フランスにおける電力事業の公営化(その一) -- 公営化以前の統制制度の進展 --
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(2) 第1章配電事業に対する統制制度. 1.. 統制制度確立への胎動. 2.. 1906年法(配電法)の成立. 3,. 統制制度ー特許制度ーの確立. 第2章. 発送電事業に対する統制制度. 1.. 水力発電の統制制度の確立. 2.. 1919年法(水力法)の成立. 3,. 火力発電の統制制度. 4.. 送電事業に対する統制制度. 第3章. 電力産業に対する統制制度の進展. 1.. 国家統制制度の形成. 2.. 結びにかえて. 第1章 1.. 配電事業に対する統制制度. 統制制度確立への胎動. 電力産業への国家権力の行政的干渉はまず配電部門に対して行われた。 配 電設備を建設するには, 公私を問わず常に逍路あるいは道路以外の土地の使 用を要することから,. 一. つは配電事業者と行政府,. 一. つは配電事業者と私人. との間の諸関係を律すぺき法律上の諸問題が直ちに生起するからである。 た だ, 事実には当初私有地には配電設備を建設できないために, 公道の使用に ついて配電事業者と行政府との関係を律するという問題だけであった。 行政 府が配電上の技術的事由から, 公道使用の許可を余儀なくされる以上, その 配電事業者に対して土地使用に係わる様々の規制を加えるのは当然であると 看倣されていた。 そこで, 配屯事党は1878年の船型に基ずいた泊路使用許可制や1884年4月 5日 の自治休法(la loi municipale)の中の特許制度などによって早くから - 121(881) -.
(3) 規制を受けていたのである。 1) しかしながら, これらの規制制度はもっぱら配電事業をのみ対象とするも のではなく, いわば一般的な行政管理制度が配電事業に援用されていたにす ぎないので, 配電事業やあるいはガス供給事業に固有に発生する行政上の諸 問頌は解決されなかった。 固有の諸問題とはすなわち, 送配電用の鉄塔やガ ス供給の祁管は省轄権の異なる多種類の道路, 土地に亘って建設ないし敷設 されるから, これに対し, いかなる行政主体がいかなる条件においてその許 可を与うべき権限を有するかという問題である。 この問題は特に, 実質的には, 配電事業に先行していたガス供給の導管敷 設の際に重要であったが, 市町村の自治体単位でガス供給の用役が提供され る場合にも, ガス管が公道を占拠するなら, その事業は国が権限を有する道路 使用許可に服することになるのか。 はたまた, 市町村の自治体がレヂ(Regie) ―公有直営事業一ーとしてすでに用役の供給を行なっている中へ, その供 給頷域内の利用者に新たに私営のガス管が敷設される垢合, 公道の使用につ いては国が許可梱を有するものであるのか否か。 といった点である。 現にこの種問題が紐所に発生し, これに対し 1882 年に公共事業大臣の通達 が出された。 その対象は主としてガス管敷設の公道使用許可についてであっ たが, これが導火線となって, 配電事業に対する統制制度の第一歩が印せら れ, そこに一つの方向が打ち出されることとなった。 それは後述する1889 年 の通達となって結実した。. 1882年の通達はガス供給事業者が多数の知事に市町村道と国道, 県道との 交叉点でのガス管敷設の許可を申請したことに始まる。 それというのは, ガ ス照明特許は市町村の地理的範囲に止 まり, 且つそれは市町村の交付によ っ たためであるが, 知事の中には, その申請に許可を与えたものもあった。 こ れに対して通達は, 黙知事がその許可を発行するに先立ち事件毎に中央政府 ―公共事業省一ーの指示を受けるよう要請したのである。 この要請は特許 交付の目的を尊直するという立場に依った。 ll). - 122(882) -.
(4) ところが, やがて電灯が一般に普及するにつれ, 配電のための道路使用の 許可申請が多数頻繁に提出されるに至った。 かかる事態に対処して公共事業 省は公道沿道者のため, 市町村道の沿道者とは異った特殊の制度を設けるこ とは避け, また地方自治体の許可賦与権を無視することを恐れたがゆえに, 知事に対して配電用の公道の使用許可を自治体自体か, あるいはその自治体 の認める特許, 許可被賦与者にだけ与えてよいという決定を行った。 しかし ながら, かかる決定は大分の配電事業者の抵抗を高める結果になり, 配電事 業 者は公道使用に閲し知事の直接裁決権を認めるよう公共事業大臣に懇訥し たのである。 それというのは, 当時すでにガス供給事業が自治体に定着して おり, 大多数のガス照明特許の契約自体に自治体が配電事業者の市町村道の • 使用許可を阻むような, あるいは自治体区域内の国県道の使用許可の利便を 計れないような措置が採られていたからである。 これに応えるぺく内務省, 公共事業省の調査審譲委員会が設磁されたが, この委員会は極めて異質の性格を有する二つの権利概念を峻別し, 特許制度 形成の道を開くことになった。 すなわち, 水あるいは照明の配給特許を認め る権利と, この配給活動に必要な道路使用の許可を賦与する権利の二つの権 利の区別である。 これによって, さきの管轄権の所在の問題は一挙に解決さ れる。 すなわち, 道路の使用許可は当該逍路を管轄する行政当局によって交 付され, その資格範囲は道路の種類によって決まる。 特許契約は特許の対象 を形成する用役のその性質によってそれぞれ職権の異なる行政部門の権限に 属するのであって, 公道がどこに属するものであれ, その資格権限は用役 の性質によって決まることとなる。 さらに,. 許可が単に 公財産(domaine. public)の占拠についての諸条件を規定するだけであるのに対し, 特許は配 給の蚊麻料金を定め. 配給事業そのものを規制するものである。 専実 1889 年 の通達はこれら原則に準拠した。 それによれば,. 一. つは公逍を使用する杞屯市業(entreprise de distribu. tion collective)は全て D 治休特許の対象となる。 特許は料金を定め,. - 123(883) -. 用役.
(5) 供給の諸条件等を決める特許明細嘗 (cahier des charges) を伴なう。 一つ は自治体の管轄外の道路における特許エ頃の工事の建設は県知事の認める道 路使用許可の対象となる。 この1889年通達は電力事業の統制史上極めて意義深いものである。 配電事 業の特許制度とそれ に随伴する道路の許可制度を分立させ, しかも, 配電事 業が自治体特許の下に機能するという方向を樹立したのである。 この原則は 1906年の配電法にも貫徹している。 さらに, 論者によっては, この通達には 特許に服せしめるその理念に早くもセルビス・ ビィブリック (service pub— lie) の観念が登場していると看倣して統制理念の上からも高く評価するも の もある。 U) これには若干の疑問があり, これを採ることは禅かられるが,ヽ)こ の通達が電力事業の統制制度の嗜矢であると見ることは差支えなかろう。 5) ただ, この通達の趣旨は電力配給の特許規制化にあるよりも優れて公財産 管理の行政上の管轄権の配分の問題に対処するにあった。 電力配給の事業は 一般社会の需要の充足の目的で本来行政府の行なうべき事業であり, あるい は行政によって 規 制 さ れ監督されねばならない事業であるとのいわゆるセ ルビス・ ビィプリックたることの理解は存しない。 配 電 事 業 が 共同体利益 (l'interet collectif) を有するという思想すら明確には形成されておらず, 自 治体の行なう直営事業以外には セルビス・ ビィブリック の概念は認識されて はいなかった。 自治体が経営する事業であるがゆえにセルビス・ ピイプリッ クであるにすぎない。 直営化の根拠に配電の セルビス・ ビィブリック概念が 存するわけではない。 この点さきに注脚に示したところでもある。 したがっ て, 共同体利益を具有する配電事業や セルビス・ ビィブリックたる配電事業 に対する統制の理念や方式は未だ確立される筈もなかった。 もっばら公財産 の使用に対する規制や配電に関する技術的規制に止まった の で あ る。 そ こ で, 特許の義務も公財産の使用に対する保障の相対物としての商業上の義務 であるにすぎない。 要するに, この通達による行政統制は公道使用に関する 行政府と電力事業との行政管理上の関係を律することに終始したのである。. ヽ. - 12 (884) -.
