ア ジ ア 経 済 開 発 の 見 通 し
喜
多
村
1
は じ め に現
在 アジアではほとんど例外なしに経済皿 先が経済計
画の問題 として取 り上 げられ ている。計画 とい うの は,小
目でいえば,将来 の見通 しをたてた うえでの政 策決定であろ う。一般には,5年 くらいの中期計画が 考 えられ るが,最近の傾向は, イン ドで perspective planning と呼ばれているよ うな15年から25年 とい っ た長期の見通 しを背景に中期 ・短期の政策をも考 える ようにな ってきた。 それ と同時に,
計画作成の方法についてもいろいろ と細かい点 で経済分析の武器が使われ るようにな って きた。1950年代の始めには,主 として- ロッドや ドマ ールの名に結びつ くよ うな,資本を中心的な戦略的変 数 とした総体的な経済闘発のモデルか ら抜 け出す こと は少なか ったが, これに対 して 今では補完的な要素 と か, 構造
的な関係が もっと突込んで取 り上 げられ るよ うにな った。 た とえば今度の イン ドの第 4次 5ケ
姑 汁画では, と くに輸入需要 と産業構造 との関係をつ きとめて,貿易 バ ランスを 予測す るために,産業連関分析が真正
面か ら適用 された。また ビルマでは,1962年春に新政権が で きてから弗 2次4カ年計画が御破算にな り,新 たに ソ連の計画方式にの っとって,産業別 を こえて細か く 各llr'吊JH別に没入産出JJ係故をほ じきりル た うえで計画を 作成 しよ うとす る傾向が出て きている。 したが って, 経済 計画の従来の実損を批判検討す る場合にも, この よ うな経済計画の仕出 の変 化を念頭 におかなければな らない。 2 アジア経済の過去 の成長実練 アジア経済 の将来 について考案す る前 にその過去 の浩
あろ うが,-応 U)目安 としては,国艮所 得もし くは国 艮総工L塵の ター ムで定屋的に とらえるのがて っと り早 い。 アジアの後進地域,つ まり蜘 よイランか ら東はニ ュ ー ジー ラン ドにいたるいわゆるECAFE地域か ら日本 ,オース トラ リア,ニ ュー ジー ラン ドとい う3つの比 較的先進地域 を除いた地域 について考 え る の だ が, 1950年代 の経済発展の実績は国連の計算では年率 4.2 % とな っている。しかし,捌鮮動乱の例外的な年をの ぞいて,比較的正常状態 に戻 った1953年か らの成長 ト レン ドを見 ると,年率 3.8%ぐらいであった と推測で きる。年成長率 3.8%というと,過去なが い問の 世界 経済の成長から見 ると粧 当に速 く,特 にアジアの後進 地域の過去 の足 と りに比べると極めて速 い成長ぶ りと いわねばな らないO 歴 史的に近代経済は3%の年率で成長 して きた, と い うカ リセルの3%仮説が普遍の定理であるかのよ う に受けとられた時代 もあ ったO また,ケ インズで さえ ち,人 u 1人あた りのuJ室で考 えて年率1
%以上の経 済成長は人変困難な調盛に産
山す ることにな るか ら, 小突 上考 えられないと主張 した時代もあ った。 もちろ んいまでは先進
国 ・後進 国 とも,1人 あた り生産で年 率 1%の増加 とい うのでは とても満足で きない とい う のが,現 在の世界 の考 え方だ。 こうい う過去 の鏡にて らして,アジア後進地域の年率 3.8%とい う経済成長
率が け っして低 いものでないことは明らかである。 3 経済予測の方法 それでは,アジア経済の将来 の伸 び二万を どうい うふ うに考 えたらよいか。 経済予測には,ある種 の経済 モデルを考 えて,その モデルに過去 のデー タを入れてみ る,そして意味のあ 黒横をふ りかえ ってみ よう。 この易合,若
卜の問題 は る関係が.
'
uて きた場合 にはそれ を将来 に伸ばす という - 1O:∠-ア シ′∠-ア経済 開発 の見通し JJ'法が あるo も うひとつには, た とえば現在 イン ドの 第 4次 5
が !
