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伝統工芸品久留米絣の需要構造分析

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(1)〈論. エコノミクス 第 巻第 ・ 号 年 月. 説〉. 伝統工芸品久留米絣の需要構造分析 内山. 敏典. .課題 本研究は,伝統工芸品である久留米絣製品の需要構造がどのようなもので あるかを,アンケート調査に基づくデータから計量分析をおこなうものであ る。一般的に伝統工芸品産業は歴史的な継続性と産地の形成がなされ,それ にともなってその技術や地域の文化それぞれの継続が重要である。 久留米絣は「江戸後期に筑後国御井郡久留米通外町の米穀商平山源蔵の娘 で,井上治八の妻の井上伝[いのうえ. でん:. )年) ]によって,考案されている。彼女は. (天明. )∼. (明治. (寛政 )∼. (寛政. )年の 歳のころ,たまたま白い木綿糸を括り,藍汁に浸して括り糸を解 いて織ったところ,白紋が雪霰飛舞のように織り出されたところからはじま るといわれ,霰織・霜降り織・お伝加寿利などと称せられたとのことであっ た。これが次第に広まり,文政年間( 授けられた者が. ∼ 年)の末には彼女から技法を. 名に達したとのことである。なおこの絣の改良と伝播に. 久留米藩の田中近江と紺屋佐助の尽力があった」とのことである注 )。この文 政年間には自給的織物生産から商品生産へと移行し久留米絣産地の形成に 至ったと思われる。その後,久留米絣は技術開発があったが,粗製濫造の時 期もあったとのことである。「明治中期以降は生産・流通体制が変化し,括 り→染色→製織という一貫生産から各工程の専門的な分業体制に移行してい.

(2) 伝統工芸品久留米絣の需要構造分析. る。それは織元が絣括り職人に括りをさせ,それを藍で糸染色し,整経など を施したものを周辺の零細農家に手機織機とともに貸し出して製織させる形 態をとっていた。明治後期以降の久留米絣は農村需要に支えられ生産を拡大 してきたが,織元は農家の副業的生産に依存するとともに,問屋制家内工業 ないし工場制手工業への移行期であった」とのことであった注 )注 )。しかし, 「明治中期から昭和期にかけて久留米絣生産を安定的に担ったのは,刑務所 における絣織物生産であり,昭和初期にかけての久留米絣生産を製織する刑 務所は全国に拡大しているとのことであった。刑務所生産は農家の副業と違 い,生産量に季節変化がなく,織子が力強い男性のため地風(味わい)もよ く小柄(縞柄が細かいことなど)の柄合わせがきれいにできるという利点が あったとのことである。第. 次世界大戦後,久留米絣は戦後のもの不足時代. を背景に急速に生産を復興させたが,高度経済成長直前に戦後のピークを迎 える。衣服素材としての久留米絣織物は急速に進む洋装化と量産化が困難と いう制約,そして他の量産的広幅産地の成長があり, 次第に市場を失っていっ た」とのことであった注 )。全国的に,伝統的工芸品はグローバル化(安価な 労働力の発展途上国の製品)の波にのまれ生産量を減少させており,とくに 繊維製品生産の減少が大きい。最近においての久留米絣生産量も同じ傾向に ある。久留米絣生産は,久留米絣協同組合を中心として,審査基準を設け, 認定条件に合格した商品に合格証を与えているとのことである注 )。協同組合 は品質を維持し,業界の発展を目指して活動している。 上記のように,久留米絣は約. 年の歴史と伝統からの文化と技術が継続. されてきているが,最近の久留米絣生産は減少傾向にある。九州地域におけ る代表的伝統工芸品である久留米絣および博多織それぞれの生産額(実質) の推移が表. である。また,表. の生産額データの推移を図示したのが図. である。久留米絣生産額(実質)の 年間の年平均成長率注 )は− . %で, 博多織生産額(実質)の同年間の年平均成長率は− . %で,博多織生産額 の減少率が激しいが,しかしながらともに大きな減少率となっていることに は違いない。本研究は,伝統工芸品である久留米絣製品の需要構造を計量的 に分析することにより,久留米絣製品需要の方向性を示すことを目的とする。 私が知る限り,久留米絣に関する学術的研究は上野和彦[. ] ,調査研究.

(3) エコノミクス. 表 .久留米絣および博多織生産額の推移 (単位:億円). 年. 久留米絣生産額 (実質). 博多織生産額 (実質). .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. 資料:福岡県商工部「福岡県経済データファイル」 より作成..

