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タイポグラフィ雑誌『フラーロン』について 前編 発刊の経緯と編集・組版

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Academic year: 2021

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接 な 関 係 を も た ら し た 。 彼 は 後 に 社 会 改 革 に 強 い 関 心 を も ち 、 経 済 や 政 治 に 対 し て 疑 問 を 呈 し て 、 社 会 生 活 上 で の 道 徳 を 切 り 離 し た 上 で の 芸 術 の 自 立 と い う 考 え 方 を 拒 否 し て い た 。 そ れ に 加 え て 機 械 依 存 の 大 量 複 製 へ の 嫌 悪 も あ っ た 。 ま た 、 こ れ ら の 動 き に 加 え て 、 一 八 八 四 年 に ﹁ ア ー ト ・ ワ ー カ ー ズ ・ ギ ル ド ﹂ の 設 立 を み る 。 こ れ は ア ー ト ︵ 美 術 ま た は そ の 技 芸 ︶ と ク ラ フ ト ︵ 工 芸 ︶ の 展 示 発 表 を 進 め る と い う 組 織 だ っ た 。 ギ ル ド と い う 語 は 、 そ の ま ま 中 世 へ の 志 向 を 強 く 暗 示 し て い た 。   ラ ス キ ン の 考 え に 影 響 を 受 け て 、 実 践 面 で 誠 実 に 実 行 し た の が エ メ リ ー ・ ウ ォ ー カ ー ︵ 一 八 五 一 ︱ 一 九 三 三 ︶ だ っ た 。 彼 は 書 籍 や ア ー ト に 関 し て 博 識 で 、 彼 を 凌 ぐ 者 は い な か っ た ほ ど だ っ た 。 そ の ウ ォ ー カ ー の 刺 激 と 支 え に よ り 、 ウ ィ リ ア ム ・ モ リ ス は 最 後 の 花 を 咲 か せ た 。 モ リ ス は い く つ か の ア ー ト を 実 践 し た 後 に た ど り 着 い た 総 合 的 な 成 果 を 発 揮 で き る 分 野 と し て 、 書 籍 製 作 に 取 り 組 み 、 ケ ル ム ス コ ッ ト ・ プ レ ス を 開 設 し て 、 晩 年 の 時 間 を 注 い だ 。 モ リ ス の 製 作 し た 書 籍 は 、 そ の 判 型 の 大 き さ と 材 質 の 贅 沢 さ 、 独 自 の 活 字 書 体 の 使 用 で 際 立 っ て い た 。 ︵ 二 ︶ 私 家 版 運 動   日 本 で は お お む ね ﹁ 私 家 版 印 刷 所 ﹂ と の 訳 語 が 定 着 し て い る プ ラ イ ヴ ェ ッ ト ・ プ レ ス は 、 個 人 規 模 で の 印 刷 ・ 出 版 活 動 の 拠 点 と し て 位 置 づ け ら れ て い る 。 私 家 版 印 刷 所 の 定 義 に つ い て は 、 マ ル テ ィ ン 、 ク ロ ー デ ィ ン 、 ポ ラ ー ド な ど と い う 書 誌 学 系 の 権 威 者 に よ る 試 み が あ る が 、 そ の 見 解 は 微 妙 に 異 な る の で 、 彼 ら の 定 義 で の 共 通 項 目 を ま と め て み る ほ う が 分 か り や す い 。 つ ま り ﹁ 個 人 ま た は 少 人 数 に よ っ て 所 有 さ れ て 使 用 さ れ る 印 刷 所 の こ と 。 そ こ で は 印 刷 所 の 独 自 の 主 張 や 理 念 や 趣 味 に 基 づ い て 書 物 を 制 作 す る こ と ﹂ と 定 義 し て み る 。   私 家 版 印 刷 所 の 一 般 的 な 特 徴 は 次 の よ う に 三 つ あ る だ ろ う 。   ① 印 刷 所 の 所 有 者 の 趣 向 ・ 主 張 が 、 そ の 印 刷 物 ︵ 多 く は 書 物 ︶ の 全 体 に 明 瞭 で あ る こ と 。   ② 印 刷 所 の 所 有 者 自 身 の 著 作 よ り は 既 存 の 文 芸 作 品 を 書 籍 化 す る こ と 。   ③ 印 刷 所 の 所 有 者 は 印 刷 の 実 践 家 で あ る こ と が 多 く 、 印 刷 機 や そ の 操 作 に も 詳 し く 、 印 刷 用 紙 ・ 活 字 書 体 ・ 製 本 材 料 お よ び 製 本 様 式 に つ い て も 独 自 の 観 点 か ら 選 択 す る 。 場 合 に よ っ て は 活 字 書 体 に こ だ わ っ て 独 自 の 書 体 を 製

 

  本 稿 で は 、 一 九 三 〇 年 に 七 号 目 を 発 行 し て 幕 を 下 ろ し た 、 イ ギ リ ス の タ イ ポ グ ラ フ ィ ・ ジ ャ ー ナ ル ﹃ フ ラ ー ロ ン ︵ T he F leu ro n ︶ 誌 を 探 っ て み る 。 前 編 で は そ の 発 刊 の 経 緯 と 編 集 方 針 、 組 版 デ ザ イ ン で の 解 剖 を 通 し て 伺 え る 編 集 者 の 特 徴 、 後 編 で は 同 時 代 へ の タ イ ポ グ ラ フ ィ を 巡 る 視 点 、 そ れ に 現 代 に 残 し た そ の 意 義 を 検 証 す る 。   日 本 で い え ば 大 正 十 二 年 か ら 昭 和 五 年 ま で の 間 に 、 ロ ン ド ン で 発 行 さ れ た ﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ は 注 目 さ れ る こ と が 少 な い 。 こ の 雑 誌 に 掲 載 の 論 文 内 容 と 発 行 を 支 え た 人 物 の 活 動 は 地 味 で あ る た め に 、 こ の 国 で は そ の 存 在 は 一 部 で し か 知 ら れ て い な い 。 だ が 、 再 評 価 さ れ る べ き 意 欲 的 な 評 論 ・ 論 考 集 と し て 、 革 命 的 な 電 子 技 術 が 進 む 現 代 に あ っ て 、 そ の 志 向 と 姿 勢 は 何 を 示 唆 す る だ ろ う か 。 、十 ︵ 一 ︶ ア ー ツ ・ ア ン ド ・ ク ラ フ ツ 運 動   十 九 世 紀 後 半 の イ ギ リ ス で は 、 ア ー ツ ・ ア ン ド ・ ク ラ フ ツ ︵ 以 下 、 A ・ C ︶ 運 動 が 起 こ っ た 。 そ の 理 由 は 大 き く 分 け て 三 つ あ る と さ れ る 。 第 一 は 、 ジ ャ ン ・ ジ ャ ッ ク ・ ル ソ ー の 思 想 に 遠 因 が あ り 、 第 二 は 、 機 械 生 産 に よ る 製 品 の 質 の 低 下 へ の 不 満 と さ れ 、 第 三 は 、 懐 古 主 義 へ の 注 目 、 だ と ま と め ら れ る こ と が 多 い 。   こ の 運 動 へ の 直 接 の 影 響 を 与 え た 人 物 は ピ ュ ー ジ ン ︵ 一 八 一 三 ︱ 五 二 ︶ と ジ ョ ン ・ ラ ス キ ン ︵ 一 八 一 九 ︱ 一 九 〇 〇 ︶ で 、 両 人 は 中 世 芸 術 の 称 揚 に よ る ゴ シ ッ ク 様 式 の 復 活 を 唱 道 し た 人 物 だ 。 い わ ゆ る ゴ シ ッ ク ・ リ ヴ ァ イ ヴ ァ ル で あ る 。 彼 は 神 の 啓 示 を 受 け た 自 然 の 豊 か な フ ォ ル ム を 再 現 す る こ と を 装 飾 の 基 礎 に お い た 。 彼 は 一 八 七 一 年 に ﹁ セ ン ト ・ ジ ョ ー ジ ・ ギ ル ド ﹂ を 構 想 し て 理 論 を 実 践 に 移 し 、 教 育 面 で 貢 献 し た 。 そ の 考 え は ﹁ 芸 術 の た め の 芸 術 ﹂ と い う 理 念 と の 密

