H. リッペルトの最適企業資金調達論について
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(2) では, 固定資産が自己賓本で, 広義の把握では, 固定資産と継続的に必要な 流動資産が自己資本と長期他人資本により資金供給されることを配慮する。. 他方, 後者の規則は, 債権者は通常資金調達に関しては出資者よりより多く. の危険を負担しえないという考え方から他人資本対自己資本比率が1 : 1 以下であることを要求する1)。 しかしながら, 目下 のところ, これら規則. は,(1)好都合な収益状況においては,これら規則を無視して他人資本を追加 借入することが自己資本利益率の増大をもたらし. 2),. (2)資産拘束期間と資本. 利用可能期間の一致が財務流動性の維持にとっては決定的ではなくて, むし. ろ貨幣流入と貨幣流出で表示される支払流列の時間経過が重要であるという 理論的根拠と. 3),. (3)何よりも多 くの企業がこれら規則を守っていないという. 現況から, その信頼性を大いに失っている4)。. 本稿では,これら規則に代るものとして, 新たに, H. リッペルトにより展. 開された資金調達理論を検討する。 以下では, まず続く第Il章で, 彼の考え. 方の特色を明らかにするために, 彼の論文「最適企業資金調達論」(Lipfert, H.: Theorie der optimalen Unternehmensfinanzierung, ZfbF,1965 , S.. 58-77)で展開された, 一定の資本量下での最適資本構成規則を紹介する。. 1). V gl. Harle, D.: Finanzierungsregeln und ihre Problematik, Wiesbaden. 1961.; Hax, K.: Langfristige Finanz-und Investitionsentscheidungen. In:. HdW, hrsg. v. Hax, K.; Wessels, T., 2. Aufl., Koln-Opladen 1966, S.4182). 3) 4). 421.. Lipfert, H.: Theorie der optimalen Unternehmensfinanzierung, ZfbF,. 1965, S. 66-67. 以下では, 本稿を Theorie der optimalen Unternehmens finanzierungと略称する。. Chmielewicz, K.: Betriebliche Finanzwirtschaft I, Berlin-New York,. 1976, S. 179-193.. Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, 3. Aufl., Frankfurt. am Main 1969, S. 21-29.; ders.: Theorie der optimalen Unternehmens finanzierung, S. 59-62. finanzierungと略称する。. 以下では ,. 前者を Optimale Unternehmens. -142 (456)-.
(3) その後,彼の著. r 最適企業資金調達J. (Lipfert, H.: Optimale Unternehmens. finanzierung, 3. Aufl., 1969) において,. この最適資本構成規則を拡大し. て, 限界分析による最適な資本量と資本構成の同時決定法として展開された 主張を確実性と不確実性下での理論展開に分けて, それぞれ第皿章と第W 章で検討する。 1[. 一定の資本量下での最適資本構成規則. さて, 経営経済学において一般に仮定される利益最大化や最近採用される ようになった成長最大化という企業目標は, 企業の支払能力を常に保証し, 過度な危険を回避するという必要性から, 資金調達領域では制限されるべき である5) 。 この点から, H. リッペルトは, 従来から注目されてきた量的資本 調達コスト(quantitative Finanzierungskosten)の最小化は利益最大化を 意味するが, 同時に質的資本調達コスト(qualitative Finanzierungskosten) を加えて, 両資本調達コストの最小化をはかることは利益最適化を意味する と考える6)。 今, 彼の考える両資本調達コストから検討を開始するならば, まず, 量的資本調達コストは, 他人資本では利子費用, 手数料と付随費用と. して, 留保利益では自己金融における一回限りの負担である税金として明確 に定義されうる。 また, 配当, その他の利益分配も, 経営経済学の専門用語 ではコストを意味しないが, たとえば適切な配当が通常では他人資本に対す る利子と同様に, 企業の名声と永続性, そして特に金融機関と資本市場での 信用の育成のために支払われるべきであるゆえに, 自己資本の量的資本調達 コストとして把握される。他方, 質的資本調達コストは, 他人資本では, 信. Vgl. Kern, W.: Investitionsrechnung, Stuttgart 1974, S. 46-53.; Schneider, D.: Investition und Finanzierung, 3. Aufl., Opladen-Ki:iln 1974, s. 179-190 u. s. 347-364. 6) Lipfert, H.: Theorie der optimalen Unternehmensfinanzierung, S. 63-65.. 5). ー143 (457)-.
(4) 用引揚危険もしくは非延期危険と, 損失表示における自己資本の減少危険か ら構成されるが, 自己資本では, 利益がないときには配当は支払われず, 原. 則として出資金は返済されないゆえに存在しない7) 。 しかしながら, ここ. に, 先の量的資本調達コストとは異なり, これら質的資本調達コストをどの ょうにして評価するかという問頌が生ずる。 この点• H. リッペルトは, ま. ず, 非延期危険を考察される投入資本羅の大きさと経営者の主観による危険. 係数の積により表示しようとする。 そして, 担保能力のある土地や建物が存 在するときには, 長期他人資本の残存有効期間に対する非延期危険はゼロと みなされうるのに対して, 供給者信用と銀行貸付金の非延期危険はさまざま. に評価され, しかもとりわけ信用供与者の特質と性格, 信用受取人の総資本. 利益率の現況と将来の展開についての信用供与者の見解や, 信用受取人の資. 本構成により左右されると考える。反面, 損失表示における自己資本の減少. 危険は, 好都合な収益状況において他人資本の追加借入が自己資本利益率を 増大させるというレバレッジ効果の裏面であり, 基本的には, 量的資本調達. コストの大きさ, 他人資本調達コスト控除前での総資本利益率の低下の発生. 確率と, その低下の程度に依存するゆえに, 後者の2つの要素をあらわす危 険係数と量的資本識達コストの積により表示する8) 。. このようにして, 質的資本調達コストと量的資本調達コストが明らかにさ. れると, 次には, 両資本調達コストを最小にする資本調達方策を見付ける過. 程が検討されなければならない。 H. リッペルトは, この過程を次の3つの 計算表を用いて具体的に示す。 以下, 簡単に各表について補足説明をするな 7). 8). Lipfert, H.: Theorie der optimalen Unternehmensfinanzierung, S. 65-. 66.; ders.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 35-36 u. S. 42-52 u.. S. 71 u. S. 102.. Lipfert, H.: Theorie der optimalen Unternehmensfinanzierung, S. 67 u.. S. 70-71.; ders.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 79 u. S. 102-103 u.. s.. 111-112.. -144 C 458) -.
