序
旧彦根高等商業学校が設立されたのは,1922年(大正11年)10月のことで, 第1回の入学式が挙行されたのは翌1923年(大正12年)4月のことである。つ まり今よりさかのぼることちょうど60年目昔である。以来幾多の俊秀を世に送 り出したが,戦後1949年(昭和24年)に至って滋賀大学経済学部として脱皮成 長し,再出発の日をむかえることとなった。そしてこの再出発と同時に研究機 関誌「彦根論叢」が刊行されたのである。 本論叢は滋賀大学経済学部の誕生と共に創刊されたとはいえ,その学の伝統 は古く高等商業学校時代から引継がれ,一層の発展を重ねてきたものであり, したがって本年学園創立60周年記念論文集を刊行すること,またそれをなしう る力があることには,大きい意味があるといわねぽならない。 私は自然科学を専攻するもので,人文・社会科学には大変うとい。それにも 拘わらず,去る7月に滋賀大学長に就任することが報ぜられてから,各方面の 第一線でご活躍中の方々から,自分は旧彦根高等商業学校出身である旨のごあ いさつをうけた。誠に先輩方の活動分野は広く,しかも優れたものであること が,しみじみと分った。経済学部卒業生の就職率は100%であると学部長から 伺ったが,その理由の一端は確かにここにあるであろう。 さて私は,大学存在の本質は,学問を旺盛に産み出すところにあると考えて いる。世人が大学に一目を置き,また大学人を尊敬するとすれば,正にこの基 礎の上においてであって,他の何ものに基いてでもない。もちろん本論叢の内 容は専門論文であって,直ちに世人(非専門家)の理解を得ることは困難であ ろうが,それぞれ苦心努力された結果の論文が専門研究者の評価あるいは批判 をうけ,さかんな論争がおこり,それによって自然とわが経済学部の活力と学 問レベルとについて,世人の暖かい理解を得るに至るであろうことを信じて疑 わない。ここに学園(陵水)創立60周年を祝し, とを切に願うものである。
その学問業績がますます発展するこ
1983年11月