Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
№27:Treponema denticola TDE_0127遺伝子は酸
素ストレス応答と病原性に関与する
Author(s)
北村, 友里恵; 深澤, 俊也; 菊池, 有一郎; 国分, 栄仁;
石原, 和幸; 齋藤, 淳
Journal
歯科学報, 120(2): 215-215
URL
http://hdl.handle.net/10130/5142
Right
Description
目的:DNA から転写される RNA には mRNA の他 にタンパク質をコードしないノン コ ー デ ィ ン グ RNA(ncRNA)が存在し,転写,翻訳のみならず エピジェネティクスなど生体内プロセスに関与する ことが報告されている。我々はこれまで鎖骨頭蓋異 形成症(CCD)を用いた疾患 iPS 細胞を作製し, 骨形成に関わる機能を検討してきた。本研究では CAGEseq を用い骨芽細胞分化における ncRNA の 発現について検討した。 方法:細胞は異なる RUNX2変異を有する鎖骨頭 蓋異 形 成 症(CCD)由 来 iPS 細 胞(CCDiPSC)お よび変異修復細胞(reviPSC)を使用した。我々が 以前報告した骨芽細胞分化誘導法(J. Biol. Chem. 287(27)2012,PLoS One.2014 9(6):e99534))
に従って iPSC を培養した。
結果および考察:コントロール iPS(reviPSC)は CCDiPSC と 比 べ RUNX2,DLX5,COL1A1, SPARC mRNA の高い発現が認められた。また骨
芽細胞分化で変化する上位100位の遺伝子を用いて Gene Ontology 解 析 を 行 っ た と こ ろ,reviPSC に のみで骨形成に関係するタームが認められた。こ の 際 の RUNX2プ ロ モ ー タ ー 発 現 を 確 認 す る と 上流に位置する P1部位より下流に位置する P2 部位に強いピークが認められた。次に骨形成に関 与するクラスターに含まれる ncRNA を抽出した ところ,reviPSC で MIR199A2,MIR152,HOXB AS3,AC004540.4,RP11−399K21.11の 発 現 が CCDiPSC と比べ有意に上昇していた。以上より 以前の我々の報告と同様,網羅的遺伝子発現解析法 においても RUNX2を修復した iPS 細胞は骨芽細 胞分化能を回復することが示唆された。また P1プ ロモーターのみならず,P2プロモーターによる RUNX2発現においても骨芽細胞分化マーカーの上 昇 こ と が 示 さ れ た。ま た microRNA と lncRNA が協調し骨芽細胞分化を制御している可能性が考え られた。 目的:歯周病原細菌 Treponema denticola は,歯周 炎病巣から高頻度に検出され,歯周炎の発症・進展 に重要な役割を果たしている。T. denticola は,口 腔内において,温度,pH,酸素濃度などの環境変 化にさらされる。それに適応するために遺伝子発現 を調節する必要があるが,その仕組みの詳細につい てはまだ明らかにされていない。TDE_0127は,T. denticolaの DNA binding protein をコードする遺 伝子であるとされ,特定の遺伝子の発現調節に関 わっている可能性がある。さらに,TDE_0127は, 本菌の環境ストレス応答に関与することが示唆され ている。本研究の目的は,T. denticola の酸素スト レス応答と病原性発現における TDE_0127の役割に ついて検討することである。 方法:TDE_0127の機能を明らかにするため,その 欠損株を作出した。T. denticola 35405(野生株)よ りゲノム DNA を抽出し,TDE_0127部をエリスロ マ イ シ ン 耐 性 遺 伝 子(ermFermAM)に て 置 換 し た。Mid-log phase の T. denticola に塩化カルシウム 法にて形質転換を行い,得られた欠損株(YK7) の表現型と遺伝子発現について,野生株との比較を 行った。表現型においては,増殖能,酸素ストレス 耐性,本菌の主要な病原因子である dentilisin の活 性について解析を行った。遺伝子発現は,まず, TDE_0127の欠損が,T. denticola の遺伝子発現に与 える影響を網羅的に調べるため,DNA マイクロア レイ解析を行った。著しい発現変動が認められた遺 伝子の中で,表現型の変化と関連があると予想され た遺伝子について qRT-PCR による解析を行った。 結果および考察:YK7の増殖は,3,4日目にお いて,野生株と比較して有意に高い値を示したこと から,TDE_0127が T. denticola の 増 殖 の 抑 制 に 関 与することが示唆された。酸素ストレス下におい て,YK7の生菌の割合 は,野 生 株 と 比 較 し て 約 40%低 下 し た こ と か ら,TDE_0127は T. denticola の酸素ストレス応答の調節にも,一定の役割を有す る と 推 察 さ れ た。DNA マ イ ク ロ ア レ イ と qRT-PCR の結果,YK7において,上皮細胞との付着へ の関与が予測される internalin-like protein 様遺伝 子の発現上昇と,他菌との共凝集に関与する lrrA の発現低下を認めた。したがって,TDE_0127は T. denticolaの上皮細胞や共凝集を調節している可能性 が あ る。ま た,YK7の dentilisin 活 性 は,野 生 株 と比較し て 約30%減 少 し た。以 上 の 結 果,TDE_ 0127は T. denticola の酸素ストレス応答や dentilisin 活性を含めた病原性に関与することが示唆された。
№26:鎖骨頭蓋異形成症における ncRNA の発現とその調節
小野寺晶子1),大木章生2),齋藤暁子1),西井 康2),末石研二2),東 俊文1)(東歯大・生化)1) (東歯大・矯正)2)№27:Treponema denticola TDE_0127遺伝子は酸素ストレス応答と病原性に関与する
北村友里恵1),深澤俊也1),菊池有一郎2)3),国分栄仁2)3),石原和幸2)3),齋藤 淳1)3)
(東歯大・歯周)1)(東歯大・微生)2)(東歯大・口科研)3)
歯科学報 Vol.120,No.2(2020) 215