(4) 伝統工芸品久留米絣の需要構造分析. 図 .久留米絣および博多織生産額の推移. (単位:億円). 億 160.0. 140.0. 120.0. 100.0. 80.0. 60.0 博多織生産額(実質) 40.0. 20.0 久留米絣生産額(実質) 0.0 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015. には財団法人伝統工芸品産業振興会[. ]で,他のは久留米絣情報について. は久留米絣協同組合のホームページである。上野和彦研究は,久留米絣小史, 久留米絣の分布と生産構造,流通,産地存続基盤としての伝統技術と文化性 などを統計資料と現地調査とからのものである。この研究から,久留米産地 は伝統技術と文化が産地再生を実現に寄与するとのことを明らかにしている。 財団法人伝統工芸品産業振興会の調査研究は,久留米絣略史,産地の現状(生 産気構造) ,アンケート調査からの生産や流通の現状,産地の具体的取り組 みと課題および事例を報告している。その報告のなかでも久留米絣の市場は 中高年の比較的裕福な層に限られており,また久留米絣の認知度が低いので それをどうするかが課題としている。また,生産体制では分業化が生産のボ トルネックとなっており,括り職人の後継者不足や育成費用の問題があると している。そして,括り職人不足は括りの順番待ちによるビジネスチャンス の機会の損失が生じているとのことなどを報告している。これらのような研.

(5) エコノミクス. 究や報告はあるものの久留米絣の需要構造に関する計量的な研究はこれまで なされてきていない。 本研究は伝統工芸品産業としての久留米絣が地域のなかで持続的に生産可 能であるかどうかということと,また職人の技術が持続的に伝承できるかど うかということを探ることを目的とする。そのために,本研究は,久留米絣 需要の商圏を分析が,より詳細な九州地方のアンケート調査による需要構造 の分析をおこなうため,ネットリサーチを通じて得られたデータに基づく計 量分析をおこなう。次章の分析データの単純集計とその構成比から,久留米 絣の傾向をとらえるとともに,伝統工芸品のなかの久留米絣の潜在需要を含 む需要分析をおこなうものである。 なお,本研究では久留米絣という用語を広義の意味で使用している箇所と, 狭義の意味としては久留米絣製品という用語を使用している。基本的に両者 は同じ意味である。. .分析データの単純集計と構成比 本研究で利用する調査データは,Macromill 社に委託し,ネットリサーチ で得られたものである。調査日は. 年. 月 日(水)∼. 月 日(木)で. ある。調査対象者は,九州地方の 歳以上の消費者で福岡県 人,長崎県 島県. 人の計. 人,熊本県. 人,大分県. 人,宮崎県. 人,佐賀県 人および鹿児. 人である。以下に示す単純集計とその構成比は久留米絣. をよく知っていると回答した. 人のものである。逆にいえば,残りの. 人. は久留米絣自体をほとんど知らない人々である。 ところで,以下の表 −. −. ⒜∼⒞は久留米絣の認知度とその構成比,表. ⒜∼⒞は久留米絣を所持している製品とその構成比,表. 久留米絣の購入場所とその構成比である。. −. ⒜∼⒞は.

(6) 伝統工芸品久留米絣の需要構造分析. 表. −. ⒜.久留米絣の認知度. (単位:人). 九州全県 福岡県. 佐賀県. 長崎県. 熊本県. 大分県. 宮崎県 鹿児島県. よく知っている 名前を聞いたことがある程度 知らない 計. 表. −. ⒝.久留米絣の認知度の構成比(九州全県に対する各項目の割合) 九州全県 福岡県. 佐賀県. 長崎県. 熊本県. 大分県. (単位:%). 宮崎県 鹿児島県. よく知っている. .. .. .. .. .. .. .. .. 名前を聞いたことがある程度. .. .. .. .. .. .. .. .. 知らない. .. .. .. .. .. .. .. .. 計. .. .. .. .. .. .. .. .. 表. −. ⒞.久留米絣の認知度の構成比(九州各県ごとに対する各項目の割合)(単位:%) 佐賀県. 長崎県. 熊本県. 大分県. よく知っている. 九州全県 福岡県 .. .. .. .. .. .. .. .. 名前を聞いたことがある程度. .. .. .. .. .. .. .. .. 知らない. .. .. .. .. .. .. .. .. 計. .. .. .. .. .. .. .. .. 表. −. 宮崎県 鹿児島県. ⒜∼⒞は久留米絣を九州全県で“よく知っている”(認知度)と. 回答した被験者は. 人である。九州全県に対する各県の構成比は福岡県,. 佐賀県および長崎県の北部. 県で .%を占めている。これにはサンプル数. の問題があるので,各県の項目計に対する各県の“よく知っている” (認知 度)は福岡県( .%)と鹿児島県( .%)を除けば, %前後である。 久留米絣は福岡県が産地であるため認知度は高いが,鹿児島県は九州新幹線 (. 年. 月 日全線開業)の効果が今後期待される。.