(6) °. そこで, セルビス・ヒ ィブリック概念からくる統制方式が法律上確定され ることはなく, 現に電力事業は普通法外の資格を賦与されてなかったので, 電力事業と私人との関係を行政府は律することができなかった 。 し た が っ て, 電源開発や電力利用に際する重大な障害はそのまま残されることとなっ た。いわゆる土地の地役権や 一時占拠権は認められず, 電力事業の建設工事 は 一切公道上以外では施行不能で, 私道あるいは私有地を使用するにはもっ ばらそれら所有権者との協定• 同意を待たねばならなかった。 しかしながら, 電力産業の急速な発展・拡大はまず一方では電力事業の積 極的な保護育成を, 次いで他方では発展・拡大に伴なうセルビス・ ビィブリ ックの規制・統制制度を必然ならしめた。1895年から1904年にかけて二つの 軍要な法案が提出された。7) 前者の政府提出法案は電力事業は聴問後行政審判所の命令に基づき「公益 性の告示」 (declaration d'utilite publique) を受けることができ, これよ って種々の権利を享受することができるという原則を提示した。このことは 「公益性告示」に直結する普通法外の諸権利を電力事業が享受することを意 味する。 行政府の公共事業が具備する土地の一時占拠権や地役権等を電力事 業に援用することである。ただ, ここで特に留意すべきことは, 電力産業は 確かに急速な発展・拡大の途上にあったが, その当時は未だ十分に共同体利 益の性格を呈してはいなかったのであって, それにもかかわらず電力事業の 遅営の中に普通法外の諸権利を保障する公益性告示の概念が導入されたとい う事実である。そのことはなにを意味するであろうか。この法案に関する翌 1896年の陳述書は「配電の供する用役は, それがいかに拡大的であろうと も, ある種の産業家や労働者つまり 一 定範囲の利用者に利益をもたらすにす ぎない。軍要且つ有益な多数の企業に役立つことは大切であるが, 決して全 般的公益性 (utilite publique generale) が問題ではない。」8) といい, こう 言いながら, 同じ陳述書は次のように結論している。. 「これら企業には公益. 性の告示がなければならない。なぜならば他になす術がないからである。か - 125(885} -.
(7) かる強制権の伴なう方法なくしては電力事業は存続し得ないし, その活動的 発展は不可能である」0) ここに法案の提出動機は明白である。 その狙いは電力産業の保護育成にあ り, その方策として通常行政府が公共事業の運営に際して使用する「公益性 告示」の方法を援用することにあった。 結局, 法案は電力事業の実際的な速 営面への配慮から提出されている。 したがって, 電力事業のセルビス. ・. ビィ. プリックたることが認識され, その結果電力事業に公益性告示の権利が認め られるのではない。電力事業の保護育成の銀点が先行し,ためにセルピス ・ ビ イプリックの概念よりも公益性告示の権利賦与が先にあるという, 一般の立 論から見れば逆立ちの状態にあったのである。 しかしながら, それは決して 逆立ちなのではなく, この法案こそ電力産業の初期の発展段階に見受けられ るいわゆる統制制度の典型的な在り方を表現しているということができる。 次いで, 1898年の議員提出法案はその中に非常に両期的といえる内容を備 えていた。 電力の配給はこれを特許制度の下で行なう義務を有するという大原則が初 めて法案の形式で提起され, 特 許制度 の基本的諸原則が明示された。 第 一 に, 公道占拠や公道使用の許可当局は単なる公道使用許可の発行を拒否する ことができ, この公道使用制度を特許明細書と最高料金制を骨子とする特許 制度の中に含ましめることができる。 特許制度はこれに公道使用もすべて一 括し得る。 第二に, 電力事業の運営に必要な最低保障を受益者に賦与するこ とが特許の効力であるが• 他方特許はその保障の対価として受益者に最高料 金制や用役供給の諸条件など公共 (le public) に対するある種義務を課する ものである。 第三に, 特許それ自体が原則として独占を随伴するものではな い。 公共のために自由競争の利益を保守しなければならないからである。 10) いわゆる特許権の排他権はこれを認めない原則である。 しかしながら, 特許 制度は公益性の告示を受けた企業の利便を図って, この原則に一時的な例外 を設け, 独占を容認するものである。 なぜなら, 企粟が一切の戟争から何年 - 126(886) -.
(8) かの問防禦されないのなら, 相当の資本投資とその固定化を行う事業の存続 は極めて困難となるからである。 さらに, 先きの1895年の法案のように「企業」(entreprise) の公益性告 示を主張するのでなく, 「工事」(travaux)の公益性告示を概念し, この公 益性告示は特許制度の必然的帰結であるとした。 公益性告示が公共事業に適 用されるものである以上, この規定によって特許制度が公共事業の運営方式 であるとの確認が行なわれていることが推察できる。 °. かくて, 電力供給は全て特許制度に服することが主張され, ヒ ィプリック °. に対する義務やヒ ィプリックの利益の観点が指摘されていることよりして, 配電市業の公共事業的性格がもはや否定し難いもの となった如くである。 も °. っとも, 配電事業の公共事業的性格が配電事業のセルビス・ヒ ィプリックた ることを直ちに示すものではない。 現に特許制度の原則や性格づけは明確に なりつつあるにかかわらず, 特許規制の理念は依然として電力事業の保護育 成に求められる。 それは法案の陳述告の示す通りである。 「フランスの電力 産棠は弱体である。 行政当局も共に参与するという保障がないならば, 私的 汽本は敢えて危険を冒すことはしないであろう。 この新しい産業に法の支持 を与える時期が来ている」11)と。 電力事業にある種特権を賦与し, その対価 として公共に対する義務を課するという原則, あるいは独占の 一時的容認の 原則が法案の提出理由の具体的表現なのである。1898年の法案は特許制度の 形式上の休裁が整い, その意味で画期的であったが, 特許制度の理念には 「ピィプリック」の概念が荘入されたに止まり, いわばセル ビス・ ビィプリ ック理念確立の必要条件が満たされたにすぎない。 電力事業の公共の利益が認められたとしても, 自由放任の原則を前提とす る限り, 電力事業に様々の特権を与えることこそが公共の利益に応える方途 である。 かくして, 電力事業の保護育成の面が強く意識され, 規制・統制の 面はわずかにその対価として理解されたと見られる。料金設定や用役の供給 条件などの制度が確立されたとしても, その統制制度はセルピス・ ビィプリ - 127(887) -.
(9) ッ ク 理念 と は 表見上無縁 の 保設育成制 度の対価 と し て の性格を も 有す る 。 わ °. ず か に ヒ ィ プ リ ッ ク の 理念 が 生成 し た に 止 ま り , そ れ だ け で は セ ル ビ ス. ・. ピ. ィ ブ リ ッ ク 形成 の 第一段 階を形成す る に す ぎ な い 。 そ こ で は 行政府の積極的 °. な セ ル ビ ス ・ ヒ ィ プ リ ッ ク 理念 に 基づ く 目 的 々 な 規制統制制度 が組織 さ れ る べ く も な い。 注 1 ) A, Sensoy, Le mouvemeut des nationalisations en France, 1952. p. 188. 2 ) 1882年通達の立場はそ の通達の 内容が示す通 り で あ る 。 「行政府は , 市町村に水 或い はガス の供給を行う 特許権会社に課せ ら れ る 諸負担の何 も の も賦課 さ れない 第三者が, 特許会社と市町村 と の 間 に交 わ さ れ た協約の経済性 (l'economie des conventions) を危 く す る こ と を 認め る よ う で あ っ てはな ら な い。」 (E. Bordier et S. Deglaire, Electricite, service public I, 1963. p. 26. ) 3 ) E. Bordier et S. Deglaire, Electricite, service public. I. 1963. pp. 26 -'Zl. 4 ) 特許規制の理念の中に セ ル ビス ・ ビ ィ プ リ ッ ク 概念を見る そ の論拠は次の点に 求め ら れ る 。. 「電力が 一般の利用 の た め に 配給 さ れ る に 至 っ て よ り , 配給者の保. 証す る セル ビス ・ ビ ィ プ リ ッ ク と い う 概念がた と え法文上では示 されな か っ た と し て も , 発電者 自 身が利用 す る 電力 について は何 ら 特別の法規の制定は不必要で あ る と い う に対 し , 電力供給の認可を特許制度に服せ し め る こ と の必要性は 明白 で あ っ た。 か く て, 二つの 通達に は, 自 治体 も し く は特許椒被賦与者の法人が電 力を全ての人に 自 由 に与え る セ ル ビ ス ・ ヒ° ィ プ リ ッ ク を運営す る と い う 思想がす でに顕在してい た の で あ る . J (F. Bordier et S. Deglaire, op. cit., p. 26) し か し なが ら , こ れのみで は セ ル ビ ス ・ ピ ィ プ リ ッ ク 概念の 生成を論証する こ と は 困難で あ る 。 特許制度を最初か ら セ ル ピ ス ・ ピ ィ プ リ ッ ク の管理方式 と 理解 す る な ら ば, 電力の特許制度の導入そ れ 自 体が電力 の セ ル ビス ・ ビ ィ ブ リ ック で あ る こ と を前提と す る こ と にな り , 問題は生 じ な い。 し か し , む し ろ 特許制度の °. 導入の動因 が セ ル ピ ス ・ ヒ イ プ リ ッ ク なのか否かは即断で き な い点に問題が あ る. 一 ので あ る 。 電力の セ ル ビス ・ ビ ィ プ リ ッ ク 概念の存在が特許制度ーー しか も 般. 配電に限局 し た特許制度ーー を説明す る で あ ろ う が, 逆に, こ の 一般配電に限局. さ れた特許制度の 存在が電力 の セ ル ビ ス ・ ビ ィ プ リ ッ ク 概念の存在を立証す る か. と い えばそ う で は な い・ 現に 特許制度は 一般配電に限局 さ れ るだ け で は な く ,. さ ら に他方 で , 特許制度の適用範囲は公道を使用す る 配電事業に限 られ, 公道を 使用 し な い 配電事業は一般に配電す る にかかわ ら ず特許の規制を受 けないのであ る 。 特許制度 自 体がかか る 除外例を設けて い る こ と は セ ル ピ ス ・ ピ ィ ブ リ ッ ク 概. - 12 8(888) -.
