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IRUCAA@TDC : 歯周病学系「動揺歯への対応を教えてください。」

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Academic year: 2021

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(1)

Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

歯周病学系「動揺歯への対応を教えてください。」

Author(s)

澁川, 義宏

Journal

歯科学報, 111(4): 407-409

URL

http://hdl.handle.net/10130/2571

Right

(2)

1.はじめに 歯の動揺は正常な歯周組織においても生理的動揺 が認められますが,歯周病の進行に伴って,正常範 囲を超えた動揺が認められることがあります。歯の 動揺は,歯槽骨の吸収と付着の喪失による支持組織 の減少のみならず,歯肉,歯根膜の炎症や咬合性外 傷の存在によっても生じます。ここでは,歯周病患 者における動揺歯への対応について解説します。 2.動揺歯に対する考え方 動揺の原因が炎症なのか?早期接触やブラキシズ ムなどの咬合性外傷が関与しているのか?を注意深 く判断する必要があります。歯の動揺が著しい場合 には,歯周基本治療において,咬合調整や暫間固定 が必要な場合もありますが,基本的には炎症に対す る治療を優先します。炎症に対する治療の後に動揺 が残存して機能的に傷害がある場合などには咬合調 整や暫間固定を行って動揺度などの歯周組織の変化 を評価し,永久固定の必要性と範囲を判定したり, ブラキシズムがある場合にはオクルーザルスプリン トを作製したりします。 3.咬合調整 歯周病患者における歯の動揺は,炎症の除去(プ ラークコントロールとスケーリング・ルートプレー ニング)によって減少することがあります。また, 炎症を消退させただけで,歯はより正常な位置に戻 ることもあるので,炎症の強い時期の精密な咬合調 整は,あまり意味がありません。したがって,咬合 調整を必要とする場合でも,基本的な治療が終了す るまでは大きな咬頭干渉による咬合調整を行い,精 密な咬合調整は控えるべきでしょう。咬合調整で動 揺はある程度減少しますが,根本的な歯周炎の治療 とはならず,歯周炎による動揺のある場合では炎症 の除去(プラークコントロールとスケーリング・ ルートプレーニング)が優先されます。 1)診査方法 ⑴ 早期接触歯の診査 指先を用いた咬合機能触診法を行います.上顎 歯の唇面に指先を軽く当てがい咬合させ,歯の振 動(動揺)の程度を触知します。また,隣接する2 歯に手指を当て,歯面と歯肉部にまたがって指を あてて咬合接触させることにより異常な振動を診 査することが可能となります。 ⑵ 歯に動揺があるときの早期接触部位の印記法 早期接触歯に指をあてがい,咬合時に歯が移動 (動揺)するのを防いで咬合紙を使用します。歯周 病患者ではこの方法をとることが大切です。

臨床のヒント

Q&A

歯周病学系

Q&Aコーナーを新設しました。まず東京歯科大学の3 病院の臨床研修歯科医から寄せられた質問に対しての回 答です。回答は本学3施設の専門家にお願い致します。 内容によっては基礎や臨床,あるいは歯科や医科と複数 の回答者に依頼する場合もあります。毎号掲載いたしま すので,会員の皆様もご質問がございましたら,ぜひ東 京歯科大学学会までeメールかファックスで依頼してい ただきたいと存じます。必ずご期待に添えることと思い ます。今号は動揺歯への対応に関する質問です。

Question

動揺歯への対応を教えてください。

Answer

歯科学報 Vol.111,No.4(2011) 407 ― 87 ―

(3)

