原 著
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妊娠中毒症における尿中thrombomodulinに関する研究
東京女子医科大学 ヤ 矢 産婦人科学(主任:武田佳彦教授) タニ タツ キ 谷 達 樹 (受付平成5年4月16日) Stndies on Urinary Thrombomodu血n in Toxemia of Pregnancy Tatsuki YATANl Department of Obstetrics and Gyn㏄ology(Director:Prof. Yoshihiko TAKEDA) Tokyo Women’s Medical College It is generaily accepted that the coagulation and fibrinolysis system may be involved in toxemia of pregnancy. It has recently been found that thrombomodulin(TM), which is present on the surface of endothelial cells and』垂撃≠モ?獅狽≠戟@chorionic villi, is a key factor in the anticoagulation system. However, the exact role played by TM in toxemia of pregnancy remains unknown. The present study was designed to investigate the involvement of the urinary TM antigen and its activity in normal pregnancy and toxemia of pregnancy. The molecular weight of urinary TM in normal pregnancy and late and early onset toxemia, its affinity for thrombinl, and the affinity of the thrombin−TM complex for protein C were analyzed. Results: 1)TM antigen in urine increased accordlng to the gestational period, and there was no significant difference in the amount of TM between normai pregnancy and toxemia of pregnancy. However, TM activity as estimated by activated protein C increased with gestational age in normal pregnancy and late onset toxemia. TM activity in early onset toxemia was much less than that.in late onset toxemia a簸d normal pregnancy of the same gestational age. 2)Urinary TM purified from normal pregnancy and toxemia showed two bands with MW of 58 kd and 28 kd(determined by Western blotting). 3)Urinary TM obtained from early onset toxemia functioned poorly as a cofactor of thrombin. The Vmax of thrombin−TM complex for protein C was lower玉n early onset toxemia than in 1包te onset toxemia and normal pregnancy. These results suggest that a genetic disorder in the maternal,fetal or placental endothelium may cause the early onset type of toxemia. 緒 言 妊娠中毒症(以下中毒症)においては腎糸球体 内丘brin沈着,胎盤の丘brino玉d変性,血液粘度上 昇,凝固充進などが存在し,中毒症病変に凝固線 溶系異常が関与することが知られているη.しか し,中毒症の病態および成因における凝固線溶系 の役割については未だ不明である.最近,血管内 皮細胞表面および胎盤絨毛細胞表面に存在し凝固 系を抑制する重要な因子としてthrombomodulin (TM)が注目されている. TMは細胞表面のみな らず,血中および尿中にも存在することが知られ ているが,その生理的意義は固相系における凝固 調節作用以外は充分解明されていない.本研究は,正常妊婦および中毒症において尿中TMの生化
