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誘導形トランジスタ,モータについて 利用統計を見る

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(1)

(昭和39年9月10 H受理)

古屋直臣

溝田孝夫

On the Induction Type Transistor Motor

NaoomiFURUYA TakaoMIZOTA

       Synopsis  ,We have known that a small capacity d. c頭chine is convenient for the portable use, but, have been troubled with a failure of commutation.   Recently, it is promoted a study of a commutator less motor to avoids the above fault, then we have studied a transistor motor of an induction type.      .   Now, we decide to call it as a transistor motor that consists of the transistor inverter and the induction motor which is drived by its inverter.   From the result of several experiments, we have learned that if any spike−killer circuit is not connected to the inverter, a very peak voltage that is called a spike voltage will occur at the instant of switching off of the transistor, so that the spike−killer circuit has to be connected to its terminal, and then the frequency of the inverter depends upon)the applied voltage and the maximum flux density of the core, it decreases slowly according to the load torque increases, and by the use of some spike−killer circuit can achieve the most desirable characteristics on which the maximum efficiency reachs up to 20%, and the load torpue gets up 800 g−cm.

1緒

言  直流電動機には直流電源を必要とするので、可搬用 小形直流機としては電池を電源とした機器が広く用い られている。この場合、直流電動機は巻線形ロ・一タで、 しかも、整流子を備えているので、構造が複雑で、ま た、整流子部分のスパー・クによって雑音が発生し、ブ ラッシや整流子が損耗して寿命が短かく、従って、保 守が煩雑である。  そこで、直流電源のもとで整流子を必要としない、 いわゆる、無整流子電動機の開発が注目されるように なってきた。無整流子電動機としては、ホーノレ効果を 応用したホール電動機、トランジスタ、インバー一タと 同期電動機の組合せによる同期形トランジスタ、モー タ、或は、トランジスタ、インバー一タと誘導電動機の 組合せによる誘導形トランジスタ、モータ、さらに、 水銀整流器、サイラトロン、S. C. Rなどを用いた逆

96

変換装置と同期電動機または誘導電動機を組合せたも のなどがある。  本研究は、トランジスタ2個と、かご形誘導電動機 の固定子巻線との組合せによって、インバTタ回路を 構成させ、直流電源から矩形波交番電圧を発生させて、        ぼ固定子主巻線と補助巻線に印加し回転磁界を作り、か ご形回転子を回転させた誘導形トランジスタ、モr−一タ にっいて、理論的考察とその特性をしらべ、効率のよ いスパイク電圧防止回路を選定することに重点をおい て研究を行ない、ほS・満足すべき結果をえたので報告 する次第である。

2 動作原理

2.1 概  説  誘導形トランジスタ、モータは、トランジスタ、イ ンバータと単相誘導電動機を組合せたものである。す なわち、ステータにコVクタ巻線、ベース巻線および

(2)

補助巻線を設け、コレクタ巻線とベース巻線とは誘導 結合するようにし、この2組の巻線とパワートランジ スタとで弛張発振器を構成させ、直流を短形流交流に 変換する。さらに、始動トルクをあたえ、同時に運転 時のトルクを大きくするためにコレクタ巻線に誘起し た交番電圧を補助巻線とコンデンサを直列に接続した 分相回路に加えて、コンデンサ、モータとして動作を 行なうようにしてある。この場合、U一タはかご形と する。図(1)にトランジスタ、モータの基本回路が示 してある。 コレ?9巻線

 や嚇砿瀧端

Fig.1 Basic circuit of the     tranSIStOr mOtOr.  2.2DC−・AC変換部の動作  DC−一一・AC変換部と補助巻線を除いたかご形誘導電 機の結合された電気回路を表わしたものが図(2)で ● W N 一 ‘1も   ユc,

