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聴覚障害児のインクルーシブ教育の展開(4) : フィンランドの特別学校と基礎学校の実践から

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兵庫教育大学 研究紀要 第53巻 2018年 9 月 pp 27 38

聴覚障害児のイ ンク ルーシフ 教育の展開 ( 4 )

-

フ ィ ンラ ン ド の特別学校 と 基礎学校の実践から 一

Development of Inclusive Education for Deaf and Hard-of-hearing Children

Various Practices of Special Schools and Compulsory Schools in Finland.

鳥 越 隆 士*

TORIGOE Takashi

本論文 では, フ ィ ンラ ン ド におけ る特別学校と 基礎学校での聴覚障害児への取組 を報告す る。 フ ィ ンラ ン ドは, 世界で 初めて手話 を意法に明記 (1995年) し た。 さ ら に手話に関わる カ リ キ ュ ラ ムが整備 さ れ, ろ う 学校で手話 を活用 し たバイ リ ンガル教育が進め ら れて き た。 こ のよ う に手話に関わる法制が整備 さ れて き た一方で, 他の先進諸国同様, 人工内耳装 用の拡がり と と も に, ろ う 学校に就学す る児童生徒数が激減 し てい る。 本論文 では, フ ィ ンラ ン ド におけ る聴覚障害児教 育の現状 と 課題 を , 特に手話の位置づけや手話に関わる取組に焦点 をあ て, 現地調査によ り 明 ら かにす る。 現在 2 つの方 向があ っ た。 1 つは国立の特別学校 を中心に, 聴覚障害以外の障害児 に門戸 を開き , 脱 「 ろ う 」 学校へ と 向かう 動 き , も う 1 つは, 地方自治体の特別学校 を中心に, 地域の基礎学校と の統合 (あ るいは基礎学校への吸収) へと向かう 動き であ る。 ま た地域の基礎学校側か ら も 新 た な取組が始ま っ てい た。 キ ーワ ー ド : 聴覚障害児教育, 手話, イ ンク ルーシフ 教育, フ ィ ンラ ン ド

Key words : education for deaf and hard-of-hearing, sign language, inclusive education, Finland

1 . は じ めに 聴覚障害児教育が大き く 変化 し てき た。 1 つには, 手 話の活用が挙げ ら れる だ ろ う 。 長い間, 多 く の国や地域 で , 手話は, そ れに対す る偏見から , あ るいは音声言語 の獲得 を妨げ る も の と し て, 教室から 排除 さ れて き た。 し か し ながら , 近年, 手話の自然言語 と し ての社会的認 識が進み, 学校で も教育言語の 1 つ と し て手話 を活用す る 取 組 が 進 め ら れつ つ あ る ( 鳥 越 ・ ク リ ス タ ー ソ ン , 2003) 。 2 つには, 通常の学校や学級で教育 を受け る聴 覚障害児童 ・ 生徒の増加 であ る。 日本のみな ら ず欧米諸 国で も , ろ う 学校 (聴覚特別支援学校) で な く 通常の学 校 が聴 覚 障 害児 の 主 要 な 教 育 の場 と な っ て き て い る (Antia, Kreimeyer & Reed, 2010; 鳥越, 2012a) 。 その背 景 には, 近年の人工内耳 (Cochlear Implant, 以下 CI と す る) 等, 補聴機器技術の発展によ り , 聴覚活用の可能 性が格段に拡が っ てき たこ と があ ろ う 。 ただ聴覚障害児 教育におい て, 通常の学校 (学級) での教育実践が, 必 ず し も肯定的に捉え ら れてこ なかっ た (Cemey, 2007) 。 例え ば, イ ンク ルー シフ 教育の推進におい て重要な役割 を担っ た 「 サラ マ ンカ声明」 (UNESCO, 1997) や国連 「 障害者の権利条約」 (United Nations, 2006) におい て, 聴覚障害児は コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン等 , 他の障害児 と 異 な る ニ ーズがあ り , 必ず し も イ ン ク ルー シフ な教育環境が 適切 と は言え ない こ と が記 さ れてい る。 * 兵庫教育大学大学院特別支援教育専攻障害科学 コ ース 教授

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本著者は, 近年, 聴覚障害児へのイ ンク ルー シフ 教育 の新 た な 取 組 と し て 導 入 が図 ら れ て い る co-enrollment

プ ロ グ ラ ム (Kirchner, 1994; Kreimeyer et al, 2000; Bowen, 2008) に焦点 をあ て, 具体的に どのよ う に 2 つ の言語が教室に存在 し , 教師がどのよ う に協働 し , ま た 聴覚障害児や聴児 に対 し て どのよ う に指導や支援がな さ れてい る のか等 , 実践の具体的 な様子 を報告 し て き た

(鳥越, 2011, 2012b, 2013, 2016) 。 いわば, 教室環境が

聴覚障害児 に と っ てイ ン ク ルー シフ で あ り ながら , 同時 に手話 と 音声言語のバイ リ ン ガル教育実践がな さ れる試 みと 言え る だ ろ う 。 いず れにおい て も , 教室内 に 2 つの 言語が存在 し , 子 ども た ちはいずれかの言語 を通 し て, 情報への ア ク セ スが図 ら れてい た。 し か し なが ら , 様々 な形態の学習活動の中 (例え ば, グループ活動等) , 情 報の複線的 な流 れに対 す る ア ク セ ス に時 に困 難があ る こ と も明 ら かにな っ た。 単 に言語の問題 だけ で な く , 教室 で と も に学ぶと い う 学習活動の在 り 方 な ど, 通文化的な 視点 も重要で あ る こ と が指摘 さ れた。 学習 が社会的 に構 築 さ れ ( ワ ーチ , 2004) , そのためには成員間で質的 に 高い対話や相互交渉が重要で あ る こ と を考え る と , さ ら に支援の方途の検討が必要で あ る こ と が示唆 さ れた。 本論文 では, フ ィ ンラ ン ド の聴覚障害児教育に焦点 を あ て る。 フ ィ ン ラ ン ド では, 他の欧米諸国 と 同様, 国の 教育施策 と し てイ ン ク ルー シフ 教育 が進め ら れて き た。 平成30年 4 月23 日受理

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その一方で, 世界で初めて手話 を意法に明記 (1995年) し , 手話に関わる カ リ キ ュ ラ ムを整備 し , ろ う 児のため の特別学校 で手話 を活用 し たバイ リ ン ガル教育 を進めて き た。 2015年にはさ ら に 「手話言語法」 が制定さ れてい る。 こ のよ う に手話 に関わる法制が整備 さ れてい る一方 で, c l 装用事例が激増 し , 特別学校に在籍す る聴覚障 害児は激減 し てい る。 こ のよ う な状況の中, 現在 2 つの 方向がある。 1 つは国立の特別学校 を中心に, 聴覚障害 以外の障害に門戸 を開 く , 脱 「 ろ う 」 学校化への動き で あ る。 も う 1 つは, 地方自治体の特別学校 を中心に, 地 域の基礎学校 (小学校 と 中学校 を合わせた学校, 学年は 1 年 から 9 年 ま で) と の統合 ( あ るいは基礎学校への吸 収) への動き であ る。 こ れと 呼応す るよ う に, 基礎学校 の側 か ら も イ ン ク ル ー シ フ な新 た な取 組が模索 さ れてい る。 本論文 では, 特に, 手話の位置づけ や手話に関わる 取組に焦点 をあ て, フ ィ ン ラ ン ド におけ る聴覚障害児教 育の現状 と 課題 を, 現地調査によ り 明 ら かにす る。 現地調査は, 2013年, 2016年, 2017年及び2018年に行っ た。 学校訪問では, 授業の見学と担当教員へのイ ンタ ビュー を実施 し た。 実施中は, 主に フ ィ ール ド ノ ー ト に メ モ を 記録 し , 終了後, 内容 を詳細に再構成 し た。 ま た フ ィ ン ラ ン ドの教育省等の文書, 学校が発行 し たパ ンフ レ ッ ト やホ ー ムペ ー ジの資料 も 活用 し た。 2 . フ ィ ン ラ ン ドに おけ る手話に関わ る法制化 前述の通り , フ ィ ンラ ン ドは意法で手話 を規定 し た。 同第17条に, フ ィ ンラ ン ド語, ス ウ ェ ーデ ン語 ( こ の 2 つが公用語) , サー ミ 語, ロ マ語に加え, 5 つ目の言語 と し て手話が加え ら れた。 同条第 3 項に 「手話 を使用す る人及 び障害の ゆえ に通訳ま たは翻訳の援助 を必要 と す る人の権利は, 法律に よ っ て こ れを保障す る。」 と あ る。 ま た言語法の中に手話が フ ィ ンラ ン ドの言語 と し て追加 さ れ, 国の言語政策を検討する役割 を担う 言語研究所に 手話に関す る委員会が設置 さ れた。 2010年には, フ ィ ン ラ ン ド ろ う 協 会 と 共同 で , 「 フ ィ ン ラ ン ド手話の言語政 策 プロ グ ラ ム」 が報告 さ れ, フ ィ ン ラ ン ド におけ る手話 の歴史 と 現状, 今後, 国と し て取り 組むべき言語政策 プ ロ グラ ムに つい て提言 さ れてい る。 さ ら に2015年 には, 手話言語法も制定 さ れた。 教育の分野では, 1998年に改正 さ れた教育法に, 学校 で, 手話を教え たり , 手話で指導 し たり す るこ と ができ る と 規定 さ れ, カ リ キ ュ ラ ムに も 手話 に関わる教科が入 り , い わ ゆるバイ リ ン ガル ろ う 教育がス タ ー ト し た。 現 在は, フ ィ ン ラ ン ド基礎学校 コ ア カ リ キ ュ ラ ム (以下, 「 コ ア カ リ キ ュ ラ ム」 と す る) の中に 「母語 と し ての フ ィ ンラ ン ド手話」 が教科 と し て含 ま れてい る。 こ の教科の 対象 と す る子 どもは, 「 ろ う 児」 で な く 「手話使用者」 と 規定 さ れてい る。 「 コ ア カ リ キ ュ ラ ム」 の第 6 章 3 項 に 「手話使用者」 に関 し て, 「聴力 を全 く 持 たないか, 限 ら れた聴力 か, 正常 な聴力 を持つ。 彼 ら のネ イ テ ィ ブ な言語は フ ィ ンラ ン ド手話であ る。 彼 ら は手話 を第一言 語 と し て学 んだ。 彼 ら に と っ て手話は最 も よ く 獲得 さ れ た言語であり , 日常生活の中で最も よ く 使われる言語で あ る」 と し てい る。 聴覚 に障害がな く て も , 手話 を母語 と し て い る の で あ れば ( 例 え ば, 両 親 ろ う の聴児 ;