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作 す る こ と も あ る 。 以 上 の こ と か ら 、 企 画 発 案 者 と 製 作 者 が 同 一 人 で あ り 、 作 業 の 分 業 化 が 少 な い こ と が 、 商 業 主 体 の 印 刷 出 版 と 異 な る 点 だ と わ か る 。   私 家 版 は 早 く は イ ギ リ ス で 一 七 五 七 年 こ ろ に 設 立 さ れ た ホ ー レ ス ・ ウ ォ ル ポ ー ル に よ る ス ト ロ ベ リ ー ・ ヒ ル ・ プ レ ス が あ る 。 こ の 人 物 は 大 物 政 治 家 の 息 子 で 、 自 身 も 政 治 の 世 界 に 踏 み 込 ん だ が 、 ︵ イ ギ リ ス 絵 画 の 庭 園 に 関 す る ︶ 歴 史 家 、 詩 人 、 小 説 家 、 劇 作 家 、 論 説 者 、 古 物 収 集 家 、 印 刷 人 な ど と 多 方 面 で 行 動 し た 。 彼 に つ け ら れ た 肩 書 き は 、﹁ 美 の 判 定 者 ﹂ だ っ た 。   そ の 他 で は 表 1で 示 し た 主 な 私 家 版 印 刷 所 ま た は そ れ に 準 じ る 印 刷 所 が 挙 げ ら れ る 。 チ ャ ー ル ズ ・ ウ ィ テ ィ ン ガ ム が 設 立 し て そ の 甥 で 同 名 の 人 物 が ウ ィ リ ア ム ・ ピ カ リ ン グ と 手 を 組 ん だ チ ジ ッ ク ・ プ レ ス を 皮 切 り に 、 二 十 社 近 く が 生 ま れ て い る 。 チ ズ ウ ィ ク ・ プ レ ス の 活 動 は 一 八 四 四 年 に イ ギ リ ス を 代 表 す る オ ー ル ド ・ ロ ー マ ン 体 活 字 の キ ャ ズ ロ ン 書 体 を 復 活 さ せ た こ と で 名 を 知 ら れ て い る 。 さ ら に は 、 蔵 書 六 万 冊 を 誇 る 世 界 有 数 の ミ ド ル ・ ヒ ル ・ プ レ ス 、 珍 し い と こ ろ で は 農 民 だ っ た チ ャ ー ル ズ ・ ク ラ ー ク の グ レ ー ト ・ ト ー サ ム ・ プ レ ス 、 神 学 博 士 に よ る ダ ニ エ ル ・ プ レ ス 。   ま た 、 一 九 世 紀 後 半 に な る と ロ ー レ ン ツ ・ シ ェ パ ー ド と い う 尼 僧 に よ る ス タ ン ブ ル ッ ク ・ ア ビ ィ ・ プ レ ス が 異 彩 を 放 っ て 、 そ の 後 引 き 継 が れ て お よ そ 一 〇 〇 年 間 活 動 を 継 続 さ せ た 。 芸 術 家 に 依 頼 し て 作 ら せ た 木 版 彫 刻 を イ ラ ス ト 図 版 と し て 印 刷 に 多 用 し た ヴ ェ イ ル ・ プ レ ス や 、 ウ ォ ー カ ー の 指 導 の も と に ジ ョ ー ン ・ ホ ー ン ビ ー が 設 立 し た ア シ ェ ン デ ィ ン ・ プ レ ス が 、 五 〇 部 程 度 の 印 刷 数 に よ っ て そ の 存 在 が 際 立 っ て い た 。 そ し て 、 私 家 版 の 仕 事 を ひ と つ の 社 会 運 動 の よ う に そ の 影 響 を 誇 る こ と に な っ た ケ ル ム ス コ ッ ト ・ プ レ ス が 登 場 す る 。 一 九 〇 〇 年 に は ウ ォ ー カ ー と コ ブ デ ン サ ン ダ ー ス ン に よ る ダ ヴ ス ・ プ レ ス の 設 立 を み る 。   ﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ の 発 行 前 後 に も 個 人 的 な 印 刷 所 が 数 社 現 れ て 、 賑 や か な 様 相 を 呈 し て い る 。 中 で も ギ ヴ ィ ン グ ス ら の ゴ ー ル デ ン ・ コ ッ カ レ ル ・ プ レ ス は そ の 組 版 と 印 刷 の 質 の 高 さ で 群 を 抜 い て い た 。 彼 ら は ﹁ 書 籍 の 印 刷 と 出 版 の た め の 共 同 社 会 ﹂ と い う 理 念 を 基 に 、 優 れ た タ イ ポ グ ラ フ ィ の 実 現 と い う 夢 を 抱 い て 、 安 価 で 健 全 な 書 籍 の 提 供 を 目 指 し て 設 立 し た 。 ︵ 三 ︶ カ ト リ ッ ク へ の 改 宗   西 洋 の 出 来 事 を 語 る に は 宗 教 を 切 り 離 せ な い 。 イ ギ リ ス で は 国 教 会 ︵ 聖 公 会 ︶ と い う 、 カ ト リ ッ ク で は あ る が 教 義 は プ ロ テ ス タ ン ト に 近 い 複 雑 な 信 仰 形 態 が 支 配 的 で あ る 。 宗 教 改 革 以 来 イ ギ リ ス で は カ ト リ ッ ク 信 仰 は 違 法 だ っ た 。 十 九 世 紀 に な っ て カ ト リ ッ ク 教 徒 が 差 別 か ら 法 的 に は 解 放 さ れ た 。 国 教 会 の 刷 新 を 目 指 す オ ッ ク ス フ ォ ー ド 運 動 や 中 世 志 向 の ラ ス キ ン の 行 動 も あ っ て 、 十 九 世 紀 中 頃 か ら 著 名 人 の カ ト リ ッ ク へ の 改 宗 が 続 い た 。 た と え ば 先 に 挙 げ た 建 築 家 の ビ ュ ー ジ ン を は じ め 、 劇 作 家 の ワ イ ル ド 、 画 家 の ビ ア ズ リ ー な ど で 、 二 十 世 紀 で も 作 家 の チ ェ ス タ ト ン 、 グ リ ー ン 、 詩 人 の エ リ オ ッ ト な ど も い た (1)。 タ イ ポ グ ラ フ ィ 関 連 で は 、 エ リ ッ ク ・ ギ ル も ハ リ ー ・ ペ プ ラ ー も 一 九 一 〇 年 代 に 改 宗 し て い る 。 そ し て こ の 改 宗 は 時 代 の 動 き を 象 徴 し て も い た 。﹁ 社 会 主 義 と カ ト リ ッ ク 信 仰 は 、 相 互 に 影 響 し 合 い 、 強 化 し 合 っ た と さ れ る 。 産 業 主 義 ︵ 資 本 主 義 ︶ の 矛 盾 に 対 し て 社 会 改 良 を 目 指 す と い う 方 向 性 で 、 両 者 は 一 致 ﹂ し て (2)、 芸 術 や 工 芸 の 実 践 へ の 背 景 と し て 時 代 を 揺 る が し て い た 。 名 称 設立年 設立者 ストロベリー・ヒル 1757 H・ウォルポール ダーリントン 1768 G. アラン オーキンレック 1815 A.・ボスウェル チジック 1810 C・ウィティンガム リー・プライオリ 1813 E.・プリディス卿 ミドル・ヒル 1819 T. フィリップ卿 グレイト・トーサム 1834 C・クラーク ベルドーニー 1840 E・アンダースン ダニエル 1875 C・H・O・ダニエル スタンブルック・アビィ 1876 R・シェパード エセックス・ハウス 1898 C・R・アシュビー ケルムスコット 1891 W・モリス アシェンディン 1895 J・ホーンビー ヴェイル 1896 C・リケッツ ペア・ツリー 1899 グリーン/リリー/イーツ ダヴス 1900 ウォーカー/サンダースン モール 1914 ウォーカー/ロジャーズ セイント・ドミニクス 1917 D・ペプラー ボウモント 1917 C・W・ボウモント オヴィッド 1919 J・ロドカー ゴールデン・コッカレル 1920 テイラー/ギヴィングス スタントン 1921 R・スタントン・ランバート フォレスト 1922 H・ヒューバード ハイ・ハウス 1924 J・E・マスターズ プリオリー 1924 R・キング 表 1 イギリスの主な私家版印刷所

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  カ ト リ ッ ク へ の 傾 斜 は 、 製 作 物 に 反 映 し た と い う 。﹁ ア ー ツ ・ ア ン ド ・ ク ラ フ ツ 運 動 と キ リ ス ト 教 、 と く に カ ト リ ッ ク 的 な 傾 向 と は 親 和 性 が あ っ た が 、 ア ー ツ ・ ア ン ド ・ ク ラ フ ツ 運 動 の 成 果 と し て 登 場 し た 私 家 版 運 動 で 刊 行 さ れ た 作 品 に も 、 そ う い っ た 傾 向 の タ イ ト ル が 目 立 つ ﹂ (3)そ う で 、 絵 画 や 挿 絵 を 偶 像 崇 拝 に つ な が る と み な す プ ロ テ ス タ ン ト と は 異 な っ て 、﹁ 私 家 版 の ほ と ん ど が 旧 約 聖 書 に 基 づ い て い る ﹂ (4)こ と で カ ト リ ッ ク 的 な 傾 向 が う か が え る と の こ と だ 。 た し か に 豊 か な 装 飾 性 と カ ト リ ッ ク と は 教 会 建 築 に も 深 い つ な が り が う か が え る 。 書 籍 印 刷 と い う 広 い 意 味 で の 造 形 行 為 の 裏 に は 、 宗 教 が 隠 れ て い る の だ ろ う 。 興 味 あ る 指 摘 だ 。   ま た 、 本 稿 の テ ー マ の 中 心 人 物 の 一 人 ス タ ン リ ー ・ モ リ ス ン は 、 十 九 歳 で カ ト リ ッ ク に 入 信 し て い る 。 彼 の 母 親 が 資 本 主 義 へ の 嫌 悪 を 露 に し た 理 神 論 者 で 、 社 会 主 義 思 想 に 共 感 し た こ と で 、 そ の 影 響 が 色 濃 い と さ れ る 。 彼 は プ ロ テ ス タ ン ト で は な か っ た の で 改 宗 で は な い が 、 カ ト リ ッ ク に 共 感 し た 。 、『 ︵ 一 ︶ 当 時 の 状 況   ﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ 発 行 の 時 代 は 、 一 九 一 四 年 の 第 一 次 大 戦 と 一 九 二 九 年 の 世 界 恐 慌 が 襲 う 頃 の 間 に 重 な る 期 間 で あ る 。 ま た 、 第 二 次 大 戦 ま で の 十 数 年 の 充 実 期 で も あ る 。 こ の 時 期 は 大 英 帝 国 の 隆 盛 は し ぼ み 、 そ の 誇 り が 消 え か け て い た が 、 底 流 に は 、 経 済 の 荒 波 に 襲 わ れ て も 根 底 で 動 じ な い 頑 固 な 志 が 根 を 張 っ て い た 。 そ れ こ そ 大 英 帝 国 の 懐 の 深 さ で あ り 真 の 強 さ で も あ る だ ろ う 。   二 十 世 紀 の タ イ ポ グ ラ フ ィ は 、 十 九 世 紀 の ヴ ィ ク ト リ ア 朝 様 式 の 反 省 か ら 始 ま っ て い る 。 十 九 世 紀 で は イ ギ リ ス が 産 業 革 命 の 達 成 後 の 経 済 的 な 隆 盛 を 謳 歌 し て い た 時 代 に あ っ て 、 品 性 は と も か く 活 気 あ る 印 刷 物 を 生 み 出 し て い た 。 商 品 ︵ 生 産 物 ︶ は 鉄 道 に よ っ て 主 要 都 市 に 届 け ら れ て 流 通 が 円 滑 化 さ れ 、 都 市 部 は そ の 恩 恵 で 豊 か に な り 賑 わ っ た 。 そ の 時 代 の タ イ ポ グ ラ フ ィ は 、 旺 盛 な 商 業 活 動 に 合 わ せ て 商 品 ・ 製 品 の 宣 伝 活 動 の 激 し い 競 争 か ら 出 現 し た 、 特 大 の 派 手 な 木 活 字 や 装 飾 的 ま た は 奇 抜 な 活 字 の 姿 と な っ て 席 巻 し 、 我 先 に と 無 秩 序 に 自 己 主 張 し て い た 。 い わ ば 活 字 が 商 売 人 の 声 の 代 わ り と な っ て 、 紙 媒 体 で 叫 び 合 っ た の だ 。 大 声 を 上 げ て 注 目 さ せ る 原 始 的 な 手 法 の 視 覚 化 と い え る 。 そ の 様 式 は 、 雑 誌 や 書 籍 の 表 紙 や 扉 に も 影 響 を 与 え て タ イ ポ グ ラ フ ィ の 伝 統 が 崩 れ て 良 識 を 欠 き 、 混 沌 と し た 状 況 を 呈 し た 。 粗 製 乱 造 の 低 質 の 活 字 や 印 刷 紙 面 が 増 え て 、 識 者 の 苦 言 を 許 し た 。   こ こ で 取 り 上 げ る 雑 誌 ﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ が 発 行 さ れ た こ ろ 、 イ ギ リ ス 国 外 の ヨ ー ロ ッ パ に も ま た 北 米 に も A ・ C 運 動 や 私 家 版 印 刷 所 の 影 響 は 波 及 し て い た 。 た だ し 時 代 は 、 大 陸 で 先 鋭 的 な ニ ュ ー ・ タ イ ポ グ ラ フ ィ 運 動 の 始 動 を み て お り 、 印 刷 所 の 内 部 で 行 わ れ て い た 組 版 や デ ザ イ ン 的 な 作 業 は 、 新 し い 職 種 を 確 保 し よ う と し て 活 動 を 始 め た ア ー ト 志 向 の グ ル ー プ に よ っ て 実 現 さ れ る べ き だ と 表 明 さ れ て い た 。 ︵ 二 ︶ 新 し い 動 き A   二 人 の 出 会 い   ﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ の 発 行 は 、 三 十 歳 台 前 半 と 二 十 歳 台 後 半 の 二 人 の イ ギ リ ス 人 男 性 の 出 会 い か ら 始 ま っ た 。 一 九 二 一 か ら 二 二 年 こ ろ 、 ス タ ン リ ー ・ モ リ ス ン は カ ー ウ ェ ン ・ プ レ ス に 出 向 い た 。 場 所 は ロ ン ド ン 中 央 部 ニ ュ ー ア ム 区 内 の 東 寄 り の プ ラ ー ス ト ゥ に あ っ た 。 そ こ で 初 め て オ リ ヴ ァ ー ・ サ イ モ ン と 出 会 っ た 。 そ の 際 の 印 象 的 な モ リ ス ン の 姿 を サ イ モ ン が 書 き 残 し て い る 。 サ イ モ ン の 鋭 い 目 は 一 目 で モ リ ス ン の 資 質 を 見 抜 い た と い う (5)。 そ の 後 は 友 好 的 な 関 係 が 始 ま っ た 。 モ リ ス ン に つ い て は す で に 紹 介 文 が あ る の で (6)、 彼 の そ の 後 の 業 績 に つ い て は 省 略 す る 。   モ リ ス ン の 第 一 印 象 は 誰 に で も 強 く 焼 き 付 け ら れ る と い わ れ る 通 り 、 そ し て モ リ ス ン を 敬 愛 し た ビ ア ト リ ス ・ ウ ォ ー ド 女 史 も 書 き 残 し て い る 通 り 、 黒 づ く め で 聖 職 者 風 だ っ た 。 も し 顎 ヒ ゲ を 生 や し て い た な ら ば 、 ユ ダ ヤ 人 に 見 ら れ た だ ろ う 。 モ リ ス ン の 話 し ぶ り も 特 徴 が あ っ た 。 声 は 低 め で あ り な が ら 大 き く 、 鼻 に か か っ て リ ズ ム が あ り 、﹁ ア ク セ ン ト は 標 準 と は 異 な っ て い て 、 語 り に は 刺 す よ う な 衝 撃 が あ り 、 感 情 や 意 見 が ぶ つ か っ て 深 刻 さ が 増 す と 机 を 叩 い た ﹂ そ う だ (7)。 確 か に B B C ラ ジ オ 番 組 で の モ リ ス ン 特 集 で は 、 晩 年 の 彼 の 声 は 独 特 の リ ズ ム が あ り 、 語 尾 は 時 と し て ノ ド の 奥 に 飲 み 込 ま れ て こ も り 、 聞 き 取 り に く い 。   ち な み に 、 モ リ ス ン の サ イ モ ン に 対 す る 印 象 は 次 の よ う な も の だ っ た 。 そ れ は サ イ モ ン が 死 去 し た 翌 月 、 モ リ ス ン が ダ ブ ル ク ラ ウ ン ・ ク ラ ブ で 語 っ た 内 容 で あ る (8)。

