• 検索結果がありません。

食餌性肥満ラットにおける発芽穀物および大豆たんぱく質含有 低エネルギー食の体脂肪低減効果

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "食餌性肥満ラットにおける発芽穀物および大豆たんぱく質含有 低エネルギー食の体脂肪低減効果"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Ⅰ.緒言 戦後の経済的発展に伴う食生活の欧米化と,省力 化に伴う身体活動状況の変化によってエネルギーバ ランスの不均衡が生じ,肥満人口が増加している。 平成 年国民健康・栄養調査によると肥満者(BMI 以上)の割合は,男性 .%,女性 .%)であ り,男性では 人に 人が,女性では 人に 人が 肥満者といっても過言ではない状況である。 肥満を防ぐために, 日に摂取したエネルギーを 出来るだけその日のうちに消費する必要があり,消 費できなければその分が脂肪として蓄積されてい く。蓄えられた脂肪を減らすためには,運動などで 身体を動かすことでエネルギー消費量を増加させた り,摂取量を減らしたりする必要がある。しかし中 には早く脂肪を減らしたいと考え,極端な食事制限 を行った結果,健康に悪影響をもたらしてしまうこ ともある。また,食品業界ではアミノ酸やカテキン 類などが添加されたダイエット関連商品が多数販売 されているが,それらの商品はただ単に食事の補助 的な役割としての効果しかない。 我々は,複雑なエネルギー計算なども行わずに手

食餌性肥満ラットにおける発芽穀物および大豆たんぱく質含有

低エネルギー食の体脂肪低減効果

曽川美佐子・原 田 晃 子

Low-energy Diet of Pre-germinated Cereals and Soy Protein Decreases Body Fat in

Dietary Obese Rats

Misako S

OGAWA

and Akiko H

ARADA

ABSTRACT

In Japan, people’s lifestyles are diversifying and the obese population has been increasing due to westernization of the diet. We have developed a low-energy meal substitute containing pre-germinated cereals and soybean protein. The present study was performed to elucidate the mechanism by which the test meal decreases body weight and fat during energy restriction using high-fat diet-induced obese model rats.

Obese male Wistar rats were fed w/w% of a high-fat diet ad libitum for weeks. These rats were separated into two groups of six rats each. One group was fed a % casein diet(control group)and the other was fed the test meal containing pre-germinated cereals and soybean protein for weeks. The total energy intake of each group was restricted to % of their previous ad libitum intake. Body weight was measured every other day, energy consumption was measured for hours, feces weight was measured for days, and the fat content of feces was measured in the last week. After weeks of feeding, rats were sacrificed and blood samples were collected for plasma blood assay(total protein, albumin, total cholesterol, HDL cholesterol, triglycerides, glucose, insulin, and leptin).Several organs(liver, kidney, stomach, gastrocnemius, and small intestine)and intraabdominal adipose tissue were dissected and weighed. The carcasses were weighed and frozen at − ℃ until body composition analysis. p< . represented statistical significance using Student’s t-test.

Body weight, intraabdominal adipose tissue, and percent body fat significantly decreased in the intervention group. Along with reduction in body fat, levels of triglyceride and leptin significantly decreased, and feces weight, feces fat content, and protein content in the gastrocnemius significantly increased in the intervention group compared to the control group. It was suggested that intake of the low-energy diet containing pre-germinated cereals and soybean protein was effective in reducing body fat by reducing the fat absorbed by the body while maintaining intramuscular protein content. KEYWORDS: Pre-germinated cereals, Soybean protein, Weight loss, Dietary Obese Rats

Bull. Shikoku Univ. : − ,

(2)

⾲䠎 ᑐ↷㣗䛸ヨ㦂㣗䛾⤌ᡂ

ᑐ↷㣗 ヨ㦂㣗 ⢊ᮎ㻝㻜㻜㼓୰ 䜶䝛䝹䜼䞊 㼗㼏㼍㼘 㻟㻣㻣 㻟㻟㻟 䛯䜣䜁䛟㉁ 㼓 㻝㻣㻚㻢 㻟㻝㻚㻡 ⬡㉁ 㼓 㻣㻚㻣 㻝㻚㻣 ⅣỈ໬≀ 㼓 㻡㻡㻚㻣 㻡㻢 䠄㣗≀⧄⥔䠅 㼓 㻔㻠㻚㻤㻕 䠄㻝㻡㻚㻞䠅 ⅊ศ 㼓 㻟㻚㻥 㻠㻚㻥 䛭䛾௚ 㼓 㻝㻡㻚㻝 㻡㻚㻥 ྜィ 㼓 㻝㻜㻜 㻝㻜㻜 表 高脂肪食の組成 軽に肥満者が減量を行うための食事を目指して, 食置き換え型の低エネルギー食を開発した。今回 我々が開発を目指した 食置き換え型の食事,すな わち,発芽穀物および大豆たんぱく質含有低エネル ギー食(以下,試験食)は,豆乳・大豆粉末や発芽 穀物・野菜粉末などを含み,脂肪としては共役リ ノール酸(conjugated linoleic acid : CLA))∼ )を含