ァ・降II

陥 旋、 凡,悔一 十・ ∼た Fig.2 DC−AC Converter part ・     and resiStance load. ある。図において、スイッチSを閉ぢると1・1,1・2が 流れる。このときIC1とIC2が全く等しいことはない から、いま、1・1>1・ ・2であったとすれば、各コイノレに は図の向きに電圧が加わる。従って㍉Tr2に0.Y>r〈は・ ベース電位がエミッタ電位より高くなり、T。2はカッ トオフとなる。一方、T。1はべrrス電位がエミッタ電 位より低くなるのでべrt・ス電流Ib1.が流れ、導通状態 となりIc1は増加し、 Tr1は飽和して電源電圧Esが そのまxNeiに加えられる。        、  いま、鉄心のB−H曲線を図(3)の実線のごときも のとし、T・1が導通じた瞬間の鉄心の磁束密度は一B, のa点にあったものとする。巻線N,1にかsる電圧 Vc1と鉄心の磁束密度Bとの間にはv d

8

b烏

1 』 ’ ’ ’ 〆7       ’ γ α ’ 一8ナ

H

Fig.3−B−H Curveて)f’iron core.

   孔・−Ne・・A・票” ’……(・)

 こxに、A:鉄心の断面積  また、NciのインダクタンスLei ’と、これに加わ る電圧Vc 1,流れる電流Ic 1との間には、式(2)の関 係がある。  ’    Vc・ ・P・・−ditl2!c,’   ……(2)  T・、が飽和し、N・1にV・1・が加わっている間は式 (1)および図(3)のa−b直線からわかるように、磁 束密度Bは時間とxもに一定の割合で増加して、鉄心 の飽和点bに達する。,鉄心の飽和領域ではインダクタ ンスは非常に小さくなつて、式(2)からわカ1るように 1・1の増加率は急激に増大する。  Tr1が飽和領域にあるためには、トランジスタの電 流増巾率をβとすれば、式(3)が満足されなければ ならない。、

   1β1・モ1>II・・い.  .……(3)

 そして、1β.Ib・1≒II・11になったとき、 T,、の 飽和は終る。また、べ…三ス電流を小さな値に制御すれ ば、鉄心が飽和に達する以前におkNて、1・i〒β. Iblと なることは可能であ6・いつれにL,r〈も・Tr1の飽和 が終るζ1・1の増加は止まり・N・1に加わる電圧は減 少レ、Nb1の誘起電圧一yb1;も減少し↓Iblが減り、こ 祖こより陣醐少させT・i ,,1ま急激に迦和からカ・ .トオフの状態に移る。]この期間は図(3)のb−cであ って・qrb間の時間に比べて極めて短かい9この間 に磁牢BmからB峠で減少するのでN・・には,T・・ のベースを逆バイアスす6電圧が、N填にはT・2を導 通させる電圧が発生して、今度はT,2が導通状態に入 る。このようにして次の半周期も繰返され∼弛張発振 器を構成し、直流は矩形波交流に変換されるめである。  図(2)忙おいで、コイルの抵抗を無視し’s雷動機の 発生トルクとコイルのリアクタンヌのみを考慮の対象

(3)

として等価回路を描けば図(4)のごとくなる。トラン ジスタの飽和電圧が、電源電圧Esに比べて十分低け れば、エミッターコレクタ間はスイッチとみてよく、 図の等価回路がえられる。 t=oにおいて、鉄心の磁 束密度は一B。にあったとし、T。1が導通を開始した とすれば、Ib1および1,1はそれで次のようになる。 1・・一

E・k.k、÷嘉 一・(4)

1・・一iNrNc1)2・莞+蓋∫14・〒(荒)2・霊+蓋・t       ・・・… (5)