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  サ イ モ ン は 格 別 な 男 で し た 。 外 見 上 は 印 象 が 薄 い と 言 え ま し ょ う 。 彼 の 身 の 処 し 方 は た し か に 特 異 で し た 。 文 章 で は 聡 明 さ を 出 そ う と は し な か っ た し 、 い わ ゆ る 名 言 に よ っ て 言 葉 を 快 活 に す る こ と も な け れ ば 、 深 遠 さ で 丸 め 込 む こ と も な か っ た 。 ︵ 略 ︶ 印 象 が 薄 く 、 学 歴 が な く 、 優 れ た 読 み 手 で も な く 、 議 論 を 好 ま な い 男 が 、 ど う し て 我 々 多 く の 者 か ら す ば ら し い と 思 わ れ た の で し ょ う か 。 慣 習 や 社 会 的 な 交 流 に よ っ て 知 恵 を 吸 収 し て し か も そ れ を 他 人 に 与 え る 特 別 な 度 量 を 生 ま れ つ き 持 っ て い た の で し た 。 彼 が 最 も 魅 力 を 感 じ る 人 物 と は 、 印 刷 さ れ た 書 籍 の タ イ ポ グ ラ フ ィ に 対 し て 図 画 の 貢 献 度 を 受 け 入 れ て 話 せ る 者 で し た 。 彼 自 身 は よ く 他 人 の 考 え 方 に 注 意 深 く 耳 を 傾 け た も の で し た 。 相 手 に 話 を 続 け さ せ る 寛 容 な 褒 め 言 葉 を い つ で も 用 意 で き て い ま し た 。 こ こ に は 、 サ イ モ ン の 性 格 や 行 動 、 絵 画 的 な 要 素 と タ イ ポ グ ラ フ ィ と の 相 互 共 存 を 好 ん だ 一 面 が 強 調 さ れ て い る 。 こ れ が モ リ ス ン と は 異 な る ア プ ロ ー チ で あ る こ と は 興 味 深 い 。 B ﹁ フ ラ ー ロ ン 協 会 ﹂ 結 成 の 会 合   ﹁ フ ラ ー ロ ン 協 会 ﹂ な る ご く 小 規 模 の 組 織 が 生 ま れ た の は 一 九 二 二 年 だ っ た 。 そ の 年 の 晩 夏 、 サ イ モ ン の 提 案 事 項 に 対 し て 検 討 す る 集 ま り が 、 ウ ェ ス ト ミ ン ス タ ー に あ っ た モ リ ス ン の 住 む ア パ ー ト で 開 か れ た 。 注 目 す べ き は こ の 年 に は モ リ ス ン は す で に モ ノ タ イ プ 社 の 活 字 開 発 計 画 に 関 わ っ て い た こ と だ 。 当 時 二 十 七 歳 だ っ た サ イ モ ン と 三 十 三 歳 だ っ た モ リ ス ン の 呼 び か け に 応 じ て 集 ま っ た 会 員 は 、 三 人 だ っ た 。 月 刊 文 芸 雑 誌 ﹃ To da y ﹄ の 編 集 者 だ っ た ホ ル ブ ル ッ ク ・ ジ ャ ク ス ン 、 当 時 ペ リ カ ン ・ プ レ ス の 主 宰 者 だ っ た フ ラ ン シ ス ・ メ ネ ル 、 ア ー デ ン ・ プ レ ス や シ ェ イ ク ス ピ ア ・ ヘ ッ ド ・ プ レ ス の 設 立 者 バ ー ナ ー ド ・ ニ ュ ー デ ィ ギ ッ ト で あ る 。   ﹁ フ ラ ー ロ ン 協 会 ﹂ と い う 命 名 は 、 メ ネ ル の 提 案 だ っ た こ と が 知 ら れ て い る 。 こ の 語 が 後 に 発 行 さ れ る 雑 誌 の タ イ ト ル に 推 薦 さ れ る 。 雑 誌 の 名 称 は 、 当 初 は タ イ ポ グ ラ フ ィ と い う 語 を 前 面 に 打 ち 出 さ れ た が 、 専 門 的 技 術 に 囚 わ れ す ぎ て い て 、 堅 苦 し い と の こ と だ っ た 。 そ こ で ﹁ 花 形 装 飾 活 字 ﹂ の こ と を 指 す 柔 ら か い 語 が 選 ば れ た 。 モ リ ス ン は こ の 語 か ら ﹁ 自 分 た ち の 意 向 を 表 す 、 歴 史 に 基 づ い た ロ マ ン テ ィ ッ ク な 響 き が あ る ﹂ と 語 っ て 賛 同 し た (9)。 こ の 響 き に は 理 想 を 追 い 求 め る と い う 語 感 を 含 ん で い る の だ ろ う 。   提 案 さ れ た 協 会 の 基 本 方 針 に つ い て 話 し 合 わ れ 、 ジ ャ ク ス ン が 書 記 に 選 ば れ た 。 だ が 、 メ ン バ ー の 意 見 は 激 し く ぶ つ か っ た 。 こ こ で 提 案 さ れ た 趣 旨 は 、﹁ こ の こ ろ に 開 発 さ れ た 高 速 印 刷 機 や 機 械 組 版 で も 手 動 機 械 や 手 組 み に 匹 敵 す る 品 質 保 持 の 道 や 、 新 し い 技 術 と の 協 調 の 道 を 探 り 、 タ イ ポ グ ラ フ ィ の 可 能 性 を 開 く ﹂ こ と だ っ た 。 そ れ に 対 し て ニ ュ ー デ ィ ギ ッ ト だ け は 、 手 組 み の 優 越 性 と 手 漉 き の 印 刷 用 紙 の 使 用 と い う よ う な 、 手 工 芸 の 保 持 を 主 張 し て 強 硬 だ っ た 。   他 の メ ン バ ー が ど の よ う な 意 見 だ っ た か の 記 録 は 残 っ て い な い 。 た だ 、 大 勢 は サ イ モ ン の 趣 旨 に 賛 同 し て い た と 思 わ れ る 。 こ の 二 つ の 意 見 の 溝 は 最 後 ま で 埋 ま ら ず 、 協 会 の 会 合 は わ ず か 二 回 目 で そ の 花 を し ぼ ま せ て し ま っ た 。 サ イ モ ン に よ れ ば そ の 議 論 の 様 子 は ﹁ 嵐 ﹂ の よ う で あ り 、 メ ネ ル に よ れ ば 自 分 は 嵐 に 手 を 貸 し た 覚 え は な い し 、 あ の 議 論 は 見 解 の ﹁ 相 違 ﹂ に す ぎ な い 、 と い う 冷 静 な 受 け 止 め だ っ た 。 C   組 版 の 機 械 化 へ   こ こ で の 議 論 の 背 景 に あ る 文 字 組 版 の 変 化 と は 、 機 械 産 業 の 組 織 化 と 資 本 主 義 の 発 展 が も た ら し た 革 新 的 な 技 術 と 作 業 環 境 の 激 変 だ っ た 。 二 十 世 紀 前 半 は 、 タ イ ポ グ ラ フ ィ の 技 術 史 に お い て は 機 械 組 版 が 導 入 さ れ た 時 代 だ っ た 。 そ れ ま で の 活 字 版 印 刷 で は 金 属 活 字 を ひ と 文 字 ず つ 手 で 拾 っ て 組 ん で ス ペ ー ス も 手 で 調 整 し て い た が 、 機 械 組 版 で は 、 原 稿 文 を 入 力 し た 文 字 に 応 じ て 単 語 や 行 な ど ブ ロ ッ ク 単 位 で 活 字 を 自 動 的 に 鋳 造 し て 組 む 方 式 だ っ た 。 十 九 世 紀 末 に 発 明 さ れ た 自 動 鋳 植 機 は こ の 時 期 に 実 用 段 階 に 入 り 、 代 表 的 な メ ー カ ー で あ る ラ イ ノ タ イ プ 社 と モ ノ タ イ プ 社 が 凌 ぎ を 削 っ て い た 。 両 社 は そ れ ぞ れ 方 式 が 異 な っ て お り 、 ス ラ グ 式 の ラ イ ノ タ イ プ 機 を ﹁ 行 単 位 自 動 鋳 造 植 字 機 ﹂ と 呼 ぶ と す れ ば 、 モ ノ タ イ プ 機 は さ し ず め ﹁ 文 字 単 位 自 動 鋳 造 植 字 機 ﹂ と で も 呼 べ る 。 両 機 の シ ス テ ム は 、 文 字 入 力 用 の キ ー ボ ー ド と 、 活 字 鋳 造 と 組 版 機 で 一 組 と な っ て い た 。   一 九 二 〇 年 代 は 機 械 組 版 と 活 字 書 体 開 発 ・ 販 売 の 本 格 的 な 戦 略 が 展 開 し 始 め た こ ろ で あ る 。 機 械 組 版 の 初 期 の こ ろ は 、 表 組 み や 数 式 な ど の 特 殊 な 組 版 ま た

