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日本における女性の年上結婚について-メカニズムの探索-

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日本における女性の年上結婚について−メカニズム

の探索−

著者

LIANG Su

雑誌名

文化

83

1,2

ページ

54-74

発行年

2019-09-28

URL

http://hdl.handle.net/10097/00128842

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日本における女性の年上結婚について

−メカニズムの探索−

Su LIANG

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日本における女性の年上結婚について

−メカニズムの探索−

Su LIANG

本研究は、ゲーム理論のツール「同時手番ゲーム」を基に、従来の「男性の年上結 婚」とは異なり近年顕著になった「女性の年上結婚」現象を説明するため、理論の構 築を試みた。ゲームに現実の見合い事情を組み込み、違うタイプの男女八人(それぞ れ、「高学歴の若い男性」、「高学歴の若い女性」、「高学歴の若くない男性」、「高学歴 の若くない女性」、「低学歴の若い男性」、「低学歴の若い女性」、「低学歴の若くない男 性」や「低学歴の若くない女性」である)をプレイヤーに設置して、異なる条件の下 でゲームを三回シミュレーションした。その結果ゲームの均衡の変動結果によって、 「女性の年上結婚」の形成メカニズムには二つ需要的条件が必要されることが明かに なった。一つ目は高学歴で優れた経済力を持つ女性はある程度男性の経済力に対して 寛容になるということ、二つ目は、低学歴によって低い生産力を持つ若い男性は、女 性に対して容姿より、相手の安定的な経済力を求めることである。 1.緒言 1.1. 背景 日本では、近年、年齢による結婚パターンが変化している。過去の伝統的な 「夫が年上の結婚」の割合が減少していることに対して「妻が年上の結婚」パ ターンが増加しつつある。厚生労働省の人口動態調査(2015)から、1970 年 から 2015 年までで、妻が年上の結婚がおおよそ二倍以上増えた事が明らかに なり、夫婦の年齢差は縮小していくだけではなく、2000 年の調査以降、妻が 年上の結婚が約 2 割へと増加し、2015 年人口動態調査データでは 24.0%とお よそ 4 組に 1 組のカップルが、妻が年上の姉さん妻婚であることがわかる。 このような結婚現象の現れは、婚姻における結婚相手を選択する意思決定変 化の結果であると考えられる。特に晩婚化など様々な社会的変化が起きている 日本において、止むを得ず結婚を先延ばした結婚意欲を持つ女性が、このよう な選択をしているのだろう。 果たしてなぜ年の差カップル(年の差婚)が増加しはじめているのかについ て、考えられる仮説は以下の四つである。

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一つめは、バブル崩壊や経済危機以降、若い男性の経済力が低下しているこ とが理由であると考えられる。従来の婚姻価値観では、結婚して家庭に専念し ようとする女性は、相手の男性の『経済力』を重視するため、若い男性より、 金銭的に余裕のある年上の男性に、経済的魅力を感じると考えられる。逆に、 高収入で高い経済生産力を持つ「お姉さん」と若い男性の結婚も、起こり得る ため、女性年上の夫婦を増やしている理由と考えられる。 二つめの理由は、「世代間のギャップの低下」である。社会学者によると、 「SNSなどのコミュニケーションツールの発達により幅広い年代の人と交流 しやすくなり、世代間のジェネレーションギャップを感じづらくなってきて いること。そして、アンチエイジング商品の広がりや発達により、肉体的にも 年齢を感じさせない人たちが増えていることも背景として考えられる。男女と もに、年齢が多少高くても、心がけ次第で若々しくいられる時代になってき た。」SNS のチャットによって知り合い、さらに感覚的にも外見的にも年齢の 差を感じないと、結婚に繋がる可能性も高まるのである。 三つ目の理由は、「男女平等社会の進み」である。「亭主関白」や「大男児主 義」などを主流な社会規範とするかつての日本では、男女不平等問題が深刻 だった。つまり、当時の女性は基本的に社会的地位や経済力を一切持たないた め、より良い生活を求めて特に年上で財力や権力を持つ男性と結婚すると、考 えることは不自然ではないだろう。更に 1960 年代の高速経済成長期に「男は 図1.1970 年から 2015 年までの初婚夫婦の年齢差の推移 出典:厚生労働省「平成 27 年人口動態調査」より筆者作成

