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ソフトウェア設計における知識獲得と仕樣獲得支援

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長野大学紀要 第17巻第4号 16-21頁 (322-327頁)1996

ソフ トウェア設計における知識獲得 と仕様獲得支援

Supporting Knowledge Acquisition and Requirements

Acquisition in Software Engineering

ソフ トウェア工学の誕生以来 これ までに、多数 の概念や技術的方法が提案されてきた0-万、 ソ フ トウェア開発量の増加お よび複雑化に伴い より 一層の生産性の向上、信頼性の保証が求め られて いるのも事実である。 これ らの状況にたい して人 工知能あるいはその応用分野 としての知識工学の 成果を ソフ トウェア開発に応用 しようとい う研究 が線素されている。本稿では、 ソフ トウェア開発 方法論に関 して知識獲得支援技術の有用性につい て述べ る。

1

.知識獲得 ・学習技術

ソフ トウェアシステムの開発におけ る 要 求 分 析 ・定義の重要性は、 システム設計 ・構築の過程 で も指摘 されているところであ り、 これ までも様 々な概念 ・技法 ・ツールが提案 され実用化 されて きた1)・2)。 知識の獲得や学習の過程で、知識の表現の方法 を如何にすればユーザのある程度の満足の度合を 保証できるのか、同時に工学的、言語学的にも無 理 の無いシステムが構築可能なのかが 問 題 と な る。工学的なシステムとして知識を獲得す るには 対象領域を明確にした知識に限定することも必要 となる。対象領域がある一定の範囲に定め られれ ば、知識の内容は相当に明確になる。知的システ ムが使 う知識の目的は事実の認識や事実解釈の支 援、提案に よる問題解決、原田や理由の同定、矛 盾する知識の修正、冗長な知識の整理をすること にある. また、知識の構造化についてはモジュー ル化の概念があるが、モジュール化 された知識は 全体 として対象領域の構造を前記の目的に合致す

口 道

Michioki Taniguchi

るよう反映 されていなければな らないS)。 ソフ トウェアシステムの開発における要求獲得 と同様に、エキスパ- ト・システムの開発におい ても問題開発に必要な情報を専門家やテキス トな どの知識源か ら収集 ・定式化 し、それを推論機構 が処理可能な形式に変換 してシステム内に取 り込 む作業が必要である4)。 エキスパー ト・システム における知識獲得 とは、 知識の抽出 (収集)、 知 識の変換、知識の整理 ・体系化の作業をい う。知 識の整理 ・体系化 とは知識相互の関連性を明確化 する、知識べ-スの不備な部分を補 うな どの操作 に より、知識ベースを質的に整理 す る作 業 を 意 味す る。一般に、エキスパー ト・システム開発の 最大のボ トルネ ックは 「知識獲得」にある。知識 獲得が、エキスパー ト・システムの構築に不可欠 であることを認識すれば、 ソフ トウェア開発でと くに新 しい技術が要求 され る分野での知識獲得の 困難 さが浮 き彫 りとなる。知識獲得は一般にナ レ ッジェ ソジニヤ (Knowledge Engineer;KE) が対象分野の専門家にイ ンタビューす るとい う形 式で進め られるが、そ もそ も人間が 自分の知 って いる知識を誤 りな く明確に表現することはできな い し、特に、"専門家 と呼ばれ る人は本人 が 意 識 している以上の専門知識を持 っている (ファイゲ ソバウム)''ので、 このような意識下にあ る知 識 を引 き出す ことにその本質的な困難 さがあ り多大 な時間を要する作業 となっている。同様の問題 と して、エキスパー トシステムに必要な知識ベース には、専門家の知識を誤 りな く明確に表現 しなけ れば意味がない. しか しなが ら、専門家 と呼ばれ る人の専門知識は経験的な知識を中心に構築 され - 1

