《修論報告》子どもたちのコミュニケーション行為へ向けた動機の形成について~国語科の授業を通して~
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(2) 横浜国大国語教育研究 No.43(2018) 点が明らかになった。そのため、これまで主に心 理学の領域において個人の性格の表象として捉え られてきた「キャラ」を、社会構成主義の立場か ら言葉によって作り出されるものと捉えることで 「キャラ」の固定化を解消する方法を提示した。 最終的に、それらの考察を踏まえ、「キャラ」が 決定される過程をイデオロギーとディスコースの 関係の中に捉え、それらを変革する方法として、 教師の「キャラ」を分析する授業を提示した。 3、成果と課題 本研究は、子どもたちのコミュニケーションに 対する不安を解消する方法を、「内面化されたイ デオロギーを逆照射する文学の授業」、教師の 「キャラ」について考える授業という形で提示し た。本研究の成果は、そうした国語科の授業を構 想するという形で、子どもたちのコミュニケーシ ョンに対する不安を解消する方法を長期的・短期 的視座から明らかにしたことである。 対して、本研究に残された課題は、教科教育学 としての国語科に求められる臨床性が欠如してい ることである。つまり、本研究を通して構想した 国語科の授業を、学校現場でどのように実践する のか、また実践できるのかということが課題とし て横たわっている。こうした臨床性に関わる課題 を克服するためには、本研究が構想した授業を実 践することを通して、その理論を修正・補強する ことが必要となる。 4、引用・参考文献 大澤真幸(1996)『虚構の時代の果て』、筑摩書 房 柄谷行人(1992)『探求Ⅰ』、講談社芸術文庫 斎藤環(2011)『キャラクター精神分析』、ちく ま文庫 土井隆義(2009)『キャラ化する/される若者 排 除型社会における新たな人間像』、岩波書店 本田由紀(2005)『多元化する「能力」と日本社 会 ハイパー・メリトクラシー化のなか で』、NTT 出版 【注】 (1)本研究で用いる「他者」という用語は、柄 谷行人(1992)が示した「他者」の定義に依拠し ている。柄谷は、ウィトゲンシュタイン(Ludwig Josef Johann Wittgenstein)の「言語ゲーム」 の概念をもとに、「他者」を「言語ゲーム(規 則)を異にする者」と定義した。本研究では、言 語ゲームを規定するものをイデオロギーと捉えた 上で、この柄谷の「他者」の定義に基づいて、 「他者」を「自分と異なるイデオロギーに所属す る存在」として定義した。 150.
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