介護保険施設の認知症高齢者 の事前意思 を尊重 した
終末期看護介入方法の開発
平成
21年
度∼
23年
度
科学研 究費補助金
(基
盤研 究
(C))
研究成果報告書
(研
究訓と
題番号
21592909)
平成
25年
3月
研究代表者
渡 辺
み ど り
(長
野県看護大学 看護学部 教授
)は しがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・1
目
次
Ⅲ.長
野県の介護老人福祉施設 の終末期 ケア体制 の特徴 一看敢 りへの対応 に焦点をあてて一・・・・・・・・・・・・・・・・・I.介
護老人福祉施設 にお ける認知症高齢者 の終末期 ケア上の困難 とケア方法 ―施設 内での看取 り割合 に よる比較 ―・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・8 Ⅱ.介
護 老人福祉施設 での終末期 にお け る対応 方針 と施設 の体制 一終末期 ケアの取 り組 み の有無 に よる比較 ―・・・ ・・ ・・ ・・・ ・・・・・・・14 ・・・27
Ⅳ.介
護老人福祉施設での認知症高齢者 の終末期 における事前意思を支 えるケア内容 と方法 ―長野県内介護老人福祉施設 の特徴 ―・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
V.高
齢者施設 にお ける認 知症 高齢者 の終末期 ケア方法 ―平成24年
9月 期 日 高齢者 ケア看護研 究会研 修会 ―・・・・・・・・・・・・56
資料:成
果発表一覧,調
査用紙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75
は しが き
わが国で は、高齢 人 口の急速 な増 大 とともに認 知症 高齢者 数 も増加 し、認 知症 ケ ア が 高齢者 政策 の 中心的課題 となってい る。 介護 老人福祉施設 は現在 5500、 介護 老人保 健 施 設 は3400を
越 え、利用者 の介護 度 の重度化や 医療依存度 の上昇 へ の対応 と ともに、利 用 者 の終末期 ケアヘ の対応 が求 め られ て い る。近年 の調 査 に よれ ば、介護 老 人福祉施 設 利 用者 の9割
以上 が認 知症 を有 し (厚生労働 省,2004)、 施設 内死 亡 の増力日が予測 され るに もかかわ らず 、 これ に対応 す る看 取 リガイ ドライ ンを整備 してい る施設 は1割
に とどま ってい る (医療経 済研 究機構,2003)。2007年
10月 には、厚 生労働省 に よ り、「終末期 医 療 の決 定 プ ロセ スに関す るガイ ドライ ン」が提案 され 、基本 的 な考 え方 や 本 人 、家族 と 医療 、ケアチー ムの話 し合 い と合 意 が強調 され てい るが、事前指示 (advanced directive) が最 終 的 に高齢者 の意思 が終末期 医療 に反 映 され た ものは、わず か3∼5%に
過 ぎない(井 口,2006)。 こ とに認知症 高齢者 の場合 には、意思決 定 の合意形成 プ ロセ ス の あ り方 、事 前意 思 を どの よ うに把握 し終末期 ケア に反 映 させ て い くかな どの口果題 が残 され てい る。 高齢者 に とつて最大 の課題 で あ る 「生 の終結 」 を支 えるこ とは老年看 護 に課せ られ た 重 要 な使 命 で あ るに もかかわ らず 、 日本 の認 知症 高齢者 の終末期 ケアや 終 末期 医療 は高 齢者 の意 思 を充分反 映 してい る とは言 いがたい。 そ こで、認 知症 高齢者 の終 末期 ケ ア に い か に高齢者 自身 の意思 を反 映 させ てケア を行 うか、その具体的 な看護 方 法 を明 らか に す る こ とを 目的 と して本研 究 を行 つた。 筆者 らは、平成20年
度 「介護 老 人福祉施設 にお け る認 知症 高齢者 の事 前意 思 を尊 重 し た終 末期 ケ ア調 査 」 を行 い全 国介護 老 人福 祉 施 設1135施
設 よ り回答 を得 た (回H又率 21.6%)。 認 知症 高齢者 の終末期 ケア に対 して、施設独 自のケア指針 を持 つてい る施 設 は11%で
、看護 管理者 は、「職員 教 育 が不十分」、「具体 的 な方法 が不 明確 」 な どの困難 を抱 えて い る こ とが 明 らか とな った。 この よ うな経緯 にか ら本研 究 「介護保 険施 設 にお け る 認 知 症 高齢者 の事前意思 を尊重 した終末期看護介入 方法 の開発 」 に着 手 した。 本報告書 では、全 国1135の
特別養護 老人 ホー ム にお いて実施 して い る具体 的 な認 知症 ケア の方 法 と内容 に関す る質 問紙調査結果 の分析 を行 い、「認 知症 高齢者 の終 末期 にお け る対応 方針 と施設 の体制 」「認 知症 高齢者 の終末期 ケア上 の困難 とそ の対 応 方法」「長 野 県 の介護 老 人福祉施設 の終末期 ケア体制 の特徴 」「認 知症 高齢者 の終末期 にお ける事 前意 思 を支 え るケア内容 と方法 ―長 野 県 内看護 老人福祉 施設 の特徴一 」 につ い て報告す る。 さ らに全 国22か
所 の施設看護 管理者 へ のイ ンタ ビュー行 つた結果 の一部 の概 要 を説 明す る。 研 究代表者渡辺 み ど り
研 究課 題
介護保険施設の認知症高齢者の事前意思を尊重 した終末期看護介入方法の開発
平成21年
度∼23年
度 科学研 究費補助金 (基盤研究(C),研
究課題番号 :21592909)研 究組 織
研究代表者 :渡辺み どり
(長野県看護大学 看護学部 老年看護学分野
教授
)分担研究者
:百
瀬由美子
(愛宍
H県立大学
看護学部
老年看護学
教授
)千葉真弓
(長野県看護大学 看護学部 老年看護学分野
准教授
)多賀谷昭
(長野県看護大学 看護学部 里山 。遠隔看護学分野
教授
)細 田江美
(長野県看護大学 看護学部 老年看護学分野
助教
)曽根千賀子
(長野県看護大学 看護学部 老年看護学分野
助教
)松澤有夏
(長野県看護大学 看護学部 老年看護学分野
助教
)交付決 定額
(配
分額
) 総 計 平成23年
度 平成22年
度平成
21年
度
3,200
800
700
1,700 直接経 費960
240
210
510
間接経費4,160
1,040910
2,210
合 計日本看護福祉 学会誌 詭1.15 No.2,99‐■
0(2010年
3月 )介護老人福祉施設における認知症高齢者の終末期ケア上の困難 とケア方法
―施設内での看取 り割合による比較一
渡辺 み ど り,千
葉真 弓,細
田江美,松
澤有 夏,曽
根 千賀 子 要約 施設 内での看 取 り割合 が異 な る介護 老人福祉 施設集 団 にお いて、認 知症 高齢者 の終 末期 ケア上 の困難 、ケア内容・ 方法 の違 い を明 らかにす るこ とを 目的 に、全国
5249施
設 の看護 師長 を対象 と して 自記式質 問紙調査 を行 った。1137施
設 か ら回答 が得 られ (回収 率21.7%)、 有効回答 は968(有
効 回答 率85.1%)で
あつた。 施設 内の看 取 り割合40%以
上群 と40%未
満群 で χ2検 定 に よ り比較検 討 した。40%未
満群 で は医師 ・看護 師体制 な どの 困難 を有意 に高割合 で抱 えていた。施設 内で の看 取 り が40%以
上群 は、40%未
満群 よ りも、「高齢者 の意 思確認 」について、媒体 、時期 、聴 取 の仕 方 、 聴 取 の回数 な どに配慮 して高割合 で実施 してい た。40%以
上群 では、代理決 定す る家族 に対 して、 看 取 りに関す る具体 的 な情報や選 択肢 の提供 な どが高割 合 で実施 され ていた。 以上 か ら、認 知症 高齢者 の終末期 ケアの意思確認 に必要 な手順 と、代理決 定者 とな る家族 へ の支援 の あ り方 に示唆 が得 られ た。 キー ワー ド :認 知症 高齢者,
終末期 ケア,
介護 老人福祉 施設1.は
