Title
Changes in neuronal protein expression in LP-BM5-infected
mice( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
高橋, 香奈子
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第728号
Issue Date
2007-10-16
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/23098
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氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与要件 学位論文題目 審 査 委 員 高 橋 香奈子(愛知県) 博 士(医学) 甲第 7 2 8 号 平成19 年10 月 16 日 学位規則第4条第1項該当
Changesin neuronaJprotein expressionin LP-BM5-infected mice
(主査)教授 浦 島 満 (副査)教授 大 塚 貴 教授 中 川 敏 幸 論文内容の要旨 後天性免疫不全症候群(AIDS)においては,原因ウイルスであるhumanimmunodeficiencyvirus(HIV) の感鄭こよりHIV脳炎が引き起こされ,エイズ認知症に至ることがあるとされている。一方,マウスレト ロウイルスであるLP-BM5を感染させたマウスはEIV脳症モデルとして用いられている。このモデルを用い て記憶力及び学習能力の低下や神経機能に関わる物質の変化が報告されているが,HIV脳症の詳細なメカ ニズムについては明らかではない。 本研究は,LP-BM5感染マウスにおける脳内(海馬)のタンパク発現を網羅的に分析し,記憶異常に関与 するタンパクの同定を目的とした。 【対象と方法】 5∼6週齢のマウスにLP-BM5を投与した群(LP-BM5群)とその培養液のみを投与した群(コントロール 群)を作製し,その10週間後に海馬を取り出した。 タンパク発現を広範囲に比較するために二次元電気泳動(一次元目は等電点電気泳動,二次元目は SDS-PAGE)を行ない,銀染色でスポットの比較をした後タンパク同定用にCBB染色をした。各群(N=3)で, 画像解析ソフトを用いたスポットの面積と染色濃度の比較を行い,両群間で有意差の見られたスポットを 切り出し,トリプシン処理した後,質量分析器(Thermo Fisher Scientific,LCQAdvantageMax)を用い
てタンパク同定を行なった。 同定されたタンパクの量を,それぞれの特異抗体を用いたウェスタンプロット法にて比較した(N=6)。 【結果】 ① マウス海馬をサンプルとした二次元電気泳動像ではおよそ800スポットが検出され,そのうち両群 間で有意差(pく0.01)の見られたのは35スポットであった。 ② 質量分析器で同定可能であったタンパクはsynapsin2,PrOteindisulfide-isomerase(PDI),14,3-3 protein zeta/deltaの3種であった。 ③ ウェスタンプロット法を用いてタンパク量を比較した結果,3種のタンパク全てがLP-BM5群におい て減少していた(synapsin2ではp=0.0609,PDIではp=0.0098,14-3-3protein zeta/deltaでは p=0.0046)。
-21-【考察】 本研究において,HIV脳症モデルのマウス海馬で低下する3つのタンパクを同定した。 まず,SynaPSin2はシナプス小胞をコートしている細胞骨格タンパクであり,そのタンパク減少がLP-BM5 群で見られたことにより神経細胞の損傷が示唆された。 次いで,PDIはタンパクのジスルフィド結合の再編成に関わる酵素であり,小胞体ストレスのような神 経毒性のある状態から神経細胞を保護する働きがあるが,そのタンパク減少または修飾により神経保護能 力の低下が示唆された。また,アルツハイマー病やパーキンソン病のような神経変性疾患の場合にニトロ 化されたPDIが認められるという報告があり,このようなタンパク修飾が病態に関わっている可能性も考 えられる。 最後に,14-3-3protein zeta/deltaはエイズ認知症の患者髄液中で検出されているが,それは神経破 壊に伴う髄液中への漏出によるものと考えられる。今回の海馬での低下は,神経破壊を反映しているもの と示唆される。 【結論】 LP-BM5感染マウスにおける海馬内で,濃度変化の認められたタンパクを検索した結果,神経保護及び神 経破壊に関わるタンパクを同定した。これらのタンパクは,いずれもエイズ認知症の発症に関わっている 可能性が示唆された。今後は,これら3種のタンパクの詳細な機能を明らかにするとともに,この3種以 外のタンパクを同定することがエイズ認知症の発症メカニズムの解明に必要である。 論文審査の結果の要旨 申請者 高橋香奈子は,HIV脳症モデルマウスを用いて脳内の海馬で低下するタンパクを同定した。本 研究の成果は,HIV感染によって引き起こされる神経破壊およびエイズ認知症の病態解明に少なからず寄 与するものと思われる。 [主論文公表誌] ChangesinneuronalproteinexpressioninLP-BM5-infectedmice NeuroscienceLetters422,114-118(2007).