(7) エコノミクス. 表. −. ⒜.久留米絣を所持している製品(複数回答) 九州全県 福岡県. 佐賀県. 長崎県. (単位:人) 熊本県. 大分県. 宮崎県 鹿児島県. 持っていない 作務衣(作業着) 着物・反物 シャツ・ワンピース デザインジャケット もんぺ トートバッグ 財布・名刺入れ・ブックカ バーなどの小物 帽子 その他 計. 表. −. ⒝.久留米絣を所持している製品(九州全県に対する各項目の割合) (単位:%) 佐賀県. 長崎県. 熊本県. 大分県. 持っていない. 九州全県 福岡県 .. .. .. .. .. .. 宮崎県 鹿児島県 .. .. 作務衣(作業着). .. .. .. .. .. .. .. .. 着物・反物. .. .. .. .. .. .. .. .. シャツ・ワンピース. .. .. .. .. .. .. .. .. デザインジャケット. .. .. .. .. .. .. .. .. もんぺ. .. .. .. .. .. .. .. .. トートバッグ. .. .. .. .. .. .. .. .. 財布・名刺入れ・ブックカ バーなどの小物. .. .. .. .. .. .. .. .. 帽子. .. .. .. .. .. .. .. .. その他. .. .. .. .. .. .. .. .. 計. .. .. .. .. .. .. .. ..

(8) 伝統工芸品久留米絣の需要構造分析. 表. −. ⒞.久留米絣を所持している製品 (九州各県ごとに対する各項目の割合) (単位:%) 佐賀県. 長崎県. 熊本県. 大分県. 持っていない. 九州全県 福岡県 .. .. .. .. .. .. .. .. 作務衣(作業着). .. .. .. .. .. .. .. .. 着物・反物. .. .. .. .. .. .. .. .. シャツ・ワンピース. .. .. .. .. .. .. .. .. デザインジャケット. .. .. .. .. .. .. .. .. もんぺ. .. .. .. .. .. .. .. .. トートバッグ. .. .. .. .. .. .. .. .. 財布・名刺入れ・ブックカ バーなどの小物. .. .. .. .. .. .. .. .. 帽子. .. .. .. .. .. .. .. .. その他. .. .. .. .. .. .. .. .. 計. .. .. .. .. .. .. .. .. 表. −. 宮崎県 鹿児島県. ⒜∼⒞は,複数回答であるが,何らかの久留米絣製品を“持って. いる”(作務衣からその他までの計)との被験者は九州全県で うち福岡県 人,佐賀県 人,長崎県 人,熊本県 県 人および鹿児島県. 人であり,. 人,大分県 人,宮崎. 人である注 )。各県の項目計に対する各県の久留米絣. 製品を“持っていない”は熊本県の .%を除くと, ∼ %が“持ってい ない”との回答であり,久留米絣製品を持っていない人が多いことを示して いる。 表. −. ⒜.久留米絣の購入場所(複数回答) 九州全県 福岡県. 久留米絣専門店 百貨店 家族等からのお譲り プレゼント 通信販売 その他 計. 佐賀県. (単位:人) 長崎県. 熊本県. 大分県. 宮崎県 鹿児島県.

