ゲーム活動の保存を指向した学習ゲーム生成法
梅津孝信合1.2, 平嶋宗*Z, 竹内章*1 合1 九州工業大学情報工学部,勺広島大学大学院工学研究科 あらまし.本格では学習グームの生成法として,既存のカードゲームをそのグーム活動の特徴を残 したまま学習ゲームへと変更する手順を提案する.カードグームは「ルールに従いカードを操作す るゲーム」であるので,ゲーム活動を規定するのはルールであるといえる.したがって,ルールを 保存しつつカードを学習要素に変更することができれば,もとのゲーム活動の特徴が保存されると 共に,学習要素の操作を通した学習が期待できる.この手法の説明と,手法に基づき開発した学習 ゲーム生成システムとその実験的評価について報告する.A
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1. はじめに 本稿は,既存のカードゲームを学習ゲームへと 作り変える方法を提案するものである. 学習ゲームとは,高い動機付けの元で学習を行 わせることを目的とし,ゲーム形式で学習を行わ せるものである.人の学習における動機付けの重 要性は様々な観点より指摘されており,これまで にも数多くの学習ゲームが開発され,その有効性 が実証されている. しかしながら,事例としての学習ゲームは多数 作製されているものの,その作製方法については 十分な議論がなされていない.そのため学習ゲー ムの作製は,依然として作製者が経験や直感に基 づいて行っているのが現状である. 経験や直感に基づいて作製された,単なる事例 としての学習ゲームの提示を行うだけでは,その 事例の中に存在する共有すべき情報が暗黙的なも のであるため,その再利用が困難である.その事 例としての学習ゲームが高い動機付け効果を持ち, 高い学習効果を持っていたとしても,そこに存在 する条件や環境,制約や構成が,厳密に定義され た概念を用いて明示化されていなければ,高い効 果を持ちえた要因が説明できない.この説明の不 足は,その事例の運用や改良,そして別の事例へ の応用に問題をもたらすことになる. 筆者らは,このような問題意識の元に,学習ゲ ームのための知識を構築していくことを目的とし て,学習ゲーム作製手順の定式化を試みている. 作製が対象の構造を決定していく行為であるなら, 作製手順とは対象の構造のあるべき姿を厳密に定 義された概念を用いて作製者に示すものだといえ る.そのため, f特製手順の定式化を通して,学習 ゲームとは何であるか,なぜ動機付け効果や学習 効果を持ちえるのかを説明するための知識を構築 することができると考えた. 本稿は,その研究のーっとして,人の経験や直 感に頼らず学習ゲームを生成可能なプロパティ交 換法を提案する.これは,既存のカードゲームに 対し,その特徴を保存しつつ学習要素を組み込む ことで,学習ゲームを生成する方法である. ここでのカードゲームとは, rプレイヤーがルー ルに従いカードを操作するゲームj のことを指す. このカードゲームにおいて,カードは様々な性質 を持っており,ルールはその性質を利用してゲー ムを進行させる.しかし,カード、の持っている性 質はその全てがゲーム中に使われるわけではない.
