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チームプレイを高めるために開発したソフトボール教材の実践成果:ノーマルゲームとランランティーベースボールとの比較を通して

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チームプレイを高めるために開発したソフトボール教材の実践成果

−ノーマルゲームとランテンティーベースボールとの比較を通して−

The deYelopement of the teachig materiaI for the s°ftball game:

Through the comparison anongimproved games

松岡準人(姫路市立城巽小学校):fIaya10MATSUOKA(Zyou50rlElementaTySchooI) 後藤幸弘(兵庫教育大学):YukihiroGOTO(HyogoUniversityof TeacherEducation) 先行研究において,連係プレイの楽しさを味わわせるために,「ダブルプレイ・ソ フトボール」,「シフトプレイ・ソフトボール」,「タイムリー・ソフトボール」と名 付けたソフトボール教材を開発した.これを,1学級の児童を対象に5年生時1)と 6年生時2)に実践し,これらの教材は,多様なプレイパターンを生起させ,個人技 能,集団技能,ならびにソフトボールにおける連係プレイの楽しさを味わわせ,体 育授業に対する愛好的態度を育成する上で有効であることを報告した. 本研究では,さらに開発したゲーム教材の有効性を検討するために,開発したゲ ームを行う対象群(以下TG群と称する)と,ノーマルゲームを行う実験群(以下 NG群と称する)を設定し,ゲーム様相や児童の意識の変化を比較・検討した.そ の結果,TG群の方が,攻守に渡って,より連係意識を高めていること,プレイ内 容を多様なものにしていること,が認められた.また,学習終了時に行った一般的 なソフトボールゲームにおいても,TG群の方がより内容が高まっていると考えら れるプレイパターンを示した. すなわち,本教材は,プレイ内容を多様なものに深化・発展させ,ノーマルゲー ムを通しての学習よりも有効であることが認められた. キーワード:ソフトボール,連係プレイ,タスクゲームの開発,高学年児童,ゲーム記録法 】.はじめに いじめ,不登校,非行の低年齢化,社会モラルの低 下,等の社会問題が錯綜する今日的課題を受けて,平 成11年公示の小学校学習指導要領3)は,自ら求め, 考える力,等の「生きる力」の育成,ならびに,人間 としての土台を形成するための「ゆとり」の充実を図 るよう編成された.特に,体育科においては,①生涯 スポーツの基盤づくり②心と体を一体とした体づくり ③課題解決学習④内容の弾力的な取り扱いの方針に基 づいて改訂がなされたり.その基盤として,仲間と豊 かにかかわりながら,運動に親しみ好きになるように することや自分やチームの力に合った課題解決のため の活動を考え,工夫することができるようにする,等 のことが求められている. すなわち,従前にも増して運動の学び方を重視する 方針が示され,ポール運動領域では,自分のチームの 特徴に応じた作戦を立てたり,ルールを工夫したりす ることができるようにすることが求められている5). ところで,野球型ゲームの代表としてポール運動領 域に示されているソフトボールは,運動課題が明確な ため,自発的学習を創出しやすく,チームのメンバー が,目標に向かって,工夫,努力することができる等 の教材価値を含んでいると言われている8). しかし,小学校段階でのソフトボールのゲームでは, 技能の優れた児童がホームランやファインプレイを楽 しんでいる一方で,うまくプレイできず,興味・関心 の薄い児童の二極化現象が認められる.この二極化現 象は,学習指導要領に示されている,「生涯にわたっ て運動を親しむ態度を育成する」といった体育科の理 念と照らしてみても,重大な問題である. この問題の解決のために,ルールや授業方法を工夫 し,誰もが,今持っている力でゲームを楽しむ中で,

