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爆風から人を救え!爆傷医療に貢献: 病室の隣で生まれる防衛技術. 爆傷研究のための爆風型衝撃波発生装置

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Academic year: 2021

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16 IHI技報 Vol.58 No.2 ( 2018 )

株式会社 IHI

爆風から人を救え!

爆傷医療に貢献

病室の隣で生まれる防衛技術

爆傷研究のための爆風型衝撃波発生装置

年々高まる爆発物テロの脅威.防護服の開発や治療方法の研究のために,流体解析シミュレーション技術や騒音・振動 対策を駆使し,限られた既存施設の室内に世界最大級の衝撃波発生装置を実現した.

爆風型衝撃波発生装置

近年の世界的な紛争,テロ活動の活発化,脅威の 拡散が顕著である状況で,武装勢力の爆弾や IED ( Improvised Explosive Device:即製爆発装置 )などに よる爆風での攻撃を受けた兵士や民間人が,体表面に 外傷痕はないが,内臓に損傷を受けたり,脳に何らかの 異常をきたし記憶障害や注意力低下となったりする事象 が多発しており,欧米で爆傷研究が盛んになっている. 日本でも防衛医科大学校が爆傷研究に注力してい る.防衛医科大学校は,医学的に人間と同等な評価が 可能な中型動物を被検体とした研究用装置「 爆風型 衝撃波発生装置 」を計画し,2016 年度に IHI が製造, 納品した. 装置は防衛医科大学校防衛医学研究センター( 埼 玉県所沢市 )内の縦 8.0 m,横 12.0 m,高さ 2.5 m の 室内に設置された.装置のメインとなる衝撃波管は, 長さ約 7.5 m,出口径は 400 mm のステンレス鋼でで きた管状構造物であり,後方に蓄圧タンクを備える. 爆風とは,爆発によって生じる急激な風圧( 圧縮波 ) のことだが,音速を超える速さで伝播するため,爆風の 波頭には衝撃波が生成される.爆風型衝撃波発生装置 は,衝撃波を生成させることで爆風を模擬し,その爆 風を被検体に作用させることが可能な装置である. この装置では,蓄圧タンク内の高圧気体を瞬間的に 大気開放し,ある程度長さをもった管内を通過するこ とで,高圧気体は急激に膨張し,低圧側は圧縮され, 超音速の圧縮波が生成される.原理はシンプルだが, 爆風型衝撃波発生装置 全体( 単位:m ) 高速度カメラ 低圧部 昇圧器 空気 タンク 圧縮機 制御盤 計測部 測定室 消音器 キセノン光源 隔膜交換架台 凹面鏡 凹面鏡 2.5 蓄圧タンク ( 高圧部 ) 蓄圧タンク ( 隔膜部 ) 8.0 12.0 衝撃波管 シュリーレン装置

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IHI技報 Vol.58 No.2 ( 2018 )

こんな IHI が面白い 居・病室などが近接している通常建屋室内に据え付け ることを実現し,実験棟を新設することなくリノベー ションによる既設建屋での研究を可能とした. そのために,建屋と装置間の地盤の切り離しを行っ た.さらに,装置側にも衝撃を吸収するためのダン パー機構を組み込み,地盤への振動伝播を抑制した. 防音に関しては,吸音材で内壁を覆い,爆風に耐え 得る強度をもつ測定室を設けた.その内部に衝撃波を 発生させることにより,音源付近( 衝撃波管出口 )で 160 dB以上発生する騒音値を,部屋の外では約 60 dB まで低減することに成功した.

これから

爆風型衝撃波発生装置は,現在お客さまによって頻 繁に使用されており,海外からの専門家の視察も多 く,高い評価を得ている.また,防衛装備品に関し, 民間で自主的に行われた研究開発や,生産技術の向上 で特に優れた成果をあげた企業などが表彰される 「 防衛基盤整備協会賞 」を受賞した. 今後も流体解析技術,騒音・振動の低減・対策を踏 まえた設計技術により,各種医学的研究に貢献すると ともに,IHI グループの総合力を活かし,お客さまの ニーズに的確に応えた防衛用装置などを提案・製造し ていく. 問い合わせ先 株式会社 IHI 航空・宇宙・防衛事業領域 防衛システム事業部 機器技術部 電話( 042 )568 - 7177 https://www.ihi.co.jp/ 室内の限られた空間で,爆風の圧力波形を精度良く再 現する必要があり,衝撃波発生技術の知見,構造強度 のシミュレーション( FEM:有限要素法 ),圧力・流 体のシミュレーション( CFD:数値流体力学 ),およ び装置から発生する騒音・振動の対策技術などの IHI の強みを活かし,完成させた装置である.

爆風を忠実に再現するシミュレーション

衝撃波管は,高圧気体の蓄圧値や,蓄圧タンクの容 積,管形状・長さなどを変えることにより任意の圧力 波形の生成が可能である. 今回製作した爆風型衝撃波発生装置は,爆傷研究を 目的とした次のような正圧と負圧を併せもつ圧力波形 の生成が要求された. ・ ピーク圧力 :∼ 400 kPa( ゲージ圧 ) ・ ピーク圧力の立ち上がりから大気圧回復までの持続 時間 :最大 10 ms 程度 この圧力波形を精度良く生成するため,衝撃波伝播 の CFD シミュレーションや要素試験を重ね,また, シミュレーションどおりの条件を再現するための装置 製作技術( 瞬間的に圧力を開放するための知見・製 作精度など )を活用し,効率良く装置の製作を行っ た.その結果,爆傷研究を対象とした装置として,世 界最大級のピーク圧力を実現した.

ニーズに応える既存建屋への設置

爆風型衝撃波発生装置の蓄圧タンク最大設定圧力 5.5 MPa を大気開放するため,衝撃波発生方向とは逆 方向に約 100 t の衝撃荷重が掛かる.また,同時に打 ち上げ花火のような爆発音が発生する. このような装置を,お客さまのニーズに合わせ住 生成された模擬爆風 衝撃波の圧力波形 ピーク圧力の 立ち上がり時間 大気圧 ピーク圧力 継続時間 時 間 圧 力 :正 圧 :負 圧

参照

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