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運動と健康にはどんな関係があるのか

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Academic year: 2021

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四條畷学園大学 リハビリテーション学部紀要 第 8 号 2012

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公開講座

運動と健康にはどんな関係があるのか

来 田 宣 幸

人間の身体は 200 個以上の骨と数百にのぼる大小様々 な大きさの骨格筋から構成されている.この骨格筋の収 縮によって発生される張力が関節の回転トルクを生み出 し,各関節の運動が総合されて身体の運動が成り立つ. したがって,人間の運動を考える場合には,その基本的 な構成要素である骨格筋の性質を理解することは非常に 重要となる.骨格筋は筋鞘と呼ばれる形質膜に包まれて おり,多数の核を持ち,ミトコンドリアや横行小管,筋 小胞体などから構成される.1 本の骨格筋は数百本の筋 原線維が束になったものであり,筋原線維は太いミオシ ンフィラメントと細いアクチンフィラメントから構成さ れている.これらの構成要素の活動によって骨格筋が収 縮し,張力がする. 骨格筋が発揮する張力は筋断面積に比例することが 知られており,単位断面積あたりの筋力は固有筋力 (specific tension)とよばれている.一般に,スポーツ 選手と一般成人を比較するとスポーツ選手の方が大きな 力を発揮することができる.しかし,これはトレーニン グなどによってスポーツ選手が筋を鍛え,筋断面積を増 加させたことが要因であり,単位断面積あたりの筋線維 自体が発揮する筋力には大きな違いがないとされる. 福永ら(1989)は,7 歳から 18 歳までの男女を対象と して,超音波法によって筋断面積を測定し,男子は 7 歳 から 18 歳まで年齢が進むにつれて増加するが,女子では 上腕が 14 歳まで,他の部位が 16,17 歳まで増加する傾 向にあることを報告した.また,金久(1989)は,福永 ら(1989)のデータに追加して,各関節の等尺性最大筋 力を計測し,単位断面積あたりの筋力を求めたところ, 発育スパート期を過ぎると,同一の筋の場合,年齢や性 別に関係なくほぼ一定となることを報告した.これから の結果から,発揮筋力の最大値は筋断面積が大きな影響 を与えているといえ,運動をすることによって筋の活動 を促進し,健康的な生活につなげていくことは重要であ る. 骨格筋が収縮することによって,骨との付着部である 腱を介して張力を骨に伝え,関節の回転トルクを発生さ せる.この際,てこの原理を使って筋自体が発揮した力 は,何分の 1 かに減じられて外部に伝えられるようにで きている.これは,ケーキやパンを掴むトングやピンセッ トなどと同じ原理である.何倍かに増幅させて外部に伝 えられるのではないのは不思議に感じられるかもしれな いが,これは,微調整や滑らかな筋力発揮に効果的なし くみといえる.例えば,肘屈筋群では 4 分の 1 から 5 分 の 1 に減じられ,大腿前部の膝伸展筋ではおよそ 10 分の 1 に減じられて外界に力として作用するといわれている. したがって,手首で測定した等尺性肘屈曲力が 20 kg であったとするとこの時,肘屈筋群は 100 kg 程度の張 力を発揮していることになる.また,足首で測定した膝 伸展力が 100 kg であれば,大腿前面の膝伸展筋群は 1 トン程度の張力を発揮していることになり,膝伸展筋は 自動車 1 台分くらいを引っ張ることができ,非常に大き な活動をしているといえる.このように見た目の筋力と 筋自体が発揮している力との間には大きな乖離があり, ヒトの筋は非常に大きな働きをしており,健康のために は筋を活動させることの重要さを理解することができる といえる. ヒトの場合,地上で生活をする際には重力に対して直 立姿勢を維持し,体重を移動させなければならない.し たがって,重力に抗するための筋活動が存在する.しか し,水平位置ベッドレストでは,重力の影響が最小限に なり,一定期間ベッドレストを継続すると抗重力筋の廃 用性筋萎縮が観察される.また,長時間のベッドレスト による筋力低下を予防するための研究も盛んにおこなわ れており,積極的な筋力トレーニングによってある程度 予防が可能であることが明らかとなっている.しかし, ベッドレスト期間が 100 日以上になると,積極的な筋の リハビリテーションを処方しても元の機能を取り戻すこ とは困難であるという指摘もある(鈴木 2002).健康的 な生活を送るためには積極的な筋活動が必要であるとい うことを理解することができる.

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四條畷学園大学 リハビリテーション学部紀要 第 8 号 2012

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文 献

1)金久博昭(1989)発育・発達と筋力トレーニング, 筋のトレーニング科学,高文堂出版,東京,72-80. 2)福永哲夫・金久博昭・角田直也・池川繁樹(1989) 発育期青少年の体組成,人類学雑誌 97(1):51-62 3)小田伸午(2003)運動科学,丸善,東京 4)鈴木洋児(2002)ベッドレストと筋力,筋の科学事 典-構造・機能・運動-,朝倉書店,東京,239-251

参照

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