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幼児の就寝前のテレビ・ビデオ視聴と睡眠に関する生活要因の関連性

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Academic year: 2021

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(1)

生活要因の関連性

著者

赤木 敏之

雑誌名

聖和論集

40

ページ

1-5

発行年

2012-12-21

URL

http://hdl.handle.net/10236/10672

(2)

幼児の就寝前のテレビ・ビデオ視聴と睡眠に関する

生活要因の関連性

Relationship between television/video watching time before bedtime and lifestyle factor of sleep in children

赤 木 敏 之

要 約

幼児の就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴時間の実態、睡眠に関する生活実態を比較、分析した結 果、就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴で「見ていない、見ていないことの方が多い」幼児の方が、 「見ている、見ていることの方が多い」幼児よりも就寝時刻が早かった。 就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴していない幼児は、60〜120分視聴している幼児よりも就寝時 刻が早いこと、睡眠時間長かった。 就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴で「見ていない、見ていないことの方が多い」幼児の方が、「見 ている、見ていることの方が多い」幼児よりも寝入りの状態がよかった。 すぐ寝る幼児の方が、寝るのに30分以上かかる幼児よりも就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴時間 が短かった。 就寝前時間のテレビ・ビデオを視聴していない幼児の方が、60〜120分視聴している幼児よりも 就寝時刻は早く、睡眠時間は長かった。 寝入りにかかる時間、就寝時刻の問題は、戸外で遊ぶ時間等、他の要因の関係があるとしながらも、 就寝前のテレビ等の光環境を意識する必要性があることを示唆した。

Ⅰ 問題

近年、24時間営業のコンビニエンスストアー、 ファミリーレストラン、レンタルショップなど24時 間型社会が進む日本社会である。また、家庭におい ても深夜までテレビの放送があるなど夜型社会に なってきており、「休養(睡眠)」の意味、大切さが 現代社会において、軽視されているように推察でき る。 日本が24時間型社会、夜型社会になった影響が、 幼児の睡眠どのように影響しているのであろうか。 日本小児保健協会「平成12年度幼児健康度調査報告 書」(2001)によると、幼児が10時以降に就寝する 割合は、1980年度の調査では、歳児21.8%、歳 児13.0%、歳児9.7%であり、1990年度の調査で は、歳児35.5%、歳児23.4%、歳児17.4%で あり、2000年度の調査では歳児51.8%、歳児 38.6%、歳児39.6%である。また、幼児の生活実 態―2007年報告―(前橋ら、2008)でも、保育園児 の10時以降に就寝する割合は、歳児男児39.1%・ 女児37.3%、歳児男児36.6%・女児37.3%、歳 児男児36.3%・女児36.6%、歳児男児38.8%・女 児39.0%となっている。幼稚園児の10時以降に就寝 する割合は、歳児男児13.1%・女児12.5%、歳 児男児13.6%・女児13.9%、歳児男児18.0%・女 児18.7%、歳児男児14.8%・女児17.6%と割合は 保育園児より低いものの〜歳児は、約15%以上 の幼児が10時以降に寝ている。幼児も年々夜型化が 進み、遅寝になっているのである。これは、24時間 型社会、夜型社会が当たり前になり、遅寝を問題視 していない現代社会に問題があるように考えられ る。 神山(2003、2005)は、遅寝の問題点として、睡 眠時間の減少、メラトニン分泌の低下、食習慣の不 健全化、コルチコステロイド分泌パターンの変化、 内的脱同調を指摘している。また、人の日約25時 間周期の生体時計を日24時間周期に合わせること のできない脱同調では、睡眠覚醒リズム、体温リズ ム、ホルモン分泌リズムに狂いが生じると述べてい る。 動物としてのヒトは、太陽光のあるときに動き、 太陽が沈み暗くなったら寝る。幼児の生活に置き換 * Toshiyuki AKAGI 関西学院 聖和幼稚園 副園長

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えると、「太陽が昇っているときに外で遊び、太陽 が沈み暗くなったら寝る」と考えられる。現代社会 においては、このヒト本来の持っている生体リズム の重要性を忘れているのではないのだろうか。 夜型生活になると子どもは蛍光灯、テレビなどの 人工光を浴びていると考えられる。高照度光を夜間 に浴びるとメラトニンの分泌が抑えられ(Lewy, et al,1980)、最近では、低照度でもメラトニンが 抑制されることが明らかになっている。生体リズム に関するメラトニンの役割は、睡眠を誘発させ、深 部体温を低下させる働きがある。 このことから考えると、テレビ、蛍光灯のなどの 光は、ヒトの生体リズムに影響していると考えられ る。

Ⅱ 目的

本研究では、幼児の就寝前時間のテレビ・ビデ オ視聴時間の実態、睡眠に関する生活実態を把握す るとともに、就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴、 視聴時間と睡眠に関する生活要因を比較、分析する ことである。

