山梨夫学工学部研究報告第2號
酢酸繊維素及び酢酸キシランの酸接觸鹸化速
度に就いて
緒
論
繊維素の反応速度に関Lご不均一系に於て著しいミセ ル構造、結晶領域萱、Accθssibilily等の影響の外に、 重合度分子の屈曲世、竃換基の萎パ笠置等に高分子の特 性が見られるか否かを知るには均一系反応によるを要 する。酢酸繊維素の鹸化は此種反応の一として研究さ れてゐる。桜田氏1)は酸鯛煤では非可逆一・ta反応式に 従ふことを提議し、関氏が此を実測し2)、置換度、位 置の影響のないことを示した。債繊維状不均一反応で も拡散は速く鹸化反応が律速的で同じ非可逆一次反応 となり3)、アルカリ性でも非可逆二次反応式が成立 ’し4)、置換基の影響が認めてゐられない。厚木、香川 雨氏は塩化亜鉛鰯媒では反応は不完全で可逆二次式が 成立し5)、硫酸胸媒の時も外見上非可逆反応となるが 此は反応の進行に伴い硫酸濃度の変化に基く接鰯作用 の増加と相殺したもので反応に平衡があると述べてゐ る6)。従つて低分子のグリセリン7)グリコーが)と同 じく置換基の効果は認められてゐないが、ポリ酎酸ビ = e一ルでは鹸化の進行と共に速度恒数が増すと報ぜら れてゐる9)。繊維素の場合も従来測定されなかつた置 換度50%以下で、低分子と異つた影響があるか筒瞼討 を要する思はれる。 叉置換位置に就いても、酢酸繊維素の部分鹸化物を 第一アルコールのみと容易に反応するトリチル化10)又 はトシル化11)して1/3が反応することから遊離水酸基 が2,3,6,の位置に同確率に分布し、鹸化の際位置の影 響がないとされてゐる。然しトリチル化は第ニアルコ |ルと反応することもあり12)、トシル化でも分析誤差 を加えると約1/2になることから見て再瞼討を要す る。筒べyジル基13)、酢酸繊維素14)、エチル繊維素15) の遊離水酸基のトシル化の反応性が報ぜられてゐる。 キシラソは繊維素に比しC6の第一アルコール基を 欠く外同一構造である故、其の反応性の研究は此の問 題に対し有力な資料を与えると思はれる。酢化は速や かで微細構造による拡散抵抗の差が支配すると見られ たが16)、鹸化は遅く、且反応が進むと速度を減ずる傾 向が認められた17)。 以上の点を併せて考え、今回は結合エネルギー及び 分子の立体構造の点から反応速度の考察を試みた。結合ヱネルギーの影響
Remick iS)法を用い結合エネルギーより反応を支配藤
村
敏
一
する比較活性化Sネルギーを算出して見た。酸の存在 でエステルは第1図の如く共やく酸(1)となつてゐ て、鹸化の律速段階として4径路が考えられる。19)其 の比較活性エネルギ{は共鳴効果、感応効果は無視し て次の如くなる。 + +SR、:a+H。。m=dHc,ll・,。Tv−−dHTe。。一=∠疏酪蜘 ヰ240.9 + 十SR2”d+Hcom =4Hc+O−dHc+0−=:一(240㌧9 −Z))一(−240.9)=:1) キ+SCO、♪d+He。m=dHc,u_o−soiv+ d Hc +.o 一一 一 li E’ g+C− =d HceU_o−solv−240.9十240.9 十334.4:=334・4十d、HeeU −soTv キ +SC 02’d+He。m ・dHc+O_+dHc+C_− 4硯+O−一岨}{+O−一=O DはdHc十〇と∠Hc十〇の差で正と考えちれ、溶媒 和熱∠1五θ〃o・solは負で絶丸値は結合エネルギe・一・より 小と見られ、+8・・2,+S・。1は転移状態で共鳴が起る 故、活性エネルギ{は十Sco2,十SR2,十 Seel,十SRiの 順に大となり、+SCO2機構が最も起り易いと見られ る。 隣接する置換アセチル基は一〇−C−C−O−一を隔 ててゐるので共鳴は起らず感応効果のみを考えればよ い。十 Scov.反応はカチナノイド置換でアセチル差は十 効果を有してゐる故、抑制的に働き置換度が低下する と作用が減り、反応は次第に速くなるが、其の距離が 大きく効果は弱いと考えられる。むしろ第一、第ニア ルコールの差の方が大きく、キシランでは反応が遅い と見られる。又低分子エステルと酢酸繊維素の鹸化反 応の活性エネルーの実測値が略等しいこと2)も此の効 果が弱いことを示してゐる。分子の立体構造の影響
llermans20)の分子模型にアセチル基を入れて相互 の立体障害を見ると第2図の如くなる。ピラノース環 を含む面内に於て各結合軸の回転によ1り最も近づいた 位置で、右より2−3,2−6,3−6,の干渉を示したも ので、何れも重なり回転は制限されてゐる。ピラノース 環に最もi近い輌の回転により最外方の水素の電子雲が 接胴しなくなる迄の角を図上より求めると第1表の如 くなる。環に直結せる結合軸以外の回転及び水素以外 On the Saponif:cation rate◎f CeElulos?Acetate and Pentosan Acetate TosikaZU Huzimura(−44−)
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第 1 図
酢酸繊維素の鹸化経路
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第 2 図
酢酸繊維棄の分子構造と立体障害r
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ノ 山梨大学工学部研究報告第2號 の接鯛を考えず、廻転軸を平行とし、立体角を採らず 平面角を以て示す等の省略を行つたが近似的比較は差 支えないと思はれる。 第一 表 干渉