(10) 念の存在に関す る 重要な否定的材料を提供す る こ と に な る 。 そ れは特許がその対 象 と して配電そ れ 自 体を全て包摂 して こ そ は じ めて配電 の セ ル ビス ・ ビ イ プ リ ッ ク 概念の存在を確言で き る か ら であ る 。 換言すれば, 配電がセ ル ビス ・ ビ ィ プ リ °. ッ ク において理解 さ れてい る な ら ば, セ ル ピス ・ ヒ ィ ブ リ ッ ク の管理方式 と して の特許制度に おいて配電の 区別は こ れを必要 と は し な い ので あ る 。 む し ろ , 特許 制度の適用が公道使用の有無に依 る こ と に注 目 すべ き で あ り , こ の こ と が当時の 特許制度の公財産管理の性格を如実に示す も ので あ る と 考え ら れ る 。 °. 要する に, 配電の特許制度の生成は即配電の セ ル ピス ・ ヒ イ プ リ ッ ク た る こ と ・. で あ る と の条件がな ければ, 論者の論述は意味を な さ ない。 電力 への セル ビス ・ ビ ィ プ リ ッ ク 概念の導入は電力をめ ぐ る 個別的具体的な契機が作用 す る も ので は な も 国家の経済的役割の拡大 と そ れに伴な う 政治的 ・ 社会的 ・ 行政的な 国家理 念の変容 と い う 全体的理念的な契機を前提 と し な ければな ら ない。 すでに全般利 益の概念は受 け入れ られていた と して も そ こ か ら 虹ち に セ ル ビス ・ ビ イ プ リ ッ ク の概念が理解 さ れ る も のではない。 5 ) も っ と も , こ の通達に基ず く 特許制度が直 ち に実際 に適用 さ れた か否かは疑わ しい. 例へば, パ リ 市は 1889 年か ら 1890 年に か けて 市内を 6 つの セ ク ト ー ル (sec teur) —回線区域ー に分 っ て , そ れぞれ に別個の配電事業者の営業を認 めてい る が, それは依然 と して道路使用許可制度に依 っ て お り , そ の 明細書には 料金そ の他のサ ー ビス諸条件に関す る 義務は 一切課せ られていない。 わずか に配 線の地下敷設が義務づけ られてい る のみで あ る 。 6) そ れ は , お そ ら も 当時の ガ ス 供給の独 占主義に対 して, 配電の 自 由競争主義が採用 さ れた こ と と無縁で は な いであろ う 。 6 ) R . Ginocchio, Legislation et Organisation de l'industrie electrique (Production, transport et distribution) , 1963, p. 258. 7 ) ただ こ の二法案 と も 委員会に付議 さ れた に止ま り , 議 会 で は 審 議 さ れていな い。 し か し, 電力事業の統制理念の進展を後跡 け る に は こ れ ら 法案を看過す る こ と はで き ない。 8 ) E. Bordier et S. Deglaire, op. cit., p. 29. 9 ) Ibid., pp. 29-20. 10) 逆説 的 に い っ て 「独占は公共の利益を保守 し な い 」 と い う 思想 は , 当 時配電に 先行 していた ガス供給が独占主義に依 っ た と い う 事実を考慮すれば, ガ ス 供給の 独占主義の な ん ら かの弊害の経験的反動の現れで あ る と見 ら れ る 。 こ の独 占 の 弊 害に対 し て例えばイ ギ リ ス は配電の公の前営事業一ー公的独占主義一ーを採 っ た き ら い が あ る が (大西忠雄訳,. 「 ジ ヤ ン ・ ル グ ウ , 英吉利に於ける 電力の国家統. 制」(Jean Legoux, l屯tat et l'Industrie electrique en Grande-Bretagne, 1936. ) 電気協会雑誌, 昭和1笈P 8 月 , 94-95頁) フ ラ ン ス は私企業の競争主義 へのい わば復帰を企図 し た如 く で あ る 。. (現に181394'.パ リ 市はパ リ ・ ガ ス 会社一. - 129(889) -.
(11) la Compagnie du Gaz de Paris 一 の供給独 占の方法に よ ら ずに 「発展 と 卒 先の精神を鼓算す る 目 的 を 以 っ て」 (R. Ginocchio, op. cit., p . 258) 配電の競 争主義に立脚 し た 。 ) ガス 供給の独 占主義に対す る反応のいかんが両国のその後 の電力統制の型を分 け る 一つの分岐点であ っ た よ う に思われ る 。. 1 1) E . Bordier et S. Deglaire, op. cit., p . 30.. 2.. 1906 年法 (配電法) の成立. 前節で例 示 し たよ う な 諸法案は特許制度並 びに特許の規制理念の充実への プ ロ ロ ー ダであった。 これら法案が論 議されている間に, 1) 電力事業は共同 利 益 (inter�t collectif) の性格を 具有するものであるこ と 。 これがため , ぁ る種義務と 同 時にある種権利や特典を伴な う 特許制度を設 け ね ばならない と い う 一つの根本原則がその 輪郭を浮彫 り に し て き て い たのである。 フ ラ ンス の配電規制の某本的法律である 1906 年法はその根本原則に根差 し て次のよ う な諸特質を 備えた。 以下それぞれの特質を吟味 し, それを通 して配電法の性 格づ け を 試みる。 {ー). 配電事業の統制制度は四稲に分類された。 1.. 私有地での電線架設に対する知事の認可制度 II ). 2.. 公道での電線架設に対する道路使用許可制度. 3.. 単なる特許制度. 4.. 公益性告示を 伴な う 特許制度. 特許制度の対 象範囲はそれ までの特許法案のよ う な多種様式の エ ネ ルギー 輸送を 含むのではな も それは電力の配給に限られ, 逆に一般配電に限らず 自 給 自 足の祀線網も規制の対 象 と し , ここに初め てすべて の電力配給が法制 の中 に包括されたのである。 し か しながら, 他方では配電法は配電事業の当 事者に前述の各莉制度を選 択する余地を 与えた。 そこで配電法は例 え ば 1889年の法案に比 して 自 由主義 的傾 向を見せているのである 。 公 道 を 使用 し 且つ一般に配給する場合でも,. - 130 (890) -.