1嶋

Fl9.4 Simplified equivalent circuit     of the transistor motor.  こxに、rb:飽和時のベース抵抗、 Rb:べPス回路  挿入抵抗、Rz:等価負荷抵抗。  図(3)の実線で表わされた角形ヒ’ステリシスをもつ 鉄心にっいて、図(2)の回路における電圧、電流およ び磁束密度の波形を示せば図(5)の実線のようになる。 しかるに、実際に用いられたモータの鉄心は図(3)の 破線で示されるような非線形B−H曲線をもった鉄心 であるから、a−bおよびc−d領域におけるトランジ スタ通電期間の電圧、電流および磁束密度の波形は歪 曲されて図(5)の破線のよラになる6電流にっいて述 べると、T。1が導通状態に入った初期め点a附近では 磁化力は小さく、かっ、△B/△Hが緩やかであるか ら、一定電圧に対しては磁化力が大きくなければなら ず、従って1・1は大になる。また、導通終期のb点に 接近すると磁化力が大となり、かっ、△B/△Hが緩 やかになるので、コイ7レのインダクタンスLctが小さ くなるために1・1は急激に増大する。また、交互にト ランジスタの動作が繰返されるとき、例えば、T。1が 急激にカットオフする瞬間に非常に高いスパイク電圧 が巻線に発生する。そしてこのズパイク電圧でトラン ジスタが破壊されることがあるので、適当なスパイク 防止回路を用いなければならない。  2.3発振周波数 前述のごとく、図(2)でTUが導通した瞬i間t;0 にJ,鉄心の磁束密度が図(3)のB−H曲線のa点、す なわち・一一Brであつたとする。 T・iが完全に飽和状態

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B↑ ’一 ’ ⇔2Es ∨   A @ 〃 @ z‘  4  一

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〆  、グ  、、ク Fig.5 Wave forms of each part in the operating circuit. にあるとき、エミッタ、コvクタ間の電圧降下をVCE とすると、コレクタ巻線N・1に加わる電圧V・1は式 (6)で表わされる。   Vci=・Es−VCE      ・・…・(6)  式(1)から      Vcl   dB=・         ● dt    ’一一一一      Nc,・A^   ,  T。1が導通時にV・1は一定であるとして、これを 積分すれば      Vc1         ・t十k

  B=

    Nc 1・A  t=Oにおいて、B・=−Brであるから、 B=kニーBr   ∴B; Vc 1          ・t−Br        ……(7)      Nci・A  T・1が導通してから磁束密度がBmに達するまでの 時間をTとすると、式(7)から

T−N氏iBm+Br)  ・…ぺ8)

 となる。それ以後Triは急激に遮断されて、その間 磁束密度はBmからB。に僅かに減少するが、前述の ごとくこの期間は瞬間であるので、式(8)で表わされ たTが半周期の時間を表わすものとみて大差はない。 コレクタ巻me Nci, Nc2は全く対称に巻かれているか らT,1とT。2が導通する時間は全く等しい。従つて発 振周波数は次式で与えられる。   fニ⊥=   V・・       ・・・… (9)       2Nc1・A(Bm十Br)     2T −−№?ノトランジスタ、モータを動作させる場合には、 Es》VCEであり、角形ヒステリシス曲線をもつ鉄心

(4)

ではBm≒Brとみなせるので、この場合には発振周 波数は近似的に次のごとくなる。       Es   f=        ……(10)     4NCI・A・Bm  次に、スパイク電圧防止回路としてダイ」t・一一ド2個 用いた図(6)について、補助巻線を回路から外した状 態で、ロP−一タ拘束時と回転時並びに補助巻線を接続し た上で、拘束時と回転時の各場合に対して、各点の電 圧、電流波形を観測したところ大体同一の波形がえら れた。これを図に表わしたものが図(7)である。この うち電流波形についてみると、コレクタ電流1,は図 (5)のIc1(破線)のごとく導通終期において電流の急 峻の立上りはみられず、むしろ電流増加率は減少して いる。このことは、誘導形トランジスタ、モータは電 動機の固定子巻線をDC−AC変換器の出力き線に兼 用しているので、コレクタ巻線およびベース巻線等の 励磁巻線によって形成された磁気回路中には、固定子 と回転子間の空隙が存在するので、鉄心の磁束密度が 飽和するためには普通のDC−AC変換装置た比べて、 ● ㌔ .R 噺宥

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1 −t t l t l l Fig.6 Spike−killer circuit.

