小単元の主な 問いと知 識目標
過程 時 段階 主 な 問 い 獲 得 さ れ る べ き知 識
概
念
探
究
過
程
1
1
学
習
問
題
A
の
把
握
◇ 東 京 と大 阪 はよ く 比較 さ れ ます が, ど のよ う な違 い を
耳 にし たこ とか おり ます か。
◇ あな たに は, その こと が当て はまる と思 いま すか。
◇土 地 柄 とい う言 葉 があ るよ う に,文 化 は土 地 に よって 違 う とい う考
え方 が ある こ とを確 認す る。
な ぜ , 文 化 の多 様性 を 説 明 す る 際 に, 地 域 単 位 で 説 明 す る の か。
な ぜ , 文 化 とい う視 点 か ら あ る人 間 の生 き 方 を 説 明 す る際 に は, 個 人 を単 位 と す る こ と が 適 当 な のか 。
【 問 いA 】 な ぜ文 化 の多 揄 吐を 説 明 す る際 に, さ まざ ま
な 地域文 化を 用 いる こと があ るの か。
【問 い A-1】 日本 各 地 には どのよ う な文 化的 多 楡 歐が あ
る か。
【 問い A-2】 地方 文化 は東京 の文 化 と どの よ うに比 較 さ
れて い るか。
【問 いA-3】 マ スメ デ ィア が集 中し て いる の はど こか そ
れ は, どの よう に文化 に影 響を 与え てい るか。
【 知識 A】 土 地 によ って 文化 が違 う ので , 日本 国 内の文 化 の多 楡 哇を
説明 す る際 に,国 内 の地域 文化 を用 い る。
【知 識A-1 】地 域文化 の特 色とし て,方 言 や 食文化 が 取り あげ られ る。
【知 識A-2 】 東 京 の文化 が 標準 と さ れ, 地方文 化 はそ の反 証 と見 なさ
れ る傾 向があ る。
【知 識A-3 】 マ スメデ ィ アの報 道 は東 京 中心 で あり, 東 京 の文 化 的優
位を 再生 産 して いる。
2
学
習
問
題
B
の
把
握
【 問 いB 】 な ぜ, 地 域文 化 を 用い て も, 文 化 の多 様 甌の
説 明 として は不充 分で あ るのか。
【問 い B崕 】 関西 文化 の 中 には どの よ うな多 様 歐 があ る
か。
【 問いB-2 】 他 の地方 は, 関西文 化 をど の よう に理 解 し
て いる か。
【 問 いB-3】 大 阪 の文 化 と 神戸 の文 化 はど のよ う に異 な
る か。 その ことを 神戸 の人 はど う感 じて い るか。
【知 識 B】 関 西文化 とい う概 念を 用 いて も, そ の関 西 を単 一文 化的 に
認 識 し理解 し て しま う ので, 日 本よ り 狹い 関西 圏を 設定 し て も文化 の
多 様 歐の説明 と して は不充 分で あ る。
【知 識B-1 】 関 西 は, 府県 庁 所在 都市 を みた だ けで も 歴史 的背 景 が異
なり , 特有 の地 域文化 を もって い る。
【知 識B-2 】 関 西人 と いう 場合 , 関西 の 地域 内 の盖 は無 視 され, 東 京
( 中央) との異質 性 を強 調さ れ た大 阪 像が関 西 像 とし て 広ま ってい る。
【知 識B-3 】 神戸 と大阪 は,言 葉遣 いを はじ め, いくつ も の点 で異 なっ
た文 化 を もっ てい る。 神 戸人 は大阪人 とい っし よに扱 わ れるこ と に抵
抗を 感 じる。
3
学
習
問
題
C
の
把
握
【 問 い C】 な ぜ, 集 団 の文 化 を見 る だ けで は個人 の生 き
方を 理解 す るの に充分 で ない のか。
【 問 いC-1】 地域 に共 通 して い る と言え る文 化 に はど の
よ うな もの があ るか。
【 問 いC-2】 文化 を 単一 的 に見 なす 扎 点 は, どの よう に
して 作 られ るか。
【 問 いC-3 】文 化 に関す る ことで , 集団 単 位で 判 断し て
はい けない こ とはど のよ うな こと か。