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基本技龍も高めていくことを企図した先行実践が見ら れ,それなりの成果が得られている7′9ノつノ しかし,チームプレイを十分に高めるまでには至っ ていないように思われたので,第一報1〉では,「ダブ ルプレイ・ソフトボー/レ」や「シフトプレイ・ソフト ボール」を考案し,その有効性を報告したユr、_ 「ダブルプレイ・ソフトボール」や「シフトプレイ ・ソフトボール」では,児童の技能を考慮した上で, 連係プレイを頻出させるた吟,バウンドボールを中心 にゲームが展開されるように仕組んだ. そのため,守備においては,飛球やライナーに対応 し,フェアゾーン全体を視野に入れたシフトやプレイ パターン,攻撃においては,飛球に対応する走塁等に ついての学習が十分行えない可能性を含んでいた.す なわち,一般的なソフトボールへつなぐために,若干 の課題が残された、 そこで,攻守にわたって,バウンドポールのみなら ず,フェアゾーン全体を視野に入れたプレイが課題と なる,「タイムリー・ソフトボール」と名付けたゲー ムを考案した.これを,「ダブ/レプレイ・ソフトボー ル」や「シフトプレイ・ソフトボール」を経験した児 童を対象に実践し,一般的なソフトボー/レヘつなぐた めの上位教材としての有効性を第二報ヱ)として報告し た. しかし,それらは,1学級を対象にしての実践結果 であり,ノーマ/レゲームを学習した実践との比較・検 討は行っていない.そこで,本研究では,ノーマ/レゲ 評    価    基    準 得   点 段 麿 円 を は ず れ た もの 1  点 直 径 3 rn 円 に的 中 2  点  l 直 径 2 m 円 に的 中 3  点 直 往 1 m 円 に的 中 4  点 ームを通して学習するする群(NG群)と,開発した 教材を適して学習する群(TG群)を設け,全12時 間の実践を行い,その比較を通して,開発したゲーム 教材の有効性を検討した. なお,情意的側面での学習成果においては,先行実 践二二.及びナG群,NG群に加え,ティーバッティン グ後のベースランニングと守備側のボール回しをして からのバックホームへの送球の速さを競うゲームを行 う大西実践1ノとも比較・検討した三∴ Ⅱ.研究方法 A.開発したゲーム教材の有効性の検討 ①対象 TG群 姫路市立Z小学校5年1組(男子14名, 女子23名,計37名)の児童. NG群 姫路市立Z小学校6年1組(男子I2名, 女子8名,計20名)の児童, TG群,NG群共に,4年隼時にハンドベースボー ル,キックベースボールをそれぞれ,数時間ずっ経験 した程度であり,ソフトボールの学習経験はない. ②チーム編成 チーム人数は先行実践1ノと同様に6∼7人とし,図 1に示すような事前の投・描,打のスキルテストニ)と 人間関係を考慮しTG群は6チームに,NG群は3チ ームに編成した. また,表1に,TG群,NG群の事前のスキルテス トの結果を示した. 練 蟻 麓 力 の 拝 す 毒 草 評     価      基      準 得 点 捕 る こ と が で き な か っ た 1 点 段 階 ハ ン ブ ル した り 、胸 うけ に な りな が ら も 2 点 捕 る こ と が で き た 飛 球 に 正 対 し 、両 手 で 捕 る こ と が で き 3 点 た 半 身 に な りな が ら 、両 手 を タ イ ミン グ よ 4 点 く引 き 、捕 る こ と が で き た 打 の 撞 詔 の 詳 薗 基 準 評    価    基    準 得  点 段 階 空 握 り †点 2 点 3 点 フ ァ ウ ル バ ウ ン ドゾ ー ン を ダ イ レ クトに 越 え る 飛 球 パ ウ ン ドした 弱 い フ ェア 4 点 パ ウ ン ドした 強 い フ ェア 5 点 * 各テスト共.試技回教は5回としたe 図1.スキルテストの概要 一24一