そのため,全く同じカードでなくとも,ゲームで 使われる性質さえ全て持っているカードであれば, 同じようにゲームで使用可能となると考えた. 一方,学習において,ある概念の性質を記憶す ることが求められることがある.例えば化学では, リチウム元素という概念の周期や族,元素記号な どを記憶することが求められる.もしこれらの概 念が,カードゲームで使われるカードと同様に, ゲームで使われる性質を全て持っているならば, その概念を使ってゲームを行うことが可能となる と考えた.このゲームではカードの代わりに概合、 を操作することになるが,それは元のカードを操 作する活動と同じものとなる.よってこのゲーム は,元のカードゲームの特徴を受け継いだゲーム となることが期待できる.また,このゲームをプ レイする活動は,概念を操作する活動を含むため, その概念を記憶する学習に寄与するゲームとなる ことが期待できる. 本稿では,このプロパティ交換法と,その応用 事例である学習ゲーム生成、ンステムについて説明 する.また,プロパティ交換法の評価についても 説明する. 2. 学習ゲーム作製法 高い動機付けを実現するために学習ゲームは有 効であると言われているものの,学習効果だけで なく動機付けにも考慮しなければならないため, その作製は難しいものであった.そのため,その 困難さを軽減するために様々な手法が提案されて いる.本章では,それら従来の手法と本稿で提案 する手法を f作製される学習ゲームの特徴J と「作 製のために必要な作業」の二点から説明する. Malone は,学習に対して内発的動機付けを発 生させるという特徴を持った学習ゲームを作製す る方法を提案した(1).対象に制約はなく,どのよ うな種類の学習ゲームでも作製することが可能な 手法である. Malone は, rゲームのfレールが習得 すべき知識と閉じとなるようにする J か「ゲーム で必要とされる技術が習得すべき技術と同じとな るようにする J ことで「学習に対して内発的動機 付けを発生させる J ことができると主張している. しかし, rゲームのルールが習得すべき知識と閉じ となるようにする J rゲームで必要とされる技術が 習得すべき技術と同じとなるようにする J ための 方法までは提示されておらず,作製にはその方法 を考えるという作業が必要となる.また,これ以 外に作製作業については言及されていないため, そのほかの作業も作製者が独力で行うこととなる. Hal1fは,学習者が正しい順序で学習を行うこ とのできる学習ゲームの作製法を提案した[2]. こ の作製法では,アドベンチャーゲームという形式 の学習ゲームを作製することができる.この文献 では,アドベンチャーゲームを,架空世界で自分 の分身を操作するもので,分身の行動で架空世界 に影響を及ぼすことにより与えられた目標を達成 する形式のゲームだと定義している.この手法で は,ゲームで与える架空世界をいくつかの場所に 区切り,その区切り一つにつき,一つの学習すべ き事柄を学ぶことができるようにする.その上で, プレイヤーが操作する分身は,その区切りを自由 に越えられないようにしておき,学習するために 前提となる事柄を学んでいる場合に限りその場所 に入ることができるようにする.この移動制限に よって,学習順序を守らせるのがこの手法である. しかし,区切り内でどのようにして学習を行わせ るのか,またどのようにして高い動機付け効果を 実現するのかなど,アドベンチャーゲームにする こととその移動制限以外の部分に関しては,作製 者が考えなくてはならない手法となっている. 林らは, FDCA 法という学習ゲーム作製法を提 案した [3J. この作製法では,インタフェース型と いう,インタフェース部分だけがゲーム形式で他 は通常の CAI となる学習ゲームを作製すること ができる. FDCA 法は,もし,インタフェースそ れ自体がゲームとして認められるものと,通常の CAI を用意することができたならば, CAI の入出 力をそのインタフェースの形式に変換して両者を 繋ぐことによって,インタフェース型の学習ゲー ムを作製できると主張するものとなっている.こ の作製法では, CAI 部分は既存のものを用いるこ とができる. しかし,それ自体がゲームとして認 められるインタフェースとはどのようなものであ るか,それをどのように用意するのかについては 触れられておらず,作製者が考えなければならな い.また, CAI の入出力をそのインタフェースの 形式に変換する作業を行う方法は述べられておら ず,その方法を考える作業も作製者に要求される. また,筆者らが提案した作製法として,部分構 造交換法がある [4]. この作製法では,既存のゲー ムによく似た学習ゲームを作製することができる. また,この手法で作製される学習ゲームは,対象 を記憶する学習を行わせるものとなる.この作製 法で行う作業だが,まず,既存のゲームと記憶さ せたい学習要素を用意する必要がある.次に,既 存ゲームを,ゲームで使われる道具と,その道具 を操作するルールに分ける.もしこのとき,記憶 させたい学習要素が,ゲームで使われる道具とよ く似ていたならば,道具の代わりに学習要素をグ
