M 跏 0 塒 OF SHONAN Ir(ST : 層 ロ 丁 隅 OF T 蠶CHNOLOGY Vo1
.
25,
No.
1,
1991歯
車
に
関
す
る
研
究
第
1
報
一
自
動 車 用
リ ク ライ ニ ン グ デバ イ ス の機 構
と材
料
田 辺明
*・平 綿
勝 彦
* * ・露 木 光 夫
* *浜 松 茂 徳
* *・岡 田 雅
博
* * *Study
ofSpecial
Gears
(
First
Reports
)
一
The
Mechanism
and
Material
ofthe
Reclining
Device
for
Automobiles
一
Akira
TANABE
,
Katsuhlko
HIRAwATA
,Mitsuo
TSuYuKI
,Shigenori
HAMAMATsu
andMasahiro
OKADA
There
exist two formu 苴as for the recliningdevice
for automobiEes−
the planet gear formula andthe Iatch
formula ,
They are now widely used.
In the planet gear formula
,
there are two reclining devices with theFurgusson ,
s mechanicalparadox and the cycloid reduction gears
.
By using this formula,
it’
s possible to hold smoothly without any steps on the operation,
There exist three patents by companies including a foreign company.
However ,
evenif
it is produced by fol星owjng theblue
prints,
there are cases where unsteadiness occurs , or on the other hand , there are cases where it’
simpossib 且e to
build
it as an apparatus.
The
工atchformula
uses the triangular tooth andit
holds
gradually on the operation,
The anglesof this triangular tooth are
60
°,52
°,
and28
°,
respectively,
Whether
or notthe
ideal
angle exstsfor
this pressure angle 〜
In
orderto
solvethese
present problems as thefirst
step,
we compare and discuss the mechanismand materials of the planet gear formula and the latch formula
.
1
.
は じ め に 自動 車 用 リク ライニ
ン グ デパ イス には ロー
タ リ方 式と レバー
方 式 が あ り,
現 在 広 く利 用 されて い る。 ロー
タ リ 方 式のデバ イス は,
背 持 た れになるシー
トを 任意の 位 置 で無 段 階に保 持で きる。 ま た,
レ パー
方 式 (ラ ッ チ 式 ) は逆 転 防止用に従 来か ら 利 用 さ れて お り,
三角 歯の 歯 形 をツ メと 噛み 合わせ シー
トを段階 的に保 持 し てい る。
ロー
タ リ方 式に は 2 種類 あ り,
不思議 歯 車機 構を応用 した デバ イス で は,
設 計どお りに 製作 して組み立て た場 合でも遊 隙 を 生 ずるこ と が ある。 ま た,
サ イク ロ 減速 機 講 師, * * * 池 田物産 構 を 応 用 した デバ イス は,
軸の偏心の影 響をうけ,
シー
トが 上 下 左 右に 揺動する とい う欠 点 がある。 本 報 告で は,
デバ イス の新 しい 機 構の開発とこれに適 した材料の開発を 目的 として,
P一
タ リ方 式の機 構 解 析 を行い,
併せ て形 状 測 定に よ りデ バ イス の 特 長 を 明ら か に した。 ま た,
デバ イス を 構 成し てい る各 部 品の製 造 方 法,
製 造工程の違い が 材料に 及 ぼす 影 響,
材 料の耐摩耗 性につ い て も比 較 検 討 し た。2
.
機 構 解析
* 機 械工 学 科 助 教 授, * * 同 (株)研究開 発 部 平 成2年 10 月 11 日 受 付 リクライニ ン グシー
ト に利 用 されて い るロー
タ リ式デ バ イ ス は 遊星歯 車 方 式で,
高 減 速比 を得る ため に考 案 さ れ た 不思議歯車 機 構 とサ イクロ 減 速機 構1)を応用 し たも の で ある。 実際に利 用 さ れて い る主 な理 由は,
高回転 軸一
9湘南工科 大 学紀 要 第 25 巻 第 1 号 側に取 り付けた ダイヤ ルで回 転入力を与える と, 高減 速 比に より低 回 転 軸 側に接 続された背 持た れ シ
ー
ト に微小 回転が 生 じ,
任 意の位 置で シー
トを保持で き,
逆 に背 持 たれ シー
ト に負 荷が加わっ て 低 回転 軸 側に回転 力が作 用 し て も逆 転せず, ロ ッ ク状 態に できるため で ある。 ま た,
レバー
方 式であるラ ッ チ式は,
三角歯の角 度に よっ て操 作力が異 なるq 以下, 測 定に基づ く機構の解 析 結果を 報 告 する。 なお,
ラ ッ チ式 の 機 構につ い て は 次 回 に 述 べ る。 2・
1・
不 思 議歯禦 を応用し たデ バ イス図
1
は,一
つ の軸に取 り付 けた 互に歯数の異な る内歯 車に共通な外 歯 車を聴み合わ せ た遊 星 歯 車 機 構で,
不思 議歯 車 機 構の応用の一
例である。Zl
は太 陽歯 車 (歯 数 z、 枚 ),z2
は遊 星歯 車,
z3
と z4 は数 枚の歯数 差のあ る 内 歯 車で ある。 ま た, 遊 星 歯車の軌 道 を 維 持 する た め の 遊 星 腕 の か わ りに, 図 2 に 示 すクル シ フ ォー
ムがあ る。 2・
1・
1・
噛み合い にっ い て 図 1に示 す 遊 星 歯車Z2
は,
釣合い上2
個 以上使わ れ るが,
太陽歯 車Zi
と噛み合っ た ま ま で内 歯 車 Z3,
Z4 と噛み合わ なければ な ら ない。 噛み合 うため に は次 式 2) を満足 し な け れぽな ら ない。
獗
:
諭
(1
) ただし,
n は遊星歯 車の個数,
A
とB
は整 数。し たがっ て
,
中 心 間 距離な どの関係か ら,
遊星歯 車z2 の歯数は決ま る。 実 際こ の装 置でも,
(1
) 式の和は28
と32
であり,
共に遊星 歯 車Z2
の個 数の整 数 倍で ある。 遊 星 歯車Z2
ー
ム 車Zl
図1
不 思 議 歯車 機 構を応 用したデパ ィス一 10
歯 車に 関 する研 究 第1報 (田 辺 明
・
平 綿勝彦・
露 木 光 夫 ・浜 松 茂 徳 ・ 岡 田 雅 博) 表 1 歯車歯 形 名 称 歯 形 曲 線 太 陽 歯 車Zi
遊 星 歯 車z2
内 臠 車 z3 内 歯 車Z4
円 弧 と直 線 半 径 方 向に対 する歯 厚 を 指 示 円弧と直 線 円 弧 と直 線}
−R
図2
クル シ フ ォー
ム02
2.