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打の技能においては.TG群が,男子2.49± 0.81 点,女子1.96±0.71点,NG群が,男子2,95±0.75 点,女子2.53±0_71点であり,やや6年のNG群の 方が高かった.しかし,その他の投,捕の結果におい ては,ほとんど差は見られなかった. ③指導者 指導者の影響を同一にするために,両群ともに,教 師歴17年の男性教師が指・導した. ④実践の構想と学習過程 図日も 本実践の構想を示したものである. 本研究の主目的は,教材の持つ有効性の検討である. したがって,ゲーム教材の特徴的なルール,方法以外 の点については,できる限り条件をそろえて授業を行 った.すなわち,何れの群においても,チームプレイ を高めることと,連係プレイを生起させることを目的 とし,その実現のた舶こ,チーム人数やコート条件, 使用ボール,等の基本条件をそろえて実践した. その上で、表2に学習過程の概略を 示すように,TG群は,3つのタスク ゲームを3時間ずつつないで,一方N G群は,ノーマ′レゲームだけを扱った. 本研究においては, 一般的なソフト ボールへつなぐことを目的とした.し たがって,単元後に一般的なソフトボ ールを行う,オリェンテーションも含 めた,全12時間の学習過程を組んだ. 毎時の授業の前半には,キャッチボ ールやトスバッティング等の基本技能 表1.事前のスキルテストの結果 学 習 群 T G 群 N G 群 種 目 n =こ3 7 n = 2 0 遠 投 技 能 2 5 .1 g ± 1 .5 3 2 3 .2 8 ± 7 .14 距 離     m 1 2 _2 9 ± 2 .8 9 1 2 .3 5 ± 4 .9 7 遠 投 技 能 3 _(X )± 0 .4 9 3 .2 0 ± 0 .4 8 正 確 性    点 2 .7 5 ± 0 .4 1 2 .5 6 二二 0 .4 2 遠 投 技 能 3 こ9 2 ± 0 .5 3 3 ,7 5 ± 0 月7 フ ォ ー ム   点 2 .5 5 ± 1 2 6 2 _5 0 ± 1 .0 7 ア ン ダ ー ス ロ ー 3 ,(丈I 二[ 0 ,4 2 j _6 5 ± O j l 正 確 性    点 1 2 2 ± 0 .5 8 3 .13 ± 0 .5 2 捕 球 技 能 1 4 3 ± 0 .6 5 3 .1 1 ± 0 .8 7 占 2 .1 5 ± 0 .6 6 2 .∝l ± 0 .5 0 打 撃 技 能 3 .4 9 ± 0 .8 1 2 .9 5 ± 0 ,7 5 点 I .9 6 ± 0 .7 1 2 .5 3 ± 0 ,7 1 (上段男子   下段女子) を高めるための練習や、シートノックやボール回し等. 多様な状況を想定したプレイパターンの習得を目的と したチーム練習の時間を10分から15分程度確保し た. なお,授業においては,先行研究で考案した「ゲー ム記録カード」1ノ(図 7)を用い,ゲーム事象を記録 させた. また,授業の終わりに,ゲームを振り返る時間を確 保し,勝敗のみならず,攻・守の得点の状況や,前回 との変容やゲームで見られた新しいプレイパターンの 紹介等を行い,次のゲームに生かせるようにした. 詳しいゲーム分析は.授業後.教室にて10分程度 の時間を確保して行わせた.その際,前述の「ゲーム 記録カード」をもとに,図8に示す「チーム作戦カー ド」に記入させ,具体的にゲーム様相やプレイの状況 を振り返りながら,作戦を丁二夫・発展させていけるよ うにした.

チームプレイを高めるソフトボールの教材開発

−ム学習群 ・バウンド規制 ・ティーボール使用 ・味方投手制 ・攻守得点制 ・ティーボール使用 ・味方投手制 ・攻守得点利 ・ホームランゾーン設置 タイムリー・ソフ ・ティーボール使用 ・味方投手制 ・バウンド規制解除 ・攻守得点刹 −マルゲーム学 ・等距離菱形コート (6名チーム触球機会保 ・打者一巡イニング制 (打鍵機会確保) ・ポジションフリー (多様なプレイの生起) イニング満塁スタート制 (多様なプレイの生起) ・柔らかいポールの使用 (地球機会の保障) ・ノー「りレ・ソフトボール ・オールフリーゾーン制 ・味方投手制 + 相手投手制 ・攻撃得点のみ ・ティーボール使用 ・ホームランゾーン設置

一般的なソフトボールゲーム

図2.ソフトボールの実践構想

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表2.学習過程

ソフトポ・イレ 鞭経

哺 昌

T G 群 汐

N G 群 (ノー マ ル ゲ ト

1

オリエンテーショ

ン(

ルーブレ

説明・

チ「∠

摘録 記配 詳習 等)

2

ためしのクL ム(

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3

4

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二 

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6

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シオフレイ・

ソフトボ っレ   

まとめ

チ「ム   

2ノ

木捌   

整理勤

8

練習

9

アリプ

10

11

タイ旦臣1 ソフト

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12

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*ためしのケLJ\お切の声1勾事Tqよ基軸虹技従粟抄リフト醇っ峠肇ニるが、蛎糖会欄紅め、チ