-129-ームに用いることで,元のゲームに似た学習ゲー ムを作製することができると主張している.しか し,代わりに用いることができるほど道具と学習 要素が似ていると判断する条件については,この 作製法では述べられておらず,作製者が事例ごと に考えなければならないものとなっている. このように従来法では,作製作業の部分部分で 参考にはなるものの,依然として多くの作業が定 式化されておらず,作製者に任される形となって いる.そこで本稿では,以前提案した部分交換法 を発展させ,さらなる定式化を行ったプロパティ 交換法を提案する.部分構造交換法では,既存の ゲーム全てを対象としていたが,プロパティ交換 法では,より詳細な定式化のため,既存のカード ゲームのみを対象とする.ゲームで使われる道具 をカードと限定することで,道具と学習要素が似 ていると判断する条件について定式化したのがプ ロパティ交換法である.次章で詳しく述べるが, この手法で作製者が行わなければならないのは, 「既存のカードゲームを用意する J r記憶させたい 学習要素を用意する J rそれらの特徴を記述する J という三つの作業だけであり,後は手法に則って 機械的に学習ゲームを実現することができるもの となっている.しかも,特徴の記述作業は,唆昧 なものではなく,必ず一意に決定できるものとな っている.つまり,言い換えるならば,作製全体 を通して唆昧な点がなく,全ての作業が定式化さ れ,機械的に学習ゲームを生成可能な手法となっ ていると筆者らは考えている. 3. プロパティ変換法
3
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概要 既存の力ードゲーム 図1.プロパティ交換法モデル図 プロパティ交換法は,既存のカードゲームに対 し,その特徴を保存しつつ学習要素を組み込むこ とで,学習ゲームを生成する方法である.以下で は,図 1 に示したモデル図にしたがって,プロパ ティ交換法を説明していく. まず,プロパティ交換法で対象とする学習につ いて説明する.学習者は時によってある概念の性 質を記憶することが求められることがある.例え ば化学においてリチウム元素という概念は,周期 が 2 ,族が 1 ,元素記号がLi,電子数が 3 などと いった性質を持っている.これらの性質はリチウ ム元素にまつわる色々な問題に役立っため,記憶 することが求められることがある.本稿では,こ れらの周期や族などをプロパティと,その値であ る 2,1
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データ型 「同じかどうか判断する J r順序を比較する J r計 算する J といった操作がプロパティの値に可能か どうかは,そのプロパティの値聞の関係による. 本稿では,その値聞の関係をデータ型と呼ぶ. Steve闘の測定データの性質分類によれば,値聞 の関係には,名義尺度,順序尺度,間隔尺度,比 例尺度の四種類があると言われている [7]. 以下, それぞれについて説明する. 名義尺度のプロパティの値は,単に他と区別す るために付けられた名前の役割を果たすだけのも のである.複数の値に対し,それらが等しいか等 しくないかを判断することしか出来ない.同名の ものは同じカテゴリに属していることを表すが, 名前の違う複数の値に対して大小や前後の順序比 較をすることや,イ直に対して加算や減算などの計 算をすることに意味はない.そのため,可能な操 作は「同じかどうカ申l断する J だけである.名義 尺度の例として, トランプのマークや,元素の元 素記号などが挙げられる. 順序尺度のプロパティの値聞には,順序関係が 存在する.値聞の間隔は不定だが,その順位が存 在する.そのため,値聞で大小もしくは前後の順 序比較が可能である.しかし,値聞の間隔が不定 のため,加算や減算といった計算をすることに意 味はない.