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6-谷 口道興 ソフトウェア設計における知識獲得と仕様獲得支援 ているのが通常であ り、経験豊富な専門家であれ ばあるほ どその知識は無意識的にな り、それを明 確に表現することもまた困難 となる。 また、専門 家 と呼ばれる人は、推論 モデルを構築 しようとす る人に様 々な情報 を提供 して くれ るが、その中に は、(1)過去の解決 した問題に関す る経験(2)問題解 決 のための経験や方法(3)問題解決に用いた方法を 選択 した理 由に関す る知識等が含 まれ る。専門家 に とって も過去の問題解決の経験か ら推論規則を 導 出す ることは容易な ことではな く、一般に受容 されている科学知識 と関連付けてそれ らの知識を 導 出す ることの困難性は増大す る。 さらに専門家 か らの知識の獲得があ った として も、それ らの知 識 の コー ド化 も問題 となる。 このため、知識獲得の作業を機 械 化 す る こ と を 目的に、知識獲得支援 ツールの開発が行われて きた.知識獲得支援 ツールは知識獲得 の 多 様 な 過程、すなわち知識の抽出、知識 の変換、知識の 整理 ・体系化の各段階に対す る支援 ツールを、特 定 のタス ク向けに定義 した ものが捷案 さ れ て い る。 知識獲得においてほ、現状 システムのタス ク分 析 ・整理が進め られてきた経過がある。一般にエ キスパー ト・システム構築 ツールで用意 されてい る知識表現は、 プロダクシ ョン ・ルールや フレー ムで記述 され知識 と推論磯構の組み合わせで構成 され る非常に一般的な表現である。 したが って対 象 とす る問題の性質には無関係に プロ ダ ク シ ョ ン ・システムとい う一つの推論方式が適用 され る ことになる。 このことは広い範囲の知識を表現す ることはできるが、知識の実現方法が一義には定 まらない ことを意味す る。 この問題を解決 しよう とする観点か ら知識表現を見直 した の が

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5) が提唱 した汎化 タス ク

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である。 汎化 タス クでは各 タス クに問題解 決方式の安定化 と問題解決知識の分析を行 うOす なわち、汎化 タス クは ドメイ ンに独立 で、 タス ク に固有の基本的な タス クである。 これ ら の 結 果 は、特定のタス クに対象を特化 したエ キ ス パ ー ト・システム構築 ツールすなわち ドメ イ ン シ ェ ル6)を導 出 した。 これ らは、知識獲得 の効率化の ための手法 として開発 された ツールであ り、基本 的には知識提供者 との間の対話を通 じて行われ る 323 ことか らイ ンタビュー (質問の生成) システム7) と呼ばれている。 イ ンタビューシステムには大 き く分けて、①状 況や抽出できた知識に無関係に、定型的な質問を 行 って知識を獲得す る方法、②心理学的な方法に よって、専門家に知識 の連想を促す連想的知識獲 得方法、③知識表現の整理や変換に より、専門家 自身が再確認 して不足 の可能性や誤謬を認識す る 方法、④知識獲得 システムがあ らか じめ獲得すべ き知識が どの ような ものであるかを知 っていて、 その知識に従 ってイ ンタビューを行 う知識獲得方 法な どがある。 (彰に関 しては

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motto)等 の知識獲得支援 ツール MOREお よび MOLEがある。MOREでは、 8種類 の戦略が 用意 され、専門家にイ ンタビューを施 し、診断型 の知識 の獲得を支援す るツールである。 ここでは イ ンタビューに よる知識べ-スの洗練化が行われ ると直 ちに ドメイ ンモデルか ら診断ルールが生成 されていた。 しか しなが ら、洗練化 された と思わ れ る知識ベースに も多 くの不十分な点を含んでい た。ただ、MOREにおける知識表現は診断に特 化 された ものであるが、診断型 の問題でさえあれ ば診断の対象には依存 しない一般的な手法 で知識 を表現す ることができた。MOREでのモデル表 現はルール よ りは 「深い知識」 とい うことがで き るが問題領域その ものを理解す るとい う観点か ら 見れば、限 りな くルールに近い 「深い知識」であ る.エキスパー トシステムに関 してい え る こ と は、現状の知識べ-ス内の知識は特定の問題を解 くことを前提 とした知識である。 したが って、同 一 ドメイ ンの問題 であって も対象に変化を きたす とその知識は まった く利用す ることがで きない。 タス クに直結す る知識 と ドメイ ンにだけ依存す る 知識 とが分離 されていないのがその原 因 で あ る 10)。「浅い知識」は専門家 自身の経験 と深い 知 識 の変換か ら獲得できる。「浅い知識」 表現は 「浅 い知識」をIF-THENルールや フレームで表現 した もの、あるいは 「深い知識」を特定 の 目的の ために解釈 して異なる表現法を用いた も の で あ る。 また、「深い知識」表現は、「深い知識」を多 様 な解釈ができるような形式で表現 した ものであ る。 つ ま り、 「深い知識」は 「浅い知識」を数種 類 の知識に分解 した ものである とい うことがで き - 17

