又図形そのもの\発生原因が油中の沿面放電である 為その放電段階に少しでも火花放電を伴ふときには図 形は火花放電の閃光に依って失敗してしまうので図形 の測定範囲が自から限定されストリーマ放電の終期言 い換えれば破壊直前までと言へる。従ってこれ以上の 高い電圧に対しては分圧することが望ましい。  実験中特に断らない限り印加衝撃電圧は唯の一回の

(3)

山梨大学工学部研究報告

Table 1. Data of long length of fine twig to impulse voltage.

Toluene

1

Xylene

Positive figure 1N・g・・ive figure Positive figure lN・g・・i・・ figure Applied

uoltage hength

Long

A.V L.L A.V

lLL

A.V L.L

(kV) (mm) (kV) (mm) (kV)

1(m幼

(kV) (mm) 15 0.67 10 0.33 15 1.17 15 1.00 16 1.00 14 0.67 18 1.42 18 1.67 18 1.25 15 0.68 20 1.83 20 2.08 20

L50

18 1.50 21 2.08 21 2.25 21 2.08 21 1.92 23 2.42 23 2.83 22 2.10 21.5 2.17 25 3.22 25 3.08 23 2.42 23 2.67 27 3.67 27 3.67 24 3.00 24 3.17 28 3.83 28 4.67 25 3.17 25 2.75 30 4.50 30 4.83 26 3.50 27 3.17 32 4.67 32 5.33 27 3.75 28 4.08 34 5.83 34 6.08 28 3.80 4.67 37 6.67 37 5.75 30 4.15 32 5.03 40 7.67 40 6.67 32 4.50 34 6.00 33 5.00 36 7.00 34 5.50 37 8.33 35 5.92 40 9.08 37 7.83 40 7.92 印加である。  3.2図形の大さと電圧との関係  トノレエン及びキシレン油中の電圧一長径との関係を 第1表に示し、之に依って第4図を求めた。弦に長径 と称するは油中図形は気中図形に比して其の図形の 形が円形ではなく甚だしく歪む事があるので中心から 樹枝状図形の尖端までの長さは測定個所に依って非常 な差がある為その測定長をどうするか考慮すべきであ る。筆者等は油中破壊の理論から考へて中心から主も 大きい樹枝長の2倍をとることに依って意義があると 信じこれを長径と呼ぶことにした。  一般にLichtenberg,s figureは純度の高い変圧器 油中のfigureと同様に乾板面上を針端中心より放射状 に延びた樹枝状図形にして、太い樹枝状図形(Thick twig−like figure)と細い樹枝状図形(Fine twig・−like figure)とより成り立つているがいずれが先に発生す るのかは未だ不明であるが印加電圧に応じて低い電圧 のときは細い樹枝状図形は発生しても太い樹枝状図形 は現れない事はある。  細い樹枝状図形は気中の図形と全様に印加電圧に殆 んど比例して伸びるが、気中のそれと比較して非常に

86

9 7 亡 己6

K

§ 三, 言 ξ4 5 §3 2 ノ

      /

8 0 × ◎ △        IO     20     30     40        App)ied  impulse ∨oltage in KV          Fig.4 Curve of fine twig length to impulse voltage

(4)

液体絶縁物中の放電図形の特性に就て

Tablc 2. Data of thick twig length to impulse voltage

Toiuene

1

Xylene

Positive figure Negative figure

t

Positive figure Negative figure

Applied Voltage (kV) 18 20 21 22 23 24 25 26 27 28 30 32 33 34 35 37 40

Length

(mm) A.V (kV) 0.08 0.17 0.17 0.33 0.43 0.50 0.50 0.67 0.67 0.88 1.00 1.14 1」6 1.28