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佃i
,パ キス タンの第 3次 5が 7--計画の よ うに, まず政 治的考慮な どから,ひ とつの計画 目標 を与 えて, それ か ら用発す ることも考 えられ るo イン ドの場 合,1
9
7
()年代 なかばには年率7
%の成長を 目標 とし, その うえ,外 国援助はゼ ロとす る条 件を与えて いるが, このよ うに最初にひとつの 目標を与 えて,そ れ か ら必 要な政策を導 き出す とい うや り方である。 -),ジアの 発展 を客観的
に
考 え,・ア ジア諸 国の描け亡の 亜 托汗卜を検討 しよ うとする立場か らしても,単純
に過 去の傾向をその まま将 来に伸は g-a)ではイく卜分であろ う。後進地域 は 今やほ とんど例外な く過去 と 絶 縁 し て,新 しい成長の道を探求 しようと しているか らだ。 また過去の傾向をその まま待 ちつづけるのでは,計
画 にもとづ いた闇
発政策その ものが意味をな さない。 とい って,逆 に計画 当1
.滴 ミやるよ うに, ひとつの 目 標を 与えるだ けでその実現 購 帥 仁を十分 に検討 してみ ないのでは, これ また将来 の経済成長の1滴巨性 を客観 的につかむ ことにはな らない。経済には政策的な意志 だ けでは簡 制 こ変 隼で きないような構造的な関係が あ るO計
両 当局が考 えているよ うな経済政策の 目標とい うものを 卜分に考慮 しなが らも,構造的な関係が許す 抱囲で政 策(n功黒 を考 え,その うえでよ りノ実際的な成 良,j
)
可能
性 を導き
目す, とい うのがわれわれ の方法 で あ る〔 た とえ(Lf,国際
収 文vf
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)'ンバ ランスとい う 大きな
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り 鉦 封 ′トが将 来どういう形を とるかを考 える傷 合に も, 輸入代 持政 策を強 力に推進す ることによ -,て輸 入依 存 度を減 少させ る 可能作 を考 えなければな らないが,そ のよ うな政策的な操 作の 可能J
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吊こも客観的に経済 的, まい幅が あるとい うことも考 慮 しなけれ ばならない。4
ア ジア経済 の成長 可能性 こV)よ うにしてえた ilJCAFE
V)放三J'-:によ一」て、 -)'ジ I)I(立
進経済の今 後の成長の速 さを見 ると,だ いたい,卜
根が 中畑
与.9%,
上根が年率 4.7ク♭,
最 も確かそ うな ところが 4.1-4.2% とい う程度 である。つ ま り,この 程度 のス ピ- ドな らア ジア経済は さほど無理な く成長 で きるだ ろ うとい うのが,われわれ の結 論であ った。 いろいろの要請か ら見 て, この くらいの経済成長率で は 不満足 といわ ざるをえな い。国連は1
9
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の
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日がド (
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と規定 したのだ が,その 目標として,1
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()年ごろまでにはすべて とは いわぬ までも大多数の後進 国が年率5
籍の経済成長 を とげることを掲 げていることを見 ても,この 4.1-4.2 % とい うのは確かに小 さす ぎる。 それ な らば,先進 国や他 の後進地域 と比較 したらど うであろ うか。先進 国の場合, た とえばOECDが10カ 年の閲に5
0
%の経済成長を 目標としていることは周知 の通 りで あるが, これ は年率約 4.
