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英語基礎教育法としての「構造分析メソッド」 : 英語の統合基礎力構築から知性の自信回復へ

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(1)

169

英語基礎教育法 としての 「

構造分析 メソッ ド」

:英語の統合基礎力構築か ら知性の自信回復へ

田 村

"The Structure-Analysis Method"

as a Teaching Method for the Basic English:

From the Construction of the Integrated Foundation of English

to the Recovery of Intellectual Self-Confidence

Ryoko Tamura

< 目次 > は じめに Ⅰ.中学、高校 における英文法教育の問題 1.実践的な英語 とは何か ?

2.

Or

a

l

Gr

o

u

p

」と 「

Do

c

u

me

n

tGr

o

u

p

3.

「文法」 とい う科 目の不在 と混乱

4.

「オーラル ・コミュニケーション」 とい う科 目の矛盾

5.

「理解」 を伴 わない英語学習

6.

英語教育法の混乱が まね く学生 自身の知性 についての 自信喪失 Ⅱ.「構造分析 メソッ ド」 とは何か ? 1.構造分析 メソッ ドの成 り立 ち

(2)

170 清泉女学院短期大学研究紀要 (第20号)

2.

構 造分析 メ ソ ッ ドは

Gr

a

mma

r

,

Re

a

di

n

g,

Wr

i

t

i

n

g

の基礎 か ら応用 までの統合 メ ソッ ド

3.

構造分析 メソッ ドか ら見た文法事項の重要度の違い

4.

構造分析 メソッ ドと英和辞書の成 り立 ちの理解

5.

構造分析 メソッ ドが最 も力 を発揮す る複文の解読

6.

習得 した積 み木 を重ねる 「自力」講読訓練

7.

構造分析 メソッ ドは連続 した論理的思考の訓練

8.

知性の回復か ら自信の回復へ :おわ りに

は じめに

最近、中学、高校、 さらに大学、短大の間での 「接続」の問題が取 り上 げ られるよう になって きた。英語 に関 して言 えば、それぞれの教育機関において どの ような教育内容 が、 どの程度 まで、 どの ような全体的計画の もとに教 え られているか、 とい う点 に関 し て、中学、高校、大学 (短大 )の間の相互理解が不十分であることが指摘 されているので ある1。 この ような 「接続」の不十分 さは、学ぶ生徒の側か らすれば、個人の努力ではい かん ともしがたい障害 となって生徒 たちの英語学習の発達の流れを塞 き止める とい う結 果 を引 き起 こしている。本論 は、その ような英語教育の現在が抱 える問題 と、その間題 に対す る-解決策 として提案す る 「構造分析 メソッ ド」 とい う試みについて説明 を試み る。

Ⅰ 中学、高校における英文法教育の問題

1.実践的な英語 とは何 か ? 本学、英語科へ の新入生 に、ア ンケー トな どで、英語力についての 目標、希望 を尋ね る とき、決 まって登場す るのが、「生 きた英語一 実践で使 える- がで きるようにな り 1 「高校英語教育 と大学英語教育の接続 をめ ぐって」信州大学教育 システム研究開発セ ンター、語学 教育 カリキュラム研究開発分野研究報告 (2000年12月)は 「接続の問題」 に焦点 を当てて、 日本 に おける英語教育の分析 を行 っている。

(3)

田村 :英語基礎教育法 としての 「構造分析 メソッ ド」 171 たい」、「英語 を生か した仕事 に就 きたい」 とい う希望である。 「実践で使 える」英語能力 とは現実 には どの ような英語力 を意味す るのか。 ここで、ま ず、英語 を実際の生活 において運用 し、対人間の意思の疎通 を図ることがで きる能力 と い う意味で、「実践的」英語力 を 「英語運用能力」 と名づ けることとす る。「英語運用能 力」 と言 うとき、 まず明 らかにされなければならない ことは、その能力が、 どの ような 種類 の、 どの ような レベルでの コミュニケーシ ョンを可能 にす る ものか とい う点である。 以下 に大変大雑把 ではあるが、それ らの レベルを区別 してみ よう。 (1)英語圏の国へ旅行 に行 って、買い物やホテルでの手続 きが、片言 なが ら、一応、 可能 となる英語運用能力 (2)英語圏の国へ行 って 1、 2週間ホームステイす る際 な どに、衣食住 にまつわる日 常会話 を可能 とす る英語運用能力

(3

)英語の新聞、雑誌 を読み、特定の トピックについて意見 を交換す ることがで きる。 (英語で書かれた)文書、国際e-mailを媒体 とす る職業一般 に就 く、あるいは、英 語圏の国の高校 、大学、大学院を卒業するために必要 な英語運用能力 (4)取 り扱 う英語の文献量が多 く、その文献理解の正確 さが よ り厳 しく要求 され る職 業、 さらに、英語 による文筆業者 として必要 とされる英語運用能力 これ らの どの レベルの英語運用能力の習得 を目指すのか によって、そのために必要 と され る学習方法 は大 きく異 なって くる。 ここで、「大 き く異 なる」 とい うのは、 目的 に よって異 なった種類 の学習方法がある とい うことではない。下の レベルか ら上の レベル に上 るためには、学習量全般が増 える とい う点は もちろんの ことであるが、下の レベル と上の レベルで決定的 に異 なるのは、それぞれの英語運用能力 レベ ルにおいて必要 とさ れる 「文法理解の基礎」である。つ ま り、 よ り高度 な英語運用能力 を目指せば 目指す ほ ど、 より堅固な文法基礎力が必要 となって くるとい うことである。 では、「文法基礎力」 とは何 か。「文法基礎力」 とは 「体系的な文法理解 に基づいた正 確 な読解力 と作文力」 である。多 くの語嚢 を習得す ることも基礎力 に含 まれることは間 違いない。 しか し、体系的な文法理解 に基づいた読解力 と作文力が なければ (

3

)以上 の レベルにおける英語運用能力 をもっ ことは難 しくなる2。

(4)

172 清泉女学院短期大学研究紀要 (第20号) ここで、 この意味での、文法基礎力の有無 を基準 として、上 にあげた4種類の英語運 用能力 を分類 してみると、 レベル (1)、 (2) とレベル (3)、 (4)の大 きく2つのグ ループに分け られることがわかる。 これ らのグループの違いは、前者が英語で書かれた 文献理解 を必ず しも前提 としない、あるいは、前提 として も必要文献の内容 と量が ご く 限 られているのに対 して、後者 は文献理解 を必要条件 として成 り立つ運用能力であると い う点 にある。 この意味で、前者 を 「OralGroup」、後者 を 「DocumentGroup」 と便宜 上名づけることにす る。

2.「OralGroup

「DocumentGroup」

英語圏の国へ旅行 に行 って必要 となる最低必要 なコ ミュニケーシ ョンを可能 とする程 度の英語力があればよいのであれば、「旅行用会話集」な どを購入 し、そこに集め られて い る必要定型句 とそれ らをあ る程度応用 した文 を丸暗記 す れば事足 りる。現在 で は ⅠnformationTechnologyの発達に伴 って

P

C

と適当なソフ トを介在 させ ることによって、 必要定型句 を機械 に発声 させ ることも可能である。英語運用能力 をこの レベルの 目的 を 果たす ことに限って しまえば、一定の語嚢の蓄積 と基本文構造が修飾部 によって複雑化 した複文 を文法的 に正確 に読み解 く能力は必ず しも必要 とはならない。 しか し、国際e-mailを媒体 とす る仕事 に就いた り、アメリカの大学 に正規 に留学 した い、国際会議の通訳 にな りたい、などとい う希望 を抱 く場合、英語で書かれた文章 を文 法的に正確 に読むことが可能であ り、同時 に同程度の英文が書ける能力 は必須条件であ ることは言 うまで もない。 しか し、「実践 に使 える英語」がで きるようにな りたい と希望 す る学生で、ここに述べ た英語の レベルの様 々と、文法基礎力の問題の関連 を理解 して 2 TOEFL,TOEICはアメリカの語学試験専門の機関による、主 に、 レベル (3)以上の英語運用能 力の度合いを測 ることを目的 とする試験であるが、この試験 における文法問題 は、十分 な文法理解 を基礎 にもたなければ歯が立 たない。現在、日本人のTOEFLの平均点は、近隣のアジア諸国 (韓国、 中国、タイ、フィリピン、イン ド、シンガポール)の中で最低である。受験人口が異 なるという点や、 これ らの国々の言語 と英語 との言語学的距離 (差異)を考慮すれば、単純比較は不可能であるにせ よ、 文法の基礎理解力の低下がその主な原因であることは歴然 としている。その反省 として、TOEFL、 TOEICの受験が広 まるこ とによって、大学受験 のためだけではな く、実践英語力 を高めるためにこ そ、英文法の理解が欠かせ ない とい う主張 をもつ文法参考書が次 々 と現れている。TOEFL公式サイ ト(http://www.toemorg/)参照。