L42

1.50 2.08 21.5 23 24 25 27 28 30 32 34 36 37 40

 L

(mm) 0.33 0.42 0.58 0.60 0.70 0.88 1.13 1.33 1.75 1.90 1.83 3.00 A.V (kV) 15 18 20 21 23 25 27 28 30 32 34 37 40  L (mm) 0.17 0.42 0.43 0.53 0.67 0.83 1.00 1.10 1.17 1.50 2.08 2.50 A,V (kV) 15 18 20 21 23 25 27 28 30 32 34 37 40  L (mm) 0.23 0.33 0.25 0.47 0.67 0.58 0.68 0.84 0.92 1.33 1.23 1.75 3.50 小さく、且つ気中の図形の様なはっきりした極性効果 を現はさない。文献に依ればToluol 1.4, Xylol 1・12 及びPotroleum 1.2(1)であるが筆者等の実験に依ると 1.11∼1.13である。又第4図から筆者等は印加電圧 10∼40kVの範囲で電圧と図形長径の間に   E=11十4D  (Dは直径最大、 mm) なる関係を得た。電圧10kV以下では図形は発生せず 又40kV以上の電圧では火花放電に移行する性質があ るからである。これは気中にて求めたM・Toepler(2) の電圧一図形半径の式と同様に一種の電圧測定上の目 安となる。  又図形中太い樹枝状図形は電圧の低いところでは非 常に伸び難く殆んど現はれない事もあるが或る電圧以 上になると其の伸び方は電圧と共に指数的に増大す る。併しこの樹枝長は印加電圧の波尾長には余り影響 されないと云はれている(3)。第2表、第5図はこの太 い樹枝長と電圧との関係とを示すもので電圧に対する 樹枝長の伸び割合は両液共大差なく、特に25∼30kV 鮒近ではほとんど同一結果を示している。これはたX“ 太い樹枝長のみに限らず細い樹枝長に就ても全様な結 果を得た。即ちこの範囲の電界の強さでは両液共コロ ナの強さは同一であると考へられる。  然しながら電圧がこの範囲を越えると低い電圧の側 でキシレンの方がわレエンより樹枝長が長くなってい 5 2 妻 笑 茎1 ざ } ミ < 1bluene Xylene Positi 一 ,一 一〇一 N《騨i 一X一 一△一 A o ・ 9 40瀞7戊m △         fO     O    3        Appl;ed impulse voltcge ;a Kv       Fig.5 Curve of thick twig length to impulse voltage る。この傾向は細い樹枝長についても同様な事が言え る。  又電圧の高い側では樹枝長の増加する割合は非常に 大きくなり沿面火花放電直前で細い樹枝長とほx“同じ

(5)

§ § ㌻ さ $’ § D.5 『・『垂盾唐i仁lve −X−Nego七lve ジ  5b  り Applied impulse voltage inκV している線条がFine twig−like figureである。印加 電圧と図形の長径との間には一連の関係が存在するも のであるが、一定電圧印加の下で発生する図形の大 さに如何なる変化が在るものか調べてみるにこれは上 記電圧一長径の関係を確かめる意味でも重要な事と思 ふ。即ち例へば印加電圧を28kV正極にとつたトルエ ン中の長径の確率は第3表の如くなる。 Table 3 Fig.6 Relation of thick twig length     to impulse voltage in Toluene Io 5 ヨ 尖 誓1 ミ ぷ 合05

s

§ 0,1 一一゜−oOSItjve −X−Negqtive 32 36 40 Applied impvlse vo}t唾in KV Fig.7 Relation of thick twig length     to impulse voltage in Xylene 位に成長する。即ち細い樹枝長と太い樹枝長との比は 電圧の増加と共に減少する傾向に在る。この減少の 比率と破壊電圧との関係は目下検討中で明らかでない が、Lichtenberg’s figureを通じてコロナ放電機構 を究明する上に役立つ一つの現象である。  写真1は是等樹枝状図形が電圧と共に成長して行く 過程を7倍に拡大した写真の一例である(トノレエン正 図形)、写真に現はれているように中心に近く太い放 射状の線がThick twig−like figureで細く長く放射

88

Number of    ・experlment Long length 盾?@fine twig @ Dz(mm)        一

秩≠cz−D

ηL2 1 3.83 十〇.072 0.005184 2 3.50 一〇.258 0.066564 3 4.17 十〇.312 0.097344 4 3.67 一〇.088 0.007744 5 3.50 一〇.258 0.066564 6 3.33 一〇.428 0.183184 7 3.50 一〇.258 0.066564 8 3.75 一〇.008 0.000064 9 4.50 十〇.742 0.550564 10 3.83 十〇.072 0.005184 Mean. ualue 一D=3.758 Σuτ2=P.048960 これより  標準偏差 確率誤差  故に長径 となる。 σ=レ/・]2/n−1=γ1.04896/10−1 =0.341 γ=0,6745σ!Vn= 0.6745×0.341/レノiilTO・“ =0.072 1)=3,758±0.072=:3.686∼3.830 3.3 樹枝の数  液体絶縁物中の樹枝状図形は一般にその液体絶縁物 の種類を問はず気中の図形に比して其の枝分れが多い と云へる。この主たる原因は液体の分子結合の数、不 純物、粘度及び圧力に影響されるものと考へられる が、印加電圧の峻度による影響も無視されない。  即ち前者の物理的条件を一定としても後者の如何に 依っては図形に大きな変化をもたらすものであるとも 云へる。従って実験条件として安定した液体絶縁物に 一定の電圧を与へて比較する必要が在ることは勿論で ある。  斯様な前提のもとでトルエン、キシレンの樹枝の数 即ち枝分れ数と電圧との関係を第4表並びに第8図、 第9図に示す。但しこの場合の枝分れ数とは太い樹枝 と細い樹枝との総和である。実際の枝分れがどんな状 態であるか顕微鏡に依る若干の資料を写真2に示す。

