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IRUCAA@TDC : フラップ手術や歯根端切除など難易度が高い外科処置や自費の補綴処置を,研修歯科医は行っても良いでしょうか。指導歯科医が行わせても大丈夫でしょうか。

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Academic year: 2021

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(1)

Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

フラップ手術や歯根端切除など難易度が高い外科処置や

自費の補綴処置を,研修歯科医は行っても良いでしょう

か。指導歯科医が行わせても大丈夫でしょうか。

Author(s)

平田, 創一郎

Journal

歯科学報, 114(6): 594-596

URL

http://hdl.handle.net/10130/3504

Right

(2)

1.研修歯科医が有する資格 研修歯科医は,歯科医師法の上では手技等に制限 は設けられていません。これはすべての歯科医師に ついて同じです。すなわち,歯科医師免許を取得し た時点で,歯科医行為を行う法律上の資格を得た 『歯科医師』ということになります。 歯科医師法第2条 歯科医師になろうとする者 は,歯科医師国家試験に合格し,厚生労働大 臣の免許を受けなければならない。 歯科医師法第17条 歯科医師でなければ,歯科 医業をなしてはならない。 臨床研修については歯科医師法第3章の2 臨床 研修 第16条の2∼第16条の6に規定されています が,もちろん,ここにも業務範囲についての規定は ありません。診療場所の規定は以下の通りです。 歯科医師法第16条の2 診療に従事しようとす る歯科医師は,1年以上,歯学若しくは医学 を履修する課程を置く大学に附属する病院 (歯科医業を行わないものを除く。)又は厚生 労働大臣の指定する病院若しくは診療所にお いて,臨床研修を受けなければならない。 研修歯科医が法律上,行為の制限を受けるのは, 医療法の規定に基づく病院・診療所の開設・管理に 関する事項となります。 医療法第7条 病院を開設しようとするとき, (略)臨床研修等修了歯科医師(略)でない者が 診療所を開設しようとするときは,開設地の 都道府県知事(診療所又は助産所にあつて は,その開設地が保健所を設置する市又は特 別区の区域にある場合においては,当該保健 所を設置する市の市長又は特別区の区長。 (略))の許可を受けなければならない。 医療法第10条 病院又は診療所の開設者は,そ の病院又は診療所が(略)歯科医業をなすもの である場合は臨床研修等修了歯科医師に,こ れを管理させなければならない。 2.正当な医療行為による違法性阻却 では,資格さえ取ってしまえば何をしてもよいと いうことでしょうか。さすがにそういうわけにはい きません。法律上の権利である歯科医行為を行うに は,歯科医師としての義務を果たさなければなりま せん。その義務とは何か。代表的なものは民法に規 定される善良なる管理者の注意義務(善管注意義務) が挙げられます。具体的には『診療当時のいわゆる

臨床のヒント

Q&A

社会歯科学系

Q&Aコーナーは,東京歯科大学の3病院の臨床研修歯 科医から寄せられた質問に対しての回答です。回答は本 学3施設の専門家にお願い致します。内容によっては基 礎や臨床,あるいは歯科や医科と複数の回答者に依頼す る場合もあります。毎号掲載いたしますので,会員の皆 様もご質問がございましたら,ぜひ東京歯科大学学会ま でeメールかファックスで依頼していただきたいと存じ ます。必ずご期待に添えることと思います。今号は研修 歯科医の歯科医療行為に関する質問です。

Question

フラップ手術や歯根端切除などの難易度が高い外科処置や自費の補綴処置を,研修歯科医は行っ ても良いでしょうか。指導歯科医が行わせても大丈夫でしょうか。

Answer

594 歯科学報 Vol.114,No.6(2014) ― 62 ―

(3)

