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保育士資格取得者に関する障がい児保育の専門性についての研究(2)A市の公立保育所に勤務する保育士がかつて担当したことがある障がいについて

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問題と目的  保育士養成校における障がい児保育の授業内容につい て,理論的なものから実践的なものまで,かつ多領域に わたる内容で構成されており,授業者の意図や自身の保 有する専門性に応じて特定の内容を選択して授業を構成 されている(真鍋 2009)(1).特別な支援を要する園児 は多くの幼稚園や保育現場に在籍しており,指定保育士 養成施設を卒業した学生が将来,保育士資格を生かして 就職した際,障がいのある乳児・幼児・児童とかかわる ことは容易に予想される.  また,障がいについて,ある程度の知識理解はあって も,実際のかかわりの中で不安を抱くこともあり,授業 で特に学びたいことについては,コミュニケーションの とり方,症状,生活援助全般である(脇 2009)(2)との 結果が導き出されていることから,多くの保育士は,障 がいのある子どもとかかわる際の不安要素は,知識だけ ではないということが導き出されている.  また,実習で発達障がい児とかかわる上で,多くの学 生がコミュニケーションのとり方や自らの知識,生活援 助全般や他の園児への対応について不安を抱いている (脇 2009)(3)ということから,実習でも障がいのある子 どもとのかかわりを持つということがあり,その対応に 不安を抱いているということがわかる.  これらのことから,保育士養成校では,障がい児保育 の授業内で,障がいのある子どもに関しての学習を深め ているにもかかわらず,大学での学習は果たして現場に 対応できるものであるかということに疑問を抱いた.  松山(2010)(4)は,発達障がいのある幼児に対して, 保育所において適切な保育が行われることが求められる pp.23 − 28

原 著

保育士資格取得者に関する障がい児保育の専門性についての研究②

−A市の公立保育所に勤務する保育士がかつて担当したことがある障がいについて−

A study of specialty when the nursery teachers take care of Developmental Handicapped Child ②

− About the Handicapped that has been accepted before in nursery teachers works for public day-care center in A city −

松尾 寛子

要約:現場で働く保育士が,障がいのある乳児・幼児・児童を担当する際,自らの保育の技術や知識に悩み, 試行錯誤を繰り返しながら保育を行っているということは以前からいわれていることではある.  しかし授業として開講されている演習「障がい児保育」の内容だけでは,多岐にわたる障がいをとうて い網羅することはできないため,保育士が悩みながら保育を実施しているということは予想されることで はある.  そこで,演習「障がい児保育」の授業内容について,保育士養成校出身者が現場で保育士として働くよ うになった際,障がいのある乳児・幼児・児童を保育・教育するにあたり,自らの保育の技術や知識の基 礎的な能力について,試行錯誤するのではなく,明確な知識と対応をもつことができるのかについて,い かに効率よく,授業内で教授していくかということを探ることを最終目的とするために,2010 年にA市に おいて障がいのある子どもを保育することに関するアンケート調査を実施した.本研究ではかつて担当し たクラスに障がいのある子はいたかどうか,どのような障がいのある子どもがいたのかに限定し考察した.  その結果,かつて担当したクラスの中に障がいのある子どもはいなかったと回答した保育士は 121 名中 16 名(13.2%)おり,いなかったと回答した保育士のうち,5年未満の保育士のしめる割合は 12 名(75.0%) であった.保育の経験年数を経過するにつれて,多くの保育士が,障がいのある子どもの保育を経験する ということ,30 年以上保育を経験しても,障がいのある子どもを担当することがない場合もあるというこ とが明らかになった. Key Words:障がい児保育,統合保育,保育士,実態調査         2011 年 11 月 30 日受付/ 2012 年1月 18 日受理 Hiroko MATSUO 関西福祉大学 社会福祉学部

