第
26 回教育システム若手の会報告
-教育システム研究を「見える化」する!-
Reports on the Young Researcher Workshop on Educational Systems, 2015
-
Visualizing the Educational System Research -
大山牧子
1林佑樹
2中谷佳恵
3辻靖彦
4植野和
5アイエドゥン
エマヌエル
2菊池開
6荻野了
2杉本葵
2高林友美
7辻村真輝
2吉良元
6Makiko OYAMA
1, Yuki HAYASHI
2, Kae NAKAYA
3, Yasuhiko TSUJI
4, Kazu UENO
5,
Emmanuel AYEDOUN
2, Kai KIKUCHI
6, Ryo OGINO
2, Aoi SUGIMOTO
2,
Tomomi TAKABAYASHI
2, Masaki TSUJIMURA
2and Hajime KIRA
6 1大阪大学
2大阪府立大学
3東京大学
4放送大学
5東京工芸大学
6
北陸先端科学技術大学院大学
7国際基督教大学
1
Osaka University,
2Osaka Prefecture University,
3The University of Tokyo,
4
The Open University of Japan,
5Tokyo Polytechnic University,
6Japan Advanced Institute of
Science and Technology,
7International Christian University
Abstract: This paper reports on the design, implementation and results of the Young Researcher Workshop
on Educational Systems in 2015. We held the workshop under the theme: “Bonds of Young Researchers on Visualizing the Educational System Research” in Boso Hanto, Chiba. The workshop design based on reflection and consisted of individual work, group discussion and reflection session. Forty-four faculty members and students from nineteen universities/institutes contributed to the presentation and discussion on their own research topics as well as new research conjunction possibilities. The design of the workshop was favorably evaluated by the participants.
1.はじめに
第26 回教育システム若手の会(BosoBoso2015:以 下,本会)[1]が,2015 年 11 月 20 日(金)~22 日 (日)2 泊 3 日の日程で,サンセットブリーズ保田 (千葉県安房郡)にて実施された。大山牧子(大阪 大学),林佑樹(大阪府立大学)がプログラム幹事, 仲谷佳恵(東京大学),辻靖彦(放送大学)が会場幹 事を務め,19 大学・高等教育機関から学部生:15 名, 大学院生:17 名(うち博士課程 3 名),教職員等:12 名の計44 名が参加した。 本稿では,本会の実施報告と成果について述べる。2.実施概要
2.1 テーマ設定の背景
本会の目的は,教育システム研究に携わる学生・ 若手研究者が集い,合宿研究会の形式で議論を深め ることで,参加者個々の研究に対する意識を高め, 視野を広げるとともに,大学・機関の枠を超えた幅 広い情報交換を通じて,教育システム研究の新たな 可能性を見出すことである。 昨年度は,「対話を通じた教育システム研究者の絆」 をテーマとし,教育システム研究における実践・分 析・開発等,多様な視点の体験・交流を実現し,様々 な視点を柔軟に融合した上で横断的に活動できる若 手を育成することが目的であった。そのために,学 生による研究発表を発端として,参加者がグループ に分かれ,それぞれメンバの中から研究テーマを選 出し,メンバ全員でより良い研究となるよう深い意 見交換(討論)を通じた発表を行った。その結果, 参加者アンケートでは,参加者の全てが本会の内容 が教育・研究活動に活きる有意義なものであると回 答し,過半数が最高の評価をつけていた[2]。一方で, 多くの人の研究に触れて議論したいという課題が挙 人工知能学会研究会資料 SIG-ALST-B503-04げられていた。 そこで本会では,「教育システム研究を「見える化」 する!」というテーマを掲げた上で,学生・教員・ 社会人各々が取組む教育システム研究を今一度見つ めなおして多くの人と共有することで,教育システ ム研究に関する意義や強み,障壁などを理解し,今 後の研究遂行に向けた行動指針を協創し合える場の 提供を目的とした。
