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色温度可変方式による LED 照明システムの構築

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Academic year: 2021

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124回 月例発表会(201106月) 知的システムデザイン研究室

色温度可変方式による

LED

照明システムの構築

谷口由佳

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はじめに

近年オフィス環境への関心が高まり,光環境の改善は 知的生産性の向上に繋がることが報告されている1) .光 環境には光の明るさを表す照度,光の色を表す色温度など の指標があり,人の生体および心理に影響を与える要因 としてあげられる.このことから,我々は個々のオフィ スワーカに合わせて個別の照明環境を提供する照明シス テムを提案し,作業を行うのに適した光環境の検討を行っ ている.先行研究より個人,作業内容,体調によって好む 照度および色温度は異なることがわかった.そのことに より,さらに天候などの外光の状況によって照度および 色温度の選好も異なる可能性があると考えられる.しか し,現在一般に普及している蛍光灯照明器具では色温度 の実現範囲が狭く,実現できない色温度が存在する.そ こで,本研究では外光の特徴を把握し,色温度の実現範 囲が広い色温度可変型LED照明器具を用いて任意の照 度および色温度を実現する照明システムを構築し,検証 実験を行った.

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照度および色温度が人に与える影響

オフィスにおいて,執務に最適な照度および色温度の 研究は多く行われている.照度とは単位面積当たりに照 射される光束(ルーメン)で,単位はlx(ルクス)であ る.色温度とは光の色を定量的な数値で表現する尺度で あり,単位はK(ケルビン)を用いる.色温度が低いほ ど赤みがかった色で,反対に色温度が高いと青白い色と なる.光環境を作業内容等によって変化させることで作 業効率が向上することが報告されている1).また,時間 帯ごとに光環境を変化させることで人の生体リズムを保 つことができると報告されている3)

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外光色温度の特徴

先行研究より,個人,作業内容および体調によって好 む照度および色温度は異なることが分かっている.その ため,天候や外光の状況などの外部要因によっても照度 および色温度の選好は異なると考えられる.そこで,外 光の色温度にどのような特徴があるのかについて調査す るため,外光の色温度を測定した.ある一日の外光照度 および色温度をFig.1に示す. Fig.1に示すように外光の色温度は日の出および日の 入り時に非常に高くなっていることが分かった.このこ とから,外光の色温度は一日の中で大きく変化すること が分かった.室内の色温度を低く設定した場合,外光と の色温度差が非常に大きくなるため,外光の状況によっ ても照度および色温度の選好が異なる可能性がある.そ のため,外光の色温度を考慮した照明システムを構築し, Fig.1 ある一日の外光色温度 外光の影響がどの程度,人の選好に影響がでるのかを調 査するために,色温度可変方式によるLED照明システム の構築を行う.

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色温度可変方式による照明システムの構築

4.1 システムの概要 要求された照度および色温度を実現するシステムを構 築する.本システムは,調光可能な赤,緑,青,および黄 色(以下R,G,BおよびYとする)の4色それぞれの光 度を調節することで任意の照度および色温度を実現する. 4.2 システムのアルゴリズム 構築したシステムの具体的な処理の流れについて説明 する.本システムでは色温度を実現するために色度を用 いて制御を行う.色度図上における色温度(黒体放射)軌 跡をFig.2に示す.なお,色度とは色を数値的に表現し たものであり,色度図とはRGBの3原色の混合により 生成される全ての色を網羅し,その色位置を座標化して 表現したものである. 0 0.1 0.1 0.2 0.2 0.3 0.4 0.4 0.5 0.3 0.6 u v G Y R B 色温度( 黒体 ) 軌跡 実現可能範囲 LED の 100,000 K 1,800 K Fig.2 黒体放射軌跡 以下に具体的な処理の流れについて説明する.なお以 下の光度とは照明器具直下の光度を示す. 1. 目標照度および目標色温度を設定する. 2. 700 lx,4000 Kで初期点灯する. 3. 目標色温度に対応する色度(色度座標のu,v値)を取得 1

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する. 4. 現在色度を取得する. 5. 目標色度を満たしている場合は6へ進み,満たしていない 場合は目標色度を実現するためのR,G,BおよびYの光度 増減量を計算し,それに応じて光度を増減させる. 6. 現在照度を取得する. 7. 目標照度を満たしていない場合は過不足分に応じてR,G,B およびYの光度を増減する. 8. 目標照度または色温度が変更された場合は3に戻る. 9. 上記4から8を繰り返す. 以上の処理により,要求された照度および色温度を実 現する.

