中学校作文指導の研究 : 柳瀬真子の理論・実践を中心に
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(3) はじめに. 私が、作文教育に関心を持つようになったのは、小学校から中学校に転勤した時であった。それまでにも国語. 科学習での言語表現の持つ役割について関心はあったが、毎日の日記指導を主とした生活文中心の表現指導であ. った。しかし、中学生の作文指導が、小学校での指導と同様の生活文中心の指導でよいのだろうか。発達段階に. 応じた指導法を考えるべきではないだろうか。そのような思いが私の心の中にわき起こってきたのである。. ﹁最近の子どもたちは書くことを嫌う﹂ということばをよく耳にするが、本校の生徒たちも例にもれず、まさ. しくその通りである。その理由は、 ﹁何を書いてよいのかわからない。﹂ ﹁書くことが見つからない。﹂ ﹁楽し. くない。﹂ということである。そのような生徒たちが、作文がすきにならないまでも、書く必要に迫られたとき. に、それなりの文章を書くことができるようになってほしい。このような願いから私の研究は出発した。. これまで、生徒たちは、学校行事のたびに作文の課題を与えられてきた。与えられるというよりは、興味・関. 心あるいは技能のありようを無視して強制的に書かされてきたというのが実際である。このような行事・出来事. は共通した体験であり、時間的経過にしたがえばある程度の分量の文章は書ける。しかし、その内実は事柄をだ. らだらと書き綴ったものが多く、構成のはっきりした読み手にわかりやすい文章ではない。また、このような作. 文は、生徒一人ひとりが、何らかの目的を持ったものとは言い難い。このような状況の下で書く作文は、達成感 ・成就感と無縁のものである。. 以上のような問題を乗り越えるために、国語科の授業の中で﹁書く意欲を育てる﹂指導を試みたいと考え、模. 索していた。そのような時に、長年作文教育、とくに中学生を中心とした作文教育に取り組み、優れた成果をあ. げた柳瀬真子氏の実践に出会ったのである。そこで、柳瀬真子氏の理論・実践に学び、国語科教育における作文 指導のありようを探ろうとしたことが、本研究の動機である。.
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(5) 目次. 一. ページ. 第一章 作文指導におけるブレンストーミングの位置と機能. 一. はじめに. 第一節 ブレンストーミングの成立とその基盤. 一二. 二三. 第二節 ブレンストーミングによる取材︵集材︶指導. 第四節 ブレンストーミングによる記述︵叙述︶指導. 三五. 一八. 第二章 作文指導における主題メモ・構想メモの内容と意義. 三五. 第三節 ブレンストーミングによる構想指導. 第一節 主題メモ・構想メモの成立とその方法.
(6) 第三節 パロディー作文の内容と方法i散文を用いた指導i. 第二節 パロディー作文の内容と方法i韻文を用いた指導i. 第一節パロディー作文の意義と機能. 第三章 作文指導におけるパロディーの位置と意義. 第三節 創作による作文指導と主題メモ・構想メモ. 第二節 古典を用いた作文指導と主題メモ・構想メモ. 七一. 六三. 五六. 五六. 四八. 四四. 終わりに. 資料編.
(7) 第一章 作文指導におけるブレンストーミングの位置と機能. 第一節ブレンストーミングの成立とその基盤. 柳瀬真子は、雑誌﹃教育科学国語教育﹄二六〇号︵明治図書 一九七七年四月一日︶に、 ﹁表現の学習を通し. て﹂という論考を発表している。これは、柳瀬真子の論考のうち、ブレンストーミングということばが見られる 最初のものである。. この論考は、文学教材﹁杜三春﹂の発展学習の実践報告として書かれたものであり、中学校一年生に文学教材. ﹁杜子春﹂を取り上げた理解指導を行った後、発展学習として、考えたことを題材に二〇〇〇字程度の意見文を. 書かせる指導である。いま、その指導過程を要約し箇条書きの形で示すと、次のようになる。 ︵なお、以下本論. 考で取り上げた﹁指導過程﹂は、すべて引用者が要約し箇条書きにしたものである。︶ 指導過程. ①提示された課題︵四つ︶の中から主題を決め、主題文を書く。 ②主題を分析する。. ③分析したものを分類する・つけ加える・整理する。 ④構想によって構成を工夫する。 ⑤構成メモをもとに文章を書く。 ⑥下書きが完成したら友人と交換して推敲し合う。 ⑦手作りの本を仕立てる。. ﹁杜子春﹂の発展学習の指導過程は、右の通りであるが、ブレンストーミングということばが見られるのは、. ﹁. . 1.
(8) 右の②の﹁主題を分析する。﹂の部分である。 いま、その部分を取り出すとそれは次のようになっている。. ︵前略1引用者︶. 2 主題を分析する. 主題が決まったら、主題に関して頭に浮かぶことをブレンストーミングによって書き出してみる。 [ブレンストーミングから出た語群の一例]. 人間らしさ 誘惑に弱い ためらい 迷い 甘いことば 決心がつかない 自分がかわいい. だます・だまされる 仲間はずれ 自分を守る うそ 心の痛み うしろぐらい いいかっこう. 平気をよそおう 金持ち 出世 納得できる行い まこころ 恐れない心 堂々と がんばって 勇気 後悔 反省 逃げる、逃げない︵後略︶. ︵ 後 略 一 引 用者︶ ︵注一︶. ここでは、主題分析の方法としてブレンストーミングが用いられている。 ﹁主題に関して頭に浮かぶことを﹂. ということから、主題文を読み、そこに書かれた内容に関する事柄を思いつくままにどんどん出していくことが. うかがえる。 ﹁頭に浮かぶこと﹂とは、直感あるいは思索の末に思いついたこと、一つ一つのことばからイメー. ジすること、連想することなどを、できるだけ多く出させようとするものである。つまり、ここでのブレンスト. ーミングは、主題に即して﹁書くたね﹂をたくさん集めるための方法として使われたものである。言い換えれば、 取材段階でのブレンストーミングの使用といえる。. また、本実践の指導過程”①提示された課題︵四つ︶の中から主題を決め、主題文を書く””②主題を分析す. 一. 一. 2.
(9) る””③分析したものを分類する・つけ加える・整理する””④構想によって構成を工夫する””⑤構成メモを. もとに文章を書く””⑥下書きが完成したら友人と交換して推敲し合う”は、取材①構想②③④記述⑤推敲⑥と. いう、いわゆる文章表現過程に即した指導過程といえる。そのことからもここでのブレンストーミングは、取材 活動におけるブレンストーミングの使用だといえる。. ここでいう取材とは、提示された四つの課題、 ﹁1人間の赤裸々な姿を追究する﹂ ︵注二︶、 ﹁2お金と人間. について考える﹂ ︵注三︶、 ﹁3人間らしいくらしとは何か﹂ ︵注四︶、 ﹁4親子の愛情について考える﹂ ︵注. 五︶の四つから作られたものであり、四つの課題が、文学作品﹁杜子春﹂の主題であると考えられるところがら、. ここでの主題即ち意見文の主題は、作品の主題そのものにつながるものであるととらえられる。したがって、ブ. レンストーミングによって主題を分析することは、個々の生徒が読み取り理解したものを分析すること、個々の. 思考を分析することである。自らの考えを分析し深めるためには、頭の中にある考えをすべて書くことで客観化. する、そしてそれらを整理・分類することによってより精選する。つまりここでのブレンストーミングは、自ら. の考えを外在化し、さらに整理させるための前段階として思考を拡散するために用いられたといえる。. ブレンストーミングということばが初めて用いられたのは、右に上げた﹁表現の学習を通して﹂ ︵注六︶であ. る。しかし、ブレンストーミングということばが取り上げられたこの論考以前に、柳瀬真子がブレンストーミン. グということばそのものを用いないまでも、それと通じる方法によって行った実践の記録がある。それは、左に 掲げる二編である。. ﹁枕草子の指導i書く活動を中心にした取り扱い一﹂ ︵注七︶ ﹁表現指導を主にした関連指導﹂ ︵注八︶. 右にあげた﹁枕草子の指導−書く活動を中心にした取り扱い一﹂ ︵注九︶には、七つの実践事例が取り上げら. れているが、それらのうち、次の三つにブレンストーミングに通じる実践のありようを見いだすことができる。. 一. 一. 3.