2.2
プログラム構成
本会は,3 日間の日程で構成される。 1 日目のオープニングセッションでは,自己紹介 など通じて参加者間の交流を深めた。 2 日目は,午前セッションにおいて,自身の研究を 多角的に分析し,メンバからのフィードバックを通 してリフレクションを深める活動を行った。午後は, 午前中のセッションで表れた各々の研究課題をタネ として,意義のある教育システム研究計画をグルー プで協創し,成果発表を実施した。 3 日目は,2 日間の活動のリフレクションを行い, 今後の研究活動の指針を導き出した。そして,本会 の総括,評価を行い,次年度への足掛かりとした。 このように本会では,様々な粒度で教育システム 研究を「見える化」するプログラムを設定すること で,教育システム研究の意義や魅力を積極的に発信 することのできる若手育成を目的とした。2.3
ポジションペーパーの作成
本会では例年,自身のプロフィールや研究・実践 内容をまとめたポジションペーパーを事前に参加者 に作成してもらい,これを冊子として配布して交流 に活用している。ポジションペーパーの項目の基本 は自己紹介と研究概要の紹介であるが,今年度は本 会のプログラムのワークの手がかりを作成すること や,参加者間での意見交換(議論)する上で興味内 容を共有するために,例年の内容に加え,当該研究 において,「誰が HAPPY になるのか」という点を, 研究概要の図に含めるよう求めた。2.4
メインセッションの流れ
2日目のメインセッションは,ポジションペーパ ーに基づいた研究発表(学生参加者のみ)を皮切り に,個人の研究に関するリフレクションとそれを深 めるための共有セッション(前半)ならびに,グル ープディスカッションと成果発表(後半)から構成 されている。さらに,本年度は,2 日目のセッション を踏まえて,自分の研究の指針を導き出すリフレク ションセッションを3 日に設定した。表 1 に,メイ ンセッションの流れを示す。 本会は,一貫して教育システム研究を見える化す ることを目的としているが,セッション 2 の「3 分 間プレゼンテーション」では,予め作成してもらっ たポジションペーパーに基づき,研究概要及び,そ の研究で誰が HAPPY になるのかを明示的に発表さ せることを前提としており,後続するセッションの 下地を作ることとした。また,自分の研究をわかり やすく話すというプレゼンテーションスキル向上も 狙いとした。セッション3 では,自分の研究活動の 根底にあたる研究哲学を見出すために,ワークシー トを用いて,研究方法等の行動的側面と研究の意義 といった理念的な側面の両方をブレインストーミン グすることで,各々の研究哲学を見出すワークを実 施した。その後,さらに深いリフレクションを促す ことを目的に,メンバ(教員1 名・院生 1 名・学部 生1〜2 名【計 3〜4 名】12 グループ)間で研究哲学 を説明・共有させ,フィードバックを得る時間を設 定した。セッション4 では,自分の研究哲学を午前 中とは異なるメンバで構成されたグループ(教員 1 〜2 名・院生 1〜2 名・学部生 1〜2 名【計 5〜6 名】 8 グループ)内で再度共有した上で,「誰(何)を HAPPY にするのか・何が解決されるのか・なぜこの 研究が必要なのか」という研究の意義を明らかにし た上で,新たな研究の価値を創出すべく,教育シス テム研究の研究計画に着手した。セッション5 にお いて,それぞれのグループで計画した研究を 10 分 (発表7 分+質疑 3 分)で発表した。3.グループディスカッションの成果
メインセッション(2)~(5)におけるグループでの 議論結果の概要を以下に示す。各グループのテーマ は,グループ内で議論の上,グループメンバの研究 を含めながら設定されている。3.1 グループ A
