Shonan Institute of Technology
NII-Electronic Library Service Shonan 工nstitute of Teohnology
MEMO 【RS
OF
SHONAN INST匸皿rTE
OF
TECHNOLOGY
Vnl 34
,
N〔,.
1,
ZXX)希
土
類
系
酸
化 物 超 電
導
体
に
お け る
磁
束
グ
ラ
ス
転 移 付
近
で の
交
流 帯
磁
率
の
周
波
数 依 存 性
福
崎
智
数
*・
筑
本
知
子
* *・
井
上
和 男
**荻 原
宏
康
* **・
村
上
雅
人
**Frequency
Dependence
ofAC
Magnetization
in
RE
−
Ba
−
Cu
−
O
Superconductors
Near
the
Vortex
Glass
Transition
T
(〕mokazuFuKuzAKI
,
Noriko
CHIKum10TO
,
Kazuo
INouE
,
Hiroyasu
〔)GlwARA andMasato
MuRAKAMI
The
measurernent 〔〕fAC
susceptibility was pe ormed for RE−
Ba−
Cu−O
supercQnductors to study the vortex glasshquid
transition.
CriUcal
scaling relation wasderived
from
thefrequency
dependence
of susceptibihty ω.
The
vortexglass
・
liquid transition telnperature Tg and the critical exponent (vand z)was determinedfrom
two dfferent models :the vortex glass−
liquid transition model and the depinning rnDdel.
We perforrned s(valing analysis using these two models.
By
comparing the critical expollent obtainedfr
〔}m these models,
wefomd
that the phase transitionline
exists nearby theirreversibility
line
.
The
analysisbased
on the vortex glass−liquid
transition model suggest that thefluxoid
behave
as of two−
dimensional system.
L
は じ め に 高 温 超 電 導 体の 磁 気 相 図 ヒで、
2次の 相 転 移で あ る 磁 束グ ラ ス液 体 転 移 (VG !VL 転 移 )が存 在 す ること が知ら れてい る。
この 相転 移は不可逆線の起 源であ る と考えら れて い る。 し か し な が ら松 ドら ])に よ る と、
相 転移のモ デル を 使 わな くて も磁 束ク リー
プ.
磁 束フ ロー
の モ デ ル (depinning
model )を使 っ て不 可 逆 線の温 度 依 存 性は説 明出 来る と されてい る。
もし2次の 相 転 移 が 本 当に起 こっ てい る な らば,
交流 帯磁率 (x=x
’
+i
κりの解析か ら求 め ら れる臨 界 指 数 (v,
a)を 使っ て の ス ケー
リング関 係 式が 成り立つ は ずで あ る、
そこ で私た ちは交 流 帯 磁 率 計に よ る交流磁化の周波数依存性 を測定 し,
そこ か ら求ま る臨 界指数 を 使っ て ス ケー
リン グ を 行っ た。
臨 界 指 数は VG(几 転 移モ デル とdepinningモデ ルの 2種 類の 方 法で 計 算 し た。depinning
モ デル で は臨 界 電 流 密度f
、=O
の温 度 を 転 移 温 度 T と し た。 一・
方 VG !VL モ デ ル で は * 大 学 院工学 研 究 科 博 士 前 期 課 程 電 気工学 専 攻 ** ISTEC一
超 伝 導工学 研 究所 * ** 電 気工学 科 教授 平成 ll年 11月2H 受付1
(π一
釧丁一
τ=
π一
ar(rtan(X
’7x
’ )で与え られる周 波 数に依 存 9 しない位相か ら 転 移温度 7「
g を 決 定 し た 2)。
2
.
実 験 今 回 実 験 で用い た試 料はOCMG
法で 作 製 さ れたNd
α33E 馬33Gd α33Ba2Cu3 ()7〔NEG123
)で ある。
NEG123
は高い 臨界 電 流 密 度 を持つ こ と が 知 ら れ てい る 3)
.
,
私た ち は Gd211 第 2相が 20 mol % 含まれてい るもの を 使 用し た.
試 料の サイズ は0,
99
×.
91
×O.
71 [mm3 ]で あ る。
また臨 界 温 度Tc
は92
K
である。
交 流 磁 化の 測 定に は交 流 帯 磁 率 計 (Lake Sh re 7000Series
)を使用 し た。 私た ち は ズ の ピー
ク付 近の 交流 帯 磁 率(x’
,
x”
)を 測定 した。
直 流 磁 場は 2.
5T か ら7T の 範 囲で印 加 され,
加え た交 流 磁 場の 周 波 数は 100Hz か ら2kHz で あ る。
3.
