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Mycobacterium avium complex に対する sitafloxacin のMIC測定と肺非結核性抗酸菌症治療への応用

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Academic year: 2021

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(1)

〈短 報〉

Mycobacterium avium complex

に対する

VLWDÀR[DFLQ

MIC

測定と

肺非結核性抗酸菌症治療への応用

藤田昌樹

1

・松本武格

1

・平野涼介

1

・原田英治

2

池亀 聡

2

・中西洋一

2

・渡辺憲太朗

1 1福岡大学医学部呼吸器内科学 2九州大学胸部疾患研究施設 (2014 年 9 月 12 日受付) 肺非結核性抗酸菌症は内科的治療に難渋する疾患である。現在の標準的治療には 限界があり,新規薬剤の応用が必要になると考えられる。フルオロキノロン系抗菌薬 は候補の一つと考えられる。肺非結核性抗酸菌症に対するVLWDÀR[DFLQ(STFX)の有 用性を検討した。まず MIC を測定した。フルオロキノロン系抗菌薬の中でも STFX, PR[LÀR[DFLQ(MFLX)JDWLÀR[DFLQ(GFLX) の MIC が 低 く, JDUHQR[DFLQ(GRNX), WRVXÀR[DFLQ(TFLX)などは MIC が高い傾向であった。これらの結果をもとに,STFX を用いて,肺Mycobacterium avium-intracellulareFRPSOH[(MAC)MAC症2症例に対 して治療を行った。症状,画像とも改善が得られた。有害事象は軽微であった。STFX は MAC に対して優れた抗菌活性を有する薬剤と考えられ,肺 MAC 症に対する有望 な薬剤と考えられた。 近 年 肺 Mycobacterium avium-intracellulare FRPSOH[(MAC)症の頻度が増加している1)。診 断基準として,2007 年アメリカ胸部学会(ATS)/ アメリカ感染症学会(IDSA)から改定版が発表さ れ2),我が国でも日本結核病学会と日本呼吸器学 会が合同で,ATS/IDSA ガイドラインに準拠した 2008 年改訂版を発表した3)。診断面では進歩が認 められているが,治療法ではFODULWKURP\FLQ(CAM) の導入以降は,明らかな進歩が得られていない。 一般的には MAC 症に対しては抗結核薬(ULIDPSLFLQ (RFP)HWKDPEXWRO(EB)VWUHSWRP\FLQ(SM) など) の 2∼3 剤と CAM を組み合わせて 18 ヶ月以上,ま たは喀痰排菌が陰性になってから 1 年以上投与を 行う。原田の報告では,MAC 症の初回治療の場 合,排菌の陰性化は約 80%, 画像上の改善も約 70% に得られているが,排菌が陰性化した症例で も 5 年後には約半数に再発がみられる。重症例で は 20 例中 13 例(65%)が死亡している4)。このよ うに治療に難渋しているのが現状である。また, 再発後の治療については,一般的なコンセンサス は得られていないが,OHYRÀR[DFLQ(LVFX)など のフルオロキノロン系抗菌薬が選択されることも 多い。 6LWDÀR[DFLQ(STFX)は 2008 年に発売されたフ

(2)

ルオロキノロン系抗菌薬であり,以下の特徴を有 する。好気性,偏性嫌気性のグラム陽性菌,グラ ム陰性菌から非定型菌にまで及ぶ幅広い抗菌スペ クトルを有し,その抗菌力は,従来のキノロン系 薬に比較して強力である。この抗菌力の強さは, 細菌の DNA 複製に必須の酵素である DNA ジャイ レース及びトポイソメラーゼⅣの両酵素に対して 高い阻害活性を示すことに基づく。STFX は,キ ノロン耐性肺炎球菌に対しても抗菌力を示すこと に加え,近年世界的に耐性化が問題となりつつあ るキノロン耐性大腸菌に対しても強い抗菌力を 持っている。MAC 症に対してもin vitroでは日常 診療で良く使用されている LVFX より強い抗菌活 性を示し,JDWLÀR[DFLQ(GFLX)と同様の MIC を示 すことが報告されている5)。STFX を LVFX に代 えて使用することが可能ではないかと推測された。 MAC 症例での,STFXを中心としたフルオロキノ ロン系抗菌薬の MIC を測定し,また STFX を使用 して治療を行った症例を経験したので報告する。