Ⅲ 方法

幼児の就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴時間に より、幼児の睡眠に関する生活リズムの状況が異 なってくると考え、私立幼稚園10園に通う幼児の家 庭における就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴時間 の実態と睡眠を中心とした生活習慣に関する質問紙 を作成し、実施した。 ઃ.対象 対象は、京都府、大阪府、兵庫県、広島県の私立 幼稚園10園に通う園児1352名の保護者である。 ઄.手続き (1)調査期間:2009年〜月 (2)調査手順:持ち帰り回答型。質問紙の配布およ び回答用紙の回収は、各幼稚園のクラス担任を 通じて行った。回答にあたっては無記名で、回 答の得られた1136票(歳児330票,歳児405 票,歳児401票:回収率84.0%)を有効回答 票とし、分析の対象とした。 (3)調査項目とその内容:記入者、子どもの学年、 性別といった基本属性、就寝前時間のテレ ビ・ビデオ視聴・視聴時間、就寝時刻、寝入り にかかる時間、起床時刻などである。 (4)分析方法:就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴 時間、就寝時刻、寝入りにかかる時間、起床時 刻などを把握するために、度数分布、記述統計 で特徴を検討した。さらに,就寝前時間のテ レビ・ビデオ視聴時間と睡眠に関する生活要因 の関連性についても検討を加えた。対象1136票 のデータを一括して統計処理を行った。 (5)統計処理:SPSS ver.20を用い、t 検定を用いた。

Ⅳ 結果

ઃ.アンケート対象の基本属性 アンケート対象の基本属性を表Ⅳ-1-1に示した。 401 405 330 合計 188 年長組(歳児) 表Ⅳ-1-1 学年と性別 女 213 222 168 年少組(歳児) 162 年中組(歳児) 183 合 計 533 1136 男 603 ઄.就寝前઄時間のテレビ・ビデオ視聴、視聴時間 幼児の就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴、視聴 時間についての調査結果を、図Ⅳ-2-1、図Ⅳ-2-2に 示した。 幼児の就寝前のテレビ・ビデオ視聴と睡眠に関する生活要因の関連性 聖 和 論 集 第 4 0 号 2 0 1 2 ― 2 ―  35.8 20.2 17.8 17.6 8.6 0 20 40 60 80 100 䋨䋦䋩 図Ⅳ-2-1 就寝前઄時間のメディアの視聴

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અ.就寝時刻 幼 児 の 就 寝 時 刻 に つ い て の 調 査 結 果 を、表 Ⅳ-3-1、図Ⅳ-3-1に示した。 આ.寝入りの状態 幼児の寝入りにかかる時間ついての調査結果を図 Ⅳ-4-1に示した。 60.0 37.1 2.2 0.6 0.1 0 20 40 60 80 100䋨䋦䋩 図Ⅳ-4-1 寝入りの状態 ઇ.起床時刻 幼 児 の 起 床 時 刻 に つ い て の 調 査 結 果 を、表 Ⅳ-5-1、図Ⅳ-5-1に示した。 ઈ.睡眠時間 幼 児 の 睡 眠 時 間 に つ い て の 調 査 結 果 を、表 Ⅳ-6-1、図Ⅳ-6-1に示した。 N 表Ⅳ-6-1 睡眠時間 SD X_ 35分 1128 10時間07分 1.2 7.4 17.4 36.4 26.2 9.0 2.3 0 20 40 60 80 100 䋨䋦䋩 図Ⅳ-6-1 睡眠時間 ઉ.就寝前઄時間のテレビ・ビデオ視聴と就寝時刻 の関係 就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴を上位群(見 ていない、見ていないことの方が多い)と下位群 (見ている、見ていることの方が多い)の群に分 け、就寝前時間のテレビ視聴と就寝時刻に差があ るかどうかについて t 検定を行ったところ有意差が 見られた(t=-4.112、df=767、p <0.001)。 ઊ.就寝前઄時間のテレビ・ビデオ視聴と寝入りの 状態の関係 就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴を上位群(見 ていない、見ていないことの方が多い)と下位群 (見ている、見ていることの方が多い)の群に分 け、就寝前時間のテレビ視聴と寝入りの状態に差 があるかどうかについて t 検定を行ったところ有意 差が見られた(t=-3.051、df=718.502、p <0.01)。 27.0 1.3 29.7 35.1 3.6 3.3 0 20 40 60 80 100䋨䋦䋩 図Ⅳ-2-2 就寝前઄時間のテレビ・ビデオの視聴時間 N SD 表Ⅳ-3-1 就寝時刻 X_ 39分 1129 20時58分 3.4 10.6 19.1 38.0 18.0 9.1 1.8 0 20 40 60 80 100 䋨䋦䋩 図Ⅳ-3-1 就寝時刻 0.9 4.7 20.4 42.7 21.7 8.5 0.9 0 20 40 60 80 100 䋨䋦䋩 図Ⅳ-5-1 起床時刻 N SD 表Ⅳ-5-1 起床時刻 X_ 32分 1133 7時06分