(10) 2﹃うつくしきもの﹄の学習から. 4﹃川を渡る﹄の学習から 7﹃枕草子﹂の文型・文体をかりて文を書く 右のうち、 ﹁2﹃うつくしきもの﹂の学習から﹂の実践の概要は次の通りである。. それは、中学校三年生に古典教材﹁枕草子﹂の第一五一段﹃うつくしきもの﹄の原文を読ませ、教科書の脚注 を参考にして現代文に書き換えさせるものである。 指導過程. ①グループごとに読みの練習をし、原文と脚注をよく見比べる。. ②ノートに古文の本文を視写しながら、ことばが省略されていると思われる部分にく印を入れる。 ③グループ内でく印を入れた部分を発表し合いまとめる。. ④く印を入れた部分に適当な語を補いながら、脚注をたよりに現代語に書き換える。 ⑤以上の作業を通してとらえた作者清少納言の感じ方に対する自分の感想を書く。. 右の指導過程の”④く印を入れた部分に適当な語を補いながら、脚注をたよりに現代語に書き換える。 ”の部. 分は、ブレンストーミングということばそのものは用いられていないが、その方法はブレンストーミングに通じ るものである。いま、その部分を取り出すと、それは次の通りである。 ︵前略−引用者︶. 発表をまとめると次のようなものができた。. うつくしきもの□瓜にかきたるちこの斗組。□雀の子のねず鳴き□するにをどりくる□。□二つ三つ. ばかりなるちこのいそぎはひ来る道に、いと小ざき塵のありけるを、目ざとに見つけて、いとおかしげ. 一. 一. 4.
(11) なるおよびにとらへて、おとななどに見せたる□いとうつくし。□頭はあまそぎなるちこのY 目に髪の おほへる□をかきやらで、うちかたぶきて物など見たる□もうつくし。. ︵□の部分には、何かの語が省略されていると考えられる。□へ適当な語を補いながら、脚注をたよりに、 現代文に書きかえさせる。︶ ︵後略i引用者︶ ︵注一〇︶. ここでは、自分たちが見いだしたことばが省略されていると思われる部分に﹁適当な語を補いながら、脚注を. たよりに現代文に書き換え﹂るのである。 ﹁適当な語を補いながら﹂とは、右の□の部分︵省略されていると考. えられる部分︶にふさわしいと考えられる語を、思いつくままに取り出し列挙してみるところにブレンストーミ. ングによる思考の拡散が見られるのである。その語が適当であるか前後の文脈に即して判断することは、個々の. これまでの古典学習における既習の知識・古典学習の成果・語彙力に応じた判断が下されると考えられる。これ. は、多くの語の中から適合する語を選び出す、つまり拡散思考から収束思考への移行というブレンストーミング. そのものである。□の部分にふさわしい単語を、既習の知識によってできるだけ多く集める。そして、その中か. らよりふさわしいと思われる単語を選び出す。その後、現代文に書き換える。これは、言い換えると、文章表現 過程における集材から選材への過程といえる。. したがって、本実践における指導は、ブレンストーミングという言葉そのものは用いていないが、集材・選材 におけるブレンストーミングの使用そのものということができる。. 次に、 ﹁4﹃川を渡る﹄の学習から﹂の実践の概要は、およそ次のようなものである。これは、 ﹁枕草子﹂第. 二三二段﹃月のいと明きに﹄の原文を読んで表現の味わいを鑑賞させようとする指導である。 指導過程. ①グループで繰り返し読み、暗唱する。. ﹁. 一. 5.
(12) ②表現のおもしろさについて考え、メモをとる。 ③メモをもとに感想の短文を書く。 ④﹃川を渡る﹄の場面を使って四〇〇字程度の条件短作文を書く。. 右の指導過程のうち”②表現のおもしろさについて考え、メモをとる。 ”には、ブレンストーミングというこ. とばは用いられていないがそれに通じる方法が見られる。いま、その部分を取り出すと、それは次のようになっ ている。. ︵前略−引用者︶. ②﹁牛の歩むままに、フ晶なとの害 たる うに、水の散りたるこそをかしけれ﹂の一の部分について思い. つくままに自分の考えをメモさせておき、あとでメモをもとに感想短文を書く。 ︵後略−引用者︶. ︵注一一︶. ﹁一の部分について思いつくままに自分の考えをメモさせておき﹂とは、原文中の一の部分の表現に関して個. 々に思い浮かんだことを、手当たり次第にメモをとっておくということである。 ﹁思いつくままに自分の考えを﹂. ということから、順序だてて整理したメモではなく、頭の中に思いついた順にどんなことでもメモさせることが. うかがえる。また、 ﹁メモ﹂であるから、できるだけ短い文または文章で書かせようとするものである。. 原文中の一の部分を課題︵テーマ︶であるととらえるならば、ここでの指導は、テーマに基づいて個々の考え. をできるだけ多く出す活動、つまりテーマに基づいた取材活動をさせようとするものである。したがって、ここ でのメモは、取材メモといえる。. ﹁あとでメモをもとに感想短文を書く。﹂ということから、メモを取捨選択し順序を入れ替えたりしながら感 想の短文を書いたことが推察される。 以上の学習過程をまとめると次のようになる。. 一. . 6.
(13) ①テーマに基づいて取材活動を行う。 ︵取材︶ ② 構 成 を 考 え る。 ︵構想︶. ③感想の短文を書く。 ︵記述︶. 右に取り上げた通り、ここでの指導は、文章表現過程に即した指導である。. 以上のことから、ここでは、あるテーマに基づいて取材活動を行う方法として、ブレンストーミングが用いら れたのである。. ﹁7﹃枕草子﹄の文型・文体をかりて文を書く﹂は、先に取り上げた﹁4﹃川を渡る﹄の学習から﹂と同じ. ﹁枕草子﹂第二三二段の﹁月のいと明きに﹂を用いた表現指導である。これもブレンストーミングということば の使用は見られないが、それと通じる方法によって行われた指導である。. これは、 ﹁月のいと明きに川を渡れば、牛の歩むままに、水晶の散りたるこそをかしけれ﹂を用い、基本的な. 文型・文体だけを残した虫食いの文を提示し、虫食いの部分に自分の思う語を自由に入れて作文させ、その後、. 一人ひとりが作った文を、全員で推敲させるものである。虫食いの部分に自分の思う語を自由に入れて作文させ. る指導をブレンストーミングととらえることができる。いま、その指導の部分を取り上げると、次の通りである。 ﹃川を渡る﹄の文を使って. ︵を︶. □のいと□に□など□れば、 □ままに、□やうに□の□こそ□けれ. ﹃川を渡る﹄の文を参照しながら、伏せられた□の中へ自分の思う語を自由にはめこんで作文するのであ. る。生徒たちは、文語文の表現に馴れないため、往々にして口語を混入したり口語的な表現を入れたりする。. 一. 一. 7.