ーム大知茄名とし等脚こ4/嘲酢」を使用す急

*いずれのゲ÷ぷこねても、授業後1脚僧形生絹鰯探しケし刃討㈱起こし督乍戦夕欄格

⑤集団技能の学習成果の把握 集団技能は,作戦とゲーム様相から把握した. a.作戦の変容 ゲーム中に記録させた「ゲーム記録カード」をもと に,①プレイパターン,②打順,③作戦の記述,等か ら作戦の変容を把握した. b,ゲーム様相の変容 校舎3階に設置したビデオカメラを用いて,毎回の ゲームを記録し,①シフトの組み方,②個々の動きの 変化から,チームプレイの変容を把握した. ⑥情意的側面の学習成果の把握 毎時間後,小林12)の「よい授業への到達度評価」 をもとに作成した,①精一杯の活動,②技や力の伸び, ③新しい発見,④民主的活動,⑤楽しさの全5項目か らなるアンケート調査を実施した. また,単元前後に,小林12−の「態度軌定」を実施 し,情意的側面における学習成果を検討した. Ⅲ.結果ならびに考察 開発したゲーム教材の有効性の検討 1.集団技能の変容 a.ゲーム様相について 図3は,TG群とNG群の攻撃時におけるゲーム様 相の推移を示したものである. 単元を通しての攻撃得点は,10試技あたり,TG 群が5.5±1.5点,NG群が6.8±11点を示した.ま た,安打数は,TG群で4.4±1.2回,NG群で5.7 ±1,1回見られた.すなわち,攻撃時におけるゲーム 様相は,NG群の方がやや高い水準を示した, 攻撃戦術の内訳は,先行実践11)においても見られ た相手のプレイのすきを見て,さらに次の塁まで狙お うとする「ツーランスチール」が,何れの群において も見られた.これに加え,N.G群においては,二人の 走者が,守備側とかけひきを行いながら進塁しようと するトリックプレイである「ディレイドスチーノレ」が 一26一

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12 10 8 6 4 2 8

㍉∴∴・∴‘∴二∴∵ノ√

㌔八/骨撃詳読/専午慄

図3.攻撃時のゲーム様相の推移 見られた,すなわち,攻撃時におけるゲーム様相は, NG群の方が,より高い水準を示し,戦術内容として も多様なプレイが生起した. これには,両群のゲーム教材の持つ課題性の相違が 影響しているものと推察された. すなわち,TG群に適用したタスクゲームは,学習 回・点/10試技 t  ・守備得点 〇 フォースプレイ 三 ダブルプレイ 守備得点推移 一 一 一フォースプレイ推移 一・・・・一ダブルプレイ推移

TG群

開始時の児竜の技能を考膚して,バウンド規制を行う 等,守備側のプレイを中心にしながら,徐々にシフト を広げていけるように仕組まれている.これに対して, NG群の行ったノーマルゲームは,そういった規制が なく,児童の技能レベ/レから見ると,やや攻撃有利の 状況が生まれやすかったことが上述の結果に関係して いるものと考えられた. しかし,一般的なソフトボールを行った試しのゲー ムと終わりのゲームの攻撃得点を比較してみると,N G群は,3_3±2_5点から2.4±0.6点へ減少したのに 対し,TG群は,2.7±1.5点から3.1±12点へと増 加が見られた.すなわち,一般的なソフトボールにお いては,TG群が,課題ゲームを通して,高めてきた 力をより発揮できていることが認められた. なお,先行実践上においての攻撃得点は,単元を通 して,5▼6± 2.1点であり,本実践におけるTG群と ほとんど差は認められなかった. 図4は,TG群とNG群の守備時におけるゲーム様 相の推移を示したものである. 10試技中のダブルプレイの出現数は,TG群が0.3 ±0.3回,NG群が0.2±0.2回であった.また,フ ォースプレイは,TG群が2,4±0,9回,NG群が1.7 ±0.8回で,その差は特に単元後半で顕著に見られた. さらに,フォースプレイやダプ/レプレイの出現に伴っ て伸びる守備得点は,TG群では,単元を通して増加 傾向を示し,平均4.3±1.7点であったのに対して, NG群では単元を通して減少傾向を示し,平均2.2± 1.2点となった, 回・点/10試技