MIC測定

(1)菌株 当院において分離された未治療 MAC 症菌株,

Mycobacterium avium 8 株, Mycobacterium intracellulare 8株を使用した。菌種同定はPCR法 で行った。 (2)MIC測定 これらの菌株を対象に微量液体希釈法,%URWK0,& NTM 法(極東製薬工業)に準じて最小発育阻止濃 度(PLQLPXPLQKLELWRU\FRQFHQWUDWLRQ0,&)を測 定した6)。本研究では極東製薬工業に依頼し,フル オロキノロン MIC を測定するため,FLSURÀR[DFLQ (CPFX) *)/; JDUHQR[DFLQ(GRNX), LVFX, PR[LÀR[DFLQ(MFLX)VSDUÀR[DFLQ(SPFX), STFX, WRVXÀR[DFLQ(TFLX)の薬剤固着マイクロプレー トを作成した。試験薬剤濃度は 2 倍希釈による 0.12∼128 ȝJPO までの 11 濃度(0.12, 0.25, 0.5, 1, 2, 4, 8, 16, 32, 64, 128)とした。 図1. 肺MAC症臨床株16株に対する各薬剤のMIC

(3)

小川培地で発育した 4 週間以内の新鮮な菌コロ ニーを,0LGGOHEURRN+EURWK 液体培地含有のマ イコビーズ(極東製薬工業)に接種し,37°C にて 培地濁度が0F)DUODQG1R に相当するまで 3∼5 日間培養した。その後,菌液を0F)DUODQG1R 度に光学的に調整し,菌液 110 ȝO を PO の滅菌蒸 留水に加え接種菌液とした。薬剤固着マイクロプ レートに 100 ȝO ずつ分注した。次いでマイクロプ レートが乾燥しないように蓋をして,37°C にて培 養した。培養 7 日目に肉眼的に有意の菌発育が認 められない最小薬剤濃度を,供試菌に対する MIC として判定した。 (3)結果 MAC 症臨床分離株 16株について検討した MIC を(図 1)に 示 す。MIC50 (ȝJPO) は,&3); *)/;*51;/9);0)/;63); 67);7)/; であった。

症例呈示

症例1:64 歳,女性。M. avium 症,再発症例。 67);0,&ȝJPO。EBによるアレルギー症状あり。 RFP 450 mg/日+CAM 800 mg/日+STFX 100 mg/日 による治療を 1 年 6 か月間使用した。症状は開始 時から軽微であり変化を認めなかったが,画像の 改善,喀痰培養の陰性化が一時得られた。STFX 図2. 投与症例 症例1 A:投与前胸部X線写真および胸部CT B:投与後胸部X線写真および胸部CT。左舌区の浸潤陰影の改善が得られた。

(4)

治療終了後の CT を図 2 に示す。一部は悪化する も,左舌区の浸潤陰影の改善が得られている。明 らかな有害事象はなかった。 症例2:65歳,女性。M. avium症,67);0,& 2 ȝJPO。前医にて治療(RFP+EB+CAM)導入 され,治療は奏効していたが,2 か月後にうつ症 状発症し,自殺企図のため治療が中断された。そ の後,MAC 症に伴う症状などの悪化は認められ なかったものの,画像所見が悪化してきたため, 治 療 再 開 し た。RFP 450 mg/日+EB 750 mg/日+ STFX 100 mg/日投与し,画像の改善(空洞の縮 小)が得られた。喀痰は治療前から陰性だった。 画像上改善が得られ,本人の希望により,6 か月 で使用を中止した。明らかな有害事象はなかった。 以上の症例のまとめを表 1 に示す。

考察

MAC 症は慢性経過をたどる疾患であり,初期 治療後も再発がしばしば経験される。その際に LVFX などのフルオロキノロン系抗菌薬がしばし ば使用される。今回,MAC 症未治療患者からの 菌株でフルオロキノロン系抗菌薬に対する MIC を測定した。今回の検討では,フルオロキノロン 系抗菌薬のなかでも非結核性抗酸菌症に対する抗 菌 活 性 が 良 好 な 抗 菌 薬 の 存 在 が 推 測 さ れ た。 STFX, MFLX, GFLX は優れた抗菌活性を有する 薬剤と考えられた。逆に,GRNX, TFLX は MIC が 高かった。 また,我々は GFLX を使用した MAC 症に対する 臨床研究を行っており,今回検討した菌株のなか では,GFLX を使用した症例 7 株を含んでいる7)。 GFLX の臨床効果と,MIC測定結果より効果が得 られた症例は 5 例(MICは 0.5 ȝJPO:2 株,1 ȝJPO:

2 株,2 ȝJPO:1株)で,効果が認められなかった 症例は 2 例(MIC は 1 ȝJPO:1 株,32 ȝJPO:1 株)