じめ に わが国では、近年 、高齢人 口の急速 な増大 とともに認知症高齢者数 も増加 し、認 知症 ケアが高 齢者 政策 の 中心 的課 題 とな つてい る。 こ とに介護 老人福祉 施設 は現在5500を
越 え、利 用者 の介 護 度 の重度化や 医療 依存度 の上昇へ の対応 とともに、利 用者 の終 末期 ケアヘ の対応 が求 め られ て い る。近年 の実態調査 によれ ば、介護老人福祉施設利用者 の96.0%が
認 知症 を有 し1)、 施設 内死 亡の増加 が予測 され るに もかかわ らず 、 これ に対応す る看 取 リガイ ドライ ンを整備 してい る施設 は少ない ♪。2007年
10月 に厚生労働省によ り、「終末期医療の決定プ ロセスに関す るガイ ドラ イン」が提案 され、基本的な考え方や本人、家族 と医療、ケアチームの話 し合い と合意が強調 さ れている。 しか し現実には、認知症高齢者 の場合 な どの意思決定の合意形成プロセスのあ り方、 本人 と家族に対す る意思決定支援方法は確立 してお らず、これ らは介護老人福祉施設の終末期 ケ ア体制整備 の障害 となつている。 近年の認知症高齢者の終末期 医療については、欧米ではすで医学的、看護学的、倫理的な らび に医療経済学的観点か らさまざまな議論が行われ、終末期患者 には積極的な延命治療 を避ける傾 向もある3)。 日本の高齢者の終末期医療に関す る調査 ゆによれば、事前指示 (advanced direct汁e) は、主治医の35%が
されていない と回答 し、最終的に高齢者の意思が終末期医療 に反映 された も日本看護福祉学会誌Vol.15 No.2,99‐ ■
0(2010年
3月) のは、わずか3∼5%に
過 ぎなか つた とい う。 日本 にお け る高齢者 の終末期 ケアや 終末期 医療 は高 齢者 の意思 を充分反映 してい る とは言 いがたい。 一方 、これ までの認 知症 高齢者 ケアに対す る研 究は、行動障害への対応 、ADLや
コ ミュニケー シ ョン能力の評価 、あ るいは家族 の困難 な どに焦点が 当て られ て きた5)。 高齢者 に とって最大 の 課題 で あ る死 を支 える こ とは、老年看護 に課せ られ た重要 な使命 であ るに もかか わ らず 、認 知症 高齢者 の終末期 ケアの問題 は高齢者 全般 のそれ に内包 され たまま、充分 に議論 され て こなか った。2.研
究 目的 本研 究 は認 知症 高齢者 が尊重 され る終 末期 ケアを 目指 し、介護 老人福祉 施設 の施設 内の死 亡割 合 が異 な る集 団 において、認知症 高齢者 の終末期 ケアで抱 えてい る困難 、実施 して い るケ ア内容 お よび方法 が どの よ うに異 な るのか を明 らか にす るこ とを 目的 と した。3.研
究 方 法1)デ
ー タ収集方法WAMネ
ッ ト上 で施 設名 と住所 が確認 で きた全国の特養5249施
設 の看護 師長 に対 して 、2008 年 8月 20日 ∼9月 20日 に研 究 の趣 旨 と倫理 的配慮 を説 明 した書 面 と質 問紙 を郵送 に よ り配布 し た。2)デ
ー タ収集 内容 (1)質問紙 の構成 施設 の規模 、要介護度別入所者数 、職 種別 人員数 、夜 間の看護 体制 、過 去一年 間 の場所別 (当 該施設 内、病院 、 自宅 、その他)死
亡者数 、死亡診断の方法 について数値 を記入す る形式 で構成 した。加 えて、「終末期 ケアで抱 えてい る困難」9項
目、「施設 で実施 してい る終末期 ケア内容 と 方法」 に関す る20項
目につ いて該 当の有無 を問 う形式 に よ り構 成 した。 (2)「終末期 ケアで抱 えている困難」 と「施設 で実施 している終末期 ケア内容 と方法」の項 目の作成過程 「終末期ケアで抱 えている困難」お よび 「施設で実施 してい る終末期 ケア内容 と方法」 に関す る調査項 目につ いて作成過程別 に表3及
び表4に
示 した。「終末期 ケアで抱 えてい る困難」 に関 す る9項
目は、平木 らpの
グルー プホー ムヘ の調査用紙 を参考 に、老年看護 学研 究者 5名で グル ー プデ ィスカシ ョンを行 い、介護 老人福祉施設 の特徴 を考慮 して作成 した。 「施設で実施 している終末期ケア内容 と方法」は、研究者 らが先に行つた「特養における終末 期ケアの事前意思決定に関つる看護職の困難 とその解決の方略」7181の質的研究結果に基づいた。 この研究結果の、認知症高齢者の事前意思決定支援に対する看護方略を説明する4カ テゴリー【多 職種の協働により具体的かつ個別的に意思確認 をする】【情報 と選択肢を提供 し家族の決定役割を 支えるI【状況に応 じて家族の気持ちの変化に対応する】【高齢者に代わ り家族が代行決定する視 点を援助する】とこれ らのサブカテゴリー (高齢者から意思確認できる場合は高齢者か ら、でき ない場合は家族か ら確認する)(多
様な方法で意思確認する)(選
択肢 と情報を提供する)(家
族に 時間的ゆとりを配慮する〉(家族に意思決定役割を意識づける)(変
化 し得る家族の気持ちを尊重 する)(高
齢者の最善 と尊重の視点を助言する〉(高齢者 と疎遠な家族の関係を調整する)に
基づ いて検討 した。ディスカションの際には1項
目が 1援 助内容により構成 されること、平易な表現日本看護福祉学会誌Vol.15 NO。2,99‐■
0(2910年
3月) に な るこ とな どに留意 した。老年看護 学研 究者 5名で グルー プデ ィスカ シ ョンを行 つた結 果 、「施 設 で実施 してい る終末期 ケア内容 と方法」に関す る20項
目が抽 出 され た。 さらに、 この20項
目 を文化人類学研 究者 1名 、生命倫理学研 究者 1名 、終末期 ケアの研 究実績 を持つ成人看護 学研 究 者 1名 に、研 究 目的 を説 明 して提示 し、項 目の内容 の妥 当性 に関す る助 言 、表現 上の助 言 を得 て 、 微 修正 した。3)デ
ー タ分析方法 項 目ご とに記述 統計 量 を算 出 した。 調 査集 団 の過 去一年 間の死 亡者数 に対す る当該 施設 内で の 看 取 り数 の割合 (以下 、施設 内看取 り割合 とす る)の 968施
設 の分布 を確認 した ところ、正規 分 布 ではなか った。そ こで 中央値 を確認 した ところ38.5%で
あ つた。 この値 を参考 に、施設 内で の 看 取 り割 合40%以
上 の施設群(n=477)と
40%未
満 の施設 群(n=491)の
2群
間で 「終 末期 ケ アで抱 えてい る困難」 に関す る9項
目、「施設 で実施 してい る終末期 ケア 内容 と方法 」 に関す る20項
目の回答割合 を比較 した。平均値 の差 の検 定 には分布 を確認 した上 で t検定 を、回答割合 の 比較 には χ2検
定 を用 いた。 統計解析 ソフ トは 表1 調査施設の終末期ケアに関する概要SPSSVer.15を
用 い、有意水準は5%未
満 と した。4)倫
理 的配慮 研 究協力者や所 属施 設 の匿名性 の厳 守 、研 究 協 力 の 自由、研 究協力 の有無 に よって不利 益 は ない こ とを説 明 した。 調査用紙 の返 送 を もつて 同意 が得 られ た もの と判 断 した。 得 られ たデー タは個人や施設 が特定 され ない よ うに処理 を行 い厳重に管理 した。本研究は長野県看護 大学倫 理審査委員会の承認 を得 て実施 した。4.結
果1)調
査施設 の概要 調査用紙 は、1137施
設 か ら回収 され た (回収 率 21.7%)。 そ の うち施設 の属性 、過 去一年 間 の場所別死亡者数 、「終末期ケアで抱 えてい る困 難 」お よび 「施設 で実施 してい る終 末期 ケ ア内 容 と方法 」 の項 目へ の記入 が得 られ てい る もの を有効回答 とみ な した。 その結果有 効 回答 は、968(有
効 回答 率85.1%)と
な った。調査施設 の概 要 を表 1に示 した。 (1)調査施設 の属性 調査施 設 の設 置 主体 は904施
設(98.4%)が
社 会福祉 法人 、次いで31施