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相当大きなアンペアsst・・一ンを必要とすることが考えら れる。この観点に立って、前記の電流波形をみると、 本供試機の場合には鉄心飽和の影響は余り大きくはな いように思われる。  そこで、DC−−AC変換部のスパイク電圧防止回路と して、コレクタ巻線間にダイオードを挿入した図(6) の回路について、べ・・ス電流の流通時間から発振周波 数を求めてみた。T,1が導通下にある期間はこのトラ ンジスタは完全に飽和状態にあるものとし、コレクタ 電流IctおよびべPtス電流Ib1には急激な変化が起ら ないので、図(8)のような等栢回路が書ける。T・1は 飽和領域にあるのであるからRd;。。であって、導通 領域巾tpはコレクタ電流が飽和領域に達し、そこか ら脱するまでの時間とする。 ‘物

轣e

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5えR↓

£L 、  −w Fig.7 ¶

蘭上一≒s

Voltage and current wave forms of each part in Fig.6,  ・Fig.r’8 Equivalent circuit of the transistor      DC−AC convertter part.  一般にトランジスタにはホール蓄積効果があるの       tCベース電流力璽rなってb ・bランジスタはオンの 状態をしばらく続はる性質がある・こO.ことは電磁オ、 ッシロによる波形観測からも明らかである。それ故、 コレクタ電流icが飽和領域を脱して電流増巾率に支 配される領域に入り、β・ibに等しくなるまでの時間 を求めてパルス巾とするよりも、べr・ス電流が零にな るまでの時間を求めて、これにポー1ル蓄積時間を加え てパノレス巾を求める方が、電流増巾率の非直線性など を考慮せず、より正確なものを求めることができる。tt 図(8)め等価醐1こつy,’て∼・i・・i・・i・のラプラス 変換表示をそれぞれ、IC,d’lb㌧ILとして、回路方程式 を求めると次のようになる。   1・+1・−1・一(÷+1)lb,=.・・ ・・・…(・1)   Rb’・lb−S・IL・Ic/n=Vb/S      ^……(12)   (S・Lc十Rc’)lc−S・Lc・Ib/n=Vb/S  ……(13)  一般にトランジスタの諸定数、ベーメ抵抗等は電流、 電圧に対して非直線性をもっているが、こXでは、こ れらを定数として取扱うことにする。 式(11),(12)および(13)よりべPス電流16を求めれ ば式(14)がえられる。 1・−

rさ1器芸、)  ……(・4)

(5)

 こxで、Ai=Lc(n2・Rb’十Rc,)B1=n・Lc(n十1)Vb      A2=n日bRb’・Rc’   B2=n2・Rc’・Vb また、べrス電流の最大値Ib皿ax.は

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早A 、 ・一・・(・5)

そ鱒.・.恒  ・、

1蝉一轟織i ……(・の

        鱒撃w’⑦

 Fig.9 Relafioガ6etween:thee.base『voltage and      b・≡Currentソ吐.』P・w・・t・i−・S,i・t…  使用したパワ}十ラーシジスタの入力特性は図(9)で 示されるパ乙の曲線と負荷特性とからVbmaxっlbmax. が求められるので、ハごの点の抵抗をトランジスタの動 作時におけるベース抵抗として、概算することができ る。  ご’こi’r・g.’1’.1 .’;,:一  ・ 「    《’ 式(14)を解いてべ・・ス電流ib(t)を求めるだめに式 (14)を鑑mぱ.を用いて書きかえると、

一唖歎s論,滋蒼≡・⑯

 ttlli’x’,に、 a・=A2/A1, :lb=B2/B1   . 、、 となり、、;式(1’6)・be逆変換して・ iibC’t) i.を求める’と 適二嚇{;+(1−÷  :’tv:1’i)・−at}三1・…9・て) 或いは、 ,      、、 ip([・)・±・lb__{会三…き+(1一会三{き)ε三会C㌻        ……(i8) となる。 波形観測の結果、ibの通電期間と阻止期間は大体等し いの℃ベース馴が1・m・x・.から、0までの鯛四 周期のY2とみなすζとができる。, そ撫・畑(・・)=0の条件から半周期・・を求めると