(5)

田村 :英語基礎教育法 としての 「構造分析 メソッ ド」 173 いる ものはほ とん どいないのが現状である。 「生 きた英語

「実践英語」 とい う決 ま り文句 は

「生 きていない英語

「実践 に使 えな い英語」 に対 して意味 を持つはずであるが、学生 たちが どの ような英語 を して 「生 きて いない英語

「実践 に使 えない英語」 とみな し、 どの ような英語 を 「生 きた英語

「実践 的英語」 と考 えているのかを探 ってみる と、その共通要素 として挙 げ られて くるのが、 「教室や、机の上で行われる文法の学習、英語文献 の講読 - 生 きていない英語、実 践的でない英語

「対人間の コ ミュニケーシ ョンの実際に運用 される英語

-

生 きた英 語、実践英語」 とい う図式である。平 た く言 えば、他者 に相対 して 「ぺ らぺ らしゃべ る ことがで きる」ことこそが 「生 きた英語

「実践英語」であ り、それに対 して役 に立 たな い英語の筆頭 として上 げられるのが 「英文読解

「英文法」の学習である とい う印象 を持 つ傾向が多いのである。 しか し、実際 には 「ぺ らぺ らしゃべ る英語」 には レベルの差が あ り、(3)以上の レベルでの内容の意思疎通 を可能 にす るには、文法理解 に基づいた英 語文献の講読、つ ま り、「生 きていない」英語 の学習が必要である とい う厳然 たる事実が 存在する。 ペ らぺ しゃべ るだけではな く、 さらに、「英語 を生か した仕事」 に就 きたい と望 めば、 多 くの場合、 (

3

) レベル以上の英語運用能力 を必要 とする ものが多いのは当然 である。 従 って、その ような仕事 に就 くことは、英語文献 を正確 に読み書 きで きる英語力 を身に つけない限 り可能 とはならない。つ ま り、皮 肉なことに、職業 としての英語力 を望 む と い う観点か らも、英文法の理解 を前提 として成 り立つ英語文献の読み書 き、つ ま り、彼 らの言 う 「生 きていない英語」 に時間を費やす必要 は増 して くるのである。 しか し、実際 には、以上の ような英語運用能力 と確 固たる文法理解 を基礎 とした文献 講読力の相互補完性 について理解 している学生 は多 くはない。そ うなれば、 この点 を理 解 しない ことによって起 こる混乱 は英語学習 に関す る問題 を複雑化す る要 因 とな り、 さ らには英語学習 に対する様 々な誤解 を引 き起 こす ことにつながって くる。その ような誤 解が引 き起 こす結果のひとつには英会話教室、英会話の授業、語学留学への過大 な期待 がある。 レベル (1)(2)の英語力取得 を目的 とす るのであれば、英会話教室 の存在意 義 はそれな りに大 きい といえる。 しか し、(3)以上の レベルにおける英語運用能力取得 を可能 とす るためには、口頭での訓練以前 に文法的 に正確 な文献の読み書 き力の取得 と い う前提 を満 たさなければならない。英会話学校 に どれほ どの時間 と金銭 をつ ぎ込 んだ

(6)

174 清泉女学院短期大学研究紀要 (第20号) として も、 また、物理的に身体 を英語圏の国 に運んだ として も、その前提 を満たす こと な しには、 (1) (2)の レベル内での堂 々巡 りが起 こるばか りである。

3.

「文法」 とい う科 目の不在 と混乱 現在 の、中学、高校の現行制度 には、「(英語 )文法」 とい う科 目が存在 しない。

1

9

8

9

3

月に改訂 された高等学校学習指導要領 には 「オーラル・コ ミュニケーシ ョン」 とい う科 目が新設 された。「オーラル ・コ ミュニケーシ ョン」 は、A:日常的な会話能力、 リスニ ング ・ス ピーキ ング初歩

、B:

主 に リスニ ング

、C:

ス ピーチ ・プ レゼ ンテーシ ョ ン ・デ ィス カ ッシ ョン、に分かれてお り、生徒 は

A,

B,

C

の中か ら、最低

2

科 目を選択 履修す ることになっている。この科 目をサポー トす るためにJETプログラムによるネイ テ ィブ ・ス ピーカーがAETとして導入 され、その数 は現在5千人 を超 えている。 これ に伴 って、規在 中等教育 を受 けている生徒のほ とん どはAETに接す る機会が与 えられる ことになった。AETの導入 によって、日常 の学習過程 において英語 を母国語 とする人間 と接触す る経験が可能 となったことは

、1

9

8

0

年代以前 との英語教育 と比較す ると隔世の 感がある。 しか し、文法 に関 して言 えば、英語 Ⅰ、英語 II、Reading、Writingとい う科 目の一部 分 として英語文法 を教 えはす るが、英語文法 を順序立てて、体系的 にまとまった形で理 解 を組 み上げることを目指す「英文法」とい う科 目はこの指導要領 には存在 しない。従 っ て、教 師が体系 だった文法教育 を行お うとすれば、「オーラル・コミュニケーシ ョン」の - コマ を、看板 はその ままで、中味 を 「英文法」 に変更 して行 う他 はない3。 看板が何であろ うと、文法の体系的理解 の必要性 を理解 している教師 によって教育 さ れる機会 を得 る学生 は幸運である。 しか し、学校でその ような教師に出会 う機会 に恵 ま れなければ、塾、予備校 な どの学校外 の教育機関においてその不足が補 われない限 り、 中学、高校 を通 じて、一貫 した文法教育 に接することは困難 になる。現在本学 に入学 し て くる学生の多 くに共通す ることは、 この ような文法不在、あるいは、文法教育の不遇 状態 によって、英語の体系的文法理解が (程度の差 こそあれ)大 きく不足 している とい 3 こ の よ う に 「OralCommunicatlOn」の 科 目 名 で 文 法 を 数 え る こ と は 「オ ラ コ ンG (Oral communicationGrammar)」という通称を得ていると荻野俊哉氏が指摘している。『現代英語教育』 1999年1月号。

(7)

田村 :英語基礎教育法 としての 「構造分析 メソッ ド」 175 う点である。文法の体系的な理解の不足 だけではな く、必要 な文法事項 その もののい く つか、あるいは、多 くが未履修であることにより、中学

1、2

年の レベルの英語 の文献 を読解すること、英語でその レベルの文章 を作成す ることにさえ困難 を覚 える学生が多 いのである。 この ような状態が発生す る原因 として考え られる主 な ものは、現在の中学か ら大学 ま での各 レベルで見 られるの英語教育の方法の混乱 にある と考 えることがで きる4。その中 で、英語文法の習得 に関す る理論の混乱の第 1は 「文法学習無用説」、すなわち、英語 を 第 1言語 とす る文化 圏に住 む幼児が文法 を教 えられな くて も英語が しゃべれるようにな るの と同 じように、中学生以上の年齢 に達 している (日本語 を母国語 とする)学習者で あって も、英文法 を学習せず に英語運用能力が習得が可能である とい う理論 と、その逆 である 「文法必要説」、すなわち、日常生活時間の半分以上 において英語 に浸 される環境 にない限 り、小学校 中学年 を境 として英文法教育 による 日本語 と英語の言語の構造的関 係の学習が必要 となる、 とい う説の間の混乱である。現在の中学、高校 の指導要領 は文 法無用 とまではいかず とも、体系的な文法理解 を軽視す る ものであることは否めない。 その結果 として起 こっていることが、指導要領の矛盾である。

4.

