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時価主義会計の基調

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時 価 主 義 会 計 め 基 調

清   水   哲   雄

1  序   今 日の企 業 会 計 で は 一 般 に 取 得 原 価 主 義 に よ って資 産 の評 価 を行 ない 同 時 に 取得 原 価 主 義 を費 用 計 算 の ベ ース と して い る。 企 業 会 計 に取 得 原 価 主 義 が 採 ら れ る よ うに な った の は,当 初 は企 業 規模 の拡 大 と とも に,資 産 に 占め る固 定 資 産 の割 合 が 増 大 し,そ の処 分価 格 の決 定 に 困難 を きた しう 時 価(こ の場 合 は 再 売 価 格)で 資 産 を 評 価 す る こ との不 合理 性 と,未 実 現 利 益 の計 上 の 不 合 理 性 に よ る もの で あ った。 しか して取 得 原 価 主 義 会 計 を採 る こ とに よ って 企 業 の 配 当 可 能 利 益 の 計 算 を 行 な い,こ れ が 今 日の よ うに 制 度 と して 確 立 し た の で あ る が,た だ 上 に 述 べ た理 由 の み な らず 次 に述 べ る要 因 も あ る こ とは 事 実 で あ る。   第 一 は,企 業会 計 は所 有 主的 見 地 か ら投 下 資 本 の回 収 計 算 を す る もの で あ る と考 え,所 有 主が 企 業 に投 下 した 資 本 を 超 過 して 回 収 した額 は所 有 主 に帰 属 す る利 益 とみ る。 したが って収 益 は 収 入 基 準 に よ って 測 定 され,費 用 は 支 出基 準 に よ って 測定 され る こ とに な り,こ の収 入 か ら費 用 を 控 除 した 分 を も って利 益 に み る現 金主 義 的 思 考 が そ の根 底 に 存 在 す る。 しか し期 間 損 益 計 算 の 立場 か ら 企 業 活動 に お い て支 出 のす べ て が 当 期 の費 用 とな る もの で は な い。 企 業 が 保 有 す る資産 は ま さに この こと に該 当 す る。 した が って 次 期 以 降 に お い て 費用 に解 消す る資 産 の評 価 は支 出に も とつ く基 準 す な わ ち取 得 原 価主 義 に も とつ くこ と に な る。 第 二 は,価 格 変 動 が 急激 で な い 場 合 は 資 産 価 値 を 時 価 に よって 評 価 し,毎 期 評 価 損 益 を計 上 す る よ りは 取 得 原価 で 評価 して毎 期 の利 益 の比 較 を得 る こ と の方 が 期 間 損 益 計 算 の 目的 に 合 致す る。 た と えば,棚 卸 資 産 の期 間 費 用 配 分 に お い て,LIFOや 基 準 棚 卸 法 を 採 れ ば価 格変 動 の影 響 を軽 減 す る こ とが で き,し か も期 間 損 益 計 算 の実 を あ げ る こ とが で きる。 第 三 は,企 業 会 計 上 計

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  2 算 の確 実 性 を確 保 す る こ とは 重要 で あ る。 取 得 原 価 主 義 は す で に 確 定 した支 出 基 準 に よ る もの で あ るか ら常 た変 動 す る時 価 を基 礎 とす る時 価 主 義 と比 較 して 計 算 の 確 定 性 は 高 い。 した が って取 得 原 価 主 義 に よ る会 計 計 算 の 結 果 に つい て       くめ の 信 頼性 も高 い。   この よ うに会 計 に おけ る取 得 原 価 主 義 は 幾 多 の メ リ ッ トを持 ち今 日の企 業 会 計 に制 度 と して確 立 され て い るに もか か わ らず 価 格変 動 の激 しい経 済 環 境 の 下 に お い て は取 得 原 価 主 義 会 計 は 企業 ゐ 真 実 を語 る もの で は な く,こ れ に 代 って 時 価 主 義 会 計 が 台 頭 して い る。 動態 論 の 代表 者 と して の シ ュマ ー レンパ ッ・・も         理 論 的 に は 時 価 論 の 正 当 性 を 認 め,時 価 減価 調 節 勘 定 の必 要 性 を認 め て い る。 た だ 彼 が 取 得 原価 主義 を採 った の は 当時 は未 だ 価 格 統 計 が 備 わ って い な か った         た め 会 計 実 践 面 の 考慮 か らであ った で あ ろ うと推 察 され 得 る。 2  時価主義 の濫觴   時 価主 義 に よる評 価 の論 議 は 商 法 上 の 財 産 評 価 に そ の端 を発 して い る。1673 年 に制 定 され た フ ラン スの 商 業 条 例 は 当 時 の経 済 恐 慌 に見 舞 わ れ た 結 果,商 人 の詐 欺 破 産 が 横 行 した ので 債 権 者 を 保 護 す るた め に商 人 に対 して2年 毎 に 財 産 目録 を作 成 す る義 務 を 負 わ せ た。 この措 置 に よ り詐 欺 破 産 を防 ぐこ とが で きた ので あ る。 こ の よ うな 法 律 規定 は ドイ ツ商 法 に も と り入 れ られ,財 産 目録 お よ び 貸 借 対 照 表 は 債 権者 に対 して商 人 の財 産 状 態 を開 示 す る 目的 と同 時 に商 人 の 債 務 に対 して どれ だ け の支 払 能 力が あ るか を 示 す 意 味 か ら,資 産 の 評 価 は 売 却 時 価 で 行 な わ れ る こ と と した。 この よ うな時 価 主 義 に 立 脚 す る会 計制 度 は企 業 の財 産 表 示 が 目的 で あ って損 益 計 算 の意 図 は もた な い。 け だ し売 却 時 価 で 資産 を 評価 し得 るの は企 業 資 産 の多 くが 流 動 資 産 で あ る場 合 で あ って,固 定 設 備 が 多 く賓 本 が 固定 化 して い る場 合 に は 未 実 現 利 益 の 計 上 とな り損益 計 算 は破 壊 さ (1)阪 本 安 一:原 価 主 義 か 時 価 主 義 か,企 業 会 計,第13巻 第10号 。 (2)E.Schmalenbach:Dynamishe  Bilanz土 岐 政 蔵 訳;動 的 貸 借 対 照 表 論 策7版P.P.   213∼229. (3)不 破 貞 春:時 価 論 に 関 す る 低 迷 と展 開,企 業 会 計,第26巻 第1号 。