んでいる。大豆に含まれるβ‐コングリシニンには 血中の TG 濃度を低下させ,体組成へも影響を及ぼ すと報告がある)∼ )。また,発芽玄米には血糖値抑 制 効 果) )が,共 役 リ ノ ー ル 酸 に も 体 脂 肪 抑 制 効 果 ) )があることが報告されている。よって,試験 食は,減量を望む人の 食分のエネルギー摂取量を 抑えるだけでなく,血中脂質・グルコース濃度低下 効果も併せて期待できるのではないかと考える。 本研究においては,ヒトへの投与試験を行う前段 階として,食餌性肥満ラットを用いた減量実験を行 い,本試験食の有効性や安全性を確認することを目 的とした。 Ⅱ.方法 .実験動物 動物実験は,「実験動物の飼養及び保管に関する 基準」(昭和 年 月総理府告示第 号),「研究機 関等における動物実験の実施に関する基本指針」(平 成 年文部科学省告示第 号)ならびに「実験動物 の飼養および保管ならびに苦痛の軽減に関する基 準」(平成 年 月環境省告示第 号)の遵守を基 本とし,四国大学動物実験委員会における倫理審査 を経て実施した。 )実験動物の飼育 ⑴ 食餌性肥満ラットの作成期 実験動物として 週齢のウィスター系雄ラット 匹(日本チャールズ・リバー k.k.)を用い,室温 ± ℃, 時間の明暗サイクルの飼育室で,個別 ケージに入れて飼育した。固型飼料(MF)(オリエ ンタル酵母工業 k.k.)と水を自由に与えて, 週間 予備飼育した後,食餌性肥満ラットの作成は, % 高脂肪食を 週間にわたり自由に摂取させることに より行った。 %高脂肪食は,粉末飼料(MF)(オ リエンタル酵母工業 k.k.) gにラード gを混 合して作成した。高脂肪食の組成は表 に示す。そ の間,ラットの体重と摂食量は, 日おきに測定し た。高脂肪食を 週間にわたって投与することによ り,ラ ッ ト の 体 重 は, gか ら gま で 増 加 し た。また,高脂肪食の摂取量は 週間の平均で, ± kcal/日となった。 ⑵ 減量実験期 週間の高脂肪食投与後,対照群と試験群に分 け,減量実験を行った。なお,減量実験のエネルギー 投与量は, kcal/日に制限した。この量は,高脂 肪食摂取時( ± kcal/日)の約 %に 相 当 す る 量である。 試験群に与えた試験食の組成を表 に示す。この 表に示すように試験食は, g当たり kcalのエ ネルギーを持つ。対照群には, %カゼイン食(AIN G)(オリエンタル酵母工業 k.k.)を使用した。こ の 飼 料 は, g当 た り kcalの エ ネ ル ギ ー を 持 つ。対照食および試験食は,粉末に適当量の水を加 え団子状(団子 個は, kcal)にし,毎日 個ず つ 週間与えた。なお,この間のラットの体重は 日おきに測定した。 表 試験食の組成 ― 2 ―

(3)