Child of Deaf Adult, CODA, 以下 「 コ ーダ」 と す る) ,

こ の教科の対象 と な る。 憲法の規定にも 「 ろ う 者」 で な く 「手話使用者」 と あり , ま さに 「障害」 よ り も 「言語」 と し ての位置づけがよ り 明確 に な っ てい る こ と が特徴的 で あ る (注1 )。 「 コ ア カ リ キ ュ ラ ム」 の第 7 章で, 各教科の学習目標 や内容が示 さ れ, 手話使用者のために 3 つの科目, 「母 語 と し ての フ ィ ン ラ ン ド手話」 「 フ ィ ン ラ ン ド手話使用 者の た めの フ ィ ン ラ ン ド語」 「 フ ィ ン ラ ン ド手話使用 者 の た めの ス ウ ェ ー デ ン語」 が記載 さ れてい る。 「母語 と し ての フ ィ ンラ ン ド手話」 の指導目標と し て, 「手話 アイ デ ン テ イ テ イ を強化 し , 自分の言語や文化が, マ ジ ョ リ テ ィ の言語や文化 と 同等 で あ る と 価値づけ る」 こ と を学 ぶ と あ る。 シ ラ バ ス には, 学年 ご と の目標, 核 と な る内容, 学習終了時に達成 さ れるべき能力 や技能が 明記 さ れてい る。 核 と し て の内 容 には, 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン」 「言語の 認識」 「文化の認識」 「文学」 の 4 つの領域が設定 さ れて い る。 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン」 では , 手話に よ る理解や 表現, 自分の感情や思考の表現, 話 し合いへの参加等, 手話の運用能力 ( スキル) の獲得 ; 「言語の認識」 では, 手話の言語的 な特徴につい ての知識, 特に語彙や文法に 関す る知識の獲得, 他の手話言語や フ ィ ンラ ン ド語と の 対 照 を通 し た深い理解 ; 「文化の認識」 では, ろ う 者の 文化 , ろ う コ ミ ュ ニ テ ィ に関す る知識や行動 のルールの 学習, アイ デ ンテ イ テ イ の確立 ; 「文学」 では他の 3 領 域の知識 を も と に, 様々な手話 テキス ト (映像資料 も含 め) につい て学習す る こ と , が挙げら れてい る。 こ の カ リ キ ュ ラ ム の 具 体 的 な 実 現 に 関 し て は , Takkinen, R. 氏 (ユ ウ' アス キ ユラ 大学) (注2) に よ る と , 手話 を母語と す る ろ う 児 に対 し て, 主と し て聴覚障害児 のための特別学校 ( ろう 学校) で手話指導が実施 さ れて い る ; ただ指導内容の記載は抽象的であり , 教材セ ンタ ー 等で教材や教具の開発はな さ れてい るが, 具体的な指導 は, 各教師の創意, 工夫 に ゆだねら れてい る ; ろ う 学校 が縮小 し , なかなか言語集団の形成が困難に な り つつあ る ; 多 く の聴覚障害児が通常の学校に在籍 し てい るが, そ こ で手話指導はほ と ん どな さ れてい ない。 ろ う 児 のた めに手話通訳者 を 配置 さ れる こ と があ る が, 質 の高い手 話通訳の確保 が人材的 に も予算的 に も困 難で あ る ; c l を装用 し て, 第一言語と し て フ ィ ンラ ン ド語 を習得 し つ

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聴覚障害児のイ ンク ルーシフ教育の展開 ( 4 ) つあ る (一般的にはそ う 考え ら れてい る) 子 ども に対 し ては, た と え手話学習のニ ーズがあ っ た と し て も , 手話 教科の適用 が な さ れてい ない な どの課題 があ る と さ れて い る (以上, 私信によ る) 。

3 . 国立の特別学校の取組

フ ィ ンラ ン ド に聴覚障害児 を対象 と し た特別教育 を担 う 国立学校は 3 校であ る。 現地調査は, 2 校につい ては 2013年に, 1 校は2013年およ び2018年に実施し た。 ミ カエル (Mikael) 学校 こ の学校は, フ ィ ン ラ ン ド中部 ミ ツケ リ 市 にあ る。 コ ンサル テ ィ ン グ教 師 で あ る A 氏 に学校の案内 と イ ン タ ビ ュ ー を お願い し た。 ま ず学校の現状 の説明 を受け る。 開口一番 「悲 し い こ と に, も う こ の学校にろ う 児はい な い」 と 言う 。 最後のろ う 児が前年 に卒業 し て, 現在は難 聴児 ( あ るいは c l 児) が数名い る だけ と のこ と 。 そ れ 以外の在籍児は言語障害児 (いずれも健聴) が50人ほ ど。 A 氏はろう 教育の専門家で, 何十年も ろう 教育一筋でやっ て き た。 数年 前 ま で た く さ ん ろ う 児 がい たのに , 「 あ っ と い う 間 にい な く な っ て し ま っ た」 と 言 う 。 手話 を母語 と す る児童がい な く な っ たため現在学校の中で手話 を使 う 機会がほ と ん どない。 ろ う 教師 も い ない。 学校 に以前 手話通訳者が 2 人採用 さ れてい たが, 今は 1 人にな っ て し ま い, 主に難聴児 に週 1 回手話の授業 を行 っ てい る だ け と言う 。 おおよ その説明の後, 授業 を見学 し た。 まず 3 年生 と 5 年生の合同 ク ラ スで フ ィ ンラ ン ド語の授業 を見学す る。 児童は 6 人 ( 1 人が聴覚障害で, c l 装用, 他は聞こ え る言語障害児) 。 教師は主教師 と ア シス タ ン ト 教師の 2 人。 一斉授業の形式 で な く , それぞれ個別に学習課題 を 持 っ てい て, そ れを教師の支援 を受け なが ら 進めてい く よ う な形態 であ っ た。 5 年生の 2 人の児童が, スマ ー ト ボー ド を使 っ て助け合 い なが ら フ ィ ン ラ ン ド語 の勉強 を し てい る。 こ の 2 人のう ちの 1 人が CI 装用児。 2 人は ス ピ ーチ だけ で コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン し てい た。 一人 で机 に向 か っ て教科書 と ワ ー ク ブ ッ ク で フ ィ ン ラ ン ド語 の勉 強 し てい る児 童 も い る。 3 年生の 2 人の児童は, ア シス タ ン ト 教師 と 一緒 に, カ ー ド を使 っ て勉強。 2 人ペ アに な っ て, カ ー ド にあ る絵 を こ と ばで説明。 そ れを相手 に 当 て さ せ る ( ス リ ー ヒ ン ト ゲ ー ムのよ う な も の) 。 言葉 に課題 を抱 え てい る他, 心理的 に も 難 し さ を持 っ てい る と のこ と であ っ た。 聴覚障害 を持 つ児童は一人のみで, あ と は聞 こ え る児童 で あ っ た。 手話は使用 さ れず ス ピ ー チ のみに よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンが用 い ら れ, 指導が な さ れてい た ( こ の後に見学 し た教室はすべ て聴児の ク ラ ス だ っ た ため, 省略す る) 。 今後の聴覚障害児教育につい て, A 氏の話をま と める。 フ ィ ン ラ ン ド の ろ う 学校の将来は非常 に厳 し い。 た だ聴 覚障害児が通常の学校の中で う ま く や っ てい るかと い う と 必ず し も そ う で ない こ と は認識 し てい る。 た だその認 識が通常の学校の教師 と なかなか共有 で き てい ない。 他 の欧米の国で人口 の多 い と こ ろ では, ろ う 学校 も 成り 立 つ だ ろ う 。 ま た通常の学校 に ろ う 児 ・ 難聴児 を集めての 取組 も 可能 だ ろ う 。 で も フ ィ ンラ ン ドは人口 が少な く , ま た国土が広 く , 人口密度も高 く ない。 通常の学校に複 数の聴覚障害児がい る こ と は非常 にま れで あ る。 ろ う 学 校によ る地域支援が必要だが, そ れも なかなかう ま く い つ て い な い 。 フ ィ ン ラ ン ド に は , ヴ ェ ル テ リ ( Velteri : National service network for special needs education) と