獣が舟頂冨腺一 霊/『/焉/焉/焉/焉/環/磐/専

図4.守備時におけるゲーム様相の推移

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011時 図5.連係プレイ率.三ご’の推移 図5は,連係プレイ率1、の推移を示したものである. NG群では,試しのゲームにおいて 50%であった 連係プレイ率は,終わりのゲームにおいては40%と 低下し,単元を通して下降傾向を示した.一方,TG 群では,試しのゲームの25%から,終わりのゲーム の71%に,単元を通して顕著な増加が見られた.す なわち,守備時のゲーム様相において1も TG群の方 がNG群よりも高い水準を示すことが認められた. これには,前述の攻撃時と同様に,ゲーム教材の持 つ課題性の相違が影響しているものと考えられた.す なわち,NG群に提示した得点は攻撃得点のみで,守 備得点は示していない.それに対してTG群のタスク ゲームでは,守備得点も提示し,守備時のシフトを徐 々に広げながら連係プレイを高めていけるように仕組 まれている,したがって,この教材の持つ特性が作用 して,TG群の守備時における連係プレイを顕著に高 めたものと考えられた. b.作戦の変容 前述の多様な連係プレイの高まりは,当然,作戦の 工夫と高まりが影響していると考えられる. 図6は,学習を通して,作戦がどのように変容してい ったかを集約したものである. 単元初めの試しのゲームにおいては,TG群,NG 群共に,攻撃時には,フリーヒッティングを行ってい た.それに対して守備側は,本塁を除く各塁を守る3 人と内野フリー野手1名,外野手2名から3名で守る といったオーソドックスな守備隊形を示した. 2時間目以降は,TG群では,攻撃側がバンド作戦 を多様するのに対して,守備側が内野フリー野手を極 端に前進させ,「本塁走り込み作戦」や「タッチ作戦」 を用いていた. 3時間目以降では,攻撃側は「バスター攻撃作戦」 により内野安打を増やそうとした.これに対して,守 備側は,守備得点を上げようとする工夫から,フリー 野手を二人にして,打球の方向に対して,一人が捕球 し一人が本塁のベースカバーに入り送球を用いたフォ ースアウトを取る「本塁ツーマンコンビ作戦」や,い ずれかの塁に捕球能力の高い児童を置き,本塁が無理 なら他の塁での送球によるフォースアウトを狙うとい った「ダプノレキーシフト作戦」へと発展した. また,単元後半の7時間目以降では,攻撃側の戦術 行動は,最初の2球目まではホームランを狙う「カウ ント判断攻撃作戦」や,+一一度に次の塁まで狙おうとす る「ツーランスチール」,ホームラン狙いも含めた「フ リーヒッティング作戦」へと変化した.これに対して, 守備側のシフトの取り方も,相手打者の打撃能力や得 点差,走者配置状況に応じてシフトを組み変える「状 況別キーシフト作戦」へと発展し,最終的には,チー ム連係作戦へと集約した. なお,守備得点をさらに上げようとする工夫として, フリー野手が各塁へ送球する際に,ベースの近くでそ の球を捕球し,ベースを守る者にトスをするといった 「カットイン&トスプレイ作戦」も見られた.これら は,全て送球によるダブルプレイにつながる過渡的な 戦術に位置づけられると考えられた. 一方,NG群では,2時間目以降の各ゲームにおい て,攻撃側が,「バンド作戦」とホームラン狙いを含 めた「フリーヒッティング」を行ったり,打順を組み 替えて,連係して攻撃しようとした.これに対して, 守備側は,打者の能力に応じて,内野中心か外野中心 のどちらかにウェイトを置いたツーパターンの「キー シフト作戦」を採る傾向が見られた.さらに,攻撃側 は,そういった守備側のシフトをうまぐ回避しながら 得点を上げる工夫として,「ディレイドスチー′レ作戦」 や「ツーランスチール作戦」を用いながら得点を上げ ようとする「連係攻撃作戦」に集約した.これに対す る守備側の作戦は,打者の能力に応じて,技能の高い 児童のポジションを,外野や内野に集めるとった「打 者別野手移動作戦」を用いながら連係プレイを高めよ うとする作戦以外に,目立った作戦の変容は認められ なかった. 以上の結果は,TG群の方が,攻守の作戦が関連し 合いながら,より高度な作戦行動へと発展させている ことを示していると考えられた. すなわち,作戦の工夫・発展を促しながら,チーム プレイを高めさせるといった観点から見た場合,TG 群の方が,より成果が上がっていると評価された. −28−

