< 原 著 >
腰部脊柱管狭窄症における MRI 画像の分析方法の検証と
臨床的動作指標との関係
Verification of the Magnetic Resonance Imaging (MRI) Analysis Method
in Lumbar Spinal Canal Stenosis and the Relationship Between the Magnetic
Resonance Images and Clinical Behavior Indices
塚本敏也1,坂口直史2,高橋敏行3,花北順哉3
Toshiya TSUKAMOTO, RPT, PhD1, Naochika SAKAGUCHI, RPT2,
Toshiyuki TAKAHASHI, MD, PhD3, Junya HANAKITA, MD, PhD3
1常葉大学 健康科学部 静岡理学療法学科
Department of Physical Therapy, Shizuoka, Faculty of Health Science, Tokoha University 2医療法人社団平成会 藤枝平成記念病院 リハビリテーション部
Department of Rehabilitation, Fujieda Heisei Memorial Hospital 3医療法人社団平成会 藤枝平成記念病院 脊髄脊椎疾患治療センター Spinal Disorders Center, Fujieda Heisei Memorial Hospital
【要 旨】 〔 目 的 〕 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 ( 以 下 ,L C S ) の 脊 柱 管 最 狭 窄 部 ( 以 下 , 最 狭 窄 部 ) の 違 い に よ る 硬 膜 管 面 積 と 腰 背 筋 断 面 積 お よ び 腰 椎 前 彎 角 を 比 較 し , 関 連 性 を 検 証 す る こ と .〔 対 象 〕 術 前 L C S 2 0 例 ( 平 均 年 齢 7 2 . 2 ± 8 . 2 歳 ) と し , 最 狭 窄 部 が L 3 / 4 群 9 例 と L 4 / 5 群 11 例 の 2 群 に 分 類 し た .〔 方 法 〕 測 定 項 目 は ,M R I 横 断 画 像 よ り 硬 膜 管 面 積 と 各 腰 椎 レ ベ ル の 腰 背 筋 断 面 積 お よ び 総 腰 背 筋 断 面 積 と し , 単 純 X 線 全 脊 柱 立 位 側 面 像 よ り L 1 椎 体 上 縁 と 仙 骨 上 縁 を 通 る 直 線 が な す 角 度 か ら 腰 椎 前 彎 角 を 測 定 し た .〔 結 果 〕L 4 / 5 群 の 硬 膜 管 面 積 は , L 3 / 4 群 と 比 較 し 有 意 に 低 値 を 認 め た .L 4 / 5 群 の 硬 膜 管 面 積 は , L 5 腰 背 筋 断 面 積 と 腰 椎 前 彎 角 と の 間 に 正 の 相 関 を 認 め ,L 3 / 4 群 で は 腰 椎 前 彎 角 と L 5 腰 背 筋 断 面 積 お よ び 総 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 で 正 の 相 関 を 認 め た .〔 結 語 〕L 3 / 4 高 位 よ り L 4 / 5 高 位 に 最 狭 窄 部 を も つ L C S で は , 硬 膜 管 面 積 が 狭 く ,L 5 腰 背 筋 断 面 積 と 腰 椎 前 彎 角 が 関 連 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た . 【ABSTRACT】
[Purpose] The present study aimed to measure the dural tube area, lumber spine muscle cross sectional area (LSM), and lumbar lordosis angle (LLA) to the difference of the spinal canal stenosis (the narrowest part) of the lumbar spinal canal stenosis (LCS) and verify the relevance. [Subjects] Twenty patients (mean age 72.2 ± 8.2 years) with LCS were preoperatively classifi ed into two groups: the narrowest part L3/4 group (9 patients) and the narrowest part L4/5 group (11 patients). [Methods] The
cross-1. はじめに
腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症(Lumbar spinal Canal Stenosis;以下,LCS) は , 脊 柱 管 内 を 走 行 し て い る 神 経 組 織 と 周 囲 組 織 ( 骨 あ る い は 軟 部 組 織 ) と の 相 互 関 係 が 何 ら か の 理 由 で 破 綻 し , 神 経 症 状 が 惹 起 さ れ た 状 態 を い う 1 ). ま た L C S は , 下 肢 症 状 を 主 体 と す る 疾 患 群 で 腰痛の有無は問わないとされており2),そ の 大 部 分 が 加 齢 に 伴 う 退 行 性 変 化 を 基 盤 と し て 発 症 す る こ と が 考 え ら れ て い る 3 ). さ ら に L C S は , 多 椎 間 に 生 じ る こ と が 多 く 1 , 4 ), そ の 好 発 部 位 は 第 4 腰 椎 と 第 5 腰 椎 間 ( 以 下 , L 4 / 5 ),次 い で 第 3 腰 椎 と L 4 腰 椎 間 ( 以 下 , L 3 / 4 ), 第 5 腰 椎 ( 以 下 , L 5 ) と 第 1 仙 椎 間 と さ れ て い る 5 ). こ の 他 ,L C S に お け る 脊 柱 管 内 の 硬 膜 管 面 積 に お い て も 狭 窄 の 頻 度 が 高 い 椎 間 は L 4 / 5 と さ れ 6 ),硬 膜 管 面 積 は , 神 経 組 織 か ら み た 圧 迫 ( 以 下 , 脊 柱 管 狭 窄 ) の 指 標 と し て 用 い ら れ て い る 7 ). 