い う 教育支援 シス テ ムが作 ら れてお り , 8 つの国立の特 別学校が, 地域への支援サー ビス機能 を果た し てい て, ミ カ エ ル学校 も その一翼 を担 っ てい る。 こ の学校の対象 は, 言語 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン (聴覚障害 も含 ま れる) や対 人関係 に障害 のあ る子 ど も で , 2 人の コ ンサルテ ィ ン グ教師が担当 し てい る。 地理的 に広い地域 を担当 し , し か も その対象 と な る障害 も広 範囲 に わた り , なかなか 継続 し て質 の高い専門性のあ る支援 を行 う こ と が困 難に な っ てい る と のこ と で あ っ た。 メ ルカルタ ーノ (Merkartano) 学校 フ ィ ンラ ン ド の北部 オウル ( 0ulu) 市にあ る国立特別 学校で あ る。 学校の案内は, ア シス タ ン ト 教師の B 氏 が対応 し て く れた。 彼は正規の教師 ではないが, 聴覚障 害児 を主に担当 し , 手話通訳も兼務 し てい る。 現在の在 籍数は60人。 その中で, ろ う 児は 1 人, 難聴児, c l 児 は20人ほど。 それ以外は健聴の言語障害児 と のこ と であっ た。 ク ラ スはこ こ で も複学年 ( 6 ~ 11歳, 11~ 15歳, 16 ~ 18歳の 3 つの ク ラ ス) で構成 さ れ, し か も そ こ に複数 の障害が含 ま れてい た。 ろ う 教師はお ら ず, ろ う 者のア シス タ ン ト 教師が何人か採用 さ れてい た。 まず低学年のク ラ ス を見学 し た。 すでに朝の会が始ま っ てい た。 児童数は, 20人ほ ど。 ろ う 児が 1 人, 難聴児が 数人。 他の障害 と し ては, 言語障害 ( デイ ス レ ク シア) や自閉症児 で, いずれも知的障害はない と のこ と だ っ た。 朝の会だけ全員 が集ま る。 子 ども た ちの前で 1 人の教師 が声 で話 し , そ の隣で B 氏が手話通訳 を し てい た。 実 際の学習 では ク ラ ス を さ ら に 3 つ ぐ らい に分け て小 グルー プで学習 を行 う 。 課題によ っ ては個別指導 も行う と のこ と 。 柔軟 に指導の体制 を組 んでい る。 ク ラ ス を観察 し て い る と , 手話 で盛 んに話 し かけ て く る子 ど も がい た。 初 めは聴覚障害児 と 思 っ たが, 実は健聴の言語障害児 だ っ た。 こ のク ラ スでは, 手話の授業 も あり , 聴覚障害児 と 一緒に言語障害児 も手話を学んでいる。 ただ し手話と言っ て も , あ く ま で も手話単語のレ ベ ルで あ っ た。 子 ど も た ち に話 し かけ る と き , 声 だけで話 し かけ る と き も あるが, 多 く の教師が声 と 一緒に手話 を併用 し てい た。 B 氏によ る と , B 氏が教員向け の手話研修 も担当 し て, ほと んど

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の教師が何 ら かの形で手話がで き る と のこ と 。 教室では, 声だけであ っ たり , 手話であ ったり , 口話付き手話であ っ たり , 手話通訳がついていたり , 柔軟な コ ミ ュ ニケーシ ョ ン環境 にあ っ た。 ただ児童同士の会話は声のみが多 い。 ま た使用 さ れてい る手話は日常会話程度の レベルで, ろ う 学校 で本来期待 さ れる , 集団での手話 を使 っ た ダイ ナ ミ ッ ク な対話や協働学習のよ う な取組はこ の学校では見 ら れな か っ た。 B 氏によ る手話の授業 も見学 し た。 児童は10人ほ どで, ろう 児, 難聴児 (c l 児) , 聴児 (言語障害) がいた。 単 語の学習 が中心 で あ っ た。 OHP で フ ィ ン ラ ン ド 語の単 語 と 絵 を示 し , B 氏は, 声 を出 し ながら , 1 つ 1 つ手話 単語 を子 ど も た ち に教え てい く 。 そ れを子 ど も た ち が真 似 を し て表現す る。 授業見学のあ と , コ ンサル テ ィ ン グ教師 c 氏 と 言語 聴覚士 D 氏 に イ ン タ ビ ュ ー を行 っ た。 c 氏 は も と も と 聴覚障害の専門ではな く , 教員養成大学 を卒業後, 通常 学校の教師になり , その後大学院で特別支援教師養成の プロ グラ ムに入り , 特別支援教師にな っ た。 同 じ よ う な コ ンサルテ ィ ン グ教師が 5 ~ 6 人い る。 ほと ん ど学校外 で支援 し てい る。 内容は, 通常の学校の教師に ト レ ーニ ン グ (講習 ) や コ ンサ ル テ ー シ ョ ン を行 っ た り , 教材作 り を行 っ た り と の こ と 。 た だ こ の学校 の支援 サ ー ビス を 利用す る と , 地方自治体がその費用 を負担す る必要があ る。 支援の内容や頻度 につい ては, 地域の学校 と 話 し合 われるが, 地方自治体の財政状況に も よ る。 フ ィ ンラ ン ドは国土が大 き く , 人口密度が低いので, 地域支援 も大 変 と のこ と 。 こ の学校は国の北部全体 を担 っ てい るので, ラ ッ プ ラ ン ド の方 に行 く こ と も あ る。 D 氏 か ら は , フ ィ ンラ ン ド ではますます c l の手術年齢が早ま り (生後 9 か月 から 1 歳の間) , し かも両耳 で行われるのが一般的 だ と の こ と 。 その結果, 多 く の医師は, c l 装用の効果 は格段に高ま っ てい て, 大半は通常の学校で問題 な く , う ま く や っ てい る と 認識 し てい る。 た だ し本当 にう ま く で き てい るかは, 病院 し か情報 を持 つてい ない。 何 ら か の課題 が見 つ か っ て初 め て こ こ に支援 を求 め る シ ス テ ム だ と の こ と 。 D 氏 も 地域の学校 に支援 に入 っ た り , 地域 の学校から 来 た児童生徒 に支援 を行 つたり し てい る。 地 域支援 に関 し て, 様々な メ ニ ュ ーがあ る (児童生徒が学 校 に来 ての ア セ ス メ ン ト や指導 , 教師への コ ンサルテ ー シ ョ ンや研修, 巡回相談な ど) が, やはり こ こ で も費用 の問題が話題にな っ た。 支援の旅費等 を地方自治体が負 担す る こ と に な るので, 手厚い支援 を し よ う と す る と , 自治体の財政 を圧追す る こ と になり , 自治体はそれをで き る だけ抑え よ う と し てい る と のこ と であ っ た。 オネルヴァ (0nerva) 学校 こ の学校は , 以前はハ ウ ッ カ ラ ン タ 学校 と 呼ば れてい た。 フ ィ ンラ ン ド で伝統のあ る ろ う 学校 (1894年創立) の一つで, ユ ウ ァ スキ ユラ市 にあ る。 現在は盲学校と 合 併 し て, 現在の名称に変更と な っ た。 こ の学校には2013 年 と2018年に訪問 し てい るが, 以下の記述は主に2013年 の訪問時のも ので, 最後に2018年時に得た情報を追加す る o コ ンサ ル テ ィ ン グ教師 で あ る E 氏 に学校 の案内 と イ ン タ ビ ュ ー を お 願い し た。 彼女は, ろ う 教育 のベ テ ラ ン で, 在校生の指導 をす るだけ で な く , 保護者支援や通常 の学校に在籍す る聴覚障害児 の支援 に も あ た っ てい る。 こ の学校は, ろう 児, 難聴児, 言語障害児, 盲児のた めの国立の特別学校であり , 地域の学校に在籍す る聴覚 障害児 への支援 を行 う リ ソ ー ス セ ン タ ー も 併 設 さ れてい る。 現在 , 学校部門よ り も , こ のリ ソ ース セ ン タ ーの仕 事 の割合 が大 き く な っ てい る。 リ ソ ー ス セ ン タ ーの仕事 の内容は, 児童生徒への直接的な支援の他, 通常学校の 教師への コ ンサルテ ー シ ョ ン, 教員研修の企画運営, 教 材の開発等 と の こ と 。 地域の学校に在籍す る児童生徒 と の関わり に関 し ては, こ の地域にい る聴覚障害児 をすべ て把握 し てい る訳 で な く , あ く ま で も 相手側か ら 依頼が あ っ た と き のみ行 う 。 そのため問題 がかな り 難 し く な っ てか ら の相談 と な る ケ ースが多 い。 学校 と し て, 地域の 聴覚障害児の状況 ( どこ に どれく らい聴覚障害児がい る か な ど) を知 る手立 て がな い。 多 く が c l を 装用 し て い るので, 病院が聴覚障害児 を抱え込 んでい て, なかなか 教育関係者が関わるこ と が難 しい。 単発的な相談に終り , 組織的, 系統的, 継続的 な関わり ( あ るいはネ ッ ト ワ ー ク の構築) が課題 だ と のこ と 。 学校部門の在籍児童 ・ 生徒は, およ そ120人。 う ち聴 覚障害児が20人, 視覚障害児が30人, 言語障害児が70人 ほ ど。 聴覚障害児の場合, 特に低学年が少ないのが特徴 的 で あ る。 その理由 を聞 く と , c l の装用 が進み, 就学 時まず通常の小学校に入学す るこ と が多 く , そ し て年齢 が上が る に つ れ, 適応 で き ずに, こ の学校にや っ て く る ケ ースが多 い ため と 考え てい る。 ま た移民 と し て フ ィ ン ラ ン ド にや っ て き た場合 , その子 ども の年齢が高い こ と も一般的 だ と のこ と 。 その後聴覚障害児 が学 んでい る教 室 をい く つか見学 し た。 いず れの教室 も 3 名から 5 名程 度の児童生徒がお り , 聴覚障害以外 に も 他の障害 を も っ てい る場合が多 い と のこ と で あ っ た。 ろ う 教師が何人か い て, ろ う 児 の ク ラ ス では手話 を使用 し てのバイ リ ン ガ ル教育が実施 さ れてい た。 E 氏 に学校の現状 と 課題 につい て話 を う かが っ た。 ろ う 児 のための国立の学校や地方自治体が運営 し てい る ろ う 学校 も い く つかあ るが, いずれも聴覚障害児の在籍数 が ど ん ど ん少 な く な っ てい る。 特 に地方自治体が運営す る学校は ど ん ど ん閉鎖 さ れてい た り , あ る い は他の障害 児の学校に統合 さ れてい る。 ま た在籍数が少 な く な る と , 児童生徒た ちは別 のよ り 多 く 児童生徒のい る ろ う 学校に