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働く、女は家事育児」のような「男女分業意識」が生まれ、現代まで引き継が れている。つまり、高学歴・キャリアによって結婚して自分のスキルや人的資 本を無駄にしたくないため、継続就業を選択する女性が増加している、という 女性側の変化だけではなく、性別に関する社会的規範の力が弱化しているとい う社会的な変化も関連していることが明かとなっている。図2と図3が性別分 業意識観念の力の弱化を示している。男女平等社会が進んでいるという社会背 景の下で、高い経済生産力を持つ女性は、昔と比べてより自由に結婚相手(特 に年下の男性とか)を選択するようになっていると考えられる。 図2.性別分業意識「男性は外で働き、女性は家庭を守るべきである」 (女性) 図3.性別分業意識「男性は外で働き、女性は家庭を守るべきである」 (男性) 細川(2014)より筆者作成

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最後に、女性の高学歴化が四つ目の理由として上げられる。図4は、1955 年 以降の女性の進学率を高学歴化の推移として示した。女性の進学率の上昇によっ て、男女間の差が縮小していることや、大学へ進学する女性の割合が増えている ことが分かる。高学歴化の女性の一つの特徴として、学校を離れた時すでに結婚 適齢期ではなくなっているため結婚市場での競争力が低下していることがあげら れる。このことは全体の晩婚化の形成に直接的な影響を与る。このような女性は 高学歴によって蓄えた人的資本を活かし職場などで活躍しながら、自分を拘束し ない結婚をできるのが一番望ましいと考えるだろう。また、高学歴女性のもう一 つの特徴は、高収入を得やすいことである。例えば年収が高いと、経済的収入が 高いだけではなく、社会的地位も上昇する。かつての伝統的社会では男性に依存 するしかなかった女性と異なり、今の高学歴化の効果は、経済的な豊さ以外に、 潜在的な結婚相手を選択する自由も女性に与えている。 図4.大学<男女別>・学歴別<女子>進学率の推移 出典:文部科学省『学校基本調査報告書』により筆者作成 以上のように、結婚に影響する要因が数多く存在する。ただし、どの要因が より大きな影響力を持つか、更にどのようなメカニズムで女性の結婚意識に影 響して女性の年上婚を成り立たせるかについて解明する必要がある。この目標 を達成するために、次章では「年齢差結婚」に関連する先行研究を振り返る。

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2.先行研究 表1は、これまでの念連鎖結婚に関する主な先行研究のリストである。年 齢差結婚という傾向は最初に欧米で Smith(1966) の調査によって、最初に発 見された。そこから 80 年代に入り、年齢差結婚は多くの研究者の注目を集め た。Bytheway(1981) の研究は、「男性は若い女性が好む」という伝統社会に おいて代表的な意識規範を発見し、理論として提出した。なぜこのような結 婚が成り立つかについては、「若い女性は容姿が良くて子供を産みやすい」と 解釈されている(Casterline, Williams and McDonald 1986; Buss 1998; Kenrick and Keefe 1992)。その後の研究もこの結婚パターンや理論について様々な 視点で検証を行った(Otta,et al 1999; Groot and Van Den 2002; England and McClintock 2009)。昔の社会は非常に性別不平等な社会であったため、女性 は経済や社会的地位を持つ可能性がなかった女性は男性の経済力に依存する 必要があった。年齢による社会的地位や収入の向上からすると、女性が年上 の男性を好むのは妥当だと言える (Presser 1975; Lawton, Callister and Street (2010))。これについて、八代 (1993) は「日本の経済発展の段階がまだ低く、 女性の就業機会が少なかった時代には、女性の結婚することの大きな目的は、