(9) エコノミクス. 表. −. ⒝.久留米絣の購入場所(九州全県に対する各項目の割合) 九州全県 福岡県. (単位:%). 佐賀県. 長崎県. 熊本県. 大分県. 宮崎県 鹿児島県. 久留米絣専門店. .. .. .. .. .. .. .. .. 百貨店. .. .. .. .. .. .. .. .. 家族等からのお譲り. .. .. .. .. .. .. .. .. プレゼント. .. .. .. .. .. .. .. .. 通信販売. .. .. .. .. .. .. .. .. その他. .. .. .. .. .. .. .. .. 計. .. .. .. .. .. .. .. .. 表. −. ⒞.久留米絣の購入場所(九州各県ごとに対する各項目の割合) 九州全県 福岡県. 佐賀県. 長崎県. 熊本県. 大分県. (単位:%) 宮崎県 鹿児島県. 久留米絣専門店. .. .. .. .. .. .. .. .. 百貨店. .. .. .. .. .. .. .. .. 家族等からのお譲り. .. .. .. .. .. .. .. .. プレゼント. .. .. .. .. .. .. .. .. 通信販売. .. .. .. .. .. .. .. .. その他. .. .. .. .. .. .. .. .. 計. .. .. .. .. .. .. .. .. 表. −. ⒜∼⒞は,複数回答であるが,久留米絣の購入場所についてであ. る。九州全県ではプレゼント( 人) ,久留米絣専門店( 人) ,家族等から のお譲り( 人) ,百貨店( 人)および通信販売(. 人)などの順となっ. ている。各県の項目計に対する各県の久留米絣製品の購入場所の構成比もほ ぼ同様の傾向である。. .分析データ 本研究のデータは,伝統工芸品産業のうち,久留米絣製品の購買(消費) に関する消費者意識と,フェースシートに関するアンケート調査に基づくも のである。. 章で述べたように,Macromill 社のネットリサーチで得られた. データである。 本研究は,モデル設定で詳細に述べるが,被説明変数は表. −. ⒜の所持. する久留米絣製品(複数回答)をベースに説明変数を選択する。もちろん,.

(10) 伝統工芸品久留米絣の需要構造分析. その際には. 章の単純集計とその構成比を考慮している。. .モデルの設定 本研究は,. 年度および. 年度で採択されている科研費の伝統産業製. 品需要構造をアンケート調査に基づくデータで解析をおこなうため,研究上, 多重分類分析法を用いての分析となっている。それゆえ,モデル設定上の説 明はこれまでの研究と同様になる点留意していただきたい注 )。 章の単純集計とその構成比とから,. 章でも述べているように,久留米. 絣需要構造を分析する場合,久留米絣製品を“よく知っている”との回答が 九州全県で 回答が. 人( .%)であった。“名前をきいたことがある程度”との. 人( .%)であり,これらの回答者は製品をほとんど所有して. いない。また,“知らない”との回答が. 人( .%)であった。. 本研究は,久留米絣製品を“よく知っている”と回答した被験者で,久留 米絣製品を“持っていない”との回答者は. 人中 人( .%)であり,“作. 務衣(作業着) ,着物,反物,シャツ・ワンピース,デザインジャッケット およびもんぺ(以下,作務衣からもんぺ) ” との回答者は 人( .%) ,“トー トバッグ,財布・名刺入れ・ブックカバーなどの小物,帽子およびその他(以 下,トートバッグからその他) ”との回答者は 人( .%)であった。 なお,計測の際に九州全県で久留米絣を“持っている”との回答者は複数 回答となっているが,データを集計する際に複数回答者は小物等と着物・反 物等も所有しており少数者であった。そこで,モデルに基づく計測上, “作 務衣からもんぺ”のカテゴリーに再集計した結果の 人である。それゆえ, 被説明変数. 人をベースとしたモデル設定となる。. 本研究のモデルをダミー回帰分析のもので示せばつぎのようになる。すな わち,.

(11) エコノミクス. ". #. #. +!. = +!. ρ. !!!. $. +!. "!!. +!. #!!. $. (. −. ). #. +! ρ= ∼ . ここで,. +. %!!. z. は久留米絣を“よく知っている”という被説明変数で,. 説明変数 ρ 番目カテゴリーであり,. は“持っていない” ,. らもんぺ”を持っているとするカテゴリーであり,. ρ. は被. は“作務衣か. は“トートバッグから. その他”を持っているとするカテゴリーである。なお,本研究では,とくに, カテゴリー. を分析するのは,九州において久留米絣の認知度が低いにも. かかわらず,この回答者は認知度はあるものの“持ってはいない”というこ とで,潜在的需要の回答者であると考えられるからである。 を示す説明変数で, 性”および. はその変数の 番目のカテゴリーを示し,. は“女性”である。. は“ 歳以上”である。. はその変数の “. ∼. は“ ∼ 歳” ,. を示す説明変数で,. は“. は“. 万円未満” ,. 万円以上”である。. 会社員(事務系) :(以下,職業分類 会社員(その他)(以下,職業分類. ) ” ,. は“会. は“公務員および. は“会社員(技術系)および. ) ”および. ト・アルバイトおよび無職:(以下,職業分類 はその変数の. ) ” ,. は. は“職業”. はその変数の 番目のカテゴリーを示し,. 社経営,自営業および自由業:(以下,職業分類. を示す説明変数で,. は“ ∼. は“世帯年収”を示す説明変数で,. 番目のカテゴリーを示し,. 万円未満”および. は“男. は“年齢階級”を示す説明変数で,. はその変数の 番目のカテゴリーを示し, 歳”および. は“性別”. “専業主婦(主夫) ,パー は“学歴”. ) ”である。. 番目のカテゴリーを示し,. 卒(普通科) ,高卒(職業科)およびその他: (以下,学歴分類. は“高. ) ”および. は“専門学校卒(文系) ,専門学校卒(文系以外) ,短大・高専卒(文系) および短大・高専卒(文系以外) :(以下,学歴分類. ) ” ,. 系) ,大学卒(文系以外)および大学院卒:(以下,学歴分類 そこで,( なわち,. −. は“大学卒(文 )である。. )式を MCA モデルで表記するとつぎのようになる。す.