)ラットの解剖 ラットをソムノベンチル麻酔下(共立製薬 k.k. mg/kg体重)で開腹し,ヘパリンナトリウム(SAJ 特級 シグマアルドリッチジャパン k.k.)入り注射 器で下大静脈より採血した。次に肝臓,腎臓,胃, 筋肉(腓腹筋),小腸,腎周辺脂肪,副睾丸周辺脂 肪および腸間膜脂肪を取り出し,重量を(小腸は長 さを)測定した。 血液は , rpm で 分間遠心分離し,血漿を集 め,− ℃で凍結保存した。肝臓,筋肉,脂肪組織 およびカーカスも− ℃で凍結保存した。 .測定方法 )エネルギー代謝 時間のラットのエネルギー消費量は,小動物用 代謝計測システム(MODEL MK− RQ/ )に て測定した。 )血漿成分 血漿総たんぱく質,アルブミン,総コレステロー ル,HDL−コレステロール,TG(トリアシルグリ セロール),グルコースは,富士ドライケム ス ライド(富士メディカルシステム k.k.)により測定 を行った。 )血中インスリン濃度(ELISA 法) レビス インスリン−ラット T(シバヤギ k.k.) を使用して測定し,Benchmark Plus マイクロプレー トリーダー(BLO−RAD k.k.)で nmの吸光度を 測定した。 )血中レプチン濃度 ラットレプチン ELISA キットワコー(和光 k.k.) を使用して測定し,Benchmark Plus マイクロプレー トリーダー(BLO−RAD k.k.)で nmの吸光度を 測定した。 )体組成(体水分量と体脂肪含有量) 体水分は,冷凍保存したカーカスを斧で細かく砕 き,乾燥機で ℃, 時間乾燥させ,乾燥前後の 重量を差し引くことで測定した。乾燥後のカーカス は,ミキサーで細かく粉砕し,体脂肪含有量の測定 を,Exfat 装置(日本ゼネラル k.k.)を用いた熱エー テル抽出法で求めた。 )糞中脂肪量 ⑴ 糞の採取 ラット解剖前 日間の糞を採取し,蒸留水ですす いでよくゴミを落とした。シャーレに入れて乾燥機 で ℃, 時間乾燥させ重量を測定した。 ⑵ 脂肪量の測定(熱エーテル抽出法,Exfat) 乾燥した糞を細かく粉砕し,脂肪含量の測定に用 いた。糞中の脂肪量の測定は,熱エーテル抽出法で 求めた。 )筋たんぱく質含有量(Lowry 法 ) 筋 肉 .g を 秤 量 し, %水 酸 化 カ リ ウ ム .ml を入れ,沸騰水浴中で撹拌しながら溶解させた後, Lowry法で測定した。 .統計解析 測定値は,平均値±標準偏差で示した。群間の有 意差検定は,JMP ver.ソフト(SAS Institute Inc.) を用いて,対応のない Student’s t-test により解析 し,p< . を有意とした。 Ⅲ.結果 図 に 週間の実験期終了後の体重減少量を示し た。カゼイン食を投与した対照群の体重減少量が 図 体重減少量 ― 3 ―

(4)

.± .g であったのに対し,試験食を投与した 群はその約 倍である .± .g の体重減少が見 られた。表 は両群の臓器重量を示したものであ る。実験期間終了後の臓器重量は両群間には全く差 が見られなかった。 表 は両群の腹腔内脂肪蓄積量を示したものであ る。腎周辺脂肪および副睾丸周辺脂肪において,試 験群で対照群に比べて有意な減少が見られた。ま た,脂肪蓄積量合計値も試験群で有意に減少してい た。一方ラットの内臓脂肪に相当する腸間膜脂肪 ) は,試験群において有意な減少ではなかったが,対 照群に比べて約 %減少していた。 図 は体脂肪率(%)について示している。体脂 肪率(%)は対照群が .± .%と高値を示した のに対し,試験群は .± .%と有意に低値を示 した。また,図には示していないが,両群の除脂肪 組織率(%)を比較すると,試験群で有意な高値が 確認された。 次に血漿成分の測定結果を示す。血漿 TG 濃度を 図 に示した。試験群の血漿 TG 濃度は,対照群に 比べて %程度にまで低下しており,有意な減少が 見られた。血漿総コレステロール濃度および HDL −コレステロールの濃度について,両群では明らか な差は見られなかった(データは示していない。)。 表 臓器重量 表 腹腔内脂肪蓄積量 図 体脂肪率(%) 図 血漿 TG 濃度 図 血漿グルコース濃度 図 血中インスリン濃度 ― 4 ―

(5)