脊 柱 は 上 半 身 ( 頸 部 , 胸 部 , 上 肢 ) の 体 重 負 荷 , 姿 勢 保 持 , 体 幹 の 運 動 な ど と い っ た 構 築 的 な 働 き と , 脊 髄 , 神 経 組 織 , 内 臓 器 官 の 保 護 的 な 役 割 を も っ て い る 8 ). 脊 柱 全 体 を 静 的 ア ラ イ メ ン ト で み る と , 矢 状 面 で は 頸 椎 前 彎 , 胸 椎 後 彎 , 腰 椎 前 彎 と 縦 S 字 状 を 示 し て お り , 腰 椎 は 生 理 的 前 彎 を な し て い る . こ の 腰 椎 前 彎 は , 座 位 や 立 位 と い っ た 姿 勢 保 持 の 観 点 か ら 抗 重 力 作 用 を 与 え て い る こ と が い わ れ て い る 8 ). な か で も ,脊 柱 起 立 筋 ( 棘 筋 , 最 長 筋 , 腸 肋 筋 ) は 脊 柱 の 支 持 機 能 と し て 腰 椎 の 正 常 な 前 彎 を 維 持 す る た め に 極 め て 重 要 で あ り8 ), 抗 重 力 筋 の う ち 主 要 姿 勢 筋 と し て 立 位 保 持 に 関 与 し て い る 9 ). ま た 脊 柱 起 立 筋 は , 立 位 に お け る 矢 状 面 上 で 腰 椎 に 作 用 す る 前 方 へ の 剪 断 力 に 抗 す る 力 を 生 じ , 腰 椎 お よ び 腰 仙 関 節 の 安 定 性 を 高 め て い る 10). こ の 他 , 腰 椎 で は 腰 部 多 裂 筋 ( 以 下 , 多 裂 筋 ) の 収 縮 が お の お の の 腰 椎 間 の 圧 縮 力 を 高 め , 腰 椎 の ア ラ イ メ ン ト 制 御 の 機 能 を 有 し て い る こ と が 報 告 さ れ て い る 11). こ の よ う に , 脊 柱 起 立 筋 と 多 裂 筋 ( 以 下 , 腰 背 筋 ) は 腰 椎 ア ラ イ メ ン ト の 維 持 と 安 定 化 に 作 用 し て お り , L C S の 脊 柱 や 脊 柱 管 内 の 神 経 組 織 と の 相 互 関 係 を 検 討 す る う え で 重 要 と な る . し か し , 脊 柱 管 狭 窄 の 指 標 で あ る 硬 膜 管 面 積 と 腰 背 筋 断 面 積 お よ び 腰 椎 前 彎 角 と い っ た 脊 柱 周 囲 組 織 と 腰 椎 ア ラ イ メ ン ト と の 関 連 に つ い て の 報 告 は 少 な く ,L C S の 腰 背 筋 断 面 積 , 腰 椎 前 彎 角 に つ い て は 不 明 な 点 が 多 い . 先 行 研 究 に よ る と ,L C S の 腰 椎 前 彎 は 減 少 し て お り , 骨 盤 が 後 傾 し , 立 位 姿 勢 は 体 幹 前 傾 を 呈 し て い る こ と が 報 告 さ れ て い る 12). ま た L C S の 特 徴 と し て , 体 幹 の 前 屈 姿 勢 に sectional area of the dural tube, LSM, and the total cross-sectional areas of the lumbar spine muscles (T-LSM) were measured using magnetic resonance imaging, LLA is the X-ray full spinal column standing lateral image and L1 vertebra the angle formed by the straight line passing through the upper edge of the body and the upper edge of the sacrum was measured. [Results] The dural tube area of the L4/5 group was signifi cantly lower than that of the L3/4 group. A positive correlation was found between the L5 LSM and the LLA in the dural tube area of the L4/5 group. The L3/4 group showed a positive correlation between LLA, L5 LSM, and T-LSM. [Conclusion] In the LCS, with the narrower part at L4/5 than at L3/4, the dural tube area may be narrow and L5 LSM may be related to the LLA.
キ ー ワ ー ド : 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 , 硬 膜 管 面 積 , 腰 背 筋 断 面 積 , 腰 椎 前 彎 角
Key Words: Lumbar spinal canal stenosis,Dural tube area,Lumbar spine muscle cross sectional area,Lumbar lordosis angle
よ る 症 状 改 善 が あ り ,L C S の 姿 勢 変 化 に よ る 症 状 の 変 化 は , 硬 膜 外 圧 と の 関 連 が 報 告 さ れ て い る 13). こ の , 姿 勢 変 化 や ア ラ イ メ ン ト は 症 状 の 出 現 や 脊 椎 の 安 定 性 に 影 響 を 及 ぼ す た め , そ の 評 価 は 重 要 と さ れ て い る 5 ). さ ら に ,L C S の 腰 部 前 屈 と 後 屈 に よ る 硬 膜 管 面 積 の 動 的 な 変 化 率 は , 狭 窄 の 頻 度 が 高 い L 4 / 5 で は な く , L 3 / 4 が 最 も 値 が 大 き い と さ れ 6 ), 狭 窄 部 の 違 い に よ る 姿 勢 変 化 や 腰 椎 ア ラ イ メ ン ト ( 腰 椎 前 彎 角 ) の 異 常 , 前 屈 姿 勢 ( 体 幹 前 傾 ) に よ る 腰 背 筋 へ の 影 響 が 生 じ て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る . ま た ,L C S の L 3 / 4 や L 4 / 5 の 最 狭 窄 部 位 の 違 い に よ り , 筋 力 低 下 な ど の 神 経 学 的 症 状 と の 不 一 致 が 生 じ る 割 合 に 相 違 が あ る こ と が 報 告 さ れ 14), 症 状 の 発 現 に 関 与 す る 責 任 部 位 を 考 慮 し た 運 動 療 法 の 遂 行 や 姿 勢 に 留 意 し た 生 活 指 導 に 難 渋 す る こ と が あ る . こ れ ら の こ と か ら ,L C S に お け る 狭 窄 部 の 違 い か ら 腰 椎 ア ラ イ メ ン ト の 異 常 と 各 腰 椎 レ ベ ル の 腰 背 筋 の 状 態 を 検 証 す る こ と で , 脊 柱 周 囲 組 織 と の 相 互 関 係 を 把 握 し た 手 術 前 後 の 理 学 療 法 や L C S の 予 防 と 治 療 に お け る 基 礎 資 料 を 得 る 一 助 に な る と 考 え た . こ の 他 ,L C S は 下 肢 症 状 を 主 体 と す る 疾 患 群 で あ る こ と か ら , 他 覚 的 な 検 査 の み で な く , 間 欠 性 跛 行 と い っ た 臨 床 症 状 を 加 え た 検 証 が 必 要 で あ る と 考 え た . そ こ で 本 研 究 で は ,L C S に お け る L 3 / 4 と L 4 / 5 の 脊 柱 管 最 狭 窄 部 ( 以 下 ,最 狭 窄 部 ) の 違 い に よ る 硬 膜 管 面 積 と 各 腰 椎 レ ベ ル の 腰 背 筋 断 面 積 , 腰 椎 前 彎 角 , 臨 床 症 状 の 比 較 と 関 連 性 に つ い て 検 証 す る こ と を 目 的 と し た . ま た ,L C S の 予 防 と 治 療 的 介 入 に お け る 基 礎 資 料 を 得 る 目 的 で , 脊 柱 管 狭 窄 の 指 標 で あ る 硬 膜 管 面 積 の 予 測 値 を 各 腰 椎 レ ベ ル の 腰 背 筋 断 面 積 , 腰 椎 前 彎 角 と の 関 係 か ら 調 査 し た . 2. 対象と方法 2 . 1 . 対 象 対 象 は,2017 年 9 月 か ら 2018 年 4 月 の 間 に 藤 枝 平 成 記 念 病 院 の 脊 髄 脊 椎 疾 患 治 療 セ ン ターを受診し,LCS と診断され観血的治療が適 応となった術前LCS20 例(平均年齢 72.2 ± 8.2 歳 ) を 対 象 と し た. ま た,LCS の 最 狭 窄 部 が L3/4 高 位 の 9 例( 以 下,L3/4 群 ) と L4/5 高 位の11 例(以下,L4/5 群)の 2 群に分類した. な お,LCS の最狭窄部は脊髄造影による CTM (Computed Tomographic Myelography)と M R I (Magnetic Resonance Imaging) 画 像 に よ り 医 師 の 確 認 の も と 分 類 し た . 除 外 対 象 は 立 位 , 歩 行 が 困 難 な 者 , 合 併 症 に L C S 以 外 の 脊 髄 脊 椎 疾 患 , 変 形 性 膝 関 節 症 お よ び 股 関 節 症 , 脳 血 管 疾 患 , 呼 吸 循 環 器 疾 患 , 悪 性 腫 瘍 に 罹 患 し て い る 者 と し た . 本 研 究 の 実 施 に つ い て は , 全 て の 対 象 者 に 書 面 に よ る 説 明 と 同 意 を 得 た . な お , 本 研 究 は ヘ ル シ ン キ 宣 言 の 倫 理 基 準 に 従 い , 藤 枝 平 成 記 念 病 院 の 倫 理 委 員 会 に よ る 承 認 ( 承 認 番 号 : 藤 平 倫 第 3 0 - 3 号 ) を 得 て 実 施 し た . 2 . 2 . 方 法 調 査 測 定 項 目 は , 対 象 の 基 本 属 性 , 硬 膜 管 面 積 , 各 腰 椎 レ ベ ル の 腰 背 筋 断 面 積 , 腰 椎 前 彎 角 ,6 分 間 歩 行 距 離 ( 6minutes walking distance; 以 下 , 6 M D ), 日 本 整 形 外 科 学 会 腰 椎 疾 患 治 療 成 績 判 定 基 準 (Japanese Orthopaedic Association score; 以 下 , J O A ) と し た .
対 象 の 基 本 属 性 と し て ,年 齢 ,性 別 ,身 長 , 体 重 ,Body mass index( 以 下 , B M I ) を 受 診 時 の カ ル テ 情 報 か ら 調 査 し た . 硬 膜 管 面 積 と 各 腰 椎 レ ベ ル の 腰 背 筋 断 面 積 は ,M R I 装 置 ( 1 . 5 T M R I Va n t a g e , 東 芝 メ デ ィ カ ル シ ス テ ム 社 製 ) に 内 蔵 さ れ た 画 像 解 析 装 置 を 用 い て 計 測 し た .M R I の 撮 影 は , 仰 臥 位 で 下 肢 伸 展 位 に て 第1 2 胸 椎 か ら 大 腿
骨 小 転 子 に お け る 1 m m 間 隔 ス ラ イ ス 厚 5 m m の 横 断 像 と し , 診 療 時 に 撮 影 さ れ た M R I 画 像 を 解 析 に 用 い た . 硬 膜 管 面 積 は , L 3 / 4 ま た は L 4 / 5 最 狭 窄 部 の 硬 膜 管 横 断 面 を M R I の T 2 強 調 画 像 を 確 認 し , 手 動 で 硬 膜 管 の 輪 郭 を ト レ ー ス し た 後 に M R I 画 像 解 析 装 置 に よ り 硬 膜 管 面 積 を 算 出 し た . こ の , 硬 膜 管 面 積 は 脊 柱 管 狭 窄 の 指 標 と し た 7 ). 腰 背 筋 断 面 積 は , 第 1 腰 椎 ( 以 下 , L 1 ) か ら L 5 の 各 腰 椎 下 縁 の 腰 背 筋 横 断 面 を M R I の T 2 強 調 画 像 を 確 認 し , 手 動 で 左 右 の 腰 背 筋 の 輪 郭 を ト レ ー ス し た 後 に M R I 画 像 解 析 装 置 に よ り 各 腰 椎 下 縁 の 腰 背 筋 断 面 積 を 算 出 し た . さ ら に ,L 1 か ら L 5 左 右 の 腰 背 筋 横 断 面 積 の 総 和 を 総 腰 背 筋 断 面 積 と し て 算 出 し た . 硬 膜 管 面 積 と 腰 背 筋 断 面 積 の ト レ ー ス は , 熟 練 し た 一 人 の 測 定 者 に よ る 単 一 測 定 を 行 い , 測 定 値 と し た . 