設(3.2%)が
市町 村 立 であった。施設 定員 は平均71.4±26.4人 で あ った。併設施設 は、シ ヨー トステ イが929施
設(96.0%)と
最 も多 く、次いでデ イサー ビス 設置主体 社会福祉法人 医療法人 市町村立 広域連合 その他 未記入 入所定員 平均・標準偏差 併設施設 ショー トステイ デイサービス 訪問看護 訪間介護 100床あた りの看護師配直数 平均・標準偏差 入所者の平均要介護辰 平均・標準偏差 看取 り加算取得の有無 あり な し 準備中 その他 未記入 終末期ケア指針作成の状況 施設で独自に作成 した指針がある 独自の指針を作成中である 厚生労働省の通知 を目安に している 指針な し その他 未記入 過去一年間の死亡者数/100床 平均・標準偏差 過去一年間の死亡者数に占め る 施設内での看取 り割合 平均・標準偏差 n=968 施設数 (。/o) 904 (93 4。/。 ) 1(010/o) 31(32%) 15(16。/。) 12(12%) 5(050/。) 714±264人 施設数 (%) 929(960%) 781 (80 70/。) 40 (4 19る) 347 (35 80/。) 70± 33人 39±03 施設 数 (0/o) 515 (53 2。/6) 346(358。/O) 70 (7 20/o) 27 (2 89る) 10(100/o) 施設数 (0/o) 564 (58 30/c) 54(569/。) 157(1620/o) 113(117%) 22(22%) 58(600/。) 176± 80人 40 8=L32 996日本看護福祉 学会誌 詭1.15 No.2,99‐■
0(2010年
3月)781施
設 (80.7%)、 訪 問介護347施
設(35.8%)で
あつた。 施設 の100床
当た りの看護職 配 置数 は7.0±3.3人 と、法的規定の3人
を大 き く上回 つて いた。 入所者 の平均要介護度 は3.9±0.3で あつた。 (2)調査施設 の終末期 ケアの取 り組 み の概 要 終 末 期 ケ ア に 関連 した施 設 の特 徴 をみ る と、 看 取 り加 算 を取 得 して い る施 設 は515施
設 (53.2%)、 準備 中70施
設(7.2%)で
あ り、両者 をあわせ る と約6割
の施設 が看取 り加 算 を取 得 また は取得す る方向で施設運 営 され てい る現状 にあつた。 終末期 ケア指針 の作成 につ い て は、 施設 で独 自に作成 した指針 を持 ちてい る施設 が564施
設 (58.3%)、 作成 中が54施
設 (5.6%) で あつた。100床
あた りの過 去一年 間 の死 亡者 数 は平均 17.6±8.0人で あつた。過去一年 間 に施 設 内で看取 つた者 の割合 は、40.8±32.9(最小0∼最大100)%と
そのば らつ きは大 きかつた。2)施
設 内看 取 り割合 が異 な る2群
間 の比較 (1)施設 の属性 の比較 施設 内看 取 り割合40%未
満 群 と40%以
上群 の施設属性 の比較 を表2に
示 した。施設 の入 所 定 員 、入所者 の平 均要介護度 、100床
当た りの看護 職 員配置人数 で両群 に有意 差 はなか つた。 過去 一年間の死亡者数/100床
にお いては、施設 内看 取 り割合40%以
上群 が未満群 よ りも有意 に高か った (t=5,7,p<0.001)。 表2.施
設 内死亡割 合 の異 な る2群の属性 の比較 戸高1陛 施 設 内 死 亡 割 合 400/o以上 群 n=477 検 定 結 果 入 所 定 員 71 8=L29 2人 70 9二生25 5人 再二】]三=SD 入 所 者 の 平 均 要 介 護 度 平 均 士SD 100床あ た りの 看 護 師 配 置 数 ョ三挺]」=sD 過 去 一 年 間 の 死 亡 者 数/100床 再二均 士SD 施 設 内 死 亡 割 合 400/O未満 群 n=491 3 8± 0 3 69± 3 1人 16 2±7 6人 n s n s 3 9± 0 3 7 0±34人 n s 19 1=生8 1人 t =5 7, pく 0 001 (2)「終 末 期 ク ア にお け る困難 」 の特 徴 調査集 団全体 で、最 も終末期 ケア にお いて困難 と回答 した割合 が高 か つた項 目は、「職員 の心理 的負担 が大 きい」(53.3%)が
半数 以 上 を 占め 、次 い で 「看護 職員 の夜 勤 体 制 が整 って い ない」 (42,9%)、 「医師がす ぐにかけつけ られ ない」(38.9%)で
あ った。 「終末期 ケアにお け る困難」 について9項
目の χ2検定結 果 を表3に
示 した。施設 内で の看取 り割合 が40%以
上 の施設 は、40%未
満 の施設 に比べ 「医師がす ぐにか けつ け られ ない」、「医療機 器 がそ ろつてい ない」、「看護職 員 の夜 勤体制 が整 っていない」、「症 状 が急 に悪 くなつた時 に施設 では対応 しきれ ない」、「症状 が悪 くなった時に、す ぐに入院 できる保障がない」 と感 じて い る割 合 は有意 に低 か った。 6日本看護福祉学会誌Vol.15 No.2,99-■
0(2010年
3月) 表3.施
設 内看 取 り割 合 に よ る終 末期 ケア上の困難 の比較 n三968 調査項目 全体 施設内看取り割合 400/。未満の施設群 n=491 施設内看取り害!合 40%以上の施設群 n三477 χ2検定 結果 「はい」と回答 した施設数(%) 377(389%) 253 (26 1略) 415 (42 9略) 283 (29 2略) 257 (26 5陥) 516 (53 8%) 351 (36 3路) 269 (27 8路) 241 (24 9%) はいいいえ
はい
いいえ
χ2値 有意確率 I医師がすぐにかけつけられない 2医療機器が整っていない 3看護師の夜勤体制が整つていない 4看護師の配置数が少ない 5介護職員が少ない 6職員の心理的負担が大きい 7症状が急に悪くなった時には施設では対応しきれない 8症状が急に悪くなった時に、すぐに入院できる保障がない 9臨終にふさわしい居室環境が整つていない 234 145 234 145 122 254 194 120 132 143 108 181 138 135 262 157 149 109 318 56 54 04 14 09 45 55 19 *** * ** ns ns ns * * ns 料*:D(0001, ネキ:D(001 辛:Dく0 05 n s ino sittnificant ぢ'示す
料:p〈o∞1,料:pくo(ll,=p(0∝ n s irてl sittifi側止 鮎
(3)「認知症高齢者 の事前意 思 を尊重 した終末期 ケア内容・ 方 法」 の特徴 ① 調査集 団全体 の回答結果 調査集 団全体で、「認知症高齢者 の事前意 思 を尊重 した終末期 ケア内容・方法」の具体 的 な 内容 で 、最 も実施 され て い た項 目は、「
8.高
齢 者 の健 康 状 態 を家族 に具 体 的 に報 告 す る」(77.0%)で
あ り、次いで 「14.家
族 に意思決定 を求 め る場合 には家族 間で話 し合 つて決 め るよ うに促す」 (71.7%)、 「1,意
思確認 で きる場合 には高齢者 か ら、出来 ない場 合 には家族 か ら確認す る」(71.5%)と
いずれ も70%以
上の施設 で行 われ ていた。一方 、実施 され てい る割合 が低 か つた項 目は 「19.高
齢者 の意思 を実行す るよ う家族 に提案す る」 (5.7%)、 「6. 一見遠慮 しが ちな高齢者で も踏 み込 んで じつ くりと聞いて意思 を確認 す る」(9.8%)、 「8.高
齢者 が しっか りと してい る うちに意思確認 を行 う」(13.8%)で
あつた。 ② 「認知症 高齢者 の事前意思 を尊重 した終末期 ケア内容 ・方法」 の比較 施設 での看 取 り割合40%以
上群 と40%未
満群 の 「認 知症 高齢者 の事前意思 を尊重 した終 末期 ケア内容・方法」の χ2検 定結果 を表4に
示 した。「1.意