「オーラル ・コミュニケーシ ョン」 とい う科 目の矛盾 高校 の現学習指導要領の中の 「オー ラル ・コミュニケーシ ョン」 の中の

C

」 は 「ス ピーチ ・プレゼ ンテーシ ョン ・デ ィスカ ッシ ョン」であるが、 これは先 に述べ た英語の レベルでは明 らかに (3) に属す るものである。 しか し、「オーラル・コ ミュニケーシ ョ ン」の

AJ「

BJ「

C

」 の中か ら2科 目選択す る際 に

C

」を選ぶ学生が ほ とん どいない現 状5は、「オーラル ・コ ミュニケーシ ョン」 とい う科 目と他の英語の科 目との設定上の相 互関係 について理解が充分でないことによって起 こる矛盾の現 れである と言 えるのでは ないだろうか。つ ま り、「オーラル ・コ ミュニケーシ ョン

C

」 とい う授業 を受けること 4 中学、高校 における英語の学習時間の短縮 によって、文法以外 に も、英語学習の基礎 として習得 が必須であるに もかかわ らず、触れ られない、あるいは、取 り扱 いが不十分 な学習項 目として、筆 記体の読み書 き訓練、単語の音声記号(PhonetlCAlphabet)の習得訓練 な どがあるが、 これ らの項 目 に関する習得不足が引 き起 こす問題は本論では取 り扱わない。 5 「高校英語教育 と大学英語教育の接続 をめ ぐって」 (既出)p.7.

(8)

176 清泉女学 院短期大学研究紀要 (第20号) が可能 になるためには、「オーラル ・コ ミュニケーシ ョン」 とい う科 目の看板の もとに、 「オーラル ・コ ミュニケーシ ョン」ではない (文法 ・講読)授業 を行 う必要が出て くる とい う矛盾である。 この ように混乱 した指導 の中 に、学生 たちを して、中学、高校 で学 んで くる英語が 「生 きていない」 と感ぜ しめる理由の もうひとつにが潜 んでいると筆者 は考 えている。 「オーラル ・コ ミュニケーシ ョン」 とい う科 目の設定 とネイテ イヴ ・スピーカーによる AETの導入がその狙い とす ることは、口頭での実際の 「生 きた」コミュニケーシ ョンの 機会 を授業 に取 り入れることであった。 しか し、その授業 を受けることによって、上 に 述べた (1)の レベルでの英語運用能力の開発は可能 になる ものの、学校 の授業以外の 助 けな しには、それ以上の運用能力の発達 は多 く起 こらない現実 を前 に して、学生たち は、「生 きた英語力」を身につけることを希望 しなが らも、中高で提供 される 「生 きた英 語」の授業が、必ず しも、彼 らの望 む レベルの ものではない と感 じ、不満 を抱 くにいたっ ているのではないか と考 える ものである。

5.

「理解」を伴 わない英語学習 さらに、本学、新入生へのアンケー トに書かれている 「オーラル ・コ ミュニケーシ ョ ン」以外の英語の授業の描写 は、「文法の説明がほとん どない

「単語 を並べ てなん とな く訳 をする

「先生の翻訳 を書 き写 して、その訳 を暗記 して試験 に望む

「文法項 目、構 文 を暗記する」 とい うように、学生たち個 々人の 「英語 とい う言語の成 り立ちを墾堕す 旦」 とい う知性 の働 きが必ず しも伴 わない ものが多い。「教師の訳 を書 き写す

「暗記す る」行為 も、 もちろん、知性の働 きの一部ではある。 しか しなが ら、知性の最 も本来的 働 きは、質問 を発す ることに始 まって、「ひらめ き」を通 じて、与 えられたデー タの中に 理解可能性(intelligibility)を把握す る行為6、つ ま り、英語学習 においては、「なぜ、 こ の英文が 日本語ではこの ような内容の文 になるのか」といった言語の成 り立 ちの 「なぜ」 を理解する行為である。暗記 とい うような行為 は、 この ような知性本来の働 きの補完行 為 としてこそ意味 をなす ものであって、本来的な働 きの代用 はで きない。従 って、「理解

6 詳 細 は拙 論HAStudyoftheHumanCognltlOnalStructureAccordingtoBernard∫.F.Lonergan: AsaPreliminaryAnalysisofaPresuppositionoftheContemporaryChrlStOlogicalQuestions■-本 学 紀要第12号、参照。

(9)

田村 :英語基礎教育法 としての 「構造分析 メソッ ド」 177 す る」 とい う知性本来の働 きが中心 に位置 しない英語学習 は苦痛 を伴 うもの となって く る。 この ような意味で、学校での英語の勉強 を 「生 きていない」 と感 じさせ るのは、す なわち、 自らの知性の本来性が 「生か されていない」学習であることを学生が感知す る 結果のひ とつの表現であると考 えられるのである。 6.英語教育法の混乱がまね く学生 自身の知性 についての 自信喪失 この ような混乱が続 くと、英語がで きるようにな りたい、「生 きた英語

「実践の英語

を学 び、「英語 を使 った職業 に就 きたい」と願いなが ら、文法の基礎理解が不足 している ために、(1)(2)の レベルを脱出で きない状況 に陥る学生 の数が増加す る。その よう な学生 たちにとってみれば、英語学習 はい くら先 に進め どもゴールに届かないベル トコ ンベ アの上 を歩いている状態 に似通った もの となって くる。 しか し、 よ り大 きな問題 となるのは、 この ような混乱が、英語学習 だけにとどまらな い問題 を引 き起 こしていると考 えられる点である。つ ま り、その ような教育方法の混乱 状況 を知 ることのない学生たちが、英語がで きるようにな りたい とい う 「夢」と 「現実」 の禿離状態 を長年経験す ることによって、 自分の英語理解力の不足 の原因を自らの能力 の問題 として捉 え、自信喪失、自己不信、学習不安 といった、「学習」 とい う行為 を行 う 際 に最 も避 けねばならない状態 に陥るとい う問題である。入学当初 に行 うアンケー トの 中で、一人の学生が次の ように述べている。 「私の高校では

、3

年間 を通 じて英文法の授業があ りました。それ にもかかわ らず、私 の文法力 はPlacementTest が示す通 り7、ほ とん ど身 についてい ませ ん。 シ ョックで す。私の頭が悪かったので しょうか

」 (下線 :筆者) 著者が同僚達の協力 を経 て、過去7年間に試みて きた 「構造分析 メソッ ド」 と、 ここ に名づける英語教育法 は、その ような混乱、自信喪失状態 にある学生 たちに、短期 間で、体 系的に文法の基礎 とその基礎 に基づいた読解 と英作文の基本 を習得 させ ることによって、 (3)以上の レベルの英語の運用能力の発達 を可能 とす ること目指す教育法のひ とつの 試み として編み出 して きた ものである。本論 は以下 に、構造分析 メソッ ドについてその 7 平成13年度、4月当初 に本学英語科のBIU-Ⅰ (英文法 Ⅰ,英作文 )の授業で、この学生の成績 は下 か ら10番 目の成績であった。

(10)

178 特徴の解説 を試みる。 清泉女学院短期大学研究紀要 (第20号)

構造分析メ ッソ ド

」 8

とは何か ?

1.構造分析メソッ ドの成 り立 ち 「構造分析 メソッ ド」 A 提示 プロセス ルール (英文法)の理論的説明 B-1 消化 プロセス (1) 構造の分析訓練そのルールに基づいて書 かれている 「基本文」の B-2 消化 プロセス (2) そのルールに基づいた英文の作成訓練 か ら成 り立っている。 「理論的説明」 は もっぱ ら、教員の側か ら与 える部分であ り、学生 はその理論 を理解 し ようと努める。例 えば、文の基本要素 についての説明は以下の ように展開する。 例 : 迦 op

e

n

e

d迦

Windows.

A.