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      時価主義会計の基調   3 れ て し ま うか らで あ る。   商 法 の 債権 者 保 護 の 立場 か ら一 転 して 企 業 会 計 を企 業 に お け る財 産 と財 産 権         の表 示 とみ る 立場 か らは実 際 取 引 の単 な る記 録(原 始 記 録)は 企 業 の経 済上 の 経 過 を は な は だ し く不 完 全 な形 で しか 示 さな い か ら,企 業 会 計 は(1)経 済 的 事 実 と権 利 と の価 値 表 現 を取 扱 うこ とを 使命 と して,経 済 的 資源(資 産)は 常 に現 在 価 値present  valuesで 測 定 され な け れ ば な らな い。(2)経 営 管 理 の見 地 か らい って も管理 者 の 考 慮 の 基 礎 に な る のは1取替 原 価cost  of replacement

        で あ る とす る。 した が って 取 替 原 価 に よ る資 産 評 価 の結 果,固 定 資 産 に つ い て は 価 格 上 昇 の た め そ の 増 価 は利 益 あ るい は剰 余 金 と して 計 上 し,・棚 卸 資 産 の 増         価 も 同様 に取 扱 う,ま た 減 価 償 却 も時 価 基準 に よ って 行 な う。   この よ うなPaton  and Stevensonの 財 産 持 分 説 は 貸 借 対 照 表 に 賓 産 の 時 価 表 示 を 行 な う こ とに よ って持 分equityの 正 しい表 示 を 得 よ うとす る もの で あ り,会 計 の 静 態観 に よ る財 産 計 算 に そ の 目的 が あ る。 た だ この 当 時 に お い て 時 価 評 価 特 に取 替 原価 を経 営 管 理 の用 具 と した こ とは 異 色 で あ り今 日の 内 部報 告 会 計 の 先 駆 とみ る こ と もで きる。   会 計 の 静態 観 に よる財 産 計 算 思 考 は1930年 初 頭 まで の ア メ リカに おけ る企 業 会計 の特 徴で あ り,企 業 の信 用 能 力(支 払 能 力)を 判 定す るた め の資 料 提 供 で あ る。 そ こで は 財 産 の持 分 関 係 か ら債 権 者 と して,企 業 財 産 に対 す る 自己 の権 利 の確 認 が 目的 で あ っ て,損 益 計 算 は そ の考 慮 外 に おか れ てい た とみ られ る。 3時 価 の 分 類   通 常 時 価 とい う場 合 種 々の概 念 が存 す る。   (1)再 売 却 時 価   これ は 静態 論 に お け る財 産 計 算 的 思 考 を中 心 と して 企 業 の 支 払 能 力 を み るた め に用 い られ る評 価 基 準 と な る場 合 と,再 売 却 時 価 に よ って 示 され る資 力 か ら

(4)  Paton  and  Stevenson:Principles  of  Accounting  1922.  p.3.

(5)  Paton  and  Stevenson:ibid.  p.p.455一 一456.

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  4 あ げ て い る収 益 と,同 じ資 力 で あ げ るで あ ろ うと予 想 され る他 の代 替 案 の収 益 とを 比較 して,経 営 者 は最 も有 利 な 事 業 機 会 を選 択 す る。 また 投 資 家 は同 じ資 力 で も って更 に高 い 収 益 を あ げ る企 業 に 投 資 を 変 更す る。 こ の立 場 は 支 払 能 力         測定 機 能 とは 異 な り転 換 機 能 を措 定 した 立 場 で あ る。   (2)  再 調 達 時 価   技 術 の進 歩,需 要 の 変 化 を 考 慮 した うえ で 費用 計 上 を も問 題 に す る取 替 価 値 replacement valueを 意 味 す る。 今 日の よ うに 技 術 的 発 展 が,恒 常 的 な 動 態経 済 の下 で は も早 や 従 来 の もの と同 一物 との取 替 価 格 で は な く,技 術 的 変 化 を考 慮 した,よ り近 代 的,よ?能 率 的 な財 との取 替 価 格 を意 味 す る。   この 取 替 価 格(取 替 原価)を 採 る こと の メ リ ッ トは(1)時 価 は 原価 に比 較 して 資 産 の 価 値 を よ り ょ く反 映 す る の で,一 時 点 に お け る時 価 で表 示 され た 質 産 の 合 計額 は 異 な る時点 に お け る取 得 原 価 を寄 せ 集 め た 金額 よ りも企 業 の価 値 を よ り正 し く表 現す る。 取 得 原 価 も取 得 時 点 に お い て は 時価 で あ るが,そ の後 の 物 価 の変 動 で取 得 原 価 と時 価 とは 離 反 す る。 これ を再 統 一す るのが 取 替 原 価 で あ る。  (2)資 産 の時 価 評 価 は 費 用 の時 価 計 上 に つ な が るの で現 在 の時 価 で 計 上 さ れ る収益 と費 用 とが 同一 の物 価 水 準 で対 応 され る こ とに な り損 益 計 算 上 正 しい操 業 損益 を算 出で き る。  (3)時 価 は 資 産 を再 取 得す る の に支 払 わ れ る べ き金 額 を示 す か ら収 益 に よ って 流 入 す る資 金 との 関 係 か らみ て適 切 な尺 度 で あ る。 しか し反 面 取 替 原 価 の デ メ リ ッ トもあ る。  (1)取 替 原 価 の検 証 可 能 性 … …棚 卸 資 産 の よ うに 商 品 取 引所 や カ タ ロ グの あ る もの は よい が,固 定 資 産 に つ い て は人 々が 納 得 す る市 価 を 求 め難 い。 この ことは 後 で 反 証 す る。  (2)技 術 の進 歩 や 配 給 機 構iの変 化 に よ って,中 古 設 備 が そ の企 業 に 最 適 な もの で な く       くの な って い る場 合 に,そ れ を新 しい設 備 で評 価 す るの は 実 情 に そ ぐわ な い。   (3)  カ レン トコス ト   カ レン トコス トは 同一 程 度 の給 付 能 力 を可 能 に す る 目的 の た め に払 出 あ るい (7)吉 田 寛:会 計 に お け る 時 価 論,会 計,昭 和43年2月 号,こ れ はChambersの 時 価 論 の 立 場 で あ る 。 (8)青 柳 文 司:現 代 会 計 学p.p.116一 一117.