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は 大 き な サ イ ズ の デ ィ ス プ レ イ 用 活 字 は 専 門 の 腕 の 良 い 組 版 工 に よ る 手 組 み だ っ た が 、 し だ い に そ れ ら の 組 版 も 機 械 化 が 可 能 と な っ た 。 そ し て 、 モ リ ス ン が モ ノ タ イ プ 社 に 招 か れ た 一 九 二 二 年 以 降 は 活 字 書 体 の 開 発 が 本 格 化 し て 、 彼 の 指 揮 下 で 過 去 の 古 典 的 書 体 が 改 刻 さ れ て 蘇 り 、 ま た 新 し い 書 体 が 設 計 さ れ た り し た 。 モ リ ス ン が 主 に 集 中 し て 調 べ た こ と が ﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ な ど に 発 表 さ れ 、 ま さ に 活 字 研 究 が 活 字 復 刻 と 結 び つ く 契 機 と な っ て い た 。   結 局 、 議 論 は 事 実 上 物 別 れ に 終 わ っ た が 、 モ リ ス ン と サ イ モ ン が 当 初 の 理 念 の 実 現 に 向 け て 前 に 進 め る こ と に な る 。 そ こ で モ リ ス ン が 何 を 具 体 的 に 構 想 し て い た の か 、 次 に 探 っ て み る 。 ︵ 三 ︶ ﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ の 編 集 方 針 A   モ リ ス ン の 見 解   雑 誌 ﹃ ザ ・ フ ラ ー ロ ン ﹄ の 意 図 は 、 モ リ ス ン が 書 き 残 し た 最 終 号 ︵ 七 号 ︶ の ﹁ あ と が き ﹂ で 明 ら か だ (10)。   活 字 、 印 刷 紙 面 、 書 籍 デ ザ イ ン に 関 わ る 問 題 を 詳 細 に わ た っ て 議 論 す る こ と に あ っ た の で 、 現 在 の 商 業 雑 誌 で で き る よ う な こ と を 行 な う の で は な か っ た の で す 。 そ れ は 、 ヨ ー ロ ッ パ 大 陸 の 印 刷 業 を 歴 史 に 留 め る た め に 、 印 刷 人 、 読 者 、 書 籍 商 、 職 人 と の 関 係 を 理 解 す る こ と 、 彼 ら の 知 識 を 広 げ 、 印 刷 に 対 す る 彼 ら の 意 気 込 み を 広 め る た め で す 。 そ れ こ そ イ ギ リ ス の 印 刷 人 が 学 ぼ う と す れ ば で き た は ず な の に 現 在 ま で 無 視 さ れ て き た こ と な の で す 。   こ こ に 当 時 の 印 刷 業 界 で は 何 が 欠 け て い た の か 、 ま た 望 ま し い 印 刷 物 の 質 と は 何 か 、 と い う 問 題 意 識 が う か が え る 。 加 え て 、 単 な る 手 組 み か 機 械 組 み か と い う 二 者 択 一 で は 収 ま ら な い 、 む し ろ 広 い 視 野 か ら の 現 状 把 握 が 確 認 さ れ て 、 そ こ か ら 問 題 に 迫 る 姿 勢 も 見 ら れ る 。 ま た 、﹁ 顧 客 と 書 き 手 に 対 し て 責 任 感 を 強 め る こ と に よ っ て 、 印 刷 人 が 職 人 の 高 い 水 準 を 目 指 す よ う に 励 ま さ れ る こ と が 望 ま れ て い た 。 顧 客 と は 読 者 で あ り 、 書 き 手 と は 自 分 の 困 難 を 知 っ て い る 者 の こ と だ ﹂ と い う モ リ ス ン ら の 立 場 と 時 代 の 認 識 は 、 こ こ に 明 快 だ 。 こ の あ た り の モ リ ス ン の 基 本 姿 勢 は 、 お そ ら く イ ギ リ ス で 最 初 の タ イ ポ グ ラ フ ィ の 技 術 書 と し て 有 名 な モ ク ス ン 著 ﹃ 印 刷 術 の 機 械 操 作 の 実 践 ﹄ (11)が 影 響 を 与 え て い る だ ろ う 。 そ こ に は 次 の よ う な モ ク ス ン の 姿 勢 が 表 明 さ れ て い る 。﹁ タ イ ポ グ ラ フ ァ と は 、 独 自 の 判 断 力 と 自 ら の 揺 る が ぬ 理 性 を 基 に 行 動 で き て 、 他 人 を 指 図 し て 、 終 始 タ イ ポ グ ラ フ ィ に 関 す る 手 作 業 と 実 際 の 操 作 の 全 て を 遂 行 で き る 者 で あ る ﹂。 そ の 中 か ら 若 き モ リ ス ン が 記 憶 し た 語 は ﹁ 揺 る が ぬ 理 性 ︵ So lid rea so nin g ︶﹂、 つ ま り ﹁ 確 固 た る 論 理 的 思 考 ﹂ を 意 味 す る 語 だ っ た 。   さ て 、﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ に お け る モ リ ス ン の 当 初 の 考 え が う か が え る 証 拠 が あ る 。 ア ッ プ ダ イ ク 宛 の 彼 の 手 紙 で ﹁ 五 号 ま で 発 行 し て そ こ で 閉 じ る こ と を 望 ん で い る ﹂ (12)と 記 し て い る 。 当 初 は 意 外 と 短 い 期 間 を 想 定 し て い た よ う だ 。 こ れ は モ リ ス ン の 個 人 的 な 考 え だ っ た ろ う か 。 こ の 件 は 、﹁ サ イ モ ン に よ っ て 七 号 ま で と 決 め ら れ た ﹂ と の 新 聞 記 事 (13)が 補 完 す る 。 し か し 、 最 終 号 で は モ リ ス ン は ﹁ 二 ︱ 三 の 号 を 刊 行 す れ ば 、 我 々 の テ ー マ は 枯 渇 す る だ ろ う ﹂ (14)と も 述 べ て い る こ と か ら 、 雑 誌 創 刊 時 の 熱 い 高 揚 感 を 内 に 秘 め て 、 か な り 冷 静 で あ っ た こ と も 分 か る 。 ま た 、 同 右 の 手 紙 で は 二 ︱ 四 号 ま で の 主 な 予 定 を 伝 え て い る 。 B   サ イ モ ン の 役 割   ﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ に お け る オ リ ヴ ァ ー ・ サ イ モ ン の 働 き に つ い て は 、 モ リ ス ン の ﹁ あ と が き ﹂ で 明 ら か だ 。﹁ こ の 定 期 刊 行 物 の 創 設 と 最 初 の 発 行 は 、 当 時 も 今 も カ ー ウ ェ ン ・ プ レ ス に い る オ リ ヴ ァ ー ・ サ イ モ ン 氏 に 負 っ て い ま す 。 一 九 二 二 年 の は じ め に サ イ モ ン 氏 は 、 第 一 号 に 載 る 記 事 の ほ と ん ど に 携 わ り 、 一 九 二 五 年 ま で そ の 編 集 者 と し て 働 き 、 四 つ の 号 の 責 任 者 で も あ り ま し た ﹂ と 冒 頭 で 述 べ て い る か ら だ (15)。   ま た 、 サ イ モ ン の 実 際 の 仕 事 と し て は ﹁ 一 号 は 、 カ ー ウ ェ ン ・ プ レ ス の サ イ モ ン 氏 の 指 導 の 下 で 印 刷 さ れ ま し た が 、 一 九 二 三 年 の 春 に 、 当 時 流 行 の 活 字 ギ ャ ラ モ ン 書 体 に よ っ て 組 ま れ て 発 刊 さ れ た ﹂ と 記 録 し て い る 通 り (16)、 当 初 の 印 刷 に 携 わ っ た の も サ イ モ ン だ っ た 。 モ リ ス ン は 認 識 と 使 命 感 を 共 有 し た 同 僚 の 貢 献 を ま ず は 冒 頭 で 感 謝 し て い る 。   サ イ モ ン と は ど う い う 人 物 だ っ た の か 。 サ イ モ ン は 印 刷 者 で あ り 同 時 に 編 集 者 で も あ っ て 、 後 に ﹃ シ グ ネ チ ュ ア ︵ Sig na tu re ︶ 誌 を 発 行 し て も い る 。﹃ タ イ ム ズ ﹄ 紙 の サ イ モ ン の 死 亡 記 事 (17)か ら 、 彼 の 略 歴 が 理 解 で き る 。 そ の 記 事 は ﹁ 大 英 帝 国 四 等 勲 士 で カ ー ウ ェ ン ・ プ レ ス 主 任 の オ リ ヴ ァ ー ・ サ イ モ ン 氏 は 、 日 曜