(12) そのすべてに強制的 に 特許制度を課す こ と は不適 当 であ り , 場合によっては 道路使用 許可制だけで十分である と した。 その理 由 は陳述害に依ればおよそ 次のようである。 こ の点は 1906年法を性 格づけるに際し恰好の材料となる。 や や要領を得な い き らいはあるが こ こ に要約する。 地上もしくは地下の特定 工事のために公道を 占拠する場合には, すべて 道路使用 の許可を受けなけれ ばならない こ とは 一般 に 理 解 さ れている。 しかしながら, 道路使用 許可制は 道路占拠の諸条件だけを規制し得るものである。 産業家は介在する法制度の 中 で保護を受けるとい う こ とに本来的に執着を示す。 そ こ で, 逍路使用許可 制は一般配給を行わない者に対 し て も適用 さ れ ねばならな い。 さ らに , 1898年の政府法案は公道を使用 し且つ一般配給を行な う 事業には 全て 特許制度を課する強制権を行政府に与えたが, さ き の議会委員会は原則 と し て こ の法制度を認めた上で, 政府案の過度に排他的な諸条件は有効な配 給 ( distribution utile)を疎 外する可能性を有すると考えた。 そ こ で,. 一. 般. 配給の市業 は一般規則 と して特許明細害の規定する義務に服 さ ねばならない としながらも, 諸 々 の例外を認めた。 本委員会は エ ネ ル ギ ー の配給といえど も, 道路使用 許可制度と特許制度との問の択ーを事業者に行わ し める余地が あると考えたのである。 8) と。 まず, 道路使 用 許 可を特許制度の中に含めないその理 由は, 道路使用の権 利は特許の効力 でもなく特許規制の対価とし て賦与 さ れるものでもな く , 法 が本源的に事業活動に認めている権利であるからである。 つ ぎに, 迎路使用 許可制度と特許制度の 自 由な 択ーを認めた理由 は, 行 政 府によって 画 ー化 さ れない有効な配電を可能にするためである。 こ れは今問 わないと し て問 題は以下の点である。 電力 の配給はそれが セ ル ビス ・ ビ ィ プ リ ッ ク であると理念 さ れたならば, それだけで無条件に特許規制の対象でなければならない。 現にそ う 規定 さ れ ながら, 同時に事業 自 体の選択による例外設定が容 認 さ れ, いわば 「事業」 の立場が尊爾 さ れている。 こ れを原則に対する例外の閃係として把え てはな. - 1 3 1 (891) -.
(13) らない。 特許の原則と こ の例外の関係は, 例外を決めるのは常に事業の側で ある以上. 単に原則に対する例外のそ れではな く , 特許規制と事業の自由の 関係に翻訳される。 換言すれ ば, 配電事業の配電の セ ル ビ ス ・ ピ ィ ブ リ ッ ク 性と事業の私的性の矛盾の関係を表わすものである。 配電法は特許からの除 外の措置を採る こ とによ り , こ の種 矛盾をむ し ろ そ のまま容認し た こ とにな る。. 「事業」 の自由 主義原則が 「配電」 の セ ル ビ ス ・ ビ ィ ブ リ ッ ク 的性格を. 規制する こ とにな り , そ の限 り で. 配電のセ ル ビ ス ・ ビ ィ ブ リ ッ ク たる こ と の理念とそ の実践は未完のままに終っている。 一般に 1906年法は配電の セ ル ビ ス ・ ビ ィ ブ リ ッ ク の理念を体現し た と看倣 され得るが, こ れと矛盾的な要素を他而に 内 包し ている こ とを見落してはな らない。 特許規制の運用自体は実質上確立 ざ れ た といえるが, 特許規制の理 念においては大き な破綻を見せている。 こ の段階では配電が・セ ル ビ ス ・ ビ ィ ブ リ ッ ク であ り , そ れなるがゆえに そ のすべてが特許制度において統制を受 けるという論理は全ー的には展開され得ないのである。 (二). 特許制度は単なる特許と公益性告示を伴なう特許とに二分される。 そ. の際, 配電事業の権利 ・ 義務は 「公益性の告示される特許」 の中に おいて理 解される。 陳述書に言う,. 「公益性の告示は私有財 産の上での支柱建設ある. いは通過の権利を賦与する。 対するに公益性告示はある種義務を課す。 と り わけ, 特許契約終了後, 間50年),. 特許当局に事業 ( l'ouvrages) を返還する義務 ( 期. 国または自治休の買収に応ずる義務,. さらに配給料金そ の他の用. 役供給諸条件についての公共に 対する義務を設定する こ とがで きる。j. 4. l. こ. のように, 特許明細書の 内 容となる 「普通の特許」 の権利 ・ 義務を公益性告 示の特許の中に位置づける。 そ れは公益性告示に 係わる諸権利と特許に基づ く 諸権 利 との混同が行 われ た こ との結果である。 しか しながら, 実は 「公益性告示の特許」 は,. 「単なる特許」 が公益性告. 示を申請する こ とによって生ずるにす ぎない。 し た がって, 基本はあ く まで 「特許」 制度に存する。 現に配電法では, さ き の権利 ・ 義務は単なる特許制. - 1 32(892) -.
(14) 度の中で規定されている。 ここにも, 特許に対する十分の理解がな く, む し ろ は な はだ しい混乱が見られるのである。 (三) 配電事業の独 占性が部分的ではあるが初めて容認された。 さ き の1898 年の法案では, 公益性告示を受けた工事には 期 間 15 年の独 占が容認される が, それ以外にはいかな る特許も競争的 な 許可あるいは特許の障害となり得 な いとされていた。 これに対 し, 1906年法は 自 治体が競争会社を優遇 して電 カ 事業を破壊することはある一定期間はで き な いという保障が必要であると の立場を採った。 つまり, 1898年の独 占の 「公益性告示の特権」 的理解に立 たず, む し ろ 一定期間の営業保障という ..:.....般化を布いたことにな る。 ただ し, 小さな 自 治体では過度の独 占禁止や厳格 な 独 占 の制限は一般照明 の特許業者を忌避せ しめる結果とな ること, さらにそれら 自 治体は少くとも 高料金の支払いを余儀 なくされること 5) な どの理 由 で, 動力用. ー. (いかな. る場合も独 占 の対象にはなり得 な い) と照明用 ーー (特許期 間 中独 占 を形成 し得る) との配電を区別 した。 ここに フ ラ ン ス 特有の照明の独 占供給権の容 認という部分的排他権の制度が生れたのである。 かくて, 照明用配電に関 す る 限り, 独 占は公益性告示に依って与え られるのでは な く, 自 治体も し くは 自 治体組合が照明の独占供給権を特許被賦与者に留保する契約を交すことに よって形成される。 このように, 独 占 の容認は競争主義の結果たる困難の克服 な い しは障害の 除去という 目 的 々 な性格と, 照明用配電のセルビス ・ ビ ィ ブリッ ク の性格を その根拠と し た。 元来この競争主義は他業種の独 占 弊害に対する反動であっ たが, 今度はそれが 自 治体の直営化の方向ではなく, やはり私的事業の独占 主義に代え られたのであ っ たが, ただ, し か し , 独 占 容[忍の根拠はセルビス ・ ビ ィ プ リックに求められることとな っ た。 照明用配電にのみ独 占 を容認 し た限りにおいて, セルビス. ・. ビ ィ プ リッ ク の理念が照明用配電の独占制を基. 底において支えたのであるといえよう。 ともあれ, 1906年法により配電事業は公益性告示の利益を受け, 独占を容 - 1 3 3 (893) -.