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聴覚障害児のイ ンク ルーシフ教育の展開 ( 4 ) 転校す る こ と も あ る そ う だ。 その結果ます ます学校の数 が少 な く な る。 こ の学校 も来年度 9 人増え る予定と のこ と 。 在籍す る子 ども た ちの背景は様々であ る。 幼児期から こ こ の学校 にず っ と い る児童 も い る し , 地域の学校に 1 年 か 2 年い て, 難 し く な っ て, こ こ の学校に転校 し て く る ケ ース も あ る。 ま た最近 2 人の児童がこ こ から 地域の 学校 に転校 し た。 親の意向 も あ る。 こ の学校に就学す る 場合, 居住す る地方自治体が就学に係 る経費 を負担す る 必要があ る と のこ と 。 ま た地域の学校に在籍す る聴覚障 害児がアセス メ ン ト のために来 る場合 ( だいたい 3 週間) も , 地方自治体が経費 を負担す る。 と て も高額にな るの で, 自治体の教育関連予算 を圧迫す る。 自治体は予算削 減のため, 国立の特別学校に就学 さ せるので な く , 地元 の学校 (結果 と し てあま り 支援のない) に行かせよ う と す る こ と も あ る ら し い。 地域の学校に在籍す る聴覚障害児への支援は制度的 に は 2 つ あ る。 1 つは コ ンサ ルテ ィ ン グ教師が地域の学校 を訪問す る こ と 。 何か問題 を持 っ た時, 学校から 依頼が あり , 訪問する。 たいてい 1 日 (回) で終わる。 担当教 師や管理職に話 を し たり , 保護者から相談 を受け たり , 関係 者 に コ ンサ ル テ ー シ ョ ン を行 っ た り な ど し て い る。 も う 1 つは, ア セ ス メ ン ト (評価) の ために こ の学校 に 児童がや っ て来 る こ と 。 ア セス メ ン ト には, 言語聴覚士, 心理士 , 教師 な ど, い ろ んな専門職が関わる。 通常は 3 週間かかる。 その間, こ の学校の児童 と 関わる こ と がで き る。 ただ地方自治体 と し ては経費がかかるので期間 を 短 く し たい。 2 週間で行う こ と も あ る。 基本的には 1 回 のみで, 何度 も ろ う 学校に来 る こ と はない。 ノ ルウ ェ ー や ス ウ ェ ー デ ンで行 わ れて い る 「訪問 週間」 ( 地域で学 ぶ聴覚障害児が定期的に ろ う 学校 を訪問 し て, そこ で学 習 に参加す る制度) を知 つてい る。 フ ィ ン ラ ン ド で も そ のニ ーズがあ り , 是非やり たい と 考え てい るが, ま だ制 度 と し てはない と のこ と 。 地域にい る聴覚障害児が集ま る場, その機会 を作 る必要があ る と 感 じ てい る。 多 く の 場合, 地域の学校に在籍す る聴覚障害児はた っ た 1 人で, 他の聴覚障害児 に出会う 機会がない。 地域の学校に コ ン サ ル テ ー シ ョ ンに行 っ た と き , 手話 の必要性 (現在は手 話な し でそ れな り にで き てい て も , 将来は必要) を話 し てい る。 その中 で , 手話 を学 びたい と い う 児童 も 出 て き てい る。 イ ン タ ーネ ッ ト 等 ( あ る い は ビデオ を作 っ て) を使 っ て , 手話 を学 ぶ シス テ ムも 構築 さ れつ つ あ る と の こ と 。 ただ し実際に成人 ろ う 者に出会 っ て学ぶと い う 機 会は な かなか作 る こ と がで き てい ない。 最後に E 氏に学校の今後 と 聴覚障害児教育全般にわ た っ て う かが っ た。 ろ う 学校が他障害の子 ど も も受 け入 れる よ う にな り 特別学校に な り つつあ る。 ま た通常の学 校 と の統合 も 試 みら れつつあ る。 その中で , 活用 さ れる 手話の質が問われる。 ろ う 教師が重要な役割 を果たすが, なかなか苦戦 し てい る。 ろ う 児 が激減 し ろ う 教師 を採用 で き ない学校 も多 い。 制度上の制約 も あ る。 フ ィ ンラ ン ド では多 く の ろ う 教師が, ク ラ ス教師 (通常の学校の教 師) の資格 し かも っ てい ない。 フ ィ ンラ ン ド で ろ う 教師 の役割は, こ れま で手話 を使用す る 「通常の教育」 と い う 枠組みで捉え ら れ, 特殊教育の枠組みではない。 こ れ ま で ろ う 者団体も , 「障害」 と いう 枠組みでな く , 「言語」 と し ての枠 組みで , 手話に関わる運動 を進めて き た経緯 があ る。 従 っ て, 他の障害 も受け入 れる特別学校に な っ て し ま っ た 「 ろ う 学校」 に そのま ま 勤め ら れない。 新 た に特別支援教育 を担当 で き る教員 と し ての資格が必要と のこ と 。 ま た特別学校の中で も , ろ う 児が少 な く な っ て い るので , ろ う 教師が フ ル タ イ ムで働 く と し て も 仕事が ない。 管理職は ろ う 者で な く , 手話ので き る健聴 ( あ る いは難聴) の教師 を採用 し たがる と 言う 。 全国的に ろ う 学校が縮小傾向にあり , ろ う 児 ( と その親たち) は少 し で も集団のあ る学校 を目指 し て転校す る こ と が頻繁 にあ る。 その関係で本校は来年度, 少 し児童が増え るがただ そ れも 一時期 の現象 で あ る。 地域の学校では, 必要があ れば, ろ う 児 に支援がつ く 。 手話通訳が付 く ケ ース も あ るが, 人の確保がなかなか難 し い。 こ れも 地方自治体の 裁量に任 さ れてい る。 支援内 容やその頻度 に つい ての法 律 に よ る規定は ない。 意法 には手話は 「言語」 と し て位 置付け ら れてい るが, 教育の現場で の実際と の接続がう ま く な さ れてい ない場合 も あ る よ う だ。 2018年に訪問時, 学校が新 しい場所に移転 し , 新 しい 校舎ですべ ての生徒が学 んでい た (以前は, 盲児のため の校舎 が別 の場所 に あ っ た) 。 聴覚障害児 の在籍数はあ ま り 変 わ っ てい な か っ た。 そ れぞ れ障害別 の ク ラ ス があ り , 聴覚障害児が他の障害児 と 一緒に学ぶこ と はほと ん どない よ う だ っ た。 い く つか授業 を見学 し たが, ろ う 児 と 難聴児は同 じ ク ラ スにお り , 難聴児 も手話 を学ぶ機会 があ るよ う だ っ た。 具体的 な指導は個別指導が多 く , 子 ど も の使用す る言語に よ っ て (手話, フ ィ ン ラ ン ド語, あ るいは口話併用手話) , 教師が対応 し てい た。 さ ら に 新 たな取組 と し て, イ ン タ ーネ ッ ト を活用 し た遠隔手話 指導が拡がり つつあ り , 地域の学校に在籍す る ろ う 児や コ ーダの児童 (計 3 名) に対 し て ろう 教師が手話指導を 行 っ ていた。 遠隔指導のため地方自治体が負担す る経費 が抑え ら れ, 今後希望者が増え る見込みと のこ と で あ っ た。 E 氏 によ る と , いず れ手話指導 だけ で な く , 他の教 科指導に も拡げ たい と のこ と で あ っ た。 ま と め 訪問 し た 3 校につい てま と める と , まず聴覚障害児の 在籍数が非常 に少 な く な っ てい る こ と , 特に手話 を母語 と す る ろ う 児 が激減 し , そのため ろ う 教師や手話通訳者 が採用 で き ず, バイ リ ン ガル教育の実施が困 難に な り つ