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守   偉   時 図6.作戦とゲーム様相の変容 ゲ   ー   ム   様   相 図7は,授業中にゲーム様相を記録させた「ゲーム は,左方向を固めるシフトを工夫した.次のゲームで 記録カード」を,図8は,授業後に記録させた「作戦 は,結果的には,集中したシフトの逆をつかれ,守備 カード」を,それぞれ抜粋して示したものである.  得点を顕著に上げるまでには至らなかった.しかし, 守備側のDチームは,「ゲーム記録カード」をもと  その後のゲームにおいては,「記録カード」のボール に,左方向への打球が多いことに気づき,次の時間に 軌跡をもとに打者別にシフトを組む作戦へと発展させ 1 粛 ぐ う 2 _と Lh 3 、二三L P ’ 4  庁lヽ1世Yイブ亡, 5 ナノかし(・至〕 6  ン=い 六 攻 撃  F 、 守 備 P 審 判 ・記 録 E ボ i l l lV l ボ I t 題 I l ボ lV lV 1 1 .t ボ l ボ l■ 表 l ポ t l l l l ス iV lV IV l tV ス IV ly lヽ/tV l ス I t l l l ス lV ス n ll l ll ス lV ゾル/lY L′ \ 勺 二 / ( \\ 軒 ′ / ′ 、 ㍉ 〈     ) \ ☆ ′! // ̄ ̄ ̄、\ ‘\_ /       J \‘\・卓 / フォー ス フォース  ープ フォ−ス フォース フ ォー ス  くJ フォー ス ヒ ッ ト ヒ ッ ト ヒ ッ ト  ∠フ ヒ ッ ト ′つ ヒ ッ ト ヒ ッ ト 片目トアウト ロ パヶト 7 サト バ,巨 7 ウト バッタ」7 机 !くヮター7 ト バヮタ」門 ト /ウ フ ラ イ フ ラ イ フ ラ イ フ ラ イ フ ラ イ フ ラ イ   ▼ ダ ブ ル ダ ブ ル ダ ブ ル ダ プ’ル ダ プ ̄/レ タ∵7 /レ 守 備  か 守 備   て 田 だ.  ● 守 備   U 守 備  ちと 守 備   /I 駈喜一1 イ】 駈蓼1 ■■n コケ竪   1 沖 竪   イ 抒 堅   0 封 聖   jウ 図7.ゲーム記録カード(抜粋)

(8)

フォース サト   \   ろ 年 寺 丁 ブ   ラ イ D 0 ∩ バッター ウト 1 J 一 l 貴 打 0 l 十 t 裁  事 題 l ユ 十 l 轡  ● 題 1 ヰ 1 ⊃_ 2.韓によくなった点は.どんなことだろう!! こ1げ′勺等上しヤ叫牝.什㌫汀・主ヒ勺,Tこ. 3.枚のゲ」ムでは._.どんなことに続載しようかl t

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/ご・いたい7人し}い・7価に、・1い、ちか1ら、 「1し与 り仙もやう、. 4.そのための象管方法は11 1◆り軸・‘一′Lもほかで毛75 5.繚雪の虚鼻を、次のゲームで杖してみようIl ていた. これは,「ゲーム記録カード」が作軌こ生かされ, 集団技能を高めることに穏託した一例であると考えら れた.このことは,集団技能をチーム全員で工夫し高 めていくためには,児童にゲームの内容を客観的に提 示することが課題となるとする見解=ノを支持するも のと考えられた. 2.情意的側面の学習成果 図9は,本実践におけるTG群とNG群,著者らの 先行実践,ならびにランランティーベースボールを行 った大西実践の態度測定1の結果を示したものであ る. 本実践の単元後には,TG群の女子がかなり高いレ ベル,それ以外は,高いレベルを示し,授業は,TG 群の女子がかなり成功,他は,全て成功と診断された. また,各尺度の態度スコアは,TG群の女子の『よ 本 実 践 T G 群 (2 0 0 1 ) 先 行 実 践 (1 9 9 9 ) N G 群 (2 0 0 1 ) 大 西 実 践 (1 9 9 7 ) ダ守 ‘ソフト ;譲 二 フト ダブを ソフト シフトソフト ノーマノン・ソフト ランラン  ティーベ ースボー ′ン よ ろ こ び l       自  主  的  思  考  と  活  動 積極的活動意欲 体育科目の転値 t l 集団活動の楽しみ I 友 達をつくる場 評  価 きびきびした動き 力づくり         堂 々 .が ん ば る 習 慣 臨力の習慣        授 業 の ま と ま り 基本的理論の学習 l      授  業  の  印  象      】 精 神力の東成 深 い感動 価  値 i みんなの活動 i 永続的な習慣 主体的人間の育成 l  みんなの活動 l 理論と実践 の龍一 授業のた 体育科 目 みんなの.よろこび   l らい の必要性 利 己主義の抑 制 男  子 女  子 男  子 女  子 男  子 女  子 男  子 女  子 よろこび A  4   A C   3   C A   l A D   5   A 8   4   A B   4   A A   4   A B 1 4 I B