(14) そこで、そのような例を互いに発見し合って表現の推敲を行わせつつ、適正な表現法を体得させていくとい うねらいである。 ︵後略−引用者︶ ︵注=一︶. ﹁伏せられた□の中へ自分の思う語を自由にはめこんで﹂ということから、 ﹃川を渡る﹄の文を参照しながら. □の中に入ると思われる語を思いつくだけ集めさせようとしていることがうかがえる。また、 ﹁自由にはめこん. で﹂ということから、数多く集めた語を入れ替え試行錯誤を重ねるうちに、前後のつながりや文脈に即して自ら の文を完成させていくことがわかる。. このように、□の中に入れる語をできるだけ多く集め、そこからもっともふさわしいと考えられる語を選ぶと いう方法は、ブレンストーミングの手法そのものといえる。. □の中に入れる語を考えるにあたっては、個々の知識の範囲で行われるものであるが、柳瀬真子は、グループ ママ. 内で﹁表現の推敲を行なわせ﹂、 ﹁適正な表現法﹂を選ばせている。つまり、個々の思考によって量を集めさせ、. それらを集めてさらに多くの量が集まる。その後、集団思考によってより適切な表現、質を選び出させているの. である。この点からも、ここでの指導は、ブレンストーミングにおける思考の発散から収束を行わせる指導その ものであることがわかる。. また、 ﹁適切な表現法を体得させていく﹂ことから、ここでのブレンストーミングの使用は、文章表現過程の. 記述における表現を工夫する指導につながるものと考えられる。書くべき材料も集まり、書きたい内容もそろっ. ている。しかし、自分の書きたいことをどのようなことばを使ってどう表現すればよいのかわからない。そのよ うな場合にブレンストーミングを使って表現を見つけだす。まさしくその方法である。. ﹁表現指導を主にした関連指導﹂ ︵注=二︶は、書くこと・作文を文学作品﹁少年の日の思い出﹂の読みのさ. まざまな場に位置づけたものである。この論考に収められている実践の中にも、ブレンストーミングということ ばは用いられていないが、それに通じる方法によって行ったものが見られる。. 一. 一. 8.
(15) ﹁1意見文を書く﹂ ︵注一四︶は、冒頭の前置きの部分について三つの観点から考察させ、考えたことを指定 された条件にしたがって八○○字程度の意見文を書かせるものである。. この実践では、意見文を書かせるにあたって構成カードを使用させ、書こうとする事柄を整理させている。こ. こにブレンストーミングの使用が見られる。いま、ここにその部分を取り上げると次の通りである。. 2作品の一部をかりて表現練習をする ︵前略i引用者︶. このような冒頭の前置きの部分について、左の三つの観点から考察させ、考えたことを後にあげた条件に 従ってまとめさせる。 ︵. D この﹁前置き﹂の部分は、この作品全体に対して、どんな効果をもたらしていると考えられるか。. 幻 この﹁前置き﹂の部分は、①∼④の四つの文によって構成されている。この四つの文の組合わせについ ︵ てどう思うか。. ︵. ・昼間の. 紛 巧みな言いまわしだと考えられる箇所はどこか。なぜ巧みだと考えられるか、理由をあげて説明せよ。. ︿条件v ・八百字程度の文章にし、符号の使用にも留意のこと。 ・右にあげた観点に従い、三つの段落で構成すること。 り ただし、1∼3の事項を取り上げる順序は自由とする。 ︵ ︵. ・順序の. 構成カードを使用させ、書こうとすることがらを整理させた。. ︵図2参照︶. ・結末と. 一. 一. 9.
(16) の関係. 工夫 明るさ. 3言いま色あせた. ︵. ラ. 2 四つ・文の内 ︵ わし ・. ラ. ー 効果・前ぶれ ︵ の文 容. ヘ 1 ∼ ラ 2 ノ 3のカードのならべ方を工夫 ぐ ︵. 図 、 ・印の下へ書きたいことをメモする。 ︵後略1引用者︶ ︵注一五︶. ここでの構成カードの使用は、 ﹁書こうとする事柄を整理させた﹂の記述通り、個々が、冒頭の前書きの部分. を読んで思ったこと・感じたこと・考えたことを、整理するために用いたものである。この構成カードは、 ︵図. 2︶から明らかなように一つの課題に対して一枚のカードを用いるように設定されている。つまり、 一つの課題. が一つの段落を構成する三段落から成る文章を書かせるように工夫されているのである。個々の生徒は、それぞ. れの構成カードにそれぞれの課題︵観点︶について前書きの部分を考察し、その結果、書きたいと思ったこと、. 感じたことをどんどん書き込んでいくと考えられゐ。つまり一つの段落の中に書きたい事柄を思いつくままに書. き込んでいくのである。これは、 一段落の中に書ぐ事柄をブレンストーミングによってできるだけ多く集めてい くことである。. 、 れ れ カ ド と 替 を い 1 3 ラ 書 く 事 柄 が あ つ ま っ た ら 、 取 捨 選 択 ・ 順 序 の 入 れ そ ぞ の ー ご に え 行 ︵ ﹁ ∼ ︵ のカードのな らべ方を工夫﹂して、段落の順序を決めるのである。したがって、ここでの構成カードは、構成を工夫するため. のカードであるが、それぞれの段落ごとに書く事柄を集めるための取材カードの役割も兼ね備えているといえる。. ﹁2作品の一部をかりて表現練習をする﹂ ︵注一六︶の指導の中にもブレンストーミングということばは使わ. 皿. 一. 10.
(17) れていないが、それと通じる方法によって行った指導が見られる。 この指導は、次の通りである。. ︵本文中から抄出︶. まるで園風湿. けっくような昼下 が り 、 庭の中の. 2作品の一部をかりて表現練習をする. 圏、魔荒野の、’ 網を持って圏国いたものだ。. 隔 夕 、 まくま、 図朝、岡閣森 の の 方 人のように、. 右の文中の□の中の意味をかえないようにして、別の表現をはめこんでみる。表現練習といった意味でや. らせたが、意欲的に取りくんだ。これは、四人ぐらいのグループの共同作業でやり、相互の研究によって文. の練り上げをさせたうえ、各班の作品を小黒板に書いて発表させた。もとの表現の巧みさにも気づかせると いう利点があった。 ︵後略一引用者︶ ︵注一七︶. ﹁右の文中の□の中の意味をかえないようにして、別の表現をはめこんでみる。﹂部分は、ブレンストーミン. グに通じる方法である。 ﹁□の中の意味をかえないようにして、別の表現をはめこんでみる﹂とは、□の中の語. と同じ内容、同じ意味を持つ別の表現を見つけだしてはめこもうということである。□の中の語と同じ内容、同. じ意味を持つ表現は、 一つだけではない。思索を重ね、いろいろ考えを巡らすうちにさまざまな表現を見つけ出. すことができる。原文では、ただ一つの表現が、二つ三つという具合に広がっていくと考えられる。これは、 一. つの表現から多くの表現へと広げていく方法、つまり、ブレンストーミングによって思考を広げていくことにほ. かならないのである。ここでのブレンストーミングは、思考の訓練として意義を持つものである。. この指導では、四人ぐらいのグループの共同作業として右に取り上げた学習活動をさせている。つまり、ここ. 一. 一. 11.
