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医療的ケアを必要とする子どもの成長・発達を促すケアの構築に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 2017 年度(後期)一般公募 在宅医療研究への助成. 医療的ケアを必要とする子どもの成長・発達を促すケアの構築に関する研究 (2 年間). 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 博士後期課程成育看護学 福井早苗 こうち看護協会訪問看護ステーション 看護師 小松咲 重症心身障がい児デイサービス ココステージ マーヴェラス吹田 看護師 桑原育美 淀川キリスト教病院 医師 西原正人 提出年月日:2020 年 3 月 31 日.

(2) 1.. 研 究 の背 景 近 年 、医 療 の進 歩 とともに在 宅 医 療 に関 する医 療 機 器 が簡 素 化 し、在 宅 医 療 に関 す. る法 制 度 も整 い始め、在 宅 において療 養 する人が増 加 している。小 児 在 宅 医 療 において も新 生 児 集 中 治 療 室 などに長 期 入 院 した後 、在 宅 医 療 に移 行 し医 療 的 ケアが必 要な子 ども(以 下 、医 療 的 ケア児 )の人 口 は増 加 している(厚 生 労 働 省 医 政 局 、 2016)。そして平 成 28 年 度 の児 童 福 祉 法 の改 正をはじめ法 制 度 も徐 々に整 い、医 療 的 ケア児が在 宅 で 生 活 するために保 健 、医 療 、福 祉 など多 方 面 の体 制 整 備 が重 要 であることが明 確 にされ ている(厚 生 労 働 省 医 政 局 、2016)。このような背 景から、在 宅 生 活 への移 行 や維 持 継 続 するための重 要 な支 援の一 つとして訪 問 看 護 による医 療 的 ケア児へのケアと家 族 支 援 が 期 待 されている(全 国 訪 問 看 護 事 業 協 会 、2016)。 医 療 的 ケア児の主 介 護 者 である母 親は、サービスの実 施 者 に対 して、子 どもに関 する ケアは母 親 が行 う方 法を認 めること、さらに専 門 職 者 としての知 識 技 術 をもって子 どもに接 することを望 んでいた(NPO 推 進 ネット、2006)。そして在 宅 療 養 にある子 どもと家 族 が看 護 職 に期 待 する支 援は、高 度 な医 療 的 ケアを必 要 とする重 症 児 と家 族 の気 もちに理 解の ある相 談 支 援 、在 宅 人 工 呼 吸 療 法 中 の重 症 児 の成 長 発 達 を促 す在 宅 療 養 の QOL 向 上 への支 援 だった(高 、2016)。さらに、小 児 の訪 問 看 護 を実 施 していく上 での困 難 性 で は、親 との関わり、子 どもの症 状 判 断 、そして成 長 ・発 達 のケアにおいては通 常 の発 達 過 程 とは異なる知 識 ・技 術が必 要 とされることなどが挙 げられた(全 国 訪 問 看 護 事 業 協 会 、 2008;p131)。このように訪 問 看 護 師 には幅 広い力 量が必 要 とされており、特 に小 児 では 発 達 過 程 においてサービス内 容が変 化 するため、子 どもの成 長 ・発 達 過 程 を適 切 にアセ スメントし、時 期 を逸 することなくケア提 供 できるマネジメント機 能 も期 待 されている(全 国 訪 問 看 護 事 業 協 会 、2008;p132)。 子 どもの成 長 発 達 は医 療 的 ケア児の家 族 にとっても、小 児 看 護 を実 践 する訪 問 看 護 師にとっても重 要 であると考えられるが、訪 問 看 護 師が子 どもの成 長 発 達 を促 すケアをど のようにとらえ、行っているのかを明らかにした研 究 はない。そこで訪 問 看 護 師 が行 う医 療 的 ケア児 の成 長 ・発 達を促 すケアを明 らかにすることで、より効 果 的 なケアを検 討 するため の有 用 な資 料 となりうる。 2.. 研究方法 1) 研 究 協 力 者 研 究 協 力 者 は、在 宅 療 養 期 間 が 1 年 以 上 の 6 歳 未 満 の医 療 的 ケア児 とその家 族 へ の訪 問 看 護 の経 験 を有 する訪 問 看 護 師 とした。訪 問 看 護 師 の条 件 として医 療 機 関 での 臨 床 経 験 が 5 年 以 上 で、訪 問 看 護 師 としての経 験 が 3 年 以 上 ある訪 問 看 護 師 または 訪 問 看 護 ステーションの管 理 者 に推 薦 された訪 問 看 護 師 で研 究 参 加 に同 意 の得 られ た訪 問 看 護 師 とした。. 1.