思確認 で きる場合 に高齢者 か ら 出来 ない場合 は家族 か ら確認 す る」、「2.書
面 を活用 して意 思 を確認 す る」、「3.高
齢者 が し つか りと してい る うちに意 思確認 を行 う」、「4.時
期 を変 えて複数 回意思確認 を行 う」、「5. 複数 の職種で意思確認 を行 う」、「6.一
見遠慮 しが ちな高齢者 で も踏み込んで じっ くりと聞い て意思 を確認す る」、「7.意
思確認 しやす い よ う信頼 関係 を充分 に築 く」、「8.高
齢者 の健康 状態 を家族 に具体的 に報告す る」、「9.高
齢者 の病状や様子 を理解 して もらうために家族 に来 所 を促 す」、「10,死
期 が近 くな つた場合 の看 取 りに関す る具体的 な情報 を提供 す る」、「11. 死期 が近 くなった場合 の看 取 り方に関す る選択肢 を提供す る」、「12.決
定に際 しては即答 を日本看護福祉学会誌Vol.15 No.2,99‐
110(2010年
3月) 求 めず時間的 ゆ と りを提供す る」、「13.高
齢者 に決定能力がない場合 には、家族 に決 定役 割 を意識づ ける」、「14.家
族 に意思決定 を求 める場合 には家族 間で話 し合 つて決 め るよ うに促 す」、「15.意
思決定に際 して気持 ちは変化 しうるもので あるこ とを伝 える」、「16.高
齢 者や 家族 の気持 ちの変化 に応 じて、その時 々の気持 ちを受 け止 め る」、「17.高
齢者 に とって何 が 最善か とい う視点 を家族 に助言す る」、「18.高
齢者 の意 向 を尊重す るよ うに家族 に依頼す る」、 「20.高
齢者 と家族が疎遠 な場合 には関係 の調整 を行 う」の19項
目において、施設 で の看 取 り割合40%以
上群が、40%未
満群 よ りも実施割合 が有意 に高か つた。「19.高
齢者 の意 思 を実行す るよ うに家族 に提案す る」の項 目のみ、2群
の実施割合 に有意差 はなか った。 表4
施設 内看 取 り割 合 に よ る「認 知症 高 齢者 の事 前意 思 を尊 重 した終 末期 ケア内容・ 方法 」 の比 較 n=968 「行つている」 と回答した 施設数(0/6) 693(715%) 514(53 1略) 134 (13 8鴇) 397(410的 259(268路) 95(98%) 453 (46 8%) 745(770的 622(642略) 618(638冊 642(663路) 581 (60 0げれ) 598 (61 8路) 694 (71 7%) 582(60 1路) 635(656粉 481(497%) 324(335%) 55(57路) 420(43叫) 施設内看取り割合 4096未満の施設群 n=491 施設内看取り割合 40%以上の施設群 n=477 χ2検定 結果χ
2値紀
量
全体 調査項目 1意思確認できる場合に高齢者から、出来ない場合は家族から確認する 2書面を活用して意思を確認する 3高齢者がしつかりとしているうちに意思確認を行う 4時期を変えて複数回意思確認を行う 5複数の職種で意思確認を行う 6-見遠慮しがちな高齢者でも踏み込んでじつくりと聞いて意思を確認する 7意思確認しやすいよう信頼関係を充分に築く 8高齢者の健康状態を家族に具体的に報告する 9高齢者の病状や様子を理解してもらうために家族に来所を促す 10死期が近くなつた場合の看取りに関する具体的な情報を提供する 11死期が近くなった場合の看取り方に関する選択肢を提供する 12決定に際しては即答を求めず時間的ゆとりを提供する 13高齢者に決定能力がない場合には、家族に役割決定を意識づける 14家族に意思決定を求める場合には家族間で話し合つて決めるように促す 15意思決定に際して気持ちは変化しうるものであることを伝える 16高齢者や家族の気持ちの変化に応じて、その時々の気持ちを受け止める 17高齢者にとつて何が最書かという視点を琢族に助言する 18高齢者の意向を尊重するように家族に依頼する 19高齢者の意思を実行するよう家族に提案する 20高齢者と家族が疎遠な場合には関係の調整を行う 行つて いる 308 211 43 152 111 36 191 342 270 243 266 243 261 304 250 267 191 129 21 195 行つて いない 183 280 448 339 380 455 300 149 221 248 225 248 230 187 241 224 300 362 470 296 行つて いる 385 303 91 245 148 59 262 403 352 375 376 338 337 390 332 368 290 195 34 225 行つて いない 92 174 386 232 329 418 215 74 125 102 101 139 140 87 145 109 187 282 443 252 376 40 2 20 7 40 8 83 63 24 3 29 2 36 4 87 6 64 7 45 2 30 6 46 34 5 54.6 45 5 22 5 36 52 *** *キキ *** キ** ** ホ* *** 半** *** *** *** *半* 半** *** *半キ *** 十** *** ns * *器lp(0001, **ipく001.*:pく 005,n s ino significant を示す日本看護福祉 学会誌 詭1.15 No.2,99‐■
0(2010年
3月 )5.考
察1)調
査施設集 国の特徴 本調査 は全 国の特養 の全数調査 に よ り得 た結 果で は ある ものの、回収 率 は21.7%で
あ つた。全 国集 団 を反 映 してい るか否 か に関 して、施設 の属性 、入所者 の要介護 度 、看護職 員 の配 置 につい て、全国の施設 を対象 とした平成18年
度介護 保 険施設調査 ″結果 と比較 した。本研 究 の調 査施 設 の属性 は、設置 主体 は904施
設 と93.4%を
社 会福祉 法人が 占めた。これ に対 し、介護 保 険 施設 事業所調査 では、91.0%と 近似値 であった。本調査 の施設規模 の平均 は 70.9人 で あつた。前述 の 同調査 で は、施 設規模 は入所 定員 の階級別 に示 され た統計結果 の平均 は 70∼80床
未満 の階 級 に 位 置 していた。 この よ うに、本調査集 団 は設置 主体、施設 定員 の点 にお いて全 国介護 老 人福 祉施 設集 団 と異 なった特徴 はみ られ なか つた。 入所者 の平均要介護度 は、本調 査 では 3.9であ り、全 国値 は 3.8と 近似値 であつた。 看護 職員 数 にお いては、本調 査 では平均7.0±3.3人/100床で あ り、平成18年
度 全 国介護施 設調 査結 果 か ら算 出 した 5.3人/100床と '“ べ看護師の配置数 は多かった。 以上 の こ とか ら、本調査 の施設集 団 は、設 置 主体 、施設 規模 、入所者 の平均要介護 度 において は全 国集 団 と類似 していた ものの、看護職員の配置数 が全国の施設 よ りも多い とい う特徴 があつた。2)施
設 内で の看 取 りと看護職 が抱 えてい る困難 施設 内の看 取 り割合40%未
満群 は 「1.医
師 がす ぐにか けつ け られ ない」、「2
医療機 器 が整 つ てい ない」、「8,看
護 師 の夜勤体制が整 ってい ない」、「7.症
状 が急 に悪 くな つた時 に は施設 で は 対応 しきれ ないJ、 「8.症
状 が急に 悪 くな った時 に、す ぐに入 院 で き る保 障 が な い」 と回答 した 割 合 が、400/0以上群 に比べ有意 に高かった。林 ら10は
、施設 内での死 の看 取 りの体験 事例 か ら、 看護職 が抱 えてい る困 つた こ とや ジ レンマ と して「嘱託医・介護職 ・後方病院 と連携 が取れ ない とき」、「利用者・家族 の意 向確認 の難 しさ」、「利用者 の意 向 を実現 できなか つた時」、「施設 内で 死 の看取 りをす るこ とへの疑問」 を報告 してい る。堀 内 11)は、特養 にお け る看 取 りが 困難 な理 由 と して、病院 が終末 の場所 で あ る とい う社 会 全体 の意識 、医師・看護 師 の夜 間休 日に不在 また は不足 してい るこ と、物的 医療整備 の不備 、地域 医療 との連 携 不足 、ス タ ンフの看 取 りに対 す る 恐れや知識 の不十分 さな どを指摘 してい る。本調 査 の看 取 り割合40%未