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      時価主義会計の基調   5 は費 消 した財 の価 値 を測 定 し,そ の 能 力 を 回 収 し維 持 す る こ とを前 提 と した 費 用 評 価 の基 準 で あ る。 した が って 期 間 中 に 払 い 出 され あ るい は 費 消 され た 財 と 同 一種 類 に属 す る財 の グル ー プの 特 殊物 価 指数 を払 出 あ る い は費 消 され た 財 の取 得 原 価 に 乗 ず る こ とに よ って 求 め る こ とが で き る。 技 術 革 新 に よる財 の 品 質,種 類 等 に変 化 が な い と きは 再 調 達 時 価 が そ の ま ま カ レ ン トコス トと な る。   (4)  正 味 実 現 可 能 価 額   これ を棚 卸 資 産 一 般 に用 い る こ とは 企 業 の 業績 測定 目的 か らみ て適 当 で は な い。 け だ し これ を採 る と きは 販 売 利 益 を そ の実 現 に 先 立 って計 上す る こ とに な るか ら,費 用 の時 価 計 上 とい う目的 に反 す る こ とに な るか らで あ る。 正 味 実 現 可 能 価額 が適 用 され る のは,企 業 が 生 産 的 努 力 の 結果 と して の収 益 を測 定 す る 生 産 物 に対 してで あ る。   (5)正 味 実 現 可 能 価 額 マイ ナ ス正 常 利益 見積 額   この方 法で は正 常 利 益 の決 定 い か んに よ って 求 め られ るべ き価 額 が 変 化 す る         の で,正 常 利 益 の概 念 とそ の金 額 の 決 定 に 問 題 を 含 ん で い る。   (6)割 引 現 価   未 来用 役 の割 引現 価 を資 産 評 価 の基 準 とす る。 これ は未 来 に お け る用 役 の割 引 現価 を 算定 し てそ れ らを合 計 した もの を 資 産 評 価額 とす る。 しか し未 来 に お け る用 役 の時 価 は想 定 で き る も ので は な く,ま た 割 引 率 に も問題 が あ る ので こ れ に代 って取 替 時 価 を と る。 4  AAA時 価 主 義 の見 解

  1957年 のAAAの 時 価 論 の 主 張 は 資 産概 念 を 用 役 潜 在service  potentialと し,そ の 測定 基 準 と し て将 来 収 入 の 現 在 割 引価 値 基 準discounted  future cash flowで あ る と して い る。 す な わ ち 資 産 の 価 値 は そ の用 役 潜 在 分 の 貨 幣 等 価 額 で あ る。 概 念 上 は こ の よ うな 貨 幣 等 価 額 とは そ の 資産 が生 み 出す 用 役 の す べ て の流 れ の将 来 の市 場 価 格 を 確 率 と利 子 率 とに よ って現 在 価 値 に割 引い た も の の

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合 計 額 で あ る 。 と し て い る。 こ の 将 来 収 入 の 現 在 割 引 価 値 基 準 に よ るservice potentialと し て の 資 産 の 測 定 は,貨 幣 資 産 に つ い て は 現 金 あ る い は 遠 か らず 現 金 化 さ れ る も の で あ る か ら比 較 的 容 易 で あ る が,物 財 資 産 に つ い て は 容 易 で は な い 。Supplementary  StatementのNo.1.お よ びNo.2.に よ れ ば 物 財 資 産 の 測 定 は 資 産 の 現 在 時 点 に お け る 取 替 原 価current  cost, current  replacement

      ぐ ゆ costに よ って行 な うと して い る。   この よ う、な 時 価 評 価 に よ る資産 を表 示 す る貸 借 対 照 表 で は 次 の こ とを示 す も の と考 え られ る。第 一 は 資産 構 成 を適 切 に表 示 し,企 業 の財 政 政 策 の 健 全 性 と 安 全 性 を 評 価 す るの に 適 した 会計 情 報 を提 供 す る。 第 二 は業 績 評 価 のた め の 資         本 利 益 率 計 算 に お け る分 母 と して の適 切 な数 値 を提 供 す る こ と と な る。 け だ し 企 業 規 模 のい か ん に か か わ らず 企 業経 営努 力 の成 果 とし て の利 益 はそ れ 自体 意 味 を もつ が 最 終 的 には 資 本 利 益 率 の 増 大 に あ るか らで あ る。   上 に のべ た よ うにAAAの 時 価 論 は 資産 評価 論 か ら出発 す るが,そ の後 は 重 点 が 費用 計 算 に 移 され 保 有 損 益holding  gain and lossと 操 業 利益operating incomeを 区 別 す る計 算 の た め に 用 い られ る。 この よ うな 思 考 の 変 遷 に よっ て       ゆ 損 益 計 算 の 内容 は 次 の よ うに な る。   (1)費 用 はservice potentialの 費 消 で あ り,そ の 費 消額 は 費 消 され た財 貨 あ るい は用 役 の費 用 認 識 時 点 に おけ る取 替 原 価 で 測 定 され る もの で,収 益 か ら この よ うな 費用 を控 除 した も のが 操 業 利 益 とな る。   (2)  期 首 の取 替 原 価 あ るい は期 中 の取 得 時 点 に お け る取 得 原 価 と費用 認 識 時 点 あ るい は期 末 の取 替 原 価 との差 額 が 保 有 利 益 とな る。

(10)AAA:Accounting  and  Reporting  Standards  for Corporate  Financial  Statements

  1957Revision.中 島 省 吾 訳:AAA会 計 原 則p.p.133一 一134.

(1D  AAA:Accounting  for  Land,  Building  and  Equipment.  Supplementary  Statement

  No.1.  the  Accounting  Review,  July  1964.

  AAA:ADiscussion  of  Various  Approaches  to  Inventory  Measurement.  sup.一

  plementary  Statement  No.'2.  the  Accounting  Review,  July  1964,  p.703.  p,708.

⑫   AAA:Supplementary  Statement  No.1.  p.694.

