Loeb
空間と選択公理
alg-d
http://alg-d.com/math/ac/
2015
年
12
月
13
日
定義. Xを位相空間とし,X の空でない閉集合全体のなす集合をA0 X で表す. 1. X がLoeb空間⇐⇒ A0 X が選択関数を持つ. 2. X が弱Loeb空間 ⇐⇒ A0 X が以下を満たす関数f :A0X −→ P(X)を持つ. 任意のF ∈ A0Xに対して0 <|f(F )| < ∞かつf (F )⊂ F 例 1. X を位相空間とする.X が整列可能ならばX はLoeb空間である. 例 2. RはLoeb空間である. 例 3. X を任意の集合とする.X に離散位相を入れてAlexandroffの一点コンパクト化 X = X∪ {∞}を考える.A0 X ={Y ⊂ X | |Y | < ∞} ∪ {Y ∪ {∞} | Y ⊂ X}だから,X は弱Loeb空間である. 定理 4. 次の命題は(ZF上)同値. 1. 選択公理 2. 任意の位相空間はLoeb空間である. 3. 離散位相空間はLoeb空間である. 4. 任意の位相空間は弱Loeb空間である. 5. 離散位相空間は弱Loeb空間である. 証明. 1 =⇒ 2と2 =⇒ 3は明らか. (3 =⇒ 1) {Xλ}λ∈Λ を互いに素な非空集合の族とする.X := ∪ λ∈ΛXλ に離散位 相を入れる.仮定により X は Loeb 空間である.故に A0 X が選択関数を持つから, 1{Xλ| λ ∈ Λ} ⊂ A0X も選択関数を持つ. 1 =⇒ 4と4 =⇒ 5も明らか. (5 =⇒ 1) 3 =⇒ 1と同様にして5 =⇒ AMCが分かるから,選択公理とAMCが同値 であることより従う. 定理 5. 選択公理 ⇐⇒弱Loeb空間の開部分空間は弱Loeb空間である. 証明. (=⇒)明らか. (⇐=) 離散位相空間X が弱Loeb空間であることを示せばよい.例 3で述べたように コンパクト化X は弱 Loeb空間である.故に仮定から開部分空間X ⊂ X も弱 Loeb空 間である. 定理 6. 次の命題は(ZF上)同値. 1. 選択公理 2. 任意のコンパクトHausdorff空間は,整列可能な稠密部分集合を持つ. 3. 任意のコンパクトHausdorff空間は,整列可能な基底を持つ. 4. コンパクトHausdorff空間の任意の点は,整列可能な基本近傍系を持つ. 証明. (1 =⇒ 2) 明らか. (2 =⇒ 1) 離散位相空間X がLoeb空間であることを示せばよい.コンパクト化 X は コンパクトHausdorffであるから,仮定より整列可能な稠密部分集合D ⊂ Xを持つ.し かしX の稠密な部分集合は定義からX かX しかない.従って X は整列可能であり, Loeb空間であることが分かる. (1 =⇒ 3) 明らか. (3 =⇒ 1) X の基底は{{x}x∈ X}を含むのでX は整列可能である. (1 =⇒ 4) 明らか. (4 =⇒ 1) 離散位相空間X が弱Loeb 空間であることを示せばよい.コンパクト化 X = X ∪ {∞} はコンパクト Hausdorffであるから,∞ ∈ X は整列可能な基本近傍 系 N を持つ.N の整列順序を一つ定めておく.X の定義から各 U ∈ N に対して |X \ U| < ∞である.そこでF ∈ A0 X に対してf (F ) := F \ min{U ∈ N | F ̸⊂ U} と 定めれば0 <|F | < ∞かつf (F )⊂ F である. 定理 7. 次の命題は(ZF上)同値. 2
1. 選択公理 2. Loeb空間の直積はLoeb空間である. 3. Loeb擬距離空間の直積はLoeb空間である. 証明. 1=⇒2と2=⇒3は明らか. (3 =⇒ 1) {Xλ}λ∈Λ を非空集合の族とする.Yλ := Xλ∪ {∞}に擬距離dλを dλ(x, y) := { 0 (x, y∈ Xλ または x = y =∞) 1 (x =∞, y ∈ Xλ または x∈ Xλ, y = ∞) で定める.(Yλ, dλ)はLoeb擬距離空間である. . ..) A0Y λ ={Xλ,{∞}, Yλ}より分かる. Y := ∏ λ∈Λ Yλを擬距離空間Yλの直積とすれば,仮定よりLoeb空間である.πλ: Y −→ Yλを標準射影として,Aλ:= π−1λ (Xλ)と置く.Aλ ⊂ Y は閉集合だから,Y がLoeb空 間であることより{Aλ}λ∈Λ の選択関数 gが存在する.このときf (λ) := πλ(g(λ))と定 めればf が{Xλ}λ∈Λ の選択関数である.
