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出産後早期に特別養子縁組制度を利用した女性が語る、子どもを産み、養親に託すという体験

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Academic year: 2021

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要旨 【目的】出産後早期に特別養子縁組により子どもを養親に託した女性の体験を記述すること。 【方法】質的記述的研究。聖路加国際大学研究倫理審査委員会の承認(承認番号:18-A053)を得た後に、特別養子縁組の支援団体を通して子どもを養親に託した1名の女性 に、約 2 時間の半構造的インタビューを実施した。体験の成り立ちに注目するため、 Colaizzi の方法を参考に分析を行った。 【結果】女性の語りから、以下の 13 のテーマが見出された。1.妊娠のはじめに思い描い ていた未来を失う 2.中絶によるダメージを背負う自信がない 3.子どもを育てるために 社会的資源を得ようと奔走するが希望を見いだせない 4.子どもを守るためには子どもと 別れた方がよい 5.子どもを育てない選択に簡単には踏み切れない 6.妊娠を隠して生活 する緊張感の中で同じ境遇にある女性との出会いがもたらした安堵 7.出産後に湧き上が る喪失感 8.交錯する感情 9.医療者との関わりに求めるものの変化 10. 母親としてで きることをやりながら母親としての役割を手放していく 11.子どものことを知ろうと思 えば知れる安心感 12.子どもに恥ずかしくない生き方を望む 13.実母支援を通して自己 と他者を重ねながら回復し成長する 特別養子縁組で子どもを養親に託した A さんの体験には、以下の要素が含まれた。 1)他者の眼差しによるスティグマ:特別養子縁組により子どもを養子に出す決断は、子 どもを育てない自分、そのような状況に陥った自分に対する自己否定と共に、そのような 自分を他者がどう思うのか、批判されるのではないか、という他者の眼差しにより付与さ れるスティグマを負う体験であった。このスティグマにより妊娠を隠し、必要な支援を受 けにくいという状況にあった。 2)喪失悲嘆: 出産後子どもに対して距離をとるが、湧き上がる悲しみを体験した。子 どもを手放してからしばらくは、子どもの様子が分からず、常に子どものことを考え、不 安な気持ちで過ごす、悲嘆反応を体験していた。しかし、スティグマゆえに悲嘆を表出で きる人は限られていた。 3)悲嘆からの回復と成長:子どもが養親に愛されて幸せに暮らしていることが分かる と、不安は軽減し、普通の生活に戻っていった。成長していく子どもに将来自分がネガテ ィブに捉えられないように、子どもを手放した後も子どもに会える許された権利に感謝し て、子どもに恥じないように生きる。また、子どもを養親に託した体験を自分の力に変 え、同じ境遇にある女性の支援に A さんはライフワークとして取り組む。そしていつか再 び妊娠して子どもを育てようと未来を志している。 【結論】子どもを特別養子縁組で養親に託す女性が抱えるスティグマ、そして喪失体験を ふまえた支援が医療者に求められる。悲嘆の自然な表出、子どもとの関わりの機会など で、自己決定可能な選択肢の幅を広げる必要がある。

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