1.
2.
減 速比につ い て 図 1に おい て各 歯 車の歯 数をそれぞれ Zt,
Z2,
Z3,
Zl
と し,
回転 数を それ ぞ れ nl,
n2,
n3,
n4 とすれ ば,
n3=
0 とし て,
次 式C3} を 得る。
1− Z2
!Z4
呼21 ”ニ 1+z31Zt (2) こ の装 置の場 合に は n4=
(1125)ni と な る。 これは入力 軸 1回転に対 して 出 力 軸が14.
4
° 回 転 するこ とを 示し て い る。 こ の 値は シー
トを リク ラ イ ニ ソグす る場合の操 作 上の 便 宜 を 考 慮 して 設 定 さ れ た もの である。 換 言 すれ.
8
尺書
■
o
を許
ソ
ー曽
,
(全 周 〉 ’ 丶 ノ魚
3
も
2
,
ら◎
奮
田 uo畠
560 ° 0d 田 鑓 塑 0 4 9 〔0 〜V
へ’
じ
妨 図3
太 陽 歯 車 歯 形一 11 一
湘南工 科 大 学紀 要 第 25 巻 第 1 号 図 4 遊量歯 車歯 形 ば, ダ イヤル で の入力 1回 転に対 して
,
15Q 程 度の 回転 が得 られる よ うに各 歯 車 数を決定し た もの で ある。2・
L3 ・
歯 形 につ い て図 1に示 し た よ うに
,
遊星歯車 Z, は 太 陽 歯 車 Z1 に 噛み合 うと 同時に,
歯 数の異な る内歯 車 Z3,
ZI
に噛み 合 っ てい る が,
標準歯 車であれ ば ピッ チ 円直 径が 異 な り.
中心問 距 離が異 な り,
同一
の中心 間 距 離で は噛み合 え ず 装 置 とし て組み 立 て ら れない 。 そこ で各歯車に歯 形 修 正を し た り, 転位歯車 とし た り し て噛み合い 中 心間 距 離 を 調 整 し て装 置とし て組み立て て い る。 各歯 車の歯 形 曲線を表 1に, そ れ らの設 計 図を 図 3, 図 4, 図5,
図6
に示 す。 歯形は イン ボリュー
トでは ないが,
理 論 上の 解 析の た め に イ ン ボ リュ一
一
トと仮 定 し,
各 歯 車の諸元 を 設 計 値を参 考に し て求め た。 その結 果を表2
に 示 す。 これ よ り歯 車Zl,
Z2 お よ び Z4 の モ ジュー
ル は2.
3
程度で , 噛み合い に支 障は な く,
歯 車 Z2 と Z4 の モ ジ ュー
ル が2.
395
と2.
740
で約0.
35
の差が あ り,
歯形修正 の必要 が生ま れ る一
つ の原 因となっ てい る。 中心間 距 離につ い ては,
クル シ ホー
ムが遊 星 歯 車 − 2 の軌 道を維 持し て い ること を考 慮して,一
般式で は な く図2か ら図6
まで の一 12 一
歯 車 に関 す る研 究 第 1報 (田 辺
明
・
平 綿 勝 彦・
露木光 夫・
浜 松 茂 徳・
岡 田 雅博 )5
図冷 識 内 歯 車 歯形 (21 枚) 図
6
内 歯車歯 形 (25 枚) 表 2 各 歯車の 諸 元 と解 析結 果 名 称 太陽歯車 Zi 遊星歯 車z2
内 歯 車 z3 内 歯 車z
, 緒 元 歯 数 (枚 ) 歯 先 円 径 (mm ) ピ ッ チ 円 径 (mm ) モ ジュー
ル (mm ) 円 ピッチ t (mm ) 781FD 22 21.
3023
,
9563.
0263
.
0216.
5719
.
1657
.
5458.
35
2.
3672.
3952
.
7402
.
334
7.
4367
.
5248
.
6087,
332
一 13 一
湘 南工科 大 学 紀 要 第
25
巻 第 1 号 表 3 太 陽歯 車R
= 3.
82 (単 位 mm ) 表 4 遊 星 歯車の半径 方向に対 する歯 厚 (単 位 mm ) 歯の位 置1
2
34
56
7
平 均 サ ンプルA
サ ンプル B3.815
3.
815 3.
790 3.
770
3.795
3.790
3.800
3.790
3.770
3.
805
3.750
3.
800
3,
745 3.
775 3.
781
3.
792
数 値 を 用い て図 式に求め る と,
Zi とZ2 の 中 心 間 距離は19.