(5) 表I. 量的資本涸達コストと質的資本調達コストの最小化についての計算例 9). 資本種類. 自 己 資 本 長期他人資本 供給者信 用 当座勘定信用 手形割引信用. 個別資本調達 コスト. 質的資本調達コスト. 1 配当又は 現実の景 的資本調 資本金額利子と手1達コスト. 自己資本の 非延期危険 金 額比率 減少危険 コスト コスト(1000 (1000 数料 (1000 (1000 (1000 数 係 マルク)(年%) マ)レク)係数 マ)レク) (%) マルク) マルク) x ⑥ ③十⑤ ⑧只① x ④ ③x④ ⑥ ① I① | ③ ① ② 疇=⑤ I =⑦I+ ⑦ =®I=⑨. i. I. 50,000 10,0001 15,000 10,000 15,000i. �. [. :. 表II. I. ::. :. 配当又は現実の量 的資本涸 資本金額利子と手 達コスト. f! ロ:::; t:ロI I. :H. 個別資本調達 コスト. 質的資本調達コスト. 自己資本の 非延期危険 金 額比率 減少危険 ト コス コスト(1000 (1000 (1000数料 (1000 (1000 マルク) (%) 係数 マルク)(年%) マ)レク)係数 マ)レク): マ)レク) l ③x④ x⑥ ③十 ⑥ ⑧+ I ① I® ① x<!;(3) ④ l =⑤ ⑥ ① =⑦I+ ⑦=⑧噸① 4,000 25,000 16 J 4, 000 16.0 自己 資 本 7 , 20,000 a) 700 1,400 0.5 2, 100 10.5 長期他人資本 b) 7.5 1,500 0.5 750 2,250 11.25 3,600 0.5 20,000 18 1, 800 0.02: 5,800 29.0 400 供給者信 用 7 15,000 a) 525 0.07 1.0501 0.5 2, 625 17.5 1, 050, 当座勘定信用 b) 1, 350 0.5 675 0.07 3, 075 20.5 1, 050I 20,000 1, 000 0.5 5 500 0.05! 1.000 2,500 12.5 手形割引信用 6 1, 200 0.5 600 0.05 2, 800 14. 0 1,000 資本種類. i. I. 忍. -1. I. ,. らば. まず.表Iは,質的資本調達コストの考慮下でさえ,長期他人資本.. 当座勘定信用と手形割引信用が16%の適切な配当を伴なう自己資本よりコス ト上良好な状況を示している。 それゆえ,良い投資計画のための資金需要が. 発生すれば.総資本対他人資本比率は拡大される。もちろん,額面での 新株. 発行は不適当であるが, 新株が200の相場で発行されうるときでさえ, 9). ー一. Lipfert, H.: Theorie der optimalen Unternehmensfinanzierung, S. 68-70. -145 C 459)-.
(6) 表皿 資本種類. 自己資 本 長期他人資本 供』給者信 用 当座勘定信用 ー. 手形割引信用. II配当又はI現実の量II 的資本調. 資本金額利子と手達コスト. 質的資本調達コスト 門雙?本麟 自己資本の 減少危険 非延期 危険 1金額I比率 .. コスト コスト (1000. I. 数料 (1000 (1000 係数(1000 マ)レク)(年彩) マルク)係数(1000 マ)レク) (形) マル ク) マ)レク). I. ①. I. ®. 16 7 8 20,000 18 7 25,000 ) ab) 10 5 20,000 7.5 10,000 25,000. 閑. 閑. ド) x�③|④ 1,600 1,750 2,000 3,600 1,750 2,500 1,000 1,500. •一". 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7. I. |③ x�⑥ 1,225 1,400 2,520 1,225 1,750 700 1.050. ®. ①. I 巴®l�ct竺祠®: 爾 X. "". ' '. 0.1 0.35 0.35 0.25 0.25. 2,000 8,750 8,750 5,000 5,000. 1,600 2,950 3,400 8,120 11,725 13,000 6,700 7,550. 16.0 11.9 13.6 40.6 46.9 52.0 33.5 37.75. 発行費用を無視しても,追加自己資本には896のコストがかかるが,—-新 株発行は株主の出資意欲と株式の取引相場から慎重に調ぺられなければなら. ない。 租税問題がともに考慮されるならば,他人資本調達コストの租税上の. 控除可能性はますます他人資本調達を安く,自己資本調達を高くして,新株. 発行を困難にする。 次に,表Iと表11の本質的差異は,他人資本対自己資本 比率がもはや 1 : 1 ではなくて, 3 : 1 である点にある。. 他人資本の利子. は,a)では資本構成の悪化にもかかわらず 表Iと同一であることが,b). ではより現実的に資本構成の悪化によりより高くなることが仮定される。 結. 果として,個別資本調達コストは長期他人資本と手形割引信用では自己資本. よりなおまだ低いことが示されている。 しかしながら,前二者の増大は特に. 不可避的に必要となる当座勘定信用の非延期危険を非常に増大させるが,資. 金需要における新株発行による自己資本調達はなおまだ禁止されていると考 えられる。 そして,表皿では,他人資本対自己資本比率は9 : 1であり,常. に大きな資本調達上の諸困難が発生している。 それゆえ,表皿の最後の列に よれば,自己資本調達が,額面発行でさえ,あらゆる短期他人資本調達より -146 (460)-.
(7) コスト 上良好である10) 。 以上が,. H. リッペルトによる一定の資本量下での最適資本構成規則に関. する理論の概要であるが, 明らかに彼の理論は平均資本調達コストが他人資 本対自己資本比率に依存することを主張している11) 。 しかもこの主張は, 1958年の, F. モジリア ー ニと M. ミラ. ー. による,. 一定の前提下では企業の. 平均資本調達コストが完全に他人資本対自己資本比率に独立しているという 理論ーー以下, MM 理論と呼ぶ ーー が真の妥当性を有しているならば, 全 く不必要であることを十分認識したうえで, 行なわれている点に注目しなけ ればならない12) 。. 頂. 確実性下での最適財務資金装備の決定. いうまでもなく, 限界分析を用いれば, 限界資本調達コストが限界資産収. 益率に等しいときに, 以下で, 最適財務資金装備 (optimale Finanzierungs mittelausstattung). と呼ばれる,. 最適な資本量と 資本構成が獲得される. が, その際, 手続きは次の4段階に区分できる。 すなわち, まず, 資産収益 率を確定し, 次に, 個々の使用可能資金に対するコスト構成部分を明らかに 10) Lipfert, H.: Theorie der optimalen Unternehmensfinanzierung, S. 7172. なお, H. リッペルトは, 一定の資本鼠下での最適資本構成規則に関連して, 史に続けて, 好都合な経営状況において形成される積立金のとりくずし期間を最 艮にするための理論を展開しているが, 本稿では省略する。 11) また, 彼の計算例では, 加重平均登本調達コストは, 他人資本対自己資本比率 が1 : 1 のときには,14.48, 他人資本対自己資本比率が3 : 1 0)ときには,a) で17 .03, b) で17 .93, そして他人資本対 自己資本比率が9 :1 のときには, a)で31.12, b)で33.67と計算される。 12) Lipfert, H.: Theorie der optimalen Unternehmensfinanzierung, S. 6263. V gl. Modigliani, F. and M. H. Miller, "The Cost of Capital, Corpo. ration Finance and the Theory of Investment," American Economic. Review, June1958, pp. 261-297.. -147 (461)-.
