• 検索結果がありません。

合併と地方債残高の削減効果の試算 : 東三河地域のケース

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "合併と地方債残高の削減効果の試算 : 東三河地域のケース"

Copied!
22
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

合 併 と地 方債 残 高 の削 減効 果 の試 算:

東 三 河 地域 の ケ ース

1.は じ め に 近 年,国 か ら県 へ,県 か ら市 町村 へ の 権 限 委 譲 が 進 め られ て い る.特 に,中 核 市 制 度,特 例 市 制 度 の 創 設 は 権 限 の移 譲 を 目的 に し,地 方 分 権 を進 め る政 策 を 反 映 して い る.地 方 分 権 の た め に は財 政 力 を強 くす る こ とが 求 め られ,市 町 村 の 人 口 ・規 模 の拡 大 が 必 要 と な り,全 国 に約 3,000あ る市 町 村 を1,000程 度 に減 らす こ とを 目指 して,平 成 の 大 合 併 が 進 め られ て い る.近 年 の 市 町 村 合 併 の 事 例 に つ い て は,横 道 ・和 田(2000)が 詳 しい.ま た,市 町 村 合 併 と最 適 都 市 規模,財 政,議 員 数,職 員 数 等 との 関係 につ い て は,吉 村(1999),古 川(2004)を は じめ 多 くの研 究 が 存 在 す る.自 治 体 の最 適 規 模 に 関 す る研 究 結 果 に よれ ば,一 人 あ た り歳 出 が 最 小 に な るの は,人 口10∼20万 人 で あ る こ とが 明 らか に な っ て い る. 全 国 の 市 町村 は,愛 知 県 の 富 山村 の よ うに200人 程 度 の 村 か ら数 百 万 人規 模 の 都 市 まで 様 々 で あ りなが ら,こ れ まで 全 国 どの 自治 体 もほ ぼ 同様 の行 政 サ ー ビス が 求 め られ,地 方 交付 税 に よ り,そ れ を保 証 して きた.し か し,90年 代 に入 り,中 央 政 府 の 財 政 悪 化 と共 に,地 方 自治 体 の 財 政 も危 機 的状 況 に あ る.図1を 見 て わ か る よ う に,地 方 自治 体 全 体 の 借 入 金 残 高 は90年 代 に入 り50兆 円 を超 え,10年 間 に2倍 以 上 と急 増 して い る.地 方 債 残 高 の 急 増 の 理 由 は,景 気 後 退 に よ る 地 方 税 収 の 落 込 み や 減 税 に よる 減 収 の補 て ん,さ ら に,中 央 政 府 主 導 の 景 気 対 策 の た め の 公 共 事 業 投 資 に よ る地 方債 の 増 発 等 に よ る.平 成11年 度 末 の 地 方 債 残 高 は125兆 円, 市 町村 分 で は,58兆 円 と な っ て お り,借 入 金 残 高 の 削 減 が 必 要 と な っ て きて い る. この 論 文 の 目的 は,合 併 を地 方 財 政 の 健 全 化 と結 び つ け,地 方 債 を削 減 す るた め の財 源 と し て,市 町 村 合 併 に伴 い 削 減 さ れ る 経 費 を積 極 的 に償 還 に 充 当 す る こ と を想 定 した 試 算 結 果 を示 す こ とで あ る.自 治 体 が 住 民 に対 して 発 行 す る市 町 村 合 併 に 関 す る 資 料 の 中 で は,「 効 率 的 な 行 政 運 営 が 可 能 に な る 」,「経 費 が 削 減 で きる 」 な どの 説 明 が な され て い る が,そ の余 剰 と な る 経 費 の 使 い 方 に つ い て は 触 れ られ て い な い.ま た,多 額 の 地 方 債 残 高 は,歳 出 に 占 め る 償 還 額 を増 加 させ,財 政 の 自由 度 を うば うの で,自 治 体 の財 政 運 営 に と って 最 も重 要 で,直 ち に解 決 を 迫 られ る 問 題 で あ る.

(2)

図1地 方債残 高 の推移(全 国の 自治体) 資料:『地方財政要覧』 より作成. 具 体 的 に は,平 成11年 度 の デ ー タ を用 い て,ま ず 市 町 村 合 併 を行 う こ とで 削 減 さ れ る 経 費 を 計 算 し,次 に,そ の 削 減 され た経 費 を地 方 債 の 償 還 に まわ した場 合 の 地 方 債 残 高 削 減 効 果 の 大 き さ を試 算 す る.論 文 の構 成 は,以 下 の とお りと な っ て い る.2節 で は,こ こで 想 定 して い る 合 併 案 につ い て 説 明 す る.こ の合 併 案 の うち 『合 併 案(1)』は 試 算 を行 っ た 平 成13年 時 点 で は現 実 に推 進 さ れ て い た案 で あ る(た だ し,実 際 の 合 併 状 況 は付 記 に示 し た よ う に,こ こ で 想 定 し た の と は別 の 形 で 実 現 して い る).3節 で は,合 併 に よ る歳 出 削 減 額 を 具 体 的 に計 算 して い る. 4節 で は,3節 で 算 出 した 歳 出削 減 額 を地 方 債 の 償 還 に 回 した場 合 の 試 算 を 行 う.5節 は ま と め で あ る. 2.想 定 す る 合 併 案 こ こで は,愛 知 県 内 の 東 三 河 地 域 を例 と して,合 併 と地 方 債 削 減 効 果 を 具 体 的 に算 出 す る. 対 象 と した 東 三 河 地 域 の2市7町 は,愛 知 県 の 東 部 に 位 置 し,三 河 湾 を取 り囲 む形 とな っ て お り,東 側 は 静 岡 県 と接 し て い る 地 域 で あ り,中 核 市 の 豊 橋 市 と,豊 川 市,宝 飯 郡4町(音 羽 町,一 宮 町,小 坂 井 町 御 津 町),渥 美 郡3町(田 原 町,赤 羽 根 町,渥 美 町)か らな っ て い る. 人 口,歳 出 総 額 は,表1に ま とめ られ て い る.東 三 河 地 域 の 中心 的 な役 割 を 果 た して い る豊 橋 市 は名 古 屋 市 に 次 い で 愛 知 県 第2位 の 市 で あ り,人 口 は 約35万 人 で あ る.こ の 地 域 の 主 要 な 産 業 と して は,ま ず,三 河 港 臨 海 部 で の 輸 入 自動 車 の 陸揚 げ及 び 国 産 車 の輸 出 拠 点 で あ り,さ ら に,渥 美 半 島 で は電 照 菊,メ ロ ン な どの施 設 園 芸 が盛 ん で あ る.特 に,田 原 町 は 臨 海 部 に ト ヨ タ 自動 車 の 工 場 が あ り,製 造 及 び 輸 出が 盛 ん で 税 収 が 豊 富 な た め,今 回対 象 とす る市 町 の 中