評  価 C  5  A C  4  C C  5 Å C   5   A C   5   B C   5   B A   5   A A  5  A 価  値 C  4  B C   4   B D   5 A C   5   A C  4  B A  5  A B  4   A A   こI  A 単元前 や高いレベ/Tふつうのレベ1ン アンバランス や や低いレペノン や高いレベ ′ン 、なり高いレべノて高いレぺ/ン 高いレベ′ン 単元後 高いレベル やや高いレペ ′.商いレノくノ 犀】いレベ ノン 高いレベ ′レ 高いレベル 高いレベル 高いレベ/ン 学  習   功 かなり成功   功   功 成  功 成  功 成  功 成  功

図9感度測定の結果

(9)

ろこび』『評価』がCを示す以外は全てAかBに向上 した.評定も,TG群の女子の『よろこび』を除き, 全て4あるいは5を示した. 男女ともに標準以上の伸びを示した項目をみると, NG群ならびに大西実践のみに抽出された項目は,『よ ろこび』で2項目,『価値』で1項目の計3項目であ った.一方,TG群ならびに先行実践のみに抽出され た項目は,『よろこび』で2項目,『評価』で6項巨, 『価値』で5項目の計13項目であった.すなわち, 第一報1)の結果とあわせて考えた場合,開発したゲー ム教材は,『よろこび』『評価』のみならず『価値』 尺度をも高め得られるところに特徴のあることが認め られた. たた,本実践のTG群の女子において,他の群と比 べて,やや伸びの小さかったところに問題が見られた. そこで,各チーム別に態度スコアの合計点の変化を 検討してみた(図10). Cチームを除き,他のチームは,学習を通して伸び を示していることが認められた.すなわち,TG群の 女子で態度スコアが大きく伸びなかった原因は,Cチ ームの女子にあることが認められた.また,毎時間後 に行った,よい授業への到達度評価の記述内容を分析 した結果,TG群の女子児童の多くが,Cチームのあ る男子児童に対して,「えらそうに言われた」「失敗 したら文句を言われた」「勝手に決められた」等の不 満を訴える記述が見られた. さらに,単元を通して,態度スコアを最も大きく伸 ばしたEチームと,態度スコアを下げたCチームにつ いて,毎時間後のよい授業への到達度評価の「民主的 活動」における好意的反応比率と記述内容を分析して みた(図11).その結果,Eチームが単元を通して高 い水準で推移しているのに対して,Cチームはやや低 い結果であった.また,記述内容においても,「教え てもらってよく打てるようになった」,「みんなで協 力して守れた」,「連係プレイができて得点がたくさ んとれた」とか等,仲間との係わりを挙げる記述が目 立ったEチームに対して,Cチームでは,「打てた」 「捕れた」等個人技能の伸びを挙げる記述は見られた ものの,仲間との係わりを好意的にとらえた記述はほ とんど認めらなかった,この差は,特に単元後半で顕 著に認められた. すなわち,TG群の女子の態度スコアの伸びが小さ かったことは,教材の影響というよりは,むしろ,授 業中の人間関係の問題が影響しているものと推察され た.したがって,ゲームの指導においては,このよう 0       0       0       0       0       〇     一 U 2       0       8       6       4       サ ー ウも 100 88 60 4〇 Z() 0 仲間との関わり記述 ⊂=コCチーム ■■l Eチーム 民主的清那 「凸一一一Cチーム 1■−Eチーム 10 8 6 4 2 こ

「∴二二・・・◆∴∵÷∴∵

ニJ 図11.「民主的活動」における好意的反応比率の推移 好意度増加率       嫌意度減少幸 図12.ソフトボールに関する好嫌度の変化 な課題の解決に,指導者は留意する必要がある. 図12は,ソフトボールの好嫌度の単元前後の変化 を好意度増加率と嫌意度減少率で示したものである. 特に,単元前,好意度の低かった女子において,学 習を通して好意度が改善され,その増減率注りは,TG 群がNG群を上回ることが認められた.すなわち,ソ フトボールに対する好意度を高める上でも,開発した ゲーム教材は,有効であると考えられた. lV.まとめ 本研究では,著者らの開発したゲーム教材(ダブル プレイ・ソフトボール,シフトプレイ・ソフトボール, タイムリー・ソフトボール)の有効性を検討するため に,これらの教材を通して学習する学級(TG群), ノーマルゲームを学習する学級(NG群),著者らの 先行実践,大西実践の計4学級の実践成果を比較・検

(10)