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社会福祉学部研究紀要 第15巻第2号 24 と述べており,発達障がい児は集団保育の中で,他者と のコミュニケーションを適切にとることができないこと や,言語理解等の認知能力に関する障がいがあることが 問題視されるため,保育士は発達障がいのある子どもと のコミュニケーションを,さまざまなことに留意しなが らとっており,その際,子どもの認知能力の程度を把握 しておくことが不可欠となると述べている.  松尾(2011)(5)は,A市の障がい児の受け入れ状況に 着目して,実態を明らかにした.そこでは,2010 年8月 現在,担当クラスに障がいのある子がいると回答した保 育士は 24.0%,障がいの疑いがあると回答した保育士は 0.8%いた.受け入れているクラスの子どもの障がいにつ いては,知的障がいが 38%,自閉症が 31%を占めており, 中村(2003)(6)の「障害幼児の内訳」と同様に,保育所 にて受け入れている上位2つの障がい名と同じであった.  また,松尾(2009)(7)の結果より,保育士養成校に 入学してくる学生自身がかかわった障がい児の中で,自 閉症児,ダウン症児,知的障がい児が上位に挙がり,さ らに知っている障がい名のうち,上位3つのうちに,知 的障がいと自閉症は含まれていた.  このことより,現在保育所に在籍している,支援を要す る子どもだけではなく,保育士がどのような障がいに多く 直面しているのかを知ることによって,障がい児保育の授 業内で,取り上げなければならない障がいがあると考えた.  本研究においては,2010 年にA市公立保育所に勤務 する先生方に対して,アンケート調査を実施したものの 中から,かつて担当したクラスに障がいのある子はいた かどうか,どのような障がいのある子どもがいたのかに 限定し考察した. 1.先行研究概観  松尾(2010)(8)によると,A市の保育士 121 名のう ち,クラスの中に障がいのある子どもがいると回答した のは 29 名(24.0%),クラスの中に障がいのある子ども はいないと回答したのは 69 名(57.0%),そのうち1名 (0.8%)は障がいの疑いあり,と回答していた.回答無 しは 23 名(19.0%)だった.  担当している子どもの障がい種別について,121 名中 ①知的障がい(軽度・中等度・重度)については,11 名, ②ダウン症については2名,③アスペルガー症候群につ いては2名,④自閉症については9名,⑤視覚障がいに ついては0名,⑥聴覚障がいについては0名,⑦脳性ま ひについては2名,⑧ADHDについては4名,⑨その 他については6名が担当していた.  また,現場で働く保育士の不安を考えると,保育士養 成校では授業内容をいかに充実させるかということ,保 育現場で働く保育士へは,現職にありながら研修に出か ける機会を多く設けられるようなシステム作りをしてい くことが,早急な課題だと述べている.さらに,その研 修内容も,より多くの障がいに対する知識や保育方法を 獲得できるように,障がい特性を学べる研修や,あそび に関する研修,他児とのかかわりに関する研修,保護者 支援に対する研修など,保育者による障がいに対する水 準のボトムアップがはかられるようなものを多く盛り込 む必要があると述べている.  松山(2007)(9)は,軽度発達障がい児の保育経験の 有無による,軽度発達障がい児とのコミュニケーション に対する認識の違いについて検討した.その中でも,有 効回答 371 名中,軽度発達障がい児の保育経験があるも の 271 名(73.0%),経験がないもの 100 名(27.0%)で あり,保育経験年数が5年未満の保育士は,発達障がい 児の保育経験無しは 11.9%,5年以上 10 年未満の保育 士は 7.0%,10 年以上 20 年未満の保育士は 5.1%,20 年 以上 30 年未満は 1.3%,30 年以上は 1.6%とあり,年数 を経過するにつれ,多くの保育士が,軽度発達障がい児 の保育経験を有することが読み取れる.  寺田ら(2008)(10)は知的障がい者入所更生施設で実習 を行った学生に対し,アンケート調査を実施している. これによると,実習前と実習後の施設のイメージについ て,上昇した学生は 95%おり,実習後,施設への就職を 希望する学生は 60%いた.また,実習中つらかったこと として高い割合を示したのが,「利用児者とのコミュニ ケーション」で 37%おり,「ノンバーバルコミュニケーショ ンを学ぶことが重要ではないかと考える」と述べている.  山本ら(2002)(11)は,全国 136 か所の保育園に対し調 査依頼を行った.「保育士に障がい児保育に関する専門性 は必要だと思われますか」という質問では 95.3%の人が 「専門性を必要とする」と回答している.また,保育士養 成に不足している障がい児保育の専門的教育については, 「障がい児固有の発達特徴」が 82.2%,親や家族への支 援が 78.3%,障がい児への特別な保育技能 69.0%,障が い児に対する医療的ケアが 58.1%が上位に挙がっていた.  自由回答では,「個々の子どもたちの発達段階を明ら かにできる保育力の養成を」「いろいろな場面に柔軟に 対応できる保育力の養成を」「障がい児保育にかかわる 高い専門的教育を」「家族・地域社会・他の職域と連携