(6)

液休絶縁物中の放電図形の特性に就て

(1) 20kV

(2) 21kV

(3)    22 kV (4)  24kV

(7)

(7)

30kV

(8)

32kV

(9)

33kV

(10)

34kV

Photograph 1        (11)  35kV Positive figure in Toluene        90 where, magnification 7

(8)

液休絶縁物中の放電図形の特性に就て

   (1) 24kV

(1) Positive figure ln Toluene (2)  21.5kV       (2),(3) Negative figure in Toluene

(3) 36kV

(4) 18kV

磯、

 灘

   纏灘難謝覇灘撫嚢纏購講

      (5) 28kV

(4),(5) Positive figure in Xylene

(9)

(6) 20kV

(7) 28kV

(8)  30kV       (9)  34 kV      (6),(7),(8),(9) Negative figure in Xylene        Photograph 2  Microphotograph of twig−like figure where−magnification 70

92

(10)

液体絶縁物申の放電図形の特性に就て

Table 4. Number of branch on twig−1ike figure in Toluene and Xylene

Toluene 1 Xylene

Positive figure f Negative figure t Positive figure 1 Negative figure

Applied Voltage (kV) 15 16 18 20 21 22 23 24 25 26 27 28 30 32 33 34 35 37 40

Number

  of branch   27   40   56   74   77   82  110  129 130 150 190 200 263 333 421 496 556 1130 1510 A.V (kV) 10 14 15 18 21 21.5 23 24 25 27 28 30 32 34 36 37 40 N.B   27   61   91  156  127  165  179  184 210 240 340 542 582 830 1181 2055 A.V (kV) 15 18 20 21 23 25 27 28 30 32 34 37 40 N.B   65   89  115  128   96 241 293 318 352 448 461 488 1086 A.V (kV) 15 18 20 21 23 25 27 28 30 32 34 37 40 N.B   50   84  120  113 210 278 363 402 504 562 563 934 1530      Toluene Positive Negative        S2       20  24  28  哉  56  40        Applied impulse voltage in KV Fig.8 Number of branch on twig−・like        figure in Toluene        ×71ene ・一’oosltl∨e x−Neqative        12  t6  20  24  28  32 36  40『        Applied imp・lse∨卿e in・KV Fig.9 Number of branch on twig−like        figure in Xylene

93

(11)

 写真はいずれも顕微鏡倍率70で且つ引伸倍率2.4に したものであって第4表も是等の資料について作られ たものである。  トノレエン、キシレン両液に就て図形上の相異は殆ん ど認められないが、極性による相異は多少なりと認め られるものの様である。即ち詳細に観察すると小枝の 節の如き屈曲の状態は両者共に是等図形の特徴とも云 ふべく相当多量に認められるが俗に枝となって分岐す る状態は負図形の方が多い様に窺がわれる。  この増加の傾向を第4表より第8図、第9図に与へ てあるが電圧に伴ひ指数的にその枝分れは増加してい る。又この増加の有様は電圧の増加に従ひ一本の樹枝 長からの枝分れも、又中心から新らしく発生した樹枝 も共に増していると云ふ点で決して既成された一本の 樹枝の枝分れのみが増加しているものでない。  併しながら太い樹枝の枝分れは細い樹枝の枝分れに 対して非常に僅少であると云ふ事は云へる。  実験中時に樹枝の発生点が電極(針状)中心から遥 かに遠い個所にあってこXから樹枝状図形が画かれて いる事がある(写真1の8の例)。これは電圧印加時 に油中に微量な介在物が存在しその境界面が特に強い 電位傾度を持つ様な場合一種の油中ストリーマが飛躍 現象を起したものと考へられる。  斯様な現象は実験的に針状電極を乾板面より微少間 隙浮かせて放電させた場合放電ストリーマがシャワー となって相手極に突入した場合とか、又は使用油が特 に微粒子で汚染されている様な場合等に現はれる。  この現象は電気的に絶縁劣化を調べる上に特に重要 な現象である。然しながら写真乾板表面それ自身が高 絶縁性であるので放電時に起るafter dischargeなる 原因も又重要な役割をなしている事を忘れてはならな い。即ち一一一次放電で残留した表面電荷が電圧消滅後 二次電源となって放電する場合出来る図形でこれを after dischgrgeと云ふ。事実上after dischargeに 依って油中物体が破壊され乃至劣化する事例が無い事 はない。  樹枝数の測定は時間をかけて拡大写真より数えたも ので元より図形上屈曲か枝分れか判然としない個所が 多々あり、当然誤差となるべき困難がある。  これを出来るだけ避ける意味で後述の如く一定電圧 で10回の実験を行ひこの図形資料より数へた平均と云 ふものを考へてその確率誤差をたしかめてみた。  即ち印加電圧20kVにてトノレエン正75、負120、キ シレン正110、負120、40kVにてトルエン正1500、 負2050、キシレン1080、負1530なる樹枝数を得た。  第5表は一例例としてトノレエンに正電圧28kVを与 Table 5