(3)
(4)

図2東 三河 地域 の市 町 で 唯 一,地 方 交 付 税 の不 交 付 団体 と な っ て い る. 表1の 財 政 力 指 数 に注 目す る と,田 原 町 を別 にす れ ば,人 口規 模 の 大 きい 自治 体 ほ ど財 政 力 指 数 が 高 い(財 政 状 態 が よい)傾 向 が あ る.つ ま り,健 全 財 政 を 目指 す な らば,合 併 に よ っ て 人 口 規 模 を拡 大 させ る こ と は重 要 な 選 択 肢 と な る. さ ら に,表1を 見 て も明 らか な よ う に,職 員 数,議 員 数 と も,人 口規 模 の 大 き な 自治 体 ほ ど 人 口 あ た りの 人 数 が 小 さ くな っ て い る こ とが確 認 で きる.職 員 数 は,小 坂 井 町 を例 外 と して, 市 レベ ル で は 人 口千 人 あ た り6人 台 で あ る が,町 レベ ル で は9∼14人 とな っ て お り,明 確 な差 が あ る. こ こで は,『 合 併 案(1)』 と して,豊 川 市 と宝 飯 郡4町(音 羽 町,一 宮 町,小 坂 井 町 御 津 町), 渥 美 郡3町(田 原 町 赤 羽 根 町,渥 美 町)が そ れ ぞ れ 合 併 し,豊 橋 市,新 市A,新 市Bと い う 3市 体 制 に な る ケ ー ス を考 え る(図2を 参 照).ま た,『 合 併 案(2)』 と して,さ ら に そ の3市 が 合 併 し1市 と な る ケ ー ス を 想 定 した.こ の 合 併 案(1)で想 定 す る新 市A,新 市Bは,平 成13年 度 時 点 で す で に 法 定 協 議 会 が 設 置 され,具 体 的 な合 併 が 計 画 さ れ て い た2地 区 で あ り,合 併 案 (2)は,東 三 河 地 域 全 体 で 政 令 市 を 目指 す とい う構 想 も提 唱 さ れ て い る の を 受 け て お り,全 く仮 想 的 な想 定 で は なか っ た.た だ し,実 際 の合 併 案 は新 市 の 名 前 や負 担 を巡 る 市 町 間 の利 害 対 立 に よ り,我 々 の 想 定 とは べ つ の もの と な っ た(付 記 を 参 照). 対 象 と した 市 町 の 合 併 前 及 び合 併 後 の 財 政 力 指 数 は 図2に 書 か れ て い る.も し,当 初 の 計 画 どお りに合 併 した とす れ ば,財 政 力 指 数 の ば らつ きが 少 な くな り0.8前 後 と な る こ とが わ か る. 数 値 の 低 い赤 羽 根 町 渥 美 町 は,田 原 町 と合 併 す る こ と に よ り著 し く財 政 力 指 数 が 上 昇 す る. また,赤 羽 根 町 渥 美 町 は 公 債 費 負 担 比 率 が,16.2%,15.4%と 警 戒 ライ ン を上 回 っ て い た が, 合 併 に よ り,合 併 案(1)の場 合10.7%,合 併 案(2)の場 合11.8%に 低 下 し,ど ち らの 場 合 に お い て

(5)

も,警 戒 ラ イ ンで は な くな り,財 政 的 に 安 定 す る こ とが 確 認 で きた(表1を 参 照).つ ま り,「合 併 」 は,人 口 規 模 を拡 大 させ る こ と に よ り財 政 力 を改 善 す る よい 方 法 で あ る. 普 通 交 付 税 額 は,基 準 財 政 需 要 額 か ら基 準 財 政 収 入 額 を引 い た もの で あ り,合 併 に よ る規 模 の拡 大,重 複 す る事 務 の 統 合 な どに よ り需 要 総 額 が 減 少 す る た め,本 来 は 交 付 税 の額 は 減 少 す る.た だ し,急 激 な 変 化 を な くす た め,合 併 特 例 法 に よ り,合 併 後10年 間 は 合 併 前 に 交付 さ れ て い た 金 額 が 交 付 さ れ,そ の 後5年 間 も段 階 的 に減 額 され る こ と に な っ て い る.現 在 の 東 三 河 地 域 にお け る 交 付 税 の 総 額 は205億5,000万 円 で あ る が,も し特 例 が な け れ ば,合 併 案(1),合 併 案(2)と もに177億8,000万 円 に 減 少 す る.こ れ は,田 原 町 が 不 交 付 団体 で あ り,収 入 額 の 超 過 分 が27億8,000万 円 あ る た め で あ る.こ の た め,少 な く と もそ の 超 過 分 が,他 の 自治 体 の 収 入 不 足 分 に 充 て られ る こ と に よ り,地 域 全 体 と して は,こ れ ま で 国 か ら受 け て い た交 付 税 額 が 減 少 す る こ とに な る. 表2は 東 三 河 各 市 町 の 地 方 債 残 高 とそ の利 率 を ま とめ た もの で あ る.こ の デ ー タ は,こ の 論 文 の 試 算 の ベ ー ス とな る もの で あ る が,詳 細 が 公 表 さ れ て い な い 自治 体 もあ り,直 接 問 い 合 わ せ る こ と に よ り,表2と し て ま とめ て い る. 表1に よ れ ば,歳 入 総 額 に ほ ぼ 等 しい地 方 債 残 高(借 金)を 抱 えて お り,そ の 返 済 は 歳 出 額 の8∼16%に も な り,自 治 体 の 財 政 の 自 由度 を 低 下 させ て い る.た だ し,危 険 と され る水 準 は 15%と い わ れ て い るが,全 国平 均 の16.3%に 比 べ れ ば この 地 域 の 財 政 力 は よい. 表2に よ れ ば,2.5%以 下 の利 率 の 地 方 債 が 最 も多 く な っ て い る が,5%以 上 の 利 率 の 地 方 債 も少 な くな い.現 在 の利 率 を考 え れ ば,表2の 利 率 は相 当 高 く,利 率 の 高 い 地 方 債 に関 して は, 繰 り上 げ償 還 を行 っ て い くの が 合 理 的 で あ ろ う と考 え られ る.こ の 論 文 で は,合 併 で 生 じ る余 剰 資 金 を地 方 債 の 繰 り上 げ 償 還 資 金 に充 て る こ と を想 定 して,具 体 的 な試 算 をお こ な う. 3.合 併 に よ る 歳 出 削 減 効 果 この 節 で は,実 際 に想 定 した合 併 案 に よる 歳 出削 減 額 を具 体 的 に計 算 す る. 用 い た デ ー タ は,愛 知 県 総 務 部 市 町 村 課 『市 町 村 行 財 政 の あ ら ま し』(平 成13年1月)の 平 成11年 度 の 各 市 町 の 行 財 政 に 関 す る デ ー タ で あ る.こ こ で用 い る デ ー タ は,表1に ま とめ ら れ て い る. こ こで は,合 併 の 効 果 と して 直接 に計 算 可 能 な,経 常 的 経 費 で あ る議 会 経 費,職 員 経 費 の 削 減 額 の み を算 出 す る.も ち ろ ん投 資 的 経 費 で あ る公 共 施 設 等 の建 設 費 や 各 種 事 業 につ い て も, これ まで そ れ ぞ れ の 市 町 が 個 別 に 計 画,建 設 して い た もの を,1つ の 施 設 に 集 約 した り,1施 設 あ た りの規 模 を拡 大 す る こ とに よ り施 設 の 数 を減 らす こ とな ど,ス ケ ー ル メ リ ッ トを 活 か す こ と は可 能 で あ り,結 果 的 に経 費 の 削 減 で き る.し か し,計 算 が 難 し い こ と,投 資 的経 費 の 削 減 額 を公 債 費 削 減 に 回 す こ と は現 在 の 縦 割 りの 制 度 上 実 行 可 能 性 に欠 け る の で,こ こ で は 考 え