次のようになる。  ”

ピ÷}講襟籠≡㊥

 tpが正であるためには、 R,>n・Rb’でなければなら ない。式(19)を図示したものが図(10)である。 Fig・10 111ustrating the time.、 b己se current     ・el・ti・・S 6f・p・w・・t・an・i・t・・.、  繰返じ周波数fはトラジジスタめオンの期間とオフ の期間の和の逆数で与えられゑ 乞個のトランジスタ の組合せによって、オン、オフが繰返されるのである から、牙ジ、オフそれぞれの期間ぽ等しい。このこど は波形観測からも明らかである。 一 それ故、,発振周波数fば二  tt㌧

f≒鑑∴ごt.1……(2・),

となる。 式(19)から明らかな通りS.べ.一一・・」・’}X抗R・’・・R・+rb       P], トソ  i  ’tシヰ   モ が増加すれば式(19)の分子鵜減少するのでtpは減少 し、その結果周波数は増大する;実験の結果と一致し ている。発振周波数fによっ亡生ずる固定子巻線の回

転磁界の速度Nsは、極数をBとすれば次の関係が

ある。      t・’.’Lt t}・ ’t., ∵三・   Ns−1碧f  ’t” tttHr、’……(2・)  そして、回転子は負荷トルクに対応したトルクを発 生するために、回転磁界よりスベリSだけ遅れて回転 するので、回転子の回転数Nは   N=Ns(1−S)         ……(22) で表わされる。 ¶rtt/ ytt

3 スパイク電圧防止回路

 トランジスタがスイッチ、1フじた瞬間に、コレクタ 巻線には逆起電力が誘起し、一この異常電圧によって、 トランジスタが破壊するおそれがあるので、これを軽 減または除去するために、‘一各種の回路を構成させ、お のおのの場合にっいて実験を行なった。  まず、図(6)の回路においては、各々のコレクタ巻 線NciおよびN。2に発生したスパイク電圧をダイオ ードD1およびD’E’で短絡ざせ電圧め上昇を押える方 法である。この場合の各点の電圧、電流波形が図(7) に示してある。図からわかるように、コレクタ巻線に はその畑子電圧が零の期間においても、ダイオードを 流れた短絡電流Idが通じ、その値はかなり大きいの

(6)

で、コレクタ巻線内の銅損の増大をきたし、かっ、電 動機の有効トルクを削減させる結果となるために、本 回路は良好なスパイク防止回路とはいえない。  次に、図(11・a)のごとく、コンデンサと抵抗を並 列に接続し、これとダイオードを直列に結んだスパイ ク防止回路について実験を行なったが、この場合Rd によって短絡電流を減少させることはできるが、余り 大きくするとスパイク電圧の除去効果は低くなる。こ れらの抵抗とコンデンサの素子を少くして経済性を高 めるためには、図(11・b)の回路の方が望ましい。こ の場合、Rdの電流容量は図(11・a)の2倍にとらなけ ればならない。電圧、電流波形にっいても観測を行な ったが図面は省略する。  ダイオードとコンデンサによるスパイク防止回路と して図(11・c)の場合は、電源の(+)端子とトランジ [7タのコレクタ電極間にダイ7r・一ドを接続し、さらに 電源をコンデンサでブリッジし、電源の内部インピe ダンスの影響を除くようにした方法である。この方式 ではスパイク電圧は十分には除去できないが、有効ト ルクは図(6)の場合に比べてかなり高まり、効率はよ くなる。  次に、コンデンサのみによるスパイク防止回路とし ては、図(11・d),図(11・e),図(11・f)の各々にっ いて実験を行ない、電圧、電流の波形観測と負荷特性 を求めた。図(11・d)は各々のコvクタ巻線の両端に      皮 Fig.(11・a) Fig.(11・b) Fig.(11・d) Fig,(11・e)   Fig.(11・c)      Fig.(11・f) ・恢ig.”11 Several k・inds of spike−killer      circuit to be tested. コンデンサC1, C2を接続した場合、図(11・e)は各 々のトランジスタのエミッタ、コレクタ間にコンデン サC1, C2を接続した場合、図(11・f)は両トランジ スタのコレクタ間にコンデンサC・を接続した場合で ある。これらの回路のうち経済性からみれば図(11・f) が最も望ましい。これらの各回路のコンデンサの容量 を余り小さくするとスパイク電圧がとれにくい。また 図(11・d),図(11・e)のC,,C2の容量は図(11・f) のCcの約2倍にしないと、図(11・f)のスパイク防 止回路と同程度のスパイクの除去効果をあげることは できない。従って、これら3種の回路のうちでは図 (11・f)の回路を採用するのが良策と考えられる。