満群 の有意 に高 か つた 困 難 の項 目と比較す る と、緊急時 の 医師体 制 、看護 師 の夜 勤体制 、入院施設の確保 とい う点 にお い て一致 していた。 一方施設 内での看取 り割合40%以
上群 にお いては、 これ らの困難 へ の回答害1合は40%未
満群 よ りも有 意 に低 か つた。施設 内で の看取 り割合40%以
上群 にお いて は、施設 内で の看 取 り上 の困 難 に対す る具体 的 な対応や整備 が進 め られ 、そ の結果施設 内での看 取 り割合 が高 め られて い つた もの と推 察 され る。3)認
知症高齢者 の事 前意 思 の尊 重 とケア方法 本調査結 果 では認 知症 高齢者 の事前意 思決 定「19.高齢者 の意思 を実行す る よ うに家族 に提 木安す る」のみ に有意差 が認 め られ なか つたが、他19項
目にお いては看 取 り割合40%以
上群 の方 が有 意 に高割合 で実施 され ていた。 有意差 の あ つた項 目につ いて、そ の意義 と重要性 につ い て以 下に 論 じる。日本看護福祉学会誌Vol.15 No.2,99‐■
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3月 ) (1)高齢者 の意思確認 とその方 法 施設 内看取 り割合40%以
上群 においては「意思確認 で きる場合 には高齢者 か らで きない場合 は 家族 か ら確認す るJと い う順序性 を保 ち、「書 面を活用 し」、「高齢者 の意思が しっか りと してい る うちに意思確認 を行 う」、「一 見遠慮 しが ちな高齢者 で も踏み込 んで じっ く りと聞 くJ、 「意思確認 しやす い よ う信頼 関係 を充分 に築 く」 な どが行われ ていた。即 ち、必要 な媒体 、時期 、聴 取 の仕 方、高齢者 との関係 な どについて具体的 に考慮 され てい る割合 が高か った。加 えて、意思確認 は 「複数回行 う」「複数 の職種 で行 う」な どが高割合で実践 されてお り、頻度、職種 間の連携 とい う 視点 か らも高齢者 の意思確認 方法 が具体化 され てい る と考 え られ る。 (2)代理決 定す る家族 ケアの重要性 とその手順 施設 内看取 り割合40%以
上群 においては、「認知症高齢者 の事前意思 を尊重 した終末期 ケア内 容 ・方 法」 の家族 に働 きか け るケア項 目にお いて も、有意 に高割合 であった。 具体的 には、家族 に対 して 「家族 に来所 を促すJ、 「高齢者 の健康状態 を具体的に報告す る」 な ど、 日常的 な高齢者 と家族 の関係 の維持 に努 め、死期 が近づいた場合 には、家族 に 「看取 り方 に関す る具体的 な情報 を提供す る」、「看取 り方 に関す る選択肢 を提供す る」 な どをよ り実施 していた。 さらに、家族 の 代理決 定 に際 しては、「員Π答 を求 めず時 間的 ゆ と りを提供す る」「気持 ちは変化 し得 る もので ある こ とを伝 える」な ど家族 の立場や気持 ちに も配慮 していた。その一方で、「家族 に決 定役割 を意識 づ ける」、「家族 間で話 し合 って決 めるよ うに促す」 な ど、決定 に対す る動機 づ けや 家族 内での意 見の統合方法 な どに も介入 していた。 これ まで、施設入所認知症高齢者 の家族 は、生活 の全局面において代理決定す る問題 に直面 し てお り、それ を専門職 が支 えることの重要性 が強調 されてい る10。 Sarahlゆ は施 設入所認知症高 齢者 の終末期 に関わ る意 思決 定 につ いて、家族 は決 定役割へ の過 重負担 を感 じる一 方 で、 ケア提 供者 との コ ミュニ ケー シ ョン不足 も感 じてお り、 ケア提供者 の家族へ の支援 が なけれ ば意 思決 定 は一層 困難 にな る と指摘 してい る。 こ とに終末期 の意思決定には 「ゆ らぎを認 め、話 し合 う」必 要 が あ る151。 この よ うな特徴 を持つ意思決定 にお いて、その質が高 く保 たれ るためには、情報が 充分 であ るこ と、 目的 が明確 で あるこ と、選 択肢 が明確 であ る こ とが不可欠 とな るlD。 この点に お いて、本研 究の施設 内看取 り割合40%以
上群 においては、代理決定支援 に必要 な情報や選択肢 の提供 、時間的 ゆ と りや決定の緊張感 を和 らげ るな どの実施割合 が高かった。 これ らの内容 は、 施設 内での看取 り経験 を重ね るこ とに よって、施 設 内で具体的 で個別 的 なケア実践 とそ の評価 に よつて明 らかに され 、その結果 、実施割合 も高め られていつた と推察 され る。 (3)代理決 定 と高齢者 の尊厳 施設 内看取 り割合40%以
上群 においては、家族 の代行決定 にお いて 「高齢者 に とつての最 善 と い う視点 を助言す る」、「高齢者 の意向 を尊重す るよ うに促す」 とい うケアが よ り行 われ ていた。 そ もそ も尊厳 は、意 思能力 を有す る者 の 自己決定 がその原 点で ある17)。 しか し、認知症 高齢者 は、 終末期 には 自らの意 思 を表現 で きる能力 は失 われ る。 この よ うな状況 において、代理決 定 の内容 が、高齢者 にとって「善い」とい う観点は決定の倫理原則 となる。即ち、認知症高齢者 に とって、 終末期の生活がよ りよいものであるよ うに最大限の配慮が され るべ きなのである。 高齢者 の終末 期に対す る希望の構造には、その人の人生経験、家族、身体的状況な どが影響す る1♪。即 ち、高日本看護福祉学会誌 詭1.15 No.2,99-■
0(201_0年
3月) 齢者 が どんな人生 を歩 み、施設 内で どん な生活体験 を し、 どんな表情や 言葉 で 日常生活 の意 向 を 表現 して きたか とい う情報が、代理決 定者 には必要 とな る。 看護職 が 日常的 なケアで得 た この よ うな情報 を代理決 定者 に提供 す る とい う役割 を果 たす こ とに よつて、代理 決定者 は高齢 者 の意 向 を よ り浮 き彫 りにで きるので あ る。 終 末 期 医 療 に 関 す る 患 者 の 自 己 決 定 権 は 、1991年
に ア メ リカ でPSDA(Patient self
Determination Act)が制定 され 、2001年
に我 が国の老年 医学分野おいて、高齢者 の適 切 な医療 お よび ケアが充分 に受 け られ ていない とい う差別 をな くすべ く、「高齢者 の終末期 医療に関す る 日 本老年 医学会 の立場声 明」1)が
発表 され た。高齢者 の終末期 の人権 の尊 重 が 医療・介護 現 場 で注 目され るよ うに なった歴 史 は極 めて浅 く、2000年
以降 に本格 的 に取 り組 まれ て きた。特 養 にお い て も決 して例外 ではない。特養 に働 く看護職 が、その認知症高齢者 の生活歴 、 日常の些 細 な場面 で見せ る表情や言葉 、安寧 に感 じてい る場 面 を集積 して、認知症 高齢者 の価値観 や意 向 を尊重 し たケア を実践す ることこそが、認知症高齢者 の尊厳 を守 ることにつ なが る。6.結
論 本研 究は、「終末期 ケアで抱 えてい る困難 」、「施設 で実施 してい る終末期 ケア 内容 と方法 」につ いて全 国の特養1137施
設 か ら回答 を得 た。施設 内での看取 り割合40%未
満群 と40%以
上群 の2 群 間で比較検討 した結果 、以 下 の こ とが明 らか とな つた。1)施
設 内での看取 り割 合40%以
上群 では、医師体制・看護 師体制 、急 変時 の入院体制 な どに困 難 を感 じてい る割合 が、40%未
満 群 よ りも有意 に低 か つた。2)施