94

Number of ??垂?窒高?獅 Number of @ branch       一 Pひ乞=72z一刀 ηZ2 1 330 十15.1 228.01 2 317 十2.1 4.41 3 356 十41.1 1689.21 4 277 一37.9 1436.41 5 271 一43.9 1927.21 6 296 一18.9 357.21 7 304 一10.9 118.81 8 327 十12.1 146.41 9 334 十19.1 364.81 10 337 十22.1 488.41 Mean. ualue 一〃=314.9 Σ仇2=U760.9 へた場合に得た図形10枚に就ての結果である。これよ り  標準偏差 σ=/ttt 2/n−1=/6760.9/9=27.408  確率誤差 ’)’=0.6745σ/}/万=18.4867/3.1623=5.84       n=314.9士5.84=308∼321  となる。斯様にして求められる樹枝数と供給電圧 との関係から液体絶縁物の破壊電圧を知る関連性に就 ては未だはっきりした結論を出すまでに至っていない が、前にも述べた様に惜かに樹枝数は印加電圧に応じ て指数的に増加する傾向ではあるがこれはあくまで定 性的なもので第8図、第9図に示すような結果がいつ もいかなる種類の液体絶縁物中でも、又如何なる電圧 状態でも成立つ値であるとは云へない。むしろまった く是等の条件を無視した気まぐれな現象であるか又は 或る条件のみ定まればその測定値が恒に定量的である かと云ふ事が検かめられていないからである。  然し筆者等は少くともこの樹枝数の値は気まぐれな 現象でなく、特定なしかも清浄された液体については たX“その印加電圧の条件のみ一定させる事に依って定 量的なものであると信ずるので今後この一定条件の仮 定をどこに定めたら主も妥当、且つ便利であるか研究 するものである。  3.4単位樹枝長の樹枝数  印加電圧の増加と共に樹枝数も増加する訳である が、他方又樹枝長それ自身も伸びれば又図図形中心か ら発生する樹枝の本数も増すものであるのでこの両者 の増加の程度は樹枝長の伸びの方が遥かに大であるよ うである。故に印加電圧の大小に応じて図形の樹枝長 の総和も又増減するを認める。依って筆者等!ま各図形 に就てその発生樹枝数の和に対する樹枝数の比を求め

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液体絶縁物中の放電図形の特性に就て

Table 6. Ratio of branch to unit length in twig−1ike figure(1) Toluene Positive figure ApPlied Voltage   (kV) 16 18 20 21 22 23 24 25 26 27 28 30 32 33 34 35 37 40  Sum of T.Flength  (mm)  2.18  4.93  5.40  9.82  8.64 15.20 19.37 18.28 14.37 26.18 11.72 21.45 22.55 41.50 50.20 54.40 106.00 120.30 N.T.F.L S.T.F.L 33.9 11.4 13.4 7.7 9.5 10.9 6.7 9.5 11.8 10.5 8.3 12.3 14.8 10.1 9.9 10.2 12.5 12.5 Negative figure A.V (kV) 14 18 21 21.5 23 24 25 27 28 30 32 34 36 37 40