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ઋ.就寝前઄時間のテレビ・ビデオ視聴時間と就寝 時刻の関係 就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴時間で、就寝 時刻に差があるかどうかについて t 検定を行ったと ころ有意差が見られた(t=-4.068、df=756、p < 0.001)。 10.就寝前઄時間のテレビ・ビデオ視聴時間と寝入 りの状態の関係 就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴時間で、寝入 りにかかる時間に差があるかどうかについて t 検定 を行ったところ有意差が見られた(t=-3.005、df =693.065、p <0.01)。 11.就寝前઄時間のテレビ・ビデオ視聴時間と睡眠 時間の関係 就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴時間で、睡眠 時間に差があるかどうかについて t 検定を行ったと ころ有意差が見られた(t=3.246、df=755、p < 0.01)。 12.就寝時刻と起床時刻の関係 就寝時刻を早い(上位群)、遅い(下位群)の 群に分け、就寝時刻で、起床時刻に差があるかにつ いて、t 検定を行ったところ有意差が見られた(t= 18.361、df=692、p <0.001)。

Ⅴ 考察

基本的生活習慣の改善は、文部科学省が推進して いるように「早寝早起き朝ごはん」が重要である。 特に、生活リズムには「早寝・早起き」が基本とな る。生活リズムの改善のためには、「就寝時刻を早 める」ことがポイントとなってくる。「就寝時刻を 早める」ためには、戸外で遊ぶことが重要である (前橋、2008)。 また、そのことに加えて、今回の調査結果から、 就寝前のテレビ・ビデオ視聴と睡眠を中心とした生 活習慣の実態とその関連性が見えてきた(図Ⅴ-1)。 就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴で「見ていな い、見ていないことの方が多い」幼児の方が、「見 ている、見ていることの方が多い」幼児よりも就寝 時刻が早いこと、また、就寝前時間のテレビ・ビ デオ視聴していない幼児は、60〜120分視聴してい る幼児よりも就寝時刻が早いこと、睡眠時間長いこ とが推察できる。 就寝前時間のテレビ・ビデオ視聴で「見ていな い、見ていないことの方が多い」幼児の方が、「見 ている、見ていることの方が多い」幼児よりも寝入 りの状態がよいと推察できる。そして、すぐ寝る幼 児は、寝るのに30分以上かかる幼児よりも就寝前 時間のテレビ・ビデオ視聴時間が短く、また、就寝 前時間のテレビ・ビデオ視聴していない幼児は、 60〜120分視聴している幼児よりも就寝時刻が早い こと、睡眠時間長いことが推察できる。 就寝時刻が遅いと、家庭においては蛍光灯、ある いはテレビ等の光を浴びていることになる。夜間の メラトニン分泌を抑制しうる光の強さに関して、2 時間照射するならば300ルクス以下でも十分メラト ニンが抑制されること(Aoki ら、1998)が確認さ れている。また、就寝が遅いとメラトニンの分泌が 幼児の就寝前のテレビ・ビデオ視聴と睡眠に関する生活要因の関連性 聖 和 論 集 第 4 0 号 2 0 1 2 ― 4 ― 図Ⅴ-1 就寝前઄時間のテレビ・ビデオ視聴時間と睡眠に関する生活要因の関連 䊁䊧䊎䊶䊎䊂䉥ⷞ⡬ᤨ㑆䈏 䊁䊧䊎䊶ⷞ⡬ᤨ㑆䈏 㪇ಽ䈱ᐜఽ䈲ዞኢᤨೞ䈏 㪇ಽ䈱ᐜఽ䈲䈜䈓ኢ䉎 ᣧ䈇䇭㫇䋼㪇㪅㪇㪇㪈 㫇䋼㪇㪅㪇㪈 䊁䊧䊎䊶䊎䊂䉥ⷞ⡬ᤨ㑆䈏 㪇ಽ䈱ᐜఽ䈲⌧⌁ᤨ㑆䈏 㐳䈇䇭㫇䋼㪇㪅㪇㪈 ዞኢᤨೞ䈏ᣧ䈇䈫 ⿠ᐥᤨೞ䈏ᣧ䈇 㫇䋼㪇㪅㪇㪇㪈 ዞኢ೨2ᤨ㑆䈱 䊁䊧䊎䊶䊎䊂䉥ⷞ⡬ᤨ㑆 ዞኢᤨೞ ⿠ᐥᤨೞ ኢ౉䉍䈱⁁ᘒ ⌧⌁ᤨ㑆

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抑えられると考えられる(神山、2003)。〜歳 のころはメラトニンの分泌が一生のうちで一番たく さんある時期である。就寝前にテレビ・ビデオを視 聴すること、就寝時刻が遅いことはホルモンの分泌 にも影響しており非常に大きな問題であると考え る。 寝入りにかかる時間、就寝時刻等の問題は、就寝 前のテレビ・ビデオ視聴等の夜間の光環境の問題だ けではなく、昼間の活動量が大きく関係している。 しかし、24時間社会、夜型生活の現代社会において は、就寝前の光環境にも幼児に関わる大人たちが意 識を持たなければならないと考える。 引用・参考文献

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参照

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