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つあ る。 その結果, 障害 を越え た取組 (盲学校 と の統合 やク ラ スに他障害や重複障害 を含 めた構成) が広がり , た と え手話 を活用 し て も , 手話そのも のの質が低下 し , 口話付 き 手話 な ど, ト ー タ ル コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンの枠 組 での手話活用 にな り つつあ る。 難聴児や c l 児 に関 し て は, 第二言語 と し ての手話の役割 につい ての認識が欠如 あ るいは認識 さ れてい て も 制度 と し てそ れに対応す る シ ス テ ムが構築で き てい ない状況があ る。 ま た地域の通常 の学校に在籍す る聴覚障害児 に対す る支援に関 し て も , その経費 を自治体が負 担す る ため, 必ず し も継続的で, ま た十分 な取組に な っ てい ない こ と が示 さ れた。 た だ児 童の集団が確保 さ れてい る と こ ろ では, バイ リ ン ガル教 育 も実施 さ れてお り , ま た難聴児 , c l 児 も手話が学習 で き る環境が保 た れてい た。 さ ら に地域支援 と し て遠隔 指導 で ろ う 児 や コ ー ダ児 に手話 を指導す る試みが広が っ てい た こ と は手話に関す る取組 と し て期待 で き る と こ ろ であ ろ う 。

4 . 地方自治体が運営する特別学校の取組

地方自治体が運営する特別学校 2 校 ( ト ゥルク市 と ヘ ル シ ンキ市) で現地調査 を行 っ た。 前者は2013年 に, 後 者は2013年に訪問し た後, 2016年, 2017年およ び2018年 に訪問 し てい る。 マルム (C.0.Malm) 学校 こ の学校は, も と も と フ ィ ン ラ ン ド で 初め て創設 さ れ た ろ う 学校で あ る (校名にあ る C.0 M alm は創設者であ る ろ う 者の教育者の名前 で あ る) 。 現在は ト ウル ク市に よ っ て 運営 さ れて い る特 別 学校 で あ り , 現在 の敷地に 1988年に移転 し てき た。 隣に通常の小学校があ り , 様々 な共同事業 を試みつつあ る。 なお中学部は, 別の中学校 の敷地内 に移転 し てい る (中学部 には訪問 し てい ない) 。 ろ う 教師 の F 氏 に学校案内 と イ ン タ ビ ュ ー を お 願い し た。 児童数は133人, う ち, ろ う 児が 8 名, 難聴児が 4 名で, 残 り は言語障害児 であ る。 ろ う 教師は彼女 1 人 のみ。 他 に ろ う の ア シス タ ン ト 教師がい る。 早速授業 を し てい る教室 を案内 し て も ら う 。 最初の ク ラ スは美術の 時間で, 8 歳から15歳の 8 人の児童がい た。 ろ う 児や難 聴児が中心で, 自閉症児や言語障害児 も い る。 教師は, ア シス タ ン ト 教師 も含 め, 数人 で , みんな手話 を使 っ て い る。 授業では, 少 し前に美術館に見学に行 っ たので, そ れぞれが経験 し たこ と を絵で表現す る課題。 教師 たち が, 子 ども たちが描い た絵につい て対話 を し たり , 質問 し た り , ア ドバイ ス し た り し てい る。 移民 をバ ッ ク グラ ン ド に持 つ児童が多 い と のこ と 。 就学時 には, そ も そ も 言語 を持 つてい なか っ た児童 も い る。 フ ィ ン ラ ン ド手話 に接 し て, どん どん コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンで き る よ う に な っ た。 た だ フ ィ ンラ ン ド語はま だ十分に習得 で き てい ない。 家庭では フ ィ ンラ ン ド語 と は異 な る音声言語が使われて お り , 親 た ち も な かな か フ ィ ン ラ ン ド 語や フ ィ ン ラ ン ド 手話が習得で き てい ない と 言う 。 次に 5 年生のク ラ ス を観察す る。 英語の授業で, こ の ク ラ スは小学校 と の共同事業 と し て行 われてい る。 児童 は20人ほ どで, 中に聴覚障害児 (c l 装用) が 1 人い る。 教師は小学校の教師である。 教師が音声のみで FM マイ ク を使 っ て授業 を行 っ ていた。 手話はなかっ た。 コ ンピ ュ ー タ 画面 を使 っ ての授業 で, ソ フ ト を使 っ て児童に発音 さ せたり , 質問 し て答え さ せたり し てい る。 児童が質問に 答え る と き , 聴児は小 さ な声で答え るこ と が多 く , その 声 が な か な か c l 児 の耳 に到達 し な い だ ろ う と の印象 を 受け る。 あ と で校長 に聞 く と こ の ク ラ スは, 英語の学習 に困難な子 ど も た ち だけ を集 めての特別授業 と のこ と 。 F 氏 はい ず れ手話 も 取 り 入 れた ク ラ ス を作 っ て い き たい と 希望 を持 っ てい る。 次に訪れたのは 1 , 2 年生 7 人の合同 ク ラ ス。 美術の 授業 で, 課題は先ほ どの ク ラ ス と 同様。 7 人のう ち 2 人 が ろ う 児 で, こ の 2 人は兄弟で, よ く 手話を使 っ てい る。 他の 5 人は言語障害 を持つ聴児 であ っ た。 こ こ で も 聴児 と ろ う 児 が同 じ ク ラ スで授業 を受け てい る。 ただこ の教 師は コ ー ダで手話がで き る ため, みんな に話す と き は, 手話 と 声 を併用 し て, 個別に関わる と き は聴児 には声 だ け , ろ う 児 には手話 だけ と , 柔軟に使い分け てい る。 ま た手話 ので き る ア シ ス タ ン ト が 1 人い た。 た だ子 ど も の 発言 を声や手話に通訳す るこ と はな く , 聴児 と ろ う 児 と の間 に関わり も 見 ら れなか っ た。 ろ う 児 と 聴児 が 1 つの ク ラ ス で と も に学 ぶ と い う よ り も , 2 つの ク ラ ス が 1 つ の教室にある (複式学級) と の印象 を受け た。 F 氏 によ る 3 年生の理科の授業 を見学 し た。 児童は ろ う 児 2 人 ( 3 年生) のみ。 鳥がテーマ。 教師が教科書を 手話で読み, 手話で内容 を解説 し たり , 発問 し たり し て 学習 を進め てい く 。 次 にワ ー ク ブ ッ ク を用い , こ れは個 別に学習 を進めてい た。 授業中, 児童同士, あ るいは教 師 と , 学習に直接関係のあ る こ と や関連す る経験 も含め, よ く 対話 を し てい る。 通常の教室 と 変 わり ない ( た だ教 師 も児童 も ろ う で, 手話が使われてい る) 授業 と の印象 を受け た。 手話の授業 を見学 し た。 ろう 教師 2 人 (F 氏 と非常勤 の教師) が担当。 こ れに ろ う のア シス タ ン ト 教師 1 人も 加わる。 児童は全部で12人。 すべて手話使用者 ( ろう 児 8 名, c l 児 2 名, コーダ2 人) 。 c l 児 2 名は手話へのニー ズがあ る と い う 判断 で参加 し てい たが, 通常は c l 児 や 難聴児は参加 し ない。 手話 を母語と す る手話使用者のみ に限定 さ れてい る。 コ ー ダが参加す る のは, フ ィ ン ラ ン ド の意法 で も 保障 さ れてい る , 手話 を母語す る子 ど も に 対 す る教育の枠組で あ る と のこ と 。 こ の授業 のために 2 人は少 し 離 れた小学校か ら タ ク シーで や っ て く る (移動 の費用 は公 費 で ま か な われ る) 。 ろ う 者で あ る親が地方