(6)
(7)

な い. 3-1議 会 経 費 議 会 経 費 に つ い て は,合 併 後 の 議 員 数 を想 定 し,そ の 議 員 数 に対 し て現 在 の 各 市 町 の 議 員 経 費 を乗 じて計 算 す る.各 市 町 村 の 議 会 経 費,合 併 に よる 議 会 経 費 の 削 減 効 果 は 表3と して ま と め た. 地 方 自治 法 に よ り定 め られ た議 員 数 は,法 定 議 員 数 と呼 ば れ,人 口規 模 が 大 き くな る ほ ど, 住 民 一 人 当 た りの 議 員 数 は減 少 す る.ほ とん どの 自治 体 で は,条 例 に よ り法 定 議 員 数 よ り少 な い 数 を議 員 定 数 と して い る た め,充 足 率 を 考 慮 して議 員 数 を算 出 す る. 法 定 議 員 数 は,算 出 方 法 に よれ ば,豊 橋 市48人,豊 川 市36人,音 羽 町22人,一 宮 町26人, 小 坂 井 町30人,御 津 町26人,田 原 町30人,赤 羽根 町22人,渥 美 町30人 の 合 計270人 で あ り, 現 在 の 議 員 数186人 を 引 い た84人 が,現 在 す で に 自治 体 の 条 例 に よ り削 減 され て い る(表1を 参 照).充 足 率 を 求 め る と,豊 橋 市83.3%,豊 川 市77.8%,音 羽 町54.5%,一 宮 町61.5%,小 坂 井 町73.3%,御 津 町61.5%,田 原 町66.7%,赤 羽 根 町63.6%,渥 美 町60.0%で あ り,最 も 低 い の が 音 羽 町 の,54.5%で,最 も高 い の が 豊 橋 市 の83.3%と な って い る.充 足 率 は 人 口 規 模 の 大 き な市 町 で は高 く,小 さ な 町 で は 低 くな る 傾 向 が あ る.新 市A(豊 川 市 と宝 飯 郡4町)で は,40人 ×83.3%ニ33人,新 市B(渥 美 郡3町)で は,36人 ×72.2%=26人 と な る.つ ま り,議 員 数 に つ い て は,現 在 の186人 か ら,合 併 案(1)の3市 体 制 で は99人,合 併 案(2)の1市 体 制 で は,56人 ×88.6%ニ50人 とな る.そ れ ぞ れ の充 足 率 は,合 併 後 の 人 口 に類 似 す る 人 口 を 持 つ 市 の 議 員 の 充 足 率 を用 い,新 市Aは,人 口15万7,000人 の 安 城 市 の 現 在 の 充 足 率83.3% を,新 市Bは,人 口66,000人 の 碧 南 市 の 現 在 の 充足 率72.2%を 用 い た.合 併 案(2)では,人 口 210万2,000人 の 名 古 屋 市 の 充 足 率88.6%を 用 い て い る.そ の結 果,議 員 数 につ い て は,合 併 案(1)で186人 か ら99人 とな り87人 の 削 減,合 併 案(2)では,186人 か ら50人 と な り136人 の 削 減 と,大 きな 削 減 効 果 が あ る. 次 に,算 出 した 議 員 数 を用 い,① 各 市 町 の 議 会 経 費 の 加 重 平 均 と し た場 合,② 人 口規 模 が 同 等 の 他 市 の 議 会 経 費 で 置 き換 え た場 合,を 仮 定 して,合 併 後 の議 会 経 費 を 計 算 す る(表3を 参 照).町 が 合 併 に よ り市 とな る 場 合,市 会 議 員 の 報 酬 は 町 会 議 員 に 比 べ て 高 額 で あ る た め,合 併 した こ と で 議 員 一 人 当 た りの 経 費 が 増 加 す る.そ の た め,今 回 の 渥 美 郡3町 の 合 併 で は,削 減 額 は マ イ ナ ス,つ ま り,議 会 経 費 は 増 加 す る.東 三 河 地 方 全 体 で は,単 年 度 あ た りの議 会 経 費 は,合 併 案(1)で は4億 円 ∼6億6,000万 円,合 併 案(2)では4億4,000万 円∼13億 円 の 削 減 が 可 能 と な る.

(8)
(9)

