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日本の食卓におけるお盆と皿数に関する研究

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Academic year: 2021

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卒 業 研 究 要 旨︵論文︶ 卒 業 研 究 要 旨︵論文︶

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生活環境学研究 No.7 2019 1. はじめに  西洋化によって,私たちの食卓には多彩な料理だけでなく, それを盛りつけるお皿も多様なものが並ぶようになっている。 そのなかで見られる多国籍化の他方で,私が興味をもったの は,カフェでお盆が使われていることだった(本研究におい てお盆を使うということは,お盆の上にお皿をならべて食事 をしている状態を指す)。カフェという店舗形態は,名称が 外国語であることからも,外国のイメージを借りたような店 舗も少なくない。  しかし一方で,お盆とは我が国の伝統的なスタイルといえ よう。なぜ,カフェという空間において,日本の伝統的なス タイルが採用されるのであろうか。また,私の家庭において, 普段の食事の際によくお盆を使用していることから,私に とってお盆とは身近な物でもある。本研究の目的の一つは, 現代の私たちの生活のなかで,お盆がどのように使われてい るのかを明らかにすることである。  同時に,私は,そのお盆のなかで,小皿などの皿数につい ても疑問をもった。お盆と皿数とは,決して無関係ではない のではないだろうか。またこの皿数についても,使用数が多 いということは,西洋料理に対してわが国の食卓の特徴でも ある。すなわち,日本の食卓が多国籍化されていくなかで, その他方で日本の伝統的な形式が同時に展開されているので はないだろうか。  家庭の配膳を扱う既存研究としては赤澤梨央の「現代の家 庭における食事に関する研究―食事時間と食事の配膳―」1) あるが,お盆と小皿に着目した研究は少ない。本論では,お 盆と同時に皿数について考察をすすめていく。また,調査を 通じて孤食や個人といった「個」と,共食や共有といった 「共」の二つの視点で考察を進める。 2. 研究方法  お盆の使われ方と皿数についての実態を明らかにするため に,本論文では「外食」と「内食」との双方について調査を行っ た。外食においてはカフェを対象に,フィールドサーヴェイ を行い,お盆の使用および皿数に関する調査を行った。内食 においては,本学の学生と,調査家庭に対してお盆の使用お よび使用皿数に関する実態調査を行った。 3. 外食におけるお盆と皿数に関する実態 3-1 カフェにおけるお盆に関する調査  カフェにおいてフィールドサーヴェイを行いお盆の使用に 関する調査を行った(表1)。  調査の結果,それぞれの地域で2店舗がお盆を使用しており, 合計4 店舗がお盆を使用していた(表2)。お盆を使用してい た店舗は皿数が多く,使用していない店舗はコース料理を提 供する,皿数が少ないという特徴がみられた。よって皿数が 増加するほどお盆を使用する傾向があるのではないか。また, お盆を使用して食事をする際に誰かとお盆を共有するという ことはなく,個人に向けて提供されていた。 3-2 外食における皿数に関する調査  カフェにおいてフィールドサーヴェイを行い,使用してい る皿数について調査を行った。対象店舗は 3-1 の調査にてお 盆が使用されていた店舗である(表1)。乙仲通りにおいては お盆を使用していた店舗が外から店内が見えず食事をした店 舗であったため,食事した際に撮影した写真から分析を行っ た。  調査の結果,お盆を使用していた4 店舗中 3 店舗が 5 皿以 上使用していた(表3)。ココノハは,食事はパスタを中心に 提供しており皿数は少なく,他の3 店舗は様々なおかずをそ れぞれのお皿に盛り付けて食事を提供しており,おかずの多 さが皿数の増加につながったのではないだろうか。それぞれ の店舗において,どのような食事をどのような形式で提供す るかというコンセプトがあり,お盆の使用や皿数はそのコン セプトによって決定されるのではないだろうか。また,お皿 を誰かと共有するのではなく,個人で使用し,それらを一つ のお盆の上にのせて食事を提供するという形式には,「個」 というものが感じられるのではないだろうか。 4. 内食におけるお盆と皿数に関する実態 4-1 学生に対するお盆に関する調査  家庭で食事をする際のお盆の使用に関する実態調査を, 2018 年 7 月に本学の学生 354 名に対して行った(表 4)。  調査の結果,お盆を使用している学生は全体の約 14% で