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何よりも経済的な安定を得ることであった」と述べている。このことから昔の 日本も、欧米諸国のように不平等な時代であったことが分かる。 「 夫が 年 上、 妻 が 年 下 」 の よ う な 結 婚 パ タ ー ン の 他 に、Wheeler and Gunter(1987)は ア メ リ カ の 調 査 で 逆 の パ タ ー ン を 発 見 し た。 ま た、Ní Bhrolcháin(2006)はイギリスのデットサイトのデータを用いて男性は年上の女 性と付き合う意欲がより高いことを示した。加えて、近年の研究では、Utomo (2014)はインドネシアにおける「年上高学歴妻、年下低学歴夫」の結婚パター ンが増加している事実を報告した。また、このようなインドネシアの事例は中 国内でも報告されいてる。インターネットで調べてみたところ、中国ニュース (2017) 以下のように述べた。 「中国の社会学者李春玲の調査報告により、2000 年から 2010 年まで、「夫が 年上、妻が年下」の結婚パターンの割合は 68.09% から 43.13% まで減少し、 それに対して「妻が年上、夫が年下」の結婚パターンは 13.32% から 40.13% まで上昇しし、これら二つタイプの結婚パターンの差が大きく縮小されたこと が明かになった。この変化について、李研究員は『中国女性の社会地位の向上 のためではないか』と考えている」。 以上の先行研究から、年齢差結婚において「男性が年上結婚」と「妻が年上 結婚」二種類の結婚パターンが現在の社会に存在することを証明した。しか し、「男性が年上の結婚」のメカニズムは既に理論で説明された、一方で、新 たに現れた「女性が年上の結婚」のメカニズムはまだ十分説明されていない。 そこで本研究では、なぜこのような結婚パターンが現れるのか、そのメカニズ ムの解明を目的とする。 3.先行理論 「女性の年上結婚」のメカニズムの解明には、学術的な理論の導きが必要で ある。先行研究では、どのような要因が女性の年上結婚を成り立たせるのか、 そのメカニズムは、いまだ曖昧なままにされている。直接この結婚現象を説明 する理論は管見の限りでは確認されないが、以下のように結婚に関連する理論 をまとめて仮説を構築した。 3.1. 「結婚理論」の発展への疑問: 結婚の研究をするならば、アメリカの経済学者ゲーリー・ベッカーの結婚に

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ついて経済理論を無視できないだろう。Becker(1973,1974) は、結婚について の基本のモデルを提示した。結婚は二つの経済主体を結び、それぞれの「得意 なことをする」によって家計内生産性を上昇する。例えば、「男性は稼ぎが得 意、女性は家事が得意」という得意集合であると、男性は外で働き、女性は家 庭内の生産をすることになる。そもそも女性は子供を産むため、男性より家庭 内生産に向いているというのは自然的な考え方である。つまり、夫婦が家庭内 で分業を行うことにより、結婚によって家計の厚生かを増加する余地が生まれ ると考えられる(北村 2002: p11)と、北村は当時の時代背景をふまえて、結 婚の理論を提示した。 しかし、今の時代はより男女平等になり、女性の高学歴化によって活躍する 女性は増加している。そのため、八代(1993)は次のような違う考え方を提示 した。 「今日の家庭株式会社の土台を揺るがしている離婚増加の大きな要因として は、女性の就業の増加とそれに伴う経済的な地位の高まりがある。その意味 で、女性の就業を促進するような政策、つまり男女雇用機会均等法や育児休業 法などは、共稼ぎをいっそう促進し、家庭株式会社の経営不安定に拍車をかけ ることから、家庭生活の安定を維持するためには、望ましくないという見方も あるだろう。」 つまり、経済地位を持つ女性にとっては、家事より外で働くことが好まれる が、育児や家事ができなくなることは、家計の厚生増加や婚姻の安定に対する 一番の脅威ように見える。果たして「結婚理論」から発展した「性別役割分担 規範」は今の時代をまだ通用するかどうかは疑問である。 3.2. 学歴説: 「高学歴の女性が結婚しにくい」(津谷 2005; 津谷 2009)という説より、 「結婚しやすい」という説も考えられる。高学歴化によって女性の経済力が上 昇し、正規雇用になりやすくなるため、潜在的な結婚相手も増加する(園田 2007; 中村 2012)高学歴女性は高収入を得る職業に就くことができる。仕事の やりがいや楽しさというのは、一般的に、その収入に比例して増やすものであ る。そこで結婚よりも仕事で得られる利益は大きいと、高収入に伴なって女性 の結婚観も急速に変化している。つまり、女性の経済的な地位向上と、男女の 結婚年齢格差の縮小には一定の関係が見られる(八代 1993)。