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の 夜 に ロ ン ド ン の 自 宅 に て 死 去 し ま し た 。 サ イ モ ン 氏 は 三 十 年 以 上 に わ た り 印 刷 業 界 に あ っ て 指 導 的 な 人 物 で あ り 、 技 芸 的 な 視 点 が 見 ら れ ま し た ﹂ と い う 紹 介 か ら 始 ま っ て い る 。   そ の 記 事 か ら 、 サ イ モ ン の 略 歴 を 次 の よ う に ま と め ら れ る 。 一 九 〇 九 年 、 私 立 小 学 校 卒 業 / 一 九 一 九 年 、 カ ー ウ ェ ン ・ プ レ ス に 入 社 / 一 九 二 二 年 、 モ リ ス ン と 二 人 で フ ラ ー ロ ン 協 会 設 立 / 一 九 二 三 年 、﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ 誌 の 編 集 を 二 五 年 ま で 担 当 / 一 九 二 四 年 、 ダ ブ ル ク ラ ウ ン ・ ク ラ ブ を 創 設 。 結 婚 / 一 九 三 六 年 、﹃ シ グ ネ チ ュ ア ︵ Sig na tu re ︶ 誌 創 刊 / 一 九 四 五 年 、﹃ タ イ ポ グ ラ フ ィ 入 門 ﹄ を 出 版 / 一 九 五 六 年 、﹃ 印 刷 者 と 実 践 場 ﹄ 出 版 。 三 月 、 死 去 。   サ イ モ ン が 印 刷 の 世 界 に 身 を 投 げ 入 れ た き っ か け は 、 ウ ィ リ ア ム ・ モ リ ス 製 作 の ﹃ チ ョ ー サ ー 作 品 集 ﹄ を 若 き 日 に 目 に し た と き だ っ た 。 子 供 時 代 に は 部 屋 に は モ リ ス 作 の 壁 紙 や 木 綿 更 紗 張 り の イ ス が あ っ た そ う で 、 彼 の 両 親 は マ ン チ ェ ス タ ー の 貧 し い 人 々 に 芸 術 と 美 の 愛 を 届 け る と い う 組 織 ﹁ ア ン コ ー ツ 兄 弟 会 ﹂ の 設 立 会 員 で 、 そ の 会 主 宰 の 演 壇 で モ リ ス が 演 説 し た こ と が あ る と い う 関 係 が あ る (18)。 つ ま り 、 彼 も 両 親 を 通 し て モ リ ス の 影 響 下 に あ っ た の だ 。   サ イ モ ン が 勤 め た カ ー ウ ェ ン ・ プ レ ス は 、 ハ ロ ル ド ・ カ ー ウ ェ ン ︵ 一 八 八 五 ︱ 一 九 四 九 ︶ の 祖 父 ジ ョ ン ・ カ ー ウ ェ ン が 設 立 し た 印 刷 所 で あ る 。 ジ ョ ン は 一 八 六 三 年 に ロ ン ド ン の 東 の プ レ イ ス ト ウ で 楽 譜 を 印 刷 す る 仕 事 を 始 め た 。 一 八 九 七 年 に は J ・ カ ー ウ ェ ン ・ ア ン ド ・ サ ン 社 と し て 統 合 。 ハ ロ ル ド は 一 九 一 四 年 に そ の 印 刷 業 を 受 け 継 い で 、 優 れ た デ ザ イ ン の 端 物 に 的 を 絞 り 始 め た 。 一 九 二 〇 年 以 降 、 オ リ ヴ ァ ー ・ サ イ モ ン が 優 れ た タ イ ポ グ ラ フ ィ で カ ー ウ ェ ン ・ プ レ ス の 評 価 を 広 げ た こ と は 知 ら れ て い る 。 ま た 、 ロ ビ ン ・ キ ン ロ ス に よ れ ば ﹁ ハ ロ ル ド は A ・ C 運 動 の 理 想 に 強 く 魅 入 ら れ た ︵ 中 央 美 術 学 校 の ジ ョ ン ス ト ン の 授 業 を 受 け た ︶ し 、 ︵ 引 用 者 ド イ ツ 労 働 同 盟 を モ デ ル に し た 、 製 造 業 者 ・ デ ザ イ ナ ー ・ 取 次 ぎ 業 者 ら の 団 体 で 、 一 九 一 五 年 設 立 の ︶ ﹁ デ ザ イ ン と 工 業 連 盟 ﹂ の 設 立 会 員 で し た 。 戦 後 は と り わ け タ イ ポ グ ラ フ ァ で あ る オ リ ヴ ァ ー ・ サ イ モ ン が 仕 事 を 引 き 受 け た 後 、 際 立 っ た 様 式 と 手 法 を 展 開 し ま し た 。 カ ー ウ ェ ン ・ プ レ ス は 書 籍 製 作 と 同 様 に 端 物 や 広 告 物 を 仕 事 と し て 、 ま た か な り の 程 度 デ ザ イ ン 工 房 と し て の 役 も 果 た し て い ま し た 。 挿 絵 画 家 そ れ に 書 体 と 装 飾 的 要 素 の 独 自 の レ パ ー ト リ ー に つ い て 内 輪 の 集 ま り を 作 っ て い た ﹂ (19)の で す 。   ま た キ ン ロ ス に よ れ ば 、 サ イ モ ン は ヤ ン ・ チ ヒ ョ ル ト の ペ ン ギ ン ・ ブ ッ ク ス 社 へ の 就 任 と そ の 後 任 の シ ュ モ ー ラ ー の 双 方 に 影 響 力 を 示 し た 人 物 で 、 ド イ ツ の 印 刷 文 化 の 賛 美 者 だ っ た (20)そ う だ 。 サ イ モ ン の 趣 向 の 一 端 を 垣 間 見 ら れ る 。 、『 ︵ 一 ︶ 表 層 的 な 解 剖   以 下 で は 、﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ の 体 裁 上 の 解 剖 を 試 み 、 全 体 を 把 握 し て み る 。 発 行 年 は 、 一 号 が 一 九 二 三 年 、 二 号 と 三 号 が 一 九 二 四 年 、 四 号 が 一 九 二 五 年 、 五 号 が 一 九 二 六 年 、 六 号 が 一 九 二 八 年 、 七 号 は 一 九 三 〇 年 で あ る 。 当 初 は 年 刊 の 予 定 だ っ た が 、 諸 々 の 事 情 で 発 行 が 狂 っ た よ う だ 。 た と え ば 七 号 の 事 情 で は 、 ﹁ 寄 稿 者 の 怠 慢 で 深 刻 な 遅 れ が 続 い た 後 、 現 在 は 進 展 し て い ま す ﹂ と 、 一 九 二 九 年 十 月 に モ リ ス ン は ア ッ プ ダ イ ク 宛 の 長 文 の 手 紙 の 中 で 迷 惑 を か け た こ と を 詫 び て い る (21)。   こ こ で は 以 降 、 サ イ モ ン 編 集 の 一 ︱ 四 号 を 前 半 と 記 し 、 モ リ ス ン 編 集 の 五 ︱ 七 号 を 後 半 と 記 し て 、 両 者 の 特 徴 の 比 較 を 中 心 に 眺 め て み る 。 こ こ で い う 編 集 と は 、 次 の ﹁ あ と が き ﹂ の 中 の モ リ ス ン の 言 葉 で 明 ら か に さ れ て い る 。﹁ ﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ は 四 号 ま で 進 み ま し た 。 編 集 方 針 に 予 定 通 り の 変 更 が あ っ た と き 、 第 五 号 か ら 私 が 編 集 、 製 作 、 発 行 の 全 責 任 を 引 き 受 け ま し た ﹂ (22)と あ る 通 り 、 原 稿 依 頼 、 原 稿 整 理 、 校 正 、 組 版 、 用 紙 ・ 製 本 材 料 の 選 択 、 印 刷 、 製 本 、 配 本 な ど の 諸 手 配 を 含 む 出 版 実 務 で あ る 。   後 半 で 編 集 方 針 が 変 更 さ れ た と い う が 、 そ の 具 体 的 な 反 映 は ど こ に 現 れ て い る の か 、 そ れ が ど ん な 要 約 を 提 示 す る の か は 記 録 が 見 ら れ な い た め 、 外 側 か ら 探 っ て み る こ と に す る 。 A   印 刷 部 数   印 刷 部 数 に つ い て は 、 後 半 の 三 号 分 だ け だ が 巻 末 の 刊 記 に 記 録 が 残 っ て い る 。 そ れ に よ る と 五 号 は 一 三 七 〇 部 で 、 ア ン テ ィ ー ク 簀 の 目 紙 に 刷 っ た 分 は 一 二 五 〇 部 、 バ ッ チ ェ ラ ー ・ ケ ル ム ス コ ッ ト 紙 刷 り は 一 二 〇 部 。 六 号 は 一 三 一 〇 部 で 、 ア ン テ ィ ー ク の 網 目 紙 刷 り は 一 一 五 〇 部 、 バ ッ チ ェ ラ ー の ケ ル ム ス コ ッ ト 紙 刷 り は 一 六 〇 部 。 七 号 は 一 二 一 〇 部 で 、 イ ギ リ ス 製 の 機 械 漉 き 網 目 紙 刷 り が 一 〇 〇 〇 部 、 イ ギ リ ス 製 手 漉 き 紙 刷 り が 二 一 〇 部 で あ る 。 こ こ か ら 推 測 す る と 、 前 半 の 各 部 数 も お よ そ 一 二 〇 〇 ︱ 一 三 〇 〇 部 で あ ろ う か 。 こ の よ

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う に 同 一 の 版 で 本 文 紙 や 装 丁 で 体 裁 を 分 け て 販 売 す る 方 法 は 、 よ く 見 か け る 習 慣 だ 。 B   判 型   本 文 の 仕 上 が り サ イ ズ は 、 デ ィ マ イ ・ ク ォ ー ト ︵ 8 ¾× 11 ¼イ ン チ 、 2 2 2× 2 8 0ミ リ ︶ と い う A 4に 近 い サ イ ズ で 仕 上 げ ら れ て い る 。 た だ し 、 全 七 号 を 並 べ て み る と 、 ば ら つ き が あ る ︵ 図 1︶ 表 2か ら 最 大 で 天 ︵ 縦 ︶ で は 8ミ リ 、 小 口 ︵ 横 ︶ で は 5ミ リ の 差 異 が 見 ら れ る 。 こ れ は 製 本 現 場 の 意 識 の 現 れ で も あ ろ う 。 日 本 ほ ど 細 か な 点 に こ だ わ ら な い お お ら か さ が 見 て と れ る 。 表 示 さ れ る サ イ ズ は 化 粧 断 ち 前 の 折 り の 状 態 で の 数 値 で あ る こ と か ら 、 仕 上 が り サ イ ズ で の 個 人 差 が 生 じ る と も い え る 。   往 々 に し て こ の よ う な 現 象 は 見 か け る 。 た と え ば 、 一 九 一 三 年 に 九 号 が 発 行 さ れ た 雑 誌 ﹃ イ ン プ リ ン ト ︵ T he Im pr in t ︶ は 、 や は り 仕 上 げ サ イ ズ の 不 揃 い は 際 立 っ て い た 。 背 の 号 数 表 記 も 不 徹 底 で あ る 。 こ れ は か の フ ラ ン シ ス ・ メ ネ ル の 従 兄 に あ た る ジ ェ ラ ー ド ・ メ ネ ル が 志 を 掲 げ て 立 ち 上 げ た ウ ェ ス ト ミ ン ス タ ー ・ プ レ ス か ら 出 版 し た 、 商 業 印 刷 業 界 向 け の 雑 誌 で あ る 。 若 き ス タ ン リ ー ・ モ リ ス ン が こ の 出 版 社 に 就 職 し て 、 こ の 仕 事 に 関 わ り 、 タ イ ポ グ ラ フ ィ 実 践 の 契 機 と な っ た 因 縁 深 い 事 務 所 。 こ の 印 刷 用 に モ ノ タ イ プ 社 に 依 頼 し て 設 計 さ せ た 書 体 は イ ン プ リ ン ト ・ オ ー ル ド フ ェ イ ス と 呼 ば れ た 。 後 に モ ノ タ イ プ 社 か ら 発 売 さ れ た イ ン プ リ ン ト ︵ シ リ ー ズ 一 〇 一 ︶ で あ る 。 こ れ は キ ャ ズ ロ ン を ベ ー ス に 設 計 さ れ た 書 体 で 、 雑 誌 創 刊 に 間 に 合 う よ う に 急 造 さ れ た 。 ち な み に 、﹃ イ ン プ リ ン ト ﹄ の 創 刊 号 の 表 四 ︵ 裏 表 紙 ︶ に は ラ ス キ ン の 言 葉 が 短 く 引 用 さ れ て い る 。   な お 、 英 国 の 書 籍 用 紙 の 旧 サ イ ズ の 種 類 と そ の 呼 称 は 、 ポ ッ ト 、 フ ー ル ス カ ッ プ 、 ポ ス ト 、 ク ラ ウ ン 、 デ ィ マ イ 、 ミ ー デ ィ ア ム 、 ロ イ ヤ ル 、 エ リ フ ァ ン ト 、 イ ン ペ リ ア ル の 九 種 類 あ り 、 む ろ ん イ ン チ 法 で あ る 。 そ れ ぞ れ に 全 紙 、 二 ツ 折 り 、 四 ツ 折 り 、 八 ツ 折 り 、 十 六 折 り な ど と 折 り 畳 ま れ た 各 サ イ ズ が 準 備 さ れ る 。   つ い で に ジ ャ ケ ッ ト を は ず し た ク ロ ス 裝 の 背 文 字 を チ ェ ッ ク し た 。 後 半 の 五 号 と 七 号 で ロ ー マ ン 式 数 字 の Vと VII、 他 の 号 は 全 て ア ラ ビ ア 式 数 字 だ っ た 。 C   本 文 組 版   本 文 で 使 用 さ れ た 書 体 は 、 表 3で 掲 げ た 。 前 半 で は ギ ャ ラ モ ン 、 バ ス カ ヴ ィ ル 、 キ ャ ズ ロ ン の 三 種 と 変 化 が あ る が 、 後 半 で は バ ル ブ の 一 種 で あ る 。 サ イ ズ 図 1 『フラーロン』誌の背。左から1―7号 天地(タテ) (mm) 小口(ヨコ) (mm) 束の厚さ (mm) 背文字の 号表記 1 277 217 14 ローマン式 2 275 213 13 ローマン式 3 277 215 15 ローマン式 4 276 215 15 ローマン式 1- 4 平均 276 215 14 5 283 218 30 アラビア式 6 279 213 22 ローマン式 7 278 214 26 アラビア式 5- 6 平均 280 215 26 1- 7 平均 278 215 19 表 2 本文用紙の仕上がりと束と背文字の比較