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検証実験

5.1 実験概要 目標照度を350∼800 lxおよび色温度を3000∼7000 K の範囲内で7パターンを設定し,検証実験を行う.実験 には色彩照度計(コニカミノルタ製)1台,LED照明器具 (SHARP製試作品)29台を用いる.設定した目標値を Table 1に示す.また,ファイバチャンネル分光器(オー シャンフォトニクス製)を用いて平均演色評価数(Ra) の測定も行う.実験環境をFig.3に示す. Table1 目標設定値 パターン 目標照度 [lx] 目標色温度 [K] 1 500 3000 2 800 3500 3 600 4000 4 400 4500 5 350 5000 6 600 6000 7 800 7000 7.2m 6.0m (a) 上面図 色彩照度センサ 分光器 2m 0.6m 0.6m (b) 測面図 制御用PC LED Fig.3 実験環境 5.2 実験結果 目標値をTable 1に示す値に設定した際の照度および 色温度の収束結果をそれぞれFig.4および5に示す. Fig.4 照度の収束結果 Fig.5 色温度の収束結果 Fig.4より,照度は20∼50回程,調節を繰り返すこと で収束していることを確認した.Fig.5より,色温度は30 ∼50回程度,調節を繰り返すことで収束していることを 確認した.7パターンの照度および色温度の目標設定値 とそれに対する収束結果および平均演色評価数をTable 2に示す. Table2 実験結果 パターン 照度 (差) [lx] 色温度 (差) [K] 平均演色性数 1 517 (17) 3010 (10) 91.8 2 813 (13) 3511 (11) 87.0 3 613 (13) 4011 (11) 92.4 4 409 ( 9) 4514 (14) 88.5 5 357 ( 7) 4994 ( 6) 92.6 6 589 (11) 5988 (12) 90.4 7 797 ( 3) 7011 (12) 94.7 Table 2に示すように,照度および色温度共に目標と の差は20 lxおよび20 K以内に収束した.この値は人 が変化を感知できない程度であるため,構築したシステ ムは任意の照度および色温度を実現できることがわかっ た.平均演色評価数についても85∼95の範囲内であっ た.この値はオフィスおよび学校で推奨される範囲内で あるため,構築したシステムが実用可能であることがわ かった.

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まとめと今後の展望

色温度の実現範囲が広い色温度可変型LED照明器具 を用いて任意の照度および色温度を実現する照明システ ムを構築し,検証実験を行った.検証実験を行った結果, 構築したシステムが実用可能であることがわかった.今 後は構築したシステムを用いて,外光の状況によって人が 好む照度および色温度はどのように変化するのかについ て検討する.また,外光の色温度を考慮した照明システ ムを構築し,執務を行う際に適した色温度の検討を行う.

参考文献

1) 大林史明,富田和宏,服部瑤子,河内美佐,下田宏,石井祐剛,寺野真明,吉 川榮和,オフィスワーカのプロダクティビティ改善のための環境制御法の研 究-照明制御法の開発と実験的評価,ヒューマンインターフェースシンポジウ ム2006,Vol.1,No.1322,p.151-p156,2006 2) 三木光範,廣安知之,冨島千歳,照度・色温度可変型照明システムを用いた 実執務空間における最適な光環境,第8回情報科学フォーラム講演論文集, p493-p494,2008 3) 川瀬貴晴,吉岡陽介,執務空間快適性に関する概念拡張の動向と昼光利用サー カディアン照明システムについて,システム制御情報学会誌,p376-381, 2006 2

参照

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