図 は血漿グルコース濃度について示しており,両 群で差は見られなかった。 図 は血中インスリン濃度を表したものである。 血中インスリン濃度は,対照群と比較して試験群で 低下傾向が見られたが,有意な差ではなかった。 図 は血中レプチン濃度について表したものであ る。血中レプチン濃度は,対照群と比較すると試験 群で有意に減少していた。 図 は 時間のエネルギー消費量(ラット体重 g当たり)について表したものである。エネル ギー消費量は,試験群では対照群に比べてわずかに 増加傾向を示したが有意な差ではなかった。 表 は脂肪の見かけの消化吸収率について表した ものである。糞重量は,対照群に比べて試験群で有 意に増加した。また,糞中の脂肪含量も,試験群で 有意に増加した。また,摂取した脂肪と糞中に排泄 された粗脂肪量から計算した見かけの消化吸収率 は,対照群に比べて,試験群で有意に低下した。 表 は筋たんぱく質含有量(%)を示している。 筋肉に含まれるたんぱく質含有量(%)は,対照群 に比べて,試験群で有意に高値を示した。 Ⅳ.考察 本研究では,我々が開発を目指した 食置き換え 型の食事を用いて,食餌性肥満ラットへの減量実験 を行った。食餌性肥満ラットは, 週齢のウィスター 系雄ラットに, 週間の %高脂肪食を与えること によって作成し,その後の減量期間には,試験食ま た は 対 照 食 を ラ ッ ト 自 由 摂 取 時 の %に 制 限 し て, 週間与えた。対照群でもエネルギー制限され ているので減量効果はあるが,さらに試験食ならそ の効果がどうなるかについて検討したものである。 なお,カロリー制限の程度( %),実験期間( 週間)は,我々の先行研究の結果を参考にした ) 今回,食餌性肥満ラットで行った減量実験では, 試験群で体重,腹腔内脂肪蓄積量および体脂肪率が 有意に低下し,体脂肪減少効果が確認された。また, 筋たんぱく質含有量(%)は,対照群に比べて,試 験群で有意に高値を示したことから,試験食投与に より,筋たんぱく質は保持される傾向にあったと考 えられる。 血漿成分の分析では,血中 TG 濃度の有意な減少 図 血中レプチン濃度 図 エネルギー消費量 表 脂肪の消化吸収率 表 筋たんぱく質含有量 ― 5 ―

(6)

が見られた。これは,試験食に添加した大豆たんぱ く質の効果)∼ )が現れたと考えられる。Akahoshi ら ) は,ラットに 週間,共役リノール酸と大豆たんぱ く質を併用して与えることで,白色脂肪重量や腎周 辺脂肪重量の低下割合が増加したことを報告してい る。種々の成分が重なることの相乗効果について も,さらに検討したいと考えている。また,結果に は示していないが,血漿中の総たんぱく質とアルブ ミン濃度を測定し,減量によりラットの栄養状態が 悪くなっていないか検討した。両群において差は見 られず,またその値も正常値の範囲内であったの で,今回のラットによる減量実験は無理のない減量 であると判断できた。 また,血中グルコース濃度は両群において差が見 られなかったが,血中インスリン濃度は低下傾向を 示したので,インスリンの節約効果が見られたと考 えられる。これは,発芽玄米の効果) )が現れたこ とが考えられる。インスリンは膵臓ランゲルハンス 島β 細胞から分泌され,血糖値調節に重要な役割 を持つホルモンである。しかし肥満者では脂肪細胞 から分泌される生理活性たんぱく質であるアディポ サイトカインなどによってインスリン抵抗性を引き 起こし,血中レベルが増加する ) レプチンは脂肪組織から分泌され,摂食抑制作用 やエネルギー消 費 を 増 大 さ せ る 作 用 を 持 っ て い る )。しかし肥満者ではレプチン抵抗性を生じ,血 中レプチン濃度を増加させることが知られている。 試験群のラットの血中レプチン濃度が有意に低下し ていたのは,体脂肪量が減少したためと考えられ た。 試験食投与による抗肥満効果のメカニズムを探る ため, 日のエネルギー消費量と脂肪の見かけの消 化吸収率について検討した。その結果,試験群にお いて,明らかなエネルギー代謝の亢進は見られなか った。しかし,試験群の見かけの脂肪の消化吸収率 は有意に低下していた。よって,今回の試験食によ る体重および体脂肪率の減少は,肥満ラットのエネ ルギー消費量を上昇させたのではなく,脂肪の吸収 阻害によって起こったと考えられた。ただ,試験群 において,脂肪の消化吸収率が %と非常に低く, また便が緩くなっているラットもいた。よって,今 回の試験食に含まれる食物繊維の量は,若林ら ) よって報告された食物繊維量をもとに決定したが, ラットにとっては多量となった可能性があるため, さらに検討したいと考える。 今回の動物実験において,試験食の有用性と安全 性が確認された。ヒトと実験動物の感受性の違いや 被験者実験の困難性もあることから,今回の動物実 験のデータは,ヒトでの結果にそのまま当てはめる ことはできないが,傾向を検討するためには有効と 考えている。今後は,ヒトでの研究を行うとともに, 試験食の組成や味,食材の選択等の検討を重ね,肥 満症食事療法の補助食として有効で安全な食事の開 発に努めたいと考える。 Ⅴ.結論 我々が開発を目指した 食置き換え型の食事の有 効性を検討するため,食餌性肥満ラットを用いた減 量実験を行った。 ) 週齢のウィスター系雄ラットに %高脂肪食 を 週間にわたり自由に摂食させて,食餌性肥満 ラットを作成した。作成した肥満ラットに試験食 ( kcal/日)を 週間投与し,体重および体脂 肪率の減少に及ぼす効果について検討した。 ) 週間の実験期終了後の体重および体脂肪率 は,試験群で,カゼイン食を投与した対照群に比 べて有意な減少が見られた。 )試験群の血漿 TG 濃度は,対照群に比べて有意 な減少が見られた。 )血中インスリン濃度は,対照群と比較して試験 群で有意ではないが低下傾向が見られた。血中レ プチン濃度は,試験群において有意な減少が見ら れた。 )脂肪の見かけの消化吸収率は,対照群に比べ て,試験群で有意に低下していた。 )発芽穀物と大豆たんぱく質に着目した低エネル ギー食の摂取は,筋たんぱく質含有量を増加させ ながら,体内への脂肪吸収率を低下させることに より,より効果的に体脂肪量を低減させる可能性 ― 6 ―