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で も 前 半 は 11、 13、 14ポ イ ン ト ︵ 以 下 ﹁ ポ ﹂ と 略 す る ︶ と 試 行 が 見 ら れ る が 、 後 半 で は 13ポ で 変 化 が な い 。 こ こ で 使 用 さ れ る 活 字 は モ ノ タ イ プ 社 版 す な わ ち 機 械 組 版 用 で あ る 。 ギ ャ ラ モ ン 書 体 は 一 九 二 二 年 に シ リ ー ズ 一 五 五 番 と し て 、 キ ャ ズ ロ ン 書 体 は 一 九 一 三 年 に シ リ ー ズ 一 二 八 番 と し て 、 バ ス カ ヴ ィ ル 書 体 は 一 九 二 三 年 に シ リ ー ズ 一 六 九 番 と し て 、 そ れ ぞ れ 完 成 さ れ て い た 。 バ ル ブ 書 体 は 、 モ ノ タ イ プ 社 が 一 九 二 五 年 こ ろ に シ リ ー ズ 一 七 八 番 と 整 理 さ れ て 完 成 し 、 同 年 に ケ ン ブ リ ッ ジ 大 学 出 版 局 が 購 入 し て い る 。   こ の バ ル ブ 書 体 と は 広 く 流 布 し て い な い 名 称 だ 。 バ ル ブ ︵ B ar bo u ︶ と は 十 八 世 紀 の パ リ の タ イ ポ グ ラ フ ァ で あ る フ ー ル ニ エ に 協 力 し た 印 刷 者 の ヨ ゼ フ ・ ジ ェ ラ ー ル ・ バ ル ブ ︵ 一 七 二 三 ︱ 九 〇 ︶ の こ と で 、 バ ル ブ 書 体 は フ ー ル ニ エ 設 計 の 活 字 を モ デ ル に し た も の で あ る 。 モ ノ タ イ プ 社 に は フ ー ル ニ エ 書 体 も シ リ ー ズ 一 八 五 番 と し て 揃 え ら れ て い る が 、 両 者 は コ ン デ ン ス 気 味 の 酷 似 し た 書 体 で あ る 。 な ぜ 同 じ よ う な 書 体 が 生 ま れ た か に つ い て は 逸 話 が 残 っ て い る が 、 こ こ で は 社 内 の 人 間 関 係 に よ る 、 と 述 べ る に 留 め て お く 。   以 上 か ら 、 十 年 前 に 製 品 化 さ れ た キ ャ ズ ロ ン 以 外 の 三 書 体 は 、 一 九 二 〇 年 代 の モ ノ タ イ プ 社 の 発 売 直 後 に 使 用 さ れ て い る こ と が わ か る 。   次 に 行 間 と 組 み 幅 ︵ 行 長 ︶ と 一 ペ ー ジ あ た り の 行 数 を 比 較 す る 。 前 半 で は 行 間 は ベ タ 、 3ポ 、 1ポ で あ り 、 行 数 は 37行 と 38行 で 、 組 み 幅 は 33パ イ カ ︵ 3 9 6ポ ︶ と 34パ イ カ ︵ 4 0 8ポ ︶ と 、 そ れ ぞ れ 変 化 が 見 ら れ る 。 他 方 後 半 で は 、 行 間 は 2・ 5ポ 、 行 数 33行 、 組 み 幅 32・ 5パ イ カ ︵ 3 9 0ポ ︶ と 、 三 号 を 通 し て 変 化 が な い 。 後 半 で の ペ ー ジ 数 が 増 え た に も か か わ ら ず 、 行 数 は 前 半 よ り も 四 ︱ 五 行 少 な い 。   こ こ で 分 か る の は 、 前 半 で は 様 々 に 試 み て い る よ う だ が 、 後 半 で は 一 定 で あ る こ と だ 。 前 半 の 号 ご と の 変 化 は 、 編 集 者 サ イ モ ン の 印 刷 所 と の 関 わ り と 無 縁 で は な い だ ろ う 。 彼 は 比 較 的 に 自 由 に 選 択 で き る 立 場 に あ っ た と い え る 。 後 半 で は ケ ン ブ リ ッ ジ 大 学 出 版 局 に 印 刷 依 頼 さ れ て い た こ と か ら 、 組 版 現 場 を 配 慮 し て 変 更 を 避 け た と も 推 測 で き る 。 ま た 、 雑 誌 で あ る 以 上 、 体 裁 は 一 定 で あ る 方 が 読 者 の 印 象 も 安 定 す る だ ろ う と モ リ ス ン が 考 え た と も 想 像 で き る 。 他 方 で 、 寄 稿 さ れ た 原 稿 チ ェ ッ ク や 広 告 類 の 処 理 作 業 な ど に 忙 殺 さ れ 、 号 ご と に 本 文 組 版 を 細 か く 設 計 す る 余 裕 が な か っ た と も 考 え ら れ る 。   ち な み に 、 発 行 元 の 表 示 は 、 一 ︱ 二 号 は ウ ェ ス ト ミ ン ス タ ー に あ る セ ン ト ・ ス テ ィ ヴ ン ス ・ ハ ウ ス に 構 え て い た フ ラ ー ロ ン 事 務 所 で あ る 。 三 ︱ 七 号 も 同 じ フ ラ ー ロ ン 事 務 所 と あ る が 、 住 所 は グ レ イ ト ・ ラ ッ セ ル 通 り に 変 更 さ れ る 。 大 英 博 物 館 正 門 前 を 通 る 道 路 の 一 画 だ と 思 わ れ る 。 D   扉 と 目 次   扉 や 目 次 な ど の 本 文 以 外 の 前 付 け ペ ー ジ で は 、 タ イ ポ グ ラ フ ァ の 趣 向 が 現 れ る 。 そ こ で は 比 較 的 自 由 度 の 高 い 工 夫 が う か が え る 部 分 と し て 、 組 版 デ ザ イ ン の 面 か ら 創 意 が 試 さ れ る し 、 本 文 へ 向 け て の 前 奏 曲 的 と し て 読 み 手 の 側 か ら の 鑑 賞 が 許 さ れ る と い え る 。 こ の 前 付 け の 組 み 方 を 観 察 し て み る 。   扉 で は 前 半 と 後 半 と も に 、 表 4に 示 し た 通 り 、 左 右 中 央 組 み で 、 花 形 活 字 、 罫 線 、 紋 章 な ど を 控 え め に 加 え て い る こ と が 共 通 し た 特 徴 で あ る ︵ 図 2参 照 ︶ 。 共 に 伝 統 的 な 味 を 意 識 し て い る が 簡 素 で あ り 、 当 時 の 大 陸 の 流 行 と は 一 線 を 画 し て い る 。 つ ま り ニ ュ ー ・ タ イ ポ グ ラ フ ィ 運 動 に よ る 非 対 称 で サ ン セ リ フ 体 の 大 胆 な 構 成 や 作 為 過 剰 な デ ザ イ ン を 避 け て 、 静 謐 で 抑 制 し た 演 出 を 試 み て い る 。   扉 の 使 用 書 体 は 本 文 と 同 じ で あ る 。 こ れ も 本 文 へ の 序 章 と し て 本 文 書 体 と の 奇 異 な 変 化 を 避 け て 調 和 を 旨 と し て い る こ と で 、 伝 統 的 で あ る 。 扉 で の 記 載 事 項 と そ の 順 序 は 全 号 一 貫 し て い る 。 つ ま り 誌 名 、 副 題 、 編 集 者 名 、 号 数 表 記 、 発 行 地 名 、 印 刷 所 名 、 発 行 年 で あ る 。 前 半 の 扉 で は 誌 名 と 副 題 を は じ め 、 号 ご と で サ イ ズ の 変 化 が 見 ら れ る 。 と り わ け 一 号 で の 誌 名 が 48ポ 、 四 号 で 36ポ と 際 使用書体 サイズ (ポイント) 行 間 (ポイント) 行 数 組 幅 (パイカ) 1 ギャラモン 14 0 38 33 2 バスカヴィル 14 0 37 34 3 キャズロン 11 3 38 33 4 キャズロン 13 1 38 33 5 バルブ 13 2.5 33 32.5 6 バルブ 13 2.5 33 32.5 7 バルブ 13 2.5 33 32.5 1パイカ= 12 ポイント サイズはアメリカン・ポイント 表 3 本文の組版

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立 っ て 大 き い 。 そ れ に 反 し て 後 半 で は 、 七 号 の 誌 名 が 24ポ 、 副 題 が 18ポ で し か も イ タ リ ッ ク 体 と や や 大 き い だ け で 、 や は り 大 き め で あ る 。   サ イ モ ン は そ の 著 ﹃ タ イ ポ グ ラ フ ィ 入 門 ﹄ で 、 本 文 七 ペ ー ジ と 図 版 十 八 ペ ー ジ に わ た っ て 扉 の 組 版 に つ い て 解 説 し て い る 。 実 に こ の 著 作 全 体 の 十 八 % を 費 や し て い る 。 そ の 中 で ﹁ 質 素 で あ ろ う が 手 の 込 ん だ も の で あ ろ う が 、 扉 は 真 面 目 な 購 読 者 に と っ て は 信 頼 を 寄 せ る ペ ー ジ で あ り 、 情 報 と そ の タ イ ポ グ ラ フ ィ の 演 出 に よ っ て 書 物 の 所 有 者 や 読 者 を 引 き つ け る に 十 分 な 恒 久 的 な 価 値 を 示 す た め の ペ ー ジ で す ﹂ (23)。 と 語 り 、 文 字 の デ ィ ス プ レ イ 、 ス ペ ー シ ン グ と 行 間 、 版 面 配 置 、 小 型 大 文 字 、 色 刷 り 、 装 飾 、 書 体 混 植 と 詳 述 し て い る 。 ま た 、 彼 は ﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ 一 号 で も 、 五 ペ ー ジ の 短 い テ キ ス ト と 十 一 の 図 版 を 示 し て 扉 の デ ザ イ ン を 九 つ に 類 別 し て 解 説 し て い る 。 彼 の 扉 へ の 関 心 の 強 さ を 示 し て い る 。 彼 が 好 む 装 飾 的 ・ 美 術 的 な 要 素 が 許 さ れ る 場 だ か ら と 思 わ れ る 。   目 次 で も 表 5で 示 し た 通 り 前 半 と 後 半 で は 差 が 現 れ て い る 。 前 半 で は 記 事 標 題 を ロ ー マ ン 体 の オ ー ル ・ キ ャ ッ プ 、 著 者 名 を イ タ リ ッ ク 体 、 ペ ー ジ 表 示 を オ ー ル ド ・ ス タ イ ル ︵ ノ ン ラ イ ニ ン グ ︶ 数 字 で 前 半 を 通 し て 一 定 で あ る 。 後 半 で は 書 名 を ロ ー マ ン 体 の オ ー ル ・ キ ャ ッ プ か ア パ ー ・ ア ン ド ・ ロ ー ワ ー 、 著 者 名 を イ タ リ ッ ク 体 か ロ ー マ 使用書体 誌 名 副 題 編集者名 号 数 発行地名 印刷所名 発行年 組み方 1 ギャラモン 48 18 14 8 14 14 14 左右中央 2 バスカヴィル 18 12 12 12 12SC 12SC 12 左右中央 3 キャズロン 18 14 12 * 14 10 10 12 左右中央 4 キャズロン 36 24 18 18 12 12 12 左右中央 5 バルブ 18 14 14 14 12 12 14 左右中央 6 バルブ 18 14 14 14 14 12 14 左右中央 7 バルブ 24 **18 14 18 14 12 10 左右中央 SCは小型大文字(スモール・キャップ)、*はスワッシュ・キャピタル、**はイタリック体 表 4 扉の組版(数字の単位はポイント) 図 2 『フラーロン』誌の扉。上:1―4号、下:5―7号