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保育士資格取得者に関する障がい児保育の専門性についての研究②     −A市の公立保育所に勤務する保育士がかつて担当したことがある障がいについて− する力の要請を」「保育士を目指す学生自身の人生観・ 価値観を」という領域で回答を得ていた.  障がいのある子どもの在籍について,国公立の幼稚園 では 50.0%,私立の幼稚園では 66.8%,公営の保育所で は 78.7%,私営の保育所では 65.4%である(Benesse 次 世代育成研究所)(12)という結果もあった.  これら5つの先行研究より,現在保育所では,約4人 に1人の保育士が,障がいのある子どもとかかわってい るという現実が見えてくると同時に,発達障がい児を保 育した経験のある保育士は4人に3人いるということ, 官民おしなべて 70% 以上の保育所で,障がいのある子 どもが在籍しているという事実がわかった.また,保育 士養成校に在籍する学生は,障がいのある人とかかわる ことにより,実習前よりイメージが上昇する人が多く, かかわりを持つ中で,ノンバーバルコミュニケーション を学ぶことの重要性を感じるようになるということ,保 育士は障がいについての専門性を必要とするため,保育 士養成校では,「障がい児固有の発達特徴」「親や家族へ の支援」「障がい児への特別な保育技能」「障がい児に対 する医療的ケア」を教授していかなければならないとい うことが浮かび上がってきた. 2.調査の概要  「保育士資格取得者に関する障がい児保育の専門性に ついての研究①」にアンケート実施方法等詳細は述べて いる.2010 年7月 30 日A市公立保育所9園で働く正規 保育士と8時間勤務のパート保育士 121 名にアンケート を実施した.アンケートの内容については,所属,現在 のクラスの状況,過去のクラスの状況,実習の経験等学 生時代のこと,保育士養成校に対する要望についての質 問をした.本研究ではかつて担当したクラスに障がいの ある子はいたかどうか,どのような障がいのある子ども がいたのかに限定し考察した. 3.アンケート結果  松尾(2011)(13)は,A市に勤務する保育士の勤務年 数について Figure 1.のような結果を得ている.  Figure 2.に示しているように,アンケートの結果 より,かつて担当したクラスの中に障がいのある子ども はいたかという項目の中で,いなかったと回答した保育 士 121 名中 16 名(13.2%)いた.記入無しは5名いた. 㧔㧠㧕ࠕࡦࠤ࡯࠻⚿ᨐ 㪌ᐕᧂḩ 㪉㪈㪅㪋㩼 㪌㪄㪈㪇ᐕᧂḩ 㪐㪅㪇㩼 㪈㪇㪄㪈㪌ᐕᧂḩ 㪈㪐㪅㪇㩼 㪈㪌㪄㪉㪇ᐕᧂḩ 㪈㪌㪅㪇㩷㩼 㪉㪇㪄㪉㪌ᐕᧂḩ 㪈㪅㪎㩼 㪉㪌㪄㪊㪇ᐕᧂḩ 㪐㪅㪐㩼 㪊㪇㪄㪊㪌ᐕᧂḩ 㪈㪎㪅㪊㩼 㪊㪌ᐕએ਄ 㪌㪅㪇㩼 ⸥౉䈭䈚 㪈㪅㪍㩼 Figure 1. 㧭Ꮢߢൕോߔࠆ଻⢒჻ߩ଻⢒჻ߣߒߡߩో଻⢒ൕോᐕᢙ 㧔㧠㧕ࠕࡦࠤ࡯࠻⚿ᨐ 㪌ᐕᧂḩ 㪌㪄㪈㪇ᐕᧂḩ 㪈㪇㪄㪈㪌ᐕᧂḩ 㪈㪌㪄㪉㪇ᐕᧂḩ 㪉㪇㪄㪉㪌ᐕᧂḩ 㪉㪌㪄㪊㪇ᐕᧂḩ 㪊㪇㪄㪊㪌ᐕᧂḩ 㪊㪌ᐕએ਄ ⸥౉䈭䈚 Figure 1. 㧭Ꮢߢൕോߔࠆ଻⢒჻ߩ଻⢒჻ߣߒߡߩో଻⢒ൕോᐕᢙFigure 1.A市で勤務する保育士の保育士としての  全保育勤務年数(松尾 2011) いなかったと回答した保育士の全勤務年数については, Figure 3.に示しているように,4か月(1名),5か 月(2名),2年(4名),2年5か月(1名),3年(1 名),3年5か月(1名),4年(2名),10 年(1名), 16 年(1名),30 年(1名),記入無し(1名)であり, 5年未満の保育士のしめる割合は 12 名(75.0%)であっ た.また,かつて担当したクラスの中に障がいのある子 どもはいたと回答したのは 100 名(82.6%)いた.A市 に勤務する保育士の全勤務年数の平均は回答があったも のについては 16.3 年であり,保育士の経験年数によって, 経験年数が浅ければ,障がいのある子どもを担当する機 会が少ないという結果が導き出された.  これは,松山(2007)(14)が導き出した,軽度発達障 がい児の保育経験があるもの 271 名(73.0%),経験が ないもの 100 名(27.0%),保育経験年数が5年未満の 保育士は,発達障がい児の保育経験無しは 11.9%,5年 以上 10 年未満の保育士は 7.0%,10 年以上 20 年未満の 保育士は 5.1%,20 年以上 30 年未満は 1.3%,30 年以上 は 1.6%と,いう結果とよく似たものであった.保育の 経験年数を経過するにつれて,多くの保育士が,障がい のある子どもの保育を経験するということ,30 年以上 保育を経験しても,障がいのある子どもを担当すること がない場合もあるということが明らかになった. ࿁╵ή䈚 㪊㪅㪊䋦 䈇䈭䈎䈦䈢 㪈㪋㪅㪇䋦 䈇䈢 㪏㪉㪅㪍䋦 Figure㧞.߆ߟߡᜂᒰߒߚࠢ࡜ࠬߩਛߦ㓚߇޿ߩ޽ࠆሶߤ߽ߪ޿ߚ߆ 䈇䈢 䈇䈭䈎䈦䈢 ࿁╵ή䈚 Figure㧞.߆ߟߡᜂᒰߒߚࠢ࡜ࠬߩਛߦ㓚߇޿ߩ޽ࠆሶߤ߽ߪ޿ߚ߆ Figure 2.かつて担当したクラスの中に       障がいのある子どもはいたか

