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都市近郊における大気境界層の観測―不安定時と中立に近い時の乱流構造の比較―Observations of the Atmospheric Boundary Layer in the Suburbs of the City Comparison of Turbulence Structures between Unstable and Near-Neutral Conditions

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Academic year: 2021

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都市近郊における大気境界層の観測

―不安定時と中立に近い時の乱流構造の比較―

Observations of the Atmospheric Boundary Layer in the Suburbs of the City

‒Comparison of Turbulence Structures under Unstable and Near-Neutral Conditions‒

○堀口光章

○Mitsuaki HORIGUCHI

Observations of turbulence in the atmospheric boundary layer have been made in the summer season 2013 using sonic anemometer-thermometers on a meteorological tower (55-m tall) of the Observation and Analysis System for Local Unusual Weather and a Doppler lidar in the Ujigawa Open Laboratory. Here, typical examinations under unstable and near-neutral conditions are presented. Large-scale structures at the lower level were observed under unstable conditions. This wind fluctuation is likely to be related to the plume structure forced by buoyancy in the heated lower layer. Large-scale structures were not observed under near-neutral conditions.

1.はじめに 科学研究費挑戦的萌芽研究「上空の強風層の降 下による地上での災害の発生とその予測に関する 研究」の一環として、防災研究所宇治川オープン ラボラトリーにおいて2013 年夏季(6~7 月)に 大気境界層乱流の観測を行った。 観測結果の一部はすでに報告しているが(堀口, 2014)、今回は主に接地層における安定度が不安定 である時と中立に近い時の乱流構造を比較した結 果を報告する。 2.観測の概要 観測については、観測鉄塔の高さ25m と 40m に 設置された超音波風速温度計に加えて、ドップラ ーライダー(Leosphere 社製 WINDCUBE WLS7) により40m から 200m まで 20m おきの高さにおけ る風速3 成分を測定した。このドップラーライダ ーの風の測定空間は各高度のプラスマイナス13m の高度幅を持ち、レーザーパルス発射角度は天頂 より約15 度傾けられ、約 1 秒ごとに北、東、南、 西方向のサンプリングを行って、これが繰り返さ れる。風速データについても約1 秒ごとに風速 3 成分が出力されるが、4 方向のサンプリングで一 組のデータが計算されるので風速データの実質的 な時間間隔は約4 秒である。 接地層での安定度の指標 z/L(z は測定高度、L はObukhov の長さ)は、高さ 40m の超音波風速温 度計による測定から評価する。 3.不安定時と中立に近い時での乱流構造の比較 不安定な時と中立に近い時とを比較するために、 日中に不安定な状態(z/L = −1.8~−0.5)であった 7 月 19 日 11 時 30 分から 15 時まで(ケース A) と、同じ日に中立に近い状態(z/L = −0.1~0.0)と なった19 時 30 分から 23 時までの時間帯(ケース B)の例を比較する(Fig. 1)。 z/ L u (m s -1) * u (m s -1) 40m 25m Time (LST) 0000 0400 0800 1200 1600 2000 2400 A B -5 -4 -3 -2-10 1 0.0 0.5 1.0 0 5 10

Fig. 1 z/L, friction velocity (u), and u velocity components at 40 m and 25 m on July 19, 2013. Periods for the analysis (case A during 1130‒1500 and case B during 1930‒2300) are also shown

宇治川での観測鉄塔の高さ 40 m の超音波風速 温度計による平均風速は、不安定な時間帯で各パ ートについて3.8 m s−1から4.2 m s−1の範囲、中立 に近い時間帯では5.0 m s−1から2.8 m s−1へと変化 していた。またこの日は北寄りの風が続き、高さ

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55 m の風車型風向風速計による 10 分間ごとの風 向(毎秒の16 方位の風向データから 10 分間での 最多風向)は、西北西から北の範囲であった。 ドップラーライダーによる 10 分間ごとの平均 風速の時間変化を見ると(Fig. 2)、午後おそく(15 時半頃)から風速が急に強くなっており、その後 強風層が21 時ごろまで上空に見られている。 2.2 2.6 33.4 3.8 4.2 4.6 55.4 5.8 6.2 6.6 77.4 7.8 8.2 8.6 9 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 Time (LST) H ei gh t ( m ) Horizontal Wind Speed (ms-1) 19 July, 2013

Fig. 2 Time–height cross-section of the 10-min average horizontal wind speed on July 19, 2013

風 速 変 動 の ス ケ ー ル 分 布 を 調 べ る た め に Mexican Hat 函数を用いたウェイブレット解析を 行う。Fig. 3 は不安定な状態にあった時間帯(11 時30 分~15 時)について、ドップラーライダー による平均流風速成分u に対するウェイブレット 分散スペクトルである。スペクトルのピークは下 層(40m)では 168 秒の大きな時間スケールに見 られるが、それより上空では10 秒から 20 秒程度 の非常に小さな時間スケールに位置している。地 表付近の大気が暖められることにより生じる上昇 流域であるプリュームの構造がこの時に見られて おり(堀口,2014)、下層での大きな時間スケール の風速変動はその構造と関連していることが考え られる。 1 10 100 1000 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Time Scale (s) W av el et V ar ia nc e 40m 80m 120m 160m 200m

Fig. 3 Wavelet variance spectra for the u velocity component measured by the Doppler lidar as a function of the time scale. An unstable case during 1130‒1500 on July 19, 2013 is examined. Graphs are depicted for the spectra every 40-m level

次いで、Fig. 4 は中立に近い状態にあった時間 帯(19 時 30 分~23 時)について、ドップラーラ イダーによる風速成分u に対するウェイブレット 分散スペクトルである。不安定な時に見られた下 層での大きな時間スケールにおけるピークがはっ きりしなくなっている。上層でも同様であり、小 さな風速変動が卓越している。これについては、 中立に近い状態となって、プリュームの構造が見 られなくなったことによるものと考えられる。 1 10 100 1000 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

Time Scale (s)

W

av

el

et

V

ar

ia

nc

e

40m 80m 120m 160m 200m

Fig. 4 Wavelet variance spectra for the u velocity component measured by the Doppler lidar as a function of the time scale. A near-neutral case during 1930‒2300 on July 19, 2013 is examined. Graphs are depicted for the spectra every 40-m level

4.おわりに 研究発表講演会では、その他の例も含めてより 詳細に解析した結果を報告する予定である。 謝 辞 本研究はJSPS 科研費 24651208 の助成を受けた ものである。また、宇治川オープンラボラトリー での観測については、京都大学防災研究所附属流 域災害研究センター、気象・水象災害研究部門、 技術室の方々のご協力、ご支援によるものである。 ここに記して謝意を表する。 参考文献 堀口光章(2014):都市近郊における大気境界層の 観測―不安定時の乱流構造―,京都大学防災研 究所年報,第57 号 B,pp. 239-247.

Fig.  1    z/L,  friction velocity (u ∗ ),  and  u  velocity  components at 40  m and 25 m on July  19,  2013
Fig. 2   Time–height cross-section of the 10-min  average horizontal wind speed on July 19, 2013

参照

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