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3.3. 結婚市場説: 市場における男女の需給バランスの変化、つまり結婚しない女性が増えるこ とによって男性の結婚難がますます深刻化し、そのことが百の説教よりも、男 性の意識変化により大きな影響力を持つといえる(八代 1993)。結婚市場にお いても、かつては経済力に勝る男性側の買い手市場であったが、今日では少な くとも 20 歳後半から 30 代の女性にとっては、売り手市場のなっている(八代 1993)。 3.4. 性別役割分業意識の変化: 学歴が高いほど性役割観や性別役割分業を否定することが先行研究で確認さ れている(若松・柏木 1994; 宮坂・目黒・矢澤 2002; 園田 2007; 上野 2012)。 それは、高学歴になると、経済生産力の向上だけではなく、知的認知能力も優 れるようになる。そして自分に対する不利な規範やルールなどを回避する意欲 が高くなるため、役割分業意識に反対しやすいというものである。 さらに、近年、男女とも「性別役割分業を支持する」声が弱くなっているた め、女性特に高学歴女性は束縛されずにより自由に社会進出・恋愛ができると 考えられる。 また、女性の高学歴化による稼得の能力の上昇と若年男性の経済状況の悪化 によって、女性の経済力を前提とした結婚形成が進んでいる可能性がある ( 中 村 2012)。結婚における規範制約の弱化や女性の経済の向上によって、新た な婚姻パターンが現れる可能性がある程度存在する。 3.5. 同類婚の弱化説 : 福田・余田・茂木(2017)は三種の同類婚が挙げた (1) 社会経済的地位 ( 学 歴,職業,所得,出身階層 )による同類婚,(2) 人種 / エスニシティによる同類 婚,(3) 宗教による同類婚 ( 福田ほか 2017;Kalmijn 1998)。学歴における「上 方婚」や「下方婚」という概念がある。かつて、社会的地位や経済力がほとん どない女性は高学歴で生産性が高い男性に依存して生活する必要あった。そ の際、結婚するために男性を魅了するポイントは若さや容姿だった。(William R. Bytheway, 1981; England and McClintock, 2009; Presser 1975; Lawton, Callister and Street (2010))

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る可能性が存在する。このことについて、福田(2017)は以下のように述べ た。 「女性の稼得能力が向上すれば,女性は経済的理由ではなく純粋な恋愛 感 情にもとづいて配偶者選択を行うことが可能になるからである」( 福田ほか 2017; Fernandez et al. 2001)。 一方、男性の観点から見ると、妻の経済的役割 に対する男性側の意識の変化は,ジェンダー平等な価値観を受容しやすい高学 歴層の同類婚選好を強めるだけでなく,中等学歴の男性の学歴上方婚 ( 女性の 下方婚 )に対する選好を強める方向に作用している可能性もある。」 以上の先行理論は、それぞれ違う側面から、新たに現れた「女性年上結婚」 を説明しており、整理すると、「女性年上結婚」のメカニズムは以下のように 提示する。 図 5.「女性の年上結婚」の形成プロセス つまり、晩婚化の社会では、「あ、やっぱり結婚をする方が」と考える高学 歴で。しかも平均結婚年齢を超えた女性は、ついに「役割分業意識」に束縛さ れずに自由に「好きなこと」をしたり、「好きな人」を選択したりするように なる。更に高学歴によって経済力が向上するため、経済力が低い若い男性に求 められるという理屈で、「女性の年上」の結婚ができた可能性を提示する。 4.本研究の目的 以上の先行研究から,学歴効果、日本社会における規範の弱化や男性の意識 の変化がそれぞれに女性の年上結婚の成り立ちに影響を与えるといえる。ま た、同じ世代で比較すると、学歴が高いほど年齢も高い。更に、出身校や年齢 学歴は経済力に影響を与えることも明らかである。しかし今まで、管見の限 り、学歴効果、規範の弱化や男性の意識の変化と女性の年上結婚の結成を一つ のモデルに入れて検討した研究は未だ存在しない。そこで本研究では、学歴効 男性の 意識の変化

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果、規範の弱化や男性の意識の変化によって女性年上結婚を形成させることを 実証し、この分野のデータ分析に応用が可能な理論モデルを構築することが目 的である。 5.方法 本研究で知るようにする分析モデルによって、実際の婚姻市場の状況を想定 し、ゲーム理論の「同時手番ゲーム」を基にして、違う条件の下にそれぞれの プレーヤー利得によってゲームの均衡を探索する。 5.1. ゲームの設定 ゲームには八つのタイプの男女が参加する。彼ら、彼女らは、それぞれ、 「高学歴の若い男性」、「高学歴の若い女性」、「高学歴の若くない男性」、「高学 歴の若くない女性」、「低学歴の若い男性」、「低学の歴若い女性」、「低学歴の若 くない男性」や「低学歴の若くない女性」である。プレーヤー数は現実の状況 のように多くはないだめ、今回のルールは一対一の形で行う。つまり、全ての プレーヤーは全ての異性と接することを可能とする。いま、ある一人の女性は テーブルの前に立って、男性の登場を待っている。男性は登場した後、沢山の コミュニケーションを行なった。判断タイムの時、女性は「結婚を考える」や 「結婚を考えない」という二つの選択肢が与えられ、男性も「プロポーズす る」や「プロポーズしない」という二つの選択肢が与えられる。十分な考慮を した後、男女五人は同時に判断を下す。ただし、事前に二人ともスタッフに 「利得」を知らされている。つまり、相手と自分の選択によって、自分の利得 は損かあるいは得かという可能性があるため、プレーヤーは判断を下す前にで きるだけ全ての可能な状況を頭で予測する必要がある。なお、ゲームは三つ選 好条件で三回を行う。 6.ゲームの分析 6.1. 条件 1 で行なったゲーム 例えば、最大や最小利益は 3 や -3 とする。2 と -2 の場合は 3 や -3 の程度に 至らないが、基本的な満足・基本的な不満という意味を表す。1 や -1 のは「大 きくはないが、自分が少し得・損をした」と意味する。0 の場合は、自分は損 でも得でもない「無利益・無被害な状態」である。上の行は女性の利得、下の

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行は男性の利得である。太い線でマークされているのは、算出された二人の最 適選択の結果得る利得である。「マッチングの最適選択」とも指す。