[捷示プロセス]: ルール (英文法)の理論的説明 : 上記の英文 について

、 1

)文

(

s

e

n

t

e

n

c

e

)

には主部 と述部がある

。2)

この文 における 主部は

To

m

であ り、述部 は

o

p

e

n

e

dt

h

eWi

n

d

o

ws

である。 3)述部の中心 をなすのは述 語動詞であ り、英語の場合、述語 は約

5

種類 に分類 される。それぞれの動詞 はその動詞 の後 に くる文の要素の性 質 を決定す る。 4) この文の述語動詞 は 第 3文型の

o

p

e

n

e

d

で あ り、過去の時制 を現すために語尾変化 (

e

d)

している

。5

)第

3

文型の動詞 はその動 詞 によって示 される主部の行為が行為の対象 を必要 とす る。 なぜ なら

o

p

e

n

とい う行為 8 アメ リカの文法教科書では 「ダイアグラム」 と呼 ばれる構造分析が使 われている。かっては、 日 本 において も、高校の英文法、英作文用教科書 として使用 されたHowtoUseBetterEnglish (教育 出版 1956)、原仙作 「英文標準問題精講」 (旺文社 、初版 :1933)な どに用い られているが、最近 のわが国ではほ とんど用い られていない ようである。「構造分析 メソッ ド」 はこれ らの構造分析 を参 考 に発展 させた ものである。

(11)

田村 :英語基礎教育法 としての 「構造分析 メソッ ド」 179 はthewindowsとい う対象物 (object)があっては じめて意味 をなすか らである。 この ように、ルールの理論的説明は、ひとつの文の成 り立 ちの論理の説明であ り、ひ とつの 英文が 「なぜ、その ような意味 をなすか」 の 「なぜ」の解読説明である。理論的説明 に よって、学習者 は、英文 を理解することは、「理 由はわか らないが、なん とな くその よう な意味 になるのではないか」、といったあてず っぽ うの作業ではな く、これ これの理 由に 基づいて、 この ような意味 となる、 とい う明確 な論理 に裏付 け られた作業であることを 理解す るようになる。 先 に述べ たように、人間の知性 は 「なぜ」 とい う質問 を前提 として、その質問 に対す る答えを探 そ うとし、ひ らめ き (insight)を得、そのひ らめ きの内容 を表現化す るこ と によって質問への答 えを得 る。 ひらめ きを得 る以前の状態 は 「わか らない」状態、ひ ら め きの後の状態 は 「わかった」状態 と表現 される。本学の新入生の英語理解 に限定 して みると、英文 を成 り立たせ る文法論理の解説が不十分 なために、学生の頭の中で、英文 の内容が 「わかった」状態 と 「わか らない」状態が非常 に不明瞭であることが観察 され る。つ ま り、理論的解説の不足 によって、英文 を読 んで も、わかった ような、わか らな い ような状態が常態化 しているのである。 この ような状態が続 けば、知性 の本来の流れ が混乱 をきたすのは避け られない。構造分析 メソッ ドにおける徹底 した文法の理論 的解 説 は、学生 に、「わか らない」状態 と 「わかった」状態 を明確 に区別する経験 を繰 り返 さ せ ることによって、知性の本来的働 きに目覚め させ、 どの ような学習が知性の流れ にか なった ものか とい うことを学生 自らが識別す る基礎 を築 くことにつなが るのである。 B- 1 [消化 プロセス 1]:そのル ール に基づいて書 かれている文の構造の分析

(2

)は (1)の理解 を前提 として、その理解 を学生の知性が 自らの もの として消化 し、 同化す るプロセスの第一段 階である。水 泳 に例 えるな らば、 (1)[提示 プロセス ]は 「平泳 ぎの泳 ぎ方 を教室で解説 を受けること」に似 ている。(1)だけでは実際 に平泳 ぎ がで きるようにはならない ことは明白である。実際 に泳げるようになるため には、知性 が理解 した身体 を働かせ る仕組みを実際の水 の中で繰 り返 し練習 し、 さほ ど大 きな困難 を伴 わず とも、学 んだ とお りに動 くことがで きるよう身体 を訓練す る必要がある。それ と同 じように、英語学習の基礎 に関 して も、提示 プロセスだけではな く、消化 プロセス が重要 になって くる。実際、本学の学生 たちの過去 の英語学習 に関す るアンケー トの中

(12)

180 清泉女学 院短期大学研 究紀要 (第20号) に、文法 は 「教 えられた」が 「身についていない」、といった感想がある。 これは、文法 の提示 プロセスはお こなわれた ものの、消化のプロセスの指導が少 なかった結果起 こっ て くる ものである。 これ までの文法書や、文法練習用 テキス トはこの訓練 を目指 して編 まれて きてはいる。 しか し、実際には、提示 された文法解説 を消化するための手引 きが問題 な しとしない と 言わ ざるを得 ない。 ここで、これ まで に存在 した文法解説書 の中に含 まれる練習問題や、 文法練習用テキス トに取 り入れ られて きた消化 プロセス としての練習問題 と構造分析 メ ソッ ドのそれが学習者の理論消化 にどの ような差 を生 むかについて説明 してみ よう。 B- 1- (1):受動的な部分訓練 と能動的全体訓練 次の各文中の ( )内に適当な関係代名詞 を入れ よ。 Thatisthemanto( )Ihandedmyapplicationform.

a

.

は従来の文法参考書の問題文9、b.は同 じ文の構造分析 を問 う問題 と構造分析 メソッ ドの実際の分析記入例である。a.の場合 に要求 される作業 は ( ) とい う一つの部分 に、適当な関係詞 を記入することだけである。一方

、b

.

の場合、関係詞だけでな く、一 つの関係詞の文全体 に対する関係性 を分析することが要求 される。従 って、b.の問いに 答 えるためには、一つの関係詞 とい う 「部分」についての理解 だけでな く、その 「部分」 の 「全体」 に対す る関係性 を理解す ることが必要 になって くる。構造分析 メソッ ドにお 9 「チ ャー ト式 基礎 と研究新英語」 (数研 出版)p.197

(13)

田村 :英語基礎教育法 としての 「構造分析 メソッ ド」 181 いて学習者 は、関係詞 とい う「部分」についての理解 を確実 にす るだけでな く、絶 えず、「部 分」 と 「全体」の相互関係 を把握 しつつ文の全体構造の仕組み を解読す る作業 を繰 り返 す ことによって理論の消化 を重 ねて促 されることになるのである。 理論の理解 を前提 とする 「構造分析 メソッ ド」 とい う訓練 は、従来の文法問題 に慣 れ 親 しんで きた学生の多 くにとって苦痛 を伴 うものの ようである。先ず第一 に、それ まで、 知性の 「理解する」 とい う行為 を中心 においた英語学習経験が少 ない場合、理論 を理解 しようとする行為 自体が大変苦痛 を伴 う作業 となる。 なぜ ならば、知性 は本来、デー タ を得 た時点か ら、そのデー タの中に隠 されている意味 を把握 しようと知性 を働 かせ る。 しか し、語学訓練 とは知性の働 きを伴 わない ものである とい う学習経験 を続 ける と、文 法理解 に知性 を働かせ ることは、全 く新 たな次元での学習 を意味す ることになるか らで ある。その新 たな学習が もた らす痛みは、ち ょうど、ほ とん ど使用 したことのない筋 肉 を動かそ うとす る際 に伴 う痛み と似た もの となる。 しか し、訓練 を継続す ることによっ て、知性 は本来の働 きを取 り戻 し、学生 たちは本来的 に知性 を働かせ る語学学習の醍醐 味 を味わうことが可能 になる。

B-2

[消化 プロセス

2]

:そのル ール に基づいた英文の作成 ルールに基づいた英文の作成 は (2) に述べ た構造分析 メソッ ドの消化 プロセスの第 2ステ ップである。(2)の構造分析が英文の構造 を分析す るのであれば、英作文 は 日本 文の構造分析 である。 日本人学生 にとって、 日本語 は生 まれつ き、 自然 に習得 した第1 言語である。第

1

言語 は 日本語 に限 らず、その習得過程 において文法 を 「理論的 に」理 解する機会は必ず しも必要 とな らない。 したが って、習得す る過程 において文法理解 は 起 こる ものの、理解 した文法 を言語 を用いて理論的に表現 し、 また、 され る機会 はご く 限 られている。 この点、構造分析 メソッ ドと、それを前提 とした英作文は同 じ内容の命 題 を、一つの言語構造か らもう一つの言語構造へ置 き換 える「構造置換」の訓練である10。 構造の置換である限 り、言語構造 についての理解 は置換す る側 の言語 と置換 される言語 の両方が必要 とされる。構造分析 を前提 とした英作文訓練 にとまどい を見せ る学生 は、 10 日本語 と英語で まった く異 なった構造に置 きなお されなければ表現で きない文 については、単純置 換の訓練の後 に取 り扱 っている。

(14)