(8) し,更にこれらコ ス ト構成部分から総資本調達コ ス ト を算定し,そして最後. に,限界資産収益率と限界総資本調達コ ス ト を比較することにより,最適財. 務資金装備が決定 さ れる13) 。 しかしなが ら ,最初の資産収益率は,大部分資. 本調達には直接的に帰属しない諸決定の結果として生ずるゆえに, H. リ ッ. ペ ル トの理論展開では, 期間総売上げ から資本調達コ ス ト を除くあらゆるコ. ス ト を控除した差額を,投入資本量で割 っ たものと定義 さ れる。 し かもこの. 資産収益率は確実性下では投入資本羅に比例して増大し,限界資産収益率は 投入資本量に対して独立し た 定数であると仮定 さ れているm。. 他方,資本調達コ ス トは企業内 に拘束 さ れる財務資金の調達と装備により. 生ずるコ ス トであるが,我 々 は,既に第 Il 章において,それが量的資本調達 コ ス トと質的資本調達コ ス トに区分 さ れ.. 「 前者の量的資本調達コ ス トが資. 本の契約上の使用権の譲渡に対して実際に支払われる代価を意味するのに対. して,質的資本調達コ ス トは,それが影響 を及ぼす,収益性や流動性に 関 連 した危険の考慮から生ずる」 ことを確認して いる 1 5) 。 それゆえ, ここでは以下. の理論展開にと っ て重要な前提を,自己資本と他人資本に分けて,検討する にとどめる。 まず,前者の自己資本に関 する資本調達コ ス ト を みれば,それ. は,新株発行費用や留保利益に対する税 金のような 1 回 限りのコ ス トと,配 当の継続支払 いや営業資本税のような期間コ ス トに区分 さ れうる。 しかしな. がら,先の資産収益率が期間数値として表示 さ れるゆえに, 1 回 限りのコ ス. トは,利回り計算を利用して,期間数値に換算 さ れる必要がある。 ま た , 秘. 密準備金を解消した後での企業の取引 所相場が貸借対照表相場に完全に一 致 するならば, 新株 を市場で販売する た め には, 発行相場は常に貸借対照表相. 場を下 回 ら なければならな い。 それゆぇ ,新株発行は不可避的に貸借対照表 相場の悪化 をもたらし,一 定の配当率では, 自 己資本の平均的な負担を高め 13). 14). 15). Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfnanzierung, S. 10-1 1 u. S. 1 08-1 1 1 . Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 38-40. Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 40-42. -148 C 462 ) -.
(9) る 。 ま た, プ レ ミ ア ム が増資以前の貸借対照表相場を維持しないように, 実際. の増資が行われ る ならば , 一定の配当率では , 準備金に対してより大きな負担. が要求され る 16) 。 こ の点から, 以下の理論展開では, あらゆ る (既存 と 潜在 的な) 自己資本種類に対す る 期間コス ト と 量的な限界自己資本調達コス ト 関. 数 K'EK,. quant. (v) は 一般に投入資本 量 と と もに逓増す る と みなされ る m 。 他. 方, 後者の他人資本に関す る 資本調達コス ト をみれば, その量的資本調達コ. ス ト は更に, 信用受取人の個人的な状況を考慮す る こ と なしに各種の他人資 本種類に対して市場で成立す る 中 立 的 な 量 的 他 人 資 本 コス ト (neutrale. quantitative Fremdkapitalkosten)と ,. こ の中 立的な量的他人資本コス ト. と 信用受取人から信用供与者に実際に支払われ る 金額 と の差額であ る 支払能. 力に依存し た 量 的 他人資本コス ト (bonitatsabhangige quantitative Fremd. kapitalkosten)に 区分されう る 。. そして,. 後者の支払能力に依存した 量的. 他人資本コス ト は, 契約時点においてさまざ ま に評価され る 信用受取人の支 払能力に対す る 危険プ レ ミ ア ムを意味す る が, その際. 支払能力は信用受取. 人であ る 企業の資産収益率, 資本構成 と 担保の性質に依存す る 。 以下の理論. 展開では, 予想され る 資産収益率 と 担保の提供可能性は一定 と され. 専ら他 16). 今, こ の根拠を簡単な例で示す。 た と え ば, 企業の 自 己資木が200単位で あ り , 資本金 と準備金 が同額であれば, 貸借対照表相場は200劣で あ り , こ の企業が20. 形の配当を行えば, 自 己資本の平均的 な負担は1096であ る 。 こ の状況下で, こ の 企業が 1 40形の発行相場で50単位の資本金 の増大を行えば, ー一発行費用 を無視 すれば, ー一増資後では資本金 対準備金比率は150 : 120と な る 。 そ の結果, 貸借 対照表相場は 200% よ り 180彩に低下 し,. 150単位の資本金 で の20彩の配当 率の維. 持下では, 自 己資本の平均 的 な負担は増資以前0)10彩よ り 増資後の11 . 1 … 先に増. 大す る 。 ま た , 先のよ う に資本金 と準備金 が同額で あ り , 企業が20形の配当 を行 な う と き に, 資本金 に12%の配当 が支払われ る な ら ば, 準備金 に は 8 %の配当支. 、. 払 い が行なわれ る 。 こ の状況下で先と同様の増資が行な われ, 不変の209< 0)配当 17). 率 の維持下で, 資本金 に12%の配当 が支払われ る な ら ば, 準備金 では増資前の 8. 形の配当支払い が増資後では10%に増大す る 。 Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 42-46.. -149 ( 463 )-.
(10) 人資本の追加借入か ら 生ず る 資本構成 と 担保能力の悪化に基づき, 支払能力 に依存した量的他人資本コスト, その結果 と して, 量的な限界他人資本調達 コスト関数 K'FK,. quant. (v) は, 先の自己資本のそれ と 同様に, 投入資本量. と と もに逓増す る と 仮定され る 18) 。 と こ ろ で, 限界分析を用 いて, 最適財務資金装備を決定す る ためには, 今 まで検討された個 々 の 資本種類の個別資本調達コスト関数か ら 限界総資本調 達コスト関数を推論す る 必要があ る 。その際, 個別資本調達コスト関数が, 相 互に独立し, 唯 1 つの独立変数 (投入資本盪) によ り 決定され る な ら ば,. 限界総資本調達コスト関数はかな り 簡単に水平加算法 (Das Verfahren der. Ho rizontaladdition) によ り 算定されう る 19) 。 しかしなが ら , 個 々 の資本種. 類間には, 総資本調達コスト と 個別 資本調達コストに影響を及ぼす, 相互依. 存関係が存在す る 。 そして, この相互依存関係によ り , 個 々 の資本種類の個 別資本調達コストはもはや唯 1 つの独立変数 (投入資本量) ではな く て, む し ろ 複数の独立変数によ り (総資本量や資本構成によっても) 決定され る こ と にな る 。 以下では, 企業が最適財務 資金装備を形成す る ために多数の自己. 資本種類 と 他人資本種類を使用 す る と いう 一般的な ケ ー スが検討され る が,. と り あえずは 2 つの資本種類 A と B か ら 形成され る 総資本調達コスト関数を. 推論す る ケ ー スにつ いて説明 す る 。 図 I では, た と え ば, 等し い資本量VA. O. = OH と VB0 = 01 を結ぶ幾何学上の場所. m のような,. 45度直線で示され. る 等資本量線上では, 資本種類 A と B のあ ら ゆ る 組合せはあ ら か じめ与え ら. れ る 総資本量. y. O. に 一致して い る 。今, これ ら 組合せに対して総資本調達コ. ストを書き加え る な ら ば, 総資本羅. y. O. に対して資本種類 A のみが利用され. る と き に は大きさ 図i で, 資本種類 B のみの と きには大きさ その他の組合せでは上辺が曲 線. 1 8) 19). n で,. そして. m で示され る 格子構成部分の長さで総資本. Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzi�rung, S. 46-52.. Vgl. Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 52-55.. -150 ( 464 ) -.