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      時価主義会計 の基調   7   (3)操 業 利 益 と保 有 利 益 とを加 え た ものが 純 利 益 で あ る。   こ の よ うな 時 価 評 価 に よ る損 益 計 算 を 行 な う こ とに よ り次 の よ うな メ リ ッ ト を得 る こ とが で き る。   (1)通 常 の 営 業 活 動 に よ る利 益 と価 格変 動 に よる利 益 とを 区 分 表 示 す る こ とが で き る。   (2)操 業 利 益 を 保 有利 益 と区 分 す る こ とか ら操 業 利 益 は 次 の点 で 投 資 家 の 意 思 決 定 に重 要 な 会 計 情 報 とな る。第 一 は 企 業 の 将 来 の利 益 予 測 に有 用 とな る。 第 二 は企 業 間 の 利 益 比 較 に 有 用 とな る。 第 三 は 操 業 利 益 は 本 来 の 営 業 活 動 に よっ て得 られ る利 益 で あ るか ら,い わ ゆ る分 配 可 能 利 益 で あ り企 業 の 操 業 能 力 operating capacityを 縮 小 す る こ とな く利 益 分 配 が 可 能 で あ る。 した が って 操 業 利 益 の大 き さ と利 益 分 配額 とを 比 較 すれ ば,企 業 の経 営 者 の経 営 に 対 す る意 図 を知 る ことが で き る。   (3)保 有 損 益 が 実 際 に 価 格 変動 が生 じた 期 間 に正 し く計 上 され る。   AAAの 時 価 論 は 上 に の べ た よ うに 資産 の評 価 に始 ま り,次 に損 益 計 算 的 側 面 へ と重 点 を 移 し,こ れ は 共 に 最 終 的 に は会 計 情 報 とし て各 種 の意 思 決 定 に 有 用 で あ る と説 くが,1966年 のAAAのASOBATを 契 機 とし て更 に 情 報 会 計 的 側 面 へ と転 回 し更 に そ の 具 体 的方 策 と して の1969年 の外 部 報 告 委 員 会 の 報 告 書 へ と続 いて い る。 情 報 会 計 と して の時 価 論 の有 用 性 は た と えぽ あ る種 の 資 産 の時 価 表 示 が 投 資 家 の 意 思 決定 に 必 要 な情 報 で あ る とい う形 で と られ て お り, 以 前 の時 価 論 の主 張 で あ る貸 借対 照 表 や損 益 計 算 書 へ の適 用 に は あ ま り考 慮 を 払 っ てい ない 。 これ は 企 業 会計 の未 来像 を演 繹 的 にひ き 出す 手 法 を 採 り,各 種 の会 計 情 報 の 利 用 者 の 意 思 決定 に役 立 つ有 用 な情 報 の提 供 とい う会 計 の 機 能 観 を基 礎 に お き,こ の 観 点 か ら特 に 測定 論 を強 調 し測 定 基 準 と し て時 価 を 提 唱 す るか らで あ る。 この よ うな 傾 向 は 更 に近 年 に おけ る資 本 の 国際 交 流 の 活 発 化 を 背 景 と し,国 際会 計International  Accountingの 展 開 に 呼 応 して 投 資 家 大 衆 に対 す る情 報 源 泉 と して の 付 属 説 明 書 や状 況 報告 書 の活 用,連 結 財 務 諸 表 の 導 入,低 価 主 義 の拡 大 適 用 な ど と と もに 評 価 の 一般 原則 とし て伝 統 的 な 取 得 原 価 主 義 に加 えて 再 調 達 時 価 主 義 が 入 り込 ん で い る。 この再 調 達 時 価 に よ る評 価 の

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  8 結 果 生 じる再 評 価 差 益 は 資 本 剰 余 金 に 繰 り入 れ る こ と と し,こ れ に よ って企 業         の実 物 資 本 維 持 が 行 なわ れ る こ とに な る。 国 際 会 計 の ね らい は 各 国 の会 計 制 度 を 統 一 して,同 一 の会 計 原 則 に よ る会 計 処 理 と報 告 を 行 な うこ とに よ って 同 一 基 盤 の 上 に 立 つ財 務 諸表 を 同一 の視 点 で概 観 す る こ とに あ る。 この こ とに よ っ て 国 際 資 本 の交 流 が 安全 に行 なわ れ るた め の素 地 を 作 ろ うとす るの で あ る。 し た が って 資 本 を充 分 に維 持 した上 に お け る会 計 情 報 は投 資 家 大 衆 に と って 有 効 な もの とな る。 、1950年代 に提 唱 され て きた 時 価 主義 の思 考 は またECに おけ る会 計 制 度 の統 一 化 を 目指 す もの と して 成果 を あ げ て き て い る。 た とえ ば1966年,フ ラ ン ス新 会 社 法 の 適 用 命 令 と して の1967年3月 の大 統 領 令 で は資 産 評 価 に関 し て原 則 的 立 場 の取 得 原 価 主 義 に 加 え て 貨 幣 価値 の変 動 を反 映 す る一 般 物 価 指 数 に よる再         評 価(修 正 原 価 主義)と と もに時 価 評 価 を も認 め て い る。 5  AICPA時 価 主 義 の 見解   AICPAの 会 計 原 則 試 案 に おけ る会 計 原 則 は 配 当 可 能 な あ るい は 課 税 を 受 け る利 益 に つ い て の 歴 史 的 な 制 約 を 超 越 した もの で あ る。 もち ろ ん これ らは従 来 の会 計 原 則 が 志 向 して きた もの で あ り,会 計 原 則試 案 に お い て も副 次 的 に は達 成 され なけ れ ば な らな い も ので あ るが,そ の 主 要 目的 は 税 金 や 配 当 を考 慮 す る 以前 に お け る特 定 の実 体 が 保 有 して い る資 源 と これ に 関 す る変 動 とを 測定 す る           こ と で あ る。 こ の よ う な 会 計 機 能 に つ い て の 見 解 が で て く る前 提 はAICPAの

会 計 調 査 研 究 書 第1号 で あ るThe  basic postulates  of accounting  1961.  by Maurice  Moonitzで あ る 。 こ の 第1号 に よ る 会 計 公 準 は 先 ず 経 済 的 環 境 の 吟 味

⑭   森 川 八 州 男:時 価 主 義 の 制 度 的 展 開,企 業 会 計,第26巻 第1号 。 こ の 点 の 詳 細 は,   森 川 八 州 男=ヨ ー ロ ッパ 株 式 会 社 法 草 案 の 計 算 規 定 に つ い て(1)∼(4)会 計 第104巻 第   3号 ∼ 第6号 。

㈲   岸 悦 三:フ ラ ン ス に お け る 時 価 主 義 の 台 頭,企 業 会 計,第24巻 第7号 。

(10  AICPA  Accounting  Research  Studies  No.3.:  A  Tentative  Set  of  Broad   Accounting  Principles  for Business  Enterprises.1962.  by Robert  T. Sprouse  and   Maurice  Moonitz.佐 藤 孝 一,新 井 清 光 共 訳:会 計 公 準 と会 計 原 則p.122.