(12) 伝統工芸品久留米絣の需要構造分析. ". =. ρ. +!. #. +!. *. !!!. *. "!!. #. +!. #!!. #. +! ρ= ∼ . ここで,. ρ. *. %!!. $. *. +!. $!!. +. (. は説明変数. の. *. は説明変数. カテゴリー係数および. は説明変数. ). *. は説明変数. の 番目のカテゴリー係数,. 番目のカテゴリー係数, *. −. z. は被説明変数の ρ 番目のカテゴリー平均値,. の 番目のカテゴリー係数, *. *. の. *. は説明変数. の 番目の. 番目のカテゴリー係数であ. る。また,カテゴリー係数の右肩の*印は MCA 技法の収束演算で推定され ることを示すものである。収束演算によって各説明変数の各カテゴリー,決 定係数(重相関係数)と. 値,各説明変数の偏相関係数と. 値および各説. 明変数の各カテゴリーの修正済カテゴリー平均値についての理論的展開は Andrews, F. M., Morgan, J. N., Sonquist, J. A. and L. Klem[ ]を参照され たい。また,MCA プログラムに基づく計測方法は内山敏典[. ]に詳細に. 注 ). 展開しているので,本論文では紙幅の関係上割愛する 。 (. −. )式のダミー回帰分析で計測される各説明変数の各カテゴリー係. 数は発散型で得られる値であるが,(. −. )式の MCA で計測される各説. 明変数の各カテゴリー係数は収束演算によって得られる値である。それゆえ, MCA は本論文の. 章の計測結果に示しているように,各説明変数の各カテ. ゴリーの修正済カテゴリー平均値の計(総和)が. であり,統計的に有意で. ない計測結果であっても構成比の概念で解釈を行うことができ,MCA を利 用することにつながっている。また,ダミー回帰(あるいは数量化Ⅰ類)分 析とは異なり,MCA は説明変数とそのカテゴリーのデータと同様,被説明 変数とそのカテゴリーのデータもゼロおよび. というデジタルダータである. ために決定係数(重相関係数) が小さな値になりがちである。そのことによっ て,統計的に有意でない計測結果が得られやすい。しかしながら,MCA 分 析で得られた各説明変数の各修正済カテゴリー平均値の構成比の解釈によっ て,構造分析が可能である。.

(13) エコノミクス. .計測結果 本章では,. 章の(. −. )式を用いて計測した結果が表. −. ∼表. −. であり,これらの表の各説明変数各カテゴリーの修正済カテゴリー平均の 和を求めたのが表. −. で,表. −. は被説明変数のカテゴリー数と構成比. である。 表. −. .久留米絣製品を“持っていない: = .. 説明変数. カテゴリー. 性別. 世帯年収. 男性. (. .). .. .. (. .). .. .. 歳. (. .). − .. .. ∼ 歳. (. .). − .. .. 歳以上. (. .). − .. .. 万円未満. (. .). .. .. ∼. (. .). .. .. (. .). − .. .. 万円未満. 万円以上. 職業. 学歴. モデル:(. = .. カテゴリーサイズ カテゴリーに対す 修正済カテゴリー 人と構成比(%) る係数の推定値 平均値 *αβ *αβ. 女性 ∼. 年齢階級. ”との回答者の計測結果. 職業分類. (. .). .. .. 職業分類. (. .). .. .. 職業分類. (. .). .. .. 職業分類. (. .). − .. .. 学歴分類. (. .). .. .. 学歴分類. (. .). − .. .. 学歴分類. (. .). − .. .. −. = . 偏相関係数 α. = . 各説明変数の i 値. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. )式.. 職業分類. は,会社経営,自営業および自由業. 職業分類. は,公務員および会社員(事務系). 職業分類. は,会社員(技術系)および会社員(その他). 職業分類. は,専業主婦(主夫) ,パートアルバイトおよび無職. 学歴分類. は,高卒(普通科) ,高卒(職業科)およびその他. 学歴分類. は,専門学校卒(文系) ,専門学校卒(文系以外) ,短大・高専卒(文系)およ. び短大・高専卒(文系以外) 学歴分類. は,大学卒(文系) ,大学卒(文系以外)および大学院卒.