田﨑 ほなみ

[指導教員:武庫川女子大学准教授 三宅 正弘]

キーワード:日本の食卓,お盆,皿数,孤食,共食

日本の食卓におけるお盆と皿数に関する研究

表2 店舗におけるお盆調査の結果 表3 店舗における皿数調査の概要と結果 表1 店舗における調査概要 2018.6.28 8 7 2 2018.6.29 ~11.26 14 7 2 調査実施 店舗数 お盆使用 店舗数 umie・mosaic 乙仲通り 調査対象地域 調査日 調査対象店舗数 調査対象地域 調査日 ナトゥーラ・ナトゥーラumie店店名 皿数5~6 ココノハ  1~3 2018.6.29 ひとところかふぇ 5 2018.11.26 ハオスダイニングルーム 5~6 2018.8.31 乙仲通り umie・mosaic 生活環境学研究 No.7 2019

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表7 調査概要 表5 調査概要 表6 皿数結果 図 1 全体調査結果 図3 平日と土日の食事人数 図 2 居住形態別調査結果 表4 調査概要 図4 調査結果 あった。研究の視点に基づいて,一人暮らしの学生とそれ以 外の学生とを区別して分析を行った。その結果一人暮らしの 学生のお盆の使用率は約 23% で,一人暮らし以外の学生の お盆の使用率は約 12% となり,一人暮らしの学生の方がお 盆の使用率が高いという結果が得られた。お盆を使用すると いうことは「個」と少なからず関係があるのではないだろうか。 4-2 学生に対する皿数に関する調査  家庭において食事する際に使用する皿数に関する実態調査 を本学の学生に対し行った。自作した調査用紙を配布し,平 日20 回,土日 18 回の計 38 回の夕食のデータから分析と考 察を行った(表5)。  まず,共有皿について,38 回中 15 回の食事で使用されて おり,平日は5 回,土日は 10 回と,土日の方が共有皿が多 く使用されていた(表6)。さらに,食事人数に関して,平日 は食事人数が少ない家庭が多いことに対して,土日は食事人 数が比較的多かった(図3)。つまり,食事人数の多い土日は 平日よりも共有皿の使用が増えるということが明らかになり, 食事人数は,お皿の使用に少なからず影響を与えているので はないだろうか。 5. 家庭における食卓の実態  普段から食事の際にお盆を使用しているという家庭に協力 を得て,食卓の実態調査を行った(表7)。これらを分析,考 察するとともに,調査期間外ではあるが 10 人という大勢で 食事した際の記録も入手できたため普段の食事との比較も 行った。  調査の結果(図4),まず普段の食事について,毎回お盆を 使用しており,1 回の食事に個人皿を平均 4 皿使用し,共有 皿を使用したのは15 回中 2 回のみであった。一方 10 人で食 事をした際にお盆は使用されず,個人皿は各3 皿使用し,共 有皿は18 皿使用されていた。10 人で食事をする際にお盆が 使用されなくなったのは,食事人数が増えたことでお盆の数 が足りず,机にのせる十分な場所がなかったことが要因と考 える。共有皿が増えた要因は,品数や料理の量が多く,人数 も多いため個人に取り分けるのは効率的ではないことが要因 と考える。このように,普段お盆を使用する家庭でも,食事 人数が増加することでお盆が使用されず,共有皿の使用が増 えるという実態が見えた。 6. まとめ  本研究における調査から,お盆の使用や皿数というのは少 なからず「個」や「共」と関係があるのではないかと考えられる。 また,外食と内食とを比較してみると,外食ではお盆の使用 やどれだけのお皿を使用するかということはあらかじめ決定 されていると考えられるが,内食ではその日の献立や食事人 数に影響されて変化するのではないだろうか。この比較に関 して研究の視点に基づいた考察を行うことは今後の課題とす る。お盆の使用やお皿の数について,さらに詳しく明らかに することも今後の課題とする。 参考文献および参考資料 1) 赤澤梨央:現代の家庭における食事に関する研究 -食事時間と食卓 の配膳-, 2016

2) umie GOURMET GUIDE,2018 年 6 月 11 日現在 3) 2017‐2018 神戸乙仲通り MAP,2017 年 10 月 1 日現在