(11) K'. V ·Vぃ Ve VA. 図1. 調 達 コ ストは表示 さ れる。それ ゆ ぇ , あらか じめ決められ た 総資本量 yO に おいて総資本調達 コ ストを最低にする資本種類AとB の組合せは, 座標体系 VA, VB に よ り示 さ れる平面に も っ と も 近い点 E で決定 さ れ,. その場合の投. 入資本量はそれぞれ VA = O L と Vs = OM で示 さ れる。 ま た , 無限に多い格 子の上辺における最低点を相互に結 び付けるならば, ー一図 I では 3 つの格 子が示 さ れ , 最低点 A , C , E を結 び付けるならば, —-総資本量に依存し た最低総資本調達コスト関数. K'min. が獲得 さ れるm。. 次に, よ り一般的に, 相互依存関係下にある n 個の資本種類に対する総資. 本調達コスト関数を推論する。 H. リッペルトは, この点に関して, ま ず第 1 に, 資本種類 i の個別資本調達 コ スト 氏 がこの資本種類の投入資本鼠. V;. 以外に ま た その他の 資本種類の 投入資本量 Vj,J-1,• · •,n, い に も 依存する ケ ー スにおける総資本調達コスト K (vぃ · · ,Vn) を推論する。この推論過程では,. 先の 2 つの資本種類Aと B から形成 さ れる 総 資 本 調達 コ ストのそれと同様. に, ま ず, あらか じ め与えられる総資本饂 vo に対して, 総資本調達 コ スト. を最小にする資本種類の投入資本量 (v10, … ,v訊) が制約条件 工 v1o = vo下で, iー1. 20). 21). Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 59.. Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 55-60.. -151 ( 465 )-.
(12) ラ グ ラ ン ジ ュ の乗数法によ り 算定される。も ち ろ ん, この方法の適用可能性 に対する前提は, 総資本調達 コ ス ト 関数K と 個別 資本調達 コ ス ト 関数 K;,;ー 1, ••• ,n が連続的に微分可能であるこ と であ り , この場合には,. n + l の未知数. :>..,v許, · · · ,V訊 に対し て 次の n+ l 個の方程式体系が与え ら れるゆえに, 確実 に条件 I: v;o = vo 下で総資本調達 コ ス ト を最低に す る 投 入資本盤の組合せ i=l (v1 0, . . . ,v訊) が狸得され う る。. 悶 + 71.贔(自 Vi - v ) = 0 0. i =l, . . · ,n. 工 Vj - VO = Q iー 1 もし く は. n o K;. j=J O V ;. + A- = 0. i = l, · · , n. 工 Vj 一 VO = Q jー 1. 次 に このよ う にして見付け ら れる 投入資本量の組合せ (v1°, … , v訊) に対 して 総資本調達 コ ス ト 値が計算され, あ ら か じめ与え ら れる総資本量 y O に. 一義的に最低総資本調達 コ ス ト 値 K (v1 , · · · , v訊) が添え ら れる。 しかしな °. が ら , この最低総資本調達 コ ス ト 値はあ ら か じ め与え ら れる総資本量 v o に. 依存するゆえに, 更に総資本量 v o を V と して 変 化させる こ と によ り , 総資 本量 V の関数である, 最低総資本調達 コ ス ト 関数が推論される必要がある。 と こ ろで,. H. リ ッ ペ ル ト は, このもっ と も一般的な ケ ー ス以外に, 第 2 の. ケ ー スと して, 資本種類 i の個別資本調達 コ ス ト 氏 がこの資本種類の投入. 資本量 Vi 以外にあ ら ゆるその他の n - 1 個の 資 本 種 類の総投入資本量. U戸 エ ー. j 1. ii i. Vj. Iこのみ 存在する ケ ー スにお ける総資本調達 コ ス ト K Cv1, … , v心 に. つい ても検討している。 この場合, 探される個別資本調達 コ ス ト K; は K; -152 C 466 ) -.
(13) (Vi, Ui). となるが, : 炉 {. 0 i=j に対 し て 1 i =/=j に 対 し て. ゆえに , 形成される方程式体系. は次の よ う に なる。. — + :E o Ki + A- = 0. o K;. 0 — —— i ー 1 0 Uj. O V;. i = l,···,n. 工 Vj -VO = Q. j-1. また, 第 3 のケ ー スとし て,. i � l , … , K が 使用可能な他人資本種類,. i=k + 1 . … , n が自己資本種 類 であ り ,. 資本稲類 i の個別 資本調達コス. ト 氏 が この資本種類の投入 資本量 V ; 以外 に 他人資本対 自己資本比率 k. n. a = エ v;/工 Vi !こ のみ 依 存するケ ー スにつ いて 考えれば, 探される個別資本調 i-1. iーk+l. 1. oa 達コスト 氏 は 氏 (v; , a)とな り ,. OV ;. l= l, …, K に対 し て. 工 V; ー. i k+l. —位i-l V;). 信研. i = k + l , .. . , n に 対 し て. ゆえに, 形成される方程式体系 は次のよ う に なる。. 閂+;,_, ) . 五心 知 oa 0 V1 jーk+l. =0. j-1 2. (��:+ ;,_,) . (tk:2) - (喜V. j) •. i = l, · · · , k. (宮/a�) =o. 0 I; Vj ー v = 0 j-1. i = k + l, . . ,n 22)23). 22) Lipfert, H . : Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 6 1-6 7. 23) なお, H. リ ッペルトは, 以上の 総資本調達 コスト 関数の 推論過程 を 具体的 に 説 明するため に , 以下の 例を考える。 例では, 企業は2 つの 資 本種類, 自 己資本 1 と 他人資本2 の み を 使用 し, 自 己資本の 個別資本調達コスト 関数 K1(V1, V2)は自 己 密木の 投入資本量 vdこの み依存 し , 他人資木の それ V2 に 依存 し な いの に 対 し [次頁に続 く ]. -153 ( 467 ) -.