(14) 伝統工芸品久留米絣の需要構造分析. 表. −. . “作務衣からもんぺ:. ”を持っている回答者の計測結果 = .. 説明変数. 性別. カテゴリー. 男性. (. .). − .. .. 女性. (. .). − .. .. ∼ 年齢階級. 歳. (. .). .. .. ∼ 歳. (. .). .. .. 歳以上. (. .). .. .. 万円未満. (. .). − .. .. ∼. (. .). − .. .. (. .). .. .. 世帯年収. 万円未満. 万円以上. 職業. 学歴. 表. 職業分類. (. .). .. .. 職業分類. (. .). − .. .. 職業分類. (. .). − .. .. 職業分類. (. .). .. .. 学歴分類. (. .). .. .. 学歴分類. (. .). .. .. 学歴分類. (. .). − .. .. −. .“トートバッグからその他:. カテゴリー. 世帯年収. 男性. (. .). − .. .. (. .). − .. .. 歳. (. .). .. .. ∼ 歳. (. .). .. .. 歳以上. (. .). − .. .. 万円未満. (. .). .. .. ∼. (. .). − .. .. (. .). − .. .. 万円未満. 万円以上. 職業. 学歴. = .. カテゴリーサイズ カテゴリーに対す 修正済カテゴリー 人と構成比(%) る係数の推定値 平均値 *αβ *αβ. 女性 ∼. 年齢階級. = . 偏相関係数 α. = . 各説明変数の i 値. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. ”を持っている回答者の計測結果. = . 説明変数. 性別. = .. カテゴリーサイズ カテゴリーに対す 修正済カテゴリー 人と構成比(%) る係数の推定値 平均値 *αβ *αβ. 職業分類. (. .). − .. .. 職業分類. (. .). .. .. 職業分類. (. .). − .. .. 職業分類. (. .). .. .. 学歴分類. (. .). − .. .. 学歴分類. (. .). .. .. 学歴分類. (. .). .. .. = . 偏相関係数 α. = . 各説明変数の i 値. .. .. .. .. .. .. .. .. .. ..

(15) エコノミクス. 表. −. .. 説明変数. から. までの修正済カテゴリー平均値の計(収束演算の確認) の修正済みカテ の修正済みカ の修正済みカ ゴリー平均値 テゴリー平均値 テゴリー平均値. カテゴリー. 性別. 年齢階級. 男性. .. .. .. .. 女性. .. .. .. .. −. 歳. .. .. .. .. ∼. 歳. .. .. .. .. 歳以上. .. .. .. .. 万円未満. .. .. .. .. .. .. .. .. −. 世帯年収. 万円未満 万円以上. 職業分類 職業. .. .. .. .. .. .. .. . .. 職業分類. .. .. .. 職業分類. .. .. .. .. 職業分類. .. .. .. .. 学歴. 表. 計. 学歴. .. .. .. .. 学歴. .. .. .. .. 学歴. .. .. .. .. −. .被説明変数のカテゴリーごとの回答者とその構成比. カテゴリー 持っていない:. 作務衣からもんぺ:. ト−トバッグからその他:. 回答者(人) 構成比(%). .. .. .. .考察 本研究でおこなった MCA 技法に基づく計測結果は,これまでの一連の研 究と同様,とくに. と. , 値および. i. 値について統計的に有意なものも. あれば,有意でないものもある。前述の如く,統計的に有意でない計測結果 であっても MCA 技法の収束演算から得られる係数は構成比の概念であるの で,被説明変数の比較分析(因果分析)には有効である。 そこで,表. −. ∼表. −. の久留米絣を“よく知っている”という九州. の消費行動の計測結果を被説明変数のカテゴリーごとに考察しよう。 まず,表. −. の被説明変数の久留米絣製品を“持っていない:. 回答者は 人で全体. 人の .%である。決定係数. および. ”との. はそれぞれ.