学的および酵素学的解析を行うことにより,中毒症における凝固線溶系の因子をTMを中心とし
て検討することを目的とした. 対 象 対象は,正常妊娠42例および中毒症妊婦37例で ある.産褥3ヵ月後の正常妊婦9例,中毒症18例 も対象にした.中毒症は,日本産科婦人科学会の 基準による純粋型重症中毒症とした.さらに中毒 症とその発症時期により2つに分類した.妊娠24 週以降妊娠32週未満に発症した21症例を早期発症 中毒症(以下早発群)とし,妊娠32週以降に発症 した16症例を晩期発症中毒症(以下晩発群)とし た.尿中TM抗原量,活性測定の検体としては, 上記対象の早朝尿100ml以上を用いた.尿中TM の酵素学的性状を検討するために,別に正常妊娠, 早発群,晩発群の各群の尿21を用いた. 方 法
1.TM活性測定法
TM活性は,黒沢らの方法2}に準じて行った(図 1).すなわち,抽出したsampleにthrombin(40 unit/皿15μD, protein C(500μg/m110μ1)を加 え37℃30rnin incubateし, throlnbin−TM com− plexによるprotein Cの活性化をprotein C特異 Protein C 500μg/ml ユ0μ1 Thrombin 40unit/ml 5μl Sample 10μl Tris huffer(20mM,pH7,5)75μ1 Incubate 37℃30min ↓ ↓ ↓ 20%CH3COOH 500μ1にて反応停止 ↓ AMCの蛍光測定(Ex:380nm,460nm) 図1 TM活性の測定法 性MCA基質(100μM 250μ1)を用いて蛍光測定した.標準曲線はrabbit TM(American
Diagnotica社)を用いて作製した.反応曲線は TM濃度6μg/mlまで直線性を示し,測定限度は 30ng/mlであった.変動係数は10.5%であった. 2.尿中TMの抽出と活性および抗原量の測定 早朝尿100mlを限外濾過器(Millipore社)によ り20mlにまで濃縮した(5倍濃縮).濃縮後検体を4℃にて透析液(0.15M NaCl,20mM Tris
buffer,10mM benzamidine,0.2%nonidet P40, pH 7.4)にて24時間透析し, DIP thrombin agar− ose a伍nity chromatography用に供した. DIP− thrombin a缶nity chromatographyによる尿中TMの抽出に必要なイオン濃度および液量を知
るため,rabbit TM(Sigma社)20,10,5ngを 生理食塩液20mlにそれぞれ溶解させ,各濃度の rabbit TMをカラムにapplyし, fraction(液量 1ml)6本を採取し,溶出されたbu晩r中のクロールイオンおよび各fractionのTM濃度を測定し
た.その結果,抽出液量6m1にてTMがすべて抽 出されていることが分かり,以後の測定操作では elution volumeを6mlとした.さらに,このカラムによるとト尿中TMの再現性および回収率を
検討した.同一検体尿200,100,50m1を限外濾過 法で20m1に濃縮した検体(10,5,2.5倍濃縮)を 用いて各検体3本ずつについてカラム操作を行っ た後,抽出液中のTM活性を測定した. TMの濃 縮倍率に伴って,直線性にTM活性が増加し,か つ3検体のパラッキも小さいことが示された.回 収率は,40%前後(抗原量38,4±5。3%,活性値 42.6±8.5%;mean±SD)の一定値を示した.TM抗原量は三菱ガス化学KK.により開発され
たELISA法により測定した.本法は抗ヒトTM
モノクローナル抗体を用いたELISA法であり, 測定感度は1.Ong/mlである3).3。尿中TMの分子量決定
正常妊婦,早発群,晩発群の尿各々約21を20mlに濃縮し,透析後DIP−thrombin a缶nity
chromatographyに通した検体を用いた. SDS− PAGEの泳動条件は, ge1濃度10.5%,通電条件7 mA 15∼16時間, silverstainを行った. Westernblottingは,検体を2−mercapto ethanol処理後 Laemmli4)の方法により泳動した. ge1濃度は 4%,running gelは10%であった.ニトロセル ロース紙に蛋白をtransferし,1:250の希釈抗 家兎血清(石井らより恵与)と反応させた.洗浄 後1251・proteih Aと反応させautoradiographyを 行った.