(14) な お , 以上 の理論展開で は , 量的資本調達 コ ス ト を 中心 に し て, 収益性を 条件 と す る 資本闊達 コ ス ト (rentabilitatsbedingte Finanzierungskosten) の み に 注意が払われて き た 。 し か し な が ら , 企業に と っ て は 収益獲得努力 と と も に支払能力 の継続的 な維持が不可欠で あ る ゆ え に , 同 時 に , も っ と も 広 い 意味で現金保持費用 (Kosten der Kassenhaltung). と 呼 ば れ る , 財務流. (Finanzierungsmittelbindung). 動性の維持の た め に 必要 な 財務資金拘束. と 財務資金便宜 (Finanzierungsmittelfaszi Iitate) か ら 生ず る , 支払能力を [前頁よ り ] て, 他人資本の個別資本調達 コ ス ト 関数. K2(V1, V2). は. 2. つの資本種類の投入資. 本量に依存 し, 同一の投入資本撒では, 自 己資本の投入資本最 V1 が増大す る 程, 低下す る が, 同時に ま た ,. 一定の. V1. 自 己資本の投入資本量. で は, 他人資本対 自. 己資本比率がお よ そ 4 : 1 に な る ま で 他 人 資 本 の借入が可能であ る と 仮定 さ れ る 。 こ の状況は, た と え ば. 次の方程式体系で あ ら わ さ れえ, K1 (v1,. v2) =. 1 v, ·3. 応 (V1, V2) = {. 2 0 V1- .S • V2. 総資本調達 コ ス ト 関数 K(v1, v2) =. OS: V2S::4V1 に対 して v2>4 v1. 00. K ( v1 , v2) = K1(V1,. 1V V1. oo. に対 して. +応(V1, V2). v,2 -!--- vl .2 =. ( v ,1 · 5 + v1-0 · 5 · v. l. v2). O:S:v2:S:4v1 に 対 し て v2>4 v1 に対 して v1 + v2 = v. こ こ で は, 経済上有意義な解決の た め に 必要な 制約条件 総資本謁達 コ ス ト. K (v1,V2). は次の よ う に な る 。. 0. 下で, こ の. を最小に す る 自 己資本の投入資本量 V1 と 他人資本の. それ m の組合せは, 先の個別資本調達 コ ス ト 関数を基礎 に す る 次の方程式体系 の根の内 に存在す る 。 oK + 入 =O OV1. l . 5 vi°· 5 - 0 . 5 v1-u· vi 十 ;\. = Q. vけ V2 = Vo. V1+ V2. oK. ov2 , X. 根は 2. V1. 2 v1-0· 3 • V2 十 入. =O. 1 + v1 =. 6. Vo. か,. V1. =O =. 1-v1 =. 6. Vo. で あ る が,. Vo 1/. 7 r='2 . 65>1 ゆ え に , 第. 5 - i/7 Vo 6. zierung, S.. 1 + 1/ 7. Vo 6 と 計算 さ れ る 。 (Lipfert, H. : Optimale Unternehmensfinan-. の根は初め よ り 経済上有意義で はな く , 第 1 の根か ら , 67-74.). -154 ( 468 ) -. V2 = Vo-. =.
(15) 条件とする資本調達 コ スト (liquiditatsbedingte Finanzierungskosten) に つ い ても考慮する必要がある。 それゆえ , この コ ストに対する適切な修正が 行なわれるならば, 総 資本調達 コ スト関数は傾きが より急になる ように定義 しなおされる。そして, 確実性下では, この ようにして得られる限界総資本. 調 達 コ スト関数 K' (v) と限界資産収益率関数から, 最適財務資金装備は 一 義的に決定される2ヽ)。 IV. 不 確 実性下の最適財務資金装備の決定. さて, 不確実性下での理論展開は, 一般には, 資本調達 コ スト関数は確実 に知られうるが, 資産収益率に関して は不確実な予想のみを有するゆえ に, 複数の資産収益率予 想 が さ ま ざ まな発生確率 W1. ーー. その合計は 1 である. —であらわれうると仮定される。しかも予想される各資産収益率予 想は投 入資本量とともに 比例して増大し,. 限界資産収益率予想は 一定とみなされ. る25) 。 それゆぇ . こ こに, 最適な資本量 V。m を決定するために, さ ま ざ ま な限界資産収益率予 想の内 どれが, 限界総資本調達 コ スト関数に交わるかと いう 問題が生ずる。というのは, 実行される資本量に対して限界総資本調達 コスト以 下である限界資産収益率が事後的に生ずるならば, 自己資本利益率 や自己資本の減少が,. 「 レバ レ ッ ジ効果」 の悪い面として生 じ , 逆に, 事後. 的に より以上の限界資産収益率が生ずるならば, 事前に選択される資本量に おいて 限界資産収益率と限界総資本調達 コ ス トの間に正の間隙が生 じ , 利益 は よ り大き く 発生しえたからである。従来, この種の問題に対しては. 多 数 の投資の く り返しでは評価危険は無視されうるとして, 発生確率を掛けた個 々 の限界資産収益率予想の合計として定 義される, 限界資産収益率の期待値 24) 25). Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 75-81. Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 40.. -155 C 469 ) -.
(16) E' と限界総資本調達 コ ス ト 関数 K' (v) の交点により, 事前的に最適な投資 量. V。pt. が決められてきた26)。 しかしながら,. H.. リ ッ ペル ト の理論展開で. は, 投資の結果であ る 資産収益率はデ ー タ として受取られ, 本来その変動か. ら 生 じ る 「 レバ レ ッ ジ効果」 に結び 付いた危険や チ ャ ンスとは一応関係のな. いものとみなされ る 。 そのため, 限界資産収益率 予 想の不確実性は, 本来確 実な限界資本調達 コ ス ト 関数を不確実なものとして把握す る ことにより, 排 除され る 。 それとともに, 資産収益率の変動の可能性は質的資本調達 コ ス ト 関数. K' qua1. (v) 内であらわされ, 新たに定義され る 限界総資本調達 コ ス ト. 関数 K' ges(v) は実際の資本調達 コ ス ト として生ず る 古い限界総資本調達 コ ス ト 関数 K' (v) より資本量の関係領域にお い て よ り高い値いをと る 。反 面 , 限界分析において, この限界総資本調達 コ ス ト 関数と最適な投資量Vopt において交わ る 限界資産収益率関数はもはや限界資産収益率の期待値 E' で はありえない。新たに決められ る 限界資産収益率関数は質的資本調達 コ ス ト 関数の定義に依存す る 。以下では, とりあえずもっ とも好都合な限界資産収 益率予想. E' n. に限界資産収益率関数を固定して,. 質的限界資本調達 コ ス ト. 関数が定義しなおされ る 27) 。 具体的には,. まず,. 資産収益率の 変動から 生 じ る 危険 (Ertragskraft. schwankungs-Risiko) の程度が限界損失見積りと限界利益見積りの比率とし て定義され る 。 それゆえ, 具体的な説明 図 II では, たとえば , 資本量 V にお け る この危険の程度は , 危険係数(Risikofaktor). • W1 = b ・ Wa叶 であらわさ C • W3. れ る 。そして, この危険係数により, V1 より小さな投資量 (v<v1) に対し ては, 限界損失見積りが値ゼ ロ をと る ゆえに, 危険が全 く 存在せず, 逆に, V3より大きな投資量. (v>va) では, もっとも好都合な資産収益率 予想の発. 26). Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfina泣ierung, S. 82-87. Vgl. Teichmann, H.: Die Investitionsentscheidung bei Unsicherheit, Berlin 1970. 27) Lipfert, H.: Optimale Untemehmensfinanzierug, S. 88-89 u. S. 98-99 . ー156 C 470 ) -.