3-2職 員 経 費 職 員 経 費 に つ い て は,合 併 後 の 職 員 数 を 想 定 し,そ の 職 員 数 に,一 人 あ た りの 人 件 費 を 乗 じ て 計 算 す る.各 市 町 の 職 員 経 費 合 併 に よ る 経 費 の 削 減 効 果 は,表4と し て ま と め た 。 職 員 数 は,各 市 町 の 「人 口1,000人 あ た り の 職 員 数 」 を も と に,合 併 後 の 人 口 に 人 口 規 模 が 同 等 の 他 市 の 「人 口1,000人 あ た り の 職 員 数 」 で 置 き換 え て,合 併 後 の 市 の 職 員 数 を 計 算 す る. 算 出 し た 職 員 数 を 用 い,現 在 の 各 市 町 の 職 員 経 費 を 職 員 数 で 除 し て 算 出 し た 「一 人 あ た りの 人 件 費 」 を 乗 じ て 合 併 後 の 職 員 経 費 を 計 算 す る.給 与 水 準 は 各 市 町 で 違 い が あ る が,実 際 に は 低 い 水 準 に 統 一 す る こ と は 難 し い た め,構 成 す る 市 町 の 中 で 最 も 高 い 給 与 水 準 の 市 の 職 員 一 人 あ た りの 人 件 費 を 用 い る. 現 在 の 職 員 数 は,豊 橋 市2,260人,豊 川 市796人,音 羽 町89人,一 宮 町165人,小 坂 井 町145 人,御 津 町122人,田 原 町410人,赤 羽 根 町78人,渥 美 町313人 と な っ て お り,2市7町 全 体 で,4,378人 で あ る(表1を 参 照).ま た,人 口 千 人 あ た りの 職 員 数 は,豊 橋 市6.4人,豊 川 市 6.9人,音 羽 町10.9人,一 宮 町10.2人,小 坂 井 町6.9人,御 津 町8.9人,田 原 町11.2人,赤 羽 根 町12.1人,渥 美 町13.5人 で あ る.最 も 少 な い 豊 橋 市6.4人 と 最 も 多 い 渥 美 町13.5人 で は2倍 以 上 の 開 き が あ り,町 同 士 で 比 較 し た 場 合 に も,人 口 規 模 が2万 人 程 度 で ほ ぼ 同 じ で あ る 小 坂 井 町 と 渥 美 町 で も,6.9人 と13.5人 で お よ そ2倍 の 開 き が あ る な ど,自 治 体 問 の 格 差 は 大 き い. 職 員 数 が 合 併 前 の ま ま で あ れ ば,新 市Aで1,317人,新 市Bで801人,合 併 案(2)で は4,378 人 で あ り,人 口 千 人 あ た りの 職 員 数 は,新 市A7.5人,新 市Bl2.1人,合 併 案(2)で は7.4人 で あ る.次 に,人 口 千 人 あ た り の 職 員 数 が,人 口 規 模 の 同 程 度 の 他 市 と 同 程 度 に な る と仮 定 し, 新 市A(17万4,000人)に は 安 城 市(15万7,000人)の7.0人 を,新 市B(6万6,000人)に は 碧 南 市(6万6,000人)の8.8人 を 用 い る.こ の 結 果,新 市Aで1,221人,新 市Bで584人 と な り,2市7町 体 制 の4,378人 か ら,合 併 案(1)の3市 体 制 で は4,065人,合 併 案(2)の1市 体 制 で は3,809人 に な る.削 減 可 能 な 職 員 数 は,合 併 案(1)の3市 体 制 で は313人,合 併 案(2)の1 市 体 制 で は569人 で あ る. 職 員 一 人 あ た りの 人 件 費 は,普 通 会 計 の 各 市 町 の 人 件 費 を 単 純 に 職 員 数 で 除 し て 求 め る と, 豊 橋 市1,045万 円,豊 川 市944万 円,音 羽 町841万 円,一 宮 町741万 円,小 坂 井 町943万 円, 御 津 町799万 円,田 原 町788万 円,赤 羽 根 町879万 円,渥 美 町761万 円 で あ り,2市7町 全 体 の 平 均 で は,953万 円 で あ る.合 併 し た 場 合 に は 構 成 す る 最 も 高 い 水 準 の 人 件 費 に な る と 仮 定 す る と,新 市Aで は115億2,600万 円,新 市Bで は45億9,100万 円 と な る.つ ま り,職 員 経 費 に つ い て は,現 在 の417億3,200万 円 か ら,合 併 案(1)の3市 体 制 で は397億2,700万 円,合 併 案(2)の1市 体 制 で は397億9,100万 円 に な る.こ こ で,合 併 案(2)の1市 体 制 で 給 与 総 額 が 大 き く な っ て い る の は,構 成 市 町 で 最 も 高 い 豊 橋 市 の 人 件 費(1,045万 円)を 用 い て い る た め で あ

(10)
(11)

る. 合 併 に よ る 人 件 費 の 削 減 効 果 と して は,新 市Aは3億 円,新 市Bは17億1,000万 円 で あ り, 合 併 案(1)では20億 円,率 に して4.8%,合 併 案(2)では19億4,000万 円,率 に して4.7%の 職 員 経 費 の 削 減 が 可 能 とな る. 3-3合 併 効 果 の 試 算 結 果 以 上 の 試 算 の 結 果,議 会 経 費 は,合 併 案(1)で4億 円 ∼6億6,000万 円,合 併 案(2)で4億4,000 万 円 ∼13億 円 の 削 減 が 可 能 とな り,職 員 経 費 は,合 併 案(1)で20億 円,合 併 案(2)で19億4,000 万 円 が 削 減 可 能 と な る.そ の 結 果,合 計 で,合 併 案(1)で は24億 円 ∼26億6,000万 円,合 併 案(2) で は23億8,000万 円 ∼42億4,000万 円 の 削 減 が 単 年 度 で 可 能 と な る.こ の金 額 の 幅 は,議 会 経 費 につ い て 加 重 平 均 を用 い た場 合 と,人 口 規 模 が 同 等 の 他 市 の 議 会 経 費 で 置 き換 え た 場 合 の 2ケ ー ス を想 定 した た め で あ る. また,職 員 経 費 につ い て は,構 成 市 町 の うち 一 人 当 た りの 人 件 費 が 最 も高 い 市 町 の 人 件 費 を 使 用 し た た め,合 併 案(1)の場 合 よ りも合 併 案(2)の ほ うが,削 減 額 が小 さ い.こ の よ うに,自 治 体 規 模 が 大 き くな る場 合 で あ っ て も,常 に歳 出 規 模 が小 さ くな る と は 限 らな い 項 目 もあ る. さ ら に,議 会 経 費 と職 員 経 費 の 削 減 総 額 の 歳 出 規 模 に 占め る 割 合 は1.3%か ら2.1%に あ た り,そ れ ほ ど大 き い もの で は な い.し か し,こ の 歳 出 削 減 額 を活 用 す れ ば,地 方 債 残 高 を大 き く削 減 す る こ とが 可 能 と な る こ と を,次 の4節 で 示 す. 4.地 方 債 残 高 削 減 効 果 この 節 で は,3節 で算 出 した歳 出 削 減 額 を地 方 債 の償 還 に 回 した 場 合 の 試 算 を行 う. こ こで は,歳 入 に 関 す る も の を 「地 方 債 」 及 び 「地 方 債 残 高 」,歳 出 にお い て 公 債(地 方 債) の償 還,利 子 支 払,及 び これ ら の事 務 処 理 に要 す る経 費 を 「公 債 費 」,合 併 に よ る経 費 の 削 減 額 を 「余 剰 経 費 」 と呼 ぶ こ と にす る. 地 方 債 の残 高 は,平 成11年 度 末 現 在 高 を固 定 と して,今 後 新 た に起 債 を行 わ な い もの と して 計 算 した.つ ま り,平 成ll年 度 末 の 借 金 をす べ て 返 済 す る期 間 とそ の た め に必 要 な費 用 を計 算 す る.な お,合 併 に 関 す る事 業 に対 して は,事 業 費 の95%を 充 当 で き,後 年 度 に元 利 償 還 額 の7割 を普 通 交 付 税 で措 置 す る,合 併 特 例 債 の 起 債 が 可 能 で あ る.し か し,新 た な起 債 に よ る 負 担 を な くす た め,こ こで は合 併 特 例 債 を利 用 す る事 業 の 実 施 及 び そ の起 債 も行 わ な い もの と して 計 算 す る. 合 併 に よ り生 じた余 剰 経 費 を用 い て,地 方 債 残 高 の 毎 年 の 償 還 額 に加 え て,よ り金 利 の 高 い もの か ら先 に 繰 上 償 還 す る と想 定 す る.こ れ に よ り,各 市 町 が どれ だ け 「地 方 債 残 高 」 を早 く