4 トランジスタ、インバータの起動回路

 図(2)でスイッチを閉ぢたとき、コレクタ電流1。1 およびIC2が流れ・この時間的変化によってコVクタ 巻線からべrr・ス巻線に電圧が帰還され、ベース電流が 流れて発振が開始されるのであるが、とくに、図(11・ d・e・f)に示されたコンデンサのみによるスパイク 防止回路を用いた場合などには、発振が起らないこと がある。これはスイッチSを投入した瞬間は、Ic1∼ 1。2・・i。が小さいために鉄心内の磁束が少なく、ベー ス巻線に誘起する電圧が微小で、図(9)のVb。以下 となるからである。それ故、確実にSを閉ぢた瞬間に 振動を励起させるためには、ベース電流を流してやる 必要がある。それには図(12)の回路を用いればよい。 7 D 万 ら繍 祉1。。。O     oo      o 潤@     o R ㌃ 梶。。°

Fig.12 Starting circuit of condenser type transistor inverter. すなわち、この回路ではSを閉ぢれば、エミッタ、べ r’一一X、べt−一ス巻線、さらにRを通じて電流が流れる。 一且起動した後は、べPス巻線に誘起した電圧はz“イ .’堰E一一ドDを順方向にバイアスするので、ベースを流れ る電流は殆んどDを通って流れる。一一部の電流はRを 通って流れるので、抵抗中での電力消費を軽減するた めには、振動が励起する限界内でRはなるべく大きい 方が効率の上から好ましい。

 5い実験結果

5r1無負荷試験

電源電圧を変化させて、各部の電流、発振周波数お

(7)

よび回転数を測定した。発振周波数はシンクロスコー プで波形を観測し、その周期から基本波の値を算出す る。前述の7種のスパイク防止回路のうち、図(6)に ついて、Ca=20μF, Rb=0とし、電源電圧を変えた 場合の特性が図(13)に、また、E、=20Vに一定に保 ち、Rbを変えた場合の特性が図(14)に示してある。  その他の各種スパイク防止回路にっいて、無負荷特 7 子㈲

旬巾 1 Fig.13 No−10ad characteristics of the     transistor motor with the spike−     killer circuit(Fig・6,), reference     to the supPlied voltage. 150 ヂ㈱ ち⑭ 5

性を求めたところ、図(6)の場合と殆んど同様の傾向 であるので、こXでは省略する。

 2.2負荷試験

 無負荷試験の場合と同様、前述の7種のスパイク防 止回路について、まず、電源電圧Esとべt−一’ス回路挿 入抵抗Rbを一定に保ち、サテックモータ、トルク計 で無負荷の状態から順次負荷をかけて、負荷トノレクに 対する各部の電流、発振周波数、回転数を測定し、次 に、電源電圧を変えて各電圧に対する最大トノレク時の 回転数、発振周波数、各部の電流を測定し、最後に損 失分離を行なった。  スパイク防止回路のうち図(6)について、実験の結 果が図(15)と図(16)に示してある。図(15)は電圧E・ を24Vに一定に保ち、負荷トルクを横軸にして前述 の諸元を示したもので、負荷トノレクが300(g・cm)附近 において効率最大となり、その値は僅かに5.4%にす ぎない。また、図(16)は電源電圧を変えた場合に、負 荷トルクを最大値にとったときの諸元を示したもので ある。このスパイク防止回路は電動機の特性からみれ ば、その他の回路の場合に比べて最も悪い結果がえら れた。  次に、この場合と比較すると、同一の電圧において 最大負荷トルクが2.7倍もとりうるスパイク防止回路 図(11・f)について、同様の実験を行なった結果が図 (17)と図(18)である。