(17) Kges (v) kりuant(v). Kqual (v) ' E. E'.,;w". — E- -. E;;w, Ei;w,. V1. V. V,. Vopt. V,. V. 図 Il 質的限界資本関達 コ ス ト の定義について の具体的な説明図28) 生 に お い て さ え,. この種の 投資量 V に 対し て は 全 く 利益が発生しな いゆえ. に , 危険係数は 無限大 と なる。そ し て , 最適な投資量 Vopt では ,. 限界損失. 見積り と 限界利益見稽りが等し く なるゆえに, 危険係数は 1 を と る。しかし な が ら , この危険係数に は 次元 が な い。 それゆえ , 最適な資本星 v。m で限 界総資本調達コ ス ト関数が も っ と も好都合な限界資産収益率予想 E' 3 と 交わ る こ と を利用 して, 各資本晨 V に 対する次元付 き の質的資本調達コ ス ト は , も っ と も 好都合な限界資産収益率予想 E' 3 と 限界資産収益率の 期待値 E'. の 差 で示される ズ レ係数 (Verschiebungsfaktor) と 危険係数の積 と 定義さ れる29) 。. と ころ で, この質的資本調達コ ス トの推論は よ り一般的に は 次の よ うにし. て 行なわれる。 今, さ ま ざ ま な限界資産収益率予想 ぞれ発生確率. W1,W2, · · ,Wn. であ ら われるが,. E' 1,E' 2, … ,E' n. その際, 条件. が それ. E' 1<E' z< …. 1 が成立する と 仮定す る 。 こ こでは ,. 資本量 V の 一 次関. 数でな い 量的限界資本調達コ ス ト 関数を K' quant (v) で,. この量的限界資本. … <E' n と. I::Wi = i-1. 調達コス ト 関数 と 限界資産収益率予想の 交点を Yk (k = l , 2 , … , n) で示す 28) 29). Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung. S. 90.. Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinazierung, S. 89-91 .. -157 ( 471 )-.
(18) ならば,. Vk�V�Vk+l. ゆえ, 間隙. に対して,. [Vk,Vk+1J (k= 1 , 2 ,. E' k�K' quant (V) �E' k+l. が成立す る 。 それ. … ,n - 1) の投資量V に対して, 限界損失見積. k. n. りは こ (K' quant (V) -E'i)Wi, 限界利益見積りは エ ー ー i 1. i k+l. (E' i - K' quant (V) ) Wi. と. 評価され, 先の各資本量V に対す る 次元付きの質的資本調達コストは, K' Q ua1 (v) =. エ (K' quJnt (V) -E'1) W; ; 1ー. 工 CE' 1 - K' quan1 (v) ) w1 1-k+l. · CE' n - E' ). と 定義され る 。したがって, この質的資本調達コストK' qua1 (v) は, n - 1 個 の間隙. Vk:S:v:S: Vk+l. の各 々 に対 し て異な る 関数. K' qua1:k (v). と して定義さ. れ, 同時に次の諸特色を有す る 。 (参照。図 ill ) すなわ ち, (1). 量的限界資本調達コスト関数. K' Q uant (V). が連続関数で あ る と い う 前. 提下では, 連続関数の有理関数 と しての質的限界資本調達コスト関数 K ' qual:k (V). はその定義間 隙においてまた連続してい る 。. (2) 危険係数の分母 で あ る 限界利益見積りが常にゼ ロ より大きい 一一定義 邸ual ( v ) ---· Kqua l (v). Vk. Vopt. Vk•J. V. 図 皿 各定義間隙に対 して成立する 質的限界資本調達 コ ス ト 関数. K' o u ● 1 ;k (V). と , あ ら ゆ る 定義間隙に 亘 っ て 成立す る 質的限界資本醐達 コ ス ト 関数. K ' q u a I (v) の 関係図80). 30). Lipfert, H.: optimale Unternehmensfinazierung, S. 96.. -158 ( 472 ) -.
(19) 間隙. vk::=;;:v::=;;:vk+1. に 対 し てK' quant(v)::=;;:E' k+1<E' k+2< · · · <E' n が成 n. 立 し , 結 果 と し て :E. i-k+l. (E'; - K' quant (V) ) w;>. 質的限界資本調達コ ス ト 関数. 0. と なる一ー ゆ え に ,. K' qual;k (v). は定義 間 隙 で は極 を有 し な. K' qua1;k (v). を本来の定義間 隙 を越え て. い。 (3). 質的限界資本調達コ ス ト 関数 追求するならば,. n. 工. i ー k+l. E'1 • W; =. t. i ーk+l. K' quant (V) • W1,. すなわ ち , 危険. 係数の分母が値ゼ ロ をと る資本羅 V で, 極 を有する。 (4). 質的限界資本調達コ ス ト 関数 示すならば,. (5). K' qual;k (V). v1<v く. . . < v。一 1 2. が極 を有する と ころ を Vk で. が成立する。. 2 つ の隣接間隙の 質 的 限界資本調達コ ス ト 関数. たと え ば, 間 隙 [Vk,V1<+1J. と. [Vk+1 ,Vk+2J. に お け る K' qual;k (V) と. の定義間 隙 を越 え て追求するならば,. K' qua1:k+1 (v). を, 本来. K' qual;1< (Vk+1) = K' qual;k+1 (Vk+1). が成立する。 すなわ ち , 各定義間 隙 に 対 し て成立する質 的 限界資本調 達コ ス ト 関数. K' qnal;k (V). は常 に 間 隙境界. Vk. に お い て相 互 に 接続 し. てい る。 (6). 2 つの隣接間 隙の質 的資本調達コ ス ト 関数は, 量的 限界資本調達コ ス ト 関数. K' quant (V). が限界資産収益率の期待値 E' に 等 し い と ころ ,. し たが っ て最適な資本量 Vopt に お い て, 第 2 の交 点を有する。 (7). あ らゆ る間 隙 に 亘 っ て成立する質 的限界資本 調達コ ス ト 関 数K\ual (v) は, 資本量V1 で, すなわち , 量的 限界資本調達コ ス ト 関 数. K\uant (V). が も っ と も 不都合な限界資産収益率予想 Eり と 交わる点で, 値ゼ ロ を と る31) 。. 31). 定義よ り ,. V1�V�V2 に対して, K' q u a l ; 1(v) =. (K ' Q u a n I (v) - E ' 1) • w1 ' o E ' 1 - K ' q u a o t (V) ) • w1 ( 1�. (E ' o - E ' ) が成立する 。 こ こ に , V = V1 を 投入すれば, K ' q u a o 1 CV1) = E 勺 ゆえ に, 質的資本調達コ ス ト 関数 K ' q o a 1 (v) は値ゼ ロ を と る 。. -159 ( 473 ) -.