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      時価主義会計の基調   9 か ら始 め る。 す なわ ち 自然 的 な財 と人 間 労 働 とか ら財 が生 産 され,そ れ が 交 換 に よ って他 の企 業 実 体 に よ って 消 費 され る。 そ の よ うな 関 係 に あ って は数 字 的 な資 料 に も とづ いて 判 断 が 行 な わ れ 会 計 的 報 告 の 意 義 が見 出 され る。 特 に 会 計 公 準A-2交 換 の 「生 産 され る財 貨 お よび用 役 の大 部分 は交 換 を通 じて 分 配 さ         れ,生 産 者 自身 に よ って直 接 に 消 費 され ない 。」とい う命 題 は会 計 に と って 極 め て有 効 で あ る。 この よ うな 第1号 の 考 え方 が基 盤 とな って第3号 の会 計 原 則 試 案 では 取 得 原 価 主 義 を 捨 て,時 価 主 義 を採 って い る。 この こ とは 会 計 の重 要 な 機 能 が も っぱ ら経 済 的 事 実 の 報 告 あ るい は経 済 的情 報 の提 供 に求 め られ て い る と考 え て よい で あ ろ う。 しか して 会計 報告 が経 済的 事 実 の報 告 と して 有 用 で あ るた め に は,そ の 基 礎 とな る資産 の額 と損 益 の額 とが 同 じ基 盤 の上 に あ る数 字 で なけ れ ば な らず,そ の意 味 か ら時 価 に よ る評 価 が 重 視 され る。   会 計 原 則 試 案 に お け る大 きな特 徴 は収 益 の実 現 概 念 で あ る。 す な わ ち 「利 益 は 企 業 活 動 の全 過程 に 起 因す る。 した が っ て利 益 を全 過 程 の うち の一 部 に だ け 帰 属 させ る よ うな準 則 あ るい は手 続 きは,あ る特 定 の数 期 間 に 割 り当 て られ る、 利 益額 の表 示 に どの程 度 の歪 み が 生 じるの か を 算 定 す るた め に 絶 えず 検 討 さ れ       むの な けれ ば な らな い。」 この 原 則 は 従来 の1実現 基 準 で あ る 販 売 基 準 に よる 収 益 の 把 握 を 捨 て,発 生 主 義 に よ る収 益 把 握 を 意 味 して い る。 従 来 の 原則 は未 実 現 収 益 を排 除す るた めに 収 益 に つ い て は 実 現 主 義(販 売 基 準)を 採 って きた 。 しか し第3号 で は配 当や 課 税 利 益 の 算 定 の た め の 会 計 を 考 え る こ とな く,経 済 的 事 実 の報 告 あ るい は 経 済 的 情 報 の 提 供 を 意 図 して い るた め に敢 え て未 実 現 収 益 を も計 上 す る こ とに な るの で あ る。 した が って棚 卸 資 産 の評 価 に あた っ て は 「商 品 相 場 が 一 般 に 固 ま って お り,し か もそ の処 分 費用 を無 視 し て も差 支 え な い 程 度 か あ るい は そ の 処 分 費用 も一 般 に わ か っ て い る か あ るい は これ を 容 易 に 予 測 で き る よ うな 場 合 は,正 味実 現可 能 価 値(予 想 売 上 手 取 額 か ら完 成 お よび処 分

(17)  AICPA  Accounting  Research  Studies  No・1.:  The  Basic  Postulates  of 

Ac-  counting.1961.Ac-  by  Maurice  Moonitz。 佐 藤 孝 一,新 井 清 光 共 訳:会 計 公 準 と 会 計

  原 貝11P.57.

(10)

  10       なあ 費 用 を差 し 引い た 額)で 評 価 を 行 な う。」 と主 張 して い る。 この 第3号 の 命 題 が 派 生 して きた 根 源 は これ を 第1号 の 会計 公 準C-2の 客観 性 に求 め る こ とが で き る。 す なわ ち 「資 産 お よび 負 債 に お け る諸 変 動 な らび に(も しあ れば)こ れ と関 連 して収 益 ・費用 ・留 保 利 益 お よび そ の 他 類 似 の 諸 項 目が 受 け る諸 影 響 は,そ れ らの諸 変動 な らび に諸 影 響 が 客 観 的 条 件 で 測 定 され 得 る時 点 よ り早 期 に 勘 定 へ の 正式 な認 識 が 与 え られ て は な らな い 。」 これ は 取 引 の 認 識 を急 が せ な いた め の保 守 的 な 考 慮 か ら出 た もの と認 め られ るが,実 は この 「客 観 的 条 件 で 測 定 し得 る。」 とい う文 言 は 販 売 基 準 を指 し て い るも ので は な い。 これ を 第 3号 で は,「 商 品 相 場 が 固 ま って お り云 々」 と して販 売 を待 た ず に収 益 を 認 識 す る発 生 基 準 を採 っ てい る証 拠 で あ る。   つ ぎに資 産 の測 定(価 値 づ け,評 価)の 問 題 は,将 来 の用 役 力 を測 定 す る問 題 で あ り,少 な くと も次 の三 つ の段 階 を含 ん で い る。第 一 は将 来 の用 役 力 が現 実 に存 在 す る か ど うか の決 定 。 第 二 は 用 役 力 に つ い て の 量 の 推定 。 第 三 は用 役 量 の 評 価 の 方法 。 資 産 評 価 の 問題 で は 第 三 の 用 役 量 の評 価 の 方 法 に 関連 す る。 第1号 のB-2の 会 計公 準 で あ る市 場 価 格 で 「会 計 資 料 は す で に 行 な わ れ,あ るい は 行 な わ れ るべ く予 期 さ れ る過 去,現 在 あ るい は未 来 の交 換 に よ って 生 ず る価 格 に 基 礎 を お く」 と して い るが,こ れ は未 来 の取 引 に おけ る価 格 を採 る こ と の可 能 性 を 示 して い る もの の,第3号 で は次 の三 つ の うち のい ず れ か を 選 ぶ こと と し てい る。   (a)過 去 の 交 換 価 格 … … た とえ ぽ 取得 価 格 あ るい はそ の他 の原 初 基 礎 価 額 で あ り,評 価 され る資 産 に つ い て の 損 益 は 資 産 の 売 却 に よ って認 識 され る。   (b)  現 在 の交 換 価 格 … …た とえ ば 取 替 原 価,こ の評 価 基 準 が用 い られ る場 合 に は,評 価 を受 け る資 産 に つ い て の損 益 は 次 の 三 つ の 段 階 で認 識 され る。 第 一 段 階 は取 得 時 か ら使 用,そ の他 処 分 時 まで の 期 間 に お い て 損 益 の 一 部 を認 識 す る。 第 二 段 階 は 当該 資 産 の売 却 あ るい は そ の他 企 業 実 体 か らの 移 転 時 に 損 益

(19)AICPA  Accounting  Research  Studies  No.3.前 掲 訳 書p.143.