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社会福祉学部研究紀要 第15巻第2号 26 㪋䈎᦬ 㪌䈎᦬ 㪉ᐕ 㪉ᐕ㪌䈎᦬ 㪊ᐕ 㪊ᐕ㪌䈎᦬ 㪋ᐕ 㪈㪇ᐕ 㪈㪍ᐕ 㪊㪇ᐕ ࿁╵ή䈚   Figure㧟.߆ߟߡᜂᒰߒߚࠢ࡜ࠬߩਛߦ㓚߇޿ߩ޽ࠆሶߤ߽߇޿ߥ߆ߞߚߣ╵߃ߚ଻⢒ ჻ߩൕോᐕᢙ 㪉ᐕ 㪉㪌㪅㪇㩼 㪋ᐕ 㪈㪉㪅㪌㩼 㪊㪇ᐕ 㪍㪅㪉㩼 㪈㪍ᐕ 㪍㪅㪉㩼 㪈㪇ᐕ 㪍㪅㪉㩼 㪊ᐕ㪌䈎᦬ 㪍㪅㪉㩼 㪊ᐕ 㪍㪅㪉㩼 㪉ᐕ㪌䈎᦬ 㪍㪅㪉㩼 㪋䈎᦬ 㪍㪅㪉㩼 㪌䈎᦬ 㪈㪉㪅㪌㩼 ࿁╵ή䈚 㪍㪅㪉㩼   Figure㧟.߆ߟߡᜂᒰߒߚࠢ࡜ࠬߩਛߦ㓚߇޿ߩ޽ࠆሶߤ߽߇޿ߥ߆ߞߚߣ╵߃ߚ଻⢒ ჻ߩൕോᐕᢙ Figure 3.かつて担当したクラスの中に障がいのある子どもが いなかったと答えた保育士の勤務年数   Figure 4.では,かつて担当した障がい種別につい てについて示している.アンケート内では,①知的障が い(軽度・中等度・重度),②ダウン症,③アスペルガー 症候群,④自閉症,⑤視覚障がい,⑥聴覚障がい,⑦脳 性まひ,⑧ADHD,⑨その他 ,9 項目で回答を求めた. かつて担当したことがある障がいについては ,1 人の保 育士より複数の回答があった.①知的障がい(軽度・中 等度・重度)については ,47 名,②ダウン症については 47 名,③アスペルガー症候群については 36 名,④自閉 症については 70 名,⑤視覚障がいについては6名,⑥ 聴覚障がいについては7名,⑦脳性まひについては 18 名,⑧ADHDについては 27 名,⑨その他については 12 名いた.その他についてはソトス症候群,肢体不自 由児,猫なき症候群,染色体異常,水頭症,二分脊椎, 高機能自閉症,筋ジストロフィー,多動,奇形という回 答があった. ⣖ᕈ䉁䈵 㪈㪏ฬ ⡬ⷡ㓚䈏䈇 㪎ฬ ⷞⷡ㓚䈏䈇 㪍ฬ ⥄㐽∝ 㪎㪇ฬ 䉝䉴䊕䊦䉧䊷∝୥⟲㪊㪍ฬ 䈠䈱ઁ 䉻䉡䊮∝ 㪋㪎ฬ ⍮⊛㓚䈏䈇 㪋㪎ฬ 㪘㪛㪟㪛 㪉㪎ฬ ⍮⊛㓚䈏䈇 䉻䉡䊮∝ 䉝䉴䊕䊦䉧䊷∝୥⟲ ⥄㐽∝ ⷞⷡ㓚䈏䈇 ⡬ⷡ㓚䈏䈇 ⣖ᕈ䉁䈵 㪘㪛㪟㪛 䈠䈱ઁ Figure4.ߤߩࠃ߁ߥ㓚߇޿ߩ޽ࠆሶߤ߽߇޿ߚ߆  㧟㧚⠨ኤ Figure 4.どのような障がいのある子どもがいたか 4.考察  山本ら(2002)(15)の調査でも 95.3%の人が,保育士に 障がい児保育に関する専門性を必要としているという回 答を得ており,保育現場から見る,保育士養成に不足し ている障がい児保育の専門的教育については,障がい児 固有の発達特徴,親や家族への支援,障がい児への特別 な保育技能が上位に挙がっていたところをみると,実際 の保育を実施する際に直面している困難さととらえるこ ともできるだろう.  