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聴覚障害児のイ ンク ルーシフ 教育の展開 ( 4 ) 自治体に対 し て要望 し , 認めら れたそ う だ。 こ のよ う な 措置 を受け る聴児 ( コ ー ダ) は全国で10人 く ら いい るそ う だ。 子 ども た ち は半円 に な っ て座 り , デ イ ベ 一 ト を中心 と し た授業がな さ れた。 ま ず 2 人の ろ う 教師が子 ども たち に モ デル を示す。 1 つの テ ーマ に対 し て, 賛成 と 反対 の 意見 を表明す る。 2 人の間での手話の対話, 掛け合いで 議論が展開 し てい く 。 その後子 ども たちは 2 つの グルー プに分かれ, 対面に座っ て議論す る。 取り 上げ ら れたテー マ は アイ ス ク リ ー ムに つい て。 「 よ い」 と 「 悪 い」 の グ ルー プに分かれて, デイ ベ一 ト が進んだ。 おい し い と か, 暑い と き に食べ る と 気持 ちがいい と か, べち よべち よ し て汚 れる と か, 溶け る と か, 太 る と か, い ろ んな発言が あ る。 そ の都度教師がい ろ んな ア ド バイ ス を す る。 例え ば, 一人で勝手に思いつい た こ と を話すので な く , みん なで相談 し て議論 を組み立 て る と か, 相手の発言に関連 付け て発言す る な ど。 ま た発言 をあま り し ない児童の脇 に行 っ て発言 を促 し てい た (「 こ んな こ と を話 し た ら い い よ」 と 陰で ア ド バイ スす る) 。 児童同士 も 互い に ア ド バイ ス し あ う 場面 も あ る。 見学時, 校内 で多 く の教員が ろ う 教師であ る F 氏 と 手話で直接対話 し ていた。 学校全体と し て, 手話に対 し て意欲的 に取 り 組んでい こ う と す る姿勢 を感 じ た。 ま た ろ う 教師の役割が十分 に認識 さ れてい る印象 を受け た。 F 氏 にイ ン タ ビ ュ ー を行 っ た。 F 氏は1992年 に教師 と な っ た。 フ ィ ン ラ ン ド では, ろ う 教師 と し て 2 人目 だそ う だ。 19世紀, ろ う 教育がス タ ー ト し た と き には, 手話 も使われ, ろ う 教師 も い たが, 口話法に変わり , 長 ら く フ ィ ン ラ ン ド には ろ う 教師はい な か っ た そ う だ。 F 氏 は 教員養成大学で学 び通常の学校の教員資格 を得た後, 特 別支援教師 な る ための コ ース も 修了 し た。 F 氏は フ ィ ン ラ ン ド の ろ う 協 会の活動 も 行 っ て い る。 F 氏 の よ う に ろ う 者社会の中核にい る ろ う 教師がい る こ と に よ っ て, ろ う 児が少 な く な っ た こ の学校 で も , ろ う 者社会 を身近に 感 じ る こ と がで き るのだ ろ う 。 こ の学校の中学部が最近 別の敷地 (地域の中学校) に移転 し , 中学部担当の教員 も一緒にそ ち ら に移動 し た。 も ち ろ んろ う 生徒 (難聴児, c l 児 も含 め) に と っ て, 通常の中学校 と の共同事業 を 行え る と い う メ リ ッ ト はあ るが, 小学部 と 中学部が分か れ, 集団その も のが小 さ く な っ て し ま う デ メ リ ッ ト も も た ら さ れてい る と 言 う 。 F 氏は学校の唯一の ろ う 教師 と し てその中学校に週に 2 時間だけ行 っ て手話によ る支援 を行 っ てい る そ う だ。 手話 に関す る プロ ジ ェ ク ト は他 に も い ろい ろ と 模索 し なが ら行 っ てい る。 校長 と も意見交換 を行 っ た。 校長自身, ろ う 教育出身 と のこ と。 ろ う 教育の将来は厳 し い と 言う 。 「 ろ う 」 の 子 ど も の数が そ も そ も少 な く な っ て き てい て , ろ う 児 だ け では学校 と し て成り 立たない。 2002年から 健聴の言語 障害児 を受け入 れ始めた。 地域の通常の学校に在籍す る 聴覚障害児への支援につい て も 考え てい る。 現在取 り 組 んでい るのは, 隣接す る学校 と の共同事業。 聴児 で学習 に何 ら かの ニ ーズのあ る子 ど も た ち を集 め, そ の ク ラ ス に c l 児 が入 っ て一緒に勉強 し てい る。 通常の ク ラ スへ の聴覚障害児 の参加はま だ模索中 と のこ と 。 単 に ス ピー チ が で き る聴覚障害児 のイ ン ク ルー ジ ョ ンに と どま る の か, 手話 も 含 めて考え てい く ( その際, 手話通訳の配置 が必要) のか, 共同事業の範囲と内容につい て, 小学校 側 と の議論が必要 と のこ と で あ っ た。 アルバ ーテ イ ン (Albertin) 学校 (統合後は ピ タ ヤ ン マキ Pitajanmaki 基礎学校)

統合前

2013年 3 月に 1 回目の訪問 を行 っ た。 こ の学校は, ヘ ルシ ンキ市 にあ る特別学校であ る。 半年後の新学期 ( 9 月) から同 じ敷地内 にあ る基礎学校 と の統合が計画 さ れ てお り , 訪問時はその準備の真 っ只中であ っ た。 特別支援教師の G 氏 に学校の案内 と イ ン タ ビュ ーを お願い し た。 も と も と ろ う 学校であ っ たが, 在籍児童が 減少 し て, 他の特別学校と 同様, 健聴の言語障害児 も受 け入 れる よ う に な っ た。 さ ら に数年 前に現在 の基礎学校 の敷地内 に移転 し た。 聴覚障害 を持つ在籍児童数は35人 ほ ど ( そのう ち, ろ う 児は10名弱 , 残り は難聴児 ; c l 児は音声言語への依存の程度によ り , ろ う 児か難聴児 に カ テ ゴ ラ イ ズ さ れ る) 。 ろ う 児 と 難聴児 は別 の ク ラ ス に な っ てい る。 教員 に ろ う 教師 2 名, ろ う ア シス タ ン ト 2 名おり , ろう 児 ク ラ スは主にろう 教師が担当, 手話を用 い て指導が行 われてい る。 難聴児 ク ラ スは健聴 の教師 に よ っ て, 主に ス ピ ーチ を用い て (手話 を併用 し て) 授業 が行 われてい る。 まず難聴児 ク ラ ス を見学す る。 児童は 8 人。 年齢は様々 で, 6 歳から 9 歳ま でい る。 多 く が移民 を背景に も つ家 庭の子弟。 教師は健聴で, ア シス タ ン ト に難聴者が 1 人 い る。 教師は主に声 (FM マ イ ク を使用) を使い ながら 指導 し てい るが, 時々手話 を併用 し てい た。 児童はほと ん ど声のみで し やべ つてい た。 1 人ずつ前にで て自己紹 介 し て く れた。 が, 年齢が低 く , 言葉 も不明瞭でなかな かス ムーズに で き ない。 教師 の助け を借 り な が ら 何 と か 自分の名前を言う 子 ども もい る。 名前を言う 時, 指文字 を使お う と す る と , 教師が声 だけ で言い な さ い と 言う 。 彼女 によ る と , 指文字 を し ながら だ と 声に集中で き ない と 言う 。 その後, 特別活動の授業に入 る。 少 し前に行 っ た社会見学 につい てのま と めの授業 だ っ た。 ア ルバ ムに ま と め ら れた写真 で見 なが ら , ど んな施設だ っ たか, そ こ で ど んな活動 を行 っ たかな ど, 子 ど も に質問 し た り , 対話 を し たり し なが ら経験 し たこ と を振 り 返 っ ていた。 次に訪問 し たのは ろ う 児の ク ラ ス。 こ こ も 8 人で, 年 齢 も 6 歳から 9 歳 く ら い ま で であ っ た。 担当は ろ う 教師

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2 人。 教師 も児童 も みんな声 を使わず手話だけ で話 し て い る。 通常の授業 で な く , 日本から お客 さ んが来 る と い う ので, 特別の授業が設定 さ れてい た。 ま ず互い に自己 紹介 を行い, 私の方から は日本の紹介 を し たり , 日本の 手話 を少 し披露 し た後, 質問 を受けながら , 手話で交流 を し た。 児童は し っ かり と 手話で自分のこ と が語れる印 象 を受け た。 G 氏 に現在の統合への準備状態 につい て う かが っ た。 相手側の基礎学校は400人。 統合後は, 聴覚障害児 たち は通常 ク ラ スに在籍す る予定 ら し いが, どのよ う な形態 を と るのか, 今議論の最中と のこ と 。 ヘル シ ンキ市域に 200人ほ どの聴覚障害児がい る。 う ち 3 分の 1 が支援な し で通常の学校に通い, 3 分の 1 が支援 を得 ながら 通常 の学校に通 っ てい る。 残 り がこ こ と 別の特別学校 に通 っ てい る と のこ と 。 通常の学校 と の統合 (あ るいは学校へ の吸収) は他の特別学校で も計画 さ れてい る と のこ と で あ っ た。 た だ聴覚障害児の集団が確保 さ れてい るのは こ の学校のみと のこ と であ っ た。