⑫①AICPA  Accounting  Research  Studies  No.1.前 掲 訳 書p.118.

(11)

      時価主義会計 の基調  11 の残 余 部 分 を認 識 す る もので あ って,こ の 部 分 は 売却 あ る い は移 転 価 格 と取 替 価 格 との 差額 分 と して 測 定 され る。 す な わ ち 第 一 段 階 で は 取 替 価 格 一取 得 価 格,第 二 段 階 で は売 却 価 格 一取 替 価 格 で 把 握 され る こ とに な る。   (c)将 来 の交 換 価 格 … …た と えぽ 予 想 販 売 価 格,こ の 評価 基 準 が 用 い られ る場 合 は利 益 あ る い は損 失 が す で に 勘 定 に認 識 され て い る。  (予想 販 売 価 格 一 取 得 価格)し た が って この評 価 基 準 に よ って 評 価 され る資 産 は売 却 あ る いは そ の 他 の移 転 に よっ ては 利 益 も損 失 も もた ら さな い こ とに な る。   上 に示 した 三 つ の評 価 基 準 の うち のい ず れ か を選 択 適用 す る の で あ るが 第3 号 で は これ を資 産 の 内容 に よ って 使 い 分 け て い る。   (1)  現 金 また は 貨 幣 請 求 権   当該 資 産 か らの入 金 予 定 の割 引現 価 で これ を 評 価 す る。 そ してそ の資 産 の入 金 予 定 が 不 確 実 で あれ ば 現 在 の 市 価 で 評 価 し,更 に そ の市 価 も不 確 実 な 場 合 は 原 価 に よ る。   (2)棚 卸 資 産   商 品,製 品 な どは正 味 実 現 可 能 価 額 に よ り,そ の 他 の棚 卸資 産 は取 替 原 価 に よ る。 そ の結 果 生 ず る差 額 は販 売 を待 た ず に 利 益 あ るい は 損失 を生 じる。 これ は販 売 基 準 に よ らず,発 生 基 準 に よ る発 生 した期 間 の損 益 とな る。   (3)  有 形 固定 資 産   取 得 原 価 で計 上 す る。 た だ し一 般 物 価 の 変 動 に つ い て の修 正 は主 要 財 務 諸 表 あ るい は補 足 的 財 務 諸 表 で 示 す こ と とす る。 会社 更生,合 併等 の重 要 事 件 が 発 生 す る と きは そ のた び に取 替 原 価 で 評 価 す るが,そ の よ うな重 要 事 件 が な くて も定 期 的(5年 毎)に 有 形 固 定 資 産 の評 価 替 を 行 な う。   (4)無 形 固定 資 産 お よび 繰 延 資 産   取 得 原 価 で 計 上 し,一 般 物 価 の変 動 に よ る修 正 は有 形 固定 資 産 と 同様 に 主 要 財務 諸 表 あ るい は 補 助 的 財 務 諸 表 で 行 な う。   つ ぎに低 価 法 は従 来 の会 計 に おい て 保 守 主 義 的 観 点 か ら伝統 的 に採 られ て き

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12 た と ころ で あ る が,こ れ を 批 判 す る こ とに よ り時 価 主 義 会 計 へ の 途 が 開 か れ る。 す な わ ち,実 現 主義 の重 要 な基 盤 とな って い る保 守 主 義 と低 価 法 は 首 尾 一 貫 性 を 欠 くもの で あ り公 平 性 を 欠 く もので あ る。 そ の理 由は 低 価 法 に よ って 未 実 現 損 失 を 認 識 しな が ら未実 現利 益 を認 識 しな い とい うのは 持 分 の取 得 者 に は 有 利 と な るが,そ の 処 分 者 に は不 利 とな る よ うな情 報 を生 む こと に な る。 企 業 が 発 行 して い る有 価 証 券 の市 価 が そ の 企業 の財 務諸 表 に報 告 され た 財 政 状 態 お よび 経 営 成 績 に よ って あ る程 度 影 響 を 受 け る もの とすれ ぽ,市 場 性 あ る有 価 証 券 につ い て低 価 法 の適 用 に よ って 認 識 され る大 幅 な 未実 現 損 失 や,棚 卸 資 産 に つ い て の 同 じ大 き さ の未 実 現 で しか も認 識 され な い 利益 が企 業 の 財政 状 態 や経 営 成績 に どの よ うな影 響 を与 え て い るか を 考 え る必 要 が あ る。 実 現 性 の 欠 如 は 棚 卸 資 産 に つ い て 時 価(取 替 原価)を 用 い る こ とに 対 す る障 害 とは な らな:い。 む しろ 低 価 主義 は この 点 につ い て有 用 な 目的 を果 し てい る。 す な わ ち 低 価 主 義 に よ って 会 計 専 門 家 は 時 価(取 替 原価)を 見 付 け,測 定 しか つ 評 定 す る訓 練 を 積 ん で きて お り,し た が って この 時価 を更 に拡 張 利 用 す る こ とが 実 際 的 で あ り       が しか も 自然 に 行 な わ れ る よ うに な って い る か らで あ る。   上 に 述 べ て きたAICPAの 会 計 原 則 試 案 お よび そ の前 提 を な す 会計 公準 は, 実 現 基 準 に代 えて 発 生 基 準,ま た 取 得 原価 主義 に 代 え て時 価 主 義 を採 る ので あ るが,こ れ に 対 して 多 くの 批 判 が な され て い る。 そ の主 な主 張 は次 の よ うで あ る。Andrew  Barr, Paul Grady, Herbert E. millerは 会 計 の存 在 論 的 思 考 か ら,こ の会 計 原 則 試 案 は今 日存 在 して い る一 般 に認 め られ た会 計 原則 で は な く て,か くあ るべ き規 範 論 的 会 計 原 則 で あ るか ら現 行 実 務 か ら大 幅 に離 脱 して い る部 分 が あ る。 した が って今 後 批 判 的 検 討 と実 務 上 の テ ス トを 必 要 とす る し, また この 会計 原 則 を無 差 別 に適 用 す れ ば 虚 偽 や 誤 解 を 招 く財 務 諸 表 が 作 成 さ れ 一 般 大衆 の 信頼 を そ こな うおそ れ が あ る と批 判 す る,ま たCarman  G. Blough も同 じ存 在 論 的 立場 か ら,有 形 固定 資 産 に 関 して 重 要 な 事 件 が 起 った 場 合 は そ の 時 点 に お け る取 替 原価 で評 価 替 え をす る こ と,ま た そ うで な い 場 合 も定 期 的

㈱   AICPA  Accounting  Research  Studies  No.3.前 掲 訳 書P.P.149∼150.