(15) 認 さ れ得 る 特許契約 に基ずい て セ ル ピ ス ・ ビ ィ プ リ ッ ク を共同体利益 に お い て運営す る こ と と な っ た 。 こ こ に 至 っ て配電 の 特許 制 度の実質上 の 確立 と セ °. ル ピ ス ・ ヒ ィ プ リ ッ ク の 特許理念の 確認が行 わ れ た と い え る 。 た だ, こ の 特 許理念 の 確認が特許制 度を貫徹す る こ と な く , た め に 1906 年 法 は 特殊 の 矛 府 的性格 を 帯 びた こ と は さ き に指摘 し た と こ ろ で あ る 。 註 1 ) そ の間 当時でい う 電力の遠距離輸送技術の発展は 日 進月 歩の状態 に あ り , 経 済的 に も こ の遠距離輸送が保障 さ れ, 送配電の電線網が拡大する に及んで, 許可 権者の工事建設の技術的規制が行われた。 こ の技術的規制は統制史上そ の埒外に. あ る が こ れを例示すれば次の如 く で あ る 。 1泥秒平のデ ク レ _ 電力事業建設工事. の事前届 出 制度を設け, 建設と 運転の技術的規制 ―ー は電力産業の発展に必要な. 自 由活動を前提 と して, 本質的 に は危険な エ ネルギ ー に対する 安全性の確保を意. 図 し た 。 こ のデ ク レのやや 自 由 な規制に対 して, 189岳F法は電信 ・ 電話工事 と は 別 に電力事業の工事建設の諸条件に関する 規制を行な っ た。 • 公道外では 認可や告 示がな く と も電力工事は可能だが, 道路上で の建設工事はそれが属す る 当局の許 可 に よ っ てのみ行われる こ と 。 さ ら に は , 電信 ・ 電話線 と 送 ・ 配電線 と の謁整の た めの両者の諸関係を規制す る こ と な どで あ る 。. 2). 但 し , 既設の電信 ・ 電話線か ら 10m 以内での配電線架設に適用 さ れ,. の場合 に は 認可を要 し ない。. 10m以上. 3 ) E. Bordier et S. Deglaire, op. cit., pp. 33,-.,34. 4 ) Ibid., p. 34. 5 ) Ibid., p. 35.. 3.. 統制制度 一ー 特許制度 一ー の確立. 1905年 法 は 特許制 度 に 例 外を 認 め た 。. 特許 制 度に 服 す る か 否 か は事業の側. の 任意 に 委 ね ら れ , 特 許 の 強 制 適 用 範 囲 は 示 さ れ な か っ た た め に単 な る 許可 制 度 も 存続 し 得 た 。 こ の 併 置制 度 は そ の後約20 年 も 維持 さ れ た が,. 1925年 2. 月 27 日 法 に よ っ て解消 し た 。 こ こ に 特許 制 度 は 名 実共 に 完成 し た の で あ る 。. 1906 年法の規定 し た道路使用 許可制 度は も と. も と 不都合な点が多 々 見受 け. ら れ た 。 許可の 期 限 は 定 め ら れ て お ら ず, 許可取消 し に よ る 撤去 に 依 ら な け れ ば無 期 限 の 道路 使 用 が可能で あ っ た 。 あ る い は , 経営 の対外的 商業活動 に. - 1 3 4 (890 -.
(16) 関 して は, 完全な 自 由 制度が認められていたので公共利益の保護に は 無力 で ぁった。 こ ういう諸点を矯正する観点から, 1925年の改正法に おいて次のよ うな基本的諸原則が確定した。 (1). 許可期限の制限。 道路使用許可の期限は 30年を越 えてはならない 。 ( 改. 正法第 3 条). (2). 許可制度を第二義 的事業に限局。 道路使用許可 は 総 量 lOO KW 以上の. 電力を直接間接に 一般に配給する配電事業の設立に対し て は 交付されない。 ( 同法第 3 条) (3). 許可被賦与者が享有する商業上の自 由の制限。 1906年 法 は 経営の商業. 上の諸条件に 関 し て は何ら触れるところ がなかったが, 電力 供給の義務と最 高料金制が課せられた。 ( 同 法第 4 号) 以上によ っ て,. 一. 1). つは, 許可制度に基づく配電事業は事実上消滅した。 許. 可制の適用範 囲が極端IC 縮少され, それに 該 当 するのは自家用配線の類いで あって, 配電事業は 特許制度に服することになる。 ここに, 暫定的 に 旧 の許 可制度を 尊重 しながらも,. 許可制度の特許制度への 統合が完成した。 二つ. は, 電力供給の義務や最高料金制の特許統制が許可制度にある配電事業に も 適用された結果, 配 電事業 は配電を業とする限り例外を認められない義務に 服することになった。 かくしてここに, 配電事業の 特 許 規 制 制 度 が確立さ れ, それなるがゆえにまた, その中 に セ ル ビス ・ ビ ィ ブ リ ッ ク 理念が名 実共 に貫徹されることとなった。 配電事業統制 は 優れて行政的統制の性格を有し, その具体的表現が特許統 制 である。 したがって, 配電事業統制の進展 はこれを特許制度の完成へのブ ロ セ スの中に把握すぺ き ものである。 この特許制度 は , 本来的に セ ル ビス ・ °. ヒ イ ブ リ ッ ク の管理方式である以上,. °. 「配電がセ ル ビス ・ ヒ ィ ブ リ ッ ク であ. るがゆえに配電事業 は すぺて 特殊の行政統制に服する」 ことによって完成さ れる。 しか しながら, 現実の配電の特許制度は 最初から完全無欠な配電の セ ル ビス ・ ビ ィ プ リ ッ ク に 依らないがために, 特許 制度は種 々 の除外例を認め. - 1 35 (89 5) -.
(17) ていた。 このこと 自 体がまた配電の セ ル ビ ス ・ ビ ィ プ リ ッ ク 理念の存在に 関 する否定的材料である。 か く て, 配電事業統制の進展はまず統制理念=セ ル ビ ス ・ ビ ィ プ リ ッ ク そ れ 自 体の生成 ・ 形成の過程の 中に , はたまた統制 方式 =特許規制それ 自 体の設定 ・ 確立の過程の 中に見な けれ ばな ら な い が. 窮極 的には, 統制方式 =特許規制とその本来的な統制理念である セ ル ビ ス ・ ピ ィ プ リ ッ ク との乖背か ら照応までの統一的把握の中に見出すぺきである。 かか る視点に立てば, 配電事業統制の法制上の進展は 四 つ の進展段階に 区分でき る。 第一段階 配電が公共 利益を具有すると看倣 さ れたとして も , そ れがセ ル ビ ス ・ ピ ィ プ リ ッ ク の理解に発展することはな く , 特許 規制はそ の適用を公 道使用の有無に依 った。 そ のため特許制度は例外を認める部分的制度であ っ た。 しかも , この 例外の決定基準が公道使用の有無であるが ゆえに特 許規制 そ れ 自 体の性格は公財産管理の色調が浪い。 第二段 階. 配電事業は公共のために種 々 の 義務を負い, 公共の利益に おい. て 自 由競争の原則に立つという公共利益の観点は明示 さ れてきた。 したが っ て, 特許 規制はすぺて の配電事業に強制力を有するという思想 も 生れる。 し か し ながら, このように公共利益の理念が確かに形成 さ れている一方に, 配 電の私的事業 の立場 も また強力に存在する。 こ の 「事業の立場」 が積極的で あると, 事業の運営 の視点から 配電の 自 由競争の原則に例外が認 められ, 独 占が容認 さ れる。 あるいはまた, 公共のために負 う べき義務は権利賦与の対 価と して理解 さ れる。 この第二段階には, 特許統制の理念に セ ル ビ ス ・ ビ イ プ リ ッ ク 理念と事業 の立場の二つの要素が併存 して いるが, 事業 の立場は, まず, そ の積極的表 現と しての保護育成の要求 と な って現れる。 も っ と も , 電力産業が発達すれ ば, 殊に配電のセ ル ビ ス ・ ビ ィ プ リ ッ ク の理解は高ま り , 同時にまたそ の発 達への諸陣害は除去 さ れ ね ば な らな く な る。 祀電の私営事業が前提である限 り , 配電の セ ル ビ ス ・ ビ ィ ブ リ ッ ク の理念はむ し ろ 私営事業の保淡育成によ - 136(896) -.
(18) っ て, よ り 高め られよ り 確保される。 ただ, 特許統制がこの保護 育成の理念 に導かれる と ころに, この段階の特許統制制度の限界がある。 特許統制はあ くまで セ ル ピ ス ・ ビ ィ ブ リ ッ ク の理念に依 らなければならない。 配電事業の 保護育成はその枠 内で保障 さ れるべ き も のである。 第三段階 配電事業は セ ル ビ ス ・ ビ ィ ブ リ ッ ク であるがゆ えに それに よ る 義務に服 さ ね ばならない。 独 占 の 容認 も 配電が セ ル ビ ス ・ ビ ィ ブ リ ッ ク であ るがゆえに行われる。 ここに セ ル ビ ス ・ ビ ィ プ リ ッ ク の統制理念が確立する。 しか しながら, 他面に私営事業 の 自 由主義原 則が払拭されず, 「事業 の立場」 がその消極的表現 と しての特許制度の例外制度 と な っ て現れる。 1906年法が それである。 そこでは特許制度は依然 と して部分的特許制度に止まる。 第四段階. 配電事業は セ ル ビ ス. ・. ビ ィ ブ リ ッ ク であるこ と , したが って何. よ り も すぺての配電事業 が公共統制に 服する。. 「事業の立場」 は公共統制の. 範囲において保障される。 いわ ば, 特許統制が その理念 と 方式 と の本来的な 在 り 方において制度される。 1925 年改正法は こ の段階に位置づ けられる。 ll) 注 1 ) A. Sensoy, Le rnouvement des nationalisations en France, 1952. P. 188. 2 ) 配電事業が セルビス ・ ビ ィ プ リ ッ ク で あ る た めには , 配電そ れ 自 体が共同体の 集団的需要を充足 さ せ る だ け に社会化 されてい る こ と が必要で あ る 。 し か しそれ だ けでは配電の社会公共的性格が導 き 出 さ れ る にす ぎない。 実は, 国家の経済的 役割の拡大 と そ れに伴な う 政治的 ・ 社会的 ・ 行政的な 国家理念の変容 と い う , ぃ わば 国家機能の拡大と そ の承認が条件で あ る 。 し たが っ て配電事業の セ ル ビス ・ ピ ィ ブ リ ッ ク 理念を論ずる に 当 っ て, 実は セルビス ・ ピ ィ プ リ ッ ク 概念の そ れ 自 体の生成発展の歴史をふ ま えていな ければな ら ない。 別の機会に展淵す る 所存で ある。. 第2章 1.. 発 送電事業に対する統制制度. 水 力 発 電 の 統制制度の確立. 水力 発電に対する行政統制は, 当初水の 一般法及びそれの一部を修正 し た. - 1 3 7 (897) -.