182 清泉女学 院短期大学研 究紀要 (第20号) 必要であるのは英語の構造分析 だけでな く、 日本語 の構造分析であることを納得するこ とが困難 なケースが多い。 しか し、英語 による作文が、 ひとつの命題の単語 と構造置換 である点がいったん理解 されると、英作文能力は飛躍的に進歩 し始める11。 2.構造分析メソ ッ ドは Grammar,Reading,Writingの基礎 から応用 までの統合 メソッド 従来の文法練習 と 「構造分析 メソッ ド」の違いの次のひとつは、従来の文法練習が、 対象の文法項 目その ものの練習 をめ ざしはするが、その練習対象 はそこで取 り扱 う文法 項 目に限 られて くる とい う点である。それに対 して、構造分析 メソッ ドは、訓練対象の 文法項 目を含んではいるが、同時 に他の文法項 目と様々な レベルでの修飾部 を伴 う実際 の文の講読訓練 を同時に行 うものであるとい う点である。 <従来の文法書 > a Thisboo

k

is interes

t

ing. <構造分析 メソッ ド>

b Thebookwhichwassentfrom myfriendinEnglandwassointerestingthatⅠ

bはその基本構造 において aと全 く同 じである。aは第 2文型の基本文、bは第 2文型 の基本文の各要素 に幾種類かの修飾部が組み合わ さっている。aは何 ら修飾部 を持 たな い基本形であるか ら、第2文型の基本 を理解 している限 りにおいて、 これを構造分析す ることは難 しい ことではない。 しか し、bは文の各基本構造の部分 に修飾部が付属 して いるために、この文 において、どの部分か らどの部分 までが、例 えば、「主部」にあたる のか を見極めるには、 どの修飾部が どの基本構造 に付随 しているか とい う分析 を同時に 行 わなければな らない。従 って、bにおいては、動詞が第 2文型の基本文の成 り立 ちだ けでな く、同時 に、以下の (1) - (3) について理解が必要 となる。 ll B-3 [消化 プロセス 3]:文献講読訓練 については後述

(15)

田村 :英語基礎教育法 としての 「構造分析 メソッ ド」 183

1)ThebookwhichwassentfrommyfriendinEnglandにおいてwhich- inEngland はthebookを修飾 している形容詞節である。

2) thatlcouldnotstopreadingituntilmidnightはsoを修飾 す る副詞節 で あ り、 さ らにsoは直後のinterestingを修飾 している副詞である。

3) 従 って、bの文 はThebookwhichwassentfrommyfriendinEnglandが主部 (S)、 wasが 述 語 動 詞 (Ⅴ)、sointerestingthatIcouldnotstopreadingituntilmidnight が wasの補語部 (C)となる。

The (whichwassentfrommyfriendinEngland)

V

2

s

o

i

n

t

e

r

e

s

t

i

n

thatIcouldnotsto

i

t

u

n

t

i

lmidni

3.

構造分析 メソッ ドから見 た文法事項の重要度の違い 構造分析 メソッ ドは基本構造か ら始 ま り、修飾部が増 してい くことによって構造が複 雑 になってい く過程 を簡単 な部分か ら複雑 な部分-順序立ててた どっている。(図

1

参 照)その場合、文法の項 目の重要性、説明の順序 は従来の文法書 におけるそれ とはか な り性質が異 なって くる。従来の文法書 における文法項 目の取 り上 げ方、それ らの並 び と 構造分析訓練 の文法説明の順序 を比較 してみ よう。 (図2 参照)

(16)

184 清 泉女 学 院短期 大学研 究紀 要 (第20号) 【図 1] 品 詞 別 ブロックの種類 - は 「構 造 分 析 メ ソ ッ ド」 にお け る説 明 の順 番 単語 句 k JT-月口 (2語以上のかたまりで

、S

Vの関係がない) (2語以上のかたまりで、

S

Vの関係がある) 塞 ・∵ 6頑

亘二

l

j[

垂画

15接 名詞節 詞 Ⅴ+ing

+

容 詞 2

I

.

l

]僧

1

3

16

T

設 雪盲諾 副

!

'

E

g ヽ と画 画

l4

詞 前+名 to+V V十ing V+ed

[図2]文 法 説 明 項 目 と説 明 順 序 の 比 較 従 来の文法参考書 (例 ) 大学生用文法テキスト(例 ) 構 造分析 メソッド け ヤートJt 北礎とfI軒先 斬英語」 (致研HJ,版) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ll 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

ANewApproachEoCollegeEngllSh

(l†JJ、・:)

一十 ・・・・・ト :説明順 序 の位 置が大 き く異 なる文法項 目の位 置比較

×

:構 造分析 メ ソ ッ ドにお いて は、独 立 した項 目と して は扱 わ ない。

WhyBaste.qPrSthReuISedEdEt110TlJ

2 3 4 5 6 7 8 9 10 ll 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

(17)

田村 :英語基礎教育法 としての 「構造分析 メソッ ド」 185 構造分析 メソッ ドの文法説 明項 目と説 明の順序 は、全体が以下の ような条件 の もとに 組 み立て られている。 (

1

) 「単語」 の種類 ではな く、その単語 を含 んだ 「ま とま り」 の種類 の説明

(2)

基本構造 - 修飾部

(3

) 小 さな修飾部 - 大 きな修飾部 (単語 一 節)

(

4)

単純 な修飾部 - 複雑 な修飾部 (ひ とつの単語 、部分 が

1

つ」 の役割

-「

2

つ」 の役割)

(5)

類似 した もの、関連 した もの を連続 させ る (6) 理解が容易 - 理解 が困難 例 えば、従来の文法書 においては 「前置詞」 とい う単独 の品詞 の働 きとその種類 を説 明 し、前置詞 を含 む 「まとま り」 はその説 明の中の一部 として取 り扱 われているこ とが 多い。 しか し、構造分析 メソ ッ ドは前置詞 を単独 で取 り扱 うので はな く、「前置詞句」と い う前置詞 を含 む語 の まとま りに説明の中心 をおいている。「名詞節」は従来の文法書 で は 「旬 と節」、「接続詞」に分離 して説明 されているが、構造分析 メソ ッ ドで は 「名詞節

とい う一つの まとま りとして説 明 されている。 構造分析 メソッ ドは英文 を文 の基本構造 (「骨格」)と基本構 造の修飾部 (「肉」)に区 別す る。従 って、文法の説明 は基本構造 (基本) を出発点 として、残 りの部分 は修飾部 の様 々な種類 (修飾) と動詞 の変化 (動詞) に区別 される。修飾部 は 「形容詞系」修飾 部 と 「副詞系」修飾部 に分 け られ、単純 な修飾部か ら複雑 な修飾部へ と説 明が発展 して い く。従来の文法書 では名詞 の種類、冠詞 、動詞 の時制、助動詞 な どに多 くの説 明が ほ どこされて きたが、構造分析 メソッ ドにおいては名詞 (単語)の種類 、冠詞 、は一つの 項 目として取 り上 げ られることはない。 なぜ な らば、い くつかの異 なる性 質の語が組 み 合 わ されて一つの名詞 と見 な される 「名詞句」、「名詞節」 の理解 の方が単語 の レベ ルに おける名詞 の種類や、冠詞 の有無 を理解す ることよ りも先決すべ き問題 だか らであ る。 従来の文法書 では、 3種類 (名詞用法、形容詞用法、副詞用法)の不定詞 はひ とつの 項 目の元 に一括 して取 り扱 われているが、構 造分析 メソッ ドで は上 の条件 の もとにそれ ぞれの不定詞 の理解 の難易度別 に分離 して (14、21、22)取 り扱 われてい る。

(18)