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      時価主義会計 の基調  13 にた とえば5年 毎 に 評 価 替 え を す べ きで あ る とす る会 計 原 則 の考 え方 は,評 価 替 え を した 結 果 の 適 正 度 と合理 性 を 決定 す る ことが い か に 不 可 能 で あ るか は す で に実 証 済 で あ り,第3号 の 考 え方 は1920年 代 の亡 霊 で あ る と酷 評 す る。 しか してArthur  M. Cannonは この会 計 原 則 試 案 を優 れ た 労 作 で あ る と激 賞 し, 時 価 評 価 は た い して 困 難 な 問題 で は な く容 易 に受 け 入 れ られ る とい う。 企 業 の 財 政 状 態 を 示 す 望 ま しい 貸借 対 照 表 は資 産 を 一 方 の欄 に 取 得 原 価 で 表 示 し,も う一 方 の 欄 に 時価 で表 示す る。 負債 に つ い て も 同 様 に 二 欄 で 表 示 し,ま た純 資 産 に つ い て は両 欄 と も取 得 原 価 で 表 示 す るが 評 価 の 増 分 を 時 価 欄 に示 す こ と で あ る。 そ して この よ うな報 告 書 が す で に あ るけ れ ど も更 に 望 ま しい姿 は,個 別 物 価 の 変動 に よ る評 価 の増 分 と一 般 物 価 の 変 動 に よ る増 分 とを 区別 し て表 示 す る こ とで あ る。 とし て時 価 主 義 に よ る評 価 の 数値 を推 奨 して い る。   この よ うに会 計 原 則 試 案 の時 価 主 義 に つ い て は種 々の批 判 や賛 成 が あ るけ れ ど も,こ の会 計 原 則 試 案 の考 え 方 が 演 繹 的 で あ り従 来 の取 得 原 価 主 義 や 実 現 主 義 に よる会 計 理 論 に 鋭 い メ スを 入 れ,時 価 主義 へ の道 を切 り開 き費 用 お よび 収 益 の測 定 に と もに 発 生 主 義 を 用 い る とい う 目標 を設 定 した ことは 画 期 的 で あ る と同時 に ア メ リカの 根 強 い 実 務 的 実 践 的意 識 の なか で,経 済 的 情 報 を 探 り出す た め の会 計 思 考 を 試 み た こ と も また 画 期 的 で あ る。 6  結 び   取 得 原 価 主 義 に よ る会 計 は 本来 分配 可 能 利 益 を算 定 す る こ とを 目的 とす る も の で あ り,財 務 諸表 に経 営活 動 の状 況 をあ る程 度 告 げ る能 力 を 認 め て そ の 報告 を 義 務 付 け て い るの が 現 行会 計 制 度 で あ る。 これ に 対 して 時 価 主 義 会 計 は財 務 諸 表 の 表 示 そ の もの,あ る い は遡 っ て帳 簿 記 録 に お い て経 営 状 況 を 把握 す る こ とを 目的 とす るか らた とえ未 実 現 で あ って も利 益 は 利 益 と して 把 握 し これ る報 告 し よ うとす る もの で あ る。  「時 価 主 義 会 計 は 資 産 の価 額一 負 債 の価 額 の場 合 も除 外 す る必 要 は な い が一 を常 に現 在 再 取 得 価 格(時 価)に よ って処 理 す る こ とを 原理 とす る会 計 方 法 で あ り,会 計処 理 の客 観 性 に お い てす ぐれ て い る。 会 計 に お い て重 要 な こと は実 質 的 客 観 性 で あ るが,時 価 主 義 に よれ ば だれ が会

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 14 計 処 理 を し ょ う と も正 当 な処 理 老 に よる場 合 に は会 計 処 理 は 一 致 し,そ の 結 果 も他 人 に 対 して 客 観 的 で あ る とい う説 得 力 の あ る報 告 を 提 供 す る。 とは い って も財 産 の 価 値 は 時 価 主 義 に よる把 握 が絶 対 に正 しい とい うわ け で は な く,す く な くと も原 価 主 義 に よ る把握 よ りは 明 らか にす ぐれ てい る。 財 務 諸 表 に よ る経 営 成 績 や 財 政 状 態 の 表 示 は 原価 主 義 に よる よ りは時 価 主 義 に よ る方 が 会 計 情 報 と して 有 用 性 が 大 きい 。」 貸 借 対 照 表 上 資 産 を 時 価 で 表 示 す る 効 用 は 多 くあ る が,そ れ が 再 調 達 価 格 を 示す 時価 で測 定 され る限 りにお い て そ の 第 一 義 的 目的 は 実 現 収 益 と費 用 との対 応 計 算 に あ る。 け だ し資 産 はや が て費 用 化 され 収 益 と の 対 応 に よ って 期 間 損 益 計 算 が 行 な わ れ る か らで あ る。 も し資 産 の時 価 表 示 そ の も のを 第 一 義 的 目的 とす るな らぽ,そ れ は清 算 価 値 の測 定 を 意 味 し評 価 基 準 は 販 売 価 格 水 準 で な け れ ば な らな い こ とに な る。   動 態 的 経 済 環 境 を 踏 まえ れ ば財 貨,用 役 の価 格 は常 に変 動 す るか ら,会 計 の 物 価 変 動 を 反 映 させ る方 法 を 考慮 す る こ とは重 要 で あ る。 しか る に従 来 の企 業 会 計 は イ ン プ ッ トの 側 面 で は 取得 原価 主義,ア ウ トプ ッ トの側 面 では 実 現 主 義 の 二 大 支 柱 の 下 に 会 計理 論 を構 築 して きた 。 ア ウ トプ ヅ トの側 面 に おけ る実 現 主 義 に つ い て は 物 価 変 動 の 影 響 は あ ま り受 け な い。 けだ し(1)販 売 され た ア ウ トプ ッ トの 場 合 は 物 価 変 動 の影 響 が 会計 期 間 内 に限 られ る こ と。  (2)物 価 上 昇 期 に お け る収 益 の 過 少 計 上 は 保守 主義 の観 点か ら容 認 され るか らで あ る。 しか るに イ ン プ ッ トの 側 面 に お け る取 得原 価 主 義 は流 出資 産 で流 入 資 産 を 測 定 す る イ ン プ ッ トプ ライ ス測 定 基 準 で あ るか ら,取 替 原 価 や 現 在 価 値 な ど の他 の 基 準 に と って 代 られ る 可 能 性 が あ る。 けだ しイ ンプ ッ トは概 して 企業 内 に 長 く留 ま り,物 価 変 動 の 影 響 を 受 け 取 得 原価 をそ の ま ま据 え お く ことは 経 済 環 境 の実 態 にそ わ ない か らで あ る。  1そこで 物 価 変 動 を 考 慮 した 場 合 に と られ る方 策 と して一 般 物 価 水準 を用 い る とき,こ れ に よる調 整 が 果 して 経 営 者 や外 部 分 析者 に有 効 で あ ろ うか。 一 般 物 価 水準 に よる調 整 とは,基 準 とな る年 の貨 幣購 買 力 で取 得 原 価 を再 表 示 す る こ ㈱   木 村 重義:原 価 主 義 と時 価主 義  企 業会 計   第18巻 第5号 。