結 果と考
察 図 1は印 加 磁 場 4T での 位 相 (π一
θ)の温 度 依 存 性で あ る。
転 移 温 度 Tgで位 相 (π一
θ)が周 波 数に依 存しない事が わか る。
位 相 角は175.
78°
で あっ た。
こ こ で,
Tgで の位 相 角は次の式で与え られる.
87
N工 工一
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湘 南工科 大 学紀 要
第
34
巻第
1
号1
(π『
θ)IT
−
T、
= {π一
(π/2)[1/(k )]}2 は動 的臨界 指 数で あ る
。
こ の 関係 式か らz=
10.
66が 得られ る。
図2
は印加 磁場 4T の 時,
挿入図に示 さ れる帯 磁 率の 大 きさIX1
の 周 波 数 依 存 性 をス ケー
リ ン グ 関 数 177 176.
5 671(
切 Φ 」 O3O
−
k5571 175 81 81.
5T (K) 82 図1
4T
での 交流帯 磁 率の 位 相 対 温as
T
82.
51
x
。、±(瓜)1
でス ケー
ル し たもの で ある。
こ こでx
. とfsc
はVGIVL
転 移モデル か ら次の ように 与 えられる。 恥 (r
κ11
一
σγ7P
I
−
vme yf
.−
fl
1−
(Tl
Tg
)1
−
va こ こ で 撫 + と 撫.
はそ れ ぞ れ,
T
>Tg
とT
くTg
の時のス ケー
リング関数で あ る。
vは静 的 臨 界 指 数である。 これ ら の計算か ら Tg=81.
83K ,
v≡1
を得た 。図
3
は臨 界 電 流密度/c の温 度依 存 性で あ る。
臨 界 電 流 密 度はSQUID
磁束計 を使っ た直 流磁 化 測 定か ら求め た。
depinni モ デル で はJc
の温 度 依 存 性 は 次の 式で与え ら れる4)。
」。
=
=
(Tg− T
)2v こ の式において は,
」,≡
Oの 温度をTg
とし た。
臨界電流 密 度はJ
。 =100
[A
/勹
以下 をJc
=
0 と みなした 。 これ よ りTg=82.
5K を 得た。
ま た 図3
を見る と,
/!
、
lzav)対 T が直線 的に ゼ ロ に近づ く。
し た がっ て この プロ ッ トよ りv≡L3
を得る。
こ の 静 的臨 界 指数での ス ケー
リング は 図4
に示 す。
VG
肌 転移モ デル で 計 算した臨界 指数は v=
1, z=
10.
66
で あっ た。一
方depinni
モ デル で は v≡
1.
3,
z=
5で あっ た。
静的 臨 界 指 数 は 両モ デル とも近い値 を得た。
し か し N 丶 二一
( 。 ト \ ト ) ー H一
潔10
1
0
.
1
0
.
Ol
0
.
00110171019102110231025tO2710291031
一
レ Zfl1
−
(T
/Tg )1
図 2ス ケ
ー
リ ン グ関 数1
X
. ± (Ctf
.)1
でス ケー
ル さ れ た 4T で の 臨 界領 域 挿 図 :帯 磁 率の周 波 数 依 存 性。
一 88 一
N工 工一
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希土類 系 酸 化物 超電導 体に お け る交流 帯磁率の周 波数依 存性 (福 崎
・
筑本・
井上・
荻 原・
村上) 動 的臨界指数は大き な違いが見ら れ る。
depinni
モデル を 使っ て の臨 界 指 数の 計 算は不 可 逆 線 を 相 転 移 線 と考え てい る。
し か し.
もし相 転 移 線 が 不 可 逆 線 よ り 下に存 在 するな らば,
本 当の 相 転 移 曲線を よ り高 く (高温,
高磁 場側に) 見 積 もっ てい る 事にな る。
ピンニ ングカは高 温,
高 磁場側になる ほ ど 強 さにば らつ き が 生 じる。
こ こで,
動的 臨 界 指 数 z は ピン の 強さの分 布が広い ほど 小さくな る。
した がっ て,
不 可 逆 線 を 相 転 移 線と み な し た場合,
結 果と し て臨界指数が小さ く見 積も られる。
その た め,
観測さ れた違い はdepi
皿 ingモ デル で の Tgの過 大 評 価 を 示 すものだ と 考 えられ る。
60
50ミ
責 40墨
ミ 30 ≦ざ
20 10 076 77 78 79 80 81 82 83 84 T 図3f !