(20) (8). 限界総 資本調達コス ト 関 数 Vopt. (9). K ' qua1 (v) + K ' quant (v ). でもっ と も好都合 な限界資産収益率予想. 質 的 限界資本調達コス ト 関 数は資本量 Vn. E' n. —. は最適な資本量 と 交わ る32) 。. 量的 限界資本調達コス. ト 関 数がも っ と も好都合 な限界資産収益率予想. E' n. と 交わると こ ろ. 4) — では無限 大 である33)3 。. なお , 以上の理論展開 では, 確実性 下のそれと 同 様, 収益性を条件 とする 資本調達コストのみ をと り あげ てき た 。 し か し ながら, 同 時 に, 支払能力 を 条件 とする資本調達コストにつ いても考慮する必要がある。 この点,. H. リ. ッ ペ ル トは, まず, 他人資本の非延期危険による質的 資本調達コストを, 経 験に基 いてその傾 き と 負 の定数―― そ し てその非延期危険から開放された 領. 32). 今, 定 義間隙 [k' , k' + l] が, E ' k'�E ' �E 'k '+1, すな わ ち, Vk �Vop t � Vk'+1 が成立する よ う に選択される。 この 場合には, 質的限界資本調達 コ ス ト K ' 0 u a l (v)は, 最適 な 資本伍 V o p t で , K q u a n t (Vo p t ) = E ' が成立するゆえに , 値 1. I. k'. K ' q u a ! ; k • (V o p t ). I:i-1 (K ' ou a n 1 (v) - E ' 1 ) • w 1. n I: CE 勺 ー K ' q u a n t (v)) • W 1 i -k'+1. k'. エ (E ' -E ' 1 ) • w 1 i -1. ・ (E ' . - E ') n :E (E ' i - E ' ) · W i 1 -k ·+i. で あるゆ え に , (E' n - E' ). をと る。 更に,. ・ (E ' n. ー. E'). n E ' = :E E' い W t 1 -1. n k' E' 1 w 1 1: w 1 E ' - E' 十 1: ' 1 -k'+l ' K o u a l ; k ( V o p t ) = 写1 k' 工 E' 1 w 1 I ーヽ'+1. ー. ( I - 1: w 1 ) E I 一1. n. かつ :E. Wi = l. , -1. ・ (E 'n - E' ) = l ・. と な る。 それゆ え, K ' g e s (Vop t) = K ' q u a n t (Vo p 1) + K ' q u a I (Vo p t ) と な る。. =E' + (E' n - E ' ) =E' n. 33). 資本星 Vn で は, 質的限界資本調達 コ ス ト 関数 K ' q u a n t (vn) =E' n. で ある 。 それゆ え, と な る。. · = oo. 34). ゆえに,. K ' q u a I ; n-1(v). が成立するが,. n -1 工 (E' . - E' 1 ) · w 1 i -• ・ (E' . - E ' ) K' qu a l ; nーi(v . ) = CE' . - E' . ) w i. K ' g e s (vn) = K' q u a n t (vn) + K' qu a ! (vn) =E' n + oo = oo. Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 91-99 .. -160 ( 474 ) -.
(21) 域 op ー が決定され る , 非延期危険関数 K' i,Ii,qual (v) で表現す る 。 そして , 収益性を条件 と す る 資本調達コストに よ り形成され る 限界総資本調達コスト 関数 K' ges(V) と 限界資産収益率予想 資量 v。m は,. E' n. の交点で 決定された先の最適な投. この非延期危険関数を と もに考慮す る こ と に より, 新たに形. 成され る 限界総資本調達コスト関数 K' 石(v) と 限界資産収益率予想 E' n の 交点で決定され る 投資量. 雨 に移動 す る 35) 。. V. (参照図IV ) 他方, H. リ ッ ペ. ルトは, レバ レ ッ ジ効果の悪 い 面 と し て 生 じ る , 損失表示におけ る 自己資本の Kges(v) ; Kg,汚 (v) kりuant (v) Kqual (v). E. Kges (v). '. Eri. >. V雨 Vopt. -- - - - -. 図N . 非延期危険関数の考慮下での最適な資本鎚36) 減少危険につ い ては,. 簡単に.. 「 も っ と も 不都合な限界資産収益率予想 Ei. の発生におい てさえ , 自己資本は 絶対に侵害され る べきでない 」 と い う 制約 条 件が設定され る ケ ー スのみを検討す る 。 こ の ケ ースでは,. まず, 条 件. J. すなわ ち , も. Vkr. (E' 1 (u) - K' quant;kr (u) ) du =. 0 を充たす 臨界資本量. っ と も不都合な限界資産収益率予想 35) 36). E' 1. Vkr,. におい て獲得され る 利益で量的資. Lipfert ,H.: Optimale Unternehmensfinanzieurng, S. 102-111 . V gl. Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 104 u. S.109 .. -161 ( 475 ) -.