腰 椎 前 彎 角 は , 単 純 X 線 全 脊 柱 立 位 側 面 像 よ り ,L 1 椎 体 上 縁 を 通 る 直 線 と 仙 骨 上 縁 を 通 る 直 線 が な す 角 度 で , 前 彎 を 正 値 , 後 彎 を 負 値 と 定 め ,J a c k s o n ら 15, 16)の 方 法 に 準 じ 計 測 し た ( 図 1 ). ま た 腰 椎 前 彎 角 は , 計 測 値 が 大 き く な る こ と で 腰 椎 前 彎 の 増 強 を 示 す 評 価 指 標 と し た . 6 M D は , 運 動 負 荷 試 験 と し て L C S の 特 徴 的 な 症 状 で あ る , ご く 短 時 間 の 歩 行 で 下 肢 の 疼 痛 や 痺 れ , 脱 力 な ど が 生 じ , 歩 行 継 続 が 困 難 と な る が , 休 憩 す る と 回 復 す る と い っ た 間 欠 性 跛 行 の 評 価 と 運 動 耐 容 能 の 評 価 に 用 い た . 方 法 は , 施 設 内 の 固 い 平 ら な 床 面 で 1 0 m の 直 進 路 を 使 用 し , 6 分 間 被 験 者 が 出 せ る で き る だ け 速 い 速 度 で 歩 行 さ せ , そ の 間 の 歩 行 距 離 を 計 測 し た . 計 測 に は , デ ジ タ ル ス ト ッ プ ウ ォ ッ チ を 用 い て 6 分 間 2 回 の 計 測 を 行 い , 距 離 が 長 い 値 を 採 用 し た . 間 欠 性 跛 行 が 出 現 し た 場 合 は , 計 測 時 間 内 に 歩 行 で き た 距 離 を 計 測 値 と し た . ま た , 計 測 中 に 歩 行 が 困 難 に な っ た 場 合 や 対 象 者 よ り 中 止 の 訴 え が 聞 か れ た 場 合 は 計 測 を 中 止 し , 中 止 に 至 る ま で の 歩 行 距 離 を 計 測 値 と し た . そ の 他 , 絶 対 禁 忌 と し て 最 近 1 カ 月 に 生 じ た 不 安 定 狭 心 症 あ る い は 心 筋 梗 塞 , 相 対 禁 忌 と し て 安 静 時 心 拍 数 1 2 0 / 分 以 上 , 収 縮 期 血 圧 180mmHg,拡張期血圧 100mmHg とした17). J O A は ,自 覚 症 状( 9 点 ),他 覚 所 見( 6 点 ), 日 常 生 活 動 作 (1 4 点 ), 膀 胱 機 能 ( - 6 点 ) の 2 9 点 満 点 の 総 合 点 よ り 重 症 度 を 評 価 し た ( 表 1 )18). 統 計 解 析 は ,L 3 / 4 群 と L 4 / 5 群 の 測 定 値 に つ い て χ2適 合 度 検 定 に よ る 正 規 性 の 検 定 を 行 い , 正 規 分 布 に 従 い ,F 検 定 に よ る 等 分 散 が 仮 定 さ れ た 場 合 は S t u d e n t の t 検 定 , 非 等 分 散 の 場 合 は We l c h の t 検 定 を 用 い , 正 規 分 布 に 従 わ な い 場 合 ま た は 順 序 尺 度 は M a n n - W h i t n e y の U 検 定 に よ り 2 群 間 の 比 較 を 行 っ た . ま た , 性 別 に 関 し て は χ2検 定 に よ る 比 較 を 行 っ た . 次 に ,L 3 / 4 群 と L 4 / 5 群 に お け る 各 測 定 項 目 間 の 相 関 に つ い て は , 硬 膜 管 面 積 , 各 腰 椎 レ ベ ル の 腰 背 筋 断 面 積 , 腰 椎 前 彎 角 は P e a r s o n の 積 率 相 関 係 数 を ,6 M D と J O A に つ い て は S p e a r m a n の 順 位 相 関 係 数 を 用 い て 検 討 し た . ま た , 硬 膜 管 面 積 の 予 測 値 を 推 定 す る 回 帰 式 を 得 る た め に , 硬 膜 管 面 積 を 従 属 変 数 , 硬 膜 管 面 積 と 関 係 性 の あ る 変 数 を 独 立 変 数 と し た 線 形 単 回 帰 分 析 を 行 っ た . 統 計 解 析 に は , 統 計 解 析 ソ 図 1 腰 椎 前 彎 角
フ ト(J S TAT f o r Wi n d o w s Ve r s i o n 1 3 . 0 ) を 用 い て , 有 意 水 準 を 5 % と し た . 3. 結果 L 3 / 4 群 と L 4 / 5 群 に お け る 対 象 の 基 本 属 性 を 表 2 に 示 し た . L 3 / 4 群 と L 4 / 5 群 の 基 本 属 性 ( 年 齢 , 性 別 の 割 合 , 身 長 , 体 重 , B M I ) の 比 較 に つ い て は , 有 意 な 差 を 認 め な か っ た . L 3 / 4 群 と L 4 / 5 群 の 各 測 定 項 目 の 結 果 を 表 3 に 示 し た . 各 測 定 項 目 の 正 規 性 と F 検 定 の 結 果 , 硬 膜 管 面 積 ,L 1 か ら L 5 腰 背 筋 断 面 積 , 腰 椎 前 彎 角 の 計 測 値 は 正 規 分 布 に 従 い 等 分 散 が 仮 定 さ れ た が ,6 M D は 正 規 分 布 に 従 わ な か っ た .L 3 / 4 群 と L 4 / 5 群 の 各 測 定 項 目 の 計 測 値 を 比 較 し た 結 果 ,L 4 / 5 群 の 硬 膜 管 面 積 が 有 意 に 低 値 を 認 め た が (p < 0 . 0 5 ), そ の 他 の 測 定 項 目 に は 有 意 な 差 を 認 め な か っ た . L 3 / 4 群 と L 4 / 5 群 に お け る 各 測 定 項 目 間 の 相 関 分 析 の 結 果 を 表 4 と 表 5 に 示 し た . L 3 / 4 群 で は , L 1 腰 背 筋 断 面 積 と L 2 , L 3 , L 4 腰 背 筋 断 面 積 , 総 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 ( そ れ ぞ れ ,r = 0 . 9 0 , p < 0 . 0 1 ; r = 0 . 9 3 , p < 0 . 0 1 ; r = 0 . 8 0 , p < 0 . 0 5 ; r = 0 . 8 9 , 表 1 日 本 整 形 外 科 学 会 腰 痛 疾 患 治 療 成 績 判 定 基 準 ( J O A )18)
表 4 L 3 / 4 群 の 各 測 定 項 目 間 に お け る 相 関 係 数 表 2 L 3 / 4 群 と L 4 / 5 群 の 基 本 属 性