(7)

が示唆された。 以上の結果から,本研究において,発芽穀物およ び大豆たんぱく質含有低エネルギー食の有効性と安 全性が確認された。 Ⅵ.文献 )厚生労働省.“平成 年国民健康・栄養調査結果の 概要.肥満及びやせの状況”.https : //www.mhlw.go.jp /content/ .pdf(入手日: ..). )岩田敏夫, . CLA(共役リノール酸)の抗ロ コモ作用. FOOD Style ( ): − . )岩田敏夫, . CLA(共役リノール酸)の筋肉 量・骨 量 へ の 有 効 性 に つ い て.FOOD Style ( ): − .

)Steck, S. E., Chalecki, A. M., Miller, P., Conway, J., et al, . Conjugated linoleic acid supplementa-tion for twelve weeks increases lean body mass in obese humans. Journal of Nutrition : − . )Rahman, M. M., Halade, G. V., Jamali, A. E., Fer-nandes, G., . Conjugated linoleic acid(CLA)pre-vents age-associated skeletal muscle loss. Biochemical and Biophysical Research Communications : −

)Aoyama, T., Fukui, K., Takamatsu, K., et al, . Soy protein isolate and its hydrolysate reduce body fat of dietary obese rats and genetically obese mice(yel-low KK). Nutrition : − .

)Kohno, M., Hirotsuka, M., Kito, M., Matsuzawa, Y., . Decreases in serum triacylglycerol and visceral fat mediated by dietary soybean β-conglycinin. Journal of Atherosclerosis and Thrombosis ( ): − .

)神原啓文,河野光登,斎藤正実,他, .ダイズ

β‐コングリシニン含有錠菓摂取による血中中性脂肪 値高値者の血中中性脂肪値と体組成への影響,およ び長期・過剰摂取による安全性の検討. 健康・栄

養食品研究 ( ): − .

)Roohinejad, S., Omidizadeh, A., Saari, N., et al, . Effect of pre-germination time of brown rice on serum cholesterol levels of hypercholesterolaemic rats.

Journal of the Science of Food and Agriculture :

− .

)早川富博,鈴木祥子,小林真哉,他, .糖尿病

患者における発芽玄米摂取による糖・脂質代謝への

影響. 日本農村医学会誌 ( ): − .

)Terpstra, A. H., . Effect of conjugated linoleic acid on body composition and plasma lipids in hu-mans : an overview of the literature. American Journal of Clinical Nutrition : − .

)岩田敏夫, .CLA(共役リノール酸)の健康機

能と応用. FOOD Style ( ): − .

)Lowry, O. H., Rosebrough N. J., Farr, A. L., Ran-dall, R. J., . Protein measurement with the folin phenol reagent. The Journal of Biological Chemistry

: − .

)前田和久, .内臓脂肪は運動で減らす.臨床栄

養別冊 特定保健指導の決め手 メタボリックシン ドロームを防ぐ「グッド・ダイエット」エビデンス に基づく栄養と食事: − .