であった。臨床効果との関連については菌株数が 少なく参照程度にしかならないが,MIC と臨床効 果の関連も推測された。今後肺 MAC 症の治療に おいて薬剤感受性試験の結果が参照になるかどう か,症例を蓄積し臨床効果との相関についても併 せて検討すべきと思われた。 我々は,以 前 RFP と EB に加えるもう一つの薬 剤として,GFLX と CAM を比較検討する臨床試験 を行い,GFLX と CAM 群で同程度の成績が得ら れた事を報告した5)。臨床試験の結果から,CAM 耐性の場合には,GFLX の使用も代替薬剤として 考慮できると考えられた。高血糖の副作用が問題 表1. 投与症例のまとめ

(5)

となり,GFLX は発売中止となったが,本研究の 結果から考慮して,GFLX の代替薬として STFX, MFLXなどが使用可能と考えられた。実際にSTFX を 2 例の肺 MAC 症に対して使用した。STFX は肺 非結核性抗酸菌症に対しては保険適応外の使用だ が,今回はパイロットケースであり,倫理審査を 受けていない8)。2 例の肺 MAC 症に対しては,治 療にある程度反応が認められた。重篤な有害事象 を認めなかった。再発症例や CAM が使用できな い症例などの難治症例では STFX の使用を検討す る価値があると考えられた。

まとめ

MAC 症未治療患者からの菌株でフルオロキノ ロン系抗菌薬の MIC を測定したところ,非結核性 抗酸菌症に対して抗菌活性が良好な抗菌薬の存在 が推測された。STFX, MFLX, GFLX は優れた抗 菌活性を有する薬剤と考えられた。実際臨床上の 効 果 も MAC 症 に 対 し て 得 ら れ た。再 発 症 例, CAM が使用できない症例などの難治症例では使 用を検討する価値があると考えられた。しかしな がら,MAC 症治療には,長期間の治療が必要と されるので耐性誘導化および他病原菌への耐性の 問題が憂慮される8)。薬剤耐性化の監視を併せて 行っていく必要性があると思われた。 謝辞 薬剤の原末を供与していただきました各薬剤 メーカーに深謝いたします。

文献

1)露 口 一 成,鈴 木 克 洋:肺M. aviumFRPSOH[ MAC)症の診断と最近の動向。日本胸部臨床 548, 2007

2 GRIFFITH, D. E.; T. AKSAMIT, B. A. BROWN-ELLIOTT,

et al.$QRI¿FLDO$76,'6$VWDWHPHQWGLDJQRVLV

WUHDWPHQW DQG SUHYHQWLRQ RI QRQWXEHUFXORXV P\FREDFWHULDOGLVHDVHV$P-5HVSLU&ULW&DUH 0HG416, 2007 3)日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会: 肺非結核性抗酸菌症診断に関する指針─2008 年。結核526, 2008 4)原田 進:肺非定型抗酸菌症の化学療法―ニュー マクロライド剤,ニューキノロン剤,MAC の治療の現状―。結核544, 1996

5 TOMIOKA, H.; K. SATO, T. AKAKI, et al.

&RPSDUDWLYHin vitroDQWLPLFURELDODFWLYLWLHVRI WKH QHZO\ V\QWKHVL]HG TXLQRORQH +65 VLWDÀR[DFLQ'8D JDWLÀR[DFLQ$0 1155DQGOHYRÀR[DFLQDJDLQVWMycobacterium tuberculosisDQGMycobacterium aviumFRPSOH[ $QWLPLFURE$JHQWV&KHPRWKHU3004, 1999 6)河田典子,河原 伸,多田敦彦,他:%URWK MIC NTMを用いた非結核性抗酸菌の薬剤感 受性についての検討。結核335, 2006

7 FUJITA, M.; A. KAJIKI, Y. TAO, et al.7KHFOLQLFDO

HI¿FDF\ DQG VDIHW\ RI D ÀXRURTXLQRORQH FRQWDLQLQJUHJLPHQIRUSXOPRQDU\0$&GLVHDVH -,QIHFW&KHPRWKHU151, 2012

8)日本結核病学会治療委員会・社会保険委員 会・抗酸菌検査法検討委員会:薬剤耐性結核 の医療に関する提言。528, 2011

(6)

0HDVXUHPHQWRIVLWDÀR[DFLQ0,&IRU

Mycobacterium avium

FRPSOH[DQGDSSOLFDWLRQIRUWUHDWPHQWRISXOPRQDU\

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参照

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