Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
医療経済の環境変化と歯科医院経営の課題
Author(s)
木村, 泰久
Journal
歯科学報, 111(4): 421-421
URL
http://hdl.handle.net/10130/2601
Right
歯科医院は68,000軒余を数え,競争激化のなかで二極化が進行し厳しい環境にある。医業収入を見ると,国 民医療費支出が平成20年度の34.1兆円から22年度36.6兆円に増加するなかで,国民歯科医療費は平成20年度の 2.6兆円から増えていない。さらに,歯科医療は景気変動による影響を受けやすく,東関東大震災や急激円高 などによる不況の影響を受けると考えられる。そのなかで成長を図るために,環境変化を分析し,経営戦略を 検討しなければならない。 まず,プラスの環境変化として,第一に高齢者の歯科疾患の増加が予想される。第二にインプラントの市場 拡大と成熟化があげられる。第三に,審美歯科とホワイトニング,そして成人矯正など審美に関する歯科医療 の需要増大が考えられる。 逆にマイナスの環境変化では,第一に歯科診療所の競合と二極化がますます進行すると予想される。第二 に,歯科衛生士と歯科技工士の不足が深刻化すると予想される。第三に,クレームと歯科医療訴訟の増加が予 想される。 今後の歯科診療所の成長のためには,これらを踏まえたうえで,「競争を前提とした経営戦略」を策定する 必要がある。そして,マーケティング戦略の第一は,「できるだけ痛くしない医療サービスの提供」である。 第二は,自院で提供する歯科医療のメニューの充実を図る方向性である。第三は,高齢化の進行に向けた歯科 医療への方向性である。これらに合わせて,保険外給付外診療についての料金設定,広告や接遇の見直し,さ らに人事労務管理面の体質強化対策を検討する必要がある。 激烈な環境変化に耐えて生き残り成長を図るためには,個々の歯科診療所にあわせた戦略方向を策定し,着 実な取り組みを開始すべき状況にあると考えられる。 ≪プロフィール≫ <略 歴> 昭和47年 関西大学商学部卒業 飛島建設(とびしまけんせつ)株式会社入社 社長秘書,経営企画担当課長,人事企画担当課長,大阪 支店営業推進課長を経て,神戸統括出張所副所長,関東 建築支店営業推進部長などを歴任。 平成14年 M&D 医業経営研究所を設立。 現在,株式会社M&D医業経営研究所 代表取締役社長。 ㈳日本医業経営コンサルタント協会 認定登録医業経営 コンサルタント 同協会 支部支援委員会委員 同協会 歯科小委員会委員長 同協会 神奈川県支部理事 <著 書> 単著 『患者を呼び込む 医院看板のつくり方』日本医療企 画2007年6月刊 『患者満足度№1!成功する歯科経営 最強のマーケ ティング』日本医療企画 2006年 『病医院キャッシュフロー経営成功の秘訣60』日本医 療企画 2004年 白書等 『歯科医療白書2008年度版』社団法人日本歯科医師会 『医療経営白書2008年度版』日本医療企画 ヘルスケ ア総合研究所 『医療経営白書2007年度版』日本医療企画 ヘルスケ ア総合研究所 月刊 その他,雑誌等 『メディカルプラクティスニュース』TKC 出版 『クリニックばんぶう』日本医療企画 『医療経営情報』エルゼピアジャパン など。