51mm
と なり, 内歯 車に組み込ん だ時の直径は62.
96 mm と なる。 こ の値は 内歯車の歯 底 円 直 径63.
02
mm と0.
06mm
の差を生 じ,
遊隙の一
因と な るQつ ぎに
,
実 際の機 構に組み込 ま れて い る各歯 車を形状 測定器 コ ン トレー
サー
を 用い て計 測 し た。 各 歯 車 と も設 計 値との 比較を行 う目的で,
太陽歯 車で は円弧の 半径R
を 測 定 し,
遊 星 歯 車では歯 厚 を 測 定 し,
内 歯 車で はそ れ ぞ れの ピ ッ チ角 を 測 定し た。 測 定 結 果 を 表3〜
表 6に示 す。 表3
か ら太 陽 歯 車の歯 形半径R
は 設計値 R = 3,
82 ±0.
025mm 比較し て その値は小さい。 表 4か ら遊星歯 車の 歯厚は歯 元 付 近では設 計 値に近い 値を示 し, 歯先付 近で は設計 値よ り大 きな値を 示 し てい る。 特に サ ン プルA ,B
(A
は操 作 性の優れ てい る デバ イ ス, B
は操 作 性の劣るデバ イ ス。}を比較するとB
の方が 設計値との差が大 きい。 ま た 歯丈につ いての 測 定の結 果,
設 計 値 よ り大 き な 値を持ち,
歯幅につ い て も 設 計値よ り大きい値であっ た。 表 5か ら,
内 歯 車 Z弓 の ピ ヅ チ角は,
設計 値に対し て 7.
05 ° 〜 7.
34° の範囲でば らつ い てい るQ さ らに歯 形を歯厚の中心 で分 け た と き,
左 右 対称でない こ とが認めら れ た。 表6
から,
内歯 車Zs
の ピ ッ チ角は, 設 計 値 を上 まわっ てい る。2.
1.
4.
逆 転 不 可 につ い て 不思議 歯車機構は,
大き な減速比を得る ため の機 構で あ る。 入 力 側 と出 力 側の節の交替 を すると,
増 速 機 構 と して も考えるこ と がで ぎる は ずで ある が,
現 在まで の と ころ増速 機 携 として利 用 さ れた例は ない 。 その理 由は,
力の伝達が一
方向の み で, 逆 方向に は伝達出 来 ない ため で ある。 図7
は 不 思議 歯車 機構 を 応用し たデバ イス の ロ ッ ク機 構を図 示したもので,
逆 転不 可の機 構を 説 明 するため の 歯 厚 位 置サン プル
A
サン プルB
1
互4,662
4.692
4,
5784.
6094,468
4.
494 4.
266 4.
293 3.
984 4.
0133.593
3.696
3.168
3.
182 2,
514 2。
488II
II 4.
666
4.
6924,
567
4.
603
4.
4414.485
4.248
4.
2993。956
4.
017
3.
540 3.
6193.
134 3.
1992,
351
2.533
III III 4.
671
4.
6714.
579
4.
5824.
466
4.
479 4.
2584.309
3.
964 4.
0363.552
3.661
3.122
3.272
2.394
2.722
IV
IV
4。683
4.
677
4.
587 4.
598 4.
5744.
468
4.
2744曾
265
3.
979 3,
9803.559
3.
564
3.
131 3.
146 2.
385
2.
353
表 5 歯 車Zl
の1
ピ ッ チ角 (単 位deg
) 歯の位 置1200
サンプルA
サンプルB
7.
3007.
2627
.
150
7。
1407.
2527
.
063一
一
歯 車に 関 す る 研 究 第1報 (田 辺 明
。
平 綿 勝 彦・
露 木 光 夫・
浜 松 茂 徳・
岡 田雅 博 ) 衰 6 歯 車 ZL の 1 ピッ チ 角 (単 位 deg) 表 7 遊隙 量 と 操作力 歯 の位 置 ー ワ一
nJ サ ンプルA
サ ンプ ル B サ ンプル7.
3007
、
2627.
150
7.
1407.
2527.
063
AB
遊 隙 量 (mm ) 操 作 力 (kg。
cm ) 3847100
ハ
On4359 遊星歯 車 Z2 クルシフォー
厶 図7
不 思 議 歯車を 応 用 し た デバ イ ス の ロ ヅ ク機 構 もの で あ る。 内歯 車 Z4 に回 転 力が作 用し た とき, こ の 力に よ り遊星歯 車Z2
の歯面の接触面は矢印方向の力 が 作 用し押され,
内 歯 車か ら 抜 け 出 よ う とする が,
遊星歯 車 Z2 の軌道 を 維持する た めの クル シ ホー
ムが抵抗 力と な り抜 け 出 すこ とができず,
回転力は 歯先に対する剪断 力 と な り,
内 歯 車が 固定さ れて い る た め に機 構は 卩 ッ ク 状 態 と な り逆 転 し ない。2.
1.
5.
遊 隙と操作 力に つ い て 遊隙の原因と な る もの の う ち,
機 構上避 けら れ ない も の と,
歯形修正 で避 ける事のできるもの と がある。 図5,
図6
に示 すよ うに,
歯 先 円の直 径は 同一
で あるが ピ ッ チ 角は理 論上, 内 歯 車Z3
は17.
4
°,
内 歯 車Z
, は14.
4
° で,
その差 2.
74
° か ら 生 まれる遊 隙は避 けられない。 こ 内 歯 車Zl 歯 享Z2 図 8 サ イク ロ 減 速機構 を 応 用した デバ イ ス一
15一
湘南工 科大学紀要 第
25
巻 第 1 号 表 8 各 歯 車の諸元緒 元 名 称 歯数 (枚 〉 モ ジ
ュー
ル 圧 力 角 (mm ) (° ) 転 移 係数 内歯車 Z1 外歯車Z2
3029
1.