(19) 1898年 4 月 8 日 法一ー 「水制度に関す る 法律」 の規定するところ に依った。 しかしながら, これら法律はすべての水利用 を規制範囲とす る ので, 水力 発 電は水力利用の 一部として取扱われていたにすぎない。 それだけ に, 水力発 電所の設立ならび に そ れに附随す る その他構築物の建設にはかなりの不都合 は免れ得な かったのである。 しかもと り わ け , 水利用の規制 が河川の性質に よって異るという フ ラ ンスに特殊の制度のためにな お一掻の不都合を極めた のであった. 航行可能の公有河川 の利用ー一例 えば落差, 引 水路の工事など 一ー には河 川及び河床が公財 産であ るため県知事もし く は, 行政審判所の認める 引 水特 許を必要と した。 しかし, 実はこの 引 水特許の取消しは, 行政審判所が公共 の安全のため, あるいは航行に極めて 不便である場合以外には こ れを行わ な いとしていたにかかわらず, 引 水特許 そ れ 自 体は単なる認可であり一時的な 許可でしかなかった。 1) しかし問題はむしろ他方の非公有河川 を利用する場合である。 非公有河川 は, 1810年の鉱 山法に より , その河床は 沿岸土地 所有者の所有権に属し. 旦 つ その河水はかれらに使用権が認められるという一つの共有財産であ つたか ら, ll) 発電施設の建設は水利用に関する諸権利が取得される場合にのみ 一— つ ま り沿岸土地の所有権あ る いは水利用権の譲渡がな された場合にの み ―― 可能なことであった。 か く て, 水力発電事業の運営は沿岸土地所有者やその 他樅利者の意志にまった < 委ねられ, こ こ より ダ ム の コ ックス (ba rreurs de chute) 8 ' た ち の 投機的行為が蔓延 し• 投機家たちが横行 したのであった。 にもかかわらず, これらは放置されたままで, 法の規定する裁定権すら制度 されていなかったため, 発電事業者は多数の 沿岸所有権者 と そ れぞれに契約 を交わさ ねばならないばかりでな も 単に投機的に 沿岸土地所有権を 取得す る ダ ム の コ ックスたちの 暗躍. ,l). を許して,. さらに困難な 状況に立っていた. のである。 かかる情努を 背景にして発電事業の育成とそ のための保護方策として, 発. - 1 3 8 (898) -.
(20) 電事業に固有の水利用 の規定が要請され る に至った。 それがため, 1898年の 配電規制法案と同時に 問題提起 6) されて以来, 一連の政府法案や議案が多 数に上程されたが, 少くと も 第一次世界大戦までの提出法案には お よ そ二つ の立場が見られたのである。. 一 つは土地所有者の財産権を重. く 評価 し , こ れ. に対する国家の干渉は最少限に止めるとするいわゆ る 自 由主義原則に依拠す る立場, 二つはそれとはまった く 対照的に発電力は公有あるいは公益の観点 か ら 管理され, か く て国の特許規制を受けるとする国家統制主義の立場であ った。 しか しながら, 第一次世界大戦までの も っと も 新 し い 1908年の法案に お い て も , 1889 年の初期の配電特許制度 も そうであったよ う に, ti) 認可制度と特 許制度の併 置制が提唱されてお り , そ の対象範囲は公有の河川に設備される ダ ム に限局されていた。 こ の こ と は発電事業の行政的統制が, たとえ 水利用 の規制の改正がいかに痛感されていたとして も , も っと も 障害であった非公 有河川での発電事業に も 適用 さる よ うな水力規制の大改正とい う 段階には未 だ到達 していなかった こ とを示している。 水力発電はす で に 相 当 の重要性を 有 していたにかかわらず, こ れに対する行政的統制の思想は 自 由主義原則を 基調として極めて初期的な特許制度の枠 内 にあった。 ま してや, 仮りに発電 事業の国家管理的思想がすでに生成していた と して も , それは単に一つの主 義と しての主張で し かな く , 全河川 の国 家統制主義の方向はなおのこ と具体 問題とはなり得なか っ たのである。 公有 ・ 非公有をすべて含 む全河川 の囚家 統制の立場が具体化されるには第一次世界大戦を待 た ねばならなかった。 注 1 ) E. Bordier et S. Deglaire, Electricite, servirce public, I. 1963. pp. 95 -96. 2 ) Conseil economiq ue du Travail de Paris, La nationalisation des forces d'energie electrique, Les Annales de la Regie Directe, Mars Octobre, 19'20. p. 196. 3 ) E. Bordier et S. Deglaire, op. cit., p. 96.. 4 ) かかる 投機的行為がの ちの191硝こ法提出 の一つの有力 な動機であ る と して, 法 - 1 3 9 ( 899) -.
(21) 案報告者 レ オ ン ・ ブ リ エ (Leon Perrier) は そ の模様を次の よ う に報告 してい る 。 「 コ ッ ク ス はダム の設直が検討 さ れ る 時 に は そ れよ り 早 く 該当する地域の没岸. を数メ ー ト ルだけすでに入手 し て お っ た り • あ る いは, それに関係す る 沿岸者の 権利を取得 して お っ て , 発電業者 に と って大変な障害 と な っ た。 発電業者はかれ. ら コ ッ ク ス の 出 す途方 も な い条件を呑むか, 発電所の建設を断念するか. いずれ かを選ばねば な ら な か っ た 。 そ の 後 ま た , 投機屋の介入の仕方が変 り , かれ ら は 「客引 き 」 (P isteu r) に転 じ た 。 ダ ム の利 用 に必要 な一切の権利を集注 し . それ らを法外な値で ま と めて売 り つ け る と い う よ う に な っ た。 こ の よ う な費 用 は それ 以前の妨害の場合 と 同 じ よ う に厖大で あ って, 大多数の発電所は死量 と し てこ の 種費用を負担 し て き た の で あ る 。」 E. Bordier et S. Deglaire, op. cit., pp. 96. -r.n.. 5 ) 18碑の配電規制法案の上程理由の 中で同時に エ ネ ルギー生産に関す る 法律の 必要性が初 めて強調 さ れた 。 「 エ ネ ルギー生産に充て ら れ る 諸工事の建設につ い て は ,. 一. 般に非常 に複綜 し. た諸利害が絡み合い, こ れ ら 工事の公益性は特別法 に よ っ て しか告示 さ れ ないで あろう。. ………………. こ れ ら 工事に公共事業の性格を認め る 手法を与える 組織的. な法律は, われわれが今 日 こ の エ ネ ルギー の輸送 と 配給を容易 に す る た め作成す る 法律 と 同 じ有用性を具備する も の で あ る . J E. Bordier et S. Deglaire, op.. cit., pp. 30--31.. 6 ) 本稿, pp. 122-123.. 2.. 1918年法. (水力法) の 成立. 第一次世界大戦の勃発 に よ っ て 水力 発電力 の 増 強 は フ ラ ン ス に と っ て 緊急 且つ重要 な 国 家産業 政策の課題 と な っ た 。 も は や議会は電源開発に積極的な ら ざ る を得な い。 こ と こ こ に 至 っ て , ま ず 1916年 に 議員法案が上程 さ れ た 。 そ こ で は , 公有非公有の河川 の 区別が撤廃 さ れ , 水力 は す べて公有物(Doma nialite publique) であ り ,. 水力 発電事業 の 国 家 の 統制 • 干渉は こ の 原 則 に. 基ず く と い う 電力 国 家統制 の立場が採 ら れ た。. こ れ に対 し,. 翌 1 917 年 に 議. 員 , 行政官, 業者代表, 法律専門家を構成員 と す る 水力 議会特別委員会が設 醤 さ れ,. こ れ を 中 心 に 政府提 出 法 案 の作成が行われ た 。 こ の 法案が1919年 7. 月 10 日 に成立 し た 「水力 法」 で あ る 。 水力 発電 の 固有 の 法制 度の制定は も は や 時間 の 問題で あ っ た が, そ の 内 容 - 1 4 0 (9 0 0 ) -.