(12)

償 還 で き る か に つ い て仮 想 的 な計 算 を行 う. 対 象 と した 東 三 河 地 域 の 各 市 町 に お け る 地 方 債 の 平 成11年 度 末 現 在 高 は,表2に 示 され て い る.2市7町 全 体 で1,750億2,000万 円 で あ り,利 率 別 の 内訳 は 図3に 示 され て い る.5% 以 上 の 利 率 の 高 い 地 方 債 の 割 合 も少 な くな い.ま た,公 債 費 負 担 比 率 は,2市7町 全 体 で は 図3地 方債 残高 の利 率別 内訳 図4長 期 プ ラ イ ム レ ー トの 利 率 の 推 移

(13)

11.8%で あ る(表1を 参 照).こ の 中 で,警 戒 ラ イ ン と い わ れ る15%を 超 え て い る の は,赤 羽 根 町 と 渥 美 町 だ け で あ る.ま た,平 成11年 度 の 全 国 平 均 が16.3%で あ り,全 国 平 均 そ の も の が 警 戒 ラ イ ン を 超 え て い る の に 比 べ る と,こ の 地 域 全 体 で の 財 政 状 態 は 非 常 に よ い と い え よ う. 計 算 は,表2の 東 三 河 地 域 各 市 町 の 地 方 債 残 高(合 計1,750億 円)を 元 金 と し,図4の 長 期 金 利 の 推 移 を 参 考 と し て,実 際 の 地 方 債 残 高 の 利 率 を み て,借 入 れ 時 期(つ ま り残 存 期 間)を 想 定 し た.償 還 ま で の 残 存 期 間 は,長 期 金 利 の 推 移 を も と に 図3に 書 き入 れ た よ う に 仮 定 し た. 長 期 金 利 の 推 移 は 図4に 示 し た と お り,1990年 代 に 入 り,一 貫 し て 低 下 し て い る の で,残 存 期 間 を 推 定 し や す い.な お,地 方 債 の 実 際 の 償 還 期 間 は 様 々 で あ る が,こ こ で は,10年 国 債 が 一 般 的 で あ る こ と を 考 慮 し,す べ て10年 債 と 仮 定 し た. そ の 上 で,各 利 率 ご と に 償 還 ま で の 残 存 期 間 に お い て 元 利 均 等 割 で 毎 年 償 還 す る も の と 想 定 し,単 年 度 あ た りの 償 還 額 を 計 算 す る.さ ら に,こ の 償 還 額 に 「余 剰 経 費 」 を 上 乗 せ す る 形 で 繰 上 げ て 償 還 す る ケ ー ス を 計 算 す る.な お,合 併 に よ る 「余 剰 経 費 」 と し て は,合 併 案(1)で26 億6,000万 円,合 併 案(2)で42億4,000万 円 と い う 最 大 値 を 用 い る. 4-1繰 上 償 還 を 行 わ な い 場 合 償 還 額 の 算 出 方 法 に つ い て,基 本 的 な 計 算 方 法 と し て,最 初 に,繰 上 償 還 を 行 わ な い 場 合 の 計 算 の 手 順 を 説 明 す る(表5を 参 照).ま ず,東 三 河 地 域2市7町 の 地 方 債 の 平 成ll年 度 末 の 現 在 高 は,1,750億1,800万 円 で あ り(表5(A)の ① を 参 照),そ れ ぞ れ の 利 率 の 現 在 高 は,2.5% 以 下522億200万 円(② を 参 照),3.0%以 下128億4,200万 円(③ を 参 照),…,8.0%超750万 円 と な っ て い る. こ こ で は,計 算 し や す く す る た め,利 率 は2.5%以 下 を2.5%,3.0%以 下 を3.0%,…,8.0% 以 下 を8.0%,8.0%超 を8.5%と し た.償 還 ま で の 残 存 期 間 は,地 方 債 を10年 債 と し,公 債 の 利 率 と 公 債 発 行 時 の 長 期 金 利 を 比 較 し,借 入 れ 時 期 を 仮 定 す る(図3を 参 照).こ れ に よ り,残 存 期 間 は,2.5%以 下 を10年,3.0%以 下 を9年,4.0%以 下 を7年,5.5%以 下 を5年,6.0% 以 下 を3年,7.5%以 下 を2年,8.0%以 下,8.0%超 を1年 と 仮 定 し,毎 年 の 償 還 額 は,残 存 期 間 で 元 利 均 等 返 済 す る と 想 定 し て 計 算 し た. 利 率 ご と の 毎 年 の 償 還 額 は,表5(B)の 表 の よ う に,2.5%以 下 の 場 合 で は(④ を 参 照),図3 に 示 し た 我 々 の 仮 定 に よ り,地 方 債 償 還 期 間 は10年 で あ り,10年 間 の 元 利 均 等 返 済 と な る. 1年 目 は 元 金46億5,900万 円,利 息13億500万 円 で 合 計59億6,400万 円(⑤ を 参 照),2年 目 は 元 金47億7,600万 円,利 息11億8,800万 円 で 合 計 額 は 同 じ59億6,400万 円 で あ る(⑥ を 参 照).こ れ を3年 目 か ら9年 目 ま で 同 様 に 行 い,10年 目 は 元 金58億1,900万 円,利 息1億 4,500万 円 で あ る.こ の10年 間 の 支 払 総 額 は,元 金 は11年 度 末 現 在 高 と 同 じ522億200万 円, 利 息 は74億4,300万 円 で,合 計 額 は596億4,500万 円 と な る(⑦ を 参 照).