(16) 伝統工芸品久留米絣の需要構造分析. .. および .. で, “性別:. ”および“学歴:. 業:. ” , “年齢階級:. ” , “世帯年収:. ” , “職. ”とそれらの説明変数の各カテゴリーすべてで. を . %の説明し,およびそれらの説明変数とそのカテゴリーすべてと との関係が . %あるということを示している。偏相関係数 ,. および. それぞれ .. , .. , .. , .. α. は. ,. および .. , で,. これらの変数のなかでは,とくに. が. 正済カテゴリー平均値をみると,. ( . )を上回っている各説明変数と. ”のカテゴリーである“男性:. そのカテゴリーは,“性別:. ”のカテゴリーである“. “世帯年収: “. ∼. 万円未満:. 業分類. :. ”の .. ”の .. :. ”の .. ”の .. ,“職業分類. ,“学歴:. :. ”の .. ”の .. ,. および. ”のカテゴリーである“職. ”の .. および“職業分類. ”のカテゴリーについては,“学歴分類. :. の被説明変数の久留米絣製品の“作務衣からもんぺ:. ”. である。. つぎに, 表. −. はそれぞれ . ” ,“職業:. 帯年収:. 万円未満:. ,“職業:. を持っているとの回答者は 人で全体 よび. と関係をもっていそうである。修. および .. 人の .%である。決定係数 で, “性別:. ”および“学歴:. ” , “年齢階級:. お. ” , “世. ”とそれらの説明変数の各カ. テゴリーすべてで. を . %の説明し,およびそれらの説明変数とそのカ. テゴリーすべてと. との関係が . %あるということを示している。偏相. 関係数 .. α. は. ,. ,. および .. ,. および. それ ぞ れ .. , . が. で,これらの変数のなかでは,とくに. で あ る“ ∼ 歳: 歳以上: 上: の .. ”の .. ”の .. ”の .. ,“ ∼ 歳:. ,“世帯年収:. ,“職業:. および“職業分類. ついては,“学歴分類. :. と関係を. ”のカテゴリー. ”の .. お よ び“. ”のカテゴリーである“. ”のカテゴリーである“職業分類 :. ”の .. ”の .. ,“学歴:. および“学歴分類. ,. ( . )を上. もっていそうである。修正済カテゴリー平均値をみると, 回っている各説明変数とそのカテゴリーは,“年齢階級:. , .. 万円以 :. ”. ”のカテゴリーに :. ”の .. である。 さらに,表. −. の被説明変数の久留米絣製品の“トートバッグからその.

(17) エコノミクス. 他:. ”を持っているとの回答者は 人で全体. 係数. および. はそれぞれ .. 級:. ” ,“世帯年収:. 人の .%である。決定. および .. ” ,“職業:. で,“性別:. ”および“学歴:. ” ,“年齢階. ”とそれらの説. 明変数の各カテゴリーすべてで. を . %の説明し,およびそれらの説明. 変数とそのカテゴリーすべてと. との関係が . %あるということを示し. ている。偏相関係数 .. , .. α. は. ,. および .. ,. ,. および. それぞれ .. , .. で,これらの変数のなかでは,とくに. ,. が. と関係 を も っ て い そ う で あ る。修 正 済 カ テ ゴ リ ー 平 均 値 を み る と, ( . )を上回っている各説明変数とそのカテゴリーは,“年齢階級: のカテゴリーである“ ∼ 歳: .. ,“世帯年収: ”の .. 業分類. :. 類. ”の .. および“ ∼ 歳:. ”のカテゴリーである“. ”のカテゴリーである“職業分類. “職業: :. ”の .. ,“学歴:. 万円未満: :. ”の .. ” ”の. ”の . および“職. ”のカテゴリーについては,“学歴分. および“学歴分類. :. ”の .. である。. .結論 課題で論じたように,久留米絣の生産額の減少傾向の歯止めがきかない状 況下にある。国内繊維製品にも言えることでは,グローバル化にともない安 価な繊維製品が輸入され消費者の選択肢が増えたこと,伝統工芸製品が社会 のスタイルに対応してないことなどに起因している。このことは久留米絣需 要が低迷していることにも言えることである。現在の久留米絣は江戸時代か らの現在までの時代背景を伴いながら,技術の伝承とともに生産がなされて きており,地域の伝統文化をも育んだ製品となっている。この産地注 )を維 持していくためには以下の ①. 点に留意していただきたい。. 久留米絣の認知度の設問で“知っているが,久留米絣製品を持ってい ない”と回答者は潜在的需要者であると考えられる。そこで,潜在的 需要者は男性で,世帯年収. 万円未満,職業は主婦(主夫) ・アルバ. イト・無職を除いた回答者で,学歴は“学歴は高卒の回答者が多い。 ②. 久留米絣製品の“作務衣からもんぺ”を持っているとの回答者は,性. ,.

