小ナスのハウス栽培における問題点と対策
著者
福留 弘康
雑誌名
鹿児島大学農学部農場技術調査報告書
巻
2
ページ
7-8
URL
http://hdl.handle.net/10232/10021
小 ナ ス の ハ ウ ス 栽 培 に お け る 問 題 点 と 対 策 福 留 弘 康 緒 言 指宿 地 方 で は,温 泉 熱 を利 用 した 小 ナ ス の超 促 成 栽培 が植 物 試 験 場 で 開発 した技 術 お よび品 種 を 利 用 して,大 正 末期 よ り行 わ れ て い る')。 著者 は本 学 に赴 任 して 以 来,小 ナ ス 栽培 に取 り組 み,5ヵ 月余 りが 経 過 し よ う と して い る。 そ の 間 に,施 設 整 備,土 壌 消毒,は 種,管 理 及 び収 穫 な ど一 連 の作 業 を行 って きた(第1表)。 そ の 結 果,植 物 試 験 場 で小 ナ ス を栽 培 す る に あ た り,種 々 の 問題 の あ る こ とが 判 明 した の で 検 討 した 。 問 題 点 と改善 策 1)環 境 に つ い て 小 ナ ス(御 幸 千 成)の 栽 培 に必 要 な温 度 は18∼32℃,昼 間 は22∼32℃,夜 間 は18∼20℃ と され て い る 。植 物 試 験 場 の ビニ ー ルハ ウス 内 で は昼 間 の 温 度 は 足 りて い るが ,夜 温が17℃ を下回る 日が多 い 。 そ の た め に ビニ ー ルの 内 張 りや 温 泉-水 熱 交 換 器 で 造 成 した 温水 を 用 い た温 水-空 気 熱 交 換 器 に よる温 風 ダ ク ト送 法 を行 って い るが,ま だ 温 度 が 不 足 して い る 。 次 に,湿 度 の 問 題 が あ げ られ る。 ビニ ー ル ハ ウス 内 に温 泉 が流 れ て い る た め蒸 気 に よ る多 湿 が み られ る。 湿 度 が 高 い とキ ン カ ク病 や灰 色 カ ビ病 の 発生 に つ な が り,そ れが 果 実 に発 生 す る と商 品 価 値 が な くな る。 多 湿 を避 け るた め,特 に 昼 間 に は,時 々 天 窓,サ イ ド,出 入 口 の 開 閉 を行 い,病 気 発 生 防 止 の た め に トップ ジ ンM等 の 殺 菌 剤 を散布 す る 必要 が あ る 。 2)害 虫 につ い て 今 まで に発 生 した 害 虫 と して,ハ ス モ ン ヨ トウ,チ ャ ノ ホ コ リ ダニ,ミ ナ ミキ イ ロ アザ ミ ウマ が あ る。 特 に ミナ ミキ イ ロ アザ ミウ マ は,農 薬 に対 す る抵 抗 力 が 強 い 。 ミナ ミキ イ ロア ザ ミ ウマ に薬 剤 免 疫 をつ け させ な い た め に,現 在3種 類 の薬 剤 を輪 用 して い る(第2表)。 多 発 時 に は,週 に3 回 位 散 布 す る と効 果 的 で あ る 。 VA菌 の 施 用効 果 を調 査 す る た め ラ ンダ ム に20株 を選 ん だが,そ の株 の ほ とん どが ミナ ミキ イ ロ ア ザ ミ ウマ の被 害 を 受 け た 。調 査 用 株 に は3種 類(赤 ・橙 ・薄 青)の 色 札 を付 け た とこ ろ,そ の札 に ミナ ミキ イ ロ アザ ミウマ が 反 応 し,誘 引 され る可 能性 が 考 え られ た 。以 前 ネ ッ トメ ロ ンに もそ の よ うな現 象 が み られ た た め,こ れ につ い て 調査 して み た い と思 う。 3)用 土 につ い て 小 ナ ス に は ア オ ガ レ病 や ネマ トー ダが発 生 しや す く,こ れ を 防 ぐた め に消 毒 土 を用 い る。 消 毒 法 と して 土 を外 に運 び 出 し,ま とめ て蒸 気 消 毒 す る方 法 を とっ た。 しか し,こ の 方 法 は 大 変 な 労 力 が 必 要 で あ る。 土壌 消毒 の 省 力化 をは か る た め,土 もれ 防止 と敷 網 が 蒸 気 熱 で 溶 け ない よ う に寒 冷紗
を栽培 床 に敷 き,そ の場 で 蒸 気 消 毒 で きる方 法 を行 った 。 また,ク ロー ル ピ ク リ ンに よる 消毒 法 も 検 討 中 で あ る 。 潅 水 を続 け る と,用 土 が 単 粒 構 造 と な り,水 は け が 悪 くな る 。 こ の現 象 を 防 ぐた め に,次 回 か ら は床 土 に くん炭 を まぜ て 栽 培 す る こ と を検 討 して い る 。 要 約 小 ナス の 栽 培 をす るに 当 り,温 度 の確 保,湿 度 の 問 題,薬 剤 散 布 の改 善 点,土 壌 消毒 法 を指摘 し, 解 決 の 方 法 を検 討 した 。 今 後,生 産 農家 に と り有利 な情 報 が 提 供 で きる よ う に さ らに 努 力 した い 。 引 用 文献 1.鹿 児 島 高 等 農 林 学 校.1926.鹿 児 島 高 等 農 林 学校 指宿 植 物 試 験 場 温 泉 熱 利 用 促 成 栽培 試験 報告. 1∼56. 第1表 小 ナ ス 栽培 の作 業暦(1992) 作 業内容 月 日 は 種 7.27 鉢 上 げ 8.6∼10 定 植 9.9 元 肥 9.25 追 肥 12.4 第2表 発 生 した害 虫 と使 用 した薬 剤(1992) 使 用 薬 剤 名 害 虫 名 ハ ス モ ン ヨ ト ウ チ ャ ノ ホ コ リ ダ ニ ミ ナ ミ キ イ ロ ア ザ ミ ウ マ DDVP乳 剤 デ ス トク チ オ ン乳 剤 ア グ ロ ス リン乳 剤 バ ッサ 乳 剤 ○ ○ ○ ○ ○