つまり, r順序を比較する J という操作 が可能である.また,順序が比較できるというこ とは同時に「同じかどうか判断する J 操作が可能 であることを意味するため,順序尺度のものは名 義尺度のものを代替可能なデータ型であるとも言 える.順序尺度の例として,実験で行う操作の手 順や,国別の穀物生園頃位などが挙げられる. 間隔尺度のプロパティの値聞には,順序関係が 存在し,かっその値聞に等間隔が保証されている. そのため, r同じかどうか判断する1. r順序を比較 する」操作に加え,間隔尺度の値を用いて「計算 する J ことができる.つまり,間隔尺度は順序尺 度と名義尺度を代替可能なデータ型でもある.感 覚尺度の例として, トランプの数字や元素の電子 数,歴史的な事件の起こった年などが挙げられる. 比例尺度のプロパテイの値聞には,順序と間隔 に加え,比の関係が存在する.そのため, r同じか どうか判断する J , r順序を比較する J , r計算する j という操作に加え, r比を求める」操作が可能であ る.つまり,比例尺度は間隔尺度,順序尺度,名 義尺度を代替可能なデータ型でもある.例を挙げ ると,体重は, 50kg や伺'kg といった値を持つ比 例尺度のプロパティである. 50kg と6Okg,そし て 100kg と 110kg の差はともに 10kg だが, 50kg から 60kg は 20%糟, 100kg から 110kg は 10% 増というように,値聞に比の関係も存在する. 既に述べた通り,ルールが利用しているデータ 型と同じ種類のデータ型のプロパティを持つ概念 セットがあれば,その概念セットと既存のカード セットを交換することで学習ゲームを生成するこ とが出来る.また,閉じ種類でなくても,代替可 能なデータ型のプロパティを概念セットが持つ場 合も同様に交換可能である.例えば順序尺度は名 義尺度でもあるので,ルールが名義尺度を利用し ている場合,順序尺度を持つ概念セットでもオリ ジナノレのカードセットと交換することができる. ただし,ルールが利用するデータ型に対して, 同じ種類のデータ型でなく代替データ型のプロノ号 ティを持つ概念セットを対象とした場合,その概 念、セットを構成する概念同士におけるプロパティ の値の関係については,ルールが利用するデータ 型の関係までしか学習できないことに注意する. 例えば,ルールが名義尺度を利用するのもであっ た場合,概合、セットとして順序尺度や間隔尺度の プロパティを持つものを対象としても,そのカー ドゲームで行われる操作は「値が同じかどうか判 断する J だけであるため,値聞の順序や間隔につ いては学習することができない. 4. プロパティ交換法の応用 ここでは,プロパティ交換法を用いて何が可能 かを示すため,プロパティ交換法に基づき開発し た,学習ゲーム生成システムについて説明する. なおこのシステムは,本稿で体系化した知識がど のように使われ,どのような効用を持っかという ことの可能性を示す応用事例の一つであり,シス テムとしての完成度を主張するものではない. 図 2 にシステム図を示す.このシステムは,入 力したデータによって(心学習ゲーム用のカード セット, (1))計算機上で動く学習ゲーム, (c)学習ゲ ーム用ルール説明書の三種類の出力をすることが できる. (a)学習グーム用のカードセットを出力す るには,(1)学習対象となる概念の情報, ωカード ゲームのカード情報の入力が必要となる.表 1 が (1)の,表 2 が(2)の例にあたる.この入力をもとに, 概念のデータ型とゲームが要求するデータ型を調 べ,プロパティ交換法に従い新しい学習ゲーム用 カードを作成する.例えば,表 1 の「歴史的事件j と表 2 の「カシノ J で学習ゲームを生成する場合, 出力例は『五・三O事件西暦~1925 国=中国j といったカードとなる.この出力は,印刷しカー ドごとに切り離すことで実際の学習ゲームに使用 することができるものとなっている.図 2. システム図