統合後

統合後に訪問を 3 回行った (2016年, 2017年及び2018 年 ) 。 以下, 主 と し て2016年 に得 た内 容 を中心 に記す ( そ れ以降の訪問 で新 た な 情報があ っ た場合は, そ の訪 問年 と と も に示す) 。 学校の案内 と イ ン タ ビ ュ ーは引 き 続き G 氏 にお願い し た。 ま ず統合後の状況 につい て う かが っ た。 全児童は400 名で, う ち聴覚障害児は46人であ る。 統合前後で人数の 大き な変化はなかっ た (2017年, 2018年に関し ても大き な変化はなかっ た) 。 ろ う 児は19人, 難聴児は27人であ っ た (c l 児は先 に示 し た よ う に音声への依存 に よ っ て, ろ う 児 か難聴児 に分け ら れてい る) 。 聴覚障害児は 5 ク ラ スに分 かれてい る。 聴覚障害児 に関 わる教師は, 統合 後 も継続 し て関わ っ てお り , ろ う 教師 2 人, ろ う のア シ ス タ ン ト 2 人 も変わり がない。 別に コ ー ダで手話ので き る教師が 1 人い る。 ま た手話通訳者は採用 さ れてい ない (2017年以降, 通常の学級への部分的イ ン ク ルー ジ ョ ン が広が っ たため, 手話通訳者が複数人採用 さ れてい る。 こ れについ ては後述す る) 。 まず 1 年から 3 年の 7 人のろ う 児 ク ラ スの手話の授業 を見学 し た。 ろ う 教師 1 人が担当 し てい た。 ま たア シス タ ン ト 教師 3 人がいず れも ク ラ ス にい る重複障害児のた め に特別 に 配置 さ れてい た。 ス マ ー ト ボー ド を用 い て , 絵 と 手話のマ ッ チ ン グをす るゲームで学習 を行 っ てい た。 2017年 に も こ の ク ラ ス を見学 し てい るが, その時は, フ ィ ン ラ ン ド 語の授業 で , みんな で す ご ろ く ゲ ー ム を し なが ら , フ ィ ン ラ ン ド語 と 手話単語の学習 を行 っ てい た。 た だ重複児 1 人は, 教室の別のと こ ろ で ア シス タ ン ト 教師 に よ り 1 対 1 の指導がな さ れてい た。 いずれにおい て も , 手話で指導が行われてい るが, 児童の両親の多 く が外国 人 (東欧やア フ リ カ) で, 手話が母語と 言 っ て も , フ ィ ンラ ン ド手話以外 であ っ た り , あ るいは出生国で教育 そ の も の を十分 に経験 し てい ない児童 も 含 ま れてい た。 担 当教師 に よ る と , な かな か カ リ キ ュ ラ ム通り の授業はで き ず, ま た学年 も レ ベ ルも 様々な ので児童に合 わせて内 容や方法 を工夫 し ながら授業 を組んでい ると のこ と であ っ た。 次 も ろ う 児 ク ラ ス を見学 し た。 児童は 7 人で, 学年は 5 年生から 9 年生まで であ っ た。 手話の授業で, 担当は, ろ う 教師で あ っ た。 内容は フ ィ ンラ ン ド の伝説的 な物語 「 ヵ レ ワ ラ」 につい てで , OHP に カ レ ワ ラ の絵 を示 し な が ら , ろ う 教師がその内容 を手話で語 っ てい た。 児童が 一生懸命教師の語 り を見 てい るのが印象的であ っ た。 語 り のあ と , 教師が児童一人一人に発問 し , 内容の理解 を 確認 し ていた。 児童同士の対話 も あり , し っ かり と し た 手話によ る授業が行 われてい る印象 を受け た。 難聴児が通常学級で授業 を受け てい る様子 を見学 し た。 難聴児は学力 や音声語の活用程度によ っ て, フ ルに通常 学級に在籍 し てい る者 と 一部の授業のみ通常学級で学習 す る者がい る。 8 年生 ( 7 人) の英語の授業 に CI 児が 一人参加 し てい た。 書き の活動が中心で, 個別に ド リ ル を進め てい た。 教師は声 だけ で授業 を進めてい て, 本人 も 周 り に も 手話 の使用 は見 ら れなか っ た。 限定的 で あ る が, 難聴児 の ク ラ ス に聴児 が入 っ て学ぶ授業 も あ っ た。 中学生のフ ィ ンラ ン ド語の授業で あ っ た。 難聴児 5 人に, 聴児 2 名が加 わっ てい た。 聴児は移民のバ ッ ク グラ ン ド があ り , フ ィ ンラ ン ド語の学習が遅れてい た と のこ と 。 教師は, FM マ イ ク を使用 し ながら , 手話 も時々併用 し て授業 を進め てい た。 2016年 の訪問時には, イ ン ク ルー シフ な取組は音声語 の可能 な難聴児 のみに限定 さ れてい たが, 2017年 の訪問 時 には ろ う 児 に も拡張 さ れ, 学校に 3 人の手話通訳者が 採用 さ れてい た。 IT の授業 を見学 し た。 IT 専科の教師 が, 5 人の生徒 ( ろ う 児 1 人, 難聴児 2 人, 健聴児 2 人) を相手 に授業 を行 っ てい た。 こ の授業 では, ろ う 児 に対 し て手話通訳が配置 さ れてい た。 た だ各自 で コ ン ピ ュ ー タ を操作す る授業なので, 一斉の指導の時, なかなか手 話通訳 を見 てい ない こ と も あ っ た。 教師が巡回指導 し て い る と きは, 教師の背後で手話通訳がな さ れ, 通訳がし っ かり と 機能 し てい る印象 を受け た。 課外活動と し て手話 ク ラ ブ (週に 1 , 2 回) があり , 見学 し た。 手話の指導は, ろう 者でな く 聴覚障害児教育 の経験のあ る副校長が担当。 手話の単語 を中心に指導 し ていた。 参加者は聴児ばかり で20名程度。 聴覚障害児の 参加は なか っ た。 ろ う 児 がい る教室や フ ロ ア一以外 では, 手話 を見 る こ と がな く , なかなか学校全体で手話に取り 組む と い う 印象はなか っ た。 ろ う 教師によ る と , 通常学 級の先生の中で積極的 に手話 を学ぶ, あ るいは関心 を持

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聴覚障害児のイ ンク ルーシフ 教育の展開 ( 4 ) つ先生はあま り い ない。 ま た手話に関す る教員研修 も行 われてい ない と の こ と であ っ た。 2018年 に ろ う 教師 の H 氏 にイ ン タ ビ ュ ー を す る こ と ができ た。 彼女は, 大学で教員資格 を得た後, 15年ほ ど ず っ と こ の学校 に勤めてい る。 統合前後の変化 につい て 話 をう かがっ た。 特別学校の時は, すべての教師が, 手 話ができ たが, 統合後, 基礎学校の教師はも ち ろ ん手話 ができ ない。 手話に関す る教員研修 も ないよ う だ。 職員 室は同 じ だけ れども , 特別学校の先生だけが集ま っ て手 話で話 し てい る こ と が多 い。 統合の メ リ ッ ト は, やはり 難聴児に大 きい。 家族 も , 聴児 と 一緒に学習す る経験が で き るので , そ れは将来に と っ て メ リ ッ ト があ る と 感 じ てい る よ う だ。 た だ ろ う 児 に と っ ては限定的。 少 し ずつ 一緒に学ぶ機会が増え てい るが, 言語の問題 も あ るので, 体育 と か美術, 家庭科な ど実技科目 く らいが妥当 と 考え てい る。 フ ィ ンラ ン ド語や算数 な ど, 言語が重要な役割 を持つ科目は, やはり 手話の環境で し っ かり と 学習す る こ と が必要だ と 考え てい る。 た だ現実に周 り に聴者が多 く い るので, ろ う 教師が彼 ら と 手話通訳者の助け を借り て , う ま く コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を と り なが ら 仕事 をす る 姿 を聴覚障害児 た ち に示す こ と は, と て も プ ラ ス にな る と 感 じ てい る。 G 氏に統合前後の変化, さ ら に統合後の 5 年間の変化 についてう かがっ た。 統合の大き な変化のう ち, デメ リ ッ ト は, 校長が 1 人にな っ たこ と。 特に統合 し た当時, 校 長は通常 の教育の経験 し かない ため, そ も そ も 聴覚障害 や手話につい て何 も知 ら ず, 苦労 し た と のこ と 。 現在の 校長は, 特別支援教育の出身で, と て も話がしやす く なっ てい る と のこ と 。 メ リ ッ ト と し ては, 教員の数が増え , し か も 職員室が 1 つで, 基礎学校の教師 と いつ も顔 を合 わす こ と がで き る。 彼 ら はそ れぞれ専門 を持 っ てい る プ ロ なので, 彼 ら から大いに刺激 を受け てい る と のこ と 。 ま た実際, 聴覚障害児 を担当す る教員は少 ないが, 職員 室の中でい ろ んな情報 を交換で き , 役立 っ てい る。 聴覚 障害児の数に大 き な変化はない。 ただ重複障害児が増え た こ と , ま た移民 のバ ッ ク グラ ン ド を持 っ てい る児 童生 徒 も 増え てい る。 た だこ れは都市部 に学校があ る か ら で あ ろ う 。 聴覚障害児 だけの問題でな く , 健聴児 も同様で あ る。 こ の学校の児童全体と し ておよそ30%が移民のバ ッ ク グラ ン ド を持 っ てい る。 た だ聴覚障害児 ではその割合 が さ ら に高 く な る。 統合後の取組 と し て, フ ィ ンラ ン ド 語が十分で ない聴児 と 聴覚障害児が一緒に学ぶ取組も模 索 し つつ実践 し てい る。 学校の統合後, イ ン ク ルー シフ な取組 も拡張 し てい る。 統合当初は, 音声が使え る難聴 児 に限 ら れてい たが, 現在はすべての聴覚障害児が部分 的 に ではあ っ て も イ ン ク ルー シフ な取組に参加 し てい る。 こ れは フ ィ ン ラ ン ド の教育法 で保障 さ れてい る こ と で , 行 わなけ ればな ら ない こ と で も あ る。 そのため手話通訳 者の採用 も増え た。 常時 6 名程度の手話通訳者が学校全 体で働い てい る と のこ と 。 そのため学校内 で手話 を見 る 機会 も 増 え て い る。 ま た最近 の取 組 と し て co-teaching を始 め てい る。 私の ク ラ スの難聴児 はほ と ん ど手話 がで き るが, その難聴児 たち と 私が一緒に通常学級に行 っ て 授業を受け る。 通常学級の教師と 私が一緒に授業を行う 。 私は手話 と口話併用の方法で, 難聴児に対 し てだけ で な く , 聴児に対 し ても指導を行う 。 通常学級の教師も肯定 的 に受け止めてい る。 聴児は聴覚障害のこ と を あま り 知 ら ない こ と も あり , 授業の中でい ろ んな知識 を与え てい る (大 き な音 を出 さ ない こ と への注意喚起, 補聴器を通 し た音の体験 な ど) 。 こ の取組 を今後広げたい と 考え て い る。 ま と め 地方自治体が運営す る特別学校で も聴覚障害児の在籍 数が減少す る中, 通常の学校 (基礎学校) と の共同事業 や統合 に向 か っ た取組が行 われてい た。 特 に音声語が可 能 な難聴児 を中心 に通常学級で授業 を受け るイ ン ク ルー シフ な取組が増え てい た。 さ ら に後者の学校では, ろ う 児への取組 も 試 み ら れつつあ り , その際手話通訳の配置 も 行 わ れて い る。 ま た co-teaching に よ う に通常学級 で のバイ リ ン ガル教育 の取組 も 始 ま っ たばかり で あ る。 た だ ろ う 教師は 「 ろ う 学校」 的 な環境がなお も 重要 と の認 識 を持 っ てい た。 言語 と し ての手話の枠組みで, コ ー ダ に対す る手話指導の取組 も 試みら れつつあ る (特 に前者 の学校で) 。 5 . 地域の基礎学校での先進的取組 聴覚障害児教育の調査 を行 う 中, イ ン ク ルー シフ で あ り , なおかつ手話言語と 音声言語のバイ リ ン ガルをめ ざ す , Co-enrollment の試 みが始 ま っ た と の情報 を得 た。 ヘル シ ンキ郊外 にあ る基礎学校に ろ う 児 2 人 (双子の姉 妹, 両親も ろ う 者) が就学 し た こ と を契機に, ろ う 教師 1 人 と 手話通訳者 2 人が学校に採用 さ れ, 手話 を活用 し たイ ン ク ルー シフ な取組が始 ま っ た。 こ の学校 に2017年 と2018年に訪問 し , 授業見学と 教師へのイ ン タ ビュ ーを 行 っ た。 ク ラ スは 1年生 (2017年当時) で, 20名。 う ち, ろう 児 2 人 ( ただこ の日は 1 人のろう 児は病気のため欠席 し てい た) 。 朝の会。 机は コ の字 に な っ てい る。 子 ど も た ちの一部は コ の字の内側に寝そべり , 他の子は自分の机 の と こ ろ に座 っ てい て ( た だ し バ ラ ンス ボール) , リ ラ ッ ク ス し た状態。 ろ う 児 は右側の真 ん中 あ た り に座 っ てい る。 ス ト ー リ ー タ イ ムで , 教室の前の左端 ( コ ン ピ ュ ー タ が置い てあ る) に健聴の主教師 (以下, M T と す る) が立 っ て, 物語の本 を声 で読む (FM マ イ ク を 装着) 。 その横に通訳者 2 人が並 び, 一人が通訳, も う 一人は通 訳のサ ポー ト を行 う ( あ るいは交代 し て通訳す る) 。 ろ