(18) での指導も先に取り上げた﹁7﹃枕草子﹄の文型・文体をかりて文を書く﹂の指導と同じように、個人の思考に. よって集めた表現を用いてさらに大きな表現の集まりを作る。つまり量を生み出す。そして、それを集団思考に よって収束させつつ、より適切な表現を見つけ出す。このような指導である。. したがって、ここでのブレンストーミングの使用は、文章表現過程の記述の段階での表現を工夫するための指 導につながるものであるといえる。. 文章を書いている際に、自分の思いや考えを表す言葉が見つからない場合は、ブレンストーミングによってで. きるだけ多くの表現を探し出し、文脈に即して適切な表現を選び出すことが行われることから、ここでの指導は、. ブレンストーミングということばは使わないまでも、記述の段階でのブレンストーミングの基本的な訓練をさせ ようとしたものであると考えられる。. 第二節 ブレンストーミングによる取材︵集材︶指導. 柳瀬真子の作文指導を特色づける方法にブレンストーミングがある。既に考察してきたように、このブレンス. トーミングは、早くからその実質が柳瀬真子の中に取り入れられており、方法論として自覚され取り上げられる. ようになるのは、 一九七七年の論考﹁表現の学習を通して﹂ ︵注一八︶以降である。後、この作文指導方法とし. てのブレンストーミングは、柳瀬真子の実践の中でさまざまな形で用いられているが、ブレンストーミングを直. 接間接に取り上げたその実践記録三五編を、その場面によって類別すると、次の三つに分けることができる。 ①プレンストーミングを取材︵集材︶指導に用いたもの ②ブレンストーミングを構想指導に用いたもの ③ブレンストーミングを記述︵叙述︶指導に用いたもの. 一. 一. 12.
(19) 柳瀬真子の実践のうち、ブレンストーミングの使用がもっとも多く見られるのは、①の取材・集材指導の場で の使用である。いま、ここにそれらの実践のいくつかを取り上げる。. ﹁古典を使った作文学習−作文を楽しく書かせるために一﹂ ︵注一九︶の﹁詩歌の心を素材に会話スタイルの. 文章を創作﹂、 ﹁詩歌の心を歌謡曲スタイルにアレンジする﹂の実践の中に取材指導でのブレンストーミングの 使用が見られる。. ﹁詩歌の心を素材に会話スタイルの文章を創作﹂の実践の概要は、およそ次の通りである。. ﹁万葉集﹂の歌の心情や情景を心に描きながら、四〇〇字程度の二人の人物の会話文を創作するものである。 指導過程. ①ブレンストーミングにより、この歌の心に関連する会話を思いつくままにメモする。 ②メモ、またはカードを見わたし取捨選択して会話をまとまったものに整える。. 右に取り上げた指導過程のうち、ブレンストーミングが使われているのは、”①ブレンストーミングにより、. この歌の心に関連する会話を思いつくままにメモする。 ”である。いま、その部分を取り出すと次の通りである。 ︵前略一引用者︶. ︿方法vブレン・ストーミングにより、この歌の心に関連する会話を思いつくままにメモさせる。 ︵カード. にとらせてもよい。カードの場合、カード一枚に一件を記入︶ ︵後略i引用者︶ ︵注二〇︶. ここでのブレンストーミングは、 ﹁この歌の心に関連する会話を﹂ということから、書く事柄、つまり書く内. 容を集めようとするための方法として使われたことがうかがえる。したがって、ここでのブレンストーミングは、 取材におけるブレンストーミングの使用といえる。. ﹁思いつくままにメモさせる﹂ということから、詩歌を読んで思いついたことや考えついたことをどんどん出. させようとするものであることがわかる。ここでは、会話スタイルしかも現代を舞台とした二人の人物の会話を. 一. 一. 13.
(20) 考えなければならない。したがってこの学習では、まず、詩歌を読んでそこから読み取ったことをもとに個々に. 思いついた会話をどんどん出させる。その場合、二人の会話ということにはあまりこだわらず、思いつくまま考. えつくままに会話を考えていく。二人の会話ということにこだわると、会話文が、なかなか集まらないと思われ. るからである。そのようにして数多く会話文を集める。それらを何度も読み返し、取捨選択することによって二. 人の人物の会話文にしたためていく。つまり、思考を発散させておいて、その後に収束させるのである。. ﹁詩歌の心を歌謡曲スタイルにアレンジする﹂ ︵注二一︶の実践の概要は、およそ次の通りである。 ﹁万葉集﹂. の歌の詩情を生かして、五音から七音のリズムを基調にした口語の歌謡曲スタイルの定型詩を作る。詩の中には、. ﹁わたし﹂ ﹁あなた﹂ ﹁風﹂ ﹁心﹂ ﹁秋﹂の五つの語をそれぞれ二回以上使わせるものである。. 指導過程 ①基調になるリズムを決める。 ︵五七調・五五調・七五調など︶. ②ブレンストーミングにより基調のリズムを持つことばを思いつくままに書き出す。 ︵五音と七音に分けてカードにことばを書く。︶ ③五音の語と七音の語を組み合わせる。. ④カードをいろいろに組み合わせ、はじめに決めた基調の歌になるように工夫して構成していく。 ︵ことばが不足しているなら、ブレンストーミングによりさらにことばを補う。︶ ⑤言いまわし、ことばとことばのつなぎ方をよくするため推敲する。 ⑥もとの歌の心が生・かされているかどうかについて検討する。 ⑦清書する。. 右の指導過程のうちブレンストーミングが使われているのは、”②ブレンストーミングにより基調のリズムを. 持つことばを思いつくままに書き出す。 ︵五音と七音に分けてカードにことばを書く。︶ ””④カードをいろい. 一. 一. 14.
(21) うに組み合わせ、はじめに決めた基調の歌になるように工夫して構成していく。 ︵ことばが不足しているなら、 マ マ. ブレンストーミングによりさらにことばを補う。︶ ”である。いま、その部分を取り出すと次の通りである。. ︵前略−引用者︶●ブレン・ストーミングにより、基調のリズムを持つことばを思いつくままに書き出す。. ︵例えば、五七調にしたいのなら、五音と七音に分けてカードにことばを書く。五音の語は赤い縁どりのカ. ードに、七音の語は青い縁どりのカードに︶ ︵中略︶●カードをいろいろに組み合わせ、五七調の歌になる マ マ ように工夫して構成していく。 ︵ことばが不足しているなら、ブレン・ストーミングによりさらにことばを 補う。︶ ︵後略i引用者︶ ︵注二二︶. マ マ ここでは、基調になるリズムを決めた後、 ﹁ブレン・ストーミングにより、基調のリズムを持つことばを思い. つくままに書き出﹂させる作業を行わせている。つまり、ここでは、ブレンストーミングによって、書く事柄を 集める作業を行っているのである。. ﹁基調のリズムを持つことば﹂ということから、五音または、七音のことばを書かせるものであることがうか. がえる。 ﹁思いつくままに﹂ということから、詩歌を読んで自分の頭の中にひらめいたことばや思いついたこと. ば等をできるだけ多く書き出させることを、意図していることがわかる。ただし、ここでは、基調のリズムが決. まっているのでそのリズム︵五音や七音︶にあわせた語を書き出さなくてはならない。最初からもとの歌の心が. 生かされていることばを見つけることは難しいが、こ.こでは、詩歌を読んで﹁思いつくまま﹂これは関係ありそ. うだと思われるものをどんどん書き出していけばよい。ここでは、質よりも量を集めることに重点が置かれてい. る。はじめは、なかなかことばが思い・つかないであろうが、何かことばが見つかれば、その言葉から連想される. ことばが見つかり、想像がどんどん広がっていくものと思われる。つまりここでのブレンストーミングは、思考 の発散を行わせているのである。. ”④カードをいろいろに組み合わせ、はじめに決めた基調の歌になるように工夫して構成していく。 ︵ことば. 一. 一. 15.