4.尿中TMの酵素学的性状の検討
上記方法にて精製した正常妊婦および中毒症(早発群)の尿中TMを用いてthrombinの親和
性,protein C活性化能について検討した. protein C依存性活性化protein C(aPC)産生能はTM抗 原量を1μg/m1, thrombinを40U/m1と一定にし て,protein C濃度を測定した. TMの濃度依存性 thrombinとの複合形成とprotein C活性化能は, thrombinを40UI/m1, protein C濃度を7.94μM (500μg/m1)と一定として, TM濃度を1.5nMから48nMまで6段階に変化させたときのaPC産
生量を求め,Km値をLineweaver−Burkの方法
で求めた. 成 績 1.正常妊娠および中毒症(早発群,晩発群)の尿中TMの変動
1)正常妊婦の尿中TM抗原,活性,比活性の推 移 尿中TM抗原量は,妊娠週数とともにほぼ直線 的に増加し,非妊娠時58.8±4.6ng/m1,妊娠30週 80.3±5.4ng/ml,40週93.4±7.9ng/m1となった. しかし,産褥3ヵ月には51.2±9.8ng/m1(n=9) と非妊娠時の値に復帰した(図2).尿中TM活性 は,非妊娠時2.63±0.26nmol/m1/minであるが, 妊娠初期は軽度の増加を示したのち後半期に急増TMA
(ng11n loo 50 0 易 非 10週 20週 30週 40週 産 妊 婦 褥 3 カ 月 (n=32)(n=12>(n=7)〔n=1丁)(n=16) (渦コ9) 図2 正常妊婦尿中TM抗原量 aPC (nmol/rn〃min) 10.0 51Do 0 非 10週 20週 30週 40週 妊 婦 (n司2)(n=8)(η=7)(n=10)(n=フ) 図3 正常妊婦尿中TM活性 褥 3 カ 月 〔n=9> し,妊娠30週6.21±1.30nmol/ml/min(n=10), 妊娠40週8.87±1.10㎜ol/ml/min(p=7)に達し た。産褥3ヵ月では抗原量の傾向と同様に2.60± 0.40nmol/ml/min(n=9)と非妊娠時の値に復帰 袋 正常妊婦,中毒症(晩発群,早発群)の尿中TM抗原量,活性,比活性 正 常 妊 婦 30週 40週 晩期中毒症 @(40週) 早期中毒症 @(30週) TM抗原量 ing/ml) 80.3±5.4 in=10) 93.4±7.9 @(n=7) 91.3±6.8 in=22) 84.5±6.8 in=22) TM活性(nmol/ml/min) 6.21±1.30 in=10) 8.87±1.10 @(n=7) 8.3±0.9 in=18) 3.1±1,5 in=13) TM比活性 0.077±0.050@(n=10) 0.094±0.100@(n=7) 0,096±0.020@(n=18) 0.036±0.010@(n=13)した(図3).TM比活性は,非妊娠時0.044± 0.010であったが妊娠30週0.077±0,050妊娠40週 0.094±0.100と末期には2倍以上に増加し,産褥 期では0.051±0.015と非妊前値に復した(図4). 2)中毒症(早発群,晩発群)における尿中TM の動態(表) TM抗原量は,早発群(30週)では84.5±6.8ng/ m1(n=22),晩発群(40週)では91.3±6.8ng/ml (n=22)と同門数の正常妊婦と差を認めなかっ た.これに対しTM活性は,早発群では3.10± 0.50㎜ol/m1/min(n=13)と同週数の正常妊婦 6.21±1,12nmo1/ml/min(n=10)と比べて有意に 低値を示した(p〈0.01).一方晩発群(40週)で は8.30±:0.90nmol/ml/min(n=18)であり,同週 数の正常妊婦8.87±1.10㎜ol/ml/min(n=7)と 比べて差を認めなかった.TM比活性は,早発群 砦 性 0.1 0.05 斐 婦 30週 40週 〔n512) (n=10) 〔n27) 図4 正常妊婦尿中TMの比活性 aPC (nm。1/ぱ/min) 30 20 10 葎 舅 、浬、、 ..