(3) 2)データ収 集 方 法 データ収 集は 2018 年 3 月 から 2018 年 11 月 まで行った。訪 問 看 護 師 に半 構 成 的 面 接 を実 施 した(平 均 47.18 分 間 )。面 接 は研 究 協 力 者 の所 属 する訪 問 看 護 ステ ーション、協 力 者 の支 持 する施 設 内 の一 室 においてプライバシーを確 保 して行 った。 面 接 内 容 は、研 究 参 加 者 の同 意 を得 て IC レコーダーに録 音 し、面 接 中 にメモを取 ることについて研 究 参 加 者 の同 意 を得て会 話 の記 録を取 り、逐 語 録 を作 成 した。 3)データ分 析 方 法 木 下 (2003)が提 唱 する 修 正 版 グランデッド・セオリー・アプローチ(木 下 ,2007)を 用 いて、質 的 帰 納 的 に分 析 した。データを継 続 的 に比 較 分 析 し、データ から現 れる 意 味 を考 え 概 念 を生 成 した。概 念 間 の関 係 を 検 討 しカテゴリーを生 成 するとともに、 概 念 間 、カテゴリー間 の関 係を検 討 した。 4)倫 理 的 配 慮 面 接 前 に、研 究 目 的 、研 究 方 法 、面 接 の所 要 時 間 、結 果 の使 用 方 法 、匿 名 性 の 保 持 、研 究 参 加 が自 由 意 思 に基 づくものであることを口 頭 と書 面 で説 明 を行 った。全 ての訪 問 看 護 師 から研 究 参 加 を示 す 同 意 を口 頭 及 び書 面 で 得 た。京 都 大 学 医 の 倫 理 委 員 会 の承 認 を受 けた(承 認 番 号 :R1330-2)。 3.結 果 1)研 究 協 力 者 の概 要 (1) 訪 問 看 護 師 の看 護 経 験 インタビューには 22 名 の訪 問 看 護 師 (7都 道 府 県 、13 の訪 問 看 護 ステーションに所 属 する)の参 加 協 力 が得られた。研 究 参 加 者 のでは、医 療 施 設 の経 験 年 数 が 3 年から 23 年 (平 均 13.9±6.5 年 )、小 児 看 護 経 験 は 11.7±7.8、訪 問 看 護 の経 験 年 数 は 1 年 半 から 20 年 (平 均 8.3±4.7 年 )、小 児 訪 問 看 護 経 験 は 7.5±4.3 年だった。 (2) 訪 問 看 護 師 が語 った子 どもが必 要 とする医 療 的 ケアの状 況 (表 を参 照 ) また、研 究 参 加 者 が語 ってくれた子 どもの. 表.子どもが必要とする医療的ケアの状況(複数回答:人 ). 医 療 的 ケア の 必 要 状 況 につい て 説 明 す る 。. 20. 子 どもの年 齢 は 2 歳から 5 歳 で、在 宅 療 養 の. 気管切開, 18. 年 数は 1 年 半 から 4 年 だった。子 どもが必 要. 浣腸, 10. 理 、経 鼻 経 管 栄 養 、胃 ろう、鼻 カヌラによる酸 10. 酸素カヌラ, 2. 力 での移 動 は 2 人 を除 き不 可 で、全 介 助 が 必 要 な 状 態 だ った 。 言 語 に よ る 意 思 疎 通 は. 5. 0. 2. 胃ろう, 3. 導尿, 2. 全 ての 子 ど もに おいて 不 可 で 、 ジ ェ ス チャ ー で行える子どもは 3 人 だった。. 経鼻経管栄養, 17. 15. とする医 療 的 ケアは 、気 管 切 開 、呼 吸 器 管 素 投 与 、浣 腸 、導 尿 だった。また、子 どもの自. 呼吸器管理, 17.