SofT.F.L

 (mm)  1.45  4.18  8.54  8.77 13.00 18.00 16.00 20.65 29.45 36.20 48.50 53.60 79.90 74.80 147.50 N.T.F.L S.T.F.L 18.6 21.8 18.3 14.5 12.7 10.0 8.9 8.9 9.7 10.7 11.2 10.9 10.4 15.0 13.9 Table 6  (2) Xy玉ene ● Positive figure AapPlied Voltage    (kV) 15 18 20 21 23 25 27 30 32 34 37 40  Sum of

T.Flength

 (mm)  2.91  6.55  8.55  8.55  8.00 16.72 24.42 36.50 33.00 41.25 64.10 101.30 N.T.F,L S.T.F.L 22.2 13.6 13.5 15.0 12.0 14.4 11.7 9.7 13.6 11.2 12.3 10.7 Negative figure A.V (kV) 15 18 20 21 23 25 27 30 32 34 37 40

SofT.F.L

 (mm、  2.82  5.82  8.27  9.82 14.18 20.45 31.85 44.60 42.60 49.70 85.15 163.00 N.T.F.L S.F.F.L 17.7 14.4 14.5 11.5 13.8 13.6 12.3 11.3 13.2 11.3 11.0 9.4 て見た。換言するならば単位樹枝長に対する樹枝数と 云ふ事になる。  第6表はトルエン、キシレンの正、負両図形中の樹 枝長、並びにこれに対する樹枝数の比である。  又第10図、第11図は樹枝長の和と電圧とを示す関係 図であるがトルエン、キシレンに就て両者殆んど同一・ の結果を得ているものの、極性の相異に対しては負図 形の方が長くなっている。  これは樹枝長及び樹枝数が共に負図形に於て優って いるので当然の事と云へる。又第6表より単位長に対

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『}o 呑       Toluene −・一一 oositive −x−Nega七i∨e t6   24   32   40 ApPlied impulse voltage in KV Fig.10 Relation curve of total twig−like figure     lcngth to impulse voltage in Toluene する樹枝数は多少の変化はあってもいずれも大約10∼ ユ4の値の範囲に在って正、負いずれの図形にても一、 二の例(例へば37kV)を除いてはほx一定量と云へ る。又電圧の破壊電圧に近い側と云えども特にこの比 が増加しているとも思へない。  即ちこの結果から筆者等は特に樹枝の数即ち枝分れ 数の増加率が破壊電圧に近づく程増すものだと感る事 は出来ない。むしろ印加電圧の大小には無関係でたX“ 樹枝長が電圧に従って増す為樹枝数も増す結果となっ ているものと思ふ。斯様な実験結果から推測して枝分 れの現象は全く別の原因に依って支配されるものと信 ずる。  本実験中の室内状況は温度10∼12℃,湿度45∼55 %程度である。

4 結

言  変圧器油同様液体絶縁物としてのトノレエン、及びキ シレン中のLiehtenberg’s figureは樹枝状図形にし て電界中心より伸びる太い樹枝と沿面にそって長く伸 びる細い樹枝とから成り而して多数の節と枝分れとを 有する。前者は電圧波形には影響されないがこの伸び の大小は液体の破壊に関係するものの様に思える。後 者の細い樹枝の伸びは電圧に伴ひ指数的に増し、その 冒 ぎ1 NS’ a5        ×7iene

−・−

oositlve

−x−Negqtive

}6   24   52   40 Applied imp・1∼e v・lt・ge in KV Fig.11 Relation curve of total twig−like figure     length to impulse Voltage in Xyleue 長径は印加電圧に比例するものの如くE=11+aDで 示される結果を得た。樹枝数も電圧と共に増加するも のであるが単位樹枝長当りの樹枝数はほとんど一定 であると推測される。斯様にして実験結果より油中 Lichtenberg’sは物理的には静止図形であるが現象の 上では油中沿面コロナ現象であり、この図形よりして 液体絶縁物中の破壊コロナの進展状態及び図形より得 た物理的諸量と電気的現象との相互関係を得る事が出 来るものであると思ふ。  この実験を行ふに当り終始御指導を賜った本学工学 部中村元和教授、並びに多大な助言をして下さった日 本大学工学部故稲田金次郎教授の両先生に対し心から 感謝致します。 5 文 献 1) Toriyama. Dust Figure of Surface Disch−   arge and its ApPlications 2)M.Toepler Archiv of Elek 1922 3) 佐藤・鳥山 昭和36年 電気連大 44 4) 金丸 昭和27年 電気東京支部大会 1.16 5) 金丸 昭和29年 山梨大学工学部研究報告第5       号145P

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参照

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