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また,カードセットの情報を外部にファイルで 用意し,それを読み込んで動作するような(3)計算 機上で動くカードゲームアプリケーションを用意 しておけば, (a)学習ゲーム用カードセットの出力 を(3)に読み込ませることで,計算機上で動く学習 ゲームを実現することができる. さらに, (1)(2)に加え(4) カードゲームのルー/レ 説明書を入力すると, G心学習ゲーム用のルール説 明書が出力できる.(4)カードゲームのルール説明 書は,これまで説明してきた,プロパティ,閉じ かどうカ申l断する,などの言葉を使い,特定のカ ードに依存しないようにカードとルールを分離し て書く必要がある.セブンブリッジというカード ゲームのルール説明書の例を図 3 に示す.この(4) fレール説明書に対して, (1)(2)の入力から,ゲーム で使うことになるカード名やプロパティ名がどの ように代わるかを考え,文章中のプロパティなど の言葉を概念のプロパティの名称などに置き換え ることでω学習ゲーム用のノレール説明書を出力 する.この出力の例も図 3 に示す.なお図 3 では, 置き換えが行われた単語を日で囲んでいる.これ は本稿で説明のために付加したものであり,実際 の入出力には存在しない. セブノブリッジのルール (1揖紛 <1Jード, [1J-F"",~トj!:偲濯す. 開ード官升~3(7ロ,.ティI)!:(プロパティ2)!:い封宝置を冊、ています. 『プロパティ IF3踊肋'ltft"r~, r担)~r.(211:t同t;b,どうか単蹄できます. くメ)j,ド, 吋シークエンス($<..園周》 Iブロ " ディ 11')臨舟b百回自レていτIプロパティ2州司域助苛h以上司府→:t!升rす. 2) 'J,ルー'"1(0抽判 31l!b叫量のげロパティ I tJl(IiIl;(t.トドセット1です. 牢習ゲーム{臥.k官7ャノヲ),:/'!JIのJ L,. -JI,.. 也鱒) <1Jード》 直却狛.1キ隆徳、ます. 限期抗事例3(n,:.,r,,$1ヒl向鶴こ4二北.,rct国君主"主問、地レ力質、ど苦う情b申勺て毘告いでまきすま.す. 陛ζ.,r".李~3lMb\比鮫で君 ¢メ')j,ド〉 リンーヲヱノス酔稲田町} 民昼こった隼1')騒患が週間LてUてI起こ勺,ctヨtJI陳;31跡、それは上の隆史眠四巨体Tt7. 2)場ク鋤ル噌ーMプtclh胞に"P)吠年~伺え毘踏切酔rす. 図 3. /レールに関する入出カ 5. プロパティ交換法の評価 本稿の目的は,既存カードゲームを似た学習ゲ ームへと作り変える手順の定式化である.よって 本稿では,プロパティ交換法の評価として,実際 にこの手法で, r単体の事例でなく,複数の学習ゲ ームが生成可能J r対象を覚えるのに役立ち,かっ ゲームであるとユーザが認めるものを生成可能J 「元のゲームの特徴を残したものが生成可能J と いう三つの仮説を検証する.生成されるものの学 習効果と動機付け効果の高低については間わない. 効果についても今後調査する必要があるとは考え ているが,まずは「ユーザが学習ゲームとして認 めるものを生成する J 知識を確立し,効果に関す る知識を積み上げるための土台を確立することが 重要だと考えている. また,生成されるものが高い効果を持つとは限 らないとしても,学習ゲームとして認められるも のを機械的に生成することができるならば,その 学習グームをベースとして調整して,高い効果を 持つ学習ゲームを作製することも考えられる.こ れまでは最低限学習ゲームとして認められるもの を作製する手順すら定式化できていなかったため, このような方法を用いることでも十分に作製の困 難さが軽減されると思われる.5
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学習ゲームの数伝聞する評価 「単体の事例でなく,複数の学習ゲームが生成 可能j かどうかを調べるために, 4 章で開発した 学習ゲーム生成システムを用い,図 2 が示す ω カードと(c)ルール説明書の組の出力でどれだけ の数の学習ゲームを生成できるかを調査した. システムに対する入力として, 5 種のカードゲ ーム(神経衰弱,スピード,カシノ,ファンタン, トリックテイキング)と 4 種の概念(元素,歴史 事件,顕微鏡使用手順,英単語)を用意した.入 カした 5 種のゲームは,ルールが要求しているデ-133-ータ型は全て違うものであり,また 4 種の枇合、に ついてもプロパティのデ}タ型は全て違うものと なっている.これらの入力からは. (心カードとた) ルール説明書の組の出力で 50 個の学習ゲームが 出力された.筆者らはそれぞれの出力を実際にプ レイし,全てがプレイ可能なゲームであることを 確認した.これらの結果から,プロパティ交換法 は「単体の事例でなく,複数の学習ゲームが生成 可能」なものであると考えられる.