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ン 体 の 小 型 大 文 字 、 ペ ー ジ 数 表 示 を オ ー ル ド ・ ス タ イ ル 、 な ど と 号 に よ っ て 変 化 を 加 え て い る 。 両 者 の 共 通 点 は 、 ペ ー ジ 数 表 示 だ け で あ る 。 目 次 で の ペ ー ジ 数 表 示 で は 、 標 題 と 結 ぶ た め に リ ー ダ ー 罫 を 使 用 す る 旧 式 の デ ザ イ ン は 避 け ら れ て い る 。 E   ノ ン ブ ル と 柱   前 半 と 後 半 の ノ ン ブ ル で は 、 表 六 に 示 す 通 り 活 字 は 本 文 と 同 書 体 で 同 サ イ ズ で あ る 。 た だ 、 前 半 で の 配 置 が 罫 下 中 央 か 小 口 に あ り 、 後 半 で の 配 置 は 罫 下 中 央 で 一 定 で あ る 。   柱 で は 前 半 は ロ ー マ ン 体 の オ ー ル ・ キ ャ ッ プ か 小 型 大 文 字 、 後 半 で は イ タ リ ッ ク 体 か ロ ー マ ン 体 の 小 型 大 文 字 の ど ち ら か で あ る 。 前 半 で は 大 文 字 に レ タ ー ・ ス ペ ー ス を 加 え た 場 合 と そ う で な い 場 合 が あ る 。 後 半 で は 小 型 大 文 字 に は 必 ず レ タ ー ・ ス ペ ー ス が 施 さ れ て い て 、 基 本 通 り だ 。 F   各 号 の ペ ー ジ 数   各 号 の 総 ペ ー ジ 数 を 比 較 す る 。 ペ ー ジ 数 に は つ い て は 、 次 の 条 件 下 で 数 え た 。   ① 印 刷 さ れ た ノ ン ブ ル を 基 準 と す る 。   ② ノ ン ブ ル が 連 続 し て い れ ば 、 そ の 間 の 隠 し ノ ン ブ ル の 白 ペ ー ジ を 含 む 。   ③ 別 丁 の 図 版 は 含 ま な い 。   ④ 本 文 用 の 紙 葉 上 に 貼 付 さ れ た 図 版 は 含 ま な い 。 た だ し 、 紙 葉 に ノ ン ブ ル が 記 さ れ て い れ ば 、 そ れ は 数 え る 。   ペ ー ジ 数 は 表 7︱ 1に ま と め た と お り の 数 字 と な る 。 全 号 の ペ ー ジ 数 は お よ そ 一 五 〇 〇 に 迫 る 量 で あ る 。 前 半 と 後 半 で の 比 較 を 試 み る と 、 前 半 四 号 分 の 総 ペ ー ジ 数 は 六 七 〇 で 、 一 号 あ た り の 平 均 ペ ー ジ 数 は 一 六 八 、 後 半 は 八 一 八 で 、 一 号 あ た り の 平 均 は 二 七 三 で あ る 。 後 半 三 号 の 合 計 が 前 半 四 号 よ り 一 五 〇 ペ ー ジ 近 く 多 い こ と が 特 徴 で あ る 。   後 半 は 前 半 よ り も ペ ー ジ 数 が 多 い こ と が 一 目 で 分 か る 。 平 均 ペ ー ジ 数 で 後 半 が 前 半 の 何 倍 か を み る と 、 前 付 け で は 一 ・ 六 三 倍 、 本 文 で は 一 ・ 三 五 倍 、 書 評 ・ 活 字 評 は 三 ・ 三 倍 、 広 告 で は 一 ・ 九 五 倍 ほ ど に な る 。 と り わ け 広 告 が 際 立 つ 。 こ れ は 後 に も 比 較 す る よ う に 、 モ リ ス ン の 交 際 範 囲 ま た は そ の た め の 手 紙 に よ る 積 極 的 な ア プ ロ ー チ が 関 係 し て い る だ ろ う 。 な お 、 ペ ー ジ 数 構 成 の 比 率 は 表 7︱ 2に 示 し た 。 ま た 、 表 2で も 示 し た が 、 見 返 し を 除 い て 本 文 の 束 ︵ つ か ︶ を 測 る と 、 前 ノンブル 使用書体 サイズ 配 置 使用書体 サイズ 字 種 スタイル 配 置 1 ギャラモン 14 罫下中央 ギャラモン 14 ローマン all cap 中 央 2 バスカヴィル 14 罫下中央 バスカヴィル 14 ローマン all cap / w.s. 中 央 3 キャズロン 11 小 口 キャズロン 11 ローマン s. cap / w.s. 中 央 4 キャズロン 11 小 口 キャズロン 11 ローマン all cap / w.s. 中 央 5 バルブ 13 罫下中央 バルブ 13 イタリック u / l 中 央 6 バルブ 13 罫下中央 バルブ 13 ローマン s. cap / w.s. 中 央 7 バルブ 13 罫下中央 バルブ 13 ローマン s. cap / w.s. 中 央

サイズ:ポイント、all cap: 全て大文字組み、all cap / w.s.: 全て大文字組みで、レタースペースあり、 s. cap / w.s.:小型大文字組みで、レタースペースあり、u / l:大文字と小文字組み

表 6 ノンブルと柱

見出し 記事標題 著者名 ページ表示

1 イタリック ローマン イタリック ローマン

36 14 14 14

u / l all cap u / l OSF

2 ローマン ローマン イタリック OS

18 14 14 14

all cap all cap u / l OSF

3 ローマン ローマン イタリック ローマン

14 14 14 14

all cap all cap u / l OSF

4 ローマン ローマン イタリック ローマン

36 14 14 14

all cap all cap u / l OSF

5 ローマン ローマン イタリック ローマン

18 14 14 14

all cap u / l u / l OSF

6 ローマン ローマン ローマン ローマン

18 14 14 14

all cap u / l u / l OSF

7 ローマン ローマン ローマン ローマン

18 14 14 14

all cap all cap SC OSF

・all cap とは全ての文字を大文字で組むこと ・u / l とは単語を大文字と小文字で組むこと ・SC とは小型大文字(スモール・キャップ)のこと ・数字はポイント・サイズを示す ・OSF とはオールド・スタイルの数字のこと 表 5 目次の組版

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半 四 号 の 平 均 は 14ミ リ で 、 後 半 三 号 の 平 均 は 26ミ リ だ っ た 。 ︵ 二 ︶ 本 文 の 内 容 構 成 A   原 稿 の 種 類 と 点 数   次 に 内 容 別 に 本 文 を 眺 め て み る 。 こ こ で は 論 文 ・ 記 事 の 標 題 か ら の 判 断 で あ る が 、 テ ー マ 内 容 を 活 字 、 人 物 、 デ ザ イ ン 、 印 刷 、 書 籍 、 用 紙 、 書 評 、 活 字 評 と 大 き く 分 け た 。 人 物 と は 主 に 印 刷 者 や ア ー テ ィ ス ト と そ の 作 品 を 含 む 。 デ ザ イ ン 関 連 は 一 号 だ け 、 用 紙 関 連 は 二 号 だ け の 掲 載 と な っ て い る 。 い ず れ の 分 野 も ま さ に タ イ ポ グ ラ フ ィ に 直 接 に 関 連 す る の で 、 当 然 と 言 え る 。   各 号 の 内 容 の 全 体 は 表 8︱ 1に 示 す 。 そ れ を テ ー マ 別 に 比 較 す る と 、 表 8︱ 2の よ う な 興 味 あ る 統 計 結 果 が 見 ら れ る 。 前 半 で 活 字 に 関 す る 論 文 が 六 点 寄 せ ら れ 、 図 版 類 を 除 く そ の 正 味 の 総 ペ ー ジ 数 が 最 も 多 く て 一 四 三 ペ ー ジ で 、 前 半 の 総 ペ ー ジ 数 量 の 三 十 四 ・ 七 % を 占 め て い る 。 二 位 に 際 立 つ 内 容 は 人 物 で 、 八 点 あ っ て 正 味 八 十 二 ペ ー ジ 、 十 九 ・ 九 % 。 三 位 は 印 刷 関 連 で 九 点 、 八 十 一 ペ ー ジ 、 十 九 ・ 七 % の 集 計 を 得 た 。   後 半 で は 、 人 物 関 連 が 一 位 で 九 点 あ り 、 正 味 ペ ー ジ 数 は 一 五 〇 、 後 半 の ペ ー ジ 数 に お け る 割 合 は 三 十 四 ・ 六 % で あ る 。 二 位 は 活 字 関 連 で 六 点 が 展 開 さ れ 、 百 十 八 ペ ー ジ 、 二 十 七 ・ 二 % と な る 。 三 位 は 印 刷 関 連 で 、 七 十 三 ペ ー ジ 、 十 六 ・ 八 % 。   書 評 は 前 半 で は 二 十 一 点 あ っ て 四 十 四 ペ ー ジ を 占 め 、 十 ・ 七 % 、 後 半 で は 四 十 点 あ っ て 五 十 三 ペ ー ジ を 占 め 、 十 二 ・ 二 % と 多 め で あ る 。 活 字 評 は 前 半 で は 十 六 点 あ り 、 十 六 ペ ー ジ を 占 め 三 ・ 九 % で あ る 。 後 半 で は 十 三 件 の 対 象 が あ り 、 三 十 ペ ー ジ を 費 や し 、 六 ・ 九 % と ペ ー ジ 数 で は お お よ そ 前 半 の 二 倍 近 く に な る 。 後 半 で モ リ ス ン の 担 当 に よ り 、 書 評 と 活 字 評 が 増 え た こ と が 特 筆 さ れ る だ ろ う 。   全 号 を 通 し て ペ ー ジ 数 別 で テ ー マ と し て 多 く を 割 い た 数 字 は 、 次 の 順 位 を 示 す 。 一 位 は 活 字 の 十 二 点 で 二 百 六 十 一 ペ ー ジ ︵ 三 十 ・ 九 % ︶ 、 二 位 は 人 物 の 十 七 点 で 二 百 三 十 二 ペ ー ジ ︵ 二 十 七 ・ 四 % ︶ 、 三 位 は 印 刷 の 十 四 点 で 百 五 十 四 ペ ー ジ ︵ 十 八 ・ 二 % ︶ と な る 。 人 物 関 連 に も 多 く を 占 め て い る こ と は 、 タ イ ポ グ ラ フ ィ 専 門 雑 誌 と し て 、 主 に 欧 米 に お け る タ イ ポ グ ラ フ ィ 上 の 注 目 す べ き 人 物 と そ の 仕 事 を 紹 介 し て 、 こ の 時 代 に お け る 価 値 あ る 印 刷 者 な ど に 注 目 さ せ る 意 図 が あ る の だ ろ う 。 こ こ に こ の 雑 誌 の 特 徴 が 明 快 だ 。 次 に 活 字 と 印 刷 の 関 連 記 事 が 多 い の は 当 然 で あ る 。 B   執 筆 陣   表 9に あ る 通 り 、 執 筆 陣 は 各 号 で 五 ︱ 十 名 程 度 で 、 平 均 は 七 名 と な る 。 執 筆 者 の 総 数 は 三 十 四 名 で 、 そ の 中 心 に は フ ラ ー ロ ン 協 会 の 面 々 が い て 、 記 名 の あ る 全 論 文 ・ 記 事 の 執 筆 回 数 六 十 三 ︵ 五 十 四 + 九 ︶ の う ち 十 七 を 占 め て 、 四 分 の 一 を 越 え て い る 。 そ れ に 加 え て イ ギ リ ス 国 外 か ら も あ り 、 多 彩 で あ る 。 共 同 執 筆 を 含 め て 毎 号 寄 稿 し て い る の は 、 モ リ ス ン だ け だ 。 メ リ ー ・ マ ウ ン ト ・ プ レ ス 主 宰 の 活 字 研 究 家 ダ ニ エ ル ・ ア ッ プ ダ イ ク が 五 回 、 モ ノ タ イ プ 社 広 報 部 長 の ポ ー ル ・ ボ ー ジ ョ ン ︵ ビ ア ト リ ス ・ ウ ォ ー ド 女 史 ︶ は 七 号 に 二 点 寄 稿 し て 計 四 点 、 ジ ャ ク ス ン 、 ニ ュ ー デ ィ ギ ッ ト 、 ジ ョ ン ス ン が 各 々 三 点 を 寄 稿 し て い る 。 ジ ョ ン ス ン は 大 英 博 物 館 の イ ン キ ュ ナ ブ ラ 部 門 担 当 の 活 字 歴 史 家 で あ る 。 総頁数 内 訳 前付け 本 文 書 評 広 告 その他 1 172 8 148 - 14 2 2 148 8 124 - 14 2 3 160 8 106 32 12 2 4 190 8 150 18 12 2 小 計 670 32 528 50 52 8 平均頁数 168 8 132 13 13 2 5 240 14 182 24 18 2 6 282 14 184 50 32 2 7 296 12 170 50 26 **38 小 計 818 40 536 124 76 42 平均頁数 273 13 179 41 25 14 総 計 1488 72 1064 174 128 50 平 均 213 10 152 25 18 7 *活字評も含む、**あとがきと索引を含む 表 7-1 ページ数構成 総頁数 内 訳 前付け 本 文 書 評 広 告 その他 1 172 4.7 86 - 8.1 1.2 2 148 5.4 83.8 - 9.5 1.3 3 160 5 66.3 20 7.5 1.2 4 190 4.2 78.9 9.5 6.3 1.1 小 計 670 4.8 78.8 7.4 7.8 1.2 5 240 5.8 75.8 10 7.5 0.8 6 282 5 65.3 17.7 11.3 0.7 7 296 4.1 57.4 16.9 8.8 **12.8 小 計 818 4.9 65.5 15.2 9.3 5.1 *活字評も含む、**あとがきと索引を含む 表 7-2 ページ数構成の比率