命題 8. Loeb Hausdorff空間の直積はLoeb空間
=⇒非空整列可能集合の族{Xλ}λ∈Λ は選択関数を持つ. 証明. {Xλ}λ∈Λ を非空整列可能集合の族とする.どの Xλ にも含まれない元 ∞ を取 りYλ := Xλ ∪ {∞} に離散位相を入れるとこれは Loeb Hausdorff 空間である.よっ て直積空間 Y := ∏ λ∈Λ Yλ は Loeb 空間である.そこで g : A0Y −→ Y を選択関数と し,πλ: Y −→ Yλ を標準射影とする.Y の定義から明らかに,各 λ ∈ Λ に対して πλ−1(Xλ) ∈ A0Y である.よってf : Λ −→ ∪ λ∈Λ Xλをf (λ) := πλ(g(πλ−1(Xλ)))で定めれ ばf が選択関数である.
命題 9. Loeb Hausdorff空間の直積はLoeb空間
=⇒ {Xλ}λ∈Λ を整列可能集合の族でΛが整列可能ならば ∪ λ∈Λ Xλも整列可能. 証明. {Xλ}λ∈Λ を非空整列可能集合の族とする.命題 8 と同じ記号を使うことにし て,A ⊂ Xλ を取ると πλ−1(A) ∈ A0Y である.よって P(Xλ)\ {∅} の選択関数 fλ が fλ(A) := πλ(g(πλ−1(A))) により定まる.この選択関数fλ によりXλ の整列順序≤λ が 3
定義される.これにより ∪ λ∈Λ Xλの整列順序が定義できる.故に ∪ λ∈Λ Xλは整列可能であ る. 系. 選択公理
⇐⇒ Loeb Hausdorff空間の直積はLoeb空間,かつ任意の集合は整列可能集合の整列和
で書ける. 命題 10. コンパクトHausdorff空間はLoeb空間 ⇐⇒非空コンパクトHausdorff空間の直積は空でない. 証明. (=⇒) {Xλ}λ∈Λ を非空コンパクトHausdorff空間の族とする.X := ⨿ λ∈Λ Xλを直 和すれば,Alexandroffの一点コンパクト化X はコンパクト Hausdorffである.仮定か らXはLoeb空間となり,故に定理4の証明と同様にして{Xλ}λ∈Λが選択関数を持つこ とが分かる. (⇐=) X をコンパクトHausdorff空間とすれば,A0 X は非空コンパクト Hausdorff空 間の族である.
参考文献
[1] K. Keremedis and E. Tachtsis, On Loeb and weakly Loeb Hausdorff spaces, Scient. Math. Jap. 83 No 2, (2001) 3, 413–422, http://www.samos.aegean.gr/math/ kker/
[2] K. Keremedis, Compact and Loeb Hausdorff spaces in ZF and the axiom of choice for families of finite sets, Math. Log. Quart. 58, No. 3 (2012), 130–138
[3] H. Herrlich and K. Keremedis and E. Tachtsis, Countable sums and products of Loeb and selective metric spaces, Commentationes Mathematicae Universitatis Carolinae, vol. 46 (2005), issue 2, 373–384, http://dml.cz/dmlcz/119531 [4] K. Keremedis K and E. Tachtsis, Weak axioms of choice for metric spaces,
Proc. Amer. Math. Soc. 133 (2005) 12, 3691–3701, http://dx.doi.org/10.1090/ S0002-9939-05-07970-0