(22) が不足しているなら、ブレンストーミングによりさらにことばを補う。︶ ”過程でのブレンストーミングの使用. は、構成の段階でさらにことばを補うために取材活動を行っているものと考えられる。 ﹁ことばが不足している. なら﹂ということから、②の過程でのことば集めが十分である場合は、ここでのブレンストーミングは、行われ ないことがうかがえる。. 右に取り上げた二つの例と同様の実践として、俳句をもとに短作文を書かせるもの、俳句の実作にブレンスト. ーミングを用いたものなどが見られる。これらはいずれも柳瀬真子﹁楽しい俳句学習の実践−中学生の国語教室 ﹁俳句﹂からi﹂ ︵注二三︶に掲載されている実践である。. 俳句をもとに短作文を書かせる実践は、 ﹁1俳句を味わう指導から﹂ ︵注二四︶という実践記録として掲載さ. れている。これは、 ﹁俳句によまれている情景や、作者の心について、気づいたことを、俳句の周りに書きこ﹂. ︵注二五︶むものである。それぞれの句から思いついたこと感じたこと、俳句全体を通して感じたこと考えたこ. となどを、俳句の周りに思いつくままに書きこんでいき、その﹁書きこみメモ﹂を使って短作文を書かせるので. ある。柳瀬真子が、 ﹁俳句をふつうの散文に書きかえているのではなく、原作の俳句からイメージをひろげ、自. 分の鑑賞の世界を創作として再表現した﹂ ︵注二六︶ ﹁考えたこと、気づいたこと、感じたことなどを、左の例. のように俳句の周りに書きこませ﹂ ︵注二七︶と述べていることからも明らかなように、個々の生徒のイメージ. を広げさせることを目的として、句の周囲に書きこみメモを書かせたのである。つまり、 ﹁これは、その俳句を もとにして、ブレン・ストーミングを行ったのである。﹂ ︵注二八︶. マ マ. ﹁2俳句を作らせる指導から﹂ ︵注二九︶では、テーマを決め、そのテーマを見ながら五音と七音のことばを. ﹁できるだけ多く書き出﹂ ︵注三〇︶し、それを組み合わさせて俳句を作らせる指導である。五音と七音のこと. ばをブレンストーミングによって﹁できるだけ多く書き出す﹂ ︵注三一︶のであるが、その際、 ﹁質より量を生. む方法﹂ ︵注三二︶としてブレンストーミングを用いるのである。これは、まず、できるだけ多くの語を集め、. 一. 一. 16.
(23) 次に、それらの中から必要なものを選択していくというものであり、文字どおり取材そのものの指導とすること ができる。. この実践と同様の考え方による実践として、パロディー作りや短歌の実作などがある。. 先に取り上げたものは、取材におけるブレンストーミングの使用であるが、次に取り上げるものは、集材にお けるブレンストーミングの使用である。. ﹁作文ぎらいから作文好きな子へ﹂ ︵注三三︶に収められている﹁1課題﹃立場を変えて﹄の﹃吾輩は00で ある﹄について﹂の中に次のような記述が見られる。. ︵前略1引用者︶漱石の﹁吾輩は猫である﹂をヒントに、学校生活に題材をとり、今まで人間としての自分. の目には映らなかったものを想像を広げて書かせるのもおもしろい。 ﹁吾輩は黒板である﹂ ﹁吾輩は○年○ マ マ 組の教室の天井である﹂ ﹁吾輩は生徒昇降口の靴箱である﹂等々、吾輩に仕立てたいものを、ブレン・スト. ーミングにより列挙してカードにとらせておく。また、連想図に書かせておく。 ︵後略−引用者︶ ︵注三四︶. ここでは、 ﹁漱石の﹃吾輩は猫である﹄をヒントに、学校生活に題材をとり﹂、創作文を書かせるものである。. ﹁学校生活に題材をと﹂るにあたって、個々の身のまわりにあるさまざまな題材になるべきものの中から題材を. 選び出すことは、一見たやすいように思われるが、困難な作業と考えられる。ここでは、ブレンストーミングを. 使うことによって、ともすれば見過ごしがちであったさまざまなものに目を向けさせようとするものである。つ. まり、ここでは、身近な生活の中から書くたねを見つける手段としてのブレンストーミングの練習の場を設定し. たのである。 ﹁今まで人間としての自分の目には映らなかったもの﹂に目を向けることによって、ものの見方や. 考え方に広がりがでてくるものと思われる。 ﹁吾輩は00である﹂の﹁○○﹂として身のまわりのものを見たと. きに今までとは違った新しい発見があるものと思われる。これは、書くことがないときに題材を見つけるための. 方法として活用できるものである。この学習活動によって生徒たちは、どんなこと・ものでも見方を変えれば. 一. 一. 17.
(24) ﹁書くたね﹂になることに気づいていくのである。. 第三節 ブレンストーミングによる構想指導. 次に、構想指導におけるブレンストーミングである。構想指導におけるブレンストーミングの使用は、 ﹃楽し. い作文教室﹄ ︵注三五︶の﹁第三章文学作品を使った表現学習﹂ ﹁2 ﹃表現﹄ ﹃理解﹄の関連指導を考える﹂. ﹁★﹃杜子童﹄ ︵芥川龍之介︶の場合﹂の﹁0﹃杜子春﹄を使って意見文を書くために﹂の中に見られる。これ. らの論考は、柳瀬真子﹁表現の学習を通して﹂ ︵注三六︶と同一の実践の中から、ここで取り上げた事例とは異. なる事例を提示して、構想指導の部分だけを取り上げて加筆したものと思われる。いま、ここにその部分を取り 上げると次の通りである。. ○﹁杜三春﹂を使って意見文を書くために ★・ こうと る内恥の目糸 に く. 人間は、金や物に執着して、ともすれば﹁人間としての心﹂を忘れがちになるが、金や物だけが人間. を幸福にするものではない。人間としてのほんとうの幸福は、 ﹁人間らしい心﹂をもっことではないだ. ろうか。 ﹁人間らしい心﹂は金に勝る財産であり、ほんとうの幸福をもたらすものである。. ★. 書き出した例. 一. 一. 18.