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  外 国 勢 と し て は 、 ア メ リ カ 人 の ア ッ プ ダ イ ク 、 四 号 寄 稿 の タ イ ポ グ ラ フ ァ の フ レ デ リ ッ ク ・ ウ ォ ー ド 、 フ ラ ン ス 人 で は 二 号 寄 稿 の 画 家 ピ エ ー ル ・ グ ス マ ン 、 三 号 寄 稿 の オ ン グ ル ボ ン 、 六 号 寄 稿 の ブ ノ ワ 、 ド イ ツ 人 で は 四 号 寄 稿 の ハ ン ナ ・ キ ー ル と 近 代 ド イ ツ 印 刷 の 書 誌 学 者 ユ リ ウ ス ・ ロ ー デ ン ベ ル ク 、 七 号 寄 稿 の 活 字 設 計 家 ル ド ル フ ・ コ ッ ホ 。 オ ラ ン ダ 人 で は 七 号 寄 稿 の エ ン ス ヘ デ 活 字 鋳 造 所 専 属 の 活 字 設 計 家 ヤ ン ・ フ ァ ン ・ ク リ ン ペ ン が い る 。 チ ェ コ 人 で は 三 号 寄 稿 の タ イ ポ グ ラ フ ァ の メ ト ー ド ・ カ ラ ブ が い る 。 不 明 な 人 物 と し て 、 三 ︱ 四 号 寄 稿 の マ ロ 、 五 号 寄 稿 の イ ス テ ル 、 六 号 寄 稿 の ア ル ベ ル ト ・ ウ ィ ン デ ィ ヒ な ど が い る 。   我 々 に な じ み の あ る 人 物 と し て は 、 三 人 ほ ど 挙 げ ら れ る 。 書 誌 学 者 で 書 籍 商 で も あ る 若 き グ ラ ハ ム ・ ポ ラ ー ド が 七 号 に 、 タ イ ポ グ ラ フ ァ で あ り 活 字 設 計 家 で も あ る ド ゥ ィ ギ ン ズ が 三 号 に 、 そ れ ぞ れ 論 考 を 寄 せ て い る 。   タ イ ポ グ ラ フ ィ の 歴 史 上 で 反 響 の 大 き い 論 考 が あ る 。 五 号 で の ポ ー ル ・ ボ ー ジ ョ ン 著 ﹁ ギ ャ ラ モ ン の 活 字 ﹂ と 七 号 で の モ リ ス ン の ﹁ タ イ ポ グ ラ フ ィ の 基 本 原 理 ﹂ と 二 号 掲 載 の ﹁ 理 想 の 活 字 を 求 め て ﹂ だ 。 後 半 に な っ て か ら ボ ー ジ ョ ン こ と ウ ォ ー ド 女 史 が 集 中 的 に 寄 稿 す る 背 景 に は 、 モ ノ タ イ プ 社 発 行 ﹃ モ ノ タ イ プ ・ レ コ ー ダ ー ﹄ の 編 集 担 当 や 同 社 の 広 報 部 長 を 勤 め た ウ ォ ー ド 女 史 と 、 モ リ ス ン と の 急 速 な 接 近 と 影 響 関 係 が あ る だ ろ う 。 ︵ 三 ︶ そ の 他 A   広 告 主   雑 誌 で は 通 常 は 有 料 広 告 を 募 集 し 掲 載 す る が 、 そ の 広 告 料 を 製 作 費 に 充 て る 。﹃ フ ラ ー ロ ン ﹄ 掲 載 の 広 告 主 に は ど ん な 業 種 が あ る か を 表 10に 示 し た 。 全 号 で は 出 版 社 の 広 告 が 三 十 八 社 で 全 体 の 四 十 五 % を 占 め る 。 二 番 は 十 一 社 の 書 籍 商 で 十 三 % 、 三 番 は 組 版 機 の 販 売 会 社 で 十 社 と な り ほ ぼ 十 二 % 、 後 に 続 く の は 印 刷 社 の 九 社 、 紙 商 の 六 社 、 そ の 他 の イ ン キ や 印 刷 道 具 類 や 活 字 鋳 造 会 社 を 含 む 印 刷 資 材 商 の 六 社 、 さ ら に 発 行 元 で あ る フ ラ ー ロ ン 協 会 や メ デ ィ チ 協 会 が 、 前 半 だ け に 広 告 し て い る 。   広 告 主 の 所 在 地 も こ の 雑 誌 を 知 る 上 で 情 報 と な る の で 、 各 号 で の 国 別 業 者 の 数 を 表 11に 示 す 。 イ ギ リ ス 国 内 は 前 半 で は 三 十 五 社 で 、 海 外 か ら は 五 社 と な る 。 後 半 で は 国 内 業 者 数 は 二 十 七 社 、 海 外 業 者 は 十 一 社 と な る 。 執 筆 者 同 様 に 活 字 人 物 デザイン 印 刷 書 籍 用 紙 書 評 活字評 1 3 (75) 2 (13) 2(21) 1 (7) - - 5 (5) - 2 1 (19) 2 (35) - 3 (34) - 1(4) 8 (7) - 3 1 (29) 2 (16) - 4 (32) 1(12) - 6(22) 11 (7) 4 1 (20) 2 (18) 1 (4) 1 (8) 1 (5) - 2(10) 5 (4) 1- 4 計 6(143) 8 (82) 3(25) 9 (81) 2(17) 1(4) 21(44) 16(16) 5 3 (55) 3 (57) - - 2(10) - 7(12) - 6 2 (40) 3 (60) - 1 (14) - - 22(20) 6 (9) 7 1 (23) 3 (33) - 4 (59) - - 11(21) 7(21) 5- 7 計 6(118) 9(150) 5 (73) 2(10) 40(53) 13(30) 合計 12(261) 17(232) 3(25) 14(154) 4(27) 1(4) 61(97) 29(46) 数字の左は論文・記事の数、( )内の数字は図版類を除く本文の正味ページ数 表 8-2 論文・記事の内容と分量(ページ数) 論文数 書 評 活字評 1 8 5 - 2 7 8 - 3 8 6 11 4 6 2 5 1- 4 小計 29 21 16 5 8 7 - 6 6 22 6 7 12 11 7 5- 7 小計 26 40 13 1- 7 合計 45 61 29 表 8-1 論文・記事の数

(13)

氏 名 生没年 職 種 1 号 2 号 3 号 4 号 5 号 6 号 7 号 F・メネル 1891-1975 印刷/出版 ◆ 1 S・モリスン 1889-1967 活字研究 ◆◇ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆◆ 7 W・ローゼンシュタイン 1872-1945 絵画 ◆ 1 H・ジャクスン 1874-1948 評論/編集 ◆ ◆ ◆ 3 P・スミス 1882-1948 レタリング ◆ 1 O・サイモン 1895-1956 印刷/編集 ◆ 1 B・ニューディギット 1869-1944 印刷/出版 ◆ ◆ ◇ ◆ 3 D・B・アップダイク(アメリカ) 1860-1941 印刷/活字 ◆ ◆ ◇ ◆◇ ◆ ◆ 4 H・サイモン 1898-1974 印刷 ◆ 1 J・マイヤーグラフ 1867-1935 美術 ◆ 1 P・グスマン(フランス) 1862-1942 木版/銅版 ◆ 1 R・イングペン 1868-1936 ◆ ◇ 1 F・シドウィック 1879-1939 出版 ◇ ◆ ◇ 1 S・C・ロバーツ 1887-1966 出版秘書 ◇ W・A・ドゥイギンズ 1880-1957 印刷 ◆ 1 R・シャワブ 1885-1948 彫刻 ◆ 1 A・F・ジョンスン 1884- 活字研究 ◆ ◆ ◆ ◆ 4 H・チャイルド 1869-1945 評論/演劇 ◆ 1 P・J・オングルボン(フランス) ? ◆ 1 M・カラブ(チェコ) 1885-1965 印刷 ◆ 1 H・J・フォス 1899-1954 印刷 ◆ 1 H・V・マロ ? ◇ ◆ 1 H・キール(ドイツ) ? ◆ 1 F・ウォード(アメリカ) 1894-1939 印刷 ◆ 1 J・ローデンベルク(ドイツ) 1884- 書誌学 ◆ 1 P・イステル ? ◆ 1 P・ボージョン(B・ウォード) 1900-69 活字評論 ◆ ◆ ◆◆ 4 A・ウィンディク ? ◆ 1 L・ブノア(フランス) ? ◆ 1 J・V・クリンペン(オランダ) 1892-1958 活字設計 ◆ 1 R・コッホ(ドイツ) 1876-1934 活字設計 ◆ 1 A・J・A・シモンズ 1900-41 印刷史 ◆ 1 F・エドワルド ? ◆ 1 G・ポラード 1903-76 書誌学 ◆ 1 主論文の数 9 7 9 7 5 6 11 54 *書評/活字評の数 1 2 4 2 - - - 9 ◆:論文  ◇:評論(書評/活字評) * 5-7 号に評論の執筆者が見られないのは、匿名だからである。 表 9 執筆者と掲載号の一覧 出版社 印刷社 書籍商 紙 商 組版機 協 会 その他 総 数 1 3 3 - 2 - 1 1 10 2 3 1 1 1 1 2 2 11 3 5 2 1 1 1 1 - 11 4 4 1 2 1 1 - 1 10 小 計 15 7 4 5 3 4 4 42 5 6 - 2 - 2 - - 10 6 9 1 2 1 2 - 1 16 7 8 1 3 - 3 - 1 16 小 計 23 2 7 1 7 0 2 42 総 計 38 9 11 6 10 4 6 84 割 合(%) 45.2 10.7 13.1 7.1 11.9 4.8 7.1 注:この数字は掲載ページ数ではなく、件数である。 注:その他には印刷資材商(インキ、印刷道具類)と活字鋳造所を含む。 表 10 広告主

参照

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