(4) 2)分 析 結 果 子 どもの成 長 ・発 達 を促 すケアには、母 子 と Ns と信 頼 関 係 を作 り上 げていく時 期 、母 親 が医 療 的 ケアを子 どもの生 活 の一 部 と感 じ始 める時 期 、母 親 にとって子 どもの 医 療 的 ケアを含 めた子 どもの世 話 が 育 児 になっている 時 期 にわかれて、その経 過 の中 で訪 問 看 護 師 のケアも変 わっていた 。訪 問 看 護 師 は主 に子 どもの医 療 的 ケアを担 う母 親 との関 係 性 を作 ることを基 礎 として、子 どものもつ力 を感 じ取 りながら、子 どもが成 長 ・発 達 するため の環 境 を整 えていた。母 親 が医 療 的 ケアを子 どもの生 活 の一 部 と感 じ始 める時 期 では、 訪 問 看 護 師 は母 親 と子 ども、子 どもと訪 問 看 護 師 での間 に双 方 向 のやりとりが始 まってい ることを感 じていた。そして、母 親 の子 どもの力 の気 づきを共 有 し、ともに喜 び、子 どもの発 達 を母 親 と共 有 していると感 じていた。母 親 にとって子 どもの医 療 的 ケアを含 めた子 どもの 世 話 が育 児 になっている時 期 では、母 親 は、訪 問 看 護 師 に加 え、多 職 種 や地 域 とのかか わりを持 ちながら、子 どもの医 療 的 ケアを含 めて子 育てと受 け入 れていた。 母 親 は子 どもの医 療 的 ケアを含 めた子 どもの世 話 に自 信 をもち子 育 てに喜 びを見 出 し、 子 どもの社 会 性 への成 長 と発 達 へと思 いを馳 せていた。それに伴 って 訪 問 看 護 師 は時 に 母 親 の気 持 ちに寄 り添 い、母 親 とともに揺 れながら母 親 を支 え、時 に母 親 と地 域 との橋 渡 し役として役 割 を変 化 させながら親 子 を支えていた。 4.考 察 訪 問 看 護 師 は子 どもの成 長 や発 達 を促 していくケアを実 践 するために、 直 接 的 に子 ども へ何らかのケアを率 先 して行 っているわけではなかった。子 どもの生 活 を支 えている母 親 と の間に信 頼 関 係 を作 ることに重 きを置 き、実 践 を行 っていた。その信 頼 関 係 を礎 に母 親が 子 どもの医 療 的 ケアを含 めて 子 育 てと感 じられるように、子 育 てを楽 しむことが出 来 るよう にサポートする役 割を担 っていた。 在 宅 療 養 中 の医 療 的 ケア児 の養 育 者 が医 療 的 ケアも含めて子 育てを感 じるプロセスに は、訪 問 看 護 師 の支 えが影 響 することが報 告 されている(馬 場 ら ,2013;草 野 ,2017)。訪 問 看 護 師 は 養 育 者 が医 療 的 ケアも子 育 てであり、子 育 てに喜 びを 感 じる時 期 を待 ちなが ら、子 どもが最 も反 応 を見 せる母 親 とのやりとりが活 発 になるように 支 援 することで、子 ども の成 長 ・発 達 をより豊かなものへとつなげていることが考えられる。 謝辞 研 究 にご協 力 いただきました皆 様 に感 謝 いたします。なお、本 研 究 は 公 益 財 団 法 人 在 宅 医 療 助 成 勇 美 記 念 財 団 の助 成 を受 けて行 った。 感想 データ収 集のために 7 道 府 県 、13 の訪 問 看 護 ステーションにご協 力 を頂きインタビュー をさせていただくことができた。その中 で 、在 宅 で生 活 を送 る子 どもとその家 族 を支 える訪 3.

(5) 問 看 護 師 の看 護 実 践 について話 を聞 き、病 院 での看 護 とは違 い家 族 の傍 らに寄 り添 う こ との大 切 さを改 めて考 える機 会 となった。 現 在 の結 果 をより深 く考 察 するため、分 析 が不 十 分 であるところをさらに検 討 し、今 後 は、論 文 として 公 表 し、在 宅 で活 躍 される訪 問 看 護 師の皆 様 に還 元 できる様 にしたい。 文献 厚 生 労 働 省 医 政 局 ほか. 2016. 医 療 的 ケア児の支 援 に関する保 健 、医 療 、福 祉 、教 育 等の連 携 の一 層 の推 進について. 【 アク セス: 2017/11/2 2 http://w ww 8.c ao .go .j p/sho ushi/shinse ido /law/ko do mo 3ho uan/pdf/h28060 3/re nk e i_ suishin.pdf 】. 全 国 訪 問 看 護 事 業 協 会 .2016. 平 成 28 年 度 訪 問 看 護 に係る講 師 人 材 養 成 事 業 【 アク セス: 2017/ 11/22 http://w ww 8.c ao .go .jp/sho ushi/shinse ido /law/ko do mo 3ho uan/pdf/h28060 3/re nk e i_ suishin.pdf 】. 木 下 康 仁 .2007. ライブ講 義 M-GTA 実 践 的 質 的 研 究 修 正 版 グランデッド・セオリー・ アプローチのすべて. 光 文 堂 . 馬 場 恵 子 , 泊 祐 子 , 古 株 ひろみ. 2013.医 療 的 ケアが必 要 な子どもを持 つ養 育 者 が在 宅 療 養 を受 け入 れるプロセス. 日 本 小 児 看 護 学 会 . 22(1), 72-79. 草 野 淳 子 .2017.在 宅 療 養 児 の母 親 が子 育ての喜 びを感 じるまでのプロセス. 母 性 衛 生 .57(4), 718-725.. 4.

(6)

参照

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