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2
学習ゲームの性質に闘する評価 次に. r対象を覚えるのに役立ち,かっゲームで あるとユーザが認めるものを生成可能J r元のゲー ムの特徴を残したものが生成可能J かどうかを調 べるために. 4 章で開発した学習ゲーム生成シス テムを用い,図 2 が示すところのら)計算機上で動 く学習ゲームをいくつか出力し,被験者にプレイ させアンケートを実施した. アンケートの項目は図 4 の通りである. Q2 は ゲームであると認めるかを調べるため.Q4.5 は元 のゲームの特徴を残しているかどうかを調べるた めに用意した.なお,これらは「元ゲームに習熟 した被験者」が判断するのがよいと思われるため, この実験のために適当な被験者を用意した.Q3
は対象を覚えるのに役立つかどうかを調べるため に用意した.また,対象を覚えるのに役立つかど うかは,対象を覚えるという学習がどのようなも のか理解している被験者である方が良い判断がで きると考え. Ql を設定し. Q3 の結果との関係を 見ることとした. プレイしてもらったのは. 3 種の概念(元素, 歴史事件,顕微鏡使用手順)と,カードとルール が独立したトリックテイキング[副というトラン プゲームのアプリケーションを入力することで出 力された .13 種類の学習ゲームである.被験者は, トリックテイキングが好きで日常的にプレイして いる 6 名で,この 6 名のうち 2 名は. Web 上でプ レイできるトリックテイキングにおいて上イ立ラン キングに入っている.そのため,被験者はトリッ クテイキングを好んでおり, トリックテイキング に関して深い知識を持っていると思われる.被験 者がトリックテイキングに類するゲームを理解す るには 2 回プレイする必要があるとのことだった ので.13 種類の各学習ゲームをそれぞれ 2 回ずつ プレイしてもらった. 1 プレイにかかる時間は平 均 5 分で. 1 つの学習ゲームにつき約 10 分,全部 で 130 分の時間学習ゲームを使用してもらった. なお,それぞれの学習ゲームをプレイした後に, 用意した 5 聞のアンケートに答えてもらっている. QI.対象となヲている学習を知っていますか 笹 5 鉾しい 4. やや砕しい 3. どちらでもない Z やや疎い 1 疎い Q2ゲームと患ってプレイで曹寧すか 笹 :5. ゲームと思う 4. ややゲームと息う 3. どちらでもない 2目ややザーム創立遭うと思う 1 ゲームとは遭うと思う Q3. その対象を覚える由にどれだけ役立つと思いますか 答 :5 役立つ 4 やや役立つ 3. どちらでもない 2. やや阻害する 1 阻害する Q4ザーム回特徴肱元ゲームと比ベてどうですか 答 :5. 元と同じ 4. やや元と同じ 3 どちらでもない 2. やや元と遭う1.元と遭う Q5ζの学習ゲームは締官ですか 笹 :5. 好き 4 やや野宮 3. どちらでもない 2. やや蜂い1.蜂い 図 4. アンケート項目 QI-5 のアンケート結果を表 3 に示す.A から M までのアルファベットは出力された 13 個の学 習ゲームを表している.表中の数字は,被験者の 回答に割り振られた数字を数値と考え. 6 人の回 答に対し平均を算出し小数点 2 桁を四捨五入した 値となっている.標準偏差については載せていな いが,ほぽ全ての回答が平均値付近に集中してお り,この平均値は回答の傾向を正しく示している. 表 3. アンケート結果A
B
C DE
F GQl 4
.
7
4
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7
4
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5
4
.
5
4
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5
4
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5
4
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7
Q2 5
5
5
5
5
5
5
Q3 4
.
5
4
.
5
4
.
5
4
.
3
4
.
3
4
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3
4
.
5
Q4 4
.
2
4
.
2
4
.
2
4
.
3
2
2
3
.
5
Q5 4
.
7
4
.
7
4
.
7
4
.
3
2
.
8
2
.
8
4
.
2
H
IJ
K
L
MQl 4
.
7
4
.
5
2
.
5
2
.
5
2
.
5
4
.
8
Q2 5
5
5
5
5
5
Q3 4
.
5
4
.
3
4
.
8
4
.
8
4
.
8
4
.
5
Q4 3
.
5
1.8 4
.
8
4
.
8
4
.
8
4
.
3
Q5 4
.
2
2
4
.
7
4
.
7
4
.
7
4
.
3
アンケート結果について考察する.Q2.