2
%に粧 当す るO世
界 の先進LiilL批 ・/tの経済 の半分 くらいを占めるア メ リカ や イギ リスな どが過去 と同様の問題 に虚血 しっづける とす ると,この 目標 机 本の実現 もむつか しいだ ろ うし, それか ら見 るとア ジアの後進地域 の方が成長が通 いと もいえるだろう。他 の 後進地域 では, ラテ ン ・ア メ リ カが アジアよ り成長が速 い と思 われ るけれ ども, 7 プ リカはア ジアに及ばないO ソ連圏では. まだ西 側先進 国よ り高 い成長率を保 っているが, ここでも最近低 卜 傾 向が 目 立っている。 これ らか ら見 ると,ア ジアの皿
発可能 性 は 世界 的規模か ら見 て決 して低 くはな く,棉 当高 く評 価 してよい。 それ をも ってして もなお,開発
1
()カ年の控 え 目な 目標5%
に及ばない ということは, ア ジアに と っては大 きな問題であるに らがいない。5
人 口 の 圧 力 -),シ-)・U津 f* に と -,て最大の障
害は人 口V)
増加率が 標_;I:_,て高 い ということであろう01
9
6
両 J・Jjア ジ ノ′湊 進地域 の 1人 あた りの国
艮 総生産は8Oドル見当で,世
異で も最 も貧 しい地 域であ ることを示 している∩ ーノ′プ リカの1人 あた り所 得でもこれ よ りは るかに高 い。 そ J)うえ,人目増加率が ラテ ン ・ア メ リカに次 いで高 い (年率2.4先,)O そ うす ると,
国艮 総ilJ,111まではむしろ先 進 国のそれ を うわ まわ るほどの成長をとげなが ら, 1 人あた りの生産増加率,あ るいは所 得増加率ではア ジ -)'が 世界で最 も低いということに もな りかねな い, 1人あた り所 得とい う概 念は用 発経済学では最近 新 し く見出 され て きている。た とえば, 後進 匡肋 政策 モ デルでは,限界貯蓄性
向,つ まり新 たに追加 され た所 得の うちどれだ けの部分が貯蓄 され るかの割 合が,
最 も重 要なパ ラメー ター とな ってい るが, これ も総体 と しての大 きさではな しに,人 口1人 あた りの基礎にな お して考 えない と,最低生存水準 に近 い所 得水準 をも つ後進
国の経済行動の型は正 し くと ら え ら れ な い。 - 103-東 南 ア ジ ア 研 究 そ こで経済成長の問題 も,人 L】増加 率 と1人 あた りの 所 得増加率 とに分 けて分析す ることが絶対に必要にな って くる。 これ は厚生経済等の立場か らも欠 くことの 1) できないひ とつの視点で あろう。 1人あた りの所 得あるいは消費は現在でもアジアが 世界で最 も低いが,予測 され る人 口増加率 を 考 え る と,将来にわた って他の地域 との格差 はます ます広が ってい くだ ろうO これ はアジア諸国に とって決 して好 ましい見通 しではない。われわれの計算では,さきの 80ドルとい う1人 あた りの所得 レベルが1980年にな っ ても112ドルを こえないだろうし, 1人あた りの消費 では196()年の69ドルが1980年にな っても95ドルになる 程度であろう。つ まり
入
日増加 の圧力に強烈に悩 まさ れ るとい うのが将来 のアジアの姿なのである。6
農 業 の 停 滞 ア ジア経済の発展 をお くらせている具体的な問題 は 農 業部門の停滞件である。国民経済の中で農業の比重 が大 きいほど農業の成長が経済全体の成長 を規定す る 皮.合が強 いのは明らかであるが,FAO によれば さき の牌発10カ年の 目標年率 5%を達成す るには,4-4.5 %の農業の成長が必要だ とい う。 しか るに,われわれ の計測によるとアジア農業はせいぜ い2.9- 3%の成 長 しか望みえない。 これが アジア経済の成長にとって 非常に大 きな制約条件 にな るように思われ る。 しかも, このアジア農業の停滞性 の問題 で特に注意 をひ くのが食糧 関係である。戦前 はア ジアは食糧 の輸 ['i'.地域だ ったが戦後は純輸入地域に変 ってきている。 もし従来の農業/i産のテンポが維持 され るとす ると, 1960年の梨物不足が300万 トンだ ったのに,1980年に は1800万 トンにも上 りかねないOか りに各 国の経済計 画にもられた農業政策の 目標が達成 され ると仮定 して さえも,197(埼:・にな ってもアジア諸 国の穀物本足はな くな らず,ようや く1980年に近づいて始めて戯物の需 要 と供給がマ ッチす ることになる。 OECDの事務局長 ク リステンセ ン教授 らの行な った 只) 1980年までの 世界経済の予測では,ア ジア地域 は198O 年には,純 内国生産 (netdomesticproduct)の約5 %にあたる100億 ドルの穀物輸入を必要 とす ると さ れ ている。