 電圧E、を24Vに一定に保ち、負荷トルクを横軸

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0 担      20      ろ0      40      50      60 Fig.14 No−10ad characteristics of the     trausistor motor with−the spike−     killer circuit(Fig.6), reference     to,the base resistance.

402

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工 t Fig.15 Load’characteristics of the     transistor motor with the spike−     killer circuit(Fig.6), reference     to the load torque.、

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   ● Fig.17 Load characteriStics.of the      tranSistor motor with the spike二      kiUer circuit(Fig.11・f),      reference to the load torque. ivことり諸元を示す図(17)において、負荷トルクが800 <9・cm)附近で最蹴率となり・.その値は・9・5%に達 一している・図(18)は最大負荷トルク時の電源電圧に対 1’キる諸元である。同tの電圧のも2で、これら両者の 4

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8 12 16 20 Is 10 5 Fig.18 Load characteristics of the      transistor motor with the spiker      killer circμit(Fig.11・f),      reference to the supplied voltage. Fig・19 111ustration of the separting losses    ↓ Qf the『two motors・as sh6wn i’n      、Fig.(6)and Fig.(11・f)1 特性の最も大きな相違は一次電流である。前者のスパ イク防止回路では、電動機に制動,トルクとして作用す る電流値が大きく、ζれがために、.一次銅圓ま増ヵ口し 有効トルクの減少をもたらす結果となつているめであ る。  .   ∵      、

(9)

 そこで、損失分離を行ない、機械損、鉄損、一次、 二次銅損と出力とを求め、前述の2種のスパイク防止 回路にっいて、比較を行なったものが図(19)に表わし てある。この結果からみて、両者の損失の比較におい て最も大きな相違は、一・−U(銅損であることが知られる。 そして、後者の方が有効トルクが増すので二次電流が 増加し、二次銅損は僅かに多い。  6一考 ..察 (6.1) 電源電圧と発振周波数の関係、発振周波数は 近似的に式(10)で表わされる。すなわち・f=E・/4N・1 ・A・Bmである。一方、実験結果からみると、無負荷 時で図(20)のごとき関係が示されている。上式でB皿 はヒステリシス曲線における最大磁束密度の点であ り、この値は磁化力Hが変れば図(21)に示すように鉄 心の飽和曲線上を動く。従って図(21)でBのかわりに B皿としても特性曲線は同様の曲線となる。測定の結 果によると、コソクタ巻線に流れる電流は電源電圧に ほx“比例つるから、図(21)のB−H曲線はそのまx Bm’一一一E、曲線を示すものと考えられる。それ故、この 曲線からE、に対してE・/B皿を求めて図示すれば図 (22)のごとくなり、Es−f曲線はEs’一一一Es/B皿曲線と 同様のものとなる。, β クタ電流の関係は図(23)のように、コレクタ電流の増 加にっれて発振周波数は低下するのである。

