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音楽科の指導 と評価の在 り方
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小 野 文 子
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音楽科指導,評価,方法
平成
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年 に教育課程審議会か ら出された答申及び平成
1
3
年 に文部科学省か ら出された通知を受けて,現行の指導要領
に改訂 された。 これは教育現場に,評価 に対す る関心 を高め るきっかけとなった。本稿では,音楽科の指導 と評価の在
り方について述べてみたい。
1.
は
じ め に
音楽活動は,幼稚園 ・小学校 と連続 して子供達が楽 し
む対象であると感 じるが,やはり発達の違いがあ り,〟
見活動 内容が同 じに見えても,例えば小学校 1年生の頃
は,同級生の声を聴かず 自分だけで唄 って しまうという
傾向が多 く見 られ る。それが,小学校2年生になる頃に
は,同級生の声 も聴 きなが ら一緒に歩調を合わせて歌 っ
ていこうという変化が見 られ るようになる。
そう した意味において,扱 う曲が同 じであ っても, ま
た,活動は似 ていた としても,その子供たちの活動の質
は徐 々に変化す ることになる。そのようなことに配慮 し
なが ら,学校 に入 ったか らといって難 しい内容を行 うの
ではなく,楽 しい活動か ら入り,子供達の活動の質が徐 々
に向上す るのをね らいとす ることが必要であろう。
2.
新 しい学習指導要領
平成
1
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年 に改訂 された学習指導要領が全面的に実施 さ
れだ して約 2年が経過 した。
この学習指導要領は
,2
1
世紀を展望 した我が国の教育
の在 り方について,変化の激 しいこれか らの社会 におい
て,「ゆとり」の中で 「生 きる力」をは ぐくむ ことを重
視す ることを提言 している。 この 「生きる力」について,
中央審議会は 「これか らの子供達に必要 となるのは,い
かに社会が変化 しようと, 自分で課題を見つけ, 自ら学
び, 自ら考え,主体的に判断 し,行動 し,よりよ く問題
を解決す る資質や能力であ り, また, 自らを律 しつつ,
他人と共に協調 し,他人を思いや る心や感動す る心など,
豊かな人間性である。」 と考えた。「た くま しく生きるた
めの健康や体力が不可欠であることは言 うまでもない」
と述べている。
また,「生 きる力」は,単 に学校だけで育成 され るも
のでなく,学校 ・家庭 ・地域社会におけるバランスのと
れた教育を通 しては ぐくまれ る。そ して,完全学校週5
日制の下で,「ゆとり」ある教育 を編成 し,「生きる力」
を育成す るためには,教育内容の厳選が是非 とも必要で
あると している。
今回改訂の 「生 きる力」を貴重とした学力のとらえ方
は,新 しい学力観を発展 させた ものであ り, このような
音楽の授業の在 り方を見直す ことを求めている。
従前の音楽の授業では,個 々の楽曲を授業の中で丁寧
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小 野 文 子
に教えてい くことによって,子 どもの音楽 とのかかわ り
における 「自ら学び, 自ら考え る力」,す なわち音楽的
な自立を育成 しようと してきた。 しか し,現実は1時間
の授業の中で,子供が 自ら考え課題を自ら追求す るとい
う音楽活動が,十分進め られていない面 も見 られた。例
えば,男子児童が音楽が嫌いということの原因の一つに,
歌唱時のキーが合わ ないということが考え られ る。キー
の合わ ない曲を無理矢理歌わ され る事によ り音楽嫌いに
なる。結局,決め られた楽 曲を与えるのではなく,時に
は好みに応 じた唄いやすい楽曲を選ぶ ことも,小学校時
代 などには大切 なことではないか と感 じる。す なわ ち教
師が 「教えようとす るもの」は,子 どもの 「学びたいも
の」 と常に一致す るわけではない。学習指導要領のめざ
す学力を音楽科において育成す るためには,子 どもが 自
ら楽 しみ なが ら主体的にかかわ ってい くような授業を工
夫 して展開 してい く必要がある。
3.