65
201.
65
20
十1.
297
十1.146
の角 度は内 歯 車 の 歯先で 1.
30mm の遊 隙を 生 じ させ る。 つ ぎに,
歯形修正に よ り,
遊星歯 車z2
と内 歯 車z3,
Z4 との噛み合い時に内 歯 車の歯 厚 が中心か ら み て対称 で なくな り,
遊 隙を 生 じ させ てい る。
さ らに,
太 陽 歯 車 の歯 厚が設 計 値よ り小さいた め, これ も遊 隙の原 因と な る。 ま た,
各歯 車を噛み合わ せ た ときの径と内歯車の歯 底 円 直 径との差 0.
06mm も遊 隙の原因と なる。 つ ぎに, 遊 隙の値の大 小 と操作力との関 係を求め た。 その結果は 表7
に示 すとお りで,
遊 隙と操 作 力は反 比 例の関係に あ る。 すな わ ち,
遊 隙の値が 大 きい と操 作 力は小さく, 遊 隙の値が小さい と操作力が 大 きい とい う結 果である。2
.
2,
サ イク ロ減速機構を 応 用 し た デ バ イス 図8
は,
固 定 太 陽 歯 車 (内 歯 車 )Z
、の 中に, これ と噛 み 合 う歯数 差の少ない 遊 星 歯 車 (外 歯 車 )Z2
を 噛み 合わ せ た機構で, サ イクロ 減速 機構と呼ぽれるもの で ある。 遊星歯 車Z2
は,
偏心軸に は め 込 ま れ てい て,
中心02
は太 陽歯 車の 中心0
、の ま わ りを01
の回 転 と 共に回る。 す なわ ち,
軸 Oi の1
回転に よ り,
歯 車Zi
とZ2
の噛 み 合い点が軸01
の ま わ り を1
回転す るこ と に な り,
そ の間に歯 数 差に相 当 する角 度だけ 逆 転す る。 2.
2.
1.
噛 み 合いにつ い て 固 定 太 陽 歯 車 Z1 と遊星歯 車 Z2 の諸元 を表8
に示 す。 両 歯 車の歯数差 は1
枚であ り,
固定 太 陽 歯 車Z1
と遊 星 歯車 Z2 の ピ ッ チ円 直 径は ほぼ等しく,
標 準 歯 車で は歯 の干 渉があ り噛み合わ すこ とができな い。 そこ で両 歯 車 と も歯 形 修 正 を 行っ て噛み合わ せ てい る。 2.
2.
2.
減速比に ついて 固定太 陽歯車Z
、(歯数Zl
枚 )の回転 数を n、, 遊 星 歯 車Z2
の回転 数を n2 とすれば,
次式q )を 得る。一
(ZrZ2 )°
n2 nl= z2 (3
) (3
)式よ り, 最 大の減速 比は (Zl−
Z2)=
1 の と きで,
nl = (− 1
/Z2)・
n2 と な る。 実際 この 装 置で は,
歯 数 差は 1枚であ り, 減 速 比は一1129
である。 す なわ ち, ダ イ ヤル での 入力1
回 転に対して出 力 軸は12.
4
° 回 転するこ とになる。 こ の 値 はシー
トを リクラ イニ ン グ さ せ る場 合の操 作 上の適 当 な 値とし て決め られたもの である。 2・
2・
3・
歯 形 につ いて 両 歯 車 と も歯 形 修 正 を 行っ て噛み合 わせ てい るが, 歯 形を仮想的基準ラ ッ ク型工 具 を用い て創 成 し た もの とす る。 こ の と き,
内 歯 車との噛み合い 方程 式か ら圧 力角α b) はinv
α三
2tan α 。(x2−
x、)1
(z2− z
、)+inv α。
(4
} (4) 式に諸 元の値 を代入 す る と, invα ・=o.
12483 イン ボ リュー
ト関 数 表か ら α;38.
62
° となる。 これ か ら,
中心 距 離 増加係 数 y は (5)式に代入 して,
Z2−
Zl (cos ac !cos α一
1) y1=
2
=0.10138
mm となる 。 (5
) し た がっ て,
転 位歯車の中 心 距 離 a は , m をモ ジュー
ル,
標 準 歯 車の ときの 中心距 離を a。 とすると,
式 に代入 して, a = ao 十y・
m=
=
O.
9923mm6
、β3・
53コB
02
Q
覧轟
図9
転位 後の ピ ッチ 円で の か み 合い一
16一
歯 車 に 関 する研 究 第 1報 (田 辺 明 ・平 綿 勝彦
。
露木 光 夫。
浜 松 茂 徳 ・ 岡 田 雅 博 ) 表 9 各 歯 車 の解 析 結 果 名 称 緒 元 歯先円経1
(mm 》 歯 底円経 ピ ッ チ 円 円 弧 歯 厚 (mm ) 経 (mm ) (mm ) 内歯車z1
44
歯 車z251
.
6142
.
7754.
9149.50
4.
1547.25
47.
85 3.
97 とな り,
約lmm
程 度し か離れてい ない から,
歯が重 なっ て し ま い,
二 つ の歯 車は 噛み 合 えない。 そこ で両歯 車を転 位 修正する 必要 が 生じ る。 い ま,
転 位 係数を X とす れば,
転 位量は X・
m で,
設計値 よ り転位 量 X・
m は,
固 定 太 陽 歯 車Zi
で2.