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o Fig.20 111ustrating the frequency−voltage     relations of the transistor motor. Fig.21 B−H Cu.rve of Fi9.22 111ustrating the ir。nc6re B−Es and Es/Bm− Es relations of the tranSlStOr mOtOr.  次に、電圧Esが一定の場合には発振周波数fは式 (10)に示すごとくBmに反比例つる。実験の結果は図 (15),図(17)に示すごとく、負荷トルクが増大するほ どコVクタ巻線を流れる電流は増加し、周波数とコレ チ   Fig.23 Relations between lhe frequency       and collector currenent of the ’       tranSiStOr m6tOr.  また、発振周波数とベース抵抗との関係については 式(19)からわかるごとく、べe・一’ス抵抗が大になるほど 周波数は高くなることが知られ、実験の結果は図(14) からこのことがいえる。  (6.2) スパイク防止回路と効率、各種のスパイク 防止回路のうち、回路素子数が少なく簡単で、しかも・ 効率のよいものは図(11・f)で、最も悪いものは図(6) である。これらの二っの回路について最高効率と最大 出力を比較してみると、図(6)の回路では約6%,3 (W)であるのに対して、図(11・f)の回路では20%, 9(W)まで高められるので、効率、出力ともに後者は 前者の約3倍である。同一のトランジスタ、モータで スパイク防止回路のみを変え、その他は同一一一一iの条件で 動作されてこれだけの相違が生じたわけであるが、後 老の場合は、単相交流電源で駆動させた通常の小形誘 導電動機と比べても、効率の点で見劣りがするもので はない。  電動機の損失分離の結果から明らかなように、一次 銅損と鉄損が比較的大きいので、この軽減方途として は、制動トルクとして作用する非導通時にコVクタ巻 線を流れる電流をできるだけ低下させ、また,有効な スパイク防止回路の採用と、鉄損のより少ない珪素鋼 板を用いることである。  (6.3)特性、実験の項で述べてあるように図(11・ f)のスパイク防止回路が最良であったので、この回 路について特性を検討してみる。  各部の電流は電源電圧に比例する。回転数は発振周 波数に左右され、電源電圧を6(V)前後に下げると周, 波数が急上昇し、それに対応した発生トルクが得られ ないために電動機は停止してしまう。  次に、図(17)の負荷トルクに対する特性をみるにぶ 負荷トルクが増大するにつれて電動機の発生トルクの 大きくなることが要求される結果、コレクタ電流’16, 従って電源からの流入電流1・.も大きくなる。‘しかる

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に、補助巻線電流1・とべr・一・ス電流Ibはかえって減少 している。その理由として考えられることぱ、補助巻 線電流にっいては、負荷トノレクの増大するにっれて、 発振周波が逓減しているために、その回路に挿入され た20(μA)のコンデンサによるリアクタンスが増加す ることX、負荷トルクの大小によってコVクタ電圧波 形が異なり、補助巻線電流の波形歪が小さくなり基本 波成分の比率が高まるためである。べr−一ス電流にっい ては発振周波数の減少に伴いベース巻線に誘起する電 圧Vbが減少するのが最大の原因である。

7 結  言

 本実験に使用した誘導形トランジスタ、モータは小 形単相モータの固定子と回転子はそのま\利用し、固 定子溝に特殊設計のコレクタ巻線、べ・一・’ス巻線および 補助巻線を施こし、パワr−一’トランジスタ2個と組合せ たものである。  適当なスパイク防止回路を採用することにより、ス パイク電圧を低減させる一方、制動トルクとなる通期 の電流を減少させて実効トルクに寄与する電流分を増 大させれば、効率のよいトランジスタ、モー一 Sがえら れる。  今回は各種のスパイク防止回路にっいて実験を行な い、特性の比較、電圧、電流波形の観測を行なった。 tその結果、負荷トルク800(9・cm),効率20%のもの が得られた。  今後の研究としては、さらに、より高い効率のもの および負荷の変動に伴う回転数変動の少ない特性をも つものの開発に向って行きたいと思う。  本研究を実施するにあたり、電動機を試作していた X“いた原電気株式社の方々、並びに実験に協力された 学生加藤文和、深沢洋介両君に対し、こXに記し深謝 する次第である。        参 考 文 献 (1)C.F.:Wagner:Electrical Fngineering    NOv.1935 (2)C.F. Wagner:Electrical Engineering    Sep.1936 (3)W.Mc Murray, D. P. Shattuck:    Communication and Electronics Nov.1961二 (4)木村、末光、小林:National Technical

   Report第7巻第3号昭36.9

(5) 宮入、常広:電学誌第82巻、第890号    昭73.11 (5) 土屋:電子科学VoL.12 No.41962 ノ t ㎡c)

参照

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