)Sogawa, M., Seura, T., Harada, A., Takashi, N., et al, . Awa(Tokushima) lactate−fermented tea as well as green tea enhance the effect of diet restriction on obesity in rats. The Journal of Medical Investiga-tion : − .

)Akahoshi, A., Koba, K., Yamasaki, M., . Die-tary protein modulates the effect of CLA on lipid me-tabolism in rats. Lipids ( ): − .

)下村伊一郎,松澤佑次, .メタボリックシンド

ローム 病態の分子生物学 初版, 南山堂.東京: − ページ.

)Houseknecht, K. L., Baile, C. A., Matteri, R. L., Spurlock, M. E., . The biology of leptin : a re-view. Journal of Animal Science : − .

)若林茂,里内美津子,植田由香,大隈一裕, . 難消化性デキストリンの毒性学的検討:急性毒性試 験,変異原性試験,ラットの便通に及ぼす影響.食 品衛生学雑誌 ( ): − . (曽川美佐子) 原田晃子)) () 四国大学生活科学部,) アース・バイオケミカル株式 会社) アース製薬株式会社)

()Faculty of Human Life Science, Shikoku University,

Earth Biochemical Co.,Ltd.))

Earth Chemical Co.,Ltd.)

(8)

抄 録 近年,食の欧米化等により肥満者は急増している。我々は発芽穀物および大豆たんぱく質を含有 する 食置き換え型低エネルギー食品を開発した。そこで本研究では,食餌性肥満ラットを用いた 動物実験により,詳細な体脂肪低減機構の解明と安全性を確認することを目的とした。 週齢の Wistar 系雄ラットに %高脂肪食を 週間自由摂取させ( kcal/日),食餌性肥満ラッ トを作成した。無作為に 群に分け,対照群は %カゼイン食(標準食餌 AIN G),試験群は発 芽穀物および大豆たんぱく質を含有する試験食を 週間摂取させた(各 kcal/日)。 日おきに体 重測定後,飼育最終週にエネルギー消費量,糞重量および糞中の脂肪含有量を測定し,絶食後に採 血し各種血漿成分(総たんぱく質,アルブミン,総コレステロール,HDL コレステロール,TG, グルコース,インスリンおよびレプチン)を定量し,解剖時に各臓器(肝臓,腎臓,胃,腓腹筋お よび小腸)と腹腔内脂肪蓄積量を測定した。結果の統計学的検定は対応のない Student’s t-test を用 い p< . を統計学的有意差とした。 試験群では,対照群に比べて,体重,腹腔内脂肪蓄積量および体脂肪率が有意に低下した。さら に体脂肪の低減に伴い,試験群は対照群と比較し,血中 TG 濃度と血中レプチン濃度が有意に低下 し,糞重量,糞中の脂肪含有量および筋たんぱく質含有量が有意に増加した。その他の試験項目に ついては両群間に有意差は認められなかった。以上の結果から,発芽穀物と大豆たんぱく質に着目 した低エネルギー食の摂取は,筋たんぱく質含有量を増加させながら,体内への脂肪吸収率を低下 させることにより,より効果的に体脂肪を低減させる可能性が示唆された。 キーワード:発芽穀物,大豆たんぱく質,体重減少,食餌性肥満ラット ― 8 ―

参照

関連したドキュメント

The accumulation of the local strain in the 823K-annealed specimen was investigated by the ker- nel average misorientation (KAM) approach using EBSD, and it is suggested

Total energy expenditure and physical activity as assessed by the doubly labeled water method in Swedish adolescents in whom energy intake was underestimated by 7-d diet

The distributed-microstructure model for the flow of single phase fluid in a partially fissured composite medium due to Douglas-Peszy´ nska- Showalter [12] is extended to a

В данной работе приводится алгоритм решения обратной динамической задачи сейсмики в частотной области для горизонтально-слоистой среды

危険有害性の要約 GHS分類 分類 物質又は混合物の分類 急性毒性 経口 急性毒性 急性毒性-吸入 吸入 粉じん 粉じん/ミスト ミスト 皮膚腐食性

We recall some facts about points in multiprojective spaces. We will compute the degree of Z by computing the lengths of the stalks of the structure sheaf of Z at each of the points

It is well known that the Castelnuovo-Mumford regularity of a finitely gen- erated Z -graded module M can be defined either in terms of degree bounds for the generators of the

The aim of the present section is to prove that the Orthogonality Logic is complete (for all classes of morphisms) in all locally presentable categories iff the following