(22) 本調達コ ストが丁度相殺 される資本最が探される。 次 に , Vkr. と最適な資本量 Vopt とを比 較す る こ とに よ り , ケ ー ス 1. 生するか, ケ. ー. こ の臨界資本量 :Vkr>Vopt. が発. ス 2 :Vkr<Vopt があらわれるかが確 認される。 そ し て, ケ ー. ス 1 では も っ とも不都合 な限界資産収益率予 想 Eり の発生 に お いてさえ 自 己 資本は侵害されないゆ え に ,. 企業は最適な資本量 v。m を実行する。 それ. に 反 し てケ ー ス 2 があらわれるならば, 自 己資本の減少危 険 を回避す るため に , 臨界資本量 Vkr が実施される37) 。. V. お. 本稿 では,. わ. り. に. H. リ ッ ペルトに よる最適財務資金装備の決定理論に つ いて検. 討 し た。 とこ ろ で, 最近20年間の西 ド イ ツ の経営財務論は, MM 理論や ポ ー トフ ォ リ オ 理論を中 心 に し て急 速に 理論的 ・ 分 析 的 内 容 を充実させてき た, ア メ リ カ の財務管 理論の動 向 に 注 目 し ながら, 展開 さ れてき た。 し かも 同 時 に , 西 ド イ ツ の経営財務論では, ア メ リ カ の こ れら研究成果 を単 に 紹介 す るのではなくて, 批判 的検討 を加 え て, 利 用 可能なもののみ を自 らの理論 展開 に お いて積極 的 に 活 用 し よ う とす る姿勢がみ られる38) 。 こ の点, 本稿で 検討 し た, H. リ ッ ペ ルトの理論展開 も例外ではない。 す なわち, 既 に 第 ll 章 で述べたよ う に , 彼の理論展開 の直接の契機とな っ た, 1 958年の MM 理論 は, 完全競争市場や 投 資家の合理的行動 を仮定すれば, 企業の平均 資本調達 37) 3 8). Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 1 1 1- 1 16 .. 森昭夫稼 「西独 における経営財務研究の 動 向と 問題点」 「国民経済雑誌」 第142 巻第2 号, 19 80年, 97-11 3頁。 なお, MM理論 に ついて検討する代表的文献 に は , Assenmacher, W. : Die Theorie der Kaptalkosten und Investition fur Aktiengesellschaften unter Unsicherheit, Meisenheim am Gian1976 他方, ポ ー ト フ ォ リ オ に ついて検討する それには, Peters, L. : Simultane Pro. du\-:tions-Investitionsplanung mit Hilfe der Portfolio Selection, Berlin. 197 1 がある。 ー162 C 476)-.
(23) コ ス ト が 完全に他人資本対自己資本比率に独立 している こ と を論証 したが, その後のア メ リ カ の財務管理論では, 使用された非現実的な諸仮定をよ り現 実的なものに取替える こ と に よ り, 平均資本調達 コ ス ト を最低にする最適資 本構成が存在するか否かについて論争されてきた39) 。 しか し なが ら , ッ ペ ル ト は, 初めか ら , この論争にはかかわ ら ずに,. H. リ. MM 理論が平均資本. 調達 コ ス ト と 資本構成の関係を問題にするものであるな ら ば, この問題 が長 年 生産理論や販売理論で使用されてきた限界分析で論述できないかを検討 し ている。 ま た,. MM 理論では, 理論展開を簡単にするために, 資本市場に. おいては株 式 と 社債の 2 つの資本種類のみが利用されうる と 仮定されるのに 対 して, H. リッ ペ ル ト は, 西 ド イ ツ の経営財務論においてはあ ら ゆる時点 で 支払能力を維 持 しなが ら , 利益最大化を追求する こ と を企業目標 と して設 定される こ と が 多 い こ と か ら , 収益性を条 件 と する資本調達 コ ス ト と 支払能 力を条 件 と するそれに大別する と と も に それぞれ が複数の資本種類の個別 資本調達 コ ス ト と コ ス ト 構成部分か ら 形成される と 主張する40) 。 しか も, そ の際注意すべきこ と は, 西 ド イ ツ 独特の支払流列における相互依存関係を重 視する と いう研究姿勢か ら , 個 々 の資本種類間の相互依存関係が重視されて いる41) 。. し か し なが ら ,. H. リ ッ ペ ル ト の理論展開には. 次の ような欠陥 がみ ら れ. る。 すなわ ち , まず, 先の個 々 の資本種類間の相互依存関 係は, 収益性を条 件 と する資本調達 コ ス ト を推論する場合に限 ら れている。 反面, この収益性 を条件 と する資本調達 コ ス ト と 支払能力を条件 と するそれ と の間の相互依存 39). 赤石雅弘稿 「MM論争 の展開」 森昭夫 ・ 後藤幸男編 「経営財務J 有斐閣双書第 9 章, 1972年, 146-161頁。 Vgl. A. Robichek and S. G. Myers, "Optimal Financing Decisions, Prentice-Hall, N. J., 1965. 40) Vgl. Chmielewicz, K.: a. a. 0., S. 50-53 u. S. 88-92 .; Krummel, H.-J.:. 41). Grundsatze der Finanzplanung, ZfB, 34. Jg. ,1964, S. 232. Schweim, J.: Integrierte Unternehmungsplanung, Bielefeld 1969, S.2429.; Kern, W.: a. a.. 0., S. 261 u. S. 323 . -163 C 477 ) -.
(24) 関係, 更に は , 資産収益率を 一 定 と 仮定す る こ と によ り , 投資 と 資本調達の. 間 の 相 互依存 関係につ い て は 言及 さ れて い な い。 しか も , 理諭展 開 は 資本調. 達領域に の み 限定 さ れて い る 。 そ れ ゆ え , 資本調達以外の 活動領域によ る 資 本 調 述 の 最適値に対す る 作用 は 把握 さ れず, そ の 結果算定 さ れ る 最適 値 は 副. 次的最適値 (Suboptimum) の状態に と ど ま っ て お り , 企業全体に対す る 総. 合 的 な最適値で は な い 42) 。 ま た , 量的 資本識達 コ ス ト は , 市場利子率や法定. 手 数料によ り 客観的に算定で き る と して も , 質 的 資本調達 コ ス ト は ど のよ う. にして把択 さ れ う る で あ ろ う か。 この点,. H. リッ ペ ル ト は , 非延期危 険関. 数が対 比 さ れ る べ き で あ る 資産構成部分の拘束 期 間 と 汽本構成部分 の 利 用 可. 能期間 の 比率に, 損失表示に お け る 自 己 資 木 の 減少危険が利益獲得機会 と 自 己資本の減少危険の 対比に基 づ い て 個人的に さ ま ざ ま に 決定 さ れ る と 述ぺ る. に と ど ま っ て い る 43) 。 それ ゆ え , 質 的 資本調達 コ ス ト は , 個 人 の 任意性か ら 脱却で き な い性格 を有す る 。 以上 のよ う に,. H. リッ ペ ル ト の主張に は 今 日 な お克服 さ れ る べ き で あ る. 課題が多 数残 さ れ て い る 。 しかしな が ら , 最適企業資金調達の 諸問題が, 新 古典派の 経済学者によ っ て 既に解決済 で あ る と み な さ れ た り , 回避的に取り. 扱 わ れて い る のに対して, 実 際 の 経験に基 づ い て, も う 一度検討しな お そ う と す る , 彼 の 姿勢 は 高 く 評価 さ れ る べ き で あ ろ う 。 ※. な お, H. リ ッ ペ ル ト の主張を検討 し た 代表的な も の と し て は , 井上康男著 「不. 確実性と 資本予卵」 「第 4 窃ー] .. 81-98頁があ る 。. 42). 43). リ ッ ペ ル ト の最適財務構成論」 白桃書房昭和49年,. Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 39 FuBnote 1) . Lipfert, H.: Optimale Unternehmensfinanzierung, S. 105-107 u. S.1 1 1-. 116.. -164 ( 478 ) -.
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