(15)

      時価主義会計の基調  15 とで あ る。 売 上 に 相 当 す る イ ン プ ッ トが 物 価 水 準 以 上 に 上 昇 した と きに実 現 す る保 有 利 益 は 区分 不 可 能 な真 の利 益 と して報 告 され る。 した が って 当期 の操 業 利 益(こ れ が 真 の 利益)と 保 有 利 益 を分 類 す る仕 事 が 残 され て お り,こ の仕 事 は 現 在 価値 に よる会 計 を 行 な う ことに よ って 達 成 され る。   しか しなが ら現 在 価 値 で測 定 され た イ ン プ ッ ト価 格 の変 動額 を保 有 利 益 と し て取 扱 う こと の理 論 的 妥 当性 を もつ のは 販 売 価 格 が購 入価 格 と比 例 的 に 動 く場 合 で あ る。 け だ しそ れ は過 去 に 財 を 安 く購 入 して い た こ とに 由来 す る支 出の 節 約 分 で あ り,原 価 節 約cost  savingで あ るか らで あ る。   取 得 原 価 主 義 の論 拠 は 客 観 性 と確 定 性 で あ った。 しか し企 業 会 計 の発 展 過 程 を省 る と き客 観 性 な い し確 定 性 は 漸 次 合理 性 な い し有 用 性 にそ の座 を 譲 って き た 。 現 金 主 義 か ら発 生 主 義 へ の 転換 が そ うで あ った よ うに 取 得 原 価 主 義 か ら時 価 主 義 へ の転 換 も早 晩 行 な われ て然 るべ きで あ る。 しか も今 日は1930年 代 とは 異 な り各 国 の 価 格 統 計 が 非 常 に発 達 し,細 目にわ た る現 在 価 格 が 月 単 位,週 単 位 で 確 認 で き る。 わ が 国 で い え ば 日本銀 行 統 計 局 そ の他 の 民 間 経 済 研 究所 で は す で に この種 の もの を 公表 して い る。 更 に国 連 に おい て も価 格 統 計 を 作成 して い るの が 現 状 で あ る こ とを考 えれ ば,時 価 評 価 に 悠 意 性 が 入 り込 む 余 地 は あ ま りな く,取 得 原 価 が 固守 され る根 拠 は 薄 れ て きて い る と考 え られ る。   取 得 原 価 主 義 に よっ て処 理 され た もの も会 計 情 報 と して は 価 値 は あ る。 しか し物 価変 動 が 激 し く,か つ 非 回 帰 的 イ ン フ レの 下 に あ る今 日は,よ り最 近 の会 計 数 値 の方 が 会 計 情 報 とし ては 価 値 が 高 い 。 「情 報 の ひ ず み が存 在す る こと を 漠然 と知 らされ て い る よ り概 算 値 で あ って も具 体 的 に そ の ア ウ トライ ン を知 ら

⑳   Edgar  O. Edwards;The  State  of Current  Value  Accounting.  the Accounting   Review  April  1975.  p.237.

(n  Edgar  O. Edwards  and  Philip  W.  Bell:The  Theory  and  Mesurement  of Busi-  nessof Busi-  Income.1961.伏 見 多 美 雄,藤 森 三 男 訳:意 思 決 定 と 利 潤 計 算p.76.

㈱   客 観 性 と は 同 一 事 象 を 前 提 とす れ ば,測 定 老 を 異 に して も 同 一 な い し近 似 の 測 定 値   に 到 達 し 得 る 特 性 を 指 す 。 ま た 確 定 性 と は そ れ ら の 測 定 値 が そ の 後 の 事 象 に よ り更 改   さ れ 難 い 特 性 を 指 す 。 換 言 す れ ば 測 定 値 の 持 続 性,定 着 性 で あ り,事 後 の 市 場 価 格 の   変 動 に 左 右 され な い こ と を 指 す 。

(16)

  16 され る方 が よ り有 効 で あ り,更 に そ れ が 社 会 的 合 意 を得 た方 法 で提 供 され る も の で あれ ば,相 対 立 す る 利 害 関 係 者 で あ って も これ を1納得 させ る も ので あ ろ う。」 企 業 会 計 は 今 日で は 損 益 計 算 のみ が そ の 目的 で は な く,多 くの会 計 情 報 を広 く利 用 者 に伝 達 し,意 思 決 定 の用 具 とす る こ とを考 えれ ば利 益 概 念 も複 数 で あ って も よい と しな け れ ば な らな い 。 しか しな が ら取 得 原 価 主 義 に よ る制 度 会 計 が 厳 然 と存 在 す る今 日,時 価 主 義 を制 度 に 入れ 得 る途 は,財 務 諸 表 の本 文 を取 得 原 価 主 義 に よ り表 示 し,付 属 明 細書 の一 部 に時 価 主 義 に よる計 算 資 料 を そ え るか,あ るい はASOBATが 提 案 して い る よ うな,財 務 諸 表 に 取 得 原 価 と時 価 の二 欄 表 示 を す る こ とで あ ろ う。 ㈲   遠 藤 久 夫:実 現 主 義 と時 価 主義  産 業 経 理  第28巻 第6号 。

参照

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