かつて担当したクラスの中に障がいのある子どもはい たかという質問から,いなかったと回答した保育士は 121 名中 16 名で,全勤務年数が5年未満の保育士は 12 名いた.その一方で 10 年以上の保育士は 10 年(1名), 16 年(1名),30 年(1名)と3名おり,勤務年数が長 くなればなるほど,障がいのある子どもとのかかわりを 持つ機会は多くなるものの,必ずかかわることになると いうことではないということも明らかになった.しかし, かつて担当したクラスの中に障がいのある子どもはいた と回答したのは 100 名(82.6%)いたということは,10 年以上勤務しても,障がいのある子どもを担任すること がないのは 2.5%で,多くの保育士が勤務年数が長くな ればなるほど,障がいのある子どもを担任する機会が増 えるということがわかった.  また,勤務年数が長くなればなるほど,かかわる子ど もの数が多くなるということから,多様な子どもとのか かわりがみられ,その中に障がいのあるこどもも含まれ るということになる.保育士は保育を実施する際に,ク ラス単位の集団を対象とした保育のみならず,一人ひと りの子どもに対しての個別へのかかわり,さらに他児と のかかわり,保護者へのかかわり,地域の子どもとのか かわりなど,業務は多岐にわたっているため,障がいの ある子どもの保育や,障がいのある子どもの保護者との かかわり,障がいのある子どもと他児とのかかわりなど, 障がいのある子どもを取り巻くあらゆることに対する対 応が求められる.  特に乳幼児期の子どもの保護者へのかかわりの中で, 我が子の障がいを認めたくない気持ちに直面することも ある.保育所での実態を話す際の,対応への大変さを実 感している保育士もいるだろう.また,自ら取るべき行 動を獲得しつつある段階の子どもとかかわるため,子ど も自身も年齢による生活経験の浅さから,集団行動を苦 手とする子どももいる.このように,障がいのある子ど もを取り巻くさまざまな対応が求められるのが,保育士 である.  アンケート内で5年以上の保育経験がありながら,障 がいのある子どもとかかわったことがないと回答した保 育士でも,保育の現場においては,担任以外の子どもと かかわる場面や,カンファレンス等を通して全保育士が 特定のケースに関して話し合いの場を持ったり,かかわ り方を考えたりすることがある.障がいのある子どもを