(18) 伝統工芸品久留米絣の需要構造分析. 別や年齢には関係なく,世帯収入は. 万円以上で,職業は会社経営・. 自営業・自由業・専業主婦(主夫) ・パートアルバイト・無職で,学 歴は高校卒・専門学校卒・短大卒との回答者が多い。 ③. 久留米絣製品の“トートバッグからその他:. ”を持っているとの回. 答者は,年齢階級は 歳以下で,職業は公務員・事務系会社員・専業 主婦(主夫) ・パートアルバイト・無職で,専門学校卒・短大卒・大 学卒・大学院卒との回答者が多い。 これらのように,アンケート調査による現在の久留米絣需要構造を分析で きたが,ネットによる調査データの計量分析であるので,その点留意が必要 である。注. ). 注 注. )参考文献[. ]の. 注. )参考文献[. ]の. 頁から引用.. ∼. 頁から引用.. 注. )参考文献[. ]の. 頁から引用.. 注. )参考文献[. ]の. 頁から引用.. 注. )合 格 証 に つ い て は「久 留 米 絣 協 同 組 合」の ホ ー ム ペ ー ジ を 参 照。http:// kurumekasuri.jp. 注. )年平均成長率は複利計算式の利率 で求めた。 =( + ) log =log log( + )=. + ×log( + ) log − log. log( + )= = (. ∧. − )×. :複利合計( log:常用対数, 注. 年生産額) , :元本(. 生産額) , :利率(年平均成長率). ∧. :真数に戻すための底. ) 表.何等かの久留米絣製品を持っていると回答の各県集計 (単位:人). 九州全県. 福岡県. 佐賀県. 長崎県. 熊本県. 大分県. 宮崎県. 鹿児島県.

(19) エコノミクス. 注. )参考文献の[. 注. )参考文献[. ] , [. ] , [. ]および[. 注 )久留米絣協同組合によれば, 織元,久留米市 注 ). 年. ]それぞれを参照のこと。. ]参照のこと。. 月. 年現在の織元は,八女郡広川町 織元,八女市. 織元,筑後市. 織元の計 織元で,広川町に集積している。. 日付西日本新聞朝刊では. 年から生産額は増加し,. 年に. 億. 万円となったとの記事であった。これは福岡県の支援と商品開発によるものであ る。今後が期待される。. 参考文献 [ ]Andrews, F. M., Morgan, J. N., Sonquist, J. A. and L. Klem, ― ―, The University of Michigan, 1973. [. ]伝統的工芸品産業振興会 『伝統的工芸品産地調査診断事業 財団法人伝統的工芸品産業振興会,. [ [. ]三省堂編纂所編『コンサイス. 日本人名事典』三省堂,. .. ]上野和彦「久留米絣産地の伝統性と産地の継続」 『学芸地理( ) 』東京学芸大学 地理学会,. [. 報告書―久留米絣―』. 年.. .. ]内山敏典『経済・経営・心理・医療・看護等指導者のためのアンケート調査デー タ解析の技法―ACCESS・EXCEL ソフト,F-BASIC・十進 BASIC・VBA プログラ ムそれぞれの利用法―』デザインエッグ社,. [. .. ]内山敏典「博多織需要に関する成人女性意識の計量分析」単著)第 月刊行予定.(JSPS 科研費(基盤研究C)JP. K. 及び JP. 号,. K. 年. の助成研究. 論文) [. ]内山敏典「アンケート調査に基づく専業主婦の陶磁器需要分析―購入頻度からの アプローチ―」単著『中央大学経済学論纂』第 年 K. [. 巻第. ・. 号(田中廣滋教授記念号). 月刊行予定.依頼研究論文. (JSPS 科研費(基盤研究C)JP. K. 及び JP. の助成研究論文). ]黒木宏一・内山敏典「日用品としての陶磁器の品質と価格に関する消費者意識の 一考察―多重分類分析を用いたアンケート調査データの解析から―」 (査読付き)共 著『JAPA 九州』,. 年 月.(JSPS 科研費(基盤研究C)JP. K. 及び JP. K. の助成研究論文) [. ]内山敏典「伝統工芸品の需要構造分析―「家計調査」に基づく金額弾力性と数量 弾力性からのアプローチ」 『伝統みらい研究センター』第 研費 JP. K. の助成研究論文). 号,. ∼. 頁. (JSPS 科.

(20) 伝統工芸品久留米絣の需要構造分析. *. 本研究は,JSPS 科研費(基盤研究C)JP K 助成を受けた論文である。. 及び JP K. の.

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参照

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