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参 考 図 書 紹 介
古 きをたずねて新 さを知 る
スズメバチを食べる-昆虫食文化を訪ねて-.松浦
誠.2002北 海 道 大 学 図 書 刊 行 会 322 pp.
ISMN4-8329-733ト2.定価 2,600円 (税別)
「海か ら遠 く離 れた山村 の人 々がハ チの子 を
食べ るということは,食事の基本であるその地
域 で取れ るものを食べ るということだろう. 日
頃食べ馴れていた ものは,年 をとってか らも懐
か しい風土の思 い出と して蘇 る (本文 より)」.
これまでのハチの生態 にスポ ッ トを当てた著
書 とは異 なり,本書ではよ り人間 とハチとの関
わ りを中心 に,著者 の経 験 と見聞 を活 か して
「スズメバチ会」を紹介 している.スズメバチ食
に関 して ここまで詳 しく書かれている本 は,今
までなか ったのではないだろうか.
「昆虫食」と聞いて,大体の方,特 に若 い世代
にはなかなか受 け入れ難 い ものがあるだろう.
しか し冒頭の本文か らの引用 に もあるように,
昆虫食は貴重 なタンパ ク質源 と して,特 に海か
ら離れた山村地帯で今で も伝統料理 として受 け
継がれている.本書 はそのよ うな文化を知 るた
めの この上 ない情報 を提供 して くれる.
本 書 は全10章 で構 成 され て い る.第 1章
「食用 としての昆虫」では,日本 における昆虫食
文化 を イナ ゴや ガム シな どの他 の昆虫 も含 め
て,江戸時代か ら現代 にかけて解説 している.
第2葦 「日本 にお けるスズメバ チ食 とその歴
史」では, 日本 のスズメバチ食の歴史 と各地 に
おける-チ料理 を,第3章 「ハチの子の流通 と
市場」では,長期 にわた る市場
の価格変動や-チの子 の商品化 による市場流通への影響などを
細か く記 してある.第 4章 「食材 としてのハチ
の子」では,食用 とされている-チの子 の種類
をあげ, それ らの食材 と しての価値を栄養学 な
どの視点を含めて他の食材 と比較 している.第
5章 は 「外国の-チの子食」 とし,著者 の経験
を中心 に東南 ア ジアに広 く伝わるハチ食文化を
中国, タイ, イ ン ドネ シアなどの国の例 をとり
あ げ て紹 介 して い
る.第6章 「どうや
って巣 を見 つ け る
か」 には, 日本各地
で行われている
「-チ追 い」や 「透か し」
の技法が紹介 され,
巣の発見か らその採 望
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集 にいたるまでの過程が解説 されている. 第7
章 「巣探 りの悲劇」では,ハチ毒 によるアナフ
ィラキ シー ショックとその実例を取 .り上 げて,
決 して侮 るべ きでない- チ毒の恐 ろ しさを警告
す る.第8章 「-チを飼 う」は,飼育の歴史か
ら始 まり,各地 の愛好家 らの巣箱や餌の工夫 を
中心 に- チを飼 う楽 しみ を紹介す る.第9章
「天敵 としての保護 と利用」には,天敵利用の点
か ら行われているクロスズメバチ保護が静岡県
の茶畑での例をあげて紹介 されている.最終第
10章 「ハチ食か ら地域お こし-」では,スズメ
バチ食の盛んな地域 における-チを取 り上 げた
新 しい地域 お こし事例が紹介 されている.
流通の便が発達 した現在の 日本では,山村地
帯で も容易 に海の幸 を手 に入れ ることができ,
どこへ行 って も同 じ味の料理 を口にす ることが
で きる. そのため伝統的で地域性の強 い食文化
は薄れて しまっている. そ うした食の均一化の
進む中で育 った世代 にとって,「-チの子料理」
はある種 の新鮮 ささえ感 じさせ る.
残念 なが ら私 はハチを研究 していなが
ら,-チの子の料理 を口に した ことは数える くらい し
かない. それ も本書 に紹介 されているよ うな料
理ではな く,簡単 に妙めた程度の ものである.
以前,近所の百貨店で- チの子の ビン話が売 っ
ていたの ことがあ ったのだが,物珍 しく眺めて
いただけだ った. こんど見つけた時 は必ず購入
しようと思 う.本書 を読 んでそ う思 った.
(岡本 明久)