D響騰〕
o 0 ▲ /y=0.044x+0,07 。 呈 r葛。、738 0 ▲ ム P<0.100
O IOG 20。 TMA9(n9/・ε) 図5 尿中TMAgとTM活性の回帰直線 (30週)では,0.036±0.010と正常群0.077±0.050 と比べて有意に低値を示した(p〈0.01).晩発群 では0.090±0.02であり,正常群と差を認めなかっ た. 2.正常妊婦および中毒症(早発群)における尿中TMの酵素学的検討
1)比活性(TM活性/TM抗原量)の回帰直線 (図5) 正常妊婦では,回帰係数は0.17を示し晩発群も 正常妊婦の回帰直線上に位置したが,早発群では 0.04と全く異なった回帰直線を示した.すなわち 早発群では,正常妊婦に比べて比活性が低値を示 すことが明らかとなった(pく0.01). 2)正常妊婦および中毒症(早発群)における尿中TMの酵素学的検討
各々の患者から精製したTMを用いて,TM抗
原量とthrombin量を一定とし, thrombin−TM複 合体の基質であるprotein C濃度を0.125μMか ら14μMまで8段階に変動させて活性化protein C量を測定し,TMのprotein Cに対するa伍nity を検討した.早発群のTMは正常妊婦に比べpro・ tein C活性化能が著明に低いことが示され, a伍nityが低下していることが示された(図6). 次にthrombinとprotein Cを一定量とし,正常妊婦および早発群尿より精製したTMを1.5
nMから48nMまで6段階に変化させ, protein C ●PC (mol!41mIn} 300 20G 100 o TM 1μg/m21eμ thrombin 40 U/mε5μI proteln C(O.125∼等4μM> [。正常妊婦尿^早期中毒症尿] む//
1 2 4 8 12 〔{ prQtdn C (αM〕 図6 正常妊婦および早期中毒症尿より精製した TMの活性一protein C濃度依存性aPC産生の変 化一8PC {r㎜1!己1min} 200 1oo 0 thrombin 40Ulm25μ} protein C 500μg!m810μl TM(1.5nM∼48nM) [:灘,〕 つ む 8ノー一一一一『一一一キ M.W. 200,000一’ウ...
1購=犠、
66,200一 45,000−i D翫醐騨.=.贈. .・一樗F亨 一63,000/塞
4/≡ L53.06,0 12 24 48 TM濃度(nM) 図7 正常妊婦および早期中毒症妊婦尿より精製した TMの変化によるthrombinとの複合体形成とpro・ tein C活性化能 ス 正 早 晩 タ 常 期 期 ン 妊 中 中 ダ 婦 毒 毒 1 症 症 ド 図9 尿中TMのSDS・PAGE 0,05 1 V 0.02 oKm 13、3nM Vm8、=250nmol/飢f/mln ▲Km 3.45nM V㎜、=645nmo「んε/min 0 0」 0.2 0.3 0.4 0.5 〔TM(nM)〕冒1 図8 正常妊婦および早期中毒症妊婦尿より精製した TMのLineweaver−Burkプロット(protein C− MCA基質法) 活性化能を検討した.早発群におけるTMは,正 常妊婦尿中TMに比べてprotein Cの活性化能 が極めて低値を示した(図7).正常妊婦および早発群の尿中TMのKmを
Lineweaver−Burkプロットより求めた.正常妊 婦のKmは13.3nM, Vmaxは250㎜ol/ml/min を示し,早発群のKmは3.45nM, Vmaxは64.5 .←→.. 1... .. .こデ・94k聖鱗雲1;lll
.{Q0k
組 晩 早 正 正 期 期 常 常 織 中 中 妊 非 毒 毒 婦 妊 TM 症 症 婦 (35w)(27w)(嗣 図10尿中TMのWestern blotting ㎜01/ml/minを示し, Km, Vmaxの明らかな差 を認めた(図8). 3)正常妊婦,中毒症(早発群,晩発群)におけ る尿中TMの分子量(図9,10) SDS−PAGEでは,正常妊婦,中毒症(早発群, 晩発群)ともに分子量63,000の単一バンドを示し た.一方Western blottingにおいては,3群とも に56,000,28,000の2つの主なバンドが認められ た.考 察 中毒症の病態は,妊娠の負荷すなわち循環血液 量増加,ステロイドホルモンの増加などに対する
母体の適応不全症候群であるといわれてい