図 6.若い高学歴男性と女性のマッチング

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図 8. 若くない高学歴男性と女性のマッチング

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条件 1で行ったゲームでは、「男性は若い女性が好き、女性は高い経済力を持 つ男性が好き」という選好条件を与えられる。つまり、男性は、若い女性を獲得 するならば、選好を満たすため得点は高くなる。しかし、若い女性に断られる と、選好を満たせなくなるため得点は低くなる。また、男性は若くない女性を選 好しないため、プロポーズし、相手も結婚を受け入れても、男性の得点は低くな る。もし若い女性が結婚を考えず、男性もプロポーズをしないと利得はそのまま である。一方、女性は高い学歴によっての「高経済力」を持つ男性を専攻とする ので、高い利得を得るためになるべく低学歴男性とのマッチングを避ける。 まず、「若い高学歴男性と女性」のマッチングには、若い高学歴男性が若く ない女性と会う場合、若い高学歴男性はこのようなタイプの女性を選好しない ため、自分のことを好んでいる若くない女性がどのような選択をするにせよ、 「プロポーズしない」方が若い高学歴男性の最適な選択であろう。しかし、若 い女性が相手の場合は、相手の考え次第で、プロポーズするかしないかを決め る。従って、若い女性との最適選択組み合わせは「結婚を考える、プロポーズ する」や「結婚を考えない、プロポーズしない」である。 次に、若い低学歴男性と女性のマッチングについて説明する。最適選択の分 布から見ると、最適選択は存在しないように見える。男女ともリスクを回避 するために、「結婚を考える」や「プロポーズする」以外のいずれの選択肢も 考えられる。いくら選択をしても二人の合意がならずにマッチングの失敗は間 違いない。ただし、お互いに求めるものがないため、利得に影響しなかった。 若い女性とのマッチングの最適選択は「結婚を考えない」や「プロポーズしな い」である。若い低学歴の女性に会う場合に、相手が考えていなくとも「プロ ポーズする」も若い低学歴男性最適選択となる。 三番目の「若くない高学歴男性と女性」のマッチング最適選択の一つは、「若く ない女性が結婚考えない」や「若くない高学歴男性がプロポーズしない」である。 それは互いに求めるものが存在しないためであると考えられる。また、若い女性と マッチングする時でも、女性の考えによるため、マッチング最適選択は「結婚を考 える、プロポーズする」や「結婚を考えない、プロポーズしない」である。 最後に「若くない低学歴男性と女性」のマッチングも実質的に、「若い低学 歴男性と女性」の結果を再現している。若くない低学歴男性は若くない女性 にも興味がないが、「結婚を考えない」と思っている若い女性に対しても、「プ ロポーズしない」や「プロポーズする」の二つの選択肢を持っており、これも

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マッチング最適選択でもある。

この条件の下で行なったゲームでは、「高学歴男性」や「若い女性」のよ うな社会属性を持つ人たちしか結婚できなかった。この結果は。先行研究の 知見「若い女性と結婚することは男にとって最適な選択である」と一致する (Otta,et al 1999; Groot and Van Den 2002; England and McClintock 2009)。

6.2. 条件 2 で行なったゲーム 条件 1で行ったゲームは伝統社会の中に見られる結婚のケースやパターン を理論モデルでシミュレーションした。その結果、先行研究と同じような結果 が得られた。次に、二回目のゲームでは、新たな条件として「男性は若さを求 め、高学歴女性は男性の経済生産力への需要が減少する」を追加する。このよ うに設定することで、女性の高学歴の効果を検証することが可能となる。今回 「前回のゲームに基づいて高学歴女性の持つ、男性の経済力への重要度の減 少」が設定されているため、高学歴女性の利得のみ多少変化した。前回のゲー ムに高学歴女性の利得は - 3や 3 であると、今回のゲームでは -1 や1となる。 一方、前回のゲームで高学歴女性の利得が -2、-1、1、2 となった状況が、今回 のゲームでは、高学歴女性の利得が全て0になった。これが、高学歴女性の意 識の変化を説明しているものと考えられる。 まず、若い高学歴男性から見ていく。若くない高学女性とマッチングする時の 最適選択は「結婚を考える・結婚を考えない」や男性の「プロポーズしない」選択 である。男性の経済力が重要ではないと考える女性にとって、若い高学歴男性への 魅力の喪失によって、結婚を考えるモチベーションも無くなったと考えられる。一 方、若い女性は前回の結果と同じように変わらず若い高学歴男性を魅了する。 次は、若い低学歴男性のマッチング状況である。若くない女性とマッチングする 場合、前回のゲームが示したように「結婚を考える」や「プロポーズする」という 選択肢は両者に不利益を与えるため、それ以外の選択が施行される。それらの選択 肢を、ランダムで選択する可能性もあるため、失敗したマッチングとなった。 若くない高学歴男性や若くない低い学歴男性のマッチング結果は、前回の結 果はと完全に一致し、最適選択の移動は起きていない。 以上ゲームの条件の変更によって、ゲームの最適選択に微かに影響を与える ことが分かった。つまり、女性の「高学歴化によって男性の経済力への重視が 減少」は主要因ではないことが明らかになった。「女性の年上結婚」のメカニ