3 の結 果から,全ての学習ゲームにおいて「ゲームと思 う J r学習に役立つj 方向に偏った結果が得られて いることがわかる.これより. r実際にこの手法で, 対象を覚えるのに役立ち,かっゲームであるとユ ーザが認めるものを生成可能J であることが確認 できた.さらに. Ql と Q3 を比べてみると,学習 対象に対して詳しいかどうかはその評価に影響を 及ぼさないことがわかる.これは,プロパティ交 換法が対象とする学習が記憧学習であるからと思 われる.演習問題を解く手続きの学習などと違い, 記憶する学習に役立つかどうかは簡単に判断できるため,このような結果となったと思われる. しかし,
Q4
,
5 の結果から,多くのゲームにつ いて「元のゲームの特徴を残したもの j であるこ とが確認できるものの, E-I,特に E.F,I の 3 つの ゲームではその特徴が残っておらず,好きではな いと判断された.出力された多くのゲームで特徴 を残しているため,プロパティ交換法を用いるこ とで,ゲームの基本的な特徴を残しつつ学習ゲー ムに変更することができるのではないかと思われ る.しかし,それはあくまで基本的な特徴にすぎ ず,ルールやデータ型以外の様々な要素もゲーム の特徴に関係しているために, E-I についてはこ のような結果になったのではないかと考えている. 筆者らはこれまでいくつかの学習ゲームを作製 してきた経験から, E-I のゲームにおいて特徴が 失われた原因は,プロパティが取る値の範囲とそ の偏りが大きく変更されたことにあるのではない かと考えた. E-I のゲームでは,プロパティがと りうる値の種類が少なく,またプロパティの値が 大きいカードが多く小さいカードが少ないという 状態になっていた.そこで, E-I のゲームにおい て,値の範囲と偏りを,オリジナルのカードセッ トであるトランプに近づけるという修正を行った. そのゲームを再度プレイしてもらい,Q4
,
5 と同 じ質問をした結果,表 4 に示すように改善がなさ れた.この結果より,プロパティ交換法とこのシ ステムの出力は,必ずしも元のゲームの特徴を残 しているとは限らないが,その出力をさらに調墜 することにより良い学習ゲームを作製できること が確かめられた.また,学習ゲ}ムの特徴を残す には,プロパティが取る値の範囲とその偏りにつ いても考慮すべきだと思われるため,その定式化 について今後研究していく必要がある. このシステムから生成される学習ゲームの学習 効果については,現時点では直接的な評価は行え ていない.しかし,すでに効果を確認できた学習 ゲーム [4] と同様のものを作製支援システムから 生成することが可能となっている.本稿で行った これらの検証実験の結果と合わせて,プロパティ 交換法は,共有し発展させていく価値の十分期待 のできるものと考えている. 6. むすび 本稿では,既存のカードゲームに似た学習ゲー ムを生成するプロパティ交換法を提案した.この 手法を用いることで,ユーザが学習ゲームである と認めるものを,機械的に,複数作製可能なこと が確かめられた. この手法の特徴は,これまでの作製法と違い, 作業の全てが定式化されているという点にある. カードゲームと記憶学習という限られた範囲では あるが,定式化を可能としたプロパティやデータ 型などの知識は,これから学習ゲームを論じる上 で,発展させていくに足る,共有する価値のある 成果だと考えている. しかしながら,プロパティ交換法にはいくつか の課題が残されている.現濯の手法では,元とな ったカ}ドゲームの特徴を残すことができる場合 が多いものの,元のゲームの特徴を壊してしまう 事例もいくつか確認された.これは,ルールとデ ータ型の保存だけではゲームの特徴の保存が完全 ではないことを表している.今後,ゲームの特徴 を生み出す他の要素についてさらなる研究が必要 である.また,プロパティ交換法は記憧学習を対 象とした学習ゲームを作製することができるが, 記憶学習以外,計算問題を解く学習や証明を行う 学習などを対象とできる学習ゲーム作製法を定式 化することも,今後の課題の一つである. 参考文献[1] T.
W
.
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1.1
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http://www.the伊me酔llery.国均amesl伊melist.c gi?cmd弔amelおぬ'yæt¥&剖戎 20侃 [7] S. S.S旬vens,“On 出eth伺ryofs伺lesof mea飢l1'em阻丸"