14
mm,
遊 星 歯 車 Z2 で1.
89
mm となる。 また 歯 丈は2.
25・
m で3.
713mm となる。 そこで図 9に示 す よ うに転 位後の ピッ チ 円で二 つ の歯 車 が噛み合 う とする と,
両 ピッ チ円の 間に 2、
15mm の隙 間が で るが,
こ の隙 間に 両 歯 車の歯 先 2。
m;
3.
30 mm が入 ら な け れ ば な らない。 し たがっ て,
3.
30−
2.
15=
1.
15 mm だ け 両歯車か ら合計で削 り落 と さ な け れ ば な ら ない。 実 際は表9
に示すように,
遊星歯 車Z2
で歯先 円直 径は 52.
77mm で,
計 算値は 54.
93mm と な り,
差2.
16mm
を削 り落 として お り,
固定太 陽 歯 車 Z、で は 同 様に51.
61mm
と50.
48mm
で,
その 差1.
13mm
を 削り落 とし て い る。 片 側の 削 り落とし の量は,
遊 星 歯 車 Z2 で1.
08
mm , 固 定 太 陽 歯 車 Zエ で 0.
571nm
と な り, 合 計 1.
65 mm と な る。 こ の 値は 両 歯 車か ら削 り落 とす 量1.
15mm
より0.
5mm
大き くな っ てい る。 すな わ ち,
計算値よ り0.
5mm 余 分に削り落 し て い るこ とに な り,
遊隙の原 因 と なる。 2.
2.
4.
逆転不可につ い て 図 10 に示 すように,
固 定 太陽 歯車 Z, に回転力 を 加 え る と, 遊星歯車Z2
はZl
か ら 抜け 出よ うとする が,
図 11 に示 す 偏心軸の偏心量が抵 抗と なっ て 抜け 出せ ず, 車 Zl 図10
サ イ クロ 減 速 機 構 を 応 用 し た デバ イス の ロ ッ ク 機 構 図11
偏心 軸 回転 力は遊星歯 車の 歯 先に対 す る剪 断 力 と なっ て 逆 転 し ない 。 なお,
こ の装 置の偏 心 量は3mm
で,
こ の量だけ 背 持たれシー
トは揺動する 欠点がある。
3
.
リク ライニ ングデバ イスの材 料と 製 造工 程 にっ いて 図12
と 図13
に ラ ッ チ式 とP一
タ リ方 式デバ イス の 形 状を示 す。 本 報 告で は,
今 後 使 用 を 考え てい る安 価な 熱 間圧 延鋼 板 (SPHC
)と,
現状で使用さ れて い る自 動 車 搆 造用熟 間 圧 延 鋼板 (SAPH45
)を取 りL
げ,
製 造工程 が 材料の組 織に及 ぼ す 影響につ い て,
また,
試 作 段 階に お い て展開 形 状 検 討 品に つ い て,
形 状 変 更をか な りの 回 数 行 う ため,
ワ イヤ カ ッ ト,
あるい は レー
ザカ ッ トに よ る 工程が必 要 と な る。 ブ ラ ン ク材 の形状が決定 し た後,
ブラ γ ク型を作製 し て製品を仕 上 げて い く。
こ こ で は,
カ ッ ト方 法が材 料の組 織に及ぼす 影 響 と大 越 式 摩 耗 試 験 機に よ る耐摩 耗性につ い て 比 較 検 討し た。 3・
1・
■丿ク ライ= ン グデバイス の製 造工程が材 料の組 織に及ぼす 影 響 まず,
製 造の第 1工 程 は,
展 開形状の切 り出 しで,
外 図 12 ラ ッ チ 式 リ ク ラィ ニ ン ゲデバ イ ス の形 状一 17 一
湘 南工 科 大 学 紀 要 第 25 巻 第 1 号 サ イ ク ロ 減 速 機 構 不 思議歯車 機 構 図
13
ロー
タリ方 式 リク ライニ ン グデバ イス の形 状 500 4009
− re300
200100
Oo 50 100 150 加工 面 か らの 踵離 (μm ) 図14
第1
工程 (外周ブラ ンク とセ ン タ穴ピァ ス)の硬 さ変 化 200 周ブ ラン クとセ ン タ穴 ピ アス 加工 である。 図14
は切 り 出し たSPHC
素 材 表 面か らの 硬さ変化 を 示 し た もの で Hv 120 程 度を示 し て い る。 ま た,
図15
はその組織で,
ほぼ一
定の フ ごラ イ トで形 成されてい る。 中心 部 と 表 面 付近の結 晶 粒 を 比較し た場 合, 表 面か ら 100μm 程度ま で結晶粒が粗 大 化し てい る。 図16
は第2
工程の歯成形 部の絞りとセ ンタ穴の パー
リン グ加工の ド卩一
工程 で の 硬 さ変 化 を 示 した もの で あ,
硬 さはHv
120
程 度で一
定 してい る。 図 17 に その組 織を 示 す。
ア ン グル 部の 内側 に おい て は, 組織がつ ぶ さ れ, 曲げの 中心 に向かっ て逃 げて お り,
内側 表 面付 近の組織は 中心部 組織よ り粗 大 化 してい る。 これ はブ ラ ン ク材の状 態がその ま ま影 響 して い るのが わか る。 これに対し て, 外 側で は組織が引っ 張 られて 横に伸び てい るこ とがわ か る。 すな わ ち, 中 央 部一