(22) そ の ものはやはり第一次大戦がこれを規制したのである。 そ の限りで第 一 次 大戦は水力 法成立の決定的な背景をなしたと いえる。 しか し, だから と い っ て, 水力 法は単に軍事 目 的あるいは経済回復 目 的の暫定措 證である と 規定す ること はで きない。 そう規定するには水力 法は余りにも包括的であり且つ体 系的であ った。 水力発電の統制はそ れが具有する 「公益性」 (utilite publi. que) に基ず き特許規制に服するこ と が確定されたのである。 その限りでは, 第一 次大戦は水力法成立の直接的契機をな したのではな \ , む し ろ そ れは水 力発電の 「公益性」 理念 それ 自 体の形成の直接的契機をな したと いえよう。 事実, 水力法に関する議会報告者 レ オン・ プリ エ は 法の成立動因や法の規制 理念に関しておよ そ 次のように陳述している。. 1916年の水力利用法案は水力の公有性を確認し, 国家の千渉権は水力の公 有性に基ず く と 看倣した。 しかし, かかる原理は 一般の法律家の認める と こ ろではない。 公有 (Domaniali給 publique ) と いう概念を大革命の際の種々 の原文から導 き 出 そ う と す る のだが, (地下, 道路, 河川 等は国民財産 ( Pr. opriete nationale) に属する と いう大革命の原則は 1810 年の鉱山法により否 定されたため, ある種の立場からこの原則への復帰が叫ばれていた=堀 田 ) しかしこの概念を炭鉱や水力に適用する と いう観方は何人も こ れを行な っ た こ と はない。 革命時には, 問題は公有 と 私有 と を 区別する こ と ではな く , 国 民の公有物 と は何かを規定する こ と であ っ た。 民法にも Domaine public の 用語はあるにはあるが, それは, 今いう国民の公有物 と いう Domaine natio. nal の 同意語 と してである。 民法の公有物は教義 と か判例 と か具体的な技術 的意味はなんら 有 してはおらない。 その上, 国家の干渉は公有物の管理 と い う根拠に依るよりも, 干渉される対象が公益性を具有 しているこ と から正当 ずけられる。 水力発電の開発が フ ラ ンス経済の発展に と っ て欠 く べからざる ものである以上, その開発をで きるだけ容易にするために国 家干渉が容認さ れる。 か く て, 電源開発を容易にするこ と が課題なら, 国家権力の役割が決 定されるの 比 河川 の重要性やそ の法的性質によ っ てではな く , 水力施設の. - 1 41(901) -.
(23) 璽要性 と そ の 目 的に依っ て 決定される。 1) こ のよ う に, 水力法は水力の公有 性を否定し, JI) 電力 それ 自 体の公益性を認識して,. それに基ず く 積極的国家. 干渉の立場に拠った。 か く てまた, 水力法は 次の某本的諸原則に立脚 し たの である。. 1.. 水力の利用 はすべ て公権の干渉に服する。 公有河川の場合には, と の. 公権の干渉は国家行政が公有地の保護とその維持を任務 とする以上そのまま 現行の制度からも容認されよう。 非公有河川の場合には, 公権の干渉は公益 性によって正当 化される。 全般利益が沿岸居住者や 沿岸土地所有者の諸権利 を制約せ し め る。 8 ). 2.. 水力発電の設備化と速転の許可, 特許の諸条 件は公権が こ れを決定す. る。 諸条件の決定は発電市業 の 目 的及 び , 水力 発電 設備の軍要性に応 じて異 なる。ill. 3.. 特許権の賦与は通常の公共市党の特権 をすべて保防する。 この特権は. 1810年の鉱山法とほ ぽ 同様であり, 地役権は もちろん , それだ けで は十分で ない ことが立証されれば, 私有地の強制収用権も賦与され得る。 これには公 益性告示の手続 き を経なけ ればならな いが, そ の際国 家の経済的利益 (l'int. eret 如onomique de la nation) がそ れを正当 ずける。 か く て, 収用権の賦 与 に は厳密な法基準は存しな い 。 遂行さるべ き用役よりも開 発の便宣のため に収用権は賦与され得る。 4,. かか る 地役権 や収用権を保障される特 許権被賦与者はその対価と して. 国 家が水力 開発の成果に参加することを認め ねばならない。 買収制度, 特許 期限の限定, さらには設備化水力の政府の 自 由 処分権, 国家, 地方公共団体 の上位利益 (les interets superieurs ) の優 先権が確認される。Ii) 以上の諸原則を手掛りと して水力法の立法化の動 因とその中 に盛られた統 制理念を探討することがで き る。 水力発電による電力 供給は, 直接的には第一次世界大戦下の軍需用, ある いは般後の経済再建の産業用の エ ネ ル ギー 需要の増大に刺激されて, フ ラ ン. - 142 (902) -.
(24) ス の産業経済活動にと っ て 不可欠の存在とな っ た。 当時石炭資源はすでに枯 涸状態を 呈しており, 他方では水力 発電の利用 率は極めて低率の状態であ っ た。 0) 水� 発電の開発は石炭不足を 補填す る だけではな く , フ ラ ン ス 経済の 迎命が賭けられていたのである。 配電が優れて地域社会的な公益性 を具有す るのに対 して, 水力 発電は国民経済的な公益性を具有するも のとして国家資 源の性格 を顕著に示すこととな っ た。 本来国民経済の公共性を代表しこれを 休現する国家 は そ れに無関与,. 無千渉ではあり得ない。 か く て, それがい. かに私企業によ っ て 企業と して経営されていようと も , •水力 発電の事業は国 家の公益性を具有す る との確認を行わねばならない。 この公益性の確認は 水 力発電の開 発を 増進させ, 水力 発電の具有する公益性を澁足させる こ とを命 ずる。 か く て, そのための具体的方策として, 本来公共事業に固有の諸特権 (地役権, 強制使用権, 強制収用権) を私企業が行なう事業に も 援用した り , さらには優先的補助金交付,7) 資本出資な どが与えられる。. したが っ て, こ. こにい う 因家千 渉とは電源開 発の諸障害を 除去して その開 発 と 連営をより容 易にす る とい う 限りでのそ れであ っ て, 国家の干渉は ま ず特権賦与の形とな って現れる。 しかし, 他方でかかる方策は本来公益性を満足させるために策 定される も のである以上, いつで も 将来の公益性の要求に応 え, これに従属 することが課せられ, そこに公益性の確認に基ず く 国 家管理的統制が法の下 に準傭されるこ と となる。 水力 発電を私企業が 運営する限り, 特権賦与は私 企業保護とな っ て現れる。 けれ ど も 他面で, 国 家は国民経済の公益性の名の 下に その私企業活動 を統制, 指浮しなければならない。 しか も その統制はい きおい産業経済的統制となる。 か く て, 水力 発電の国民経済的公益性に導か れた国 家管理的統制が, 1919年法 (水力 法) の統制理念を成すと規定されよ う。 しかるに, 統制理念はと も か く も 現実には, 統制の国 家竹理的性格が統制 内容や統制手法 を全ー的に規制していないのである。 水力 法は発電事業者の 権利をすべて容認し, その利益を擁護したと極言され得る程にその内容と手 - 1 4 3 ( 903) -.
