インドネシア -- 工業投資の黎明、なるか? (特集
チャイニーズ・オン・ザ・グローブ)
著者
佐藤 百合
権利
Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア
経済研究所 / Institute of Developing
Economies, Japan External Trade Organization
(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp
雑誌名
アジ研ワールド・トレンド
巻
202
ページ
8-9
発行年
2012-07
出版者
日本貿易振興機構アジア経済研究所
URL
http://hdl.handle.net/2344/00003921
●サニーを探して
二〇一一年四月、三一重工はイ ンドネシアに二億ドルを投じて建 設機械の現地生産を始めると発表 した。 三一重工は、中国湖南省を本拠 とする世界第九位の建設機械メー カーである。英語名をサニーとい う。日本では、福島第一原子力発 電所の事故発生時に、 ﹁大キリン﹂ と呼ばれる背の高い大型コンク リートポンプ車を放水用に無償で 提供し、一躍有名になった。 サニーのインドネシア進出発表 から一年後 、私は思い立ってサ ニ ー を 訪 ね て み る こ と に し た 。 ウェブサイトには、首都ジャカル タ市内の事務所の住所と、郊外に 建設された工場の写真が載ってい る。だが、何度電話しても応答が ない。仕方がないので事務所の住 所を探し探し行くと、なんとそこ は洗濯物が所狭しと干してある庶 民的アパートだった。守衛さんは ﹁中国人が二人いたけど、 最近引っ 越した﹂という。運よく携帯電話 番号が残っていた。 数時間後、私はジャカルタ中心 部の一等地に聳 え立つ超高層ビル の四二階にいた 。住居兼事務所 だったアパートとはえらい違いで ある 。応対してくれたのは 、サ ニー・インドネシア・マシナリー 社のナンバー 2、エリック・フー 販売部長。二〇一一年末に開所し た見晴らしのいいオフィスには 、 上海からの単身赴任だという二〇 人もの中国人社員たちが黙々と働 いていた。●五番目の海外拠点に
エリック部長は熱く語る 。﹁サ ニーはインドネシアを 、インド 、 アメリカ、ブラジル、ドイツに次 ぐ五番目の海外生産拠点にする 。 インドネシアには世界第四位の人 口があり、いま経済成長期を迎え ている。多島国家だから港湾の需 要が大きい。道路の建設需要も伸 びる 。都市部のビル需要もある 。 インドネシアを拠点にしないわけ にはいかない﹂と。 エリックによれば、インドネシ ア市場では、世界最大手である米 キャタピラー、日本のコマツとの 厳しい競争が予想されるという。 キャタピラーとコマツは、それ ぞれトラキンド、アストラという 現地の有力パートナーと一九七〇 年代から手を組んで、全国に販売 網を張り巡らせている。現地生産 もパートナーとの合弁で一九八〇 年代に始めている。 だが、サニーは現地で有力合弁 パートナーを探すつもりはない 。 あ く ま で 一 〇 〇 % 自 社 出 資 で 、 ディーラーを指定して全国に販売 する方針だ 。﹁中国でも 、 省ごと にディーラーを置いて販売してい る。省によっては人口が一億人を 超える。それを考えれば、インド ネシアでも二∼三のディーラーを 活用して販売できる﹂ 。彼らの参 照軸は常に中国本国にあるので 、 スケールが違う。 その本国のパワーショベル市場 で、長年にわたって最大のシェア を握っていたのはコマツだった 。 ﹁我々はコマツから多くを学んで きた。製造技術だけでなく、アフ ターサービスまでも﹂ 。だから 、 二〇一一年に初めて中国市場でサ ニーが一位になったとはいって も 、﹁コマツをライバルなどとい うのは、おこがましい。世界をみ れば、サニーはまだ子供みたいな ものだ。日本ブランドは、世界の どこに行っても優れている﹂とエ リックはいう。 彼は黒竜江省ハルビンの出身で ある 。上海で工学修士号を修め 、 すぐに赴任してきた二〇代の青年 部長だ。赴任後かれこれ一年にな る が 、 あ と 一 ∼ 二 年 ど こ ろ か ﹁ずーっといたい﹂と笑う。 ﹁六歳 の時から両親が習わせてくれた﹂ 英語を流暢に話す。一方、上司のインド
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オン・ザ・グローブ
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アジ研ワールド・トレンド No.202 (2012. 7)デイヴィッド・リウ社長は中国語 しか話さない。 海外 に 進 出 し て い る 名 の 知 れ た 中国 メ ー カ ー に 国 営 ・ 公営 が 多 い なか で 、 サ ニ ー は 純 粋 な 民 間 企 業 であ る 。 エ リ ッ ク たち は 、 中 国 大 企 業に よる 初 め て の 対 イ ンド ネシ ア 民間直接投資 の 先 兵 と い う わ け だ 。