る1)5).正常妊婦では循環血液量増加に対して末梢 血管抵抗が減少し血圧を一定に保たせるが,その 1血圧調整機構に破綻を来したとき妊娠性高血圧が 発症すると考えられている.さらに最近では,中 毒症の病態として,血管内皮細胞機能と血液凝固 線溶系の関与が報告されている’)4).血管内皮細胞 は,プロスタサイクリン(PGI2)や血管内皮由来 弛緩因子(EDRF)な:どの血管拡張因子を産生する のみでなく7),血管内皮細胞表面には,thrOlnbinのレセプターであるTMが多数存在することが
報告されている6).TMは, thrombinのcofactorでありTMと複合体を形成してthrombinのも
つ凝固活性を抑制し9),さらにこのthrombin−TM 複合体は,protein CからaPCへの変換を約2,000 倍促進し10),aPCの持つ活性型第V因子第Vlli因子 の不活化を増強し11),凝固抑制的に作用すること が知られている.石井らは,血管内皮細胞表面の みならず血中,尿中にもTMが存在することを報 告し12),さらに125LTMを家兎に静注しその代謝 を調べたところ,血中TMのごくわずかのものが 腎臓を通過して尿中に移行しているものの,尿中 TMの大部分は,血中に由来せず腎糸球体に由来 していることを報告している13). 今回の著者らの成績では,正常妊婦において尿 中TMは,抗原量,活性ともに妊娠週数に伴い増 加した.妊娠中腎血流量が増加することが知られているが,尿中TMは腎糸球体内皮細胞に由来
し,糸球体の血流維持に強く関与するものと考え られる.さらに妊娠中凝固線溶系の動態は凝固因子であるFPA(fibrinopeptide A), TAT
(thrombin−antithrombin III), aPCなどが増加 し,またFPBβ15−42(fibrinopeptide Bβ15−42), tPA (tissu Plasminogen activator)などの線溶系の因 子が,平行して充進ずることが報告されており5>, TMの変動は,これらの変動を表現するものであ ろう. 中毒症において尿中TM抗原量は,早発群,晩 発群とも正常妊婦と同様に増加を示し,正常妊婦 と中毒症とで有意差は認めなかった,しかし,TM 活性は早発群においては正常妊婦の同週数と比較 して有意に低値を示したが,晩発群においては, 正常妊婦と有意差を認めなかった.そこで正常妊 婦と中毒症(早発群,晩発群)について尿中TM の活性値と抗原量の相関を見ると,正常妊婦と晩 発群は同一回帰直線上にあるが,早発群は全く異 なる回帰直線を示した.すなわち早発群の尿中TMは正常妊娠および晩発群と質的に異なって
いる可能性が示唆された. 次に正常妊婦,早発群,晩発群の尿よりTMを 濃縮精製しSDS−PAGEにて分子量を測定したと ころ63,000の単一・ミンドが得られたが,Wester血 blotting法では分子量56,000,28,000の2つのバ ンドが認められた.これは,SDS−PAGEとWest− ern blottingの検出感度の差異によるものであろ うと推測され,尿中TMの分子量は,正常妊娠, 早発群,晩発群ともに大きな差異はなく,主体は 56,000と28,000であると考えられる.石井らによ れぽ胎盤より抽出したTMは分子量105,000とい われているが14),血中TMは分子量56,000であ る.TMの膜構造ドメインから先が血管内皮細胞 より血管内に出ており,この部分から細胞破壊な どにより切れて血中に遊離したものであろうと推 測されている.尿中TMも糸球体血管由来であり血中TMと同一機序で固相系より遊離されたと
考えられる. 尿中から濃縮,精製したTMの酵素学的検討に より正常妊娠と中毒症(早発群)の尿中のprotein C活性化能が明らかに異なることが示された.す なわち,中毒症(早発群)ではVmax 64.5nmol/ ml/min, Km 3.45nMと正常妊婦の約1/4の低値 であった,これは早発群では腎糸球体血管内皮の 凝固抑制機能が低下していることを示すものであ ろう.さらに臨床統計でも早発群では家族歴に高 血圧素因が高率に認められることが報告されてお り15),TM活性の低値も素因が関与している可能 性が示唆される. 今回著者は,中毒症を妊娠負荷に対する生体の 適応不全としてとくに血管内皮細胞の機能不全としてとらえた.血管内皮細胞膜表面に存在し,抗