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う 教師は前の右端の方に座 っ てい る。 ろ う 教師は通訳者 の手話 を ろ う 児 と見 てい る。 ろ う 教師が時々 ろ う 児の方 を見 て, 話 し の内容 を理解 し てい るか確認 し てい る。 時 に ろ う 教師が ろ う 児 と 手話 で対話 し てい る と き も あ る。 次 に フ ィ ンラ ン ド語の授業。 こ の時は, 学習 し てい る テ キ ス ト の内 容 を 歌 に し た DVD を見 る。 み んな一緒 に 声 を出 し て歌 っ てい る。 歌 に合 わせ て机 を た たい て リ ズ ムを取 っ た り , 踊 っ た り し てい る子 ど も も い る。 通訳は 歌 を手話に し て表現。 ろ う 教師はそ れを真似 し て, 歌に 合 わせて手話で表現 し てい た。 ろ う 児はそ れを じ っ と 見 てい た。 歌が終わり , M T がテキス ト ( ス ク リ ー ンに投 影 さ れてい る) を音読 し た り , 質問 を し た り し て, 子 ど も た ち と対 話 を し なが ら授業 を進め る。 手話通訳は M T の横 で通訳す る。 ペ ア リ ーデ ィ ン グの時間。 子 ど も た ち は 2 人ずつに な っ て, 互い に テ キス ト を読 みあ う 。 場所 は様々。 コ の字の内側に座 っ た り , 廊下に出た り す る。 聴児が ろ う 児 に一緒に読 も う と 誘い, コの字の内側に座 る。 通訳者が聴児の背後に座り , ろ う 教師も近 く に座る。 交代 し なが ら読 み進めてい く 。 ろ う 児が読む と き は, 手 話で表現 し , そ れを通訳が声にす る。 聴児が読むと き は, 通訳が声 を手話に変え てい た。 通訳が手話 を し てい て も , ろ う 児 がそ れを見ず テ キ ス ト を見 てい たので , ろ う 教師 が手話 を見 るよ う に ろ う 児 に伝え る。 ろ う 児は手話通訳 を ま だ十分 に活用 で き てい ない のか も し れない。 M T は 健聴児 ペ アの と こ ろ を回 っ て個別 に指導 し てい る。 ろ う 教師 も ろ う 児の様子 を し ばら く 見 てい たが, 他の聴児の ペ アのと こ ろに巡回指導に行 く 。 1 人の通訳がろ う 教師 と同行する。 ろう 教師は, 聴児に対 し ては自身の声で し や べ り , 聴児の発言は通訳者が手話に し てそ れを見 て理解 す る。 聴児は自 ら 手話 で ろ う 教師 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を取 ろ う と す る こ と は なか っ た。 次の社会の時間は, ろ う 教師が授業 を行 っ た。 地図の 見方 を教 え る内容 で , OHP に地図 を示 し な が ら , そ れ を手話で説明 し てい く 。 手話通訳者が声に変え てい く 。 M T は教室 を 巡回 し な が ら 個別 に児 童のサ ポー ト を行 っ てい る。 こ こ で も ペ アでの作業。 席の隣 2 人ずつでペ ア に な り , 配布 さ れたワ ーク シー ト の課題 を一緒に話 し合 いながら 解決 し てい く 。 ろ う 児 も 隣の聴児 と ペ アにな り , 2 人の前に通訳者が座り , 3 人で一緒に作業 を し てい く 。 教師が巡回 し て指導す る と き, M T が聴児 を, ろう 教師 が ろ う 児 を と い う よ う に役割 を 決 め て い な い よ う だ。 M T が ろ う 児 を指導す る と き も あ る し , ろ う 教師が聴児 を指導す る と き も あ る。 その際には必ず手話通訳者が傍 ら に待機 し てお り , 必要な時に手話通訳 を し てい た。 ま たすべ てでは ないが, 通訳者が M T と 聴児の指導の様子 を ろ う 教師に た びた び通訳 し てい た ( ろ う 教師 と 聴児 の 対 話 に つい ては , 両者 と も 声 を使用 す る こ と が多 く , M T には オ ーバ ー ヒ ア リ ン グす る こ と が可能) 。 教師同 士 の連携, 協働に も 配慮 し てい るのだ ろ う 。 た だ聴児同 士 の会話は通訳 さ れる こ と は な か っ た (M T は オ ーバ ー ヒ ア リ ン グが可能 で あ るが) 。 休態時間や観察終了後に M T やろう 教師にイ ンタ ビュー を行 っ た。 M T は教師歴30年 のベ テ ラ ンで あ る が, ろ う 児 を担当 す るのは初めて で , 当 初 どう な るかと 思 っ たそ う だ。 現在は, ろ う 教師 と う ま く で き てい る と 感 じ てい ると のこ と。 ろう 教師は, ろう 学校での教職経験 を持つ。 た だ基礎学 校の ク ラ ス担当 教員 に な る には, フ ィ ン ラ ン ド では修士の取得が必須 で, 今修士課程で学習中と のこ と で あ っ た。 ま だ こ の ク ラ スがス タ ー ト し て 1 年ほ どで , 2 人 と も 試行錯誤が続い てい る と の認識 を持 っ てい る。 こ の学校でのろ う 児 に対す る支援は, 特別支援教育の枠 組で な く , 手話が言語で あり , そ れに関わる意法に保障 さ れた取組と し て行われてい る。 ろ う 児の両親は ろ う で, フ ィ ンラ ン ド手話が彼女の母語 と 考え ら れてい る。 他の 言語 で も , 必要性が認めら れれば, その言語 を使用す る 教師が採用 さ れる こ と があ るそ う だ。 た だ聴児 の場合, 母語が フ ィ ン ラ ン ド 語以外 で あ っ て も 日常的 に フ ィ ン ラ ン ド語 に接 し てい れば, その能力 (学習言語も含め) は いず れフ ィ ン ラ ン ド語 を母語 と す る子 ども た ち に追い つ い てい く と 考え ら れるが, ろ う 児の場合, フ ィ ンラ ン ド 語入力 は制限 さ れたま ま なので, なかなか同等 には発達 し ない, いずれ第二言語と し ての フ ィ ンラ ン ド語 を取 り 出 し て指導す る必要が出 て く るのでは と 感 じ てい る と の こ と であ っ た。 取 り 出 し指導 と い う こ と では, 週に 2 時 間 「母語 と し ての フ ィ ンラ ン ド手話」 を ろ う 教師が行 っ てい る と のこ と で あ っ た。 た だ こ の取組 も , 枠組みは国 に よ っ て示 さ れてい る が, 具体的 な内容は各学校 ( あ る いは地方自治体の教育委員会) に任 さ れてい る。 今はク ラ ス に ろ う 教師 と 通訳者 2 人が配置 さ れてい るが, 来年 も保障 さ れてい るわけ ではない と のこ と 。 他の似 たよ う な取 り 組み を や っ てい る学校や諸外国の実践 な ど も 参考 に し なが ら態勢 を充実 さ せてい く こ と も必要 と の認識 を 持 っ てい る ( なお2018年の訪問時も , 同様の態勢で ろ う 児への支援が継続 さ れてい た) 。

6 . 考察

本調査 では, 手話の活用 と い う 視点 か ら , フ ィ ンラ ン ド の特別学校で の現状 と 課題 を現地調査 に よ り 明 ら かに す るこ と を試みた。 国立の特別学校では, まず聴覚障害 児 の在籍数が非常 に少 な く な っ てい る こ と , 特に手話 を 母語 と す る ろ う 児が激減 し (児童の集団が確保 さ れてい る と こ ろでは, バイ リ ンガル教育は実施 さ れてはい るが) , バイ リ ン ガル教育 その も のの実施が困難に な り つつあ る。 その結果, 障害 を越え た取組 (盲学校と の統合やク ラ ス に他障害や重複障害 を含めた構成) が広がり , た と え手 話 を活用 し て も , 手話そのも のの質が低下 (口話付 き手

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