授 業 の 工 夫
まず第一に,子 どもの意欲を引き出 し高める工夫をす
ることであろう。 子 どもの音楽学習に取 り組 もうとす る
意欲には内容によ って一人ひとりに違いがある。そ うし
た違いを教師は適切に把握 し, どの子 どもも楽 しく音楽
活動に取 り組めるように学習の過程で子 どもを励 ます な
ど工夫 し,音楽的な成長の状況を適切に子 ども達 に伝え
るなど配慮 し,子 ども達一人ひとりの意欲を引き出す様
に積極的に働 きかける必要がある。たとえば,器楽活動
の場合,全員一斉 に鍵盤ハーモニカや リコーダーを吹 く
ことは,演奏の得手 ・不得手が明確 になる。 音楽そのも
のを楽 しむということ, しか もそれを通 じて芸術に関す
る興味 ・関心を持つ ことが 目的であることか ら,少なく
とも適切 な楽器を選ぶ ことが出来 るような配慮が必要で
あろう。
次に,「教 えるべ き事 を教師が しっか り教える場面」
と 「子 どもが主体的に表現す る方法などを追求する場面」
を,指導計画の段階で練 る必要がある。
音楽のように必ず しも一つの表現方法だけが正 しいと
いうわけではない教科 において,普段か ら 「音楽の表現
方法はいろいろあ り, 自分の思いを表現す る方法を見つ
けることが大切」 という立場で子 ども達に指導す ること
が大切であろう。 それは,教師の考えた表現の方法を子
ども達に教え込む ことではない。す なわち,教師には柔
軟 にかつ楽 しく指導す ることが求め られていることであ
る。
4.
音 楽 の 教 科 書
小学校の音楽の教科書における楽曲は,比較的簡単な
曲を歌い,その曲を楽器で演奏す るというように,一つ
の曲で歌唱 と器楽が出来 るように考えてある。 しか し,
子 ども達は, リズ ミカルで楽 しく,かなり躍動感のある
曲をた くさん歌えるようになっている。上手に歌 うので
はなく,楽 しく歌 っている時期であると思われ るが,教
科書における曲を曲想の通 りきちんと歌 うという目標で ,
また,演奏す るためにも平易な曲をということになると,
歌唱も器楽 も両方が充実 しないという結果 となる。子 ど
も達は,歌は楽 しいが,時には躍動感のある曲を楽 しみ
たいのではないだろうか。 しか し,器楽演奏の場合は平易
な曲でないとできない。そこで教師には、平易な曲であっ
ても躍動感のある伴奏の工夫が求め られ ることになる。
歌唱 ・器楽 を一つの題材で行 うことの利点 と問題点に
ついて教師は考え, 目標に合 ったふさわ しい題材の楽曲
を選択す ることは重要であろう。
5.
個 人 内 評 価
平成12年12月に教育課程審議会より出された答申では,
これか らの評価の基本的考え方のポイン トと して,絶対
評価 を一層重視す ると共に,子 ども一人ひとりの良い点
や可能性,進歩の状況を評価す るため,個人内評価を工
夫す ることが明記された。
教師は,授業中の子 どもの学習の状況を適切に把握す
ることによっては じめてその子 どもにあ った指導 ・助言
ができる。子 どもにとって楽 しく,充実感のある授業 と
なるためには,評価活動は重要であろう。 音楽の授業に
おいて,子 どもは自分の音楽活動を自分で把握す ること
は難 しいか らである。
また授業後には,子 どもの学習の様子を振 り返 り,個々
の子 どもの実現状況を把握 し,次の題材へ評価結果 を生
か し次回への指導への手立てを見当す ることが重要であ
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音楽科 の指導 と評価の在 り方
ろう。 す なわち,評価結果を生か して,個々の子 どもに
応 じた授業計画を立てることが重要 となる。
6.