設 内での看取 り40%以
上群 では、「高齢者 の意 思確認Jにおい て、媒体 、時期 、聴取 の仕 方 、 聴 取 の回数 、高齢者 との関係 を考慮 して ケア実践 してい る割合 が、40%未
満 群 よ りも有意 に高 か った。3)施
設 内での看 取 り40%以
上群 では、 日常的 な高齢者 と家族 の関係維 持 、看 取 りの具体 的 な情 報 提供 、選択肢 の提供 な ど、家族 の代理決 定 を支 える実施割 合 が40%未
満 群 よ りも高 か った。<今
後 の課題>
今 後 の課題 と して、以下 の こ とが考 え られ る。1)本
研 究 は、施設 内看 取 り割 合 を従 属変数 と して 、 どの よ うなケアが看 取 り割 合 に影 響 を もた らす のか を説 明 し得 るモデ ル を作成す る。2)ケ
ア とケアの関連 を明 らか に し、認知症 高齢者 の事前意思 を尊重 した看 取 りのため実践的提 言 を明確 にす る。 多忙 な業務 の 中、調査 の回答 に、 ご協 力いただ きま した介護老 人福祉 施設 看護職 の皆様 に、心 よ り感 謝 申 し上 げます。 本研 究 は平成18年
度長 野 県看護 大学特別研 究補助金 を受 けて実施 しま した。日本看護福祉 学会誌Vol.15 No.2,99‐■
0(2010年
3月)文 献
1)厚 生 労 働 省
(2009):平
成19年
介 護 サ ー ビ ス 施 設 ・ 事 業 所 調 査 結 果 の 概 要(hitp:〃www.mhlw.go.jpん oukei/saikin/hw/kaigo/service07/index.html)
2)医
療経済研 究機 構 (2003):医療経済研 究機 構(2003):特別養護老 人 ホー ムにお ける終 末期 の 医療 ・介護 に関す る調査研 究 (http://www.ihep/publish/report/pasth14/h14‐ 5.htm.)
3)Pasman R et al(2002):Withholling the artificial ad■ 五niStration ofユuids and food eldOrly
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4)井
口昭久(2006):高
齢者 の終末期 医療,老
年看護 学 ,10(2),9-13.5)北
川 公 子(2000):わ
が 国 にお け る老 年 看 護 学研 究 の動 向 と今 後 の課題,看
護 研 究,33 (6),27‐37.6)平
木 尚美(2009):認
知症 高齢者 の グルー プホー ム にお け る終末期 ケアの研 修 プ ログラムの 開発,平成 18-20年度科 学研 究費補助金 (基盤(C))研
究成果報告書,2009.7)二
木 はま子,渡辺 み ど り,千葉真 弓 (2008):日 本老年看護 学会第 13回学術集 会抄録 集,205.
8)三
木 はま子(2008):介
護 老人福祉 施設 にお ける終 末期 ケアの事 前意 思決 定 に関 わ る看護 職 の困難 とその解決 の方略,長野県看護 大学修 士論 文.9)厚
生 労 働 省(2008):平
成18年
介 護 サ ー ビ ス 施 設 ・ 事 業 所 調 査 結 果 の 概 要 (http 7/www.mhlw.go.,pん oukei/saikin/hw/kaigo/service06Andex.html)10)林
幸子,小野幸子,坂田直美他(2004):特
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下Cと
T地
区の看護職 を対象 に‐,岐
阜 県 立看護 大学紀要, 4(1),45-51.
11)堀
内ふ き(2006):高齢者 の 「End‐o=life Care」,老
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原清子,柄澤 清 美(2003:介
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13)Sarah Wackerbarth(1999)4班odeling a dynaⅡ五c decision Processi Supporting the decision
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15)小
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日本看護福祉 学会誌Voll15 No.2,99-■
0(2010年
3月 )The Nursing Holxiles'I〕 証丘
culties and Ter】
minal Care Practice for
lntlividuals with DeIIlentia
‐
Comparison by Taking Care Ratio of Death in Nursing Home‐
Midori Watanabe(Nagano College of Nursing)
Mayumi Chha(NaganO College of Nursing)
Emi Hosoda(Nagano College of Nursingl
Y■
lka M[atsuzawa(Nagano College of Nursingl
Chikako Sone(Nagano College of Nursing)
Abstract
The purpose of this study was to deter■ line differences taking care ration of death in
nursing Lome between nursing homes'difficulties and terⅡ五nal care practice for residents
with deⅡ lentia.The survey forIJ:l was distributed to 5249 nursing homes. The facilities' diJhculties in ter■ linal care and nursing practices were investigat(,d.
The questionnaire was answered by l137 facilities(21.5%).Data are grouped into two
groups by taking care ration of death in nursing homesi more than 40% or under 40%.Chi
square tests were used to analy7e the data.
In the under 400/O group, nursing adI五nistrators felt dinttculties of medical staffs'
disposition and medical treatments.In the over 400/O group,nurses heard about intention of residents with dementia for terHlinal care. Furthermore nurses provided information and
choices enabling faⅡlilies to lnake proxy decisions.
There were relationships between the taking care ration of death in nursing home and ter■lillal care practices for people with demelltia.It is necessary to administer care based on
the decisions of the elderly and provide support to both the elderly and their faI五 lies for
end‐of‐life care purposes.