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-324 長野大学紀要 第17巻第 4号 1996 る。共有可能性 ・再利用可能性が高い知識 として ドメイ ンにおける原理 ・原則や対象物 の構造や部 品に関す る知識等が タス クか ら分離 された もの と して考 え られ る。 エキスパー トシステムのために必要な知識 の2 つめ として 「常識」がある (上掲書10)0「常識」 に関 しては、常識推論や defaultlogicな どの推 論に関す る理論だけではない。そ して、常識、 ド メイソ知識 とタス ク知識 の共通点はそれ らの記述 を支えるオ ン トロジーの整備である。 オ ン トロジ ーとは人工知能分野においては、物事を表現す る 際の基本 となる最小の単位 の集合 とい う意味で用 いているO常識の記述に必要なオ ン トロジーとは 時間、空間、因果 とい った ような概念 とそれに関 連す る現象や法則を記述す る際に不可欠 となる基 本概念である11)0 前述 した MOREはさ らに改良がなされてM・ OLEと呼ばれ るシステムに発展 した。 MORE で行われていた知識ベースの洗練は、静的な もの であ ったが、 MOLEでは実際の問題を専門家 と ともに解決を試み、その中で対話をす るとい う動 的な洗練を行 っている。すなわち、 MOLEでは イ ンタビューのみで行 う知 識 獲 得 を 静 的 分 析 (staticanalysis)と定義 し、エキスパー トシステ ムを試作 した うえで実際の問題を専門家 と共同で 解 きつつ行 う知識獲 得 を 動 的 解 析 (dynamic analysis)と定義 し、両者を区別 した。 この MO-LEで示 されたアプローチは ソフ トウェア開発の 仕様獲得 (要求獲得)過程で利用す ることができ よう。 ところで、仕様獲得 (要求獲得)に対 して は知識獲得の ような定説がないのが現状であ り、 強いていえば、 ソフ トウェアシステムの導入に よ って解決 しようとす る問題記述 の獲得、 またはユ ーザ 自身の独 自の用語で記述 した ソフ トウェアシ ステムの仕様の獲得 (要求仕様獲得) であ り、 も う一つは要求仕様を システムエ ンジニア(SE)の 独 自の用語で言い換えた ものの獲得 (設計仕様獲 得) といえ よう。つ ぎに、要求仕様獲得 と知識獲 得 のアナ ロジの観点か らエキスパー トシ ス テ ム (ES)とソフ トウェアシステム開発 の関連性をみ た場合、SEと要求者間の対話か ら要求仕様獲得 と知識獲得のアナ ロジが検出され る。なぜな ら、 要求仕様獲得は要求者か らSEへの移行であ り知 識獲得は専門家か らKEへの移行であるか らであ る。要求者は当然のことなが ら自らの要求に関す る専門家である と考え られ るか ら、要求仕様獲得 は知識獲得の範噂にあると結論づけ られ る。 要求者 とSE間の対話を人間系の果たす タスク に関す る知識 の獲得 と考えると、設計仕様獲得 と 知識獲得 のアナ pジが検 出され る.設計仕様獲得 と知識獲得におけ る関係は、両者 とも構築すべ き システムの問題領域依存部分の獲得すべ きものと い うアナ ロジに この場合 したが う必要がある。既 に実用化 されている4GL 12)を利用 した設計仕様 獲得は知識獲得に近い ものといえる。要求仕様獲 得 と知識獲得 の関係では両者 とも対話相手の タス クに関す る知識を獲得す るものであるとい うアナ ロジに従 う必要があろ う。それは、知識獲得にお けるタス クごとの専門家モデルの存在か らの類推 をお こな うと、問題領域に依存 しない要求仕様の 概形を準備すれば よい ことになるか らである。額 推問題では事例の情報構造を どこまで抽象化 ・汎 化す るか出現す る語嚢の間の類似性を どの ように 評価す るか等が問題 となる。

2

.

楳推 (AnalogicalReasoning)とは、与え られ た幾つかの対象間に類似性 (類比)を検 出 し、そ の煩比を用いて一方 の対象で成立 している事実や 知識を、 もう一方 の対象に変換す ることに より、 問題解決の手掛か りを得た り、未知 の事実な どを 予測 ・推定す る推論方式の ことである13)。すなわ ち、類似 した前提が成立 しているときに、類似 し た結論を推論す ることである。 予測推定型 の類推 としてほ、 Winston14)の 因 果関係に よる類推があるO この予測推定型 の類推 では、対象間に類比が観測 され るときに煤比に基 づ く知識の変換に よって新たな事実をそれが成立 す るか もしれない と予測推定す る。彼 の類推では 『類比は因果 (cause)関係を保存す る』 とい う基 本仮定に したが っている。 これを表現す ると図1 の ようになる。 この図においてa,ち,a',b′--な どは対象 フレ∵ム、rl,r2,・・・-な どは フ レーム間 の関係を示す。 なお、破線は リンクであ る。Slで はrュ(a,ら)がr2(C,d) の原因にな ってお り、

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2

ではrl(a,ち)と リンクに よって類似なrl(a′, 一一1

(4)

8-谷 口道興 ソフ トウェア設計にお棟る知識獲得と仕様獲得支援 対象S2 図1 Winstonの類推原理 対 象 Sl:前提 α1、--、αn一・一一結論 α

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-対 象 S2:前提 β1、--.βnH →結論

β?