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ズムを徹底的に検証するために、条件 2 で行ったゲームをベースに、条件をさ らに変更して条件 3 で行ったゲームを行う必要がある。

図 10.若い高学歴男性と高学歴女性マッチング 図 11.若い低学歴男性と高学歴女性マッチング

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6.3. 条件 3 で行ったゲーム 条件 1や条件 2 で行ったゲームの最適選択の算出によると、女性の意識変化 の効果だけではまだ「女性の年上結婚」のメカニズムを説明しきれていないこと が分かった。そこで、条件 3 で行ったゲームは条件 2 で行ったゲームの利得結果 を利用して新たに条件を変更してゲームの選択均衡を算出する。条件 3 は、条件 2に基づき「低学歴男性は高学歴女性の容姿より経済力を求めるが、高学歴女性 は男性の経済力への選好が減少する」である。つまり、今回は「低学歴男性は高 学歴女性の経済力への重視程度が上昇」が起きたため低学歴男性の利得も変化す るため、前回のゲームに低学歴男性の利得に基づいた新たな利得の増減関係を想 定する。前回のゲームの利得の設定を用いる。例えば低学歴男性はより経済力を 持つ相手とのマッチングを望むため、女性が結婚を考え、男性がプロポーズする 時、利得は最大になる。逆に女性が「結婚を考える」を選択して男性がプロポー ズしないと、大きな損を受ける。また、もし「結婚を考えない」相手に「プロ ポーズする」ならば、欲しいものを手に入れられず、しかも間違ったプロポーズ をしたため不満が生じる。最後、「結婚を考えない」相手に「プロポーズしない」 なら、欲しいものを手に入れられないが、間違って「プロポーズしない」ため少 しだけ損を受ける。以上が低学歴の男性の意識の変化を代表するものとする。1 若い低学歴男性と高学歴女性のマッチング結果について、前回の最適選択結 果と違って若い低学歴男性は高学歴女性、特に若くない高学歴女性と結婚す る可能性が現れた。マッチング最適選択は「若くない高学歴女性は結婚を考え る」や「若い低学歴男性はプロポーズする」、と「若くない高学歴女性は結婚 を考えない」や「若い低学歴男性はプロポーズしない」という二つの選択肢の 組み合わせである。常識からすると、それは互いに好感を持つ男女の一般的な 反応ではないかと考えられる。一方、観念を変えても若くない低学歴男性の方 は、若い低学歴男性のように上手く進まなかった。高学歴女性に対しての最適 選択は二つとも「女性は結婚を考えない、男性もプロポーズしない」である。 条件 2で行ったゲームに基づく条件を変更した条件 3 で行ったゲームでは、若 い低学歴男性だけ恵まれたことにより、女性の年上結婚パターンの形成経緯を 提示することとなった。 1 低学歴男性の考え方は変更されたが、高学歴男性の考え方は変わらないため利得は前回ゲームと 同じであることから、3回目のゲームで注目する「低学歴男性」のマッチングをあげることにした。

