近江の散歩
ハッチョウトンボ(オス・体長2cm)
カキラン(ラン科)
38 しがだい しがだい 39
【表紙解説】 『近江名所図会』から −多賀大社について−
多賀大社は延命長寿の神として、古くから全国的な信仰を集めた神社であり、地元では「お多賀さん」
の名で親しまれています。また「お伊勢参らば多賀にも参れ、お伊勢お多賀の子でござる」などと俗
謡にもうたわれるように、かつては伊勢神宮へ詣でた参詣者は多賀大社へも立ち寄るという風習があ
りました。このことについては、『近江名所図会』にも「夫当社(多賀大社)は天照太神のたらちお
の御神にてましませば、伊勢参宮の輩、道を枉げてこゝに多く詣するなり」と記されています。明治
29(1896)年に敷設された近江鉄道も、こうした伊勢・多賀参詣者を重要な利用客として見込んでい
たようで、昭和初期には貴生川から伊賀上野まで路線を延長し、さらに伊賀電気鉄道・参宮急行電鉄
などと連絡して、滋賀と伊勢方面とのアクセスを強化しようと計画したこともありました。
青柳 周一(経済学部附属史料館助教授)
山 室 湿 原
米原市、旧山東町山室に「山室湿原」はあります。姉川と
天野川の間にできた小山地の沢地が堰せきとめられてできた東
西約90m、南北約170mほどの小さな湿原です。みつくり
谷と呼ばれる谷間にひっそりと息を潜めるかのようにありま
す。
初めて訪れたときは、しーんと静まりかえった湿原から多
くの生き物たちの息づかいが聞こえ、俗世界から遮断された
ような感覚にとらわれました。
夏の山室湿原は、日本のトンボの中で一番小さな種類の
ハッチョウトンボ(体長2cm)や白く可憐なサギソウが迎
えてくれます。貧栄養のためにモウゼンゴケやミミカキグサ
は食虫植物とのこと、びっくりです。花々はほんとうに小さ
く湿原は美しいミクロの世界です。生き物たちは春、夏、秋、
冬、それぞれに、美しい湿原を創り出しています。一度、そ
おっと訪れてみて下さい。
2万年前の自然がそのまま保たれている「山室湿原」―
大切にしていかなければと思います。
畑中 真知子(産業共同研究センター)
しがだい25号.indb 38 2007/02/23 16:26:08