図2 類推原理 b′)が成立 してい る。 この とき、Slの因果関係R を援用 して、S2におけ る類似な関係r2(

C

′,d′)杏 推論す る。 W inston は、前提 と結論を因果関係に お け る 原因 と結果 として捉 えていたがJ これを論理的含 意関係におけ る条件 と考 え、確定節を対象にすれ ば、頬推を述語論理 の枠組 みの中 で定式化す るこ とが で きる。有川 (上掲書13)に よれば額推原理 について図2の よ うに明示 し、類比 中の定義、与 え られた対象SlとS2か ら少を求め る方法、その 中 に したが って図2のα

βな る βを推論す るため の操作を与 える必要があ ると結論付 けている。 一方、予測推定型 の類推に対 して、Carbonel15) は問題解決型 の額椎を提 唱 し、従来 の問題解決手 法 と類推 に よるそれ とを統合 して問題解決 を行 う とい うものである。彼は一般 問 題 解 決 器 (Ge n-eralProblem Solver) の特別な作用素 (opera・ tor) として、煩比に基づ く

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一作用素」を導入 す る ことで、類推 と従来 の作用素適用が統合化 で きる と主張 した。Carbonellは また検索 された事 例 の修正 ・適合に関 して、解 の変形類推 (trans・ formationalanalogy)と誘導類推19)(derivatio・

nal analogy) を提案 した。 これ らは、次 の よう に記述 で きる。 325 (1)変形類推 ・・・事例か ら関係の深 い解 を検索 し、新 しい問題状況 の必要条件 を満足す る よ うに 変換 オペ レータを適用 し、解 を徐 々に変形 してい く。す なわ ち、問題解決に よって得 られ る解 その ものに有用 な煩似性が存在す るO (2)誘導類推 ・・・事例上 において解 の誘導過程 を変換 し、問題 の解 を再 び誘導す る ことを基本 と してい るものであ るが、 これは解 を得 るために用 い られ る推論過程上、表面的な事例 の特徴 にはあ らわれない隠れた判断 プロセスの中に有用 な類似 性があ る とい う考 え方 に基づ くものである16)。 こ れは次 の よ うな過 程を とってい るo即 ち、① 何 ら か の手段 で問題 を解 決 しよ うとす る際にはそれ ら の過程において採用 した各段階を記憶 してお く、 ②新 しい問題 に遭遇 して、 それにあ る計画を適用 して解決 しない場合、非類推的方法 を用 いて問題 の解析 をは じめ る。③解析開始後、 問題 の判断過 程が過 去において得たそれ と一致すれば、 その過 去 の問題についてのすべ ての判断過程を想起 して ④ をは じめ るO もし記憶 な しとなれば解 の類推的 変換や② の手法を試みた りす る。④ 想起 された誘 導塀推過程 の各段階について、 その判断が新たな 状況 の もとにおいて も有効か否かを調べ有効 でな い部分についてはその代替案を探す。代替案 もな ければ③ に戻 る。⑤誘導過程全体が新 しい問題 に 適合 した ら、それを次 の枚会 のために記憶 してお く。 これ らの ことか ら誘導類推は、計画や設計 な どの合成塑問題 のモデルに適 してい る といえ る。 変形類推 の適用事例 としては、 W illiams に よ - 19

(5)

-326 長野大学紀要 第17巻第 4号 1996 るTeacbingAssistamt17)(以下 TA と略記)が

ある。TA は過去に遭遇 した プログラムを事例ベ ース (特徴付け られた問題解決事例の集 ま りであ り、成功事例だけでな く、失敗事例 も含まれる) に格納 しておき、新 しくプログラムを作成する際 には、事例ベースか ら過去のプログラム事例を検 索 し、必要度に より修正を加えつつ プログラ ミン グを学習するシステムとい うことが で き よ う。 TAではシステムが 「プログラムを理解」 し、体 系化 した ものを格納 しているプpグラム事例ベー スを持つ ことになるが、「プログラムを理 解」す るとは何を意味す るのかを明確に してお く必要が ある。 この点に関 しては、上原18)の論文がある。 彼に よれば次の3種類の能力が必要であるとし、 同時に TA の動作概要についても論述 している。 3種類の能力 とは (1)ェ ミュレーシ ョン能力 (emulation skill) (2)説明能力 (explanatory skill) (3)類推能力 (analogicalskill)