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図 14.若い低学歴男性と高学歴女性のマッチング 図 15.若くない低学歴男性と高学歴女性のマッチング 7.考察 理論分析によって、「女性の年上結婚」の形成要因の中で、二つの不可欠な 要因が存在することが明かとなった。一つめは、女性の高学歴化によって経済 生産性が優れるため、伝統的な女性と異なり、経済的な独立を手に入られ、そ して社会経済地位の向上も可能となった。また、高学歴化によって正規雇用に なりやすくなるため、潜在結婚相手も増加する(園田 2007; 中村 2012)。その 人数は増えるほど、自由に自分が選好する相手を選べるようになった。また、 それだけではなく、社会の男女平等化も進んでいるため、女性は束縛されず に、より多くの自由が得られることも一つの要因だと考える。二つめの不可欠 な要因に関して、中村 (2012)がすでに以下のように述べている。「女性の高 学歴化による稼得能力の上昇と若年男性の経済状況の悪化によって、女性の経 済力を前提とした結婚形成が進んでいる可能性がある。経済不景気の時代、男 性特に貯金・蓄積は少ない若年男性にとって、一人で辛く生活するよりも、経

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済力が頼れる結婚相手を探すほうがより生活しやすいのではないかと考えられ る。ただし、日本は昔から今に渡って「父系社会」の影響がまだ強く残ってい るため、「男は家族を養わないと」、「女性は男性に頼って生活すれば良い」な どの伝統的な意識・規範は多少「自分より強い経済力を持つ高学歴年上妻を探 せば良い」と矛盾しているような気がする。つまり、女性の年上結婚の形成に は、今までの先行研究から得られた知見や本研究の分析結果を考慮すると、単 なる女性の努力だけでは不十分であり、男性の意識の改革が伴う必要があると 言える。例えば自分の現状を十分に認識して、自分のニーズを素直に提出し て、さらに与えられる人とコミュニケーションすることは単純な理論の一つに すぎない。この現象について、李春玲研究員は「中国の女性の地位の向上だ」 という意見を述べた。日本においても、男女平等の時代に「女性の年上結婚」 という結婚が現れるのは、それなりの時代的意味を持っているのではないだろ うか。 8.本研究の限界点と将来の課題 本研究は、ゲーム理論のツールを用いて「女性の年上結婚」を説明する理論 の構築を試みたものである。分析の結果から二つの重要な結論が得られたが、 現実を説明する上でのこのモデルの妥当性について、今後さらなる詳細な検証 を必要とする。また、データ分析を用いた理論の正当性の検証も必要となる。 また、ゲームにおける様々なプレーヤーや、利得や条件などの設置が妥当かど うかについても懸念が残る。社会現象をモデルで表現するとき、より複雑なプ レーヤータイプ、利得関数や規範条件を慎重に設置する必要がある。モデルの 改善やデータ分析を用いて理論検証はを今後の課題として残し、「女性の年齢 差結婚」のより適切なメカニズムを検証していく必要がある。 謝辞 アイデアの発想から論文の作成までご指導賜りました浜田宏教授、佐藤嘉倫 教授、永吉希久子准教授、滝川裕貴准教授に心より感謝申し上げます。 参考文献 中国ニュース(2017)「专家:姐弟恋婚姻数量猛增 反映中国女性地位提高」,https:// www.chinanews.com/sh/2017/09-28/8342124.shtml(閲覧 2019/7/4).

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(24)

Age difference Marriage in Japan :

a theoretical mechanism of woman s preference to younger spouse

Su LIANG

In this theory study, I reference to the “Perfect information game” in the game-theory, in order to explain the phenomenon of “Elder Woman's Marriage” which has become remarkable in recent years unlike the conventional “Elder Man Marriage”. I try to constructed of the theory for explaining how this phenomenon happens. I simulated a marriage matching game based on the actual situation. In this game, the eight different types of men and women (each“highly educated young men”, “high educated young women”, “highly educated elder men”, “highly educated elder women”, “low educated young men”, “low educated young women”, “low educated elder men” and “low educated elder women” ) in the game. I simulated the three times with different conditions. As a result, it became clear that two demand conditions are required for the mechanism of “the woman's elder marriage” by the movements of Nash Equilibriums. The first is that women with high educational background and good economic ability are tolerant to the economic power of men to, and the second is that young men with low educational background and low productivity seek for a women more stable economic power than their appearance.

参照

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