186 清泉女学 院短期大学研 究紀 要 (第20号) さらに、動名詞 と不定詞の名詞用法、副詞節 と名詞節 は、それぞれの構造上の特徴が 大変 よ く類似 している。 また、名詞節、不定詞の名詞用法 とIT構 文はそれぞれが連続 して学習 されることによって理解が容易 になる項 目であるため、連続 して取 り扱 われて いる。 これは、た とえれば、ジグソーパズルにおいて、ひとつの ピースの位置が見出さ れたな らば、その ピースに連続 しているピースを探す ことが、完成への早道 になるの と に似 ている。 この点、従来の文法の教科書 はひ とつ ひとつの ピースをそれぞれの 「連続 性」 とい う観点か ら編 まれている ものが少 ない。 一言でいえば、構造分析 メソッ ドの文法説明は徹頭徹尾、学習者の知性の発達のプロ セスに沿 って、学習者の理解 をいか にスムーズに発達 させ ることがで きるか、 また、い か に体系的にひ とつの全体 として完成 させ ることがで きるかを鍵 として組み立て られて いる。 なぜ、それ らの点が鍵 になるか とい う点は、ジグソーパズルが容易 な部分か ら始 め られて、関連 した部分 を発展 させ ることによって難 しい部分へ と進み、 また、全体が 完成 しては じめてその 目的が果たせ るとい うことと類似 していると言 える。 4.構造分析 メソ ッ ドと英和辞書の成 り立 ちの理解 構造分析 メソッ ドを始める際、学生 たちが取 り組 まなければならない付随問題 は英和 辞書の引 き方 (使用方法 )である。辞書 を引 く際 に多 くの学生が、そ もそ も、英和辞典が どの ように成 り立 っているかを理解 していない。 しか し、 この点 についての理解が得 ら れれば、英和辞書が構造分析訓練のためにどれほ ど役 に立つ道具であるか とい うことが わかって くる12。 (1) ひとつの単語が多 くの品詞 英語の大 きな特徴 の一つは、一つの単語が一つの品詞 として使用 されることが少 ない、 12 辞書 の使用方法 に注意 を払 うとい う点で、NewHorizon 2 (東京書籍)に掲載 されている"A FunnyJob"(p.68-73)とい う物語は、ひとつの単語が異 なる意味 を持つ ことによって起 こる勘違いを 題材 として、辞書 を引 く際の注意 を促す ものである。 しか し、この物語で取 り扱われている 「違い」 は、同一の品詞の中で複数の意味 を持つ単語の意味の とり違いであって、異 なる品詞 をもつ語の品 詞の とり間違いではない。文法理解 に とって よ り重要であ り、それゆえに、辞書 を引 く際 に注意 を 促すべ き点は、同一品詞の中のい くつかの意味の違い よ りも、同 じ単語が品詞が異 なるゆえに起 こ る意味の違いのほ うである。

(19)

田村 :英語基礎教育法 としての 「構造分析 メソッ ド」 187 とい う点である。 日本語 において、「類似」とい う単語 は、名詞以外 に使用 されることは ない。「類似」を動詞 として使用 したければ 「類似する」など、名詞 を動詞化す る語句 を 付 け加 えなければな らない。 しか し、英語 は一つの単語が異 なったい くつ もの品詞 とし て使用 され うる。そ して、一つの単語が一つの文 において、 どの品詞 として使用 されて いるか とい うことは、全 て、その単語 と他の単語 との構造上の 「位置」 によって決定 さ れて くる。そ して、使用頻度の高い語であればあるほ ど、 よ り多 くの品詞 として登場す る。従 って、英和辞書 は一つの単語が様 々な品詞 として説明 されてお り、その特徴 を理 解せず しては利用す る価値が半減 して しまう。 ところが、 この ような英語の特徴が説明 されることがないため に、例 えば、likeとい う単語 の意味が不明な際 に、多 くの学生 は、 1ikeとい う単語のす ぐ下 に書かれている日本語相当語句 だけを読み、その意味 を文 中の likeの下 に書 き入れ、その他の意味不 明の語 について も同様 に当てず っぽ うな品詞 の訳 を記入 し、それぞれの単語の下 に記入 した 日本語の単語 を想像 で組 み合わせて文の意味 をこじつけるのである。 この ような辞書の引 き方か ら脱却 させ るために、構造分析 メソッ ドの最初の授業 にお いて以下の ような設問 を設定 している。 間.以下の文 におけるlikeの品詞 を答 えなさい0 1.Ⅰlikethisbook.

2.Shelookslikehermother. 3.Ⅰcannotdoitlikeyoudo.

これ らの文 は同 じ一一like"とい う単語が、構造上の位置 によって、全て品詞 と意味が異 なることを示す例である。それぞれの文 におけるlikeの品詞 は全て、その単語 と前後の 語の構造関係 によって決定 されて くるため、それぞれの文の構造分析がで きない限 り、 その文 におけるlikeの意味 を特定することはで きない。従 って、この設問に答 えるため には、それぞれの文の構造分析 をし、その結果 として、likeのその文 における品詞が類

(20)

188 清泉女学院短期大学研究紀要 (第20号) 推 されること。 さらに、品詞が決定 しては じめて、辞書の中のその品詞の部分 を見るこ とによって意味が確定す ることを理解す る必要がある。 例 えば

、4

の場合 を構造分析す ると、

We

shallneversee his S V3 0 agaln. となる。 この文で判別 しやすい構造 はSとV 3であるが、V 3の 目的語が不明である。 さら に、hisは代名詞の所有格であ り、形容詞の限定用法 と同 じ働 きをす る。以上のこ とか ら、「V3の 目的語 とな り、同時 に、hisの (形容詞的)修飾対象語 となることので きる もの」 という条件 を満 たす もの として、この文 におけるlikeの品詞が 「名詞」であるこ とがわかって くる

「名詞」であることがわかれば辞書のlikeの項 目の中の、「名詞」の 部分 を探 し、名詞の中か ら文脈 に適 した意味 を探せ ばよいわけである。そ して、likeの「名 詞」の覧 にある 「似 た人 (物)、同様 な人 (物)、同類、同輩、」 の中か ら、「同様 な人」 を選べ ば、「我 々は二度 と彼の ような人に会 うことはないだろう」とい う文内容が明 らか になって くる。 この ような 「文構造の理解」- 「単語の品詞の確定」 とい うプロセスを踏む学習経験 がない場合、likeの品詞が何であるかわか らず に、辞書の中に登場す る単語 を適当に拾 っ て文の意味をこ じつけ ようとす ることになる。例 えば、likeの動詞 としての意味の中か ら適当に 「好 む、気 に入 る」を拾い、「我 々は彼が好 むことを見 ることはない」 とい う意 味不明の訳文が登場す る。 従 って、構造分析 メソッ ドの 「辞書の引 き方」 は、単 に、辞書の使い方 を示す とい う ことではな く、「構造分析」- 「品詞の確定」- 「内容の確定」 とい うステ ップの訓練 を す ることを意味す る。 このステ ップの訓練 によって学生達 は、「あてず っぽ うの訳」 と 「確定 した訳」 は全 く異 なる ものであ り、それ らの訳の差がそ もそ も何 に起因するか と い う点 について理解 に達することがで きるようになるのである。

(2

)動詞の種類の識別 辞書の引 き方 に関す る もうひとつの大 きな注 目点は動詞の文型の識別である。英語 に

(21)

田村 :英語基礎教育法 としての 「構造分析 メソッ ド」 189 おいて主要動詞 と考 えられる ものは文型が多様 である。例 えば、makeとい う単語 は動 詞 として使用 される場合、第 1、2、 3、4、 5文型 と全ての文型 を網羅 している。そ して、ひ とつの文 において どの文型の動詞 として使用 されているか とい うことは全 て、 文の他の語 との構造上の関係 で決定 されて くる。文型が決定す るプロセスは、すで に述 べ たように、特定の文 における単語の品詞の確定のプロセス と同 じである。例 えば、 Imade( ). で始 まる文 を想定 した場合、Ⅰが主語,madeが動詞であることは容易 に識別が可能であ るが、madeが果 た して何文型の動詞 として使用 されているかは、( )にどの ような種 類の品詞が続 くかによって決定 されて くる。 ところが、多 くの学生が陥 りがちな誤 りは、 ( )にどの ような種類 の語が続 くか を見ず して、makeの文型 を決定 し、 (多 くの 場合、第3文型 として)「作 る」 とい う訳語 を単語の下 に記入 して しまう。 a.i 嘘 adress. S V3 0 b.土 盛 mvbrother oDenthewindow.