䋱⚖ 䋲⚖ 䋳⚖ 2)術式 歯に動揺がある場合の咬合調整法も一般的な咬合 調整法に準じて行います。以下に咬合調整法の原則 を示します。 ⑴ 咬合調整法の基本 印記された部位を単に削合するだけでは,削合 面は平面となり,咬合高径の低下や新たな咬頭干 渉の原因となる可能性があるため,削合調整後, 裂溝形成,球面形成,咬頭頂形成を行います。し かし,歯周組織の支持力をも考慮し,削合量は必 要最小限に行います。 ・裂溝形成:咀嚼効率,食塊の流動,対合歯咬頭 の安定,平坦面の縮小を計ります。 ・球面形成:平面になった削合部を球面にして, 点状接触にします。 ・咬頭頂形成:咬耗が進んだ頬舌側の広い咬合面 と低い咬頭が存在する場合には,咬頭頂以外の 部分を球面形成し点状接触するように形成しま す。 ⑵ 咬頭嵌合位の咬合調整 最初に咬頭嵌合位から始めます。早期接触部位 を Jankelson の 分 類(図1)に 応 じ て 削 合 し ま す (アンダーラインは削合部)。 1級:上顎臼歯の頬側咬頭舌側斜面と下顎臼歯の 頬側咬頭頬側斜面の早期接触 下顎前歯の唇面斜面と上顎前歯の舌側斜面 の早期接触(図1の1級参照)。 2級:上顎臼歯の舌側咬頭舌側斜面と下顎臼歯の 舌側咬頭頬側斜面の早期接触(図1の2級 参照)。 3級:上顎臼歯の舌側咬頭頬側斜面と下顎臼歯の 頬側咬頭舌側斜面の早期接触(図1の3級 参照)。 ⑶ 側方運動および側方位の咬合調整 赤色の咬合紙で咬頭嵌合位の接触部位を印記し てから側方運動させます.このとき,必ず早期接 触歯の頬側面に第2指をあて,側方運動時に歯が 頬側へ移動するのを防ぎます.次に,青色の咬合 紙を用い,咬頭嵌合位でのみ咬合させます。この ようにすると,咬頭嵌合位の接触部は赤と青の2 色が重なり,赤色のみで印記されている側方運動 時の接触部と明確に区別することができます。 ①作業側の早期接触部の咬合調整 削合は BULL の法則に従います.すなわち 上顎は頬側咬頭(UB)内斜面,下顎は舌側咬頭 (LL)内斜面を削合します。咬頭嵌合位の支持 点(赤色・青色の2重に印記された部分)は削り ません。 ②平衡側の早期接触部の咬合調整 作業側は接触せず,平衡側が側方運動を誘導 している場合は,平衡側の接触部を削合して作 業側の歯が接触して下顎を誘導するようにしま す。この場合,主に上顎舌側咬頭内斜面を削合 します。 ⑷ 前方運動および前方位の咬合調整 上顎(舌側面)を削ります。咬頭嵌合位の接触点 は削らず,前方運動時に接触する部分を削りま す。 図1 咬頭嵌合位における早期接触部の分類(Jankelson の分類) (斜線部が早期接触部と削号部位を示す) 408 歯科学報 Vol.111,No.4(2011) ― 88 ―

(4)

4.暫間固定とプロビジョナルレストレーションに よる固定 炎症に対する治療の後に歯の動揺がある場合,暫 間固定を行って固定の方法や範囲を検討します。永 久固定を行う場合,特に歯周組織破壊が進行してい る症例では残存歯の支持力が減少しており,炎症が 再発しやすい可能性があります。そのため,修復・ 補綴物が炎症や咬合性外傷の原因とならないかを経 時的な検査から診断する必要があります。このよう な場合,プロビジョナルレストレーションを作製し て,修復・補綴物の形状や固定の範囲などを検討 し,歯や動揺の大きな歯であっても良好にメインテ ナンスできるかを評価します。プロビジョナルレス トレーションによる固定は,暫間的に咬合,審美性 を回復するだけでなく,咬合,清掃性,咬合性外傷 を長期的に評価するために行います。 5.永久固定 炎症に対する治療が終了しても,歯の動揺が原因 で咀嚼機能が十分に発揮されない場合や,咬合性外 傷が依然として存在している場合で暫間固定では強 度が不十分な場合には永久固定を行います。永久固 定の範囲は暫間固定やプロビジョナルレストレー ションによる固定で決定します。 Answer:澁川義宏 東京歯科大学口腔健康臨床科学講座 文 献 1)山田 了ら編 標準歯周病学 第4版 医学書院 2006. 2)日本歯周病学会編 歯周病の検査・診断・治療計画の指 針 特定非営利活動法人 2008. 歯科学報 Vol.111,No.4(2011) 409 ― 89 ―

参照

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