(25) 1 杜豊春は一夜のうちに大金持ちになり、ぜいたくをして、またたくまに無一文になった。ちょうどギ. ャンブルに凝った人が、 一瞬に大もうけをして、また一瞬に無一文になる姿に似ている。. 2 人間は、だれでも金や物に対して執着をもつ。金持ちになって、ほしい物を買い、ぜいたくな暮らし をしてみたいというあこがれを持っている。. 3 われわれは宝くじを買う。その場合、 ﹁もし運よく特賞が当たったら:::﹂という夢を、だれもが 心の中に秘めている。当たることを期待して買う。. 4 もし、特賞を射当てたとする。これは確かに幸運ではあろうが、幸福と言えるだろうか。 5 宝くじの特賞のため不幸が起こることもある。 ︵以下12まで略一引用者︶. ほんとうの幸福とは、 ﹁人間らしい心﹂を失わないことではないだろうか。 ﹁人間らしい豊かな心﹂こ. れこそ金に勝る財産であるといえる。. ★おおまカな える 一から までのことがらを、 ﹁起承転結﹂という構成法によってならべてみる。. 起::読者の興味を引いて、問題を示す。23 承::問題を発展させ、深く掘り下げる。14. 転・:・それまでとは違った側から問題を考えたり、事実をあげたりして、文章に変化をもたせる。5 ハb7000り. 結・:・結論をのべる。Pnゆ一 ★ 、 る. 文章の効果を上げるために、部分的に順序を変えたり、余分な部分をけずったり、もっと詳しくのべた 方がよいところはないかを考えたりしながら、構成を工夫する。. 一. 一. 19.
(26) 構成図の例︵後略i引用者︶ ︵注三七︶. 右の指導でブレンストーミングの使用が見られるのは、 ﹁★ きた こと フレン ストーミングにより、の. 例のように置き出 ﹂の部分である。まず、主題を文章化することによって、これから自分が書こうとしている. 内容の骨組みは、できあがっている。次に、それを文章として展開するためにどのような事柄を書けばよいのか. を考える。つまり、ここでは、読み手に伝えるための文章の内容を作り上げていくのである。 ﹁書きたいことを﹂. というのは、自分が﹁杜子春﹂から読み取ったことの中で、書きたいと思われる事柄をということである。ただ. し、ここでの﹁書きたいこと﹂とは、先の主題文に照らし合わせて、主題と関連のあると思われる事柄をブレン ママ ストーミングにより集めていくのである。つまり、 ﹁ブレン・ストーミングにより﹂ ﹁書き出す﹂ということか. ら、自分が読み取ったことを主題と照らし合わせながら、できるだけ多くの書くべき事柄を集めていこうとする. ことがうかがえる。ここでは、ただ単に思いつくままに関連する事柄を集めることとは異なり、自分が書こうと. する文章の主題を常に頭に置きながら、ブレンストーミングを行わなくてはならない。言い換えると、ここでは、. 自分の読解をもとにこんなことを書こうという頭の中に蓄積されている思いを整理・分類する作業が行われてい. るのである。つまり、ブレンストーミングによって発散的思考をしながら、自分の読みの確認をも行っているこ. とになる。したがって、表現活動によって、より深い読解活動を行っているのである。・したがって、ここでのブ. レンストーミングは、書く事柄を集めるという取材活動におけるブレンストーミングとは異なり、書くための内. 容を作り上げていくという目的を持っており、明らかに、文章の構想を立てる段階でのブレンストーミングであ る。. 以上のことから、ここでは、自分の読みを確認しながら、自分が書く文章の内容作りをしていることになる。. そのための方法として、ブレンストーミングを用いたものである。また、自分の読解と、文章の主題とを結びつ. けることは、発散的思考を行いながら、同時に収束的思考も行っているといえる。つまり、自分の読みを確認し. 一. 一. 20.
(27) ながら、書く事柄の取捨選択を同時に行っているのである。. ブレンストーミングによって集めた−書きたいこと﹂を、 ﹁起承転結﹂の﹁構成法﹂にしたがって配列してい くのである。. 右に取り上げた実践例は、文学教材を用いて意見文を書かせるものであるが、創作文の構想を立てる段階での. ブレンストーミングを用いた事例として﹁作文の授業作り3内容作りをどう導くか﹃鯉のぼりは見つけた﹄を書 く﹂ ︵注三八︶をあげることができる。. この実践は、鯉のぼりになって鯉のぼりが見つけた話を書くというものである。 指導過程. ①クラス全員でブレンストーミングをして、書きたいことをカードに書いて出し合う。 ②その内容を集約して三つの柱を立てる。. ③段落の要点にしたいこと︵ピンク色︶、その要点を具体化したこと︵薄緑色︶を、二種類の色カードに、ブ レンストーミングをしながら書き出していく。 ④カードの内容を整理して﹁文章の設計図﹂を作る。 ⑤﹁文章の設計図﹂にしたがって作文する。. 右の指導過程のうち、ブレンストーミングは、①と③で用いられている。①は、先に述べたように取材の段階. でブレンストーミングを用いたものである。したがって、ここでは、③で用いられたブレンストーミングについ て考察したい。. 右の指導過程②で立てられた柱は、 ﹁1鯉のぼりのあいさつ﹂ ﹁2鯉のぼりの見つけたもの三つ﹂ ﹁3鯉のぼ. りが考えたこと﹂の三つである。この三つの柱は、 ﹁はじめ・なか・おわり﹂の三段構成であると思われる。③. では、この三つの柱のそれぞれについて﹁自分が書きたいこと﹂をブレンストーミングによって考え出していく. 一. 一. 21.
(28) のである。ブレンストーミングで書き出すカードが、 ﹁ピンク色八∼十枚薄緑色三十枚くらいを一人分として各. 人に持たせる。﹂ ︵注三九︶ことから、それぞれの柱は、二∼三段落から構成される文章を書かせようと意図す るものであることがうかがえる。. まず、123の大きな柱に即した﹁段落の要点﹂をブレンストーミングによって集める。ここでは、それぞれ. の子どもの生活経験や知識に基づいたものが集められると思われる。さらに、 ﹁段落の要点﹂であることから、. ことばを集めるのではなく、様子を簡単にまとめたり、できごとを簡単にまとめた文の形を集めなければならな. い。次に、 ﹁その要点を詳しく具体化したこと﹂をブレンストーミングによって集めるのである。つまり、ここ. では、 ﹁段落の要点﹂として集めた内容を読み手にわかりやすく説明したり、読み手の興味を引くような内容を. 作り上げていくのである。言い換えれば、文章の内容の肉づけを行っているのである。. このようにしてブレンストーミングによって集めたものを﹁机上に並べ﹂内容の取捨選択を行い、順序を入れ 替えて﹁文章の設計図﹂を作り上げていくのである。 右の作業は、次のようにまとめることができる。. 三段構成に即して段落の構成を考え、その段落の内容を詳しくしていく。さらに、それを整理し﹁文章の設計 図﹂を作る。この﹁文章の設計図﹂は、構成表であるといえる。. 以上のことから、ここでのブレンストーミングは、文章の骨組みとその内容を作り上げるという目的を持って. いるといえる。したがって、このブレンストーミングは、文章の構想を立てる段階でのブレンストーミングであ る。. 右に取り上げた他に、構想指導の中にブレンストーミングを用いた実践記録を掲載した論考は、八編あるが、. それらはいずれも、自分が書きたいこと、自分が書こうとすることを常時念頭に据えて、その内容を充実させる ために行うものととらえることができる。. 一. 一. 22.