タイトル:一生使える e ポートフォリオ ある単元を学習する際に前提として必要な知識を 学習者が修得できていない場合に,その単元を学習 者が理解することは困難となる。これを解決する手 段として,異なる単元間の知識体系をマップ等で可 視化したものが活用されており,個人の知識の修得 状況や前提知識の欠落を知ること,及び推奨される 学習の道筋を提示することなどに役立っている。 そこで本グループでは,従来行われてきた大学の 単元を対象とした研究を拡張し,生涯にわたる様々 な学習の全てをまとめた知識体系を用いて修得知識 の管理を行うシステムの提案を行った。また,このシステムでは,教育機関における知識 だけではなく,職業に関連する知識を加えた体系化 も行う。これにより,将来の夢や自分の好きなこと を見つけられない学生は,学習した内容をもとに役 立てられる職業を知ることができ,逆に自身の夢の ためにどのように学習してよいかわからない学生は, 適切な学習内容やその道筋を知ることができる。就 活生は自身の学習内容が職業にどのように役立つか を PR する際にも活用でき,転職希望者は前職で得 た知識を活かせる職業を探すことができる。また, 保護者や教師等の指導者が,学習者の目指すキャリ アのために不足している知識や,ある単元を受ける ために不足している知識を把握した上で,学習の道 筋を助言することができる。さらに,生涯学習のた めのロードマップとしての活用も可能であり,すべ ての人の学習行為に貢献できるようなシステムを提 案した。
3.2 グループ B
タイトル:学びを変える支援の実現〜グループワー クを題材として〜 近年,学校教育においてグループワーク(GW)を 用いた指導方略が多く採用されているが,教師の経 験が浅いため,GW の進行や指導が困難であるケー スが生じている。また,生徒自身もどのようにすれ ば,他者を意識ながらGW に貢献できるか分からな いことが多い。このような問題を解決するために, 本研究では,①GW 指導経験が浅い教師のファシリ テーションの振り返り支援,②GW 中に置き去りに なっている生徒の発見によるGW 活性化支援,③GW 後に生徒の特徴に合わせたリフレクション支援の機 能を備えたシステムの開発を提案する。以下に各機 能を説明する。 ①:GW 後に,“どのような生徒”に“どのような支 援方法”を取るべきかを教師が把握できるように GW における各生徒の貢献度や性格といったデータ を可視化する。これにより,教師がより効率良くリ フレクションでき,生徒の貢献度の変化とその性格 から,生徒一人一人に対応した“支援方法”を考察 でき,最終的には有効なアプローチを教師が選択で きると考えている。 ②:身体に身につけるデバイスによって生徒の集中 力の変化等をモニタリングし,置き去りになってい る生徒を検出する。フィードバックとして,他の参 加者にあからさまな通知ではなく,「ここで一旦議論 をまとめましょうか」というような間接的なアプロ ーチを採用し,GW 活動の改善をサポートする。 ③:生徒の発言回数やタイミング,視線,ノートの 取り方,集中力といったデータ及び生徒の特徴を考 慮し,生徒にとって次のGW に役立つような有力な アドバイスを与える。 本システムにより,GW における教師の行動の指 標の提案や生徒の特徴を捉えた支援方法を提案する ことが可能になり,また生徒全員が参加可能な GW の実現につながると考えている。3.3 グループ C
タイトル:対話型ロボットを利用した,情報共有シ ステムの提案 本グループは,個人の研究を研究哲学を軸に発表 し,各研究者の研究における共通哲学を見つけると ころから議論を行った結果,「人の心を知る」という 哲学が共通していた。人の心を知る取組みとして今 回提案したのが,他人との共通キーワード・共通点 や,会話の糸口が分からず会話ができなくなり,コ ミュニケーションにおける大きな障壁となってしま 表1 メインセッションの流れうケースを解決するシステムである。現在,SNS な どを用いた情報共有システムが存在している。しか し,本人が意図して発言した情報のみが共有され, 共通キーワードを見つけにくい。一方,通常の人間 同士が話しているような会話の中では,本人の意図 しないキーワードに関しても,他人との共通キーワ ードや共通点を見出すことができる。 我々の提案するシステムは,人間がペッパーのよ うな対話型ロボットと会話していく中で,対話型ロ ボットが人間の発言内容を整理し,データ化および ネットワークを形成することで,情報共有し,他の 友人との共通点や会話の糸口を見つける仕組みを備 える。システムの処理フローを(i)~(vi)に示す。 (i) 対話型ロボットとの会話(対話型ロボットが個人 のデータを聞き出す会話を行う) (ii) 対話型ロボットが個人のデータを整理(例:好き な食べ物・釣り情報・ボケかツッコミか等) (iii) クラスメイトや友達等の対話型ロボット同士で ネットワークを形成 (iv) 対話型ロボットがそれぞれの共通点や会話の糸 口,さまざまなネタを抽出 (v) 対話型ロボットと人間が会話し,対話型ロボッ トは抽出したネタをもとに話す(例:友人の対話 型ロボットから抽出された釣り情報などを自分 の対話型ロボットが使う) (vi) (v)に対する返答を対話者が行う(例:房総半島 で釣れる魚や,餌,ポイントなど) 対話型ロボットと十分な練習ができれば,現実世 界で同様のシステムを使う他人とのコミュニケーシ ョンも円滑に行うことができるのではないかと考え る。また,ロボットとの対話者の予定を管理するこ とで,ミーティングなどへの最適な開催時期をシス テムが提案することができ,次世代コミュニケーシ ョンツールとして期待できる。
3.4 グループ D
タイトル:認知的不協和を手がかりとしたアルゴリ ズム学習支援システムの設計 本グループでは,まず各メンバが取組む研究から キーワードを抽出した。その中の「認知的不協和」 に着目した。ディスカッションを通した,グループ の認知的不協和の理解として,認知的不協和には内 面的な要因で生じる認知的不協和(以降,内面的不 協和)と外面的な要因で生じる認知的不協和(以降, 外面的不協和)が存在するのではないかという理解 に至った。内面的不協和とは,自分が考えて書いた ことと自分の考えていることとを比較した時に起こ るというような,自分の思考と自分の思考に対して 覚える違和感を指し,外面的不協和とは,自分の考 えに対する他人の考えや意見を聞いた時に起こると いうような,自分の思考と他人の思考に対して覚え る違和感を指す。 本グループでは,「認知的不協和」をキーワードに あげたメンバの研究において,これを可視化し,そ れを手がかりに学習者に思考の反芻を促そうとして いる機能,及び「アルゴリズム学習」を教材とした システムの設計を行っているメンバの研究を組合せ, 認知的不協和を外化することでアルゴリズム学習の 理解を支援するシステムを提案する。本システムで は,学習者の考えているアルゴリズムを規格化し可 視化した際に生じる内面的不協和により,学習者自 身の思考の認識を改めさせる気づきを与え,さらに, 可視化したアルゴリズムを他者のものと比較するこ とで生じる外面的不協和により,思考の反芻へと繋 げることを狙いとしている。3.5 グループ E
タイトル:自己肯定感の差による Active Learning における教育格差の是正 本グループでは,自己肯定感,Active Learning を キーワードに議論を進めた。現在,知識伝達型の一 方的な講義形態が取られているが,今後は Active Learning が普及していくことが考えられる。Active Learning では,学習者の主体的な学びにより,問題 の深い理解や問題解決能力の向上が期待される。し かし,自己肯定感が低い学習者はActive Learning を 行う際に意見を出さなかったり,無難な意見を出し たりする傾向にある。このような状況では,自己肯 定感の差によってActive Learning で得られる学習効 果に格差が生じる。そこで,当グループでは自己肯 定感が低い学習者でもActive Learning に積極的に参 加できる環境の構築と,それを支援するシステムに ついて議論をした。 今回の議論では,自己肯定感の形成段階にある小 学生を対象とし,協調学習の形でActive Learning を 行う場面を想定した。このような学習を行うとき, 学習者グループの構成によって意見の出しやすさが 変わる場合が多い。 これを解決するためにシステム は最良のグループメンバを構成する機能を持つ。グ ループを決定するための要素は「自己肯定感の組み 合わせ」と「人間関係」とし,自己肯定感の高い人 と低い人,人間関係では友人同士でグループが構成 されるように,メンバを構成する。提案グループに より,自己肯定感の低い人でも意見を発言しやすく なると考えられる。この学習をグループの制約を変 化させながら繰り返すことにより,最終的に学習者 の自己肯定感が上がりActive Learning に積極的に参 加できるようになることが期待される。3.6 グループ F