p < 0 . 0 1 ), L 2 腰 背 筋 断 面 積 と L 3 , L 4 腰 背 筋 断 面 積 ,総 腰 背 筋 断 面 積 と の 間( そ れ ぞ れ , r = 0 . 9 9 , p < 0 . 0 1 ; r = 0 . 9 7 , p < 0 . 0 1 ; r = 0 . 9 8 , p < 0 . 0 1 ), L 3 腰 背 筋 断 面 積 と L 4 腰 背 筋 断 面 積 , 総 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 ( そ れ ぞ れ ,r=0.95,p<0.01;r=0.99 ,p<0.01 ), L 4 腰 背 筋 断 面 積 と L 5 腰 背 筋 断 面 積 , 総 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 ( そ れ ぞ れ ,r = 0 . 8 3 , p < 0 . 0 5 ; r = 0 . 9 8 , p < 0 . 0 1 ), L 5 腰 背 筋 断 面 積 と 総 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 に 正 の 相 関 を 認 め た (r = 0 . 7 8 , p < 0 . 0 5 ). ま た , 腰 椎 前 彎 角 と L 5 腰 背 筋 断 面 積 , 総 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 に 正 の 相 関 を 認 め た ( そ れ ぞ れ ,r = 0 . 8 3 , p < 0 . 0 5 ; r = 0 . 7 1 , p < 0 . 0 5 ). 6 M D と J O A に つ い て は , 硬 膜 管 面 積 , 腰 背 筋 断 面 積 , 腰 椎 前 彎 角 と の 間 に 相 関 は 認 め な か っ た . L 4 / 5 群 で は , 硬 膜 管 面 積 と L 5 腰 背 筋 断 面 積 , 腰 椎 前 彎 角 と の 間 ( そ れ ぞ れ , r = 0 . 8 3 , p < 0 . 0 1 ; r = 0 . 6 3 , p < 0 . 0 5 ), 腰 椎 前 彎 角 と L 5 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 に 正 の 相 関 を 認 め た (r = 0 . 6 8 , p < 0 . 0 5 ). ま た , 硬 膜 管 面 積 と L 5 腰 背 筋 断 面 積 の 関 係 お よ び 回 帰 分 析 の 結 果 を 図 2 に 示 し た . 硬 膜 管 面 積( y ) と L 5 腰 背 筋 断 面 積 ( x ) に は , y = 0 . 0 1 7 x - 1 0 . 2 3 2 と い う 関 係 が 認 め ら れ , R2( 決 定 係 数 ) は 0 . 6 9 で あ っ た ( 回 帰 係 数 , p < 0 . 0 1 ). こ の 他 , L 1 腰 背 筋 断 面 積 と L 2 , L 3 , L 4 腰 背 筋 断 面 積 , 総 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 ( そ れ ぞ れ ,r = 0 . 9 5 , p < 0 . 0 1 ; r = 0 . 8 8 , p < 0 . 0 1 ; r = 0 . 6 7 , p < 0 . 0 5 ; r = 0 . 8 7 , p < 0 . 0 1 ), L 2 腰 背 筋 断 面 積 と L 3 , L 4 腰 背 筋 断 面 積 ,総 腰 背 筋 断 面 積 と の 間( そ れ ぞ れ , r = 0 . 9 2 , p < 0 . 0 1 ; r = 0 . 7 3 , p < 0 . 0 5 ; r = 0 . 9 3 , p < 0 . 0 1 ), L 3 腰 背 筋 断 面 積 と L 4 腰 背 筋 断 面 積 , 総 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 ( そ れ ぞ れ ,r=0.84 ,p<0.01;r=0.95 ,p<0.01 ), L 4 腰 背 筋 断 面 積 と 総 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 に 正 の 相 関 を 認 め た (r = 0 . 8 9 , p < 0 . 0 1 ). 6 M D と J O A に つ い て は , 硬 膜 管 面 積 , 腰 背 筋 断 面 積 , 腰 椎 前 彎 角 と の 間 に 相 関 は 認 め な か っ た . 表 5 L 4 / 5 群 の 各 測 定 項 目 間 に お け る 相 関 係 数 図 2 L 4 / 5 群 の 硬 膜 管 面 積 と L 5 腰 背 筋 断 面 積 の 関 係
4. 考察 本 研 究 で は ,L C S の 最 狭 窄 部 の 違 い に よ り L 3 / 4 群 と L 4 / 5 群 の 2 群 に 分 類 し , 硬 膜 管 面 積 と 各 腰 椎 レ ベ ル の 腰 背 筋 断 面 積 , 腰 椎 前 彎 角 ,6 M D , J O A を 比 較 検 討 し た 結 果 , 硬 膜 管 面 積 が L 4 / 5 群 で は 有 意 に 低 値 で あ っ た . ま た , こ の 硬 膜 管 面 積 は L 5 腰 背 筋 断 面 積 と 腰 椎 前 彎 角 と の 間 に 正 の 相 関 が 認 め ら れ , 腰 椎 周 囲 組 織 ( 腰 背 筋 ) や 腰 椎 ア ラ イ メ ン ト と の 関 連 性 が 示 唆 さ れ た . 本 研 究 に お い て ,L 4 / 5 群 の 硬 膜 管 面 積 は L 3 / 4 群 と 比 較 し 有 意 に 低 値 を 示 し , 神 経 組 織 へ の 圧 迫 が 強 い こ と が 考 え ら れ た . 硬 膜 管 面 積 は ,L 1 / 2 か ら L 4 / 5 と 尾 側 に 向 か っ て 徐 々 に 減 少 す る こ と が 報 告 さ れ て お り 6 ), 各 腰 椎 椎 体 間 に お け る 脊 柱 管 の 解 剖 学 的 構 造 の 違 い か ら 下 位 腰 椎 で あ る L 4 / 5 群 が 有 意 に 低 値 を 示 し た 要 因 の 一 つ で あ っ た こ と が 考 え ら れ た . 