(29) 第四節 ブレンストーミングによる記述︵叙述︶指導. ここでは、記述︵叙述︶指導におけるプレンストーミングの使用について述べたい。. 記述︵叙述︶指導におけるブレンストーミングの使用は、 ﹃楽しい作文教室﹄ ︵注四〇︶の﹁第二章 古典に. 親しむ表現学習のすすめ﹂ ﹁2 実因僧都の強力︵今昔物語︶と楽しい表現学習﹂に収められている﹁★わたし の絵物語作成の記録﹂の中に見られる。. この実践の概要は、およそ次のようなものである。. 中学一年生に﹁実因僧都の強力﹂の学習後、学習のまとめと発展の場として、読み手を、小学校四∼六年生に. 設定した﹁実因僧都の強力と、僧都の人柄﹂をテーマとした絵物語を作らせるものである。絵物語は、巻物・折 り本・冊子などに仕上げるものとする。 指導過程 ①物語の要約文を、 一〇〇∼二〇〇字で作文する。. ②本の体裁を決める。ゴ. ③話のアウトラインを決める。 ④構成を工夫する。. ⑤絵の構図・人物の描き方を考え、下絵カードに下絵をかく。 ⑥文章の下書きをする。. ⑦文章と絵との配置を工夫する。 ⑧清書する。. 一. 一. 23.
(30) 右の指導過程のうち、ブレンストーミングの使用が見られるのは”⑥文章の下書きをする。 ”である。 その部分を取り出すと次の通りである。 ︵前略−引用者︶. ⑥文章の下書き︵段落書き︶をする。 原稿用紙を使って、④のカードを参照しながら、文章を書いていく。 この場合、次の諸点に留意する。. ・一場面は一∼三場面にまとめる。 ︵字数にして、 一場面四〇〇字以内にとどめる。︶. ・一場面に、必ず会話の部分を入れる。 下書きのためにブレンストーミングでことばを集める。 くるみが八つはさまれた。十本の指の間に。 僧都﹁もう少したぬき寝をしよう﹂ ﹁グーグ:::﹂. 弟子たち﹁さてどうなるかなあ このなりゆき::﹂. 例. ω ︵. 弟子たち かくれて見ている、 ﹁われるかなあ::﹂ ﹁きっとわれるよ﹂. . @十本の指の間に、くるみが八つはさまれました。. 6︶. の面. ︵. ﹁さて、なりゆきはどうなることか・:・:﹂. 一. ド場. 力. 弟子たちはものかげにかくれて、じっと僧都のよ うすを見つめています。. 僧都は心の中で︵ようし、もうちょっとたぬき寝. いま、. . . 24.
(31) を・::︶と﹁グーグi、ムニャムニャ・::﹂さ て、くるみはわれるかな?われないかなあ?. ︵後略i引用者︶ ︵注四一︶. き. 書 下. ﹁下書きのために﹂と明記されていることから、ここでのブレンストーミングは、記述の段階における使用で. ある。これまでの学習の過程で物語の構想は立てられているので、 ﹁④のカードを参照しながら﹂、それぞれの. 場面にふさわしい文章を書いていけばよい。 ﹁④のカード﹂には、場面を表すことばが書かれているのでそのこ. とばから連想される事柄を思いつくまま書き出していく。この場では、 ﹁実因僧都の強力﹂の学習の成果が大い. に発揮されるものと思われる。古典学習の場で学んだことを想起しながらできるだけ多くのことばをブレンスト. ーミングによって集める。このとき、 ﹁留意する﹂点として﹁会話の部分を入れる﹂ことがあげられているので. 必ず会話文も集めておくようにする。このように発散的思考によって集まったことばを取捨選択し、順序を並べ. 替えて、それぞれの場面の文章を書いていくのである。ここでは、 ﹁ブレンストーミングでことばを集める。﹂. としているが、ここでいう﹁ことば﹂とは、場面や様子を表すすべての表現を指しているものと思われる。その. 中にはもちろん会話文も含まれている。つまり、ここでは、文章を書くための表現を探す方法としてブレンスト. ーミングを取り上げたのである。生徒たちが作文の時間に書くことがないというときは、書くべきことがないの. ではなく、書きたいことをどう表現すればよいのかがわからないことが多い。つまり、文章の大体の構想は立っ. ているものの、何をどう表現してよいのかわからないこのようなときには、何か中心になることば︵ここでは場. 面を表すことば︶から想を広げていくと、今まで思いつかなかったことばや表現が見つかり、表現意欲も増すこ. とと思われる。また、この方法は、文章を書いている途中で、突然ことばに詰まったときなどにも応用できる。. このような、文章を書くための表現を探す方法としてブレンストーミングを用いた次の二つの実践も取り上げ. 一. 一. 25.
(32) ることができる。. ﹁4私はこう考える﹂ ︵三四二︶ ﹁ 創 作 風 に 書 く﹂ ︵注四三︶. 右のうち、 ﹁創作風に書く﹂ ︵注四四︶は、自分の身のまわりから題材を見つけ出し、立場を変えて創作風の. 文章を書かせるものである。この実践では、 ﹁構想表﹂と﹁描写メモ﹂を作成し、それにしたがって文章を書く. のであるが、その際に、指導上の留意点として、 ﹁書き出しの部分をいくつか書かせて研究させる﹂ ︵注四五︶. 書くことにつまったらそのつどブレンストーミングをさせる﹂ ︵注四六︶ ﹁常に手もとにメモ用紙を用意してお. き、頭に浮かぶことばを書き付けておくようにさせる﹂ ︵注四七︶ ﹁書き出しの部分をいくつか書かせて研究さ. せる﹂ ︵注四八︶のは、読み手の興味をひくための効果的な書き出しを選ぶために、発散的思考によりできるだ. け多くの書き出しを考え、その中から適当と思われるものを選ばせるものである。 ﹁書くことにつまったら、そ. のつどブレンストーミングをさせる﹂.のは、ここでは、構想表にしたがって文章を記述する段階である。したが. って、どのようなことばを使ってどのように表現したらよいのかに迷ったために、 ﹁書くことにつまった﹂と考. えられることから、発散的思考により想を広げ、表現を見つけ出させようとするものととらえることができる。. 以上のことから、記述︵叙述︶の段階でのブレンストーミングの使用は、書き出しやさまざまな場での文表現 を考え出すための有効な方法であるということができよう。. ﹁説明文を使った表現学習i書くことの喜びを発見した子どもたちi﹂ ︵注四九︶に収められている﹁2特色. のある表現・文型を使って短文を作る﹂の実践の中にも記述︵叙述︶指導におけるブレンストーミングの使用が 見られる。. その実践は、次の通りである。. 2 特色ある表現・文型を使って短文を作る. 一. 一. 26.
(33) ︿とり上げた表現・文型の一例>. カげも形もなし。まるで□してしま たカのようだ。︶. たカのようだ。. 1 ほかにだれもミミズにふれた者は翁U、ヒキガエルが動いた様子も募に、ミミズはか翔も 調。まるで蒸発してしま ︵は︶. ︵□も調、□碧、 ︵中略−引用者︶. 4 ヒ キ ガ エ ル 寸 カミミスをとったことは痴易に 測できるのだカ、ぞ.の早わざの秘密を、観察一で. ぎ調。. ︵□が□したことは殊易に非演できるのだカ、ぞ−の□の秘密を□ ることはできなし。︶. ︿指導の方法﹀ マ マ マ マ. 例文中の一の部分を使って短文を書く。まず、□の部分に、どんなことばを入れることができるか、一の. 部分を見わたしながら、ブレーン・ストーミングをさせる。 ︵ブレーン・ストーミングでは、□にうまくは. まりそうなことばを、できるだけ多く書き出させる。︶書き出した語の中から、適したものを選び、文の前. 後関係がうまくおさまるように形を整えて□にはめこみ、文を完成させる。 一題で幾通りもの短文を作り、. 気に入ったものを二つ選んで、短冊型の色画用紙に清書させる。作品は教室に掲示して、お互いに批評、感 想を述べ合う。 ︵後略一引用者︶ ︵三五〇︶. これは、特徴的な表現や大切だと思われる文型の基本的な型だけを残した虫食いの文を提示し、虫食いの部分 に、原文を参考にしながら、自分の思う語を入れて短文を作るというものである。. 見本の文を真似て短文作りをさせることは、生徒たちに文章を書くことに対する負担感・抵抗感を与えること. につながりかねないが、原文を提示し、基本的な文型だけを残した虫食いの文の中に自分の思う語を入れて短文. 一. 一. 27.