一
歯 車に関 する研 究 第 1報 (田 辺 明 ・平 綿 勝 彦 ・ 露木光 夫 。浜松 茂 徳 ・ 岡 田 雅 博 ) 表面 中心 部 衰 面
鏘
図15
第1
工程 (外 周ブラ ン ク とセ ン タ穴 ピア ス)の組 織 50040095ro
300
200 100 O o 50 100 150 加 工 面 か らの 距 離 (−iM ) 図 16 第 2工 程 (歯成形部絞 り とセ ンタ 穴バー
リング)の硬 さ変 化 200 を境に し て内側で圧縮 応力, 外側で は引 張応 力が作 用し て い る と考え ら れ る。
第3
エ程で は,
ドロー
工程で生 じ た残 留応力 除 去を 目 的とした 焼 な ま し工 程 を経て 歯 部 とセ ン タ穴の成 形を行 う。 図 18 は こ の ときの硬 さ変化 を 示 し たもの で第 2工 程と同様Hv
120
で一
定 して い る。 図19
は その組 織 を 示 し た もの で ある。 第 2工程 よ り, さ らに組織の 変 形が 著しくなっ てい る。 ま た,
ア ソ グル 内 側 表 面に ク ラ ッ ク が 生 じ,
表面の粗大化 し た粒 界に沿っ て内部に及 ん でい るo つ ぎに第4
工程はパ リ取り,
研 摩工程を経て,
最 終の 耐摩 耗性向上を 目的 とし た侵 炭 処 理 と焼 入 れ,
焼 も どし の 熱 処 理工 程である。 図20
は熱 処 理工程で の硬 さ変 化 を 示 し たもの で,
表面か ら10
μm まで硬 さの低 下 が 見 られ,
20μm 付 近で最 高 硬さ Hv 450 を 示 し てい る。 100μ m 以後はHv
100 で一
定して い る。 図 21 はその19 一
湘 南工 科 大 学 紀 要 第
25
巻 第1
号 (平行 部 内 側 表 面 付 近 )鵜
衰面 (ア ングル部 内側表 面付 近 ) 図 17 第 2工 程 (歯成形部絞 りとセ ンタ穴バー
リ ン グ) 表面付近の組織100
μm韈
表面(
》 巴 恤 500 400 300200
100 00 50 100』
150
加工面か らの距 離 (μm ) 図18
第3
工程 (歯 部 とセ ン タ穴の 成形) の 硬 さ変 化200
組織を 示 した もの で,
前工程まで存 在 し てい た内側, 外 側の 加工 に よ るフ ロー
ラ イン はすべ て消 失し,
表 面 付 近 の マ ル テ ンサ イ ト と, マ ル テン サ イ トとフ,
1,
ライ トの 混 合組織を経て フェ
ラ イ ト相が観察で きる。 表面 で硬 さの 低下があっ た が 熱 処 理 に よる脱 炭 層 は 確 認 出 来 なか っ た。 また,
V ル テ ン サ イ ト相は粗い 状態で 存 在し てい る。 これは 素 材の時 点で生じて いた表面付近の フ ェ ライ ト結 晶 粒 粗 大化の影響が, こ の最 終工程に まで 及 んで い一 20 一
歯 車 に開 す る 研 究 第 1報 (田 辺 明 。 平 綿 勝 彦
・
露木 光 夫・
浜松茂徳・
岡田雅博 ) (平 行 部 内 側表面 付 近 )孅
← 表 面 ←一
表 面 (ア ングル部割れの拡 大)孅
図19
第3
工 程 (歯 部とセ ンタ 穴 の 成形) 表面付近の組織500
400 9 モ re 300 200 100 0 0\
丶
\
ア
/
, o−一一一
〇 50 100 150 加工面からの距 離(Am ) 図20
第 4工 程 (熱 処 理)の硬 さ変 化一 21 一
200湘 南工科 大 学 紀要 第 25 巻 第 1 号 ルテンサ イ ト ェ ラ イ ト
100
μm’
癩
図21
第4
工 程 (熱処 理) 表面付近の組 織 るこ とを 示し てい る。 中心部は焼入れの影 響 を 受 けたフェ
ライ ト粒の粗 大化が見 ら れ,
硬さ で前工程 よ りHv
が20
程 度 低 下 し てい る。 以 上 の工程 を 組 織 と硬 さ よ り検 討 し た結 果,
つ ぎの こ と が判明し た。 まず,
第3
工 程での歯 部の成形時に おい て,
内 側に生 じた ク ラ ッ クは, 前工程の歯 成 形 部 絞 り時 の残留応 力に よ る もの で,
焼 な まし処理 の適正 な 温 度 と 時間を設定する こ とに よ り解 決で きる。 つ ぎに,
素材に 生 じて い た 表 面 部の結 晶 粒 粗 大 化層は中心部の結 晶 粒 と そろえる か,
微 細 化の方 向に もっ てい か ない と最 終 熱 処 理 工程 の表 面 硬 化層に認め られる粗い マ ル テン サ イ トの 形 成 とい う好 ま し くない状態につ なが り,
最 終工 程に お い て耐 摩 耗性に必 要 な 硬 さ を得るこ と が 困難に なる。 ま た,
最終工程で見 ら れ た 中 心 部の結 晶粒粗大 化は侵 炭処 理 温 度と時 間で解決で きる。3
.
2.
