1/3 論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨の公表 学位規則第 8 条に基づき、論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨を公表する。 ○氏名 岩本 祐太郎(いわもと ゆうたろう) ○学位の種類 博士(工学) ○授与番号 甲 第 1171 号 ○授与年月日 2017 年 3 月 31 日 ○学位授与の要件 本学学位規程第 18 条第 1 項 学位規則第 4 条第 1 項 ○学位論文の題名 三次元医用画像の超解像技術と医用画像解析への応用 ○審査委員 (主査)陳 延偉 (立命館大学情報理工学部 教授) 徐 剛 (立命館大学情報理工学部 教授) 平林 晃 (立命館大学情報理工学部 教授) <論文の内容の要旨> 本論文は,三次元医用画像の超解像技術の開発を目的とし,序論,超解像技術のレビュ ー,スパース表現と自己相似性を用いた超解像技術,Iterative Guided Back Projection 法によ る超解像技術,医用画像のセグメンテーションへの応用,結論の6章から構成されている. 本論文における研究成果は,以下のとおりである. 1. 本研究では,スパース表現と自己相似性を用いた三次元医用画像の超解像技術を 提案した.提案手法では,(a) 自己相似性の着想を基に,三次元医用画像の高解像 度で取得可能なスライス面内画像(例えば体軸断面)を利用しデータベースを構築 した.(b)スパース制約に基づく辞書学習により画像を効率よく再表現し,従来に 比べ小規模なデータベースで入力画像のみで高解像度化が実現できた. 2. 本研究では,同一患者の画像の相似性に基づき高解像度で取得可能な医用画像(例 えばMR T1 強調画像)を参照し,低解像度のみ取得可能な医用画像(例えば MR T2 強調画像)の高精細化を図る超解像手法 Iterative Guided Back Projection 法を提 案した.既存のGuided Filter 法を Iterative Back Projection というフレームワー クに統合することにより高精度で高速な超解像技術が実現できた.
超解像技術は様々な医用画像解析への応用が期待される.本論文では,医用画像解析へ の応用事例として,脳MR 画像の領域分割に上記二つの提案手法を適用し,従来の補間手 法に比べ,高精度に領域分割が可能であることを示し,超解像技術の有用性を示した.
2/3 <論文審査の結果の要旨>
患者の診断にComputed Tomography(CT)や Magnetic Resonance Imaging(MRI)などの 三次元医用画像を用いることが日常となり,医用画像の画質が診断に影響を及ぼす一因と なっている.しかし,放射線被ばくや撮像時間など患者の負担を考慮した撮像条件から十 分な精度の画像を得られるとは限らず,特に臨床現場では三次元医用画像のスライス厚を 厚くして撮像する場合が多い.そのため,三次元可視化システムや位置合わせ・領域分割 等の医用画像解析において問題となる. 本論文では,ソフトウェアの面から三次元医用画像 の解像度の高精細化を目的として,学習型超解像技術を基礎とした新たな手法を提案し, その有効性を示した. 本論文の具体的な成果は以下3つである. 1. スパース表現と自己相似性を用いた三次元医用画像の超解像技術を提案した. 入力画像のみで高解像度化が可能な汎用性の高い手法であり,様々な医用画 像解析への応用が期待される. 2. 同一患者の画像の相似性に基づき高解像度で取得可能な医用画像(例えば MR T1 強調画像)を参照し,低解像度のみ取得可能な医用画像(例えば MR T2 強調 画像)の高精細化を図る超解像手法 Iterative Guided Back Projection 法を提 案し,高精度で高速な超解像技術が実現できた.臨床への実用が期待される. 3. 医用画像解析への応用事例として,脳 MR 画像の領域分割に上記二つの提案 手法を適用し,従来の補間手法に比べ,高精度に領域分割が可能であること を示し,超解像技術の有用性を示した. 以上の成果は,高く評価でき,学術的に価値のある研究として判断した. 本論文の審査に関して,2017 年 2 月 7 日(火)に公聴会を開催した.公聴会では,論文 内容に関する質疑を行い,各方面から論文提出者の考え方を問うことによって本論文を審 査した.その結果,本論文は博士の学位に値する論文であると判断した. <試験または学力確認の結果の要旨> 本論文の主査は,学位申請者と本学大学院情報理工学研究科情報理工学専攻博士課程後 期課程在学期間中に,研究指導を通じ,日常的に研究討論を行ってきた.また,本論文提 出後,主査および副査はそれぞれの立場から論文の内容について評価を行った. 本論文の審査に関して,2017 年 2 月 7 日(火)15 時 00 分~16 時 00 分クリエーションコ ア4階 知能情報学科会議室において公聴会を開催し,学位申請者による論文要旨の説明の 後,審査委員は学位申請者岩本祐太郎氏に対する口頭試問を行った.各審査委員および公 聴会参加者より,計算時間,深層学習との比較,CT や MRI のアーティファクトの影響など の質問がなされたが,いずれの質問に対しても学位申請者の回答は適切なものであった. 学位申請者は,本学学位規程第18 条第 1 項該当者であり,論文内容および公聴会での質疑 応答を通して,学位申請者が十分な学識を有し,博士学位に相応しい学力を有していると
3/3 確認した.
以上の諸点を総合し,学位申請者に対し,本学学位規程第18 条第 1 項に基づいて,「博 士(工学 立命館大学)」の学位を授与することが適当であると判断する.