硬 膜 管 面 積 は ,S c h o n s t r o m ら 19)に よ る と 1 0 0 m m2 以 下 で あ れ ば 脊 柱 管 狭 窄 と み な し て よ い と い う 報 告 が あ る . ま た 濱 西 20) は , 硬 膜 管 面 積 が 1 0 0 m m2以 下 で は 腰 椎 の 脊 柱 管 内 を 走 行 し て い る 馬 尾 神 経 の 症 状 を 認 め る と 報 告 し た . さ ら に 城 戸 ら 7 )は ,L 4 / 5 高 位 の L C S 1 8 例 を 対 象 と し た 場 合 に 9 0 % は 硬 膜 管 面 積 が 9 0 m m2以 下 で あ っ た こ と を 報 告 し ,5 0 m m2以 下 で は 脊 柱 管 狭 窄 が 重 度 の 症 例 と し て 治 療 法 を 決 定 す る 必 要 が あ る と い わ れ て い る 21). 今 回 , 術 前 L C S の L 4 / 5 群 で は 11 例 の 全 て が 硬 膜 管 面 積 は 9 0 m m2 以 下 で あ り , そ の 平 均 値 は 4 8 . 0 m m2で あ っ た こ と か ら , 脊 柱 管 狭 窄 は 重 度 化 し 神 経 症 状 が 出 現 し て い る 可 能 性 が 考 え ら れ た . こ れ ら の こ と か ら 術 前 L C S で は , L 3 / 4 群 と 比 較 し L 4 / 5 群 で は 硬 膜 管 面 積 は 有 意 に 低 値 で あ り , 神 経 組 織 は 圧 迫 の 影 響 を 受 け や す い 状 態 に あ る こ と が 考 え ら れ た . L C S の 診 断 は , M R I 所 見 で 確 認 で き る 硬 膜 管 面 積 だ け で な く , 他 覚 所 見 と 組 み 合 わ せ て 評 価 す る 必 要 が あ る と い わ れ て い る4 ). 今 回 ,L 3 / 4 群 と L 4 / 5 群 の 腰 椎 周 囲 の 支 持 機 能 を も つ 腰 背 筋 の 筋 断 面 積 や 腰 椎 前 彎 角 と い っ た 腰 椎 ア ラ イ メ ン ト の 状 態 , 自 覚 症 状 や 他 覚 所 見 を 評 価 で き る J O A や 6 M D と の 相 互 関 係 を 検 証 し た . そ の 結 果 ,L 4 / 5 群 の 硬 膜 管 面 積 は L 5 腰 背 筋 断 面 積 と 腰 椎 前 彎 角 と の 間 で 正 の 相 関 を 認 め , 腰 椎 前 彎 角 は 硬 膜 管 面 積 と L 5 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 に 正 の 相 関 を 認 め た . ま ず L 4 / 5 群 で は , 硬 膜 管 面 積 が 腰 椎 前 彎 角 と の 間 で 正 の 相 関 を 認 め た .L C S の 発 症 は , そ の 大 部 分 が 加 齢 に 伴 う 退 行 性 変 化 を 基 盤 と し て い る こ と が 考 え ら れ て お り 3 ), 脊 柱 管 狭 窄 の 指 標 で あ る 硬 膜 管 面 積 の 低 下 も 同 様 で あ る と 考 え ら れ る . 硬 膜 管 面 積 の 動 的 変 化 を 検 証 し た 先 行 研 究 に よ る と , 腰 椎 前 屈 よ り も 後 屈 の 方 が 硬 膜 管 面 積 は 有 意 に 減 少 す る こ と が 報 告 さ れ て い る 6 ). こ の た め L C S で は , 腰 部 伸 展 位 ( 腰 椎 後 屈 ) を と る こ と で 硬 膜 外 圧 が 上 昇 し 硬 膜 静 脈 叢 が 圧 迫 さ れ 下 肢 症 状 が 増 悪 す る た め に , 健 常 人 と 比 較 し て 腰 椎 前 彎 角 は 小 さ く , 立 位 姿 勢 は 体 幹 前 傾 と な る こ と で 2 ), 腰 椎 前 屈 ( 体 幹 前 傾 ) の 除 圧 姿 勢 を と る こ と が 考 え ら れ て い る .今 回L 4 / 5 群 で は , 硬 膜 管 面 積 が 低 値 で あ っ た 者 は , 腰 椎 前 彎 角 の 値 が 小 さ い 状 態 に な っ て い た . こ れ は , 腰 椎 を 前 屈 し 体 幹 前 傾 と 骨 盤 後 傾 お よ び 腰 椎 後 彎 に よ る 腰 椎 の 代 償 動 作 が 生 じ , 姿 勢 変 化 が 出 現 し て い た こ と が 硬 膜 管 面 積 と 腰 椎 前 彎 角 が 関 連 し た 要 因 で あ っ た 可 能 性 が 考 え ら れ た . L 4 / 5 群 の 硬 膜 管 面 積 は , L 5 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 に 正 の 相 関 を 認 め た . 腰 背 筋 断 面 積 は , 脊 柱 起 立 筋 ( 棘 筋 , 最 長 筋 , 腸 肋 筋 ) と 多 裂 筋 の 断 面 積 か ら な り , こ れ ら 腰 背 筋 は 脊 柱 の 支 持 機 能 と し て 腰 椎 の 安 定 化 に 重 要 で あ る 10, 11). 中 位 腰 椎 レ ベ ル で は 脊 柱 起 立 筋 と 多 裂 筋 は 1 対 1 の 割 合 で 存 在 し , 下 位 腰 椎 レ ベ ル で は 多 裂 筋 の 占 め る 割 合 は 8 0 % に 達 す
る こ と が い わ れ て い る 22). 多 裂 筋 は ,L 4 / 5 の 安 定 化 に 関 し 3 分 の 2 以 上 を 提 供 し , 腰 椎 椎 間 関 節 の 前 方 剪 断 力 を コ ン ト ロ ー ル し て い る と さ れ て い る 11). ま た 腰 椎 棘 突 起 に 付 着 す る 多 裂 筋 は , 同 高 位 の 後 枝 内 側 枝 に よ っ て 分 節 的 に 神 経 支 配 を 受 け て い る 23). こ の た め , 下 位 腰 椎 レ ベ ル で あ る L 4 / 5 群 で は 多 裂 筋 が 最 狭 窄 部 に よ る 分 節 的 な 神 経 支 配 の 影 響 を 受 け た こ と か ら 筋 萎 縮 が 生 じ て い た 可 能 性 が あ り , 硬 膜 管 面 積 と L 5 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 に 関 連 が 認 め ら れ た と 考 え ら れ る . 本 研 究 の 結 果 よ り L 4 / 5 群 で は , 硬 膜 管 面 積 (y ) と L 5 腰 背 筋 断 面 積 ( x ) に は , 硬 膜 管 面 積 (y ) = ( 0 . 