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ベアレント・トレーニング実施者養成のための体験型研修の検討
人間教育専攻
臨床心理士養成コース
池 間 直 樹
1. 問題と目的
育児をしている親の多くは,発達障害や知的
障害の有無にかかわらず,育児に対して不安や
ストレスを感じている(服部・原因, 1990;牧野,
1982)。そのような育児不安やストレスは子ど
もへの不適切な対応や児童虐待へと繋がること
もあり,予防的な観点からも子育て支援は重要
である。厚生労働省 (2012)は,児童虐待の対
策として「虐待に至る前に気になるレベルで適
切な支援が必要」と述べている。このような子
育て支援の具体的な施策の一つにベアレント・
トレーニンクマ(以下, PT)がある。
PT
は応用行動分析の考え方を用いて,親に
子どもの問題行動への関わり方を教えるトレー
ニングで、ある。先行研究から
PT
の期短は,養
育者のストレスや抑うつに効果があることが分
かつており(福田 ・中藤・本多・興津, 2005;免
田, 2007),実践の場が広がってきている。
しかし,
PT
を実施する上での課題も挙げら
れている。高尾 (2015)は,その課題のーっと
して
PT
参加希望者が多く,希望者とトレーニ
ングの機会との聞に数的差異があると述べてい
る。このことから, トレーニングの機会を増や
すために
PT
を実施できるスタッフの増員は必
要となる。しかし
PT
の実施するスタッフには
ある程度の専門的な知識とファシリテートする
能力が必要となるため,
PT
が実施できるスタ
ッフを増やすためにはスタッフ研修について改
指導教員 小 倉 正義
めて検言すすることが必要である。
そこで本研究では,
PT
を実施するスタッフ
研修の効果を検言村ることを目的とし,①大学
院生に対するスタッフ研修前後の質問紙調査と
PTを実施している者へのインタビュー調査,
②児童福制茄設の職員で
PT
の実施を控えた者
に対するスタッフ研修前後の質問紙調査を行う。
2.研究 I 大学院生への質問紙調査と実践家
へのインタビュー調査
(I) 目的
大学院生に対する質問紙調査でスタップ研修
の効果を検討し,同様の研修を受け,
PT
を実施
している者へのインタビュー調査によって研修
と実践の場との違いを検討する。
(2) 方法
①対象
:A
県内の大判完生で,
PT
の基礎と実践
を目的とした講義を受講した
8
名を対象に質問
紙調査を実施した。また,同様の講義を受けた
経験があり,現在
PT
を実施している 1名を対
象にインタビュー調査を実施した。
②調査内容
質問紙調査:大判完生に対して,①志賀 (1983)
が邦訳し, 25項目に短縮した KBPACから筆
者が抽出した6項目,②木曽包012)の作成し
た保護者支援困英訳度の6項目,③長谷川 ・福
井 匂
008)の作成した子育て支援のセルフ・エ
フィカシー尺度から27項目,
PT
実施について
の各
3
項目,不安の内容についての自由記述の
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1
項目,計
43
項目からなる質問紙を作成し,回
答を求めた。
インタビュー調査:半構造化面接を行い,
PT
の
講義と実践の場との違いや実際に講義が役に立
ったことなどについて自由に語っていただし、た。
その後,逐語録を作成し,口語体を文語体にし
てまとめた。
(訪結果と考察
質問紙の各項目について,符号付順位和検定
を実施した。その結果,
PT
の研修の前後で応用
行動分析の知翻獲得を評価する項目と子育て支
援の自己効力感については
5%
水準で点数の上
昇に有意差がみられた。また各因子では家庭
問題に対する支援」と「支援環境の整備」が
5%
有意水準で点数の上昇に有意差がみられた。大
判完生への質問紙調査では自己効力感について
は藤原ら (2014)の研究よりも少なし、研修回数
で同様の結果が得られた。そのことからスタッ
フ研修の回数について,より少ない回数の実施
でも知詰糠得や効力感の向上に効果があること
が示唆された。
またインタビュー調査から,研修の利点とし
て,参加者の気持ちがわかること,実践の違い
として研修ではファシリテーション体験が少な
いこと,実践でワークを実施したときに盛り上
がりが違うことなどが挙げられた。そのことか
ら体験型研修は
PT
参加晴の気持ちは共感しや
すしL しかし,実施者としての体験には乏しい
ため,今後の体験型研修において,実施者とし
ての体験も内容に必要であることが考えられた。
3
.
研究
l
l
:
児童福布団信生の職員への質問紙調
査
(1) 目的
児童福祉施設の職員に対して,
PT
のスタッ
フ研修を実施したことでどのような効果がみら
れるのかを検討する。
(2) 方法
①対象
:A
県内の児童福松茄設の職員で
PT
の
スタッフ研修を受けた 10名を対象に実施した。
②調査内容:①木曽(2012)の作成した保護者支
援困難尺度の各6項目,②
I
P
T
実施についての
3
項目,③不安の内容についての自由記述の
1
項目,計 10項目からなる質問紙を作成し,回
答を求めた。
(3) 結果と考察
質問紙の各項目について,符号イ寸
l
樹立和検定
を実施した。その結果,いずれの項目でも有意
差はみられなかった。しかし,
PT
実施の不安に
関して,研修の前後で生じている不安の内容は
異なった。そのため,
PT
のスタップ研修によっ
て不安は軽減したが,新たに生じた
PT
を実施
する不安によって,打ち消し合い,不安に変化
がみられなかったことが考えられた。
4
.
総合考察
(1) 本研究のまとめ
本研究から,
PT
の課題解決に向けたスタッ
フの増員として,
PT
の質を保持するために,応
用行動分析の知樹獲得を一つの指標にできるこ
とが示唆された。
また体験型研修では,
PT
を実施する側の体
験が乏しく,研究
I
と研究
H
において不安の変
化がみられなかったことからスタッフ増員に向
けた
PT
実施者の軍機づけとし、う観点から研修
の回数や内容について再検言材3必要だと考えら
れた。
(2) 今後の課題
今回の質問紙調査において,
PT
のスタッフ研
修の目的とは違った副次的な効果を検討する質
問紙を使用した。そのため, 目的に沿った質問
紙の使用とその効果の検討が求められる。