(25) 法は水力発電事 業の保護育成の側面が頗る顕 著で, 対する義務や統制の側面 は脚注 G) に見るように質量共に微々たる も のといわ ざるを得ない。 ただ, そ れは単は私 企業の資本援助 や私企業と い う こ と のため ではない。 国家の産業 政策から出た発電事業の保護育成のため であ っ た。 すなわ ち, 国 家に と って 発電事業の産業経済上の公益性 を 満足させるこ と が急務の課題 で あり, 且つ その事業が私 企業に依ることが前提である限りは, 当時ようや く にして長距 離送電と送電研繋が施設さ れたと い う 程度に水力発電事業が未だ開拓の途上 にある以上, その段階にあ っては国家は何より も まず国民経済的な公益性に 奉仕せしめ得るまで水力 発電の私 企業を援助して, これ を 国 家の公益に役立 つだけの水準にま で 引 上 げ ねばならない。 い き お い国家の産業経済の政策的 見地から発電事業を行な う 私 企業の保艘 育成を 図らねばならな く なる。 これ こそむし ろ 初期の段階での国 家の統制 の経済的機能であると規定で き よ う 。 対するに, 統制の側面が微々たる ものであるの は国 家が水力の公有を確認 したのではな く , ましてや水力発電の公営を 宣言したので は な い と い う 事実 に拠 っ て も 説明 され得る。 国家はあ く ま で水力及び水力利用の公益性 を確定 したにすぎないのであ っ て, したが っ て, 発電事業の持続的 , 制度的な国家 管理的な洒営や統制は法的措置 と して租極的に留保 さ れてはおらない。 水力 の公益性 を確認したに止まる水力法を 以 っ て フ ラ ンスの水力発電は国家管理 化 ―ー いわゆる エ タ テ ィ ザ シ ョ ン (Etatisation) されたと いう観方は成り立 たない。 か く て, 水力法第一条は水力発電の 国家 管理的傾 向 を 暗示するかの 如 く であるが, 厳密にい えば水力法は水力の国 家管理の方 向 を 宣言したので はな く , 水力の国家資源的性格を規定したにすぎない。 さ らにはまた, かか る国家管理的性格を 立証するような 国家の経営参加は実は 保 護 ―― 資 本 出 資, 補助 金 交付 一ー に対する対価として消極的 且つ個別的であ ってそれ以上 の積極的且つ全 体的な意義を持 っていない。 か く して, さ きの水力法の統制理念は 国家管理的統制にあるとの規定はこ こで撤 回を余儀な く さ れる。 かかる規定では 水力法の現実の統制 内 容や統制. - 1 4 4 (904) -.
(26) 手法を十分に説 明 し得な い 。 こ れを理念からの現実の歪み として把握す る こ ともできない。 なぜならそ の統制理念の規定そ のものが水力 発電の国民経済 的 公益性の確認の論理的帰結として導き出され る にす ぎず, 水力 法自体がそ の統制理念を明確に してい る のではな いからであ る 。 そ こ で, 水力 法は水力 発電の公益性の確認に基ずきながら, 特許規制と保護政策をその基調とし, 消極的, 個別的な国家管理の立場に拠っ た と規定すべきであ る 。 国 家統制の 一つの形態であ る 特許制度にしても, 国家統制の一 つの根拠であ る セ ル ビ ス ・ ピ ィ ブ リ ッ ク の理念にしても, 法施行後ほ ぽ十年を経てその完成を見 た 程 であ る 。 ましてや, 水力発電の国民経済的公益性と発電事業の私的経営性と の不一致が現われ, 公益性を損わな い た め私 的経営性を制約す る という国家 管理的性格を有す る 純然 た る 事業統制が実際に制度され たのはその後十数年 を待 た ね ばならなかったのであ る 。 第一次世界大戦を転機とす る 国家の経済的機能の増大と産業用エ ネ ル ギ ー の需要増加それ自体が水力 法に産業政策 的 性格をもたらし た大きな 要 因であ っ た 。 8) さらにかか る諸事象を背景として, 水力 発電それ自体は未だ揺藍期 を脱し得なかっ た こ と, さ り とて国家は水力 発電の国家管理的統制の意志を 有 していなかったことなどから水力 法に盛られた統制理念は国 家の産業経済 政策の立場から私的発電事業の保護育成を行な う ことにあっ た と い えよう; 水力発電統制に おけ る 国家管理的統制と私企業保護育成との併存は表見的に は統制の程度の問題として映 る が, 本質的にそれ自体矛盾を形成す る 。 フ ラ ン ス ではこの矛盾は私企業の保護育成を図 る ことによって温存され, 水力 発 電統制は媒介的, 間接的統制の性格を帯 び た のであ る 。. 注 1 ) E. Bordier et S. Deglaire, op. cit., pp. 切�99. 2 ) 水力は 国家に帰属する 国家財産で あ る のか否か。 水力法は水 と水のエ ネ ルギ ー の法的概念を分離せ し め た も のの, 水のエ ネ ルギーの帰属については, 立法府で も 「国民資源」 「全般利益あ る い は 国家利益の資源」 「公有物」 等 々 極めて曖昧で あ っ た し , 水力法 も 明記 していないのであ る 。 し か し 「何人 も 国の特許 も し く は 許可な く し て は … • •• 水力を利用 し得ない」 (第 1 条) と い う 禁止の形式で水力が. - 145 (905) -.
(27) 国家に帰展す る こ と と な っ てい る 。 ただ, 法律的に は解釈の分かれる と こ ろ の よ う で あ る が, 水力法は 191 辟Fの水力 を公有物 と した議員法案を否認 し た と こ ろ に 立 っ てい る こ と も 事実で あ る 。 3 ) 「何人も 国の特許 も し く は許可な く しては, 分類の如何にかかわ らず潮力, 湖 沼水力 ま た は河川水力を利用 し得ない も の と す る 。 ただ し, い か な る 特許, ま た は許可 も電源開発の行わ れる 地方に お け る共同 の 利益を代表す る 各県 々 会の事前の意見を経な ければ与える こ と は で き な い 。 」 (水 力法第 1 条) こ の条文の示す如 く , 水そ れ 自 体 と 水の エ ネ ルギー が法的 に分離 さ れ, 水 エ ネ ルギーの利用権は従来の沿岸土地の居住者や所有者 に は認め ら れず水 エ ネ ルギー はかれ ら の所有権外の 特殊財 と な っ た。 公 有 財 産 と は規定で き な い が, 少 く と も 国家的資源 と な っ た のであ る 。 4 ) 以下の湯合は特許規制の も と に おかれ る 。 1. 保有する 発電設備の最大 出 力 (落 差 と 最大流水量 と の積 ) が 150KW 以上で, 国 県, 市町村, 公共施設, ま た は 許可同業組合への電力供給を主 目 的 と す る 企業。 2.'主 目 的がいかな る も の で も 保. 有する 発電設備の最大出力が 500KW 以上の企業。. その他一切の企業は許可制度の も と に おかれる 。 な お, 特許企業に対 して は行政審判所が命令 と して特許を与え る のであ り , 許. 可企業 に 対 し て は県知事が フ ラ ン ス共和国の名 において許可する も の で あ る 。 (水 力法第 2 条) 5 ) 水力法第1�に おいて特許権被賦与者の義務は特許明細書において規定す る こ と と さ れてい る 。 規定さ れ る べ き 事項は 17項に亘 っ て い る が, そ の中特に重要な も の は次の如 く で あ る 。. *国, 県, 市町村の セ ル ビス ・ ビ イ プ リ ッ ク , そ の他公共設立体, も し く は許可を 受けた協同組合, 農業組合のた め, 電力及び水力を畜備 し こ れを一定価格で給付 す る 義務。 *国が発電開発 に補助金の形で融資す る と ぎ あ る い は発電企業の資本金の 一部を 出資する と き , 国の当 該企業への経営参加を示す と こ ろ の そ れぞれ普通株, 優先 株の総額を規定す る 義務。. *国が発電企業に対して出 資 も し く は融資す る 場合, 当 該企業の取締役会に 国を代 表す る その代表者の 員数を規定す る 義務。 *前者の義務は発電の公益性の確認に基ずいて上位利益に服すぺ < 課せ ら れる 性質 の も のであ り , 後者の そ れは財政的参加 あ る いは優先的財政援助に対す る 対価 と しての性質を有す る 。. 6). フ ラ ン ス は 当 時すでに石炭不足を覆 う べ く も な く 毎年20万 ト ン の輸入を余儀な. く さ れ, 他方, 水の 自 然条件に恵ま れてい る に かかわ らず, 水力利用は未発達で そ の利用率は 191 牡F ド イ ツ が24彩に達 し て い た の に対 してわずかに 6. 8彩 の低率 に あ っ た。. (Les annales de la Regie Directe, La nationalisation des. - 146(906) -.
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