タイトル:学習者の特性に応じた自立のための学習 支援システム 教育システムでは,学習者の支援が大きな目標の 1つである。他の学習者が同じように苦しまないよ うに,という開発者の思いから生まれるシステムも 多い。彼らはシステムへの依存ではなく,システム を通した学習者の成長や「自立」を願っている。そ のため,次はシステム無しでも上手くできるように, という姿勢を保った支援が重要である。 更に,現代の教育システムには個人の違いに取組 む姿勢も求められる。教育システムが多様性に応じ たものであれば,より適した形で学習者を支援する ことができるだろう。 こうした意義を実現する教育システムとして,プ ログラミング学習のための進化した支援システムを 提案する。例えばソースコードのサジェスト機能で は,次の目標が見えやすい学習支援を行う。入力さ れたコードなどから本人の特性を考慮し,好みのも の,近い目標になるもの,挑戦的レベルのものを選 択的に提示する。アドバイスや応援も,自立に向け たステップとして捉え直す。特性に応じて優しく現 状を褒める場合もあるが,入力したコードのレベル を推定しているので,学習者内の順位に応じたアド バイス機能により競争心を煽る場合もある。 これらに予定管理などの長期的支援を含めた,総 合的な学習支援システムにより,学習者ひとりひと りがより良く学べるようになるだろう。このシステ ムを「卒業」する時には,学習者が1人でも学び続 けられるようになることが期待される。3.7 グループ G
タイトル:学習システムとユーザのマッチングシス テム 本グループのメンバが重要視している研究の意義 は,「ユーザに使ってもらえるシステムを作る」とい うものである。そもそも学習システムは作成者が想 定した対象ユーザの学習を支援するために考案され たものであり,必要としているユーザがいるにもか かわらず,現状のシステムの多くは世に浸透しない まま埋もれていってしまうのはなぜか,という点が 議論の出発点となった。これに対する一つの理由と して,ユーザが困難を抱えている学習対象があった としても,それを支援するシステムを見つけにくい という現状が問題として挙げられた。もし,学習シ ステムを利用したいと考えるユーザに対して適切な 学習システムを提案するシステムが存在すれば,ユ ーザは自らの学びを促進することができ,また,シ ステム作成者も作成した学習システムを多くのユー ザに使ってもらうことで,その有効性を知ることが できるため,双方にとって喜ばしいのではないかと 考えた。 この要件を満たすシステムを考案するにあたり, システム作成者が想定した対象ユーザに着目した。 学習システムを考案する際には必ず対象とするユー ザ像が存在し,またユーザにも自らの学びを支援す る理想のシステム像が存在するはずである。この二 つの理想像を結びつけるため,学習システムを登録 するデータベースを備えたマッチングシステムを考 案した。システム作成者は,自らの学習システムに タグ付けを行うことで理想とする学習者を登録する。 これに対してユーザは学習したい問題を検索タグと してシステムにクエリを投げることでマッチングが 行われ,ユーザと作成者双方の理想が満たされる学 習システムを提示する。これにより双方にとって望 ましい仕組みを実現しようと考えた。3.8 グループ H
タイトル:ホンヤク!〜研究活動における教員-学生 間の相互理解を助けるモバイルシステムの提案〜 本グループでは,最初に,構成メンバの研究哲学 についてリフレクションを行った。その結果,メン バ全員の共通点として,何かしらの現象や行動に基 づき,データや傾向を「抽出」する試みをしている ことが挙げられた。本グループは,この「抽出」を キーワードに,システムの検討を行った。 大学において,学生が研究活動を進める時には, 指導教員とコミュニケーションをとりつつ行うこと が一般的である。学生は,知識や経験の不足から, 議論の主軸から外れた発言をすることがあり,教員 に混乱をもたらすことがある。提案するシステムが 備える機能は,この時の学生の発話の意図を適切に 教員に伝え,この混乱を防ぐことである。また,我々 の研究哲学は,研究活動の無駄をなくすこととなっ た。 システムの処理の流れは次のとおりである。まず, システムの利用者は,スマートフォンにシステムを インストールしておく。システムは,利用者の電話 機能における通話内容を音声認識し,発話内容から 単語を抽出し,発話傾向を記録する。また,ブラウ ザに入力されたキーワードなども記録する。これら のデータから,利用者の趣味や普段の思考の傾向を データベース化する。これらと並列して,システム は常に発話を認識しており,混乱が発生した時に, 利用者と会話の相手に発話の意図を伝え,コミュニ ケーションの混乱を防ぐためのメッセージを表示す る。グループの討論ではプライバシーに配慮すべきと いう意見があり,会話や行動の流れが認識できない 形式で処理をすれば,現存するスマートフォンOS と 同レベルのプライバシーポリシーが実現できそうだ というアイデアが出た。また,研究テーマが壮大で あるため,全体発表では,関東人と関西人の会話に おいて,関西弁特有の発言の激しさをフォローする 場合をケーススタディとして発表した。