素 材の切 リ 出 し方 法 が 組 織 に 及 (2
す 影響試 作 段階で行わ れる展開形状検 討 品に つ い て, 形 状変 更を行う際
,
種 々 の カ ッ ト方 法がある。 その う ちワ イ ヤ カ ッ ト,
レー
ザ カ ッ ト,
シ ャー
リン グカ ッ トが組 織に及 ぼす 影 響に つ い て比 較 検 討 を 行っ た。 図 22,
23,
24 は,
そ れ ぞれ カ ッ ト の方 法に よ り,
素 材の硬 度がカ ッ ト面か らの距 離に よ っ て変 化 する模 様を 調べ た結 果である。 図22
の ワイヤ カ ッ トの場合に は, 表面付近で Hv 10程 度 の低下 が 見 られるもの の,
内 部ではHv
120
でほ ぼ一
定200
150 oo〔
主)
初 50R
。,
。ノ )一 。一
゜一
゜ o o o 0 0 50 100 カッ ト面か らの距離 (μn} 150 図22
ワ イ ヤ カ ッ トがSPHC
素 材の硬 さに及 ぼ す 影 響200
歯 車に関 する研 究 第
1
報 (田 辺 明・
平 綿 勝 彦・
露 木 光 夫。
浜 松 茂 徳・
岡 田 雅 博 ) 2CO 150oo
(
主)
竹 50 ‘“ ・.
.
一
.
。_
。−
rt )_
。_ o−一一一一一一一
一一
轜
一
一
一
一
つ一
一
◎00
50
100
150 カッ ト面 か ら の距 離 (μm ) 図 23v一
ザカ ッ トがSPHC
素 材の 硬 さに及 ぼ す影 響 200 200 150 oo 1(
主 V 和50
%
\
\ o \
o丶 o 、 O− O o o 00 50 100 150 カッ ト面か らの距離 (μm) 図 24 シ ャ
ー
リン グカ ッ トが SPHC 素 材の 硬さに及ぼす 影 響 200 の 値を保 っ てい る。 図 23 の レー
ザ カ ヅ トの場 合に も,
表 面 層 付 近 でHv
10
程 度の硬 化が見 ら れる。 これに対 し,
図24
の シ ャー
リン グカ ッ ト の場 合に は,
表 面 付 近 で Hv 190 と 加 工硬 化に よ りか な り硬さが高い が,
表面 か ら内部に 向か っ て の低 下 が著し い 。 図25
は これ らの 三つ の カッ トの場合の表面の組 織 を 示し た ものである。 ワ イヤ カ ッ トの 場合には,
表面に パ ル ス 放 電に よ る放電 痕が見 ら れる もの の,
表 面と内 部で組 織的 には 大 き な変 化は見 られ ないQ これ に対 して レー
ザカ ッ トの場 合は,
表 面か ら 50 μm の 深さにわた り変 質層が見 ら れ る。 こ れは フ ェ ライ ト層の結 晶粒界を 形 成 するパー
ライ トが不 連続に変化し た もの である。 また,
シ ャー
リン グカ ッ ト の場合にはワイヤ,
レー
ザ と 異 なり,
組 織 が 加工方 向に 流 れ,100
μm の 深 さで変 質層が認め られる。 以 上の結一 23 一
湘 南工科 大 学 紀要 第 25 巻 第
1
号 ワイ ヤ カッ ト カッ ト表 面位置 レー
ザ カッ ト ← カッ ト表 面 位置 シャー
リング カッ ト煢
← カ ッ ト表 面位置 図 25SHPC 素 材 の カ ッ ト方法 に よ る組織 に 及 ぼ す影 響 果よ り, ワイ ヤ カ ッ トが 比較 的組 織に影響がでない こと が わか っ た。 3.
3。
SPHC
とSAPH45
の摩 耗試 験 結 果 摩 耗試 験は,
SPHC
とSAPH45
の 2種類の素 材 と侵 炭, 焼入れ, 焼 もどし処 理し た材料に つ い て,
大 越式 摩 耗 試 験 機 を 用い,
試 験 条 件 と し て,
摩 耗 速 度 O.
51,
1.
14 m /s, 摩耗荷 重 2.
1,3.
2kgf , 摩 耗距離600
m,
湿式 (日 本鉱油 製ニ
ッ ペ コT −2K
グ リー
ス)で行っ た。図 26 に試 験 結 果を示 す
。SPHC ,
SAPH45 の素 材で 比 較 すると速 度 0,
51m !s では いず れ もSAPH45
が比 摩耗量が 少な く なっ て い る。 また,
熱 処 理 材を みる と素 材 よ り比 摩 耗 量が小さ く,
侵炭 焼 入 れ に よ る耐 摩 摩 耗 性 の効 果 が 現 れて い る。 摩 耗面 の 面粗度 は SPHC で はRmaz
6
μ m か ら熱処理後 15.
2
μm,
SAPH45
に お い て は3.
2
μm か ら 19.
5μ m と熱処理 の影 響で面 粗 度 が 大 きく なっ てい る。 なお,
表 面に防 錆対策として 行われて い る り ん酸被 膜は かけない状 態で試 験 を 行っ た。 次に,
摩 耗 速 度1.
14
m !s で はSPHC
の 素 材を除 き O.
7〜1.
lx
10−
s mm2fkgf の 比 摩 耗 量 を 示 し,
荷 重お よ び 熱 処 理に よ る影 響は ほ と ん ど認めら れ ない。 図 27 と図 28 に摩 擦 速 度 0.
5m !s の場 合の 走 査電顕 (JSMT ・
200)に よ る摩 耗 面の観 察 結 果を示 す。 摩擦 荷 重 2.
1 kg と3.
2kgf の場 合を比 較 すると熱 処 理 材に摩 擦 条 痕 が観察さ れ る。 SAPH45 におい て は細か い条痕と,
マ ル テ ン サ イ ト化 さ れたV トリッ クス で は凝着摩 耗に よ る マ ル テ ン サ イ ト相の脱落が観察さ れ る。SPHC
で は太い 帯状の条 痕が見 ら れる。 なお,
リン グ表 面に も 同様の条 痕 が 観 察 さ れる。 摩擦 荷 重に よ る影響につ い ては,
両素 材で見 ら れ る ように プ レー
ト,
リソ グ共に2.