S

V5

0 C a.の例 は、made の後 に続 く語が名詞であることか ら、madeは第3文型の動詞であ ることが理解 されるが、b.の例 はImadeの部分 は同 じであって も、その後 に、名詞 と、 さらに、その名詞 と意味上の 「主一述」 関係 にある原型不定詞が続 いていることを分析 すれば、madeは第5文型の動詞であることが わか り、第5文型のmadeの意味

-に -させ る」 とい う意味が特定 され、その結果、 この文 は 「私 は弟 に窓 を開けさせ た」 と い う内容であることが理解 されて くる。 しか し

「mybrother

と 「openthewindow

の相互関係、 さらにそれ らのmadeとの関係 を分析せず してmadeを第3文型 として決 定 し、第

3

文型の意味の一つである 「作 る」とい う意味 をこ じつけ ようとすれば、「私 は 弟 を窓 を開けるために作 っ

」 とい うような誤訳が生 じることとなる。

(22)

190 清泉女学院短期大学研究紀要 (第 20号)

(

3

)動詞文型分析 と辞書の種類 現在 日本 には様 々な英和辞書が存在するが、以上の点 についての理解 を助 ける とい う 観点か ら見れば、動詞の文型分析の訓練のために有効 な辞書は限 られて くる。一般 に

(

英 和)中辞典」 と呼 ばれる もの中には、動詞の解説 に関 して、次の7種類 に分 け られる。 動詞の文型 に関する説明表記の特徴 (例 :第

5

文型の表示 の仕方makeの第

5

文型 ) 113 「自動詞」 と 「他動詞」 の区別

(

他 )

2

14 「

自」

「他」 の区別 と動詞以後 に続 く単語の並 び [他

] +AB

3

15 「自

「他」 の区別 と動詞以後 に続 く品詞の記号 [他

]

+[名

]

[

形 ]

4

16 「自

「他」の区別と動詞以後に続く文構造要素の記号 [他

]

+(

0)(

C)/

+[目][補 ]

5

17 文型番号 と動詞以後 に続 く単語の並 び 文型

5 +AB

618 文型番号 と動詞以後 に続 く品詞の記号 文型

5

+[名 ][形 ] これ らの種類 は、 1-7の順番で、番号が大 きくなるほ ど、文法 を学ぶ過程で使用す る学習者 に対 して親切 な (learners■friendly)辞書である といえる。 7番 に属す る辞書 は、読者が辞書 を引 くことによって、文中の動詞の文型 を識別する助 け となる説明 を可 能 な限 り盛 り込んである辞書である。逆 に、 1番 に属する辞書 は、文法の基礎 (特 に、 動詞の文型の識別)をすでに理解 している読者 を前提 として作 られた ものであ り、2,3,4 は記号 さえ見れば、文型の識別がで きるようになっている読者が対象 となっている。従 っ て、 もし誤 って、 1-4に属す る辞書 を文型の識別の学習過程 にある学生が使用 した場 合 には、使用す る際 に少 なか らざる困難が伴 うことになる。 しか し、本学 に入学 して くる学生が中学、高校時代 に購入 し、現在使用 している辞書 13 三省堂 「CrownJ 14 学研 「AnchorJ 15 福 武書店 「proceedJ 16 研 究 社 「LightHouse」、研 究 社 「NewCollegiate」、小 学 館 「Learner'sProgressive上 大 修 館 「FreshGenius」、「GeniusJ 17 三省堂 「New Global」、三省堂 「NewCenturyJ 18 小学館 「ProgressiveJ 19 旺文社 「New Sunrise」、「SunriseQuest」、小学館 「Brlght」

(23)

田村 :英語基礎教育法としての 「構造分析メソッド」 191 の多 くは1-4であ り、辞書の使用が本来果たすべ き文法理解の助 けになっていない こ と、あるいは、それ以前 に、文法理解の助 け として使用す るすべ を教 え られず に使用 し て きているのが現状である。

(

4)

「なるべ く辞書 を使用 しない ように」 とい う指導の誤 り 学生 たちへのアンケー トか ら浮かび上が って くる過去の英語学習 の様子の中で驚 くべ きことの一つは、英和辞書 に関 して、「英語で書かれた長文 を読む際 には、なるべ く辞書 に頼 らず に、前後関係で単語の意味 を把握 しなさい」 とい う指導 を受 けている学生が少 なか らず存在する点である。 この ような指導 を何年 にもわたって受 けていれば、学生 た ちが辞書 を使用することに対 して罪悪感、劣等感 を抱 くようになって も不思議ではない。 しか し、英和辞書 を使用せず に英語で書 かれた長文 を読み こなす ことがで きるためには、 文法の理解、その理解 に基づいた文の読解訓練 、一定の基礎単語力 とい う3つの基礎が 前提 となる。そ して、それ らの基礎 を固めるまでは、何千、何万回 とい う頻度で頻繁 に 辞書 を使用する必要がある

「英和辞書 に頼 らず に、意味が不明の単語の意味 を類推で き る」ことは、「辞書が擦 り切れるまで」とい う表現が誇張でないほ どに辞書 を使用 した後 には じめて可能になることである。それに もかかわ らず、それ らの基礎 を身に付 ける訓 練 の途中にある学生が この ような指導 を受 けることは、訓練 の途中で必要不可欠 な道具 を取 り上 げ られることに等 しい と考えざるを得 ない。 以上の ような理由か ら、構造分析 メソッ ドは、メソッ ドの始 ま りに、上 に述べ た よう な辞書の成 り立 ちと、辞書 を使用することの意味、必要性 について解説 を行 っている。 そ して、 この解説 によって多 くの学生 は英和辞書 と 「新 たに」 出会 うとい う体験 をす る のである。

5.

構造分析 メソッ ドが最 も力を発揮する複文の解読 構造分析 メソッ ドが力 を最 も発揮するのは複文の理解 についてである。複文 とは、一 つの文の中に 「主部 一述部」の組み合わせが二組以上登場す る文である。「主部 一述部」 の組み合 わせが二組以上登場す る文 としては 「重文」があるが、「重文」の場合、それぞ れの 「主部 一述部」の組み合わせが構造上絡み合 って存在す ることはない。

(24)

192 清泉女学院短期大学研究紀要 (第20号)

Hei

sho

ne

s

ta

ndIkno

wi

t

.

この文 (重文)において

、Hei

sho

ne

s

t

とい う一つの 「主部 -述部」 と

Ikno

wi

t

とい う 「主部 一述部」 は構造上全 く独立 してお り、二つの独立 した 「主部 一述部」が並 んで いるにす ぎない。

しか し、複文 は

Ⅰkno

wt

ha

thei

sho

ne

s

t

.

とい う例文 に見 られるように

、hei

sho

ne

s

t

とい う従属節の 「主部-述部」 (下図の二重 線の口内)はそれ全体が

、kno

w

とい う

V3

の 目的部 として

、Ik

no

w

とい う主節 (一重 線の口内)の 「主部 一述部」の一部 に組み入れ られている。従 って、 この文の構造分析 を行 う場合、学生 は、二つの 「主部 一述部」の組み合 わせだけでな く、その二つの組み 合わせの 「相互関係」 を把握 しなければならない。構造分析 メソッ ドでは、それぞれの 「主部 一述部」関係 を混乱 させず に、二種類の 「主部 一述部」の関係 を明 らかにす るた めに、それぞれの 「主部 一述部」 に独立 した記号 と括弧 を使用することに している。独 立 した記号 と括弧 を使用す ることによって、 isが Ⅰを主語 とす る動詞であるというよう な混乱 を防 ぐことがで きる。 lJJ=

Ⅰkno

w

S V3

t

ha

thei

s ho

n

e

s

t

ー <接

[

S][

V2

][

C]

>.

S-Vの組み合わせの まとま りを示すために独立 した記号 を使用することは、単純 な複 文 においてほその重要 さが実感 されに くいのであるが、以下の ようなS-Vの組み合 わせ が何重 にも組合 わさった複文 においては、独立記号 と括弧がいかに全体の意味 を把握 を 助 けるかが明 らかになって くる。

(25)

田村 :英語基礎教育法 としての 「構造分析 メソッ ド」 193

0newhoishonestbecausehehasbeentaughtthathonestyisthebestpolicywill probablybecomedishonestwhenhethinksthathonestydoesnotpay.

この文 は主節 に

5

つの従属節が組み合わ さっている文である。文の構造上の要素記号 (S,V,0,C)で上の文 を置 き換 えてみる と、 S S V2 C becauseS V4P thatS V2C 里星∈ when S V3thatS Vl. となる。 しか し、 この ままの状態で、太字、下線 をほ どこ したS-V 2-Cが主節 であ ることを識別す ることは簡単ではない。 この文 をの内容 を正 しく理解するためには、 5 つのS-Vの組み合わせの 「それぞれ」を正確 に把握 し、それぞれのS-Vの組み合 わせ 同 士の 「相互 関連」 を把握 しなければな らない。 (図3) はこの文の主節S-Vと従属節 S-Vのそれぞれ と相互関係 を図式化 した ものである。 【図3]

Ml

who is honest iSHv2i lCi

becausehehasbeentaughtthathonestyisthebestpolicy

[S] [v4P] [0]

willprobably become dishonest

V2 C

whenhethinksthathonestydoesnotpay.