(34) を仕上げることは、文章を作る負担感を軽減するとともに、楽しみながら学習に取り組むことができるという利 点を持っている。. マ マ ﹁まず、□の部分に、どんなことばを入れることができるか、iの部分を見わたしながら、ブレーン・ストー. ミングをさせる。﹂ということから、□の中に入れることばは、前後の文脈に沿ったことばを連想させようとす. マ マ るものであることがわかる。また、 ﹁ブレーン・ストーミングでは、□にうまくはまりそうなことばを、できる. だけ多く書き出させる。﹂とあるように、前後のことばとのつながりや文脈に即して、できるだけ多くのことば. を探し出させようとする.意図がうかがえる。このような思考の拡散によって集められたことばを、さらに精選し、. よりふさわしいことばを入れさせるものである。つまりここでは、ブレンストーミングによって思考を拡散させ. て、できるだけ多くのことばを集める。そこからさらに文脈に即したことばを選び出す。つまり、思考の収束を. 行わせるのである。このようにして﹁幾通りもの短文を作﹂ることによって、生徒は、知らず知らずに﹁特色あ. る表現﹂や﹁文型を使っ﹂た﹁短文を作る﹂ことに慣れ親しみ、適切な文章表現を体得していくものと思われる。. また、これらの表現は、後日、さまざまな表現学習の場で生きて働く力ともなりうるものと思われる。. ﹁一の部分を見わたしながら﹂ということから、□の中には、思いつくままに好き勝手なことばを入れていく. のではなく、例文を何度も読み直しながら、例文に似たことばを探し出して入れていくものと思われる。 ﹁書き. 出した語の中から、適したものを選﹂ぶには、ここで取り上げた表現や文型を理解しておかなくてはならない。. たとえ理解が不十分であったとしても、□の中に入れることばを探すために、例文を何度も読み返し次第に表現. や文型を理解していくものと思われる。つまり、生徒たちは、ブレンストーミングをする間に、知らず知らず表. 現や文型を身につけていくのである。 ﹁文の前後関係がうまくおさまるように形を整えて﹂ということから、文. の中では前後のことばとの関係によって、ことばをさまざまに変化させる必要があることも身につけていくもの. と思われる。また、 二題で幾通りもの短文を作り﹂ということから、 一つの表現・文型について、数多く練習. ﹁. ﹁. 28.
(35) の機会を与え短文作りの経験を積ませることによって、 一つの表現・文型を身につけさせようとする指導者の意. 図がうかがえる。 ﹁気に入ったものを二つ選んで、短冊形の色画用紙に清書させる﹂ことは、すなわち、表現・. 文型の練習として作った短文を一つの作品として価値づけることであり、それは同時に生徒たちに自分の作品を 大切にする心を育てようとするものであると思われる。. さらに、各自が作った短文を教室に掲示することによって、生徒は、より多くの文例に親しむことができ、お. 互いの作品を批評し合うことができる。そこからより優れた表現が生まれることと思われる。また、自分の作品 が掲示されることが刺激となり、意欲を持って短文作りに取り組むものと思われる。. 右に取り上げた実践例と同様のものとして、 ﹁三 詩﹃生きる﹄を使った作文指導﹂ ︵注五一︶と題された実 践がある。. この実践は、谷川俊太郎作﹁生きる﹂の詩の形をまねて﹁生きるということは何かを追求させた自作の詩を作 らせるものである。. 原作第一連の最初の二行﹁生きているということ/いま生きているということ﹂の後に続けたいことばを、ブ. レンストーミングにより思いついた表現をカードに書き出す。クラス全体のカードを黒板に貼り出し、各自が自. 分の好きな表現を選び第一連をまねてそれぞれの詩に仕上げる。第二射目からは、第一連目で行った学習活動の すべてを個々に行うものである。. ここでは、既習の詩の形を模倣してそれぞれに詩を作るものであるが、それぞれの生徒の作品は、それぞれの. 生きることについての考えや思想が表現されるものである。すなわち、ここでのブレンストーミングによる表現. 集めは、前後の文脈に即したことばや表現のみを集めるのではなく、 ﹁生きる﹂という主題に即した自分の考え を、詩の中のことばとして表現しなければならないのである。. 以上のことから、柳瀬真子は、 ﹁説明文を使った表現学習﹂ ︵注五二︶ コニ 詩﹃生きる﹄を使った作文指導﹂. 一. 一. 29.
(36) ︵注五三︶で、特徴ある表現・文型を使って短文を作らせ、生徒個々が、文章を書くときそれらを使いこなせる. 力をつけようとしたのである。また、ブレンストーミングという方法を使うことによって、既習の知識を駆使し. ながら、懸命にことば探しに取り組む。それは、生徒たちを能動的に学習させることにもなっている。つまり、. ブレンストーミングを行うことによって、ことば探しに取り組み、知らず知らず語彙力が増し適切なことばを選. 択する力もついていくのである。つまり、特徴ある表現・文型の練習を苦痛なものと感じさせることなく、むし ろ楽しみながら意欲的に取り組んでいくことになる。 .. 以上、柳瀬真子の作文指導におけるブレンスト﹂ミングのありようについて考察を加えてきた。このプレ.ンス. トーミングは、これまでの考察で明らかなように、柳瀬真子の作文指導を特色づける方法として用いられたもの. である。しかし、 ﹁戦後中学校作文教育実践関係の論文・資料目録﹂ ︵注五四︶に掲載された作文指導の中にブ. レンストーミングを用いたものは、私の管見に及ぶ限りほとんど見い出すことができなかった。実践を主とした. 四二四編の論考の中には、ブレンストーミングといヶことばの記述が見られるものもあるが、それらが、実際の. 指導の際に、ど.のような場でどのような用い方をされたのか、その内実は明らかにされていない。また、これら. の論考の中には、ブレンストーミングということばは使われていないが、その使用が明らかである実践も数編見 られる。いま、ここに、その中の一例を取り上げたい。. 尾上正博﹁表現指導に役立てる言語指導﹂ ︵注五五︶の中に収められている﹁表現1 わたしを知ってくださ. い。i題材を求めて一﹂の実践記録の中に、明らかにブレンストーミングと思われる指導が見られる。これは、. 甘常生活から題材を求めて、いいたいことの中心をはっきりさせた作文を書かせるものであり、その指導過程は、. 文章表現過程に即した指導過程である。明らかにブレンストーミングを用いていると思われるのは、そのうちの 取材の過程である。その学習活動は、およそ次の通りである。 ①自分の生活を振り返り、観点を決めて題材を書き出す。. 一. . 30.
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