日本看護福祉学会誌
Vol.15 No.2,163-175(2010年
3月 )介護老人福祉施設での終末期における対応方針 と施設の体制
―終末期ケアの取 り組みの有無による比較一
千葉真 弓,渡
辺み ど り,細
田江美,松
澤有夏,曽
根 千賀子 要約 介護老人福祉施設 (以下特養
)に
おける終末期ケアの体制づ くりへの示唆 を得 る目的で、終末期 ケア の取 り組みの有無による終末期における式穏 方針 と体制の違いを比較検討 した。 全国の5249施設 に射 し、終末翔 ケアに関す る質問紙 を配布 し ■37施設 (回収率21.60/0)よ り回答 を 得た。終末期ケアの取 り組みを行 つてい る施設群 (11807)と そ うでない施設群 (n=318)の 1125施設 (有効回答率98。90/0)を分析対象 とし、 χ2検定お よび t検 定によ り比較検討 した。結果、終末期 ケアの 取 り組みを行 つている施設群が、終末期の施設対応、終末期ケアの施設指針策定、看取 り介護加算取得、 事前意思聴取の実施割合が有意 に高 く (P<0.001)、 臨終時の医師の死亡確認体制、看護師の夜勤体制 で有意差が見 られた (P<0.01)。 さらに施設で看取つた割合、入居者 の平均要介護度 も有意に高かつた(P<0.001)
結果か ら終末期 ケアの取 り組み を行 つている施設 は、終末期 において施設 で看取 る対応方針 を示 し、 そのための体制を整 え、施設で看取つた割合 も高 くなっていた と考えられた。 1.は じめに わが国の介護老人福祉施設 (以下特養 とする)数
は現在 5,500を越 え、利用者の要介護度の重度 化や医療依存度の上昇への対応 に加 えて、利用者の終末期ケアヘの対応が求め られている。介護保 険導入前に行われた特別養護老人ホー ムヘの調査1)で は、ター ミナルケアを実施 している施設は 80,4%に お よぶ と報告 されてお り、山田ら2)の 行つた特養の終末期ケアに関する全国調査でも、「特 にター ミナルケア とい うことを意識 した対応は行つていない」と回答 した12.9%の
施設以外は、何 らかの終末期ケアの提供 を行 つていたことが報告 されている。このような中で2006年の改正介護保 険法の施行によ り、「重度化対応力日算」と「看取 り加算」が新たに算定 され るよ うにな り、介護保険 施設での終末期ケアに対する経済的な裏づけがなされ るよ うになつた。 これ ら「重度化対応カロ算」や 「看取 り介護力日算」を取得す るためには、施設の終末期ケア指針 を 策定 し利用者に対 して明確に示す ことや 、看護の管理者を常勤で少なくとも1人は配置す ること、 終末期ケアに関す る研修を行 うことな ど、終末期ケアの体制 を整 えることが条件 として定め られて いる。 これ らは、2009年の更なる改定で 「重度化対応加算」の廃止に伴 つて 「看取 り介護加算」の キー ワー ド:特養 終末期 ケア 終末期 ケア体制日本看護福祉学会誌 詭1.15 No.2,163‐
175(2010年
3月) 算定要件 に移行 している。 改正介護保険施行前の実態調査3)に よれば、特養利用者の9割
以上が認知症を有 し、施設 内死亡 の増加が予測 され るといわれている。終末期ケアの指針策定については、1割
の施設に とどまって いるとの報告4)が されてお り、介護保険改正による「看取 り介護加算」の新設を機に、施設禾U用高 齢者への終末期ケア提供のために、終末期のケア体制の整備 を進めた施設が増加 してきていると予 測 され る。 特養における終末期ケア提供のためには、体市1の整備 として終末期ケアに対す る施設対応 の方針 を打ち出 し、それに沿つた独 自の終末期ケア指針 を策定 してお くこと、その指針に基づいて、入居 者お よび家族か らの事前意思聴取を行い終末期ケアに活用す ることが求められ る。しか し、これ ら 終末期ケアを提供す るための体制が どの程度整備 されているか、また実際に入居者 を施設 内で看敗 る割合については、介護保「父改正後のデータとして明 らかになつていない。 したがって終末期ケア の取 り組みを行つている施設 と、そ うでない施設において実際の看取 りの場所、な らびに入居者の 重症度、終末期ケア提供のための施設の体制 と医師、看護師の夜間体制、ならびに看護師の配置割 合の違いを明 らかにす ることで、施設で終末期ケアを実際に提供す るために必要な体制作 りへの示 唆が得 られ ると考えた。2.研
究 目的 特養において、終末期ケアの取 り組みを行 つている施設 とそ うでない施設での、終末期における 施設の対応方針や施設独 自の終末期ケア指針の策定、医師体制、看護師の配置割合や夜勤対応の違 いを明 らかにす る。 3.研究方 法1)質
問紙による郵送調査 平成 20・年 7月の時,点において、全国の特養の うちで独立行政法人福祉医療機構の運営す るワ ムネ ッ トに登録 され、インターネ ッ ト上で所在地を公開 している5249施設 を調査対象 とし、施設 の概要 と終末期ケア提供の状況を把握 している看護の管理職者に質問紙の記入を依頼 した。2)デ
ータ収集期間 :2008年 8月 20日 ∼9月 20日.郵
送留置 き法で回収 した。 3)調査内容:施設の概要 と過去一年間の看取 り件数に占める施設内での看取 り割合,病院死の割合, 看護師の配置人数、終末期ケアの取 り組みの有無、施設独 自の終末期ケア指針策定の有無、看取 り介護加算の取得状況 と事前意思聴取の有無について質問紙 を作成 し把握 した. 施設の概要については、設立主体、設立年数、入居定員、現入居者数、要介護度別の入居者数、 職種別の職員数、過去一年間の入居者の死亡者数な らびに看取 りの場所別の死亡者数 を把握 した。 終末期ケアの取 り組みの有無、施設独 自の終末期ケア指針の有無、看取 り介護加算の取得、事 前意思聴取の有無、臨終時の医師の死亡確認体制、については、それぞれ該当す る項 目よ り1つ を選んでもらい、夜間の看護体制、終末期における施設の対応方針については、選1尺肢 よ り該当 す る項 目すべてを選択す る方法で回答を得た。日本看護福祉学会誌Vol 15 No.2,163‐
175(2010年
3月)4)対
象 :全 国の5249施設 の特養 よ り、H37施
設 (回収 率21,6%)か
ら回答 が寄せ られ た。 この う ち、終末期 ケアの取 り組み について無回答 だ つた12施設 を除外 し、「1.取
り組 んでい る」、「2. 取 り組 んでいない」の質 問項 目に対 して 「1.取り組 んでい る」 と回答 した807施設 と、「2.取 り組んでいない」と回答した
318施設の計
1125施設
(有効回答率98.9%)を 分析対象施設とした。
4.倫
理 的配慮 長野県看護大学倫理委員会の承認を得て研究を行つた。研究依頼については、各施設の施設長な らびに看護管理者宛に文書で研究運旨と目的の説明、研究参加の自由、匿名性の遵守について説明 を行つた。調査用紙の返送をもつて研究参加に同意が得 られたものと判断 した。5,分
析 方法 分析対象 となつた施設の概要を把握す るために、施設の入所定員、職員数、平均要介護度、施設 で看取つた割合 と病院死の割合について統計的に解析 した。 終末期ケアの取 り組みの有無別に、「取 り組んでいる」と回答 した807施設 を「終末期ケアの取 り 組みあ り」群と し、「取 り組んでいない」と回答 した318施設 を「終末期ケアの取 り組屡ノtな し」群 と した。 この2群
間において、以下の項 目について比較 した。 終末期における施設の対応方針、施設独 自の終末期ケア指針策定の有無、事前意思聴取の有無、 看取 り加算の取得状況、ならびに臨終時の医師の死亡確認体制、夜間の看護師体制については、χ2 検定を用いて分析 した。 さらに、入居者の平均要介護度、100床
あた りの看護師数、前年度一年間 の死亡退所者における施設 内で看取つた割合な らびに病院死の割合については、等分散性 を′確認 しt検
定によつて比較 した。有意水準は5%と
し、統計解析にはSPSS15.0」 for WIttlDOWSを 用いた。6.結
果1)対
象施設の概要 分析対象 となった施設の概要を表1に
示す。設置主体の内訳 を見 ると、社会福祉法人が 1048(93.2%)施
設 と最 も多 く、次いで市区町村38(3.4%)施
設 、広域連合18施
設 (1.6%)、 その他12施
設 (1.1%)、 医療法人3施
設 (0.3%)であつた。併設のサー ビス (複数回答可)で
はシ ヨー ト ステイが最 も多 く 1076施 設 (95.6%)、 次いでデイサー ビスが902施設 (80.2%)、 訪問介護 401施 設 (35.6%)で、訪 問看護 を併設サー ビス として設置す る施設 は49施
設 (4.4%)であつた。施設の 平均入所定員は 71.42±28.07人、平均要介護度3.85±0.32、 入居者 100人あた りの看護師数の平 均は7.10±2.51人、施設内での看取 りの割合は 40.84±32.83%、 `病1坑死の割合は 56.67± 32.90%で あった。表1.対象 施 設 の 概 要 設 置 主 体 社 会 福 祉 法 人 医 療 法 人 市 優三田丁本寸 広 域 連 合 そ の 他 ショー ドステ イ デ イサ ー ビス 訪 問 看 護 訪 間 介 護 入 居 定 員 平 均 要 介 護 度 看 護 自市酉己置 数/100庁木 施 設 内 で 看 取 つた 割 合 病 院 で看 取 つた 割 合 日本看護福祉学会誌Vol.15 No.2,163‐