も ちろん これには戦前 の停滞性が将来 に投影 され るとの前提条件があ って,今 日では このまま同意 できるもの と思われないが,われわれの計算でも 7O-第3巻 弟 3号 80億 ドル とい う穀物輸入は見込 まなければな らない。 もともと農業国 として発展 してきたアジア諸 国が穀 物 輸入のために貴重な外貨を これだけ使わねばな らない とすれば, これは決 してそのまま許容できる展望では ない。 したが って,アジアでは農業の開発に大 きな努力が 注がれ るべきであるし,また事実注がれている。しか し農業朋党 ・農業生産増加 の制約条件は何か。 まず第 ではない。耕地 の限界にぶつか って新土地 のj凋拓 ・清三 概を行な うにも巨人な資本投資が必要で あるし,大 き な ダムを作 ったとしてもその水 を農 業経営の末端にま で及ぼすだけの補足的投資が行なわれなければ意味が ない。 串実 イン ドのパ ンジ ャブ州 のダムの調査は,末 端にまで水 をも ってい く設備がで きていない ことが生 産増加 の大 きな制約条件にな っていることをしめして いる。 次に,肥料の使用量の問題がある。ア ジア地域では 肥料の使用量の高 い地域 は 日本をのぞいて台湾 と韓国 であ って, と くに イン ドは格段に低い。 さらに,肥料 の有効 な使用には適当な水の コン トロールが必要であ る。水はもちろん少なすぎてもいけないが, タイの場 合のように多すぎても困る。 その他多 くの問題があるけれ ども,昨年のFAOのマ ニ ラ会議では,農民のひと りひと りが与 えられ た経済 機会にどのように反応す るか とい う人間の行動の問題 に鼓後は帰着す るのではないか, とい う議論が圧倒 的 こ 嶺 )ゝっ+I,こ二 二t
jまき
勺 ・'
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j
Tj寛 的条 件が強 く浮 (1)例 えば,John C.H.Fei: "PerCapitaCon-sumption and Growth",TheQuarterlyJo ur-ndofEconomics,Vol・LXXIX,No.1,February 1965・この概念 を外国移動 の問題 に適用 した もの に,John C・H.Feiand DouglasS.Paauw:
"Foreign Assistanceand Self-help:A Re-appraisalofDevelopmentFinance
H
,
mime0-graphed,December1963,NationalPlanning Association,Washington,D.C.
(2) cf.ThorkilKristensenandAssociates・.The EconomicWorld Balance. Copenhaegen,Am-sterdam,1960.
ここでは戦前のアジアの停滞性 がそのまま変 らな い もの として議論が進められてい るので,た とえ ばpercapitaincomeの増加 も年0.7%とかな り 低い数字 にな ってい る。
O4-ア ン7経 済・開 発 V)見 通t か ぴあが -〕て きているO 先 ごろウェ リン トンで聞かれ た
ECAFE
の総会に おいても,ア ジア農 業の停滞性 をいかに打破す るか と い う点に議論が 脹申された。 この際にも, 日本の農 業 面での抜 術援助に期待す る芦がつよか った。 しか し, 注 目すべ き車実は,た とえば,イン ドの場合,ひとつの 狭い地域に総合的な没入の増加 をは か る"Pa
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'とよばれ る実験が さほど効果 をあげていないの みな らず,か りにひとつの地域で1LJ_,li'=・Iが増加 しても隣 の農場では 何の影響もみ られないとい う結果が見 られ 期待 され たほどの波及効果がなか -,たことである。 こ こにも 刊 より人肌の要点が人 きな役割 を果 たしている よ うに思 われ る0 7 工業化の方向 経済構
造が経済成長 とともに変 化してい くことはい うまでもないが,同時に,経済構
造の変 化こそ経済成 長の条 件であるとも考 えられ るO この意味で,ア ジア 各国ともほとんど例外な く工業 化の線をたどっている ことは 当然の ことであろう。 しかし,その工 業化の政策が どこまで経済の成長の テ ンポをひ きあげられ るかは国によ って異 っている。 たとえは 工 業の基礎 を育成す る血に 重点 をおいてい る イン ドでは,工業の成長は/Ll:率 8多 という相 当に高 い類字を′」くしなが ら,全体の経済成長をひきあけるの には少 しも役立 っていない0--刀,パ キス タ ン の 場 合,鞘 2次 5カ年