lne v)の 温 度 依 存 性 動的 臨 界 指数 z は 磁束ピンニ ン グ の強さ に大き く影 響 されるこ と が知られて い る。
先に も述べ た よ うに,
ピン の強 さの分 布 が 広い ほ どzの値 は 小 さ く な る5)。
微 細 構 造の 研 究に よ れば,
NEG123 超 電導体の ピン ニ ン グセ ン ター
はラ ンダムに 分 布し てい るS)。
こ の よ うな系で はモ ンテカル ロ シ ミュ レー
シ ョ ンによ る磁 束 分 布の 解 析がな されて い る6)。
特に VG 〆VL 転 移モ デル で得 られた臨 界 指 数の値(v‘
1,
z=
・
10.
66
)は,
モ ン テ カル ロ シ ミュ レー
ショ ン によっ て得られる計 算 値,
特に異 方 性の大 きい 2次 元 的な磁 束 構造を 持つ 材 料 系の値に似て い る。
し か し な が ら,
2
次 元 的 な 磁 束 構 造の相 転 移は今 回 使 用 し たよ うな 異 方 性の 小さい 試 料で 起こ り うる可 能 性は低い。
こ の 臨 界指数の説明と し てNEG123
超 電 導体の ピンニ ン グ カの 分布を考慮する 必 要が あ る と思 わ れる。
NEG123
超 電 導 体は2T,
77
K でSO,
000[Aノ 勹もの 大き な臨 界 電流密 度 を 持つ 優れ たピンニ ング特性を 示 す。
これは ピンニ ン グ セ ン ター
と な る第二 相(Gd211
相)が超 電導相 内に微 細 分 布 し てい る た め で あ る 3} 。 その た め,
ピン の 強さ が臨 界状 態 まで安 定して存 在 す る と 考 え ら れ,
z の値が大きくな る と 考 え ら れ る。
一
方,
不 可逆 線が相 転 移 線で あると考 えた場合,depinning
モデル に よ るzの値は磁 束構 造が3
次 元 的で ある場 合に似て おり,
既に調べ られて い る Y 系 材 料などの 結果と一
致 す る。
これは depinningモ デル か ら計算し た臨 界 指 数によりVG
肌 転移モデル のスケー
リ ン グ 関 係 式が成 り 立つ こ とか ら 不 可 逆 線 (depinning曲 線 )が相 転 移 曲線である可能性が 考 え ら れ る。
10ミ
毛奄
く 0,
1b止
N O,
01 0.
OO1 1011101210i3 tO14 10151016 1017101s一
ソ 1 fl1−
(丁/Tg )} 図44T での ノ 。の温 度依 存性か ら得られた臨 界 指 数で の 周 波 数
一
帯 磁 率 曲 線の ス ケー
リ ング89
N工 工一
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湘 南工科 大 学 紀 要 第
34
巻 第1
号4
.
ま と め 高 温 超 伝 導 体の磁 気 相 図 上 に 存 在 す る磁 束 グラス液 体 転 移 (VGfVL 転 移 )の観 測 を 交 流 磁 化 を 使っ て行い,
相 転 移 を 決 定する臨界 指数の値を2
つ の モ デル (VGIVL
転 移モ デル,depinning
モ デル )で検証 し た。 そ の結 果,
VG
!VL
転移モデル で の臨 界 指 数が2 次元 的な磁 束の相 転 移 を 表 す 値 を 示 す 事が明 らか になっ た。
また,depinning
モ デルで計 算 され る臨 界 指 数の値からt 不 可 逆 線で のde−
pinningが相 転 移で あ る 可能性が 示 さ れ た。
今後は他の材料 系に おいてもVGAJL
転 移 を観 測し,
こ の相 転移の メ カニ ズム を 明 らか に し てい く必 要があ る。
参 考 文 献1)
Matsushita
,
T ,
N
Ihara
and TTbhdoh,
preprint ofCEC [CMC
,
Columbus,
1995。
2) Reed,
D
S
,N −C、
Teh
,W
Jiang
,
U
Kriplani
,D
A .
Beam
and
F
Holtzberg
,
Phys.
Reu
B ,
49 ,
4384,
1994,
3
)For
example,
Muralidha蔦M.
就 畆,
Physi‘a C,
313,
232,
1999
.
4) Matsushita
,
T,
M
Kiuchi
andK .
Noguchi,
襁 ys加C,
290 ,38,1997.
5
)Matsushita
,
T ,
T
T
〔}hdo
andN.
Ihara
,
PhysiSaC
,
259,