臨床医学の実践における医療水準』を満たした医療 を提供しなければならないと考えられていますし, 安全な医療の提供は医療従事者として当たり前のこ とです。十分な知識・技能がないまま診療行為を行 い患者に健康被害を生じさせた場合には,注意義務 違反(過失)が問われ業務上過失傷害罪が適用される こともあります。2002年の東京慈恵会医科大学附属 青戸病院での腹腔鏡下手術事件や2007年のインプラ ント手術での死亡事故など,業務上過失致死罪で有 罪が確定した事件を覚えていらっしゃる方も多いで しょう。すなわち,これは研修歯科医に限らず,す べての医療従事者に適用されるということです。民 事・刑事における医療水準の考え方については,多 分に議論の余地がありますので,詳細はここでは取 り上げずにおきます。 幾分,古い通知になりますが,看護師への静脈注 射の実施を認めた厚生労働省医政局長通知1) には, 以下のように記されています。 2 ただし,薬剤の血管注入による身体への影 響が大きいことに変わりはないため,医師又 は歯科医師の指示に基づいて,看護師等が静 脈注射を安全に実施できるよう,医療機関及 び看護師等学校養成所に対して,次のような 対応について周知方お願いいたしたい。 ⑴ 医療機関においては,看護師等を対象に した研修を実施するとともに,静脈注射の 実施等に関して,施設内基準や看護手順の 作成・見直しを行い,また個々の看護師等 の能力を踏まえた適切な業務分担を行うこ と。 ⑵ 看護師等学校養成所においては,薬理作 用,静脈注射に関する知識・技術,感染・ 安全対策などの教育を見直し,必要に応じ て強化すること。 ⑴では卒後の研修を医療機関に,⑵では卒前の知 識・技能の教育を学校に求めています。また,歯科 衛生士の採血等について2006年に厚生労働省歯科保 健課が示した見解2) でも, ⑴ 歯科医師の指示の下で行っている。 ⑵ 十分な知識と経験,技能がある。 ⑶ 患者の不利益になっていない。 ため,法に触れないとされました。歯科衛生士に技 能がない場合などは違法行為の可能性があるという ことです。そもそも医療従事者は,その専門的知 識・技能・態度とそれに基づく免許,ならびに患者 の同意によって傷害罪の違法性が阻却されている (罪に当たらない)ということを忘れてはいけませ ん。 看護師や歯科衛生士の例を示しましたが,医行 為・歯科医行為について,必ずしも免許取得前,す なわち卒前教育ですべてを修得しなければならない 訳ではないことは,ご承知の通りです。外科手技 は,ごく基本的なものを除きほとんどが卒後に修得 するものですし,専門領域の高度な診療について も,資格を得た後にもっと長い年月をかけて身につ けていくことになります。 3.研修歯科医は1年目の臨床歯科医 研修歯科医とは,臨床歯科医師としての1年目と いう位置付けです。ですから,質問は『フラップ手 術や歯根端切除などの難易度が高い外科処置や自費 の補綴処置』は,1年目はやってはいけないけれ ど,2年目以降は OK か,ととらえることもできま す。さすがに1年目でそういった行為ができるよう になる歯科医師はそれほどいないでしょうが,2年 目以降でも何年目からできるということではなく, 指導歯科医や上級医が実際にできる能力があるかを 判断した上で,若手の歯科医師に少しずつ任せてい くのが実際のところではないでしょうか。そうやっ て経験を重ねて技能を修得していき,いずれ独りで 実施できるようになっていきます。 ただ,臨床研修は歯科医師法に則って行われる法 定のものですから,診療体制に係る指導監督責任は 発生します。その指導監督責任の所在は,指導歯科 医であったりプログラム責任者であったりするで しょう。ご質問にあるように「指導歯科医が行わせ ても良いか。」がこれにあたりますね。特に研修歯 科医の場合,単独で診療にあたることはあり得ず, 必ず指導歯科医やプログラム責任者がいる環境下 で,いわゆるチームで診療にあたることになってい 歯科学報 Vol.114,No.6(2014) 595 ― 63 ―

(4)

ます。ですから,その研修歯科医がどこまでできる かを適正に評価・判断した上で,指導歯科医やプロ グラム責任者が処置行為の指示を研修歯科医に出す のが妥当です。もちろん,すでに独りでできるよう になっている範囲の行為については,研修歯科医が 自ら判断し,処置をすることもあるでしょうが,そ れでも上級医への報告・連絡・相談は当然です。 4.研修歯科医は診療の補助行為は行えない 蛇足になりますが,診療の補助行為とは,保健師 助産師看護師法に規定される看護師の業務独占行為 です。 保健師助産師看護師法第5条 この法律におい て「看護師」とは,厚生労働大臣の免許を受 けて,傷病者若しくはじよく婦に対する療養 上の世話又は診療の補助を行うことを業とす る者をいう。 保健師助産師看護師法第31条 看護師でない者 は,第五条に規定する業をしてはならない。 ただし,医師法又は歯科医師法の規定に基づ いて行う場合は,この限りでない。 とあるように,歯科医師が歯科医師法の規定に基づ いて行うアシスト(介助)は,すなわち歯科医行為と なります。研修歯科医がアシストを行うのも,2年 目以降の歯科医師がアシストを行うのも,術者と一 緒に歯科医行為を行っていると理解して下さい。そ の意味では,『フラップ手術や歯根端切除などの難 易度が高い外科処置や自費の補綴処置』のアシスト に付いている研修歯科医は,一緒にその処置を行っ ていると言えます。 5.自らの限界を知る そうは言っても,患者さんがどうしても自費治療 を⃝⃝研修歯科医にお願いしたい,というケースも あるかもしれません。自費にしても難易度の高い処 置にしても,医療はどうしてもと頼まれたからす る,といった類のものではありません。研修歯科医 に限らず,医療従事者はプロとして自らの限界を知 り,その限界を超えるようであれば厳にこれを慎 み,適切な医療を提供できるようにしなければなり ません。 Answer:平田創一郎 東京歯科大学社会歯科学研究室 文 献 1)厚生労働省医政局長通知「看護師等による静脈注射の実 施について」(平成14年9月30日付医政発第093002号) 2)2006年11月6日 共同通信社 歯科衛生士が採血,投薬 厚労省「技能なしは違法」神戸の障害者向け診療施設 596 歯科学報 Vol.114,No.6(2014) ― 64 ―

参照

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