計画の評価では,組織 化された近代 的工 業部F
Hj
の成長率の高 さが全体の経済成長の速度を 大l幅 こひきあげていることにほぼ まちがいはない。 こ の秘密は多分, この部門の限界貯蓄佃 F']」が 極 め て 高 く,利潤が同 じ部門に再投資 され る傾向が強 いので, 経済全休 としての根 界的な貯蓄率が比較的高 くな ると いうことであろう。 さて,各
国 ともが指向す る工 業化の緑が実際に数字 Vjうえで196O-18O年のI
T
lJの経済構
造の変 化にどうあら われ るかを推測 してみよう。われわれの計
測 で は, 1960年代に農業を 含めた第1次 部門の比重が47% くら いだ ったものが1980年には36%にさが る。第2次産業 の比 重は16%か ら24%に年率6.4%で 上昇す るだ ろう。 第 3次部門は,国
艮総丑産よ り少 し速 い桂皮 (比 重は 37- 8%か ら40% くらいに)で伸びるだろう, とい う 結果が えられたのである。8
外 国貿易の見通 しL
fi・情 の聞題から次に外 国貿易の聞題 に考 察 を 移 そ う。ECAFE
で2
年前に,ア ジア後進地域 の輸.■11の8() %をしめる重 要輸出品 目について,おもな 市場の輸入 需 要の蝉力性 な どか ら 予測を行な った結果,ア ジア地 域の輸出は年率1.5-3.2%の成
長 しか遁成 しえない と 結論した ことが ある。 この うち3.2% というのは製造
品の輸出成長が従来の第 1次産 品の輸出成長の 2倍 と なる場合 を仮定 した数字であるか ら,実際にはおそら く ニ3%u
卜としか考 えられないであろう。 これは極 め て暗 い見通 しである。
車実,196(項:一代初めの 3- 4年 では輸
出はこ
3
7C/以上は伸 びていない. 国連の貿 易開発会議に
出された国連本 部 の研
究 洩 !1-・,それに基づ くプ レヒソシュ報告によると, 年率 5 艶で経済が成長す るためには, それを うわ まわる6.5 殆程度の輸入増加, したが って同 じ程度の輸出成長が なければな らないとしているし,闇発1()が1・-の報告
書 でも数字 はあげていないがh
r
引藻の結論を導 いている, それか ら考 えると,年率 3%の輸出成長ではア ジア諸L
副ま非常な困難に直 面す るといわねばな らない。 もち ろん,輸入代替政策を強力に推進すれば輸出の成長が も っと低 くてもすむが,輸入代替政策には経済的に一 定の限界があることを忘れてはな らない。 いま,従来の所 得 と輸入増加 との関係を 基 腔 に し て, この程度の輸LLLi成長を仮定すれば,貿易収支のバ ランスはどうな るか とい うと,ECAFE
の推測は次の よ うな数字 をしめしている。ア ジア地域 の 輸出
は, 196()年が76億 ドル,
極めて梨観的な条 件の も と で は 1980年に180億 ドルになろう。 一方, 輸入の方は1960 年に92億 ドルだ ったものが1980年には260億にのぴる と予想 され る。その うち170億 ドルは製造品の輸入で あるO したが って,貿易収支の赤′
昌ま1960年に16億 ド ルだ ったものが1980年には80億 ドルにふえることにな る。大変な 牧羊である。 その解決策 としては,外国援助をふやすか,輸出を ふやすか,輸入をへ らすかの 3つ しかない。われわれ の試みた結論では,1958年ごろまで増加 していた外国 援助は近年停滞気味で, これを大幅にふやす見通 しは たてられないが,1970年代には年聞約35億 ドルの外 国 援助が見込 まれ ると想定す る。 これによ って,貿易外 収支の赤字1
0億 ドルを 含めた90億 ドルの経常収支の亦--
1
O
5-東 南 ア ジ ア 研 究 字 の うち,40%が うめられ るであろ う。残 り60%の う ち30億 ドルを輸入代替政策の強化で,25億 ドルを今 ま での予想にも りこまれていた製造品の輸出増加 を上 ま わ る輸出増加で うめなければな らない。 これが, もし ア ジア諸 国が
5%
の経済成長をとげよ うとすれば国際 貿易面で行なわなければな らない調整 の帖である。9
当 面 の 問 題 以上のような経済予測をふまえて,現 在ア ジア諸国
の直面すべ き問題 は何かOたしかに貯蓄の少ない こと が第-の問題 だが,同時に特に生産増加 を うながすた めには資本産出係数に現れ る資本 の効率を高める問題 が ある。 これ について最近 と くにやかまし く聞題 にな っているのが教育 とか,技穐訓練 とかの血である。教 育の経済効果を測定す るのに生産函数の考 え方が適用 され る場合が多 い。 与えられた資本 と労働の伸 びと計