(14)
(15)
(16)

同 様 に,3.0%以 下 を9年,4.0%以 下 を7年,5.5%以 下 を5年,6.0%以 下 を3年,7.5%以 下 を2年,8.0%以 下,8.0%超 を1年 と し て,各 利 率 の 現 在 高 を も と に 毎 年 の 償 還 額 を,元 金, 利 息 と も に 求 め る(⑧ を 参 照). こ の2.5%以 下 か ら8.0%超 ま で の 各 利 率 の 各 年 に 償 還 す る 金 額 の 合 計 を 求 め る と,表5(C) に 示 さ れ た よ う に,毎 年 の 償 還 額 は,1年 目 は 元 金321億8,200万 円,利 息71億8,400万 円, 合 計393億6,600万 円(⑨ を 参 照),2年 目 は 元 金336億2,100万 円,利 息55億2,700万 円, 合 計391億4,900万 円 と な る(⑩ を 参 照).こ れ を3年 目 か ら9年 目 ま で 同 様 に 行 い,10年 目 は 元 金58億1,900万 円,利 息1億4,500万 円,合 計59億6,400万 円 と な る(⑪ を 参 照).10年 間 の 支 払 総 額 は,元 金 は11年 度 末 現 在 高 と 同 じ1,750億1,800万 円,利 息247億6,300万 円 で 合 計1,997億8,100万 円 と な る(⑫ を 参 照).東 三 河 地 域 の す べ て の 市 町 に つ い て,同 様 の 方 法 で 個 別 に 算 出 す る と表5(D)と な る. こ の1,997億8,100万 円 が,2市7町 の 平 成ll年 度 末 の 現 在 高 を,繰 上 償 還 せ ず に 償 還 し て い く場 合 の,今 後10年 間 の 支 払 総 額 で あ る.こ の ケ ー ス で は 繰 り上 げ 返 済 を し な い の で,当 然 償 還 期 間 は10年 間 で あ る. 4-2繰 上 償 還 を 行 う 場 合 次 に,繰 上 償 還 を 行 う 場 合 の 計 算 の 手 順 を 説 明 す る(表6を 参 照).繰 り上 げ 償 還 の 原 資 は, 3節 で 算 出 し た 余 剰 経 費 で あ る. 最 初 に,合 併 案(1)の ケ ー ス で は,職 員 経 費 と議 会 経 費 の 削 減 で 毎 年26億6,000万 円 の 余 剰 経 費 が 発 生 す る の で,こ れ を 繰 上 償 還 に ま わ す 場 合 を 計 算 す る. 基 本 的 な 計 算 方 法 は,繰 上 償 還 し な い 場 合 と 同 様 で あ る が,1年 目 に 発 生 し た 余 剰 経 費26億 6,000万 円 を1年 目 の 年 度 末 に,残 高 の う ち 利 率 の 高 い 公 債 か ら 順 に 元 金 の 償 還 に 充 当 す る. 同 様 に2年 目 以 降 も,そ れ ぞ れ の 年 度 末 に 償 還 に 充 当 し て い く こ と と す る.ま ず,1年 目 に 償 還 額 す べ き 元 金,利 息 は,そ の ま ま 償 還 す る.8.0%以 下,8.0%超 の も の に つ い て は 残 存 期 間 が1年 で あ る た め,1年 目 に す べ て 償 還 さ れ る.1年 目 に 発 生 し た 余 剰 経 費26億6,000万 円 は,2年 目 に 償 還 す べ き 元 金 の う ち,最 も 利 息 の 高 い7.5%以 下 の 公 債 分60億8,100万 円(表 6(B)① を 参 照)に 充 当 す る こ と で,2年 目 に 償 還 す べ き 元 金 が34億2,100万 円(表6(B)② を 参 照)へ 減 少 す る.こ の た め,2年 目 に 償 還 す べ き 利 息 も,4億5,600万 円 か ら2億5,600 万 円 へ 減 少 し,償 還 額 総 額 は,繰 上 償 還 を 行 わ な い 場 合 の391億4,900万 円 か ら362億8,900 万 円(表6(C)③)に 減 少 す る. 同 様 に2年 目 に 発 生 し た 余 剰 経 費26億6,000万 円 は,3年 目 に 償 還 す べ き 元 金 の う ち,最 も 利 息 の 高 い6.0%以 下 の 公 債 分8億400万 円 に 充 当 し,更 に18億5,500万 円 が 余 る た め5.5% 以 下 の 公 債 分 に 充 当 す る.こ れ を 繰 返 し行 い,9年 目 の 償 還 が 終 わ り,9年 目 に 発 生 し た 余 剰

(17)
(18)

経 費26億6,000万 円 を10年 目 の 償 還 額 に 充 当 す る と,10年 目 に 償 還 す べ き 額 は,元 金4億 9,900万 円,利 息1,200万 円,合 計5億1,100万 円 と な る(表6(C)④ を 参 照). 10年 間 の 償 還 総 額 は,元 金 はll年 度 末 現 在 高 と 同 じ1,750億1,800万 円,利 息 は235億 3,000万 円,合 計1,985億4,800万 円 と な る(表6(C)⑤ を 参 照).こ の 結 果,繰 上 償 還 を 行 わ な か っ た 場 合 の 合 計 額1997億8,100万 円 に 比 べ,繰 上 償 還 を 行 う こ と に よ っ て,利 息 が12億 3,300万 円 軽 減 で き,こ の 他 に10年 目 の 余 剰 経 費 と し て26億6,000万 円 も発 生 す る.ま た, こ の 場 合10年 目 の 償 還 す べ き 額 が 少 な い た め,年 度 当 初 に 償 還 す る こ と も で き,そ の 場 合,期 間 も 約1年 短 縮 で き,利 息1,200万 円 も必 要 な く な る. 次 に,合 併 案(2)の 場 合 に は,毎 年42億4,000万 円 の 余 剰 経 費 が 発 生 す る の で,こ れ を 地 方 債 の 繰 上 償 還 に ま わ す 場 合 を 計 算 す る(表7を 参 照).同 様 に 計 算 す る と,7年 目 の 償 還 が 終 わ り, 7年 目 に 発 生 し た 余 剰 経 費42億4,000万 円(表7(B)① を 参 照)を8年 目,9年 目 に 償 還 す べ き3%以 下 の 公 債 分 に 充 当 し,更 に10億8,300万 円 が 余 る(表7(B)② を 参 照)た め,2.5%以 下 の 公 債 分 に 充 当 す る.8年 目 の 償 還 が 終 わ り,8年 目 の 余 剰 経 費 を 繰 上 償 還 し,9年 目 の 償 還 が 終 わ る と,10年 目 に 償 還 す べ き 残 額 は4億9,500万 円 で あ り,こ れ に9年 目 の 余 剰 経 費 を 充 当 す る と,す べ て の 償 還 が 終 わ る. 10年 間 の 償 還 総 額 は,元 金 はll年 度 末 現 在 高 と 同 じ1,750億1,800万 円,利 息 は226億 5,100万 円,合 計1,976億6,900万 円 と な る.そ し て,こ の 他 に,9年 目 の 余 剰 経 費 の 余 り37 億4,400万 円 と,10年 目 の 余 剰 経 費42億4,000万 円 も 発 生 す る.こ の 場 合,9年 目 に 発 生 す る 余 剰 経 費 を9年 目 の 年 度 末 の 償 還 後 に 活 用 す る の で は な く,9年 目 に 償 還 す べ き も の に 順 次 充 当 す れ ば,9年 目 の 半 ば ま で に す べ て の 償 還 が 終 わ る.こ れ に よ り,期 間 も約2年 短 縮 で き, そ の 間 の 利 息 も 必 要 な く な る(表7(C)を 参 照).