0 1 7 × L 5 腰 背 筋 断 面 積 ) - 1 0 . 2 3 2 と い う 回 帰 式 が 得 ら れ た . ま た , 単 回 帰 分 析 の 結 果 , 回 帰 係 数 0 . 0 1 7 は p = 0 . 0 0 3 で あ り 回 帰 式 は 有 効 と 判 断 で き た . こ の , 回 帰 式 の 寄 与 率 ( 決 定 係 数 ) は 0 . 6 9 で あ り , 約 7 0 % の 当 て は ま り 率 で あ っ た . こ の こ と か ら ,L 5 腰 背 筋 断 面 積 に よ っ て , M R I 横 断 像 で 測 定 さ れ る 最 狭 窄 部 の 硬 膜 管 面 積 を 予 測 で き る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た .L 5 腰 背 筋 断 面 積 は , 前 述 し た 通 り 多 裂 筋 の 占 め る 割 合 が 大 き い と さ れ て い る . 近 年 ,M R I で 測 定 さ れ た 多 裂 筋 横 断 面 積 と 超 音 波 画 像 診 断 装 置 に て 測 定 さ れ た 多 裂 筋 横 断 面 積 の 結 果 を 検 討 し , 多 裂 筋 を 超 音 波 画 像 診 断 装 置 に て 測 定 す る こ と の 妥 当 性 が 証 明 さ れ て い る 24). 今 後 , 非 侵 襲 的 で 理 学 療 法 分 野 で も 測 定 可 能 な 超 音 波 画 像 診 断 か ら ,M R I で 測 定 さ れ る L C S の 最 狭 窄 部 で あ る 硬 膜 管 面 積 を 推 定 で き る 可 能 性 を 示 唆 す る も の で あ っ た . 腰 背 筋 に お い て は , 筋 断 面 積 は 筋 力 と 高 い 相 関 関 係 を 示 し , 筋 断 面 積 が 大 き い ほ ど 筋 力 も 大 き く な る こ と が 知 ら れ て い る 25). 腰 背 筋 は , 腰 椎 前 彎 角 を 維 持 す る た め に 重 要 な 筋 で あ り 8), 腰 背 筋 の 筋 力 は 腰 椎 前 彎 角 の 減 少 と 関 連 し て い る こ と が 報 告 さ れ て い る 26). 本 研 究 で は ,L 4 / 5 群 で 腰 椎 前 彎 角 と L 5 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 で 関 連 が 認 め ら れ ,L 3 / 4 群 で は 腰 椎 前 彎 角 と L 5 腰 背 筋 断 面 積 と 総 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 で 関 連 が 認 め ら れ た . こ れ は , L 4 / 5 群 で は 多 裂 筋 , L 3 / 4 群 で は 多 裂 筋 に 加 え , 腰 椎 後 面 を 走 行 し て い る 脊 柱 起 立 筋 が 腰 椎 前 彎 角 と 関 連 し て い る こ と が 考 え ら れ た . ま た ,L 3 / 4 と L 4 / 5 に 最 狭 窄 部 を も つ L C S で は , 腰 椎 前 彎 角 と い っ た 腰 椎 ア ラ イ メ ン ト を 維 持 す る う え で , 下 位 腰 椎 の 腰 背 筋 に 多 く 存 在 す る 多 裂 筋 の 影 響 度 が 高 い こ と が 考 え ら れ た . こ の 他 に , 腰 椎 前 彎 角 の 減 少 に よ る 腰 椎 前 屈 姿 勢 に お け る 日 常 生 活 や 長 時 間 の 作 業 は , 脊 柱 起 立 筋 が 持 続 的 に 伸 張 さ れ , 脊 柱 伸 筋 内 圧 が 上 昇 し 阻 血 状 態 と な る こ と で 変 性 萎 縮 を き た し , 脊 椎 後 方 伸 展 要 素 の 弱 化 が 高 度 に な る こ と が 報 告 さ れ て い る27). こ の よ う に , 腰 椎 前 彎 角 の 減 少 と い っ た 腰 椎 ア ラ イ メ ン ト が 崩 れ る こ と で 直 接 的 に 腰 背 筋 断 面 積 や 筋 力 の 低 下 に 影 響 を 与 え る 可 能 性 が あ る た め , 腰 椎 の 支 持 機 能 と し て 重 要 な 腰 背 筋 の 筋 力 を 維 持 し , 腰 椎 ア ラ イ メ ン ト を 整 え て い く 必 要 が あ る と 考 え ら れ た . 各 腰 椎 レ ベ ル の 腰 背 筋 断 面 積 と 総 腰 背 筋 断 面 積 は ,L 3 / 4 群 と L 4 / 5 群 と も 各 腰 椎 レ ベ ル (L 1 か ら L 4 ) の 腰 背 筋 断 面 積 間 と 総 腰 背 筋 断 面 積 と の 間 で 正 の 相 関 が 認 め ら れ た . 各 腰 椎 レ ベ ル の 腰 背 筋 は , 下 位 腰 椎 で は 多 裂 筋の比率が多くなり,上位腰椎では逆に脊柱起 立 筋 の 比 率 が 多 く な る こ と が い わ れ て い る28). 今 回 は , 特 に 上 位 腰 椎 レ ベ ル 間 に お け る 腰 背 筋 断 面 積 の 相 関 係 数 が 高 く , 脊 柱 起 立 筋 ( 棘 筋 , 最 長 筋 , 腸 肋 筋 ) に お け る 筋 断 面 積 の 割 合 を 反 映 し た 結 果 と な っ た .L 3 / 4 群 で は , 上 位 腰 椎 レ ベ ル 間 に 加 え L 4 と L 5 腰 背 筋 断 面 積 は 関 連 し て い た こ と か ら , 特 に 下 位 腰 椎 に 占 め る 割 合 が 多 い と さ れ る , 多 裂 筋 の 筋 断 面 積 が 関 連 し て い た こ と が 考 え ら れ た . L 4 / 5 群 で は , L 3 / 4 群 と は 違 い , L 5 腰 背 筋 断 面 積 と 各 腰 椎 レ ベ ル の 腰 背 筋 断 面 積 , 総 腰 背 筋 断 面 積 と の 関 連 性 が 認 め ら れ な か っ た こ と か ら ,L 4 / 5 群 で は 分 節 的 に 多 裂 筋 の 筋 断