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卒 業 研 究 要 旨︵論文︶ 卒 業 研 究 要 旨︵論文︶

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生活環境学研究 No.7 2019 1. はじめに  西洋化によって,私たちの食卓には多彩な料理だけでなく, それを盛りつけるお皿も多様なものが並ぶようになっている。 そのなかで見られる多国籍化の他方で,私が興味をもったの は,カフェでお盆が使われていることだった(本研究におい てお盆を使うということは,お盆の上にお皿をならべて食事 をしている状態を指す)。カフェという店舗形態は,名称が 外国語であることからも,外国のイメージを借りたような店 舗も少なくない。  しかし一方で,お盆とは我が国の伝統的なスタイルといえ よう。なぜ,カフェという空間において,日本の伝統的なス タイルが採用されるのであろうか。また,私の家庭において, 普段の食事の際によくお盆を使用していることから,私に とってお盆とは身近な物でもある。本研究の目的の一つは, 現代の私たちの生活のなかで,お盆がどのように使われてい るのかを明らかにすることである。  同時に,私は,そのお盆のなかで,小皿などの皿数につい ても疑問をもった。お盆と皿数とは,決して無関係ではない のではないだろうか。またこの皿数についても,使用数が多 いということは,西洋料理に対してわが国の食卓の特徴でも ある。すなわち,日本の食卓が多国籍化されていくなかで, その他方で日本の伝統的な形式が同時に展開されているので はないだろうか。  家庭の配膳を扱う既存研究としては赤澤梨央の「現代の家 庭における食事に関する研究―食事時間と食事の配膳―」1) あるが,お盆と小皿に着目した研究は少ない。本論では,お 盆と同時に皿数について考察をすすめていく。また,調査を 通じて孤食や個人といった「個」と,共食や共有といった 「共」の二つの視点で考察を進める。 2. 研究方法  お盆の使われ方と皿数についての実態を明らかにするため に,本論文では「外食」と「内食」との双方について調査を行っ た。外食においてはカフェを対象に,フィールドサーヴェイ を行い,お盆の使用および皿数に関する調査を行った。内食 においては,本学の学生と,調査家庭に対してお盆の使用お よび使用皿数に関する実態調査を行った。 3. 外食におけるお盆と皿数に関する実態 3-1 カフェにおけるお盆に関する調査  カフェにおいてフィールドサーヴェイを行いお盆の使用に 関する調査を行った(表1)。  調査の結果,それぞれの地域で2店舗がお盆を使用しており, 合計4 店舗がお盆を使用していた(表2)。お盆を使用してい た店舗は皿数が多く,使用していない店舗はコース料理を提 供する,皿数が少ないという特徴がみられた。よって皿数が 増加するほどお盆を使用する傾向があるのではないか。また, お盆を使用して食事をする際に誰かとお盆を共有するという ことはなく,個人に向けて提供されていた。 3-2 外食における皿数に関する調査  カフェにおいてフィールドサーヴェイを行い,使用してい る皿数について調査を行った。対象店舗は 3-1 の調査にてお 盆が使用されていた店舗である(表1)。乙仲通りにおいては お盆を使用していた店舗が外から店内が見えず食事をした店 舗であったため,食事した際に撮影した写真から分析を行っ た。  調査の結果,お盆を使用していた4 店舗中 3 店舗が 5 皿以 上使用していた(表3)。ココノハは,食事はパスタを中心に 提供しており皿数は少なく,他の3 店舗は様々なおかずをそ れぞれのお皿に盛り付けて食事を提供しており,おかずの多 さが皿数の増加につながったのではないだろうか。それぞれ の店舗において,どのような食事をどのような形式で提供す るかというコンセプトがあり,お盆の使用や皿数はそのコン セプトによって決定されるのではないだろうか。また,お皿 を誰かと共有するのではなく,個人で使用し,それらを一つ のお盆の上にのせて食事を提供するという形式には,「個」 というものが感じられるのではないだろうか。 4. 内食におけるお盆と皿数に関する実態 4-1 学生に対するお盆に関する調査  家庭で食事をする際のお盆の使用に関する実態調査を, 2018 年 7 月に本学の学生 354 名に対して行った(表 4)。  調査の結果,お盆を使用している学生は全体の約 14% で