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担任していないからといって,全くかかわりがなかった というわけではないだろう.  30 年以上保育を行ってきて,障がいのある子どもを 担当したことがないという回答もあったが,1年目の保 育士でも,障がいのある子どもを担当することがあると いうことを周知した上で,障がい児保育の授業を展開 していかなければならない.しかし,障がいがあるか ら,障がいがないからという視点で保育を行うのではな く,一人ひとりに応じた保育を行う視点を持つように, 指導内容の中に組み込まなければならないが,山本ら (2002)(16)が行った調査にもあるように,現場で働く保 育士は,障がい児保育に関する専門性は 95.3%の人が必 要だと思っているということ,保育士養成内では,障が い児固有の発達特徴,親や家族への支援,障がい児への 特別な保育技能,障がい児に対する医療的ケアも含めた 授業展開が必要であるということであるため,発達の特 徴だけではなく,保護者への支援や技能も授業ないで盛 り込んでいく必要があるということがわかった.  これらを踏まえて,①知的障がい,②ダウン症,③自 閉症,④アスペルガー症候群,⑤脳性まひが上位に挙がっ ているため,少なくともそれらの障がいに関する発達特 徴,親や家族への支援,保育技能,医療的ケアなどを障 がい児保育の中で盛り込まなければならないということ であるということが導き出された. 付記:本研究を進めるにあたり,さまざまなご協力いた だきましたA市福祉部こども支援局酒井様,井尻様,関 係職員各位,A市の保育士の先生方に感謝申しあげます. (1) 真鍋健(2009)統合保育に関する専門的知識の獲得に関す る研究−授業「障がい児保育」のシラバス分析を通して−. 中国四国教育学会教育学研究紀要第 55 巻.409 − 413 (2) 脇輝美(2009)保育大学生における発達障害児に関する意 識調査.別府大学短期大学部紀要(28)123−131 (3) 脇輝美(2009)保育大学生における発達障害児に関する意 識調査.別府大学短期大学部紀要(28)123−131 (4) 松山郁夫(2010)発達障害のある子どもの支援に必要な知見. 九州生活福祉支援研究会研究論文集 4(1) 27−38 (5) 松尾寛子(2011)保育士資格取得者に関する障がい児保育 の専門性についての研究①−A市の公立保育所における障 がい児の受け入れ状況について−.関西福祉大学 14 巻第 2号.41−46 (6) 中村哲雄(2003)障害幼児の統合保育現場の課題−保育士 へのアンケート調査結果より−.琉球大学教育学部障がい 児教育実践センター.67 − 76 (7) 松尾寛子(2009)保育士養成校における学生の学習に対す る意識調査−演習「障害児保育」の授業への取り組みを中 心に−.関西国際大学第 10 号.209 − 216 (8) 松尾寛子(2009)保育士養成校における学生の学習に対す る意識調査−演習「障害児保育」の授業への取り組みを中 心に−.関西国際大学第 10 号.209 − 216 (9) 松山 郁夫(2007)軽度発達障害児とのコミュニケーショ ンに対する保育所の保育士の認識.日本福祉大学社会福祉 学会 福祉研究(96)51 − 60 (10) 寺田博行,大野地平,海老江康二,宮本茂樹(2008)保育 士養成における施設養護実習の現状と課題−知的障がい者 入所更生施設での実習から−.聖徳の教え育む技法 (3). 125 − 136 (11) 山本敏貢,鴨井慶雄,新見俊昌,広川律子,竹内進,山崎 由紀子,吉葉研司,寺岡福子(2002)『障がい児保育に対 応できる保育士養成に向けてのアンケート調査』結果報告 書.大阪千代田短期大学紀要(31)113 − 134 (12) Benesse 次世代育成研究所(2009)「第1回幼児教育・保 育についての基本調査報告書幼稚園編・保育所編」.研究 所報 VOL. 4. ベネッセコーポレーション (13) 松尾寛子(2011)保育士資格取得者に関する障がい児保育 の専門性についての研究①−A市の公立保育所における障 がい児の受け入れ状況について−.関西福祉大学第 14 巻 第2号.41 − 46 (14) 松山郁夫(2007)軽度発達障害児とのコミュニケーション に対する保育所の保育士の認識.日本福祉大学社会福祉学 会 福祉研究(96)51 − 60 (15) 山本敏貢,鴨井慶雄,新見俊昌,広川律子,竹内進,山崎 由紀子,吉葉研司,寺岡福子(2002)『障がい児保育に対 応できる保育士養成に向けてのアンケート調査』結果報告 書.大阪千代田短期大学紀要(31)113 − 134 (16) 山本敏貢,鴨井慶雄,新見俊昌,広川律子,竹内進,山崎 由紀子,吉葉研司,寺岡福子(2002)『障がい児保育に対 応できる保育士養成に向けてのアンケート調査』結果報告 書.大阪千代田短期大学紀要(31)113 − 134

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