指導に生きる評価
1)子 ども達個 々の実態 に即 して
教師は,子 ども達個 々の実態を知 り,その子 どもの実
態に応 じた具体的なね らいを持たなければならない。文
部科学省は先の通知において,① 「音楽への関心 ・意欲・
態度」-音楽に親 しみ,音楽を進んで表現 し,観賞 しよ
うとす る。② 「音楽的な感受や表現の工夫」-音楽の良
さや美 しさを感 じ取 り,それ らを音楽活動の中で創意工
夫 し,生かす。③ 「表現の技能」-音楽 を表現す るため
の基礎的な技能を身につける。④ 「鑑賞の能力」-・音楽
を楽 しく聴取 ・鑑賞 し,その良さや美 しさを味わ う。 と
いう四つの評価の観点を示 した。
そ こで,子 ども達それぞれの力に応 じたね らいを次の
ようにすえた。
①音楽経験が豊かでなく,音楽の学習に抵抗を感 じて
いる子 どもには,「音楽 を好 きにな り,音楽 の力をつけ
ようとす る努力」
②音楽経験や力はある程度あるが, まだ十分に発揮で
きない子 どもには,「自ら進んで積極的に取 り組み,育
楽の力をつけようとす る意欲をもつ」
③音楽経験が豊かで, 自分の力で音楽をす ることが出
来 ると思われ る子 どもには,「自分の力をさ らに伸ばす
ための努力を し,より進んだ音楽の勉強に取 り組んでみ
ようという意欲をもつ」
2)評価規準
評価規準は題材の 目標を子 どもが どの程度実現 してい
るかを把握す るための 「糸口」であ り,子 どもの学習状
況における 「大体において満足できる状況」 を示す もの
である。す なわ ち, どの子 どもにおいても学べ る, 目標
実現 して欲 しい状況を示 したものと言える。 しか し子 ど
もの学習状況は様 々であ り,「大体 において満足できる
状況」を十分満足 している子 どももいれば,実現 してい
ない子 どももいる。
評価規準設定の 目的は,子 どもを段階的に評価す るこ
とが 目的でなく,評価を通 して子 どもの音楽活動への気
持 ちを教師が十分理解 し,子 どもの立場 に立 った指導を
進めることにある。 この意味にお いて,評価規準の考え
方では,子 どもを評価 したことを評価す ることを 目的と
したものではなく,指導 しなが ら評価 してい くと考える
ことができる。その際,教師は, 自分の指導の仕方が適
切であ ったか,説明や指導内容 ・用意 した教材等が子 ど
も達に十分理解できるものであ ったか,学習内容や教材
に対す る子 ども達の音楽に対す る興味 ・関心、,意欲,十
分に理解す る能力があるか等,学習指導の在 り方を常 に
振 り返 り,検討 しなが ら指導に当たることが大切であろ
う 。
3
)年間指導計画の作成
子 どもの実態 を熟知 している教師は,学校や子 どもの
実態を踏 まえて,題材 ごとの評価規準を立 てた後各題材
でね らう子 どもの資質 ・能力の実現状況を的確に把握 し,
子 どものさ らなる成長を願 う評価結果を指導に生かすた
めに,独 自の年間計画をたてることが重要であろう。 さ
らに,評価結果 を総括す ることで,子どもを育成す るこ
とが出来たかを確認す ることが出来る。
4)授業計画の立案
評価規準 と評価方法を適切に設 けて子 ども達を見てい
くことは,指導の改善を生かすことになる。題材の中で ,
「努力を要す ると判断 され る子 ども」を 「大体 において
満足できる状況」へ と高める指導でなければな らない。
また,「大体 において満足できる状況の子 ども」を 「十
分満足できる状況」へ と高め, さ らに 「十分満足で きる
状況の子 ども」をより良い状態へ高め,深める指導へ と
つ なが るもので なければならない。
評価活動は,常に教師の指導の在り方や方向を反省的
に見つめなが ら改善す ることに大 いに役立 ち,授業計画
の立案 と実施 に生かされ ることになる。
7.
お わ
り に
本来子 どもたちは音楽が好 きである。子 どもが学習内
容や活動に興味が持てず意欲的に取り組め ないのであれ
ばその責任は教師の指導方法にあ ると言えよう。
今後の公立学校 にあ っては,その責務 と して,子 ども
の学習,学校の教育内容 と教育方法について,その改善
と向上のための学習評価,授業評価,を正 当に実施す る
ことが重要であろう。
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小 野 文 子
そのためには,子 どもの学習状況の的確 な把握 とその
解釈をす ること,そ して,授業評価 を実施 し,次に授業
評価の蓄積 による年間指導計画へ と,その連関性をもた
せ ることが重要であると考える。
参
考
文
献
1)高須- :学習指導要領のね らいを実現す る指導 と評
価の充実,初等教育資料
(
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年)
2)高須- :評価の視点か らとらえた音楽科の指導の在
り方
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