面 積 の 違 い が 生 じ て い た 可 能 性 が 考 え ら れ た . 今 回 ,L 3 / 4 群 と L 4 / 5 群 の 双 方 で 硬 膜 管 面 積 と 6 M D お よ び J O A の 関 連 性 は 認 め ら れ な か っ た . こ れ は , 安 静 臥 床 で 撮 影 さ れ る M R I 所 見 と 臨 床 症 状 は 必 ず し も 合 致 せ ず , 特 に 高 齢 者 で は 症 状 に 関 与 し な い 画 像 上 の 狭 窄が高頻度に存在することが報告されており29), 本 研 究 結 果 と 同 様 で あ る こ と が 考 え ら れ た . 6 M D は ,高 齢 日 本 人 で は 5 0 0 か ら 5 5 0 m が 平 均 的 な 距 離 と さ れ ,3 0 0 m 以 下 で は 日 常 生 活 が 屋 内 活 動 に 限 ら れ て し ま こ と が 報 告 さ れ て い る 30). ま た L C S で は , 6 M D の 歩 行 負 荷 に よ っ て , 安 静 時 に 認 め ら れ な い 自 覚 症 状 や他覚所見が誘発されることがいわれている4 ). 本 研 究 で は ,L 3 / 4 群 , L 4 / 5 群 と も 6 M D が 3 0 0 m 以 下 で あ っ た が M R I 所 見 で あ る 硬 膜 管 面 積 と 6 M D に は 関 連 が 認 め ら れ ず , 臨 床 症 状 に 関 与 し な い 画 像 上 の 脊 柱 管 狭 窄 が 有 在 し て い る 可 能 性 が 考 え ら れ た .J O A に 関 し て は ,L C S の J O A が 2 9 点 満 点 で 1 4 点 以 下 は 予 後 不 良 ま た は 手 術 が 適 応 と な っ た 症 例 が 多 く ,L C S の 予 後 と 有 意 に 相 関 し 予 後 を 予 測 す る 上 で 一 つ の 指 標 と な る こ と が 報 告 さ れ て い る 31). 本 研 究 で は ,J O A が L 3 / 4 群 で は 2 9 点 満 点 で 平 均 1 4 . 1 点 , L 4 / 5 群 で は 平 均1 5 . 5 点 と ,硬 膜 管 面 積 が 有 意 に 低 値 だ っ た L 4 / 5 群 の J O A は L 3 / 4 群 と 比 較 し 僅 か に 高 い 結 果 と な っ た . こ れ は ,6 M D と 同 様 に 自 覚 症 状 や 他 覚 所 見 な ど の 臨 床 症 状 と 一 致 し な い 画 像 上 の 脊 柱 管 狭 窄 が 有 在 し て い る 可 能 性 が 考 え ら れ , 硬 膜 管 面 積 と J O A と の 間 に 関 連 性 が 認 め ら れ な か っ た と 推 測 し た . 今 回 ,M R I 画 像 か ら 測 定 し た 硬 膜 管 面 積 は , 6 M D や J O A と い っ た 臨 床 症 状 を 反 映 す る 測 定 項 目 と は 関 連 性 が 認 め ら れ な か っ た が , 画 像 上 の 狭 窄 だ け で は 把 握 で き な い L C S の 臨 床 症 状 や 他 覚 所 見 が 出 現 し て い る 可 能 性 が あ り ,6 M D や J O A の 評 価 を 行 う こ と は 個 々 の 患 者 の 状 態 把 握 に 繋 が る の で は な い か と 考 え ら れ た . 本 研 究 の 限 界 と し て , 対 象 者 が 1 施 設 か ら 得 た 測 定 結 果 を 解 析 し て お り , 対 象 者 数 も 少 な い た め 限 定 的 な 研 究 で あ る 点 が 挙 げ ら れ る . ま た ,L 3 / 4 群 と L 4 / 5 群 の そ れ ぞ れ で 各 測 定 項 目 間 の 相 関 を 検 証 し 考 察 し て い る が , 横 断 研 究 で あ る た め 各 測 定 項 目 間 の 因 果 関 係 に つ い て は 証 明 が で き て い な い 点 が あ る .今 後 ,サ ン プ ル サ イ ズ や 多 施 設 間 の 比 較 , 追 跡 調 査 を 含 め た 検 討 が 必 要 で あ る と 考 え ら れ る . 5. 謝辞 本 研 究 の 調 査 に ご 協 力 い た だ き ま し た , 藤 枝 平 成 記 念 病 院 の 対 象 者 の 皆 様 と ス タ ッ フ の 皆 様 な ら び に 先 生 方 に 深 く 感 謝 申 し 上 げ ま す . 6. 引用文献 1 ) 石 井 清 一 , 平 澤 泰 介 : 標 準 整 形 外 科 学 , 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 , 第 8 版 . 4 6 2 - 4 6 6 , 医 学 書 院 , 東 京 ,1 9 9 2 2 ) 黄 金 勲 矢 , 竹 林 庸 雄 , 吉 本 三 徳 他 : 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 に 対 す る 内 視 鏡 下 除 圧 術 の 腰 痛 改 善 効 果 , 変 性 す べ り と 神 経 障 害 形 式 に よ る 比 較 .PA I N R E S E A R C H ,3 2 ( 3 ) : 2 0 3 - 2 11 , 2 0 1 7 3 ) 花 北 順 哉 , 水 野 正 喜 , 諏 訪 英 行 他 : 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 2 5 7 例 の 検 討 . 脊 髄 外 科 , 9 : 9 5 - 1 0 2 , 1 9 9 5 4 ) 二 階 堂 琢 也 , 大 谷 晃 司 , 紺 野 愼 一 : 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 ( 症 ) に お け る 手 術 治 療 . 日 本 臨 床 麻 酔 学 会 誌 ,3 3 ( 2 ) : 3 0 7 - 3 11 , 2 0 1 3 5 ) 神 野 哲 也 , 相 澤 純 也 , 中 丸 宏 二 他 : ビ ジ ュ ア ル 実 践 リ ハ 整 形 外 科 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン , 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 .4 2 7 - 4 4 0 , 羊 土 社 , 東 京 ,2 0 1 5 6 ) 神 原 俊 輔 , 湯 川 泰 紹 , 伊 藤 圭 吾 他 : 腰 部 硬 膜 管 面 積 の 動 的 変 化 , 腰 部 脊 柱 管 狭 窄
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