(26)

194 清泉女学 院短期大学研究紀要 (第20号) この図か ら四角 を取 り払 って も、独立記号 を残す ことによって、主節 と従属節の相互 関係 はある程度混乱 な く把握す ることが可能 になる。 S llSH v2tlCt [ because [S] [V4P] [0]

-

(that(S

)

(V2

)

(

C

)]

l v2 C 【when 【S】【V3】【0

≪S≫≪v l

以上の ように、構造分析 メソッ ドとは、文の 「基礎構造」 と基礎構造 を組み立てる要 素 に付加 される 「修飾部分」 を分析理解することによって、複雑 な文の内容 を正確 に把 握す る際 に最 もその力 を発揮す る方法であることがお分か りいただけるだろうか。

6.

習得 した積み木 を重ねる 「自力」講読訓練 構造分析 メソッ ドは文法 を基本文 において説明す るだけでな く、基本構造 に修飾部が 合 わさった文の構造分析訓練 を行 うのであるが、それに加 えて、文法項 目の理解 とい う 積 み木 を手に入れ次第、それ まで に得た積み木のみでで きている文献 を講読す るとい う Readingの作業が加 わって くる20。 英文法のそれぞれのルールを理解す るためには、他の文法要素 をで きるだけ省いた単 純 な文が使用 される点 に関 しては、構造分析 メソッ ドは従来の文法教育 と異 なってはい ない。 しか し、従来の文法教育 は、文法解説のための基本文 を理解 した時点で、その役 割 をいったん終了 して しまい、「文法」と 「英文講読」の授業の間に体系的な関連が存在 しに くい とい う問題がある。それに対 して、構造分析 メソッ ドは、その文法項 目が使用 されている文例 を含む実際の文の講読 を、文法理解訓練 の一環 としてそのプロセスに統 合 している。その統合 を可能 にす るためには、文法理解 に連続 して行われる講読のため の文献 は、それ までに習得 した文法項 目のみで成 り立 っている文でなければな らない。 例 えば、基本文形、形容詞、副詞、 と前置詞句 (形容詞用法、副詞用法) とい う積み木 を手 に入れた時点で、その積 み木 だけで出来上が っている文献 を講読す るのである。 一般 に大学生用のReading用のテキス トは、難易度の差 こそあれ、全ての文法事項 を 理解 しているとい う前提条件で書 かれているものが多い。あるいは、全ての文法項 目と 20 構造分析メソッド、B-3(消化のプロセス3)

(27)

田村 :英語基礎教育法 としての 「構造分析 メソッ ド」 195

いわず とも、未だ学習 していない文法事項 を含 む ものが多い。 これは、大学生用のテキ ス トばか りではな く、中学生用の英語の教科書 にもすでに見 られることである。例 えば、 現在使用 されている中学校英語 のひ とつのテキス ト21は関係代 名詞という概念を説 明する 以前に、以下のような、関係代名詞が省略されている文を含んでいる。

Oh,

t

he

y'

r

et

h

egr

o

u

pIl

o

v

et

hemo

s

t

.

この文 を学生 に理解 させ るにあたって、教師は、関係詞 とい う概念 を説明す ることな く、その概念の理解 を前提 として可能 となる関係詞の省略 された文の成 り立 ちを説明 し なければならない。大学生用の講読テキス トとなれば、当然、全 ての文法事項 を理解 し ていることを前提 として書かれている ものがほ とんどであるか ら、文法の履修過程 にあ る学習者がその ようなテキス トを使用すれば、一段落 を講読す る過程で、未修得の文法 事項が登場するたびに講読訓練 は立ち止 まって しまい、それ らの文法項 目の説明 を教師 か ら受けなければ進めない とい う事態 を招 く。そ うなれば、講読の授業 は文法の授業 と 化 し、教師は、学習者が未習得の文法項 目を、それ らが登場す る順 に、系統 だてること な く説明するか、あるいは、必要 な文法説明を省略 して文の内容理解が不十分 なまま進 めて しまう他 とる道はな くなって くる。その結果 として、学習者 は、文献講読 は 「あい まいな」 もの、教師による解読 な くしては不可能であるとい う印象 を抱 くものが増 える ことになるのである。 この点、構造分析 メソッ ドの一部 としての文献講読 は、文法説明 順 に従 って、い くつかの文法項 目の理解 のステ ップを経 るたびに、それ までの文法項 目 のみで成 り立 っている文章- 例 えば、文の要素 と基本構造、前置詞句 を説明 した時点 で、 これ らの要素のみで成 り立つ文章- を選 んで、講読 させ る ものである。 この講読 訓練 によって、学習者 は、文法理解が、実際の文章の講読作業 と密接 に関連 しているこ とを理解 し、それまでのルールが理解で きていれば、その理解 を武器 として、教 師の助 けな しに、 自らの力で、 どの ような文献 をもいちお う読み こなせ る とい う経験 を重 ねる ことがで きるのである。 この意味で、構造分析 メソッ ドは、高校 、大学受験 のために学 習 はするが、従来の 「実際の文献の講読」 とは切 り離 された 「文法」理解ではな く、「講 21 "NewHorizon3"(東京書籍、平成4年)p.45.

(28)

196 清泉女学院短期大学研究紀要 (第20号) 読」 と統合 された 「文法」理解 を目指す ことによって、「無味乾燥」の文法学習 とい う印 象 を 「実践英語の基礎 として欠かす ことので きない基礎」学習である とい う理解 に転換 する効果 をもた らす ことがで きるのである。

7.

構造分析 メソッ ドは連続 した論理的思考の訓練 構造分析 メソッ ドに基づ く学習 は英語理解の基礎訓練であるばか りでな く、学習者 の 論理的思考の訓練 とな′る。言語 は一定の論理 (logic)をもって組み立て られている。英 文法 はその論理の基本 を説明する ものであるが、構造分析 メソッ ドは、基本だけでな く、 その基本の上 に組み立て られた応用文のlogicをも解読す る訓練である。従 って、学習 者 は構造分析 メソッ ドの

A-B-3

のプロセスを、最低週

2

回の授業 と、そのための 自 主学習 において、繰 り返 した どることによって、英語 とい う語学の学習 と同時 に、論理 的思考訓練 を積み重 ねることが可能 となる。そ して、論理的思考訓練 を重ねることは中 学、高校 は もちろんの こと、大学 における教育 をよ り充実 した もの とさせ るために欠 く ことがで きない基礎 となる。先 に述べ たように、現在の中学、高校 の英語教育 は、その 接続 と体系的理論説明の不十分 さを考 えるとき、学習者の論理的思考力 を高める助 けに なっているとは言いがたい ものがある。すでに述べ た ように、本学 に入学す る学生の多 くが英語学習 とは 「暗記する もの

「教師の翻訳 を書 き写す もの」であ り

、「

(

全体像のつ かめない)わけのわか らない もの」、一言で言 えば

「理解す る行為」 とは無関係 な もの である、 といった印象 を持 っている。構造分析 メソッ ドは、 この ような学生たちに対 し て、言語の習得 はその言語の成 り立つ理論 を 「理解す ること」が第一であ り、「理解」が あって初めて、その他の言語習得の要素 を積み上げることが可能 になること、また、「理 解」 を積 み重ねる経験 は自らの知性 を育てるプロセスその ものであること、生涯にわた るすべ ての学習 は 「理解力」 を培 われた知性があってこそ可能 となる、 とい うことを訓 練の経験 を通 じて知 らしめることを可能 とす るのである。

8.

知性の回復 から自信の回復へ :おわ りに 構造分析 メソッ ドを使用 して本学の英語科の一年生 を指導 して7年が経つ。 この間、 この メソッ ドで学習 した学生 たちにどの ような変化が起 こったか といえば、第- に、英 文法 とい うジグソーパズルがば らば ら、あるいは、 ピースが全てそろっていない状態 に

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