1kgf の 時,
全 面に存 在 する深い 条痕が 荷 重の増 加に 伴い帯 状の 条 痕に変わっ て ゆ く。 ま た,SPHC
材の 摩耗 面に は 3〜
5μm の陥 没 部 分が存 在 し て い るが,
SAPH45 で は,
荷 重の 増 加に伴い針状マ ル テ ンサ イ ト相の脱 落 し た部 分は 摩 擦 条 痕に より消 失し,
陥 没 個 所は認め ら れ ない。 次に,
摩 擦速度 1,
14m !s では,
SPHC
の素材を除き 比摩耗量 が小さ く,
耐 摩耗 性が良 好であっ た が,
摩 耗 面には陥没 個 所が認め られた。 なお,
摩耗 試験結 果に お い て摩 擦 速 度 o.
51m
!s で SPHC の焼入 れ材が SAPH45 材と比 較 し て 比摩耗量 が小 さい 結 果 が 得 られた。 これは3〜5
μm の 陥 没 箇 所の存在に よ り,
同種摩耗とい う摩 耗 形 態 か ら は好ま しくない状 況の下で,
摩 耗 粉の生 成,
脱 落に よっ て 摩 耗条痕を形 成 する こ とに よ り,
逆に耐 摩 耗 性の 向上 につ な がる結 果を得た もの と思わ れ る。4
。 結
論
(1) 不思 議 歯 車を応 用 したデバ イス は,
太 陽 歯 車 と 遊星歯 車の歯数が極 端に少な く イン ボリュー
ト歯形で創 成 するに は無理が あ り,
特別 な歯形で 創 成 して い る。 (2) 不思 議歯車の遊 星歯車に噛み合 う二 つ の 内 歯 車 の歯数 差は (1
} 式に示 す ように遊 星 歯 車の個 数に関 係歯車に関 する研究 第 1報 (田 辺 明
・
平綿 勝 彦・
露 木 光 夫・
浜松 茂 徳 ・ 岡田雅 博) 7 6嘘
0(
OIOF × 曽 湿 \四
EE)
嘲 躍幽
4 3 2 1 02.
1 32 SPHC SPHC (焼 入 れ) SAPH 45SAPH 45 (焼入 れ) 7 6 5〔
ロ
ー O,
× 曽 よ \尉
∈ ∈)
嘲 躍 髄 4 3 2 1 o o 摩 擦 速 度 翫14m /s ●一
一
一 ●£
:
::
=こ
金
2.
1 3.
2 図26SPHC
, SAPH45 の 比 摩 耗 量 し,
個 数 を減ら す と歯数 差 が減 少し 二つ の 内歯車の モ ジ ュー
ル,
ピ ッ チ円 が近似し,
噛み合い は滑 らか に な り遊 隙は減る。 (3) 不 思議 歯 車の各 歯 車の形状 測 定 結 果は,
設計 値 に対 してぼ らつ い てい るこ とを 示 し,
加工上の精 度に問 題がある。 (4
) 不思 議歯 車の デバ イ スに お い て加工精 度と遊 隙 お よ び操 作 力の関 係を み ると,
加工精度の 高い 歯 車 を 組 み込ん だ もの程遊 隙は増え る が操 作 力は減 少 する。(
5
) 機構が 逆転せずロ ッ ク状 態に な るの は逆転負荷 が遊 星 歯 車の歯 先に対 する剪 断力となると考え るの が一
般 的である。 (6) サ イ ク ロ 減 速機 構の デバ イス は最 大の減速比を 得られる歯数差と なっ て い る。 さらに減 速 比 を 大 き くす るに は両 歯 車の歯 数 を 増やせ ばよい 。(7>
サイ クロ 減速機 構の歯形は 必要 以 上に修 正 を行 っ てい る。 (8> モ ジ
ュー
ルの小さい歯 形を使 用 するこ とで,
偏 心 量 を 減少さ せ るこ とができ, シー
ト の揺 動 を少な くで きる。 (9} 熱 間 圧延 鋼 板SPHC
を 用い たラ ッ チ式デバ イ ス の製 造工程が組 織に及 ぼす影響は,
第3
工程で の歯 数 の成 形時に おい て生 じ た ク ラ ッ クは前工程の歯 形 成部 絞 り時の残 留 応 力に よる もの と判 明し た。 これ は焼な ま し 処理の適正 な 温度と時 間に より解 決で きる。 つ ぎに,
素 材で生じ てい た表面 部の結晶粗大 化 層は中心部の結 晶粒 をそろえるか,
微 細 化の 方 向に もっ て い くこ と が望 まし い 。 そ うで ない と最 終 熱 処 理工程の表 面 硬 化 層に認め ら一 25 一
湘 南工 科大 学紀要 第 25 巻 第 1 号 の 寸 工 」 《 u励 ∪ 工 店 の ゐ ー 議 駆 丶 如 螂
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思 萎 瞳 篥 彊 e 灘 購 裂 嶷6
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26一
僑 車に関 する研 究 第
1
報 (田 辺 明・
平 綿勝彦・
露 木 光 夫・
浜 松 茂 徳・
岡田雅 博 ) の 呼 = 」 く の Q = 氏 の 奉 亠 奉 鳳魯
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湘南工 科 大 学 紀 要 第 25 巻 第 1 号 れ た ように粗い マ ル テ ン サ イ トの形 成とい う非 常に好ま しくない状 態につ なが り, 最終工程の 目的で ある耐摩耗 性に必要な最 高硬さ を得る ことが 困 難にな る