算 されたそのLL産性 に比べて実際の生産増加が それを うわまわ る場合,資本 と労働の成長で説 明されない部 分 を残余の フ ァクター (residualfactor)として技術 進歩の度合 とか教育効果の反映 と解釈す るのである。 このような測定方法の前提そのものにも人いに疑問 が もたれ るけれ ども, 日本の場合,19()5-1935年の経 済成長が年平均4%として,多分 この残余の フ ァクタ ーが2%
くらいにな るし,巌近の高成長率ではおそら く4%くらいに高ま っているだろう。 したが って教育 の効果 ,技 術の進歩が非′削 こ大 きな成長要因にな って いるといえよ う。 しか し, ア ジアの後進 国の麟合,資本の蓄積 と労働 力の増加 を考 えて割 り出しても, この残余の フ ァクタ ーが1%
を こえることはないと思 われ る。 これは 今ま でア ジアの後進地域 では抜術変 化の効果が低か った こ とを示す ものであろう。それな らば逆 に,今後教育支 出をふやす とかその他 の方法で技術改善 をはか るな ら は,経済成長 もも っと高めるTl・JL能性 もあるとい う議論 も成 りたつであろ う。最近 テ ィンバーゲ ンな どが と く に注意している問題 もこの点 にある。 かつては資本が最 も重要な フ ァクターだ と考 えられ ていたが,現在では資本のほかにもこのよ うに他 のい ろいろな要素が開発の関連で と りあげられ るようにな ってきたo貯蓄率の低 さということが いわれ るが, こ れ も単に所得の水準に依存す るのではな くて,経済構 造そのものに規定 され る血がつよいということを見な 第3巻 第3号 ければな らない。最近のよい例がパキスタンである。 ここでは組織的な近代工業部門の比重がふえるにつれ て,経済全体の動 きが 自然に支配 され る度合 が低 くな ってお り,第 1次 5カ年 計画 の時代 と くらべ ると第 2 次 計l醐 与代 の成長は比較的なだ らかな線 をた どってい る。 こうして計画当局者 も,安定 した経済成長のため にはどのよ うな経済構造を指向しなければな らないか とい うことを考 えるよ うにな ってきた。 一方,外 国貿易の血では,輸山と輸入需要 とが とて もマ ッチしないという人 きな制約条件がある。後進国 はい まこの問題 を鮒汰 しないと先 に一歩 も進 めない と ころまで追 いつめられ ているが, これはひと り後進 国 だけが 自力で解決で きるものではな く,世界経済全体 の規模にお いて考 えなけれ ばな らない問題で もあるの だ。 テ ィンバー ゲンの_主張のひとつに次のような考 えが 3) ある。 世界経済 の安定成長 のためには,一 国の場合 と 同 じよ うに,ひ とつ の国際的な経済政策 とい ったもの が必要である。そのためには,一 国の計画当局に相 当 す る仕 車を国連が行な うべ きだ。各 国政府 ・地域委員 会 ・国連本部
の 3者のあいだ に情 報 と意志 の伝達をス ムーズに行な った うえで,国連本部が 世界 的規模での 経済 予測を行ない, これを 世界経済計
画にまで発展 さ せ ることが のぞ ましい, とい うのである。 こうい う考 えが今の 世界でただ ちに実現 で きるとは Jt艮われないが, この意味で,昨年 ジュネ-ブで聞かれ た貿易闇発会言義のもつ意義は極めて大 きい。 ジュネー ブ会議の人 きな成黒は,75(あるいは77) カ国の後進 国が ひとつ 7)共通 の止場を確 立した こと, 他方 に は OECD という先進国
の共通 の立場が あ って, そ の 2 つの皿に有効な対話 をお こない うる湯がで きたという ことではなかろうか。皿題 が まだ多 くの こされている とはいえ,後進性
はミそこまで成熟 して きた ことを高 く 評価したいのである。1
0
経済予測と計 画 当局の期待 とのギ ャ ップ 最 後に各 国の経済H-座卓当局 の 目標設延 ・経済政策 と われわれ の予測 とのギ ャップにふれ たい。 ア ジア各 国の計画当局者の描 くア ジアの将来 の姿を 集 計してみ ると,かれ らの 目標によるな らば,ア ジア(3)c
f.
Jam Tinbergen:Shaping theWorld Ec o-numy,New York,196二三.-ア ジ -ア経 済 開 発 の 見 通し 経折 は年率 6%以上 (正確 にい うと6.4%)で成 長 す ることにな る。 もちろんちが った前提 の もとで作成 さ れ た各 国の計画 の具体的な数字 をそのまま集計す るこ とは