(19)
(20)

以 上 の 計 算 の 結 果,現 在 の 地 方 債 残 高 の 償 還 す べ き元 利 合 計 額 は,繰 上 償 還 し な い場 合1,998 億 円 と な り,各 年 の 償 還 額 は1年 目394億 円 か ら10年 目60億 円 で あ り,単 純 に平 均 す る と, 年 間約200億 円 と な る.ま た,繰 上 償 還 を 行 う場 合,合 併 案(1)で は1,985億,合 併 案(2)で は 1,976億 と な る.償 還 額 に対 す る 「余 剰 経 費 」 の 率 は,合 併 案(1)で約13%,合 併 案(2)で約20% で あ る.余 剰 軽 費 を繰 上 げ て償 還 を行 う こ と に よ っ て,償 還 期 間10年 の う ち,合 併 案(1)で は約 1年,合 併 案(2)で は約2年 の 償 還 期 間 の 短 縮 が可 能 と な り,こ の 他 に10年 目の 余 剰 経 費 もそ れ ぞ れ発 生 す る.ま た,金 利 負 担 分 は 合 併 案(1)で は12億 円,合 併 案(2)では22億 円 程 度 軽 減 す る こ とが で きた. 合 併 に よ る 経 費 の 削 減 に よ り発 生 した余 剰 金 を,繰 上 償 還 に活 用 す る こ と に よ っ て,現 在 の 地 方 債 残 高 の 償 還 期 間 を約1∼2年 も短 縮 で きる こ とが 明 らか に な っ た. 5.ま と め 市 町 村 の財 政 危 機 を考 え る と,歳 入 を 増 加 させ る と と もに 歳 出 を削 減 す る こ とが 必 要 で あ る. しか し,単 に 歳 出 を抑 制 す る の は 非 常 に難 しい.そ の た め,歳 出 削 減 の方 法 と し て,市 町 村 合 併 が 有 効 な 手段 と な る.こ の 論 文 で は,議 会 経 費,職 員 経 費 とい うわ か りや す い 経 費 の 削 減 効 果 を実 際 に 計 算 し,さ ら に,経 費 削 減 に よ り発 生 す る 余 剰 経 費 を どの よ うに 活 用 す る か に注 目 し,地 方 債 の 繰 上 償 還 に ま わす 場 合 の 地 方 債 削 減 効 果 を試 算 した. この 論 文 で 想 定 した合 併 案(1)は実 際 に は実 現 し な か っ た が,具 体 的 に合 併 の 効 果(経 費 削 減 効 果 と地 方 債 削 減 効 果)を 示 す こ と が で きた の は意 味 の あ る こ とで あ る.合 併 の 経 済 効 果 を は っ き り認 識 し な い で,ム ー ドや 単 な る好 悪 で 合 併 に 反 対 す る風 潮 に は 問題 が あ る.

(21)

さて,こ の 論 文 の 試 算 の 結 果,明 らか に な った こ とは,ま ず 第1に,こ こで 想 定 した 合 併 計 画 の 場 合,経 常 的 経 費 で あ る議 会 経 費,職 員 経 費 の削 減 に よ る 「余 剰 経 費 」 は,最 大 で,合 併 案(1)で26億6,000万 円,合 併 案(2)で42億4,000万 円 が 単 年 度 で 発 生 す る とい う こ とで あ る. 経 常 的 経 費 の 削 減 に よ り捻 出 した 「余 剰 経 費 」 は,単 年 度 の 歳 出 額2,013億5百 万 円(表1を 参 照)の1.3%∼2.1%程 度 に あ た り,歳 出 で み る と比 率 は低 い.し か し,こ の 余 剰 経 費 を公 債 の繰 上 償 還 に 活 用 す れ ば,単 年 度 あ た りの 償 還 額(10年 間 の平 均)で み る と,13%∼21%と い う大 き な金 額 で あ る. 第2に,こ の 余 剰 経 費 を通 常 の償 還 額 に上 乗 して 繰 上 償 還 した場 合,10年 間 の 償 還 期 間 が 約 1∼2年 も短 縮 が 可 能 に な る こ とが 明 らか に され た.第3に,繰 上 償 還 に よる 期 間 の短 縮 に よ り 12∼22億 円 程 度 の利 子 負 担 が軽 減 さ れ る こ とが 明 らか に な っ た. これ らの 結 果 は,市 町村 合 併 が 地 方 財 政 の 改 善 を もた らす1つ の 有 効 な 方 法 で あ る こ と を示 して い る.現 在 の 市 町村 合 併 の議 論 で は,膨 大 な地 方 債 残 高 は 中 心 的 な 話 題 とな っ て い な い が, 実 際 に は最 も重 要 な 問題 で あ る.今 回 の 結 果 は,財 政 状 況 改 善 の た め の財 源 確 保 の 方 法 と して, 市 町村 合 併 が 効 果 的 で あ る こ とを示 して い る. しか し,現 状 で は,歳 出 が 歳 入 を上 回 っ た と して も,そ の 差 を 地 方 交 付 税 が 埋 め合 わ せ て い る た め に,地 方 債 が 増 加 し公 債 費 の 問 題 が あ る こ とが わ か っ て い て も,地 方 債 発 行 を積 極 的 に 削 減 す る イ ンセ ン テ ィブ は働 きに くい.な ぜ な ら,現 在 の 交 付 税 制 度 で は,歳 入 を増 や し,歳 出 を削 減 した と して も,歳 出 と歳 入 の 差 が 少 な く な る だ け で,結 果 的 に 地 方 交 付 税 の 額 で調 整, 減 額 され て し まい,市 町村 に とっ て の 歳 入 総 額 は変 わ ら ない た め で あ る.ま た,起 債 額 の 一 部 を 後 年 度 に 地 方 交 付 税 に 算 入 して 交 付 す る とい っ た方 法 が 取 られ て い る現 状 で は,新 た な 起 債 を す る こ とに よ っ て交 付 税 が 多 く受 取 れ る た め,自 治 体 と して起 債 を抑 制 し に くい. 今 後 も し地 方 交 付 税 が 削 減 廃 止 とな り,市 町村 が 起 債 額 を そ の ま ま 各 自治 体 で負 担 す る とい う状 況 に な れ ば,負 担 軽 減 の た め 新 た な 起 債 を少 な く し,償 還 額 を増 加 させ る とい う イ ン セ ンテ ィ ブ が働 くこ とに な る.そ の 時 に は,自 治 体 の 財 政 状 況 を 重 視 し,新 市 の 名 前 や な ん と な く反 対 とい う こ とで は な く,よ り合 理 的 に合 併 が 判 断 され る こ と に な ろ う. 〈付 記> 1.平 成17年10月 時 点 で の,実 際 の 合 併 の状 況 は以 下 の とお りで あ る. (1)豊 川市 と宝飯郡4町(音 羽町,一 宮町,小 坂井町,御 津町)は,平 成16年3月1日 の住民意識調査の結 果,一 宮 町と御津 町で住民の合併反対が上 回ったため,合 併協議会 を廃止す ることにな り,1市4町 に よ る合併 は白紙撤回 となった.反 対理由は,市 庁舎の場所に よる行政サービスの低下への懸念,水 道料金の 値上げへ の懸念であ る.そ の後,平 成16年ll月25日 に豊川市 と宝飯郡一宮町の2市 町だけによる合併 協議会が設置 された.平 成17年3月 には,両市町で合併 を決定 し,編入 により平成18年2月1日 に新 「豊 川市」 となる. (2)渥 美郡3町(田 原町,赤 羽根町,渥 美 町)は,平 成14年10月 に新市名 の決定方法で協議が整 わず,3