であ り、(1)は プログラムの仕様が与え られると 作成すべ きプログラムが どのような出力を生成す るか予測可能なこと。(2)は予測 された出力が どの ように生成 されたかを

1

ステ ップ毎に説明可能な こと。(3)はプログラムの仕様が与えられると仕様 と類似 しているプログラムの仕様を発見可能なこ と を指摘 している。 また、TA の動作概要について は具体例を用いて説明 しているが、それは次のよ うな動作過程を採用 している。 (1)類推能力を用いて与えられた仕様 と類似する 仕様を持つ プログラムをプログラム事例ベースか ら検索する。 (2)ェ ミュレーシ ョン能力を用いて、与えられた 仕様か ら予測 されるプログラムの振舞い と類似 し た プログラムの実際の振舞いを比較す る。 (3)もし、予測 された振舞い と実際の振舞いが異 なっていれば、説明能力を用いてプログラムの中 の どのコー ドが誤 っているかを指摘 し、 さらに類 推能力を用いて正確な コー ドを発見する。 これ までに述べてきた塀推では、ある既知の知 識の一部が未知の知識に写像されるとい う定式化 を行 うことであるといえるO この類推 と全 く同 じ 過程を とるものに事例に基づ く推論 (Casebased reasoning)がある。 これ まで、 事例の修正には 煩推が関係することを述べてきた.事例の修正を 行 うためには、いずれに しろい くらかの領域知識 が必要である.使用 される領域知識が経験的知識 に依存する場合、事例に基づ く推論はルールベー ス推論に接近 し、構造的知識に依存する場合は事 例に基づ く推論はモデルべ-ス推論に接近す ると いえる。

3

.

まとめと課題

本稿では、 まず仕様獲得 と知識獲得の技術的相 関について考察 した。要求仕様獲得 と知識獲得 と は明 らかに異なるフェーズである。 しか し、要求 仕様獲得における知識獲得の知見の適用 とい う観 点か ら見れば、要求仕様獲得は対話相手のタスク に関する知識の獲得 とい う共通点がある。知識獲 得の知見を要求仕様獲得に生かすには、両者 とも 対話相手のタスクに関する知識を獲得するものだ とい うアナ ロジに従 う必要がある。 次に、ユーザ要求仕様が完全で、逆に設計知識 が不完全な問題では、既存の設計知識 と欠落 した 知識の間に煩比を探 し出し、その類比か ら既存の 知識を欠落 した知識に適合するように修正す る類 推に よる問題解決が利用可能なもの と思われる。 知識獲得は知識ベース構築方法論 と深い関連があ り、 またエキスパー トが実際に扱 っている問題の 構造を反映 した汎化タスクを組み合わせることも 考慮にいれなが ら、構築方法論の今後の問題解決 の理論的手がか りとしたい。 (たに く小ち みちおき 教授) (1996.1.8 受理) 参考文献 1) Marca,D.A.andMcGowan,C.L∴ SADT

TM:StructuredAnalysisandDesignTechnique

,

McGraw-Hill,Inc.,1988.

2)鈴木健蔵他

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S

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4)上原邦昭:「要求獲得の知的支援」『人工知能学会 誌』、γol.6,No.2,p.171,1991.

5)Chandrasekaran,B.:Generictask in knowl --20

(6)

谷 口道興 ソフ トウェア設計における知識獲得 と仕様獲得支援 edgebasedreasoning:High・levelbuildingblocks

forexpertsystem design,IEEE Expert,pp.23

-30,Fall,1986.

6)人工知能学会 (編):『人工知能-ソ ドブ ッ ク』 chapter7-1,pp.570-592,オーム社 (1990). 7)溝 口理一郎、角所収

:

「知識獲得支援 シス テ ム

(『人工知能学会誌』、Vol.3,No.6,pp.732-740,1988). 8)Kahn,G.,Nowlan,S.and McDermott

,∫

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「タスクオン トロ ジ-と知識再利用に基づ くエキスパー トシステム構 築方法論- タスク解析インタビューシステム MU・ LTISの基本構想

-

」 (『人工知能学会誌』γol.8, No.4,pp.476-487,1993). ll)溝 口理一郎

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参照

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