田﨑 ほなみ

[指導教員:武庫川女子大学准教授 三宅 正弘]

キーワード:日本の食卓,お盆,皿数,孤食,共食

日本の食卓におけるお盆と皿数に関する研究

表2 店舗におけるお盆調査の結果 表3 店舗における皿数調査の概要と結果 表1 店舗における調査概要 2018.6.28 8 7 2 2018.6.29 ~11.26 14 7 2 調査実施 店舗数 お盆使用 店舗数 umie・mosaic 乙仲通り 調査対象地域 調査日 調査対象店舗数 調査対象地域 調査日 ナトゥーラ・ナトゥーラumie店店名 皿数5~6 ココノハ  1~3 2018.6.29 ひとところかふぇ 5 2018.11.26 ハオスダイニングルーム 5~6 2018.8.31 乙仲通り umie・mosaic 生活環境学研究 No.7 2019

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表7 調査概要 表5 調査概要 表6 皿数結果 図 1 全体調査結果 図3 平日と土日の食事人数 図 2 居住形態別調査結果 表4 調査概要 図4 調査結果 あった。研究の視点に基づいて,一人暮らしの学生とそれ以 外の学生とを区別して分析を行った。その結果一人暮らしの 学生のお盆の使用率は約 23% で,一人暮らし以外の学生の お盆の使用率は約 12% となり,一人暮らしの学生の方がお 盆の使用率が高いという結果が得られた。お盆を使用すると いうことは「個」と少なからず関係があるのではないだろうか。 4-2 学生に対する皿数に関する調査  家庭において食事する際に使用する皿数に関する実態調査 を本学の学生に対し行った。自作した調査用紙を配布し,平 日20 回,土日 18 回の計 38 回の夕食のデータから分析と考 察を行った(表5)。  まず,共有皿について,38 回中 15 回の食事で使用されて おり,平日は5 回,土日は 10 回と,土日の方が共有皿が多 く使用されていた(表6)。さらに,食事人数に関して,平日 は食事人数が少ない家庭が多いことに対して,土日は食事人 数が比較的多かった(図3)。つまり,食事人数の多い土日は 平日よりも共有皿の使用が増えるということが明らかになり, 食事人数は,お皿の使用に少なからず影響を与えているので はないだろうか。 5. 家庭における食卓の実態  普段から食事の際にお盆を使用しているという家庭に協力 を得て,食卓の実態調査を行った(表7)。これらを分析,考 察するとともに,調査期間外ではあるが 10 人という大勢で 食事した際の記録も入手できたため普段の食事との比較も 行った。  調査の結果(図4),まず普段の食事について,毎回お盆を 使用しており,1 回の食事に個人皿を平均 4 皿使用し,共有 皿を使用したのは15 回中 2 回のみであった。一方 10 人で食 事をした際にお盆は使用されず,個人皿は各3 皿使用し,共 有皿は18 皿使用されていた。10 人で食事をする際にお盆が 使用されなくなったのは,食事人数が増えたことでお盆の数 が足りず,机にのせる十分な場所がなかったことが要因と考 える。共有皿が増えた要因は,品数や料理の量が多く,人数 も多いため個人に取り分けるのは効率的ではないことが要因 と考える。このように,普段お盆を使用する家庭でも,食事 人数が増加することでお盆が使用されず,共有皿の使用が増 えるという実態が見えた。 6. まとめ  本研究における調査から,お盆の使用や皿数というのは少 なからず「個」や「共」と関係があるのではないかと考えられる。 また,外食と内食とを比較してみると,外食ではお盆の使用 やどれだけのお皿を使用するかということはあらかじめ決定 されていると考えられるが,内食ではその日の献立や食事人 数に影響されて変化するのではないだろうか。この比較に関 して研究の視点に基づいた考察を行うことは今後の課題とす る。お盆の使用やお皿の数について,さらに詳しく明らかに することも今後の課題とする。 参考文献および参考資料 1) 赤澤梨央:現代の家庭における食事に関する研究 -食事時間と食卓 の配膳-, 2016

2) umie GOURMET GUIDE,2018 年 6 月 11 日現在 3) 2017‐2018 神戸乙仲通り MAP,2017 年 10 月 1 日現在

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