【知 識 C】 文化 には 色々 な側 面 があり , 地域 に共通 す る もの と個人 の
生 き方 にか か わ るも のと があ る。 個人 の生 き方 につ いて は, 一 人一 人
が 異な る文化 を もつ。
【知 識C-1 】 モノ の名 前 は, そ の地域 内 に共 通 して い ない とコ ミュニ
ケー ショ ンが 成立 し ない。 し た がっ て地 域 ご とに文 化を 理 解し て も大
きな過 ち にはな らな い。
【知 識C-2 】挨 拶 など, 地域 内共 通性 が高 い文化 もある。
し か し, 多 く は人 間 の認 知 に は偏 り があ り, 自 分の ス キ ーマ に一 致
する一 部 の事 例を刪 投化 する ことで 作 られ る。
【知 識C-3 】 文 化を 集団 単 位で 見 た場 合, 集 団 内 の個人 に適用 で きる
こ と と,個 人 に は適 用で きな い こと があ る。 アイ デ ンテ ィテ ィが文 化
との相 互作 用で形 成 されて い るこ とを理 解 する。
概
念
探
究
過
程
n
4
学
習
問
題
D
の
把
握
◇ オ ースト ラリ アに対 して は, ど のよう な イメ ージを持 っ
て い るか。
◇一 般 に広 まって い る オー スト ラリ ア のイ メ ー ジは, 観光 的 な もので
あ る。
【 問 いD 】 な ぜ, オ ース ト ラ リ ア は, 白 豪主 義 を 捨 て て マ ル チ カ ル チ ュ ラ リ ズ ムを 社 会 の あ る べ き 姿 と し た か。
【問 いD-1】 白豪主義 と はどのよ うな ものか。
① ど のよ うに して白人以 外 の移 住を禁 止し たか。 また,
当 初の目的以 外 に人 々 の暮 らし にどのよ うな影響 が出 たか。
主 と して誰 が白 豪主義 に賛 成し たのか。 反対 し たの は誰
か。
② 例外 はなか ったのか, あっ たとしたら,どのよ うなヶ−
スか。
【 問いD,2】多文 化主 義へ転 換 した内的 要因 とは何 か。
① 1947年 か ら は,年 1 %の移民 による人 口増加を 目 標と
し たが, 順調 に進ん だか。
② 移民 に はど のような ことが要 求さ れた かo
【知識D-1 】 白豪主義 とは, オ ースト ラリア連邦 政府成立 直後につく られ
た,移住制限法 り 帚化 法などか らなる一 連の政策につけられた通称である。
移民 制限法 は,語学 力( 書き取り) テストを行うこ とで, ア ジア系移民
の流 入を 事実上禁止 するものであ った。
外国 からの低賃金労 働者 や熟練工の流入 が, 白人 の雇 用を圧迫してい た
ので, 労働組合や労 働党 が雇用確保 の点 から, 白豪主義を 強く主張し た。
経済 活動や外交 上の理由, 人道的配慮 などで有色人種 滞在が=部 認 めら
れ た。
【知 識D-2 】内的 要因と は, 非 アングロ サクソ ン(以下AS )文化 圏か ら
の移民 のAS 文化 への同化 に失 敗し たので, それら の住民 やア ボリ ジニを
も統 合する新たな国家 のあり方 が求 められたことであ る。
移民 計画目 標をを下回 るこ とが多 くな ったので,AS 文化圏以 外の広い
範囲 から移民を集 めるようになっ た。
AS 的 な オースト ラリア文化 に同 化させ る政策を進 めたが次第 に困難 に
直面 した。
5
【 問いD, 3】 多文 化主 義 へ転換 し た外的 要因 と は何か。
① 近 年, ど の地域 と経 済関 係が 深ま って きた か。
② 経 済以 外 にど のよ うな関 係が 深 まって きた か。
③ がっ て の オ ースト ラ リ ア はど こ の国 と の関 係 を最 重
要 視 して いた か。
【知 識D-3 】 外 的要 因 と は, 経済 ・外 交 政策 上 の理 由で あ る。 貿 易関
係 に おい て ア ジア の占 める割 合 が大 き くな っ たこ と, 外交 政策 で は英
米 と一 線を 圉 すMiddlePower 論 に転 じ たこと であ る。
東北 ・ 東南 ア ジ ア地域 の経 済 成長 に と もない, そ れら の地域 との貿
易 が一 層重 要 にな った。
経 済関 係 が深 ま るにつ れて , 政治 問 題が 絡 んで きて ア ジア と のつ き
合 い方 も複 雑 になっ た。
独立 後は イギ リス連邦 の一員 として, ま た, 第二 次世 界大戦 後の オー
スト ラ リアは米 国追 従外 交を 展開 し た。
― 132 −
6
【 問 いD-4】 法 律上, 白豪主 義 を廃 止 し た後 の問 題 とは
どのよ う な問題 か。
① 白 豪主 義 の 終焉 と は 具体 的 に はど の よう に行 わ れた
か。
② 同化 政策 を あ き らめ た後, 移民 に対 す る政 策 はど の
よう に変更 さ れた か。
③ 自 文化 を 大 事 にし た 移民 集 団 はど のよ う に変 化し た
か。
【 知識D-4 】 移住 制限 とし て の白豪主 義 が終 わ って も,AS 文 化 への同
化 政策 は終 わ ってな かっ た。
1966年 に オー スト ラリ ア連邦 政 府 は政策 変 更し, 移 住制 限 とし て の
白毫主 義政 策 は終焉 し た。
同化(assimilation) 政 策 の失 敗 の反 省 の上 に多 文 化 共生 によ る統
合(integration) の理 念が 提案 され た。
移民 に関 する ト ラブ ル は移民 で はな く社 会 構造 に責 任 か おる こと が
指摘 され た。
民族 の文化 ( エ スニ シ ティ) にプ ライド を もち, 自信 をつ け た生 き
方 が知 られる よう にな った。
7
【 問 いD- 5】 先 住民 アボ リ ジニ はど のよ うに 扱 われて き
たか。
① ア ボリ ジニ は植民者 にど のよう に扱 われて き たか。
② ア ボリ ジニ に対 する 同化 政 策 は ど のよ う に行 わ れ た
か。
③ ア ボリ ジニ は 現在, ど のよ う に( 場 所・ 態 度) 暮 ら
して い るか。
④ 現 在 の オ ー スト ラ リア政 府 は, ア ボ リジ ニ に対 して
ど のよ うな 態度を と ってい るか。
【 知 識D-5 】 オ ー スト ラリ ア先 住民 と して ア ボリ ジ ニが生 活 して い た
が, ヨ ーロ ッパか ら の入 植 が始 まる とそ の文化 ・社 会 は破壊 さ れた。
先 住民 ア ボリ ジニ は人 間扱 いさ れ ず,そ の文 化・ 社会 は破 壊さ れた。
キリ スト 教会 ・ ボ ラン ティ ア団 体 は, “善 意” を もっ て, ア ボ リ ジ
ニ の子 ど もを伝 統社 会 か ら隔離 し, 同 化教 育( キリ スト 教 と英語 ) を
推し 進 めた。
ア ボリ ジニ の多 く は都市 で生 活 し, スポ ーツ など で活 躍 する こ とも
多 くな っ た。差 別 さ れて き た歴史 が ある ので 自分 たちへ の評 価 に敏 感
であ る。
近年 にな って オ ースト ラ リア政 府 はア ボ リジ ニ同化 政 策を 正式 に謝
罪 した。 裁判 で はア ボリ ジニ の財産 権を認 め る判決 が下 さ れた。
8 学
習
問
題
E
の
把
握
◇ シド ニ ーオ リ ンピ ッ クで 日本 選 手 は日 本文 化 らし さを
出 してい た か。
◇国対 抗で はあ るが, 内容 は, 個人・ チ ームが世 界共通 のル ール に則 っ
て競 争 する, 国家 を超越 し た もので ある。
【 問 い E 】 民 族 らし さ と は, ど のよ う な も の か。
な ぜ , マ ル チ カ ル チ ュ ラ リ ズ ム は 民 族 文 化 に 限 らず 広 が って い っ た か。
【 問い E-6】 日本 人 らし さ とは, ど のよ う な ものだ ろ う
か。
① 日 本国 内に はど のよ うな文 化が あ るか。
② ど のよ う に行 動 す れば, “ 日本 人” とし て多 文 化主
義 に貢 献し たと いえ るか。
( 例:羽 織・ 袴を 着 ればい い のか ?)
【 問い E-7】 オ ー スト ラリ ア の他文 化を 尊重 す る姿 勢 は
どのよ う に適用 され てい るか。
① 性 によ って 社 会 的 に有 利 不利 が あ る こと は どう な の
か。
② 医 療 現 場で , 医 師 と患 者 の 間 に上下 関係 が ある こ と
はどう な のか。
③ 学 校で はど うな のか。
【知 識E-6 】民族 という言 葉 の定義 は作 為的 で, あい まい であ る。
日本 に はさ まざ まな 文化 が あ るが, 意 識 しな い と国内 に あ る文 化 の
差 異に気 づ かない。
日本 の文 化 が多 様な ので , 日本 出 身者 と して, どう行 動 す れば オ ー
スト ラリア の多文 化主 義 に貢献 し たこ とにな る のか不明 確で あ る。
【知 識E-7 】異文 化 を尊重 す る姿勢 は, 民族 文化 以外 に も適用 さ れる。
オ ースト ラリ アで は固定 化 され た男女 の役 割分 担( ジェ ン ダー) は,
大 変少 ない。
医療 現 場で は, 医 師・ 看 護婦・ 理 学療 法士 等 が対 等 の立 場で 協力 す
る。
学校 で は教師 の言 うこ とを丸 飲 みす る生 徒 は少 ない。
9 学
習
問
題
F
の
把
握
◇ 日 本 も江 戸 時代 や そ れ以 前 の やり方 を西 欧 文化 と合 わ
ない も の とし て放 棄 し て きた 歴史 が あり ます。 ア ボ リ ジ
ニの場 合 はどう でし よう か。
◇ 伝統 とい って も, 身分制 社 会に戻 って 差別 があ る のはィャ だ。
◇ 武士 な らなっ て もよい。
◇ 西欧化 し なか っ たら植民 地 にな って いた ので はない か。
|
【 問 い F 】 な ぜ, 先 住 民 の 伝 統 文化 は 現 代 社 会 に受 け入 れ ら れ に く い か。
【 問 いF-8 】 ア ボ リ ジニの 伝統文 化 はどこ が現 代社 会 に
なじ まない か。
① 資 本主 義 経 済と, ア ボ リ ジニ社 会 は ど の点 で異 な っ
て い るか。
② 人 権 思想と, ア ボリ ジニ社会 の思 想は どの点 で異 なっ
てい るか。
【 問 いF-9 】 自 分 の もって い る価値 観 が相 対化 さ れ ると
どの よう に感 じる か。
① 「One Nation 」 とは, どのよ う な政 党 か。 ど のよ
うな人 々 に支持 さ れたか。
② 人 間 の判 断 に影 響 し てい る も のに は, ど のよ う な も
のが ある か。
【 知識F-8 】 ア ボリ ジニ の伝 統文 化 は資 本主 義・ 市 場経 済 に 適応 して
いない。
資 本主 義 に慣 れて いな い ア ボリ ジニ は, 市場 経 済 に参加 す るよ う に
なって も それが生 活 の向上 につな が らない。
ア ボ リ ジニの 伝統文 化 に は, オ ー スト ラリ アの 法 に触 れる もの( 私
刑 ・体 罰) があ る ので非難 する意 見が ある。
【 知 識F-9 】文 化 的相 対主 義 によ っで よ りど ころ の無 ざ とい う不
安 を 感じ る人 々 がい る。 こ の感 覚 は, 価値 観が 相対 化 さ れる と きに共
通して 感 じら れる不 安で あ る。
オ ースト ラ リア の人 々 の中 に多文 化主 義 の行 き着 く先 に不安 を 感 じ
て い たので, 1996 年 ごろ 厂One Nation 」 と いう 政党 が急速 に 支持を
集め たo
合 理的 思 考で 論理 的 に解 決し た とし て も, 感情 の問 題 は解 決し て い
ない。
価
値
分
析
過
程
10
資 本 主 義 ・ 市場 経 済 に 適 応 し な い 文 化 は, 不 利 で あ っ て か ま わ な い か 。
人 権 尊 重 と い う 考 え方 と 合 わ な い 文 化 を 認 め る こ と が で き る か 。
どち らを 選択 する か。
その理 由 は何か。
○ 資本主 義( 市場 経済 ) に適応 して い ない文化 は不利 で もやむを 得 ない。
圜 資本主 義( 市場 経 済) に適応 し ない ない文化 が 不利 にな らな いよ うに する。
○ 暴力( 体罰 )を 肯定 す る文化 を認 め るこ とがで き る。
■ 暴力( 体罰 )を 肯定 す る文化 は認 め るこ とはで きな い。
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