討した. (1)ゲーム教材の課題性の相違の影響から,単元中 盤の攻撃得点は,NG群の方がやや高い水準を示 した,しかし,単元後に行った一般的なソフトボ ールのゲームにおいては,TG群の方がより高い 攻撃得点を示した (2)守備面における連係プレイ率は,NG群が50% から 40%に単元を通して下降傾向を示したのに対 して,TG群は,25%から71%に顕著に増加し た.また,TG群は,単元終わりの一般的なソフ トボールゲームにおいても,71%と非常に高い水 準を示し,TG群の方が,より連係プレイを高 め得ていると考えられた. (3)TG群とNG群を比較した場合,TG群の方が, より攻守のかけひきを伴った作戦が生起し,それを 発展させていることが認められた.これには,ゲー ム記録法により客観的にゲーム内容が児童に示され たことが影響していると考えられた. (4)開発した教材は,『よろこび』『評価』のみなら ず,『価値』尺度をも高め,児童の体育授業に対す る態度ならびにソフトボールに対する意識を好意的 に変容させ得られることが認められた. 以上の結果から,著者らの先行実践に加え,本実践 の結果を通して,開発した教材(ダブルプレイ・ソフ トボール,シフトプレイ・ソフトボール,タイムリー ・ソフトボール)は,チームの連係プレイを高め,児 童の情意的側面の学習成果を高める上でも,有効であ ると考えられた. また,単元終了時に行った一般的なソフトボールで は,攻撃時においては,TG群では,安打が平均4.44 回で,攻撃得点は平均3.05点を示した.これに対し て,NG群では,安打が平均5.3回で,攻撃得点は 平均2.38点であった.また,連係攻撃率謹3)は,TG 群の鰯%に対して,NG群は46%であった.一方, 守備得点は,TG群が,平均3.61点,ⅣG群が平均3.33 点であり,ほぼ同水準であったが,連係プレイ率違2) は,TG群が71%で,NG群の40%を大きく上回っ た. これらの結果は,ゲームの課題性が起因しているも のであると推察された.すなわち,タスクゲームをつ ないで,連係意識を高めながら,徐々にシフトを広げ ていけるように仕組まれている本教材は,一般的なソ フトボールにつなぐためにも有効であることが示唆さ れた. 漣 注1)学習成果を客観的に測定した実践が少なく,本 研究との比較が国難であった. 注2)連係プレイ率=複数のプレイヤーが係わってア ウトを取った数÷全アウトの数×100で示され,連係 プレイの高まりの指標とした. 注3)連係攻撃率=攻撃得点数÷安打数XlOOで示さ れ,連係攻撃の高まりの指標とした. 注4)増減率=好嫌度の単元前後での増減の割合 文 献 1)松岡準人・本多弘子・日高正博・藤田 宏・後藤 幸弘(2000):チームプレイを高めるソフトボールの教 材開発一連係プレイの楽しさを味わわせるために−, 兵庫教育大学教科教育学会紀要,第13号,34−45. 2)松岡準人・後藤幸弘(2001):チームプレイを高め るソフトボールの教材開発11−多様なプレイを楽しま せるために一,兵庫教育大学教科教育学会紀要,第14 号,39−46 3)文部省(1989):小学校学習指導要領,大蔵省印刷 局 4)高橋健夫(1999):体育科の目標・内容の基本的な 考え方,学校体育,52(8)12−14 5)池田延行・戸田芳雄(1999):改訂小学校学習指導 要領の展開,明治図書,11−223. 6)立木 正(1990):教材価値を検証する その2− ソフトボール,体育科教育,47(5),26−27. 7)大西一富(1998):野球型ボールゲームの教材づく り−ランランティーベースボールの教材価値の研究 −,姫路市教育委員会内地留学研究報告,37 − 48. 8)大森雅信(1995):五年生「軟式ソフトボール」の 実践−ハンドベースボールからのつなぎの工夫−,学 校体育,48(4),78−80. 9)田口了二(1991):どの子も意欲的にたのしく取り 組むゲームをめざして−ソフトボールの実践−,学校 体育,44(14),48−51. 10)田中佐俊(1994):どの子も特性を味わえるソフト ボールの工夫−ティーバッティングソフトボールの工 夫,学校体育,47(7),50−53. 11)堀内垂人(1999):共通課題を設置したソフトボー ルの学習,学校体育,52(1),叫 −47. 12)小林 篤(1980):体育の授業研究,大修館書店,224 −258. 13)後藤幸弘(1989):新学習指導要領のねらいと小学 校体育科の課題,体育と保健,2−8 ー32−

参照

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