175(2010年
3月 ) n=1125 度 数 (%) (932) (03) (34) (16) (11) あ り 度 数(%) な し 度 数(%) 1048 3 38 18 12 併 設 の サ ー ビス (複 数 回 答 あ り) 1076(956%) 902(802%) 49(44%) 401(35 6γc) 49(44%) 223(198%) 1076(956%) 724(644%) 平 均 値・標 準 偏 差 7093=L2674 (人 ) 385=L032 (遍董) 710三L251 (人 ) 4084=L032 (%) 5667=上032 (%)2)終
末期 における施設の対応方針、終末期ケア体制、医師 。看護師の夜間体制 終末期ケアの取 り組みを行つている施設 とそ うでない施設の2群
間において、入居高齢者 の要平 均介護度、終末期における施設の対応方針、施設独 自の終末期ケア指針策定、事前意思聴取 と看取 り介護加算の取得の有無、臨終時の医師の死亡確認体制、夜間看護体制 といつた、終末期 ケア提供 のために必要な体制について比較 した結果 を表2に
示す。 ①終末期における施設の対応方針 「終末期はできるだけ入院をすすめる」において、終末期ケアの取 り組みあ り群では、「はい」と 回答 した施設が23施
設 (2.9%)、 「いいえ」が784施設 (97.1%)であつた。終末期ケアの取 り組み な し群では、「はい」と回答 した施設が142施設 (44.7%)、 「いいえ」が176施設 (55。3%)で
、終末 期ケアの取 り組みあ り群はが、終末期の取 り組みな し群に比較 して、「終末期はできるだけ入院をす すめる」 とい う対応 を取る施設の割合が有意に低かった (χ2=318.51、 P<0.001)。 「本人・家族の希望があれば施設で看取る」では、終末期ケアの取 り組みあ り群で 「はい」 と回 答 した施設は761施設 (94.3%)、 「いいえ」 と回答 した施設は46施設 (5.7%)であった。終末期ケ アの取 り組みな し群で 「はい」 と回答 した施設は134施設 (42.1%)で、「いいえ」 と回答 した施設 が184施設 (57.9%)で あった。終末期ケアの取 り組みあ り群のが、終末期ケアの取 り組みな し群 と 比較 して「本人・家族の希望があれば施設で看取る」とい う対応 を取つている施設の割合が有意に高 かった (χ2=381.59、 P<0.001)。日本看護福祉学会誌Vol.15 No.2,163‐
175(2010年
3月 ) ②終末期ケア体制 「施設独 自の終末期ケア指針を策定 している」においては、未回答の63施
設 を除外 して比較検討 した。結果、終末期ケアの取 り組みあ り群では、「はい」 と回答 した施設が575施設 (75,3%)、 「い いえ」 と回答 した施設は 189施 設 (24.7%)であつた。終末期ケアの取 り組みな し群では、「はい」 と回答 した施設が86施
設 (28.9%)、 「いいえ」と回答 した施設は212施設 (71.1%)で あつた。終末 期ケアの取 り組みあ り群が、終末期ケアの取 り組みな し群に比べ施設独 自の終末期ケア指針 を策定 している割合が有意 に高かつた (χ 2=196.41、 P<0,001)。 また、「事前意思聴取を行 つている」 については未回答の28施設を除外 して比較検討 した。終末期ケアの取 り組みあ り群では、「はいJ と回答 した施設が719施設 (91.1%)に対 し「いいえ」 と回答 したのは70施設 (8.9%)であつた。 終末期ケアの取 り組みな し群では、「はい」と回答 したのは173施設 (56.2%)で 、「いいえ」と回答 した施設は 135施 設 (43.8%)で あった。終末期ケアの取 り組みあ り群のほ うが、事前意思聴取につ いて、終末期ケアの取 り組みを行つていない施設に比べて実施率が有意に高かった (χ2=178.17、 P<0.001)。 さらに、「看取 り介護加算 を取得 している」についても未回答の12施設 を除外 し比較検 討 したところ、終末期ケアの取 り組みあ り群で、「はい」 と回答 した施設は582施設 (72.6%)、 「い いえ」と回答 した施設が220施設 (27.4%)で 、これに対 して終末期ケアの取 り組みな し群では 「は い」 と回答 した施設は15施設 (4.8%)、 「いいえ」 と回答 した施設が296施設 (95.2%)と 、終末期 ケアの取 り組みあ り群のほ うが有意 に看取 り介護加算 を取得 してい る施設 の割合が高かった (χ2 =413.59、 P<0,001)。 ③臨終時の医師の死亡確認体制 医師が「夜間でも臨終時には立ち会 う」体制について未回答の39施設 を除外 して比較検討 を行 つ た結果、終末期 ケアの取 り組みあ り群では 「はい」 と回答 した施設は579施設 (74.1%)で、「いい え」と回答 した施設 は202施設(25.9%)であった。終末期ケアの取 り組みな し群では143施設(48,1%) が 「はい」 と回答 し、「いいえ」 と回答 したのは154施設 (51.9%)であつた。終末期ケアの取 り組 みを行っている施設群のほ うが、夜間でも医師が臨終に立ち会 う体制を整えている施設 の割合が有 意に高かった (χ2=65。 70、 P<0.001)。 ④夜間看護体制 夜間の看護体制について終末期ケアの取 り組みの有無による2群
間で比較を行った結果、 「人数の範囲で夜勤を行 う」、「重症者・臨終時には看護師が夜勤を行つている」、「必要に応 じて呼 び出 しに応 じている」、「介護職に任せている」の項 目において有意差が見 られた。 「人数の範囲で夜勤を行 う」では、終末期ケアの取 り組みあ り群では 「はい」 と回答 した施設 は24施
設 (3.0%)、 「いいえ」 と画答 した施設は783施
設 (97.0%)であつた。終末期ケアの取 り組み な し群では「はい」と回答 した施設は2施
設 (0.6%)で 、「いいえ」と回答 した施設が316施
設(99,4%) であった。終末期ケアの取 り組みあ り群のほ うが有意に人数の範囲で夜勤を行つている施設の割合日本看護福祉学会誌 恥1.15 No.2,163‐
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3月 ) が高かった (χ2=5。 56、 P<0,03)。 「重症者・臨終期には看護師が夜勤を行つている」では、終末期ケアの取 り組みあ り群で「はい」 と回答 した施設が29施
設 (a.6%)、 「いいえ」 と回答 した施設が778施設 (96.4%)であった。一方 終末期ケアの取 り組みなし群では 「はい」と回答 した施設が2施
設 (0.6%)で、「いいえ」と回答 し た施設が316施設 (99,41`)であった。終末期ケアの取 り組みあ り群のほ うが、重症者・臨終期に看 護師が夜勤を行 うとい う体制 を取つている施設の割合が有意に高かつた (χ2=7.48、 P<0.01)。 「必要に応 じて呼び出しに応 じている」では、終末期ケアの取 り組みあり群で 「はい」 と回答 し た施設は725施設 (89,8%)、 「いいえ」と回答 した施設は82施
設 (10.2%)で あった。終末期 ケアの 取 り組みな し群では、「はい」 と回答 した施設が244施設 (76.7%)、 「いいえ」と回答 した施設が 74 施設 (23.3%)で あった。終末期ケアの取 り組みあ り群のほ うが、必要に応 じて呼び出 しに応 じると い う体制 を取つている施設の割合が有意に高かった (χ2=32.82、 P<0.001)。 「介護職に任せている」では、終末期ケアの取 り組みあ り群で「はい」と回答 した施設は57施
設 (7.1%)、 「いいえ」と回答 した施設は750施設 (92.9%)で あったのに対 し、終末期ケアの取 り組み な し群では「はい」と回答 した施設は41施
設(12,9%)、「いいえ」と回答 した施設が277施設 (87.1%) であつた。終末期ケアの取 り組みあ り群のほ うが、終末期ケアの取 り組みな し群に比べ、夜間介護 職に任せ るとい う体制をとっている施設の割合は有意に低かった (χ2=9.75、 P<0.001)。 「看護師が夜勤体制を取つている」、「併設病院の看護師が対応 している」、「電話で対応 し指示を 出 している」の項 目では、有意差は認められなかった。 ⑤100床あた りの看護師配置数:
100床あた りの看護師配置数の平均値 を、終末期 ケアの取 り組みの有無による2群
間で比較 した (表 2)。終末期ケアの取 り組みを行つている施設群での看護師の配置数は、平均 7.12±2.46人で、 終末期ケアの取 り組みを行 つていない施設群の平均 は7.04±2.63人
で、この2群
間における有意 差は見 られなかつた (t=0,46、 P>0.05)。日本看護福祉学会誌