(22)

町 に よる合 併 は 一旦 白紙 撤 回 と な った.し か し,平 成15年2月,田 原 町 と赤 羽 根 町 の2町 に よる合 併 を決 定 し,平 成15年8月20日 に は 田原 市 とな った. そ の後 渥美 町 で は,合 併 に 賛成 す る町長 に なっ た こ とか ら,田 原 市 との合 併 に 向 けた 協 議が 行 わ れ た. 平 成16年8月,田 原 市 ・渥美 町合 併協 議 会 が 設 置 され,平 成17年10月1日,合 併 に よ り田 原市 と なっ た. 2.こ の 論 文 は,前 野 貴 生 『市 町 村 合 併 の 歴 史 と 自 治 体 財 政 改 善 効 果 一 東 三 河 地 域 の 合 併 シ ミ ュ レ ー シ ョ ンー 』(平 成14年 度 修 士 論 文)の 第4章 を も と に,加 筆 ・修 正 を 加 え た も の で あ り, 2003年 度 日本 財 政 学 会 第60回 大 会(関 西 大 学)で 報 告 さ れ た. [参 考 文 献] 岩 崎 恭 典 「都 道 府 県 と政 令 指 定 都 市 ・中核 市 ・特 例 市 制 度 」,『都 市 問 題 』,第92巻 第3号,ppl5-111, 2001. 古 川 章 好 「地 域 別 の 最 適 人 口 規 模 」,『オ イ コ ノ ミ カ 』, 第40巻 第3・4号,pp81-94,2004. 地 方 債 制 度 研 究 会 『地 方 債 の 手 引 き』 平 成11年 度 版, 地 方 財 務 協 会,1999. 松 本 英 昭 『市 町 村 合 併 特 例 法 改 正 の す べ て 』,ぎ ょ う せ い,2000. 横 道 清 孝 ・和 田 公 雄 「平 成 の 市 町 村 合 併 の 実 証 的 分 析 (上)」,『 自 治 研 究 』,VoL922,ppl10-123,2001. 横 道 清 孝 ・和 田 公 雄 「平 成 の 市 町 村 合 併 の 実 証 的 分 析 (下)」,『 自 治 研 究 』,VoL929,pp118-129,2001. 吉 村 弘 『最 適 都 市 規 模 と市 町 村 合 併 』,東 洋 経 済 新 報 社,1999. [用 い た資 料] 市 町 村 自治研 究 会 『全 国 市 町村 要 覧』(平 成12年 版), 第 一法 規 出版,2000. 地 方 財 政調 査 研 究 会 『地 方財 政 統 計 年報 』(平成13年 版),地 方 財 務協 会,2001. 文 書 事 務 管 理研 究 会 『地 方 自治 便 覧』(2000年 版) (2001年 版)地 方 財 務 協 会. 地 方 財 政制 度 研 究 会 『地 方財 政 要 覧』(2001年 版),地 方 財務 協 会. 愛 知 県 市 町村 広域 行 政研 究 会 『望 ま しい広 域 行 政 の 在 り方 につ い て(提 言)』,1999. 愛 知 県 市 町村 合 併 推 進 要 綱 検 討 委 員 会 『愛 知 県 にお ける市 町村 合 併 の推 進 につ い て(提 言)』,2000. 愛 知 県 市 町村 合 併 推 進 要 綱 検 討 委 員 会 『愛 知 県 市 町 村 合併 推 進 要 綱』,2000. 愛 知 県 市 町村 合 併 支援 本 部 『愛 知 県市 町村 合 併 支 援 本 部 設置 要 綱』,2001. 愛 知 県 市 町村 合 併 支 援 本 部 『平 成13年 度愛 知 県 市 町 村 合 併 支 援 方 針 』,2001. 愛 知 県 市 町 村 広 域 行 政 研 究 会 『「広 域 行 政 」 へ の 取 組 み に つ い て 』,VoL3-VoL6,愛 知 県 ・財 団 法 人 愛 知 県 市 町 村 振 興 協 会,1999. 愛 知 県 総 務 部 地 方 課 『市 町 村 行 財 政 の あ ら ま し』 平 成 12年1月,愛 知 県,2000. 愛 知 県 総 務 部 市 町 村 課 『市 町 村 行 財 政 の あ ら ま し』平 成13年1月,愛 知 県,2001. 豊 川 市 ・音 羽 町 ・一 宮 町 ・小 坂 井 町 ・御 津 町 合 併 協 議 会 『豊 川 市 ・音 羽 町 ・一 宮 町 ・小 坂 井 町 ・御 津 町 合 併 協 議 会 ホ ー ム ペ ー ジ 』(http://www.1shi 4cho.jp/):2001年 時 点. 渥 美 郡3町 合 併 協 議 会 『渥 美 郡 合 併 問 題 研 究 会 検 討 結 果 報 告 』,2001. (2005年8月1日 受 領)

参照

関連したドキュメント

・古紙回収 2,976人 いびがわミズみずエコステーション. ・ごみ堆肥化ステーション

■実 施 日: 2014年5月~2017年3月.. ■実施場所: 福島県

※1 13市町村とは、飯舘村,いわき市,大熊町,葛尾村, 川内村,川俣町,田村市,富岡町,浪江町,楢葉町, 広野町, 双葉町, 南相馬市.

当法人は、40 年以上の任意団体での活動を経て 2019 年に NPO 法人となりました。島根県大田市大 森町に所在しており、この町は

八王子市の一部 (中央自動車道以北で国道16号線以西の区域) 、青梅市、あきる野市、日の出町、檜原村及び奥多摩町 3 管理の目標.

■実 施 日: 2014年5月~2017年3月.. ■実施場所: 福島県

■実 施 日: 2014年5月~2017年3月.. ■実施場所: 福島県

(水道)各年の区市町村別